JPH055909A - 非線形光フアイバ及び非線形光学装置 - Google Patents

非線形光フアイバ及び非線形光学装置

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JPH055909A
JPH055909A JP3045449A JP4544991A JPH055909A JP H055909 A JPH055909 A JP H055909A JP 3045449 A JP3045449 A JP 3045449A JP 4544991 A JP4544991 A JP 4544991A JP H055909 A JPH055909 A JP H055909A
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Hirohisa Kanbara
浩久 神原
Masao Yube
雅生 遊部
Kenichi Kubodera
憲一 久保寺
Hidenori Kobayashi
秀紀 小林
Hiroki Ito
弘樹 伊藤
Shoichi Sudo
昭一 須藤
Takashi Kurihara
栗原  隆
Naoki Oba
直樹 大庭
Toshikuni Kaino
俊邦 戒能
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    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B6/00Light guides; Structural details of arrangements comprising light guides and other optical elements, e.g. couplings
    • G02B6/02Optical fibres with cladding with or without a coating
    • G02B6/032Optical fibres with cladding with or without a coating with non solid core or cladding

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  • Optical Fibers, Optical Fiber Cores, And Optical Fiber Bundles (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】光透過性、入射光の直線偏波保持に優れ、大き
な非線形光学効果を有する非線形光ファイバを提供し、
10ps以下の極めて高速で動作する非線形光学装置を
提供する。 【構成】非線形屈折率効果を有する有機物を有機溶媒あ
るいは透明性に優れる高分子材料に分散せしめ、かつ分
散濃度あるいは分散体の組成を調整することにより屈折
率を微細に制御した有機物分散体61をガラスを主成分
とする中空状細径管62内に封入した非線形光ファイバ
およびその非線形光ファイバを使用した光学装置。 【効果】光透過性、入射光の直線偏波保持に優れ、大き
な非線形光学効果を有する非線形光ファイバとすること
ができ、これを使用した非線形光学装置は高速で動作可
能になる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は非線形光ファイバおよび
前記光ファイバを使用した非線形光学装置、さらに詳細
には光データ・情報処理や光通信システムにおいて将来
的に用いられる光スイッチや光メモリ、あるいは光信号
演算処理装置などの非線形光学装置、さらに前記非線形
光学装置に使用される光ファイバに関するものである。
【0002】
【従来の技術】非線形光学効果とは、物質中の電気分極
Pが、下記のように光の電界Eに比例する項以外に
2、E3の高次項を持つために起こる効果である。
【0003】 P=χ(1)E+χ(2)2+χ(3)3・・・ (1)
【0004】特に第3項は、3次の非線形効果としてよ
く知られている第3高調波発生(周波数ωの光を放出す
る現象)を示すとともに、下式で示される光の強度に依
存した屈折率変化をもたらす。
【0005】 n=n0+n2I、 (2)
【0006】n2は(1)式の3次非線形感受率χ(3)
対して、
【0007】 n2=16π2χ(3)/cn0 2 (3)
【0008】ただし、n0は線形の屈折率、cは光束で
ある。
【0009】この3次の非線形光学効果を有する光学媒
質と、光共振器、偏光子、あるいは反射鏡などの他の光
学素子とを組み合わせると光双安定素子、光制御光スイ
ッチ、光変調器、あるいは位相共役波発生装置など、光
情報処理や光通信システムにおいて将来的に用いられる
重要なデバイスを構築し得る。
【0010】以下、非線形屈折率効果を応用した非線形
光学装置の中から、光カーシャッタスイッチ、ファイバ
ループミラースイッチ、そしてマッハツェンダースイッ
チについて、その従来例を説明する。
【0011】光カーシャッタスイッチとは、図1に示し
たように、入力光をゲートパルス光でゲーティングし、
ゲートパルスの時間波形に対応した出力光を得ようとす
るものである。図中、2aと2bの互いに偏光軸が直交
するよう配置された2枚の偏光子からなる直交偏光子系
であり、1は従来においては、長さ1mmのガラスセル
内に封入されたCS2(二硫化炭素)液体である。この
構成においては、ゲートパルスPgが入射している間だ
け、偏光子2aを通過した入力光の直線偏波が、非線形
屈折率媒質1の屈折率変化によって楕円偏波に変わり、
そのために光の一部が直交偏光子2bを通過することが
できる。すなわち入力光はゲート光のパルスによって光
スイッチされる。
【0012】入力光の瞬間透過率T及び位相変化量Δφ
はゲート光の偏光方向と入力光の偏光方向が45°傾い
た時に最大となる。この場合、
【0013】 T=sin2(Δφ/2)、 (4)
【0014】 Δφ=2πn2LIg /λ (5)
【0015】で表される。ただし、Lは媒質長、λは入
力光波長、Igはゲート光パワー密度、n2=16π2χ
(3)/cn0 2は非線形屈折率である。
【0016】(4)式でΔφが充分小さいとき、
【0017】T ∝ χ(3)2g 2、 (6)
【0018】となるから、Tはχ(3)、LそしてIgのそ
れぞれの2乗に比例することがわかる。そして、これか
ら、必要なゲート光強度を低減化させるには、高効率材
料を用いること、長媒質化により相互作用長を長くする
こと、ビームの小スポット化により光密度を上げるこ
と、すなわち、光ファイバ状の媒質を用いることが有効
であることもわかる。また、同じ値の透過率T、すなわ
ち同じ値の位相変化量Δφを得ようとすると、
【0019】 Ig ∝ L-1 (7)
【0020】の関係があることがわかる。
【0021】本出願人等が従来型のCS2光カーシャッ
タを追試した結果では、λ=0.83μm、L=1m
m、Ig=300MW/cm2としたときに、瞬間透過率
T=0.4%が得られた。この結果から、(4)、
(5)式を用いて非線形屈折率n2を計算すると、
【0022】 n2=3.1×10-14cm2/W、 (8)
【0023】と求まる。なお、このn2値から非線形感
受率χ(3)を計算すると、
【0024】 χ(3)=1.6×10-12esu、 (9)
【0025】と計算される。
【0026】このCS2光カーシャッタの応答速度はピ
コ秒程度の高速応答を示すことが確認されており、した
がって瞬間写真撮影や高速分光などの測定系に盛んに用
いられている。しかしながら、(7)式に示されたよう
に、非線形効率は必ずしも大きくなく、したがって極め
て大きなゲート光強度が必要とされるという欠点があっ
た。
【0027】ファイバループミラースイッチとしては、
例えばK.J.Blow, N.J.Doran, B.K.Nayar, and B.P.Nels
on OPTICS LETTERS Vol. 15 (1990) 248に示されるよう
な石英系ファイバを用いたものが知られている。
【0028】この非線形光学装置は、図2に示したよう
に、情報を持った信号光の行き先、あるいは信号光の波
形などを別の制御光によって制御しようとするものであ
る。図中に示したように、一方の入射端に入射された信
号光21を2つの出射端にほぼ均等に分ける光カップラ
23と、光カップラの2つの出射端に接続された石英系
ファイバ24などの非線形屈折率効果を有する光学媒質
によって、この装置の主要部分は構成される。そして、
例えば、光カップラ23に制御光に対してほぼ一方の出
射端だけに出射するような特性を持たせることにより、
制御光が非線形屈折率効果を有する光学媒質中を一方向
だけに伝搬するような構造を設ける。制御光が入射され
ない場合、光カップラ23の一方の入射端に入射された
信号光は光カップラ23でほぼ均等に分けられ非線形光
学媒質中を全く同じ距離だけそれぞれ逆方向に伝搬し光
カップラ23に戻ってくる。すると両方向から伝搬して
きた信号光の光カップラ23における干渉効果によっ
て、信号光が入射された入射端に信号光は出射される
(図中25)。一方、制御光が入射された場合、非線形
光学媒質中を伝搬する信号光のうち、制御光と同方向に
伝搬する信号光は、制御光による非線形屈折率効果によ
り位相変化を受けることになる。この位相変化量Δφは
次式で与えられる。
【0029】 Δφ=2πn2LIin/λ (10)
【0030】ここで、Lは媒質長、Iinは制御光のパワ
ー密度、λは信号光の波長である。したがって、非線形
光学媒質中を両方向に伝搬して光カップラ23に戻って
きた信号光の間に位相変化量Δφだけ位相差が生じ、干
渉効果によって光カップラ23のもう一方の入射端に信
号光が出射される(図中26)。この時、この入射端に
出射される信号光の割合Tは次式で与えられる。
【0031】 T=sin2(Δφ/2) (11)
【0032】したがって、位相変化量Δφがπになるよ
うに制御光を入射すれば信号は完全に別の入射端に出射
される。しかしながら、この光学装置においても、非線
形屈折率を有する光学媒質として用いる石英系ファイバ
の非線形屈折率効果が小さいために、小さい光強度で、
Δφがπになるような動作を実現するためには数100
m以上という極めて長尺の石英系ファイバが必要とな
り、素子寸法が非常に大型化し、また、そのために素子
動作も不安定になるなどの問題があった。
【0033】マッハツェンダースイッチは、従来、図3
に示すようなニオブ酸リチウムの電気光学効果を利用し
たものが作製されている。図3において、31はニオブ
酸リチウム基板32にチタンを熱拡散して作製したコ
ア、33は電極である。ニオブ酸リチウムは、電気光学
効果を有する光学結晶であって、電界をかけることによ
り、その屈折率を変化させることができる。このため、
図3に示すような構成をとると、電界による屈折率変化
により生ずるコア中を伝搬する光の伝搬係数の変化によ
り、2つの分岐された光を合波する際、2つの光の間に
位相差が生ずる。この結果、干渉により位相差に応じて
出力される光強度が変化するため、電極に加える電位を
変化させることにより、スイッチとして働くこととな
る。しかしながら、このような電気光学効果を用いるス
イッチは電気回路的な浮遊容量などによる制限のため、
高速スイッチとして用いるには不向きであるという欠点
があった。したがって、このマッハツェンダースイッチ
においても、これらの制限のない光制御光スイッチとす
ることが望まれているのであるが、これも上述の二種の
スイッチと同様な問題、すなわち、高効率な材料がない
という問題があった。
【0034】そこで、非線形光学効果が大きく、動作に
必要な光強度が小さい光学媒質が熱望され、活発な研究
開発が進められた。その結果、半導体の微粒子を添加し
たガラスを素材とした光ファイバや、高効率な有機結晶
を封入した光ファイバなどが開発された。しかしなが
ら、これらにおいても、光の透過率、光導波構造などの
点に数々の問題点があった。
【0035】半導体の微粒子を添加したガラスを素材と
した光ファイバの場合、非線形光学効果は、SiO2
比べて104〜105倍大きいのであるが、動作する波長
での光の吸収率が大きいために素子長は極めて短くせざ
るを得ず、結局のところ、大きな非線形光学効果を得る
のが難しいという問題点があった。
【0036】有機結晶を封入した光ファイバの場合に
は、単位長あたりの非線形光学効果が石英ガラスに比べ
て102以上大きく、また、動作する波長での光の吸収
率も小さいという利点を有するが、該有機結晶の不均一
性などに起因して、光透過率や入射光の直線偏波保持に
劣り、また、光ファイバのコア部とクラッド部との屈折
率差の微細な調整を全範囲にわたり一様に行なうことが
困難であり、このため、適正な光導波構造を形成し、光
強度を高めるのが難しいという問題点があった。
【0037】
【問題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
めに、本発明は、まず、非線形光ファイバとして、以下
の3つの構造をとることを特徴とする。
【0038】(1)非線形屈折率効果を有する光学媒質
として、ガラスを主成分とする細径管内に中空部を設
け、非線形屈折率効果を有する有機物を有機溶媒あるい
は透明性に優れる高分子材料に分散させた有機物分散体
を、該中空部に封入してコア部b0とし、かつ分散濃度
あるいは分散体の組成を調整することにより、該コア部
の屈折率をクラッド部の屈折率より大きくなるように制
御する構造をとる(以下、(1)型非線形光ファイバとい
う)。
【0039】(2)非線形屈折率効果を有する有機物を
有機溶媒あるいは透明性に優れる高分子材料に分散せし
め、かつ分散濃度あるいは分散体の組成を調整すること
により屈折率を微細に制御した有機物分散体をガラスを
主成分とする中空状細径管内に封入した非線形光ファイ
バにおいて、該有機物分散体を封入するための中空部を
中心に持ちガラスを主成分とし該有機物分散体と等しい
屈折率を有するコアa1と、該コアa1の中心部に封入
された該有機物分散体からなるコアb1と、該コアa1
の外側に配置されガラスを主成分とし該コアa1より小
さい屈折率を有するクラッドとを有する構造をとる(以
下、(2)型非線形光ファイバという)。
【0040】(3)非線形屈折率効果を有する有機物を
有機溶媒あるいは透明性に優れる高分子材料に分散せし
め、かつ分散濃度あるいは分散体の組成を調整すること
により屈折率を微細に制御した有機物分散体をガラスを
主成分とする中空状細径管内に封入した非線形光ファイ
バにおいて、該有機物分散体を封入するための中空部を
中心に持ちガラスを主成分とし該有機物分散体と等しい
屈折率を有するコアa2と、該コアa2の中心部に封入
された該有機物分散体からなるコアb2と、該コアa2
の外側に配置されガラスを主成分とし該コアa2より小
さい屈折率を有するクラッドと、該クラッド中に配置し
たガラスを主成分とする少なくとも2つの応力付与部と
を有し、該応力付与部は該コアa2をはさんで対向し、
かつ該コアa2から離隔し、該応力付与部の熱膨張係数
が該クラッドの熱膨張係数と異なり、該コアa2に非軸
対称の応力を加える構造をとる(以下、(3)型非線形光
ファイバという)。
【0041】次に、非線形光学装置として、以下の構成
をとることを特徴とする。
【0042】(4)非線形屈折率を有する光学媒質を互
いに偏光軸が直交するように配列された2枚の偏光子で
はさんだ非線形光学装置において、非線形屈折率を有す
る光学媒質として、上記(1)、(2)、(3)型非線形光ファ
イバを用いる構成をとる。
【0043】(5)2つの入射端と2つの出射端とを有
し、一方の入射端に入射された信号光を2つの出射端に
ほぼ均等に分ける半透鏡もしくは光カップラと、当該半
透鏡もしくは光カップラの2つの出射端に接続された非
線形屈折率効果を有する光学媒質からなり、制御光を当
該光学媒質中をほぼ一方向にのみ伝搬させる構造を有す
る非線形光学装置において、非線形屈折率を有する光学
媒質として、上記(1)、(2)、(3)型非線形光ファイバを
用いる構成をとる。
【0044】(6)1つの光束を半透鏡もしくは光カッ
プラにて、2光束に分岐し、相違なる経路を経由せしめ
ることにより、相対的光路長差を付与せしめた後、2光
束を再び合波させる光学装置において、非線形屈折率を
有する光学媒質として、上記(1)、(2)、(3)型非線系光
ファイバを用いる構成をとる。
【0045】また、本発明の非線形光ファイバは、非線
形屈折率効果を有する有機物として、スチレン誘導体で
ある4−(N,N−ジエチルアミノ)−β−ニトロスチ
レン(栗原、戒能「新規有機非線形光学材料DEANS
T」第50回応用物理学会学術講演会28p−ZP−1
(1989)、および、神原、小林、久保寺、栗原、戒
能「新規有機非線形光学材料DEANSTを用いた光K
errシャッタ動作」同講演会28p−ZP−2、以下
DEANSTという)、イオン性結晶材料である4’−
ジメチルアミノ−N−メチル−4−スチルバゾリウムの
メトスルホネート塩(神原、小林、久保寺「有機材料を
用いた高効率光Kerrシャッタ動作」第36回応用物
理学関係連合講演会2p−G14(1989)、以下D
MSMという)、三環系のベンジリデンアニリン誘導体
であるテレフタル−ビス[(p−ジエチルアミノ)アニ
リン](以下、SBACという)を使用した例を実施例
に示すが、この他非線形屈折率効果を有する有機物とし
て、3次の非線形感受率χ(3)値が1×10-13esu以
上の分子性結晶材料、あるいはイオン性結晶材料、ある
いはこれらの結晶材料を、分子中に含有または結合する
透明性に優れる高分子材料、あるいはπ電子共役系のオ
リゴマーまたはポリマー材料のいずれかあるいはこれら
を組み合わせたものを用いることを特徴とする。このよ
うな有機物としては、従来より非線形光学材料として検
討されている、分子性結晶材料である、4−ニトロアニ
リン(p−NA)、4−(N,N−ジエチルアミノ)ニ
トロベンゼン(p−DEANB)、2−メチル−4−ニ
トロアニリン(MNA)、4−ニトロフェニルプロリノ
ール(NPP)、4−シクロオクチルアミノニトロベン
ゼン(COANB)、N−シアノメチル−N−メチル−
4−ニトロアニリン(CMMNA)などのニトロアニリ
ンおよびその誘導体、4−シクロオクチルアミノニトロ
ピリジン(COANP)、4−アダマンタンアミノニト
ロピリジン(AANP)、2−(N−プロピノール)−
5−ニトロピリジン(PNP)などのニトロピリジン誘
導体、4−メトキシ−4’−ニトロスチルベン(MN
S)、4−ブロモ−4’−ニトロスチルベン(BN
S)、4−(N,N−ジメチルアミノ)−4’−ニトロ
スチルベン(DMANS0、4−(N,N−ジエチルア
ミノ)−4’−ニトロスチルベン(DEANS)、4−
(N,N−ジプロピルアミノ)−4’−ニトロスチルベ
ン(DPANS)、3−メチル−4−メトキシ−4’−
ニトロスチルベン(MMNS)などのニトロスチルベン
誘導体、4−(N,N−ジメチルアミノ)−4’−ニト
ロアゾベンゼン(DMANAB)、4−(N,N−ジエ
チルアミノ)−4’−ニトロアゾベンゼン(DEANA
B)などのパラアミノニトロアゾベンゼ導体、5−ニト
ロインドール(5NIN)やクロロニトロベンゾオキサ
ジアゾール(NBD−CI)などのベンゾ複素環誘導
体、あるいは、イオン性結晶材料である4’−ジエチル
アミノ−N−メチル−4−スチルバゾリウムのメトスル
ホネート塩(DESM)、4’−ジエチルアミノ−N−
メチル−4−スチルバゾリウムのヨウ素塩(DESI)
などのジアルキルアミノスチルバゾリウム誘導体、およ
び表1に示す構造式で表されるピリジニウム誘導体、ア
ズレニウム誘導体、キノリウム誘導体、あるいは、π電
子共役系ポリマー材料であるポリジアセチレン誘導体、
ポリ(パラフェニレンビニレン)やポリ(2,5−チェ
ニレンビニレン)に代表されるポリアリレンビニレンな
ど、およびこれらのポリマーの基本単位を構成成分とす
るオリゴマー材料など、および、これらの分子を構成す
る水素を重水素化あるいはフッ素化したものを用いるこ
とが可能である。
【0046】
【表1】
【0047】また、非線形屈折率効果を有する有機物を
分散させる媒質としては、以下の実施例で示すニトロベ
ンゼン、ホルムアミド、1,2−ジクロロプロパンのほ
か、DMF(ジメチルホルムアミド)、アセトン、クロ
ロホルム、ベンゼン、プロパノール、アセトニトリル、
ニトロメタン、アクリロニトリル、1,3−プロパンジ
オール、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトアルデ
ヒド、アセトアミド、ヌジョール、α−クロロナフタレ
ン、四塩化炭素、エタノール、メタノール、クロロベン
ゼン、塩化ブチル、1−クロロペンタン、1,1,2,
2−テトラクロロエタン、および、これら上記の媒質、
例えば、ニトロベンゼン、DMFなどの重水素化あるい
はフッ素化したものなど、これらを用いて作製したコア
部b0、b1、b2の非線形屈折率効果を含まない微弱
光に対する屈折率が、使用する光ファイバのクラッド部
より高い媒質であれば同様に使用できる。
【0048】なお、非線形屈折率効果を有する有機物の
χ(3)としては、10-13esu以上であることを要求し
たのは、従来の石英ガラス(SiO2)を用いたものよ
りも素子の小型化を図るには、石英ガラスのχ(3)値1
-14esuよりも1桁程度大きいことが必要だからで
ある。
【0049】また、コアa1またはa2としては、上記
コアb1またはb2と屈折率が等しいか、ほぼ等しけれ
ば基本的にはいかなるものでもよい。例えば、GeO2
−SiO2、P25−SiO2、GeO2−P25−Si
2またはSiO2−Fなどであることができる。また、
コアb0も上記列挙の材料を使用することができる。
【0050】さらに、クラッドとしては上記コアa1、
コアa2またはコアb0より屈折率の小さいものでれ
ば、基本的にはいかなるものでもよく、例えば、SiO
2であることができる。また、応力付与部としては、熱
膨張係数がクラッドの熱膨張係数と異なるものであれ
ば、基本的にはいかなるものでもよく、例えば、SiO
2−B23などであることができる。
【0051】なお、有機分散体としては、非線形屈折率
効果を有する有機物を液体状の媒質に溶解したもののほ
か、非線形屈折率効果を有する有機物の微粒子を含有し
た液体状媒質、非線形屈折率効果を有する有機物を添加
した固体状媒質、非線形屈折率効果を有する有機物の微
粒子を含有した固体状媒質など、コア部の非線形屈折率
効果を含まない微弱光に対する屈折率が、光ファイバの
クラッド部より大きければ、同様に使用できる。
【0052】非線形屈折率効果を有する有機物を分散さ
せる固体分散媒としては、ポリメチルメタクリレート、
ポリアクリレート、ポリスチレンおよびこれらの誘導
体、ポリ(1,1,2,2−テトラフルオロプロピルメ
タクリレート)、ポリ(1,1,2,2,3,3,4,
4−オクタフルオロペンチルメタクリレート)などのフ
ルオロアルキルメタクリレート誘導体系ホモポリマーお
よびコポリマー、フッ素化したスチレン重合体、あるい
はフッ素化および重水素化を行なったポリアルキルメタ
クリレート、ポリアルキルアクリレート、ポリスチレ
ン、例えばペンタフルオロ−トリジュ−テロスチレン重
合体、あるいは、これらの重合体の組み合わせよりなる
共重合体なども同様に使用できる。このような重合体を
用いるにあたり、屈折率が使用する光ファイバのクラッ
ド部より高い物質であれば使用できるが、特に共重合体
を用いることによって屈折率の微細な制御が可能であ
る。
【0053】
【作用】本発明では、従来のもの、例えば、有機結晶材
料を封入してコア部とする光ファイバに比べ、非線形屈
折率効果を有する有機物を有機溶媒あるいは透明性に優
れる高分子材料に均一に分散させるために、良好な光学
特性を得ることができる。すなわち、非線形屈折率効果
を有する有機物を有機溶媒などに分散させると、その濃
度を全範囲にわたって一様とすることが極めて容易であ
るので、光透過率や入射光の直線偏波保持に優れ、ま
た、光ファイバのコア部とクラッド部との屈折率差の微
細な調整も全範囲にわたって一様に達成できる。
【0054】そして、(1)型非線形光ファイバを非線形
屈折率効果を有する光学媒質として用いることにより、
低い光強度で動作し、なおかつ、コンパクトな非線形光
学装置を実現することができる。
【0055】また、(2)型非線形光ファイバを用いるこ
とにより、該有機物分散体の屈折率に不均一性がある場
合でも、ファイバ中を導波する光のモードパターンを安
定化し、安定な動作を実現することができる。
【0056】また、(3)型非線形光ファイバを用いるこ
とにより、該有機物分散体からなるコア部分のコア径揺
らぎや温度分布などの外乱に影響されない動作を実現す
ることができる。
【0057】本発明は、信号光や制御光の波長において
前記有機物分散体に吸収が存在する場合でも、有機物分
散体中の非線形屈折率効果を有する有機物および該有機
物を分散させる有機溶媒あるいは透明性に優れる高分子
材料にそれらの分子を構成する水素を重水素化あるいは
フッ素化したものを用いることにより、吸収を避け媒質
長を長くすることによって低パワーでの動作を実現する
ことができる。図4(a)は、波長1.0μmから1.
8μmにおける、ニトロベンゼンとこの溶媒の重水素化
物との吸収特性を調べた結果である。この図4(a)
は、ニトロベンゼンでは、1.3μmや1.5μmの通
信波長帯では大きな吸収を示すため実用的でないのに対
し、この溶媒を重水素化したものを使用することによ
り、この波長帯での吸収を避けることができたことを示
している。図4(b)は、ポリスチレンの分子を構成す
る水素をフッ素化および重水素化したものの吸収特性を
示したものである。ポリスチレンは1μm以上の波長領
域では大きな吸収があり実用的でないが、フッ素化を行
なうと通信波長領域での吸収を逃れることができ、さら
に、重水素化をも行なうことで一層吸収を小さくしてい
ることがわかる。また、ベンゼンも通信波長領域に大き
な吸収を有するが、これもフッ素化したヘキサフルオロ
ベンゼンを用いると、この領域での吸収を逃れることが
できることが確かめられた。また、これにより、波長分
散をも低減することができた。
【0058】以上、これらのことから、適当な有機溶媒
などを重水素化あるいはフッ素化したものも使用するこ
とにより、任意の波長領域において、良好な透過特性を
得ることができることがわかる。各種の有機溶媒などを
用いたり、または、各種有機溶媒などを任意の割合で混
合させることにより、任意の波長領域(ただし、0.6
μm〜2μm)で良好な透過特性を得ることができるの
ももちろんである。
【0059】なお、非線形屈折率効果を有する有機物と
しても、フッ素化または重水素化したのを用いるのも、
上記と同様な理由によるものである。
【0060】光ファイバのコア部とクラッド部との屈折
率差の微細な調整が行なえることは、図5を用いるとよ
くわかる。図5は、DEANSTをDMFに分散させた
場合における溶液の屈折率のDEANST濃度依存性を
調べた結果を示したものである(DMFを用いたときの
飽和濃度は40重量%である)。例えば、波長1.06
μmで屈折率1.450を得たいときには、この図を用
い、屈折率1.450に対応する溶液濃度を読み取り、
溶液濃度を18.4重量%とすれば、正確に屈折率1.
450が得られるのである。なお、各種の有機溶媒など
を用いたり、または、各種有機溶媒などを任意の割合で
混合させれば、ここで示した以外の広い範囲の任意の屈
折率を正確に得ることができるのはもちろんである。
【0061】なお、有機分散体として、固体状媒質を用
いると、応答速度が主に非線形分極効果で決まるので、
液体状媒質での分子配向効果によるものよりも、より高
速で応答できるという利点を有する。
【0062】
【実施例1】本実施例では、本発明の(1)型非線形光フ
ァイバを用いて光カーシャッタスイッチ動作を観測した
結果を示す。ガラス細径管の中空部に封入する有機物と
して、DEANST(分子構造を化1に示す)を用い
た。
【0063】
【化1】
【0064】非線形光ファイバは、図6に示す構成をと
った。図6において、(a)は断面図、(b)は斜視図
であって、61はDEANSTをニトロベンゼンに飽和
するまで(30重量%)分散させた溶液を封入したコア
径D125μmのコア部、62は外径を1mmとしたガ
ラスのクラッド部である。屈折率制御によってncore
cladを満たし、コア部に光を効率よく閉じ込めるよう
にしてある。ncore=1.630、nclad=1.50
0、そして、比屈折率差(ncore−nclad)/ncore
8.0%とした。
【0065】図7は、本発明の光カーシャッタスイッチ
装置70の特性を測定する実験系である。プローブ光7
1としては、波長0.83μmの半導体レーザ光、ゲー
ト光としては、波長0.70μmのYAGレーザ72の
SHG光励起73の色素レーザ光74(6nsec、1
0Hz)を用いた。検出器74としては、応答速度2n
secのホトマルを用いた。ビーム径の大きさは、ゲー
ト光、プローブ光ともに、110μmであった。この光
学系は、コリニア系になっており、従来技術のノンコリ
ニア系と異なり、光学媒質として、長尺化したもの、例
えば、非線形光ファイバを用いることができ、これによ
り、小スポット化および長媒質化による高効率化が行な
えるという特徴を有する。
【0066】図8は、位相変化量Δφ=20°(すなわ
ち、シグナル透過率1%)を得るのに必要なゲート光強
度Pπ/6(光ファイバおよびセルの出射端でモニター
した光強度とする。以下同じ。)の媒質長依存性を示す
ものであり、非線形光ファイバ80を用いたことによ
り、必要なゲーと光が大幅に低減されたことを示すもの
である。
【0067】非線形光ファイバ80を用いた場合は、小
さなスポットが長距離にわたって保持できるので、従来
技術のところで説明した(7)式から、媒質長の長さL
に反比例してPπ/6が減少し、結局、100mm長の
非線形光ファイバでは、1mm長セルに比べて、Pπ/
6が1/75(光ファイバの結合効率は66%ゆえ、ゲ
ート光強度を光ファイバの入射端でモニターすれば、1
/50)に低減された。セル81を用いた場合は、ビー
ム広がりによりL=3mm付近からIがL-1に比例しな
くなり、すぐに飽和してしまうため、Pπ/6の減少の
仕方がファイバの場合に遠く及ばないことを見れば、フ
ァイバ化の長所がよくわかる。
【0068】また、DEANSTのニトロベンゼン30
重量%溶液を用いると、それだけで従来材料のCS2
用いた場合に比べて、Pπ/6が1/2.3に低減され
るから(特願平1−14379号、有機非線形光学材料
および非線形光学装置)、結局、従来の1mmセルによ
るCS2光カーシャッタスイッチに比べ、Pπ/6値は2
桁以上も大幅に低減されたことになる。
【0069】図9に、100mm長非線形光ファイバを
用いて媒質長を大きくしたときのゲート光強度P
gate(光ファイバおよびセルの出射端でモニターした光
強度とする。以下同じ。)と透過率Tとの関係を示す。
T値は、低ゲート光強度領域では正弦波状に増大する
が、次第に飽和し、Pgateが1/2波長強度のときに、
最大透過率27%が得られた。この1/2波長強度のP
πは、1.3kW(光ファイバの結合効率は66%ゆ
え、ゲート光強度を光ファイバの入射端でモニターすれ
ば、2kW)であった。
【0070】この結果の最大のポイントは、わずか10
0mm長の媒質で位相変化量πの回転が達成できたこと
であり、本発明で初めて実現できたものである。従来技
術の光ファイバでは、数百m以上もの媒質長が必要であ
ったから、装置の大幅なコンパクト化が可能になったこ
とになる。
【0071】なお、本実施例では、比屈折率差が8.0
%と大きく、多モード導波路となっているが、溶媒を
1,2−ジクロロベンゼンなどに変えて、比屈折率差を
小さくし、シングルモードを達成することはもちろん可
能である。
【0072】応答速度に関しては、従来材料CS2の光
シャッタ装置では、10-12secと報告されている。
本実施例においても、応答速度を調べた。図10に、ゲ
ート光にピコ秒(10Hz)Dyeレーザ、検出器にス
トリークカメラを用いて(ただし、このレーザとストリ
ークカメラは本実施例の以下の実験と、実施例9および
実施例10の同様な実験にのみ使用した)、CS2(図
中(c))およびDEANSTのニトロベンゼン15重
量%溶液(図中(b))とをそれぞれ3mmセルに入れ
たものを光学媒質として用いて、応答速度を観測した結
果を、ゲート光の波形(図中(a))とともに示す。こ
れから、CS2は、従来から報告されている値(〜2p
sec)と同程度の2.8psecで応答し、また、D
EANST溶液も、CS2と同程度の4psecで応答
していることが実験的に確認された。CS2において
は、応答速度は主として分子の配向効果で決まると報告
されているが、DEANST溶液も同様であると考えら
れる。
【0073】なお、この光カーシャッタスイッチは、ピ
コ秒のスイッチングスピードを有するため、信号光に1
00GHz以上の変調をかける変調機能、100GHz
以上の繰り返し周波数を持つ信号光パルス列から任意の
信号パルスを取り出し、低繰り返しのパルス列に変換す
るデマルチプレクシング機能、いくつかの低繰り返し光
パルス列を100GHz以上の光パルス列に多重化する
マルチプレクシング機能などを実現することができる。
【0074】
【実施例2】本実施例では、(1)型非線形光ファイバの
コア径Dを実施例1に比べて小さくし、光密度を向上さ
せることによりさらに高効率化させた結果を示す。光カ
ーシャッタ装置は、長さ100mmの非線形光ファイバ
のコア径を125μmの代わりに、30μm、20μ
m、10μmと小さくし、ビーム径もこれに合わせて小
さくしたことの他は、非線形屈折率物質などすべて実施
例1と同様である。
【0075】実験結果を図11に示す。この図はシグナ
ル透過率特性のゲート光強度Pgate(光ファイバの出射
端でモニターした光強度とする。以下同じ。)依存性を
調べたものである。ゲート光強度がこの程度の小さい領
域においては、コア径が125μmでは位相変化量が極
めて小さく、したがって、得られる透過率も非常に小さ
いものとなっているが、コア径が小さくなると、光密度
が向上してくるので、この程度の小さなゲート光強度で
も位相変化量πが得られている。ゲート光強度の1/2
波長強度Pπは、コア径が30、20、10μmと減少
するにつれて低減し、コア径が10μmのとは10W
(光ファイバの結合効率は24%ゆえ、ゲート光強度を
光ファイバの入射端でモニターすれば、50W)となっ
た。この結果、コア径が125μmのときと比べてゲー
ト光強度が2桁以上も低減されたことを示している。な
お、図に示すように、コア径の減少とともにシグナル透
過率は次第に減少し、10μmのときはT=5%となっ
ているが、これはコア内が空間的に不均一であるためと
考えられる。本実施例においても、比屈折率差が8.0
%あるので、コア径が10μmのファイバでも100本
近いモード数を有する多モード導波路であった。
【0076】図12は、コア径を小さくすることによる
長所をもっと詳しく調べるために、Pπと1/Dとの関
係をプロットしたものである。コア径が小さくなると、
ほぼD-2に比例して、必要なゲート光強度Pπが大幅に
低減されている。すなわち、ゲート光強度は本実施例で
調べた領域では、コア面積に比例して減少しており、コ
ア径を小さくすることが高効率化すなわちゲート光強度
の低減化に極めて有効であることがわかる。
【0077】そして、実施例1の結果と合わせると、本
発明の非線形光学装置である光カーシャッタスイッチ
は、従来のCS2の1mmセルを用いたものに比べて、
4桁ものゲート光強度の低減化が達成できたことにな
る。
【0078】なお、本発明の(1)型非線形光ファイバの
ガラス細径管の中空部に封入する有機物分散体として他
の材料を用いても同様の結果が得られた。例えば、DM
SM(分子構造を化2に示す)をホルムアミドに飽和す
るまで(20重量%)溶かした溶液を用いて光カーシャ
ッタスイッチ動作を調べても、DEANST溶液と同様
な高効率化が達成された。すなわち、コア径が10μm
で長さが100mmのファイバを用いると、必要なゲー
ト光強度を15W(光ファイバの入射端でモニターすれ
ば、60W)に低減できた。
【0079】
【化2】
【0080】また、本発明の(1)型非線形光ファイバ
は、その長さをさらに長くすることによって、より高効
率化が達成され、ゲート光として半導体レーザを用いて
もスイッチ動作が可能となった。すなわち、ファイバ長
を1mとしてスイッチ動作を調べたところ、シグナル透
過率として1%を得ることができた(以下に述べる
(2)、(3)型非線形光ファイバを用いても同様の結果が得
られた)。なお、この半導体レーザをゲート光として用
いてもスイッチ動作が観測されたという結果は本発明に
より初めて実現できたものである。
【0081】
【実施例3】本実施例では、(2)型非線形光ファイバの
製法およびその特性を示す。
【0082】図13は本発明の(2)型非線形光ファイバ
の横断面図を示したものである。ここでコアa131は
直径6μmでGeO2が約7mol%添加されたSiO2
ガラス、コアb132はDEANSTを1,2−ジクロ
ロプロパンに20重量%分散せた溶液をコアa131の
直径5μmの中空部に封入したもの、クラッド133は
純粋なSiO2ガラスである。なお、1,2−ジクロロ
プロパン溶液は、以下の実施例で示す使用波長(〜1.
3μm帯)で極めて良好な透過特性を有している。ファ
イバ外径は200μmとした。コアa131とコアb1
32の微弱光に対する屈折率は波長1.32μmにおい
て両者とも約1.456、コアa、bとクラッドとの比
屈折率差は0.62%とした。
【0083】本実施例の作製方法は、図14に示すよう
な構造の母材を用いて図示のような線引きを行なうもの
である。すなわち、クラッド用母材141に超音波孔開
け加工によってコア用母材142を挿入するための孔1
43を1本開け、所定の寸法に研磨する。同様にコア用
母材に超音波孔開け加工によって有機物分散体を封入す
るための孔146を開け、所定の寸法に研磨する。そし
てこのコア用母材142をクラッド用母材の孔に挿入し
てヒータ147で約2000℃に加熱し矢印方向に線引
いてファイバ状に加工する。そして、こうしてできたフ
ァイバの中心にある中空部に前記有機物分散体を封入す
る。
【0084】以上の実施例では非線形光学効果を有する
コアb132の材料としてDEANSTの1,2−ジク
ロロプロパン溶液、コアa131の材料としてGeO2
が添加されたSiO2ガラスを用いたが、この他、クラ
ッド133に用いる材料よりも微弱光に対する屈折率が
高くコアa131とコアb132との屈折率を等しくし
該コアa131と該コアb132の両者に入射光を閉じ
込めることのできる組み合わせでかつコアb132の材
料が大きな非線形光学効果を有するものであれば同様に
用いることができる。本実施例では、コアa131、b
132とクラッドとの屈折率差を0.62%としたが、
この値は1%にまであげてもモードパターンは十分安定
であった。
【0085】上記のように、本発明によればコアb13
2に非線形光学効果の大きい有機物分散体を用い、コア
a131にはガラスを用い、両者の屈折率をその組成、
材料を調節することにより等しくすることで、コアa1
31とコアb132に光を閉じ込めることにより、該コ
アb132部に効率よく光を閉じ込め安定に導波させ、
非線形光学効果が大きい非線形光ファイバを得ることが
できる。
【0086】
【実施例4】本実施例では、(3)型非線形光ファイバの
製法およびその特性を示す。
【0087】図15は本発明の(3)型非線形光ファイバ
の横断面図を示したものである。ここでコアa151は
直径6μmでGeO2が約7mol%添加されたSiO2
ガラス、コアb152はDEANSTを1,2−ジクロ
ロプロパンに20重量%分散せた溶液をコアa151の
直径5μmの中空部に封入したもの、クラッド153は
純粋なSiO2ガラス、応力付与部154は直径40μ
mでB23が約15mol%添加されたSiO2ガラス
である。ファイバ外径は200μm、応力付与部の中心
間距離は76μmとした。コアa151、クラッド15
3および応力付与部154の熱膨張係数は、それぞれ7
×10-7-1および25×10-7-1とし、コアa15
1とコアb152の微弱光に対する屈折率が波長1.3
2μmにおいて両者とも約1.456、コアa151、
b152とクラッドとの比屈折率差は0.62%とし
た。このコアa151、b152とクラッドとの比屈折
率差は1%にまであげてもモードパターンは十分安定で
あった。なお、応力付与部に光が導波しないように当該
応力付与部とクラッドの比屈折率差は0または負の値で
あればよい。
【0088】本実施例の作製方法は、図16に示すよう
な構造の母材を用いて図示のような線引きを行なうもの
である。すなわち、クラッド用母材161に超音波孔開
け加工によってそれぞれコア用母材162を挿入するた
めの孔163を1本と、応力付与部用母材164を挿入
するための孔165を2本開け、所定の寸法に研磨す
る。同様にコア用母材に超音波孔開け加工によって有機
物分散体を封入するための孔166を開け、所定の寸法
に研磨する。そしてこのコア用母材162と応力付与部
用の母材164をそれぞれをクラッド用母材の孔に挿入
しヒータ167で約2000℃に加熱し矢印方向に線引
いてファイバ状に加工する。そして、こうしてできたフ
ァイバの中心にある中空部に前記有機物分散体を封入す
る。
【0089】図17は本実施例における断面内の応力分
布を示したものである。本実施例においては、応力付与
部154の熱膨張係数がクラッド153に比べて大きい
ために、約2000℃から室温までの急冷過程によって
図17に示したように、ファイバ断面内においてコアa
151内およびコアa151の周辺にはx軸方向に大き
な張力が残留する。ここでコア内のxおよびy軸方向の
応力をσxおよびσyとすると、2つの基本モードHE11
xおよびHE11 yモードの実効屈折率nxおよびnyはそれ
ぞれ、
【0090】 nx=βx/k=nx+C1σx+C2σy (1)
【0091】 ny=βy/k=ny+C2σx+C1σy (2)
【0092】 B=nx−ny=(βx−βy)/k =(nx0−ny0)+(C1−C2)(σx−σy) (3)
【0093】となる。ただし、βx、βyはそれぞれHE
11 xおよびHE11 yモードの伝搬定数であり、kは波数C
1、C2は光弾性定数、nx0、ny0はそれぞれ応力が加わ
らない場合の実効屈折率であり、コアが円形の場合には
x0=ny0である。
【0094】Bは複屈折率であるが、この複屈折率を大
きくすると、2つの基本モード間の結合が生じにくくな
るためファイバの曲がりなどの外乱や温度変動が存在し
ても入射直線偏波を長距離にわたって保持することがで
きる。本実施例ではBは約3×10-4であった。
【0095】以上の実施例では非線形光学効果を有する
コアb152の材料としてDEANSTの1,2−ジク
ロロプロパン溶液、コアa151の材料としてGeO2
が添加されたSiO2ガラスを用いたが、この他、クラ
ッドに用いる材料よりも微弱光に対する屈折率が高くコ
アa151とコアb152との屈折率を等しくし該コア
a151と該コアb152の両者に入射光を閉じ込める
ことのできる組み合わせでかつコアb152の材料が大
きな非線形光学効果を有するものであれば同様に用いる
ことができる。
【0096】上記のように、本発明によればコアb15
2に非線形光学効果の大きい有機物分散体を用い、コア
a151にはガラスを用い、両者の屈折率をその組成、
材料を調節することにより等しくすることで、コアb1
52とコアa151に光を閉じ込め、さらに、応力付与
部によってコアb152に複屈折率を持たせることで、
非線形光学効果が大きくしかも長距離にわたって入射直
線偏波を保持する偏波保持の非線形光ファイバを得るこ
とができる。
【0097】
【実施例5】本実施例では、光カーシャッタスイッチに
おいて、(1)型非線形光ファイバを実施例3(および実
施例4)で示した(2)型(および(3)型)非線形光ファイ
バに変えて、有機物分散体の屈折率に不均一性がある場
合でも、ファイバ中を導波する光のモードパターンを安
定化し、安定な動作を実現した結果を示す。光カーシャ
ッタスイッチ装置は、非線形光ファイバを変えたこと、
プローブ光を波長1.28μmの半導体レーザとしたこ
と、ゲート光を1.32μmのNd:モードロックYA
Gレーザパルスとしたことの他は、実施例1と同様であ
る。(2)型非線形光ファイバは、実施例3に示したもの
を用い、コアa131、コアb132とクラッドとの比
屈折率差は0.62%とした。なお、この値は1%にま
であげてもモードパターンは十分安定であった。
【0098】本実施例でも、実施例2と同様な、必要な
ゲート光強度の大幅な低減が見られたが、本発明の最大
のポイントは、コアb132と、コアa131の屈折率
を調節することにより等しくすることで、コアa131
とコアb132に光を閉じ込めることにより、該コアb
12部に効率よく光を閉じ込め安定に導波させ、その結
果、得られたスッチング動作も極めて安定なものとなっ
たことである。
【0099】なお、本発明の(2)型非線形光ファイバ
は、媒質長をさらに長くすることによって一層の低パワ
ー化が図るときに、その長所を活かされる。長い媒質長
を用いる場合には、(1)型非線形光ファイバでは、ファ
イバ中のコアとクラッドの屈折率差を保つことが難しく
なり、非線形光ファイバ中のモードパターンが不安定に
なって、その結果、安定な動作が得られない場合が考え
られる。このような場合には、コアa131とコアb1
32の両者に光を閉じ込める構造をもつ2重コア型の光
ファイバを用いることにより、有機物分散体の屈折率に
不均一性がある場合でも、ファイバ中を導波する光のモ
ードパターンを安定化し、安定な動作を実現することが
できるのである。
【0100】また、さらに長い媒質長を用いる場合に
は、コア部分のコア径揺らぎや温度分布などの外乱があ
ると非線形光ファイバ中の偏光状態が不安定になり、本
発明の非線形光学装置においては干渉効果を用いている
ため、その動作が不安定になる場合がある。このような
場合には、(3)型の非線形光ファイバを用いると安定な
素子動作を得ることができる(ただし、楕円偏波の特性
が不安定になることがあるので、この場合は、2本の
(3)型非線形光ファイバを、その応力付与の方向を90
°傾けて接合させ、これを用いることにより解決され
る)。非線形光ファイバ中の有機物分散体からなるコア
b152とほぼ等しい屈折率を持つコアa151を新た
に有機物分散体からなるコアb152の外側に設けて該
コアa151と該コアb152の両者に光を閉じ込める
とともにかつ、クラッド中に応力付与部154を設ける
ことでクラッド153と応力付与部との熱膨張係数の差
に起因する応力をコアa151に与え、コアa151の
応力誘起複屈折率を利用してファイバ中での偏波を保持
する非線形光ファイバを用いることにより、非線形光フ
ァイバ中での偏光状態を安定化し、外乱などの影響を受
けず極めて安定な動作を実現することができるからであ
る。
【0101】
【実施例6】本実施例では、本発明の(1)型非線形光フ
ァイバを用いてファイバループミラースイッチ動作を観
測した結果を示す。
【0102】図18は本発明の実施例を示す図である。
ここで、181は波長1.28μmの信号光、182は
波長1.32μmのNd:モードロックYAGレーザの
パルス圧縮によって得られた幅2psの制御光パルス、
183は信号光と制御光を合波するPANDAファイバ
カップラ、184は信号光と制御光を分岐するPAND
Aファイバカップラ、185は信号光に対してほぼ50
%、制御光に対してほぼ0%の分岐比を持つPANDA
ファイバカップラ、186は図19に示した、SiO2
からなる長さ10cmの中空細径管の内径5μmの中空
部192にDEANSTを1,2−ジクロロプロパンに
20重量%分散させた溶液を封入して作製した(1)型非
線形光ファイバ、187は分波された出射信号光、18
8は制御光によってスイッチングされた信号光、189
はスイッチングされなかった信号光、183aは信号光
入射端、183bは制御光入射端、184aは信号光出
射端で184bは制御光出射端である。本実施例で用い
た(1)型非線形光ファイバは外径125μm、DEAN
STの1,2−ジクロロプロパン溶液からなるコアの屈
折率は波長1.32μmにおいて1.546、コアとク
ラッドとの比屈折率差は0.62%とした。
【0103】図18中に示したように、制御光入射端1
83bに制御光が入射されない場合、信号光入射端18
3aから入射された信号光は(1)型非線形光ファイバ1
86とPANDAファイバカップラ185で構成される
干渉計により信号光入射端183aに戻ってくる。一
方、制御光入射端183bに制御光パルスが入射された
場合、PANDAファイバカップラ185で均等に分け
られた信号光のうち(1)型非線形光ファイバ中を制御光
パルスと同方向に進む信号光が非線形屈折率効果による
位相変調を受けるので、PANDAファイバカップラ1
85における干渉効果によって最終的に信号光は信号光
出射端184aに出射される。
【0104】図20に本実施例の光制御光スイッチに信
号光として連続光、制御光として幅2psの光パルスを
入射した場合の制御光パルス波形と信号光出射端184
aに出射された信号光パルス波形を示す。本実施例によ
れば制御光パルスの強度がピーク値で10Wあれば信号
光を100%信号光出射端184aにスイッチングする
ことができる。本実施例でも、図20から明らかなよう
に10ps以下のスイッチングスピードを有するため、
信号光に100GHz以上の変調をかける変調機能、1
00GHz以上の繰り返し周波数を持つ信号光パルス列
から任意の信号パルスを取り出し、低繰り返しのパルス
列に変換するデマルチプレクシング機能、低繰り返しの
光パルス列に変換するデマルチプレクシング機能、など
を実現することができる。いくつかの低繰り返し光パル
ス列を100GHz以上の光パルス列に多重化するマル
チプレクシング機能などを実現することができる。本実
施例では本発明により、非線形光学効果を有する媒質と
してDEANSTを用いた非線形光ファイバを使用する
ことが可能になるので、従来になく短い媒質長を用いて
も低パワーで動作し、コンパクトな装置を構成すること
ができる。
【0105】なお、以上の実施例では非線形光学効果を
有するコアbの材料としてDEANSTの1,2−ジク
ロロプロパン溶液、クラッドにはSiO2を用いたが、
この他、クラッドに用いる材料よりも微弱光に対する屈
折率が高い組み合わせで、かつコアbの材料が非線形光
学効果を有するものであれば同様に用いることができ
る。
【0106】本実施例では媒質長は10cmとしたが、
さらに媒質長を長くすることによって一層の低パワー化
がはかれる。しかしながら、このような長い媒質長を用
いる場合には、非線形光ファイバ中のコアとクラッドの
屈折率差を保つことが難しくなり、非線形光ファイバ中
のモードパターンが不安定になって、その結果、安定な
動作が得られない場合が考えられる。このような場合に
は、図13に示すような(2)型非線形光ファイバ、すな
わち非線形光ファイバ中の有機物分散体からなるコアb
132とほぼ等しい屈折率を持つコアa131を新たに
有機物分散体からなるコアbの外側に設けてコアa13
1とコアb132の両者に光を閉じ込める構造を持つ2
重コア型の光ファイバを用いることにより、有機物分散
体の屈折率に不均一性がある場合でも、ファイバ中を導
波する光のモードパターンを安定化し、安定な動作を実
現することができる。
【0107】なお、さらに長い媒質長を用いる場合に
は、コア部分のコア径揺らぎや温度分布などの外乱があ
ると非線形光ファイバ中の偏光状態が不安定になり、本
発明の非線形光学装置においては干渉効果を用いている
ため、その動作が不安定になる場合がある。このような
場合には、図15に示すような(3)型非線形光ファイ
バ、すなわち非線形光ファイバ中の有機物分散体からな
るコアb152とほぼ等しい屈折率を持つコアa151
を新たに有機物分散体からなるコアb151の外側に設
けて該コアaと該コアbの両者に光を閉じ込めるととも
にかつ、クラッド中に応力付与部154を設けることで
クラッド153と応力付与部との熱膨張係数の差に起因
する応力をコアaに与え、コアaの応力誘起複屈折率を
利用してファイバ中での偏波を保持する非線形光ファイ
バを用いることにより、非線形光ファイバ中での偏光状
態を安定化し、外乱などの影響を受けず極めて安定な動
作を実現することができる。
【0108】
【実施例7】図21は実施例3の図13に示した(2)型
非線形光ファイバを応用したマッハツェンダー型の光制
御光スイッチの実施例を示す図である。ここで信号光源
211は波長1.30μmの半導体レーザ、励起光源2
12は波長1.32μmのYAGレーザであり、それぞ
れの光源の光はレンズ213、214を用いてPAND
Aファイバカップラ215の入射端215a、215b
にそれぞれ入射される。PANDAファイバカップラ2
15は波長1.30μmの信号光を出射端215c、2
15dに50:50に分岐し、波長1.32μmの励起
光を出射端215cのみに分岐する。さらに、ファイバ
カップラ215の出射端215cと215dは本発明の
(2)型非線形光ファイバ216と石英系のPANDAフ
ァイバ217にそれぞれ光学的に接続されており、非線
形光ファイバ216とPANDAファイバ217はPA
NDAファイバカップラ218の入射端218a、21
8bにそれぞれ接続されている。PANDAファイバカ
ップラ218は波長1.30μmの信号光を出射端21
8c、218dに50:50に分岐し、波長1.32μ
mの励起光を出射端218dのみに分岐する。
【0109】励起光がない場合においては、信号光はす
べてPANDAファイバカップラ218の出射端218
dに出射される。しかし、励起光が入射されると非線形
屈折率効果により非線形光ファイバ216を通ってくる
信号光が位相変調を受ける。励起光の強度Pと非線形光
ファイバ216を通ってくる信号光が受ける位相変化量
δφの関係は次式で表される。
【0110】δφ=2πL(2n2)P/Aeff.
【0111】ここで、Lはファイバ長、n2は非線形屈
折率、Aeff.は有効コア断面積である。このとき、出射
端218c、218dに出射される信号光の強度Ic
dはそれぞれ次式で表される。
【0112】Ic=(1−cosδφ)/2
【0113】Id=(1+cosδφ)/2
【0114】この式からもわかるように、励起光の強度
により出射端218c、218dに出射される信号光強
度を制御することができる。ここで、218dの出射端
には励起光も出射されるので出射端218dから出射さ
れる信号光は分波用PANDAファイバカップラによっ
て励起光から分離する必要がある。
【0115】本実施例では図13に示した長さ10mの
(2)型非線形光ファイバを用い、励起光のピークパワー
が400mWでIc=0.02、Id=0.98が得られ
た。図22に信号光として連続光を、励起光として幅1
00psのモードロックパルスを入射した場合の出射端
218c、218dから得られる信号光の波形を示す。
連続光として入射した信号光が励起光パルスにより変調
された励起光の波形に追従する。DEANST溶液は実
施例1で示したようにピコ秒で応答するので、本実施例
はここで示した100psよりもさらに短い励起光パル
スを用いて信号光を制御することが可能である。さらに
本実施例では本発明により素子全体が信号光、励起光の
偏波を保持することが可能になったため、外乱などの影
響を受けず極めて安定な動作を実現できる。
【0116】なお、本実施例では本発明により、非線形
光学効果を有する媒質としてDEANSTを用いた非線
形光ファイバを使用することが可能なので、従来になく
短い媒質長を用いても低パワーで動作し、コンパクトな
装置を構成することができる。
【0117】また、以上の実施例では非線形光学効果を
有するコアの材料としてDEANSTの1,2−ジクロ
ロプロパン溶液、クラッドにはSiO2を用いたが、こ
の他、クラッドに用いる材料よりも微弱光に対する屈折
率が高い組み合わせでかつコアの材料が非線形光学効果
を有するものであれば同様に用いることができる。
【0118】
【実施例8】図23は実施例4の図15に示した(3)型
非線形光ファイバを応用した光スイッチの実施例を示す
図である。ここで信号光源231は波長1.30μmの
半導体レーザ、励起光源232は波長1.32μmのY
AGレーザであり、それぞれの光源の光はレンズ23
3、234を用いてPANDAファイバカップラ235
の入射端235a、235bにそれぞれ入射される。
【0119】PANDAファイバカップラ235は波長
1.30μmの信号光を出射端235c、235dに5
0:50に分岐し、波長1.32μmの励起光を出射端
235cのみに分岐する。さらに、ファイバカップラ2
35の出射端235cと235dは本発明の(2)型非線
形光ファイバ236と石英系のPANDAファイバ23
7にそれぞれ偏波保持の軸を合わせて光学的に接続され
ており、非線形光ファイバ236とPANDAファイバ
7はPANDAファイバカップラ238の入射端238
a、238bにそれぞれ偏波保持の軸を合わせて接続さ
れている。PANDAファイバカップラ238は波長
1.30μmの信号光を出射端238c、238dに5
0:50に分岐し、波長1.32μmの励起光を出射端
238dのみに分岐する。
【0120】励起光がない場合においては、信号光はす
べてPANDAファイバカップラ238の出射端238
dに出射される。しかし、励起光が入射されると非線形
屈折率効果により偏波保持の(3)型非線形光ファイバ2
36を通ってくる信号光が位相変調を受ける。励起光の
強度Pと偏波保持の非線形光ファイバ236を通ってく
る信号光が受ける位相変化量δφの関係は次式で表され
る。
【0121】δφ=2πL(2n2)P/Aeff.
【0122】ここで、Lはファイバ長、n2は非線形屈
折率、Aeff.は有効コア断面積である。このとき、出射
端238c、238dに出射される信号光の強度Ic
dはそれぞれ次式で表される。
【0123】Ic=(1−cosδφ)/2
【0124】Id=(1+cosδφ)/2
【0125】この式からもわかるように、励起光の強度
により出射端238c、238dに出射される信号光強
度を制御することができる。ここで、238dの出射端
には励起光も出射されるので出射端238dから出射さ
れる信号光は分波用PANDAファイバカップラによっ
て励起光から分離する必要がある。
【0126】本実施例では図15に示した長さ10mの
(3)型偏波保持の非線形光ファイバを用い、励起光のピ
ークパワーが400mWでIc=0.02、Id=0.9
8が得られた。図24に信号光として連続光を、励起光
として幅100psのモードロックパルスを入射した場
合の出射端238c、238dから得られる信号光の波
形を示す。連続光として入射した信号光が励起光パルス
により変調された励起光の波形に追従する。DEANS
T溶液は実施例1で示したようにピコ秒で応答するの
で、本実施例はここで示した100psよりもさらに短
い励起光パルスを用いて信号光を制御することが可能で
ある。さらに本実施例では本発明により素子全体が信号
光、励起光の偏波を保持することが可能になったため、
外乱などの影響を受けず極めて安定な動作を実現でき
る。
【0127】なお、本実施例では本発明により、非線形
光学効果を有する媒質としてDEANSTを用いた非線
形光ファイバを使用することが可能なので、従来になく
短い媒質長を用いても低パワーで動作し、コンパクトな
装置を構成することができる。
【0128】また、以上の実施例では非線形光学効果を
有するコアの材料としてDEANSTの1,2−ジクロ
ロプロパン溶液、クラッドにはSiO2を用いたが、こ
の他、クラッドに用いる材料よりも微弱光に対する屈折
率が高い組み合わせでかつコアの材料が非線形光学効果
を有するものであれば同様に用いることができる。
【0129】
【実施例9】本実施例では、光カーシャッタスイッチに
おいて、(1)型非線形光ファイバの中空部に封入する有
機分散体として固体状媒質を用いて、液体状媒質を用い
た場合と同様な装置のコンパクト化を行ったのみなら
ず、固体状媒質の利点を活かして、より高速な応答を実
現した結果を示す。
【0130】非線形屈折率効果を有する有機物として、
SBA(分子構造を化3に示す)を用い、これをポリメ
チルメタクリレートに分散させたものを固体状媒質とし
た。分散濃度は、5重量%である。光カーシャッタスイ
ッチ装置は、(1)型非線形光ファイバの中空部に封入す
る媒質が異なること、光ファイバのコア径が10μmで
あること、ファイバ長が100mmであることの他は、
実施例1と同様である。
【0131】
【化3】
【0132】本実施例でも、実施例1と同様に、ゲート
光強度Pgate(光ファイバの出射端でモニターした値と
する)と透過率Tとの関係を調べた。T値は、低ゲート
光領域では正弦波状に増大するが、次第に飽和し、P
gateが1/2波長強度のときに、実施例1と同様に最大
透過率が得られることが確かめられた。1/2波長強度
のときのPπ値は20Wであった。
【0133】また、本実施例でも、実施例1とほぼ同様
に、応答速度を調べたところ、ピコ秒よりも高速である
ことが実験的に確認できた。これは、液体状媒質を封入
したファイバを用いた装置では、材料の応答速度が分子
配向効果で決まるため、装置の応答速度がピコ秒であっ
たのに対して、固体状媒質を封入したファイバを用いた
装置では、材料の応答速度がより高速な(<10-14
ec)非線形分極効果で決まるため、装置の応答速度も
これに合わせて速くなったことによるものである。
【0134】すなわち、本発明により、従来の装置に比
べ、低いパワーで動作させることができるのみならず、
高速応答可能な光カーシャッタスイッチを実現したこと
になる。
【0135】
【実施例10】本実施例では、光カーシャッタスイッチ
において、(1)型非線形光ファイバの中空部に封入する
非線形屈折率媒質として、実施例9より大きな非線形屈
折率効果を有する有機物を分散させた固体状媒質を用
い、応答速度を速めたことに加えて、さらに高効率化さ
せた結果を示す。
【0136】非線形屈折率効果を有する有機物として、
SBAC(分子構造を化4に示す)を用い、これをポリ
メチルメタクリレートに分散させたものを固体状媒質と
した。分散濃度は、5重量%である。光カーシャッタス
イッチ装置は、(1)型非線形光ファイバの中空部に封入
する媒質が異なる他は、すべて実施例9とと同じであ
る。
【0137】
【化4】
【0138】本実施例では、実施例9よりも非線形光学
効果の大きな有機物を用いていることに対応して、1/
2波長強度のときのPπ値は15W(光ファイバの出射
端でモニターした値とする)と実施例9よりも低減し
た。応答速度に関しても、装置の応答速度が、ピコ秒よ
りも高速であることが実験的に確認できた。
【0139】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、以下の
効果を有する。
【0140】(1)本発明の非線形光ファイバは、従来
のもの、例えば、単結晶材料を封入してコア部とするも
のに比べ、材料を均一に分散させることにより、良好な
光学特性を得ることができる。すなわち、非線形屈折率
効果を有する有機物を有機溶媒などに分散させると、そ
の濃度を全範囲にわたって一様とすることが極めて容易
であるので、光透過率や入射光の直線偏波保持に優れ、
また、光ファイバのコア部とクラッド部との屈折率差の
微細な調整も全範囲にわたって一様に達成される。
【0141】(2)本発明の非線形光ファイバは、応答
速度が速くしかも非線形屈折率効果の大きい有機物を封
入しているので、大きな非線形光学効果を発現でき、こ
のため、従来になくコンパクトであるにもかかわらず、
低い光パワーで動作可能で、かつ速い動作速度をもった
全光型スイッチを実現することができる。また、二重コ
ア型の非線形光ファイバを用いることにより、より良好
な屈折率制御が得られるので、媒質長を長くしてさらに
動作パワーの低減を図ることができる。そして、応力付
与型の非線形光ファイバを用いることにより、外乱等に
対しても極めて安定な全光型スイッチを実現することが
できる。
【0142】(3)本発明の非線形光学装置は、10p
s以下の極めて高速で動作するスイッチを実現できるた
め、100GHz以上の大容量の光データ・情報処理や
光通信が可能になる利点を生じる。また、高効率化が図
られているので、長媒質長の非線形光ファイバを用いる
ことにより、ゲート光として半導体レーザを用いてもス
イッチ動作が実現できるという利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の光カーシャッタスイッチの構成図。
【図2】従来のファイバループミラースイッチの構成
図。
【図3】従来のニオブ酸リチウムのマッハツェンダース
イッチの構成図。
【図4a】ニトロベンゼンの重水素化の特徴を示す図。
【図4b】ポリスチレンのフッ素化および重水素化の特
徴を示す図。
【図5】DEANSTをDMFに分散させた溶液の屈折
率のDEANST濃度依存性を示す図。
【図6a】実施例1および実施例2で使用の(1)型非線
形光ファイバの断面図。
【図6b】実施例1および実施例2で使用の(1)型非線
形光ファイバの斜視図。
【図7】本発明の光カーシャッタスイッチの構成図。
【図8】位相変化量Δφ=20°を得るのに必要なゲー
ト光強度P0の媒質長依存性を示す図。
【図9】シグナル透過率Tとゲート光強度Pgateとの関
係を示す図。
【図10a】ゲート光の波形を示す図。
【図10b】DEANSTの応答速度を観測した結果を
示す図。
【図10c】CS2の応答速度を観測した結果を示す
図。
【図11】シグナル透過率特性のゲート光強度依存性を
示す図。
【図12】Pπと1/Dとの関係を示す図。
【図13】(2)型非線形光ファイバの横断面図。
【図14】(2)型非線形光ファイバの作製方法を示す
図。
【図15】(3)型非線形光ファイバの横断面図。
【図16】(3)型非線形光ファイバの作製方法を示す
図。
【図17】(3)型非線形光ファイバの断面応力分布図。
【図18】本発明のファイバループミラースイッチの構
成図。
【図19a】実施例6に使用の(1)型非線形光ファイバ
の断面図。
【図19a】実施例6に使用の(1)型非線形光ファイバ
の斜視図。
【図20】実施例6のループミラースイッチの入出力特
性を示す図。
【図21】実施例7の本発明のマッハツェンダースイッ
チの構成図。
【図22】実施例7の本発明のマッハツェンダースイッ
チの入出力特性を示す図。
【図23】実施例8の本発明のマッハツェンダースイッ
チの構成図。
【図24】実施例8の本発明のマッハツェンダースイッ
チの入出力特性を示す図。
【符号の説明】
11 非線形屈折率媒質 12a、b 偏光子 21 信号光 22 制御光 23 光カップラ 24 光ファイバ 25 制御光が入射されないときの出射信号光 26 制御光が入射さたときの出射信号光 31 コア 32 ニオブ酸リチウム基板 33 電極 61 DEANSTのニトロベンゼン飽和溶液
を封入したコア 62 ガラスのクラッド部 70 光カーシャッタスイッチ装置 71 プローブ光 72 YAGレーザ 73 色素レーザ 74 検出器 80 (1)型非線形光ファイバ 81 セル 131 GeO2が添加されたSiO2からなるコ
アa 132 DEANST/1,2−ジクロロプロパ
ン溶液からなるコアb 133 SiO2からなるクラッド 141 クラッド用母材 142 コア用母材 143 コア用孔 146 コアb用孔 147 ヒータ 151 GeO2が添加されたSiO2からなるコ
アa 152 DEANST/1,2−ジクロロプロパ
ン溶液からなるコアb 153 SiO2からなるクラッド 154 応力付与部 161 コラッド用母材 162 コア用母材 164 応力付与部用母材 165 応力付与部用孔 166 コアb用孔 167 ヒータ 181 信号光 182 制御光 183 第1のPANDAファイバカップラ 184 第2のPANDAファイバカップラ 185 第3のPANDAファイバカップラ 186 (1)型非線形光ファイバ 187 出射制御光 188 スイッチングされた出射信号光 189 スイッチングされない出射信号光 183a 信号入射光 183b 制御光入射端 184a 信号光出射端 184b 制御光出射端 191 SiO2の中空細径管からなるクラッド 192 DEANST/1,2−ジクロロプロパ
ン溶液からなるコア 211 信号光源 212 励起光源 213 レンズ 214 レンズ 215 第1のPANDAファイバカップラ 216 本発明の(2)型非線形光ファイバ 217 PANDAファイバ 218 第2のPANDAファイバカップラ 215a 第1のPANDAファイバカップラの入
射端 215b 第1のPANDAファイバカップラの入
射端 215c 第1のPANDAファイバカップラの出
射端 215d 第1のPANDAファイバカップラの出
射端 218a 第2のPANDAファイバカップラの入
射端 218b 第2のPANDAファイバカップラの入
射端 218c 第2のPANDAファイバカップラの出
射端 218d 第2のPANDAファイバカップラの出
射端 231 GeO2が添加されたSiO2からなるコ
アa 232 DEANST/1,2−ジクロロプロパ
ン溶液からなるコアb2 233 SiO2からなるクラッド 211 信号光源 212 励起光源 213 レンズ 214 レンズ 215 第1のPANDAファイバカップラ 216 本発明の(3)型非線形光ファイバ 217 PANDAファイバ 218 第2のPANDAファイバカップラ 215a 第1のPANDAファイバカップラの入
射端 215b 第1のPANDAファイバカップラの入
射端 215c 第1のPANDAファイバカップラの出
射端 215d 第1のPANDAファイバカップラの出
射端 218a 第2のPANDAファイバカップラの入
射端 218b 第2のPANDAファイバカップラの入
射端 218c 第2のPANDAファイバカップラの出
射端 218d 第2のPANDAファイバカップラの出
射端
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 特願平2−417494 (32)優先日 平2(1990)12月28日 (33)優先権主張国 日本(JP) (72)発明者 小林 秀紀 東京都千代田区内幸町一丁目1番6号 日 本電信電話株式会社内 (72)発明者 伊藤 弘樹 東京都千代田区内幸町一丁目1番6号 日 本電信電話株式会社内 (72)発明者 須藤 昭一 東京都千代田区内幸町一丁目1番6号 日 本電信電話株式会社内 (72)発明者 栗原 隆 東京都千代田区内幸町一丁目1番6号 日 本電信電話株式会社内 (72)発明者 大庭 直樹 東京都千代田区内幸町一丁目1番6号 日 本電信電話株式会社内 (72)発明者 戒能 俊邦 東京都千代田区内幸町一丁目1番6号 日 本電信電話株式会社内

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】非線形屈折率効果を有する有機物を有機溶
    媒あるいは透明性に優れる高分子材料に分散せしめ、か
    つ分散濃度あるいは分散体の組成を調整することにより
    屈折率を微細に制御した有機物分散体をガラスを主成分
    とする中空状細径管内に封入した非線形光ファイバにお
    いて、該有機物分散体を封入するための中空部を中心に
    持ちガラスを主成分とし該有機物分散体と等しい屈折率
    を有するコアa1と、該コアa1の中心部に封入された
    該有機物分散体からなるコアb1と該コアa1の外側に
    配置されガラスを主成分とし該コアa1より小さい屈折
    率を有するクラッドとを有する構造を特徴とする非線形
    光ファイバ。 【請求項2】非線形屈折率効果を有する該有機物が、3
    次の非線形感受率χ(3)として1×10-13esu以上で
    あることを特徴とする請求項1記載の非線形光ファイ
    バ。 【請求項3】前記非線形屈折率効果を有する有機物が、
    分子性結晶材料、あるいはイオン性結晶材料、あるいは
    π電子共役系のオリゴマーまたはポリマー材料のいずれ
    かあるいはこれらの組み合わせを有機溶媒あるいは透明
    性に優れる高分子材料に分散させた有機分散体のいずれ
    かあるいはこれらを組み合わせたものであることを特徴
    とする請求項1又は請求項2記載の非線形光ファイバ。 【請求項4】前記有機物及び該有機物を分散させる有機
    溶媒あるいは透明性に優れる高分子材料として、それら
    の分子を構成する水素を重水素化あるいはフッ素化した
    ものを用いることを特徴とする請求項1から請求項3記
    載のいずれかの非線形光ファイバ。 【請求項5】該コアa1またはコアa2の材料をGeO
    2−SiO2、P25−SiO2、GeO2−P25−Si
    2またはSiO2−Fとし、各々の該クラッドの材料を
    SiO2とすることを特徴とする請求項1から請求項4
    記載のいずれかの非線形光ファイバ。 【請求項6】非線形屈折率効果を有する有機物を有機溶
    媒あるいは透明性に優れる高分子材料に分散せしめ、か
    つ分散濃度あるいは分散体の組成を調整することにより
    屈折率を微細に制御した有機物分散体をガラスを主成分
    とする中空状細径管内に封入した非線形光ファイバにお
    いて、該有機物分散体を封入するための中空部を中心に
    持ちガラスを主成分とし該有機物分散体と等しい屈折率
    を有するコアa2と、該コアa2の中心部に封入された
    該有機物分散体からなるコアb2と該コアa2の外側に
    配置されガラスを主成分とし該コアa2より小さい屈折
    率を有するクラッドと、該クラッド中に配置したガラス
    を主成分とする少なくとも2つの応力付与部とを有し、
    該応力付与部は該コアa2をはさんで対向し、かつ該コ
    アa2から離隔し、該応力付与部の熱膨張係数が該クラ
    ッドの熱膨張係数と異なり、該コアa2に非軸対称の応
    力を加える構造を特徴とする応力付与形偏波保持の非線
    形光ファイバ。 【請求項7】非線形屈折率効果を有する該有機物が、3
    次の非線形感受率χ(3)として1×10-13esu以上で
    あることを特徴とする請求項6記載の非線形光ファイ
    バ。 【請求項8】前記非線形屈折率効果を有する有機物が、
    分子性結晶材料、あるいはイオン性結晶材料、あるいは
    π電子共役系のオリゴマーまたはポリマー材料のいずれ
    かあるいはこれらの組み合わせを有機溶媒あるいは透明
    性に優れる高分子材料に分散させた有機分散体のいずれ
    かあるいはこれらを組み合わせたものであることを特徴
    とする請求項6又は請求項7記載の非線形光ファイバ。 【請求項9】前記有機物及び該有機物を分散させる有機
    溶媒あるいは透明性に優れる高分子材料として、それら
    の分子を構成する水素を重水素化あるいはフッ素化した
    ものを用いることを特徴とする請求項6から請求項8記
    載のいずれかの非線形光ファイバ。 【請求項10】該コアa1またはコアa2の材料をGe
    2−SiO2、P25−SiO2、GeO2−P25−S
    iO2またはSiO2−Fとし、各々の該クラッドの材料
    をSiO2とすることを特徴とする請求項6から請求項
    9記載のいずれかの非線形光ファイバ。 【請求項11】該応力付与部の材料がSiO2−B23
    である非線形光ファイバを用いることを特徴とする請求
    項6から請求項10記載のいずれかの非線形光ファイ
    バ。 【請求項12】ガラスを主成分とする細径管内に中空部
    を設け、非線形屈折率効果を有する有機物を有機溶媒あ
    るいは透明性に優れる高分子材料に分散させた有機物分
    散体を、該中空部に封入してコア部b0とし、かつ分散
    濃度あるいは分散体の組成を調整することにより、該コ
    ア部の屈折率をクラッド部の屈折率より大きくなるよう
    に制御した非線形光ファイバにおいて、前記有機物及び
    該有機物を分散させる有機溶媒あるいは透明性に優れる
    高分子材料として、それらの分子を構成する水素を重水
    素化あるいはフッ素化したものを用いることを特徴とす
    る非線形光ファイバ。 【請求項13】非線形屈折率効果を有する該有機物が、
    3次の非線形感受率χ(3)として1×10-13esu以上
    であることを特徴とする請求項12記載の非線形光ファ
    イバ。 【請求項14】前記非線形屈折率効果を有する有機物
    が、分子性結晶材料、あるいはイオン性結晶材料、ある
    いはπ電子共役系のオリゴマーまたはポリマー材料のい
    ずれかあるいはこれらの組み合わせを有機溶媒あるいは
    透明性に優れる高分子材料に分散させた有機分散体のい
    ずれかあるいはこれらを組み合わせたものであることを
    特徴とする請求項12又は請求項13記載の非線形光フ
    ァイバ。 【請求項15】該コアb0の材料をGeO2−SiO2
    25−SiO2、GeO2−P25−SiO2またはS
    iO2−Fとし、各々の該クラッドの材料をSiO2とす
    ることを特徴とする請求項12から請求項14記載のい
    ずれかの非線形光ファイバ。 【請求項16】非線形屈折率効果を有する光学媒質を互
    いに偏光軸が直交するように配列された2枚の偏光子で
    はさんだ非線形光学装置において、非線形屈折率効果を
    有する光学媒質として、非線形屈折率効果を有する有機
    物を有機溶媒あるいは透明性に優れる高分子材料に分散
    せしめ、かつ分散濃度あるいは分散体の組成を調整する
    ことにより屈折率を微細に制御した有機物分散体をガラ
    スを主成分とする中空状細径管内に封入した非線形光フ
    ァイバであって、該有機物分散体を封入するための中空
    部を中心に持ちガラスを主成分とし該有機物分散体と等
    しい屈折率を有するコアa1と、該コアa1の中心部に
    封入された該有機物分散体からなるコアb1と該コアa
    1の外側に配置されガラスを主成分とし該コアa1より
    小さい屈折率を有するクラッドとを有する構造の非線形
    光ファイバを使用することを特徴とする非線形光学装
    置。 【請求項17】非線形屈折率効果を有する光学媒質を互
    いに偏光軸が直交するように配列された2枚の偏光子で
    はさんだ非線形光学装置において、非線形屈折率効果を
    有する有機物を有機溶媒あるいは透明性に優れる高分子
    材料に分散せしめ、かつ分散濃度あるいは分散体の組成
    を調整することにより屈折率を微細に制御した有機物分
    散体をガラスを主成分とする中空状細径管内に封入した
    非線形光ファイバであって、該有機物分散体を封入する
    ための中空部を中心に持ちガラスを主成分とし該有機物
    分散体と等しい屈折率を有するコアa2と、該コアa2
    の中心部に封入された該有機物分散体からなるコアb2
    と該コアa2の外側に配置されガラスを主成分とし該コ
    アa2より小さい屈折率を有するクラッドと、該クラッ
    ド中に配置したガラスを主成分とする少なくとも2つの
    応力付与部とを有し、該応力付与部は該コアa2をはさ
    んで対向し、かつ該コアa2から離隔し、該応力付与部
    の熱膨張係数が該クラッドの熱膨張係数と異なり、該コ
    アa2に非軸対称の応力を加える構造の非線形光ファイ
    バを使用することを特徴とする非線形光学装置。 【請求項18】非線形屈折率効果を有する光学媒質を互
    いに偏光軸が直交するように配列された2枚の偏光子で
    はさんだ非線形光学装置において、非線形屈折率効果を
    有する光学媒質として、ガラスを主成分とする細径管内
    に中空部を設け、非線形屈折率効果を有する有機物を有
    機溶媒あるいは透明性に優れる高分子材料に分散させた
    有機物分散体を、該中空部に封入してコア部b0とし、
    かつ分散濃度あるいは分散体の組成を調整することによ
    り、該コア部の屈折率をクラッド部の屈折率より大きく
    なるように制御した非線形光ファイバであって、前記有
    機物及び該有機物を分散させる有機溶媒あるいは透明性
    に優れる高分子材料として、それらの分子を構成する水
    素を重水素化あるいはフッ素化したものを用いた非線形
    光ファイバを使用することを特徴とする非線形光学装
    置。 【請求項19】2つの入射端と2つの出射端とを有し、
    一方の入射端に入射された信号光を2つの出射端にほぼ
    均等に分ける半透鏡もしくは光カップラと、当該半透鏡
    もしくは光カップラの2つの出射端に接続された非線形
    屈折率効果を有する光学媒質からなり、制御光を当該光
    学媒質中をほぼ一方向のみ伝搬させる構造を有する非線
    形光学装置において、非線形屈折率効果を有する光学媒
    質として、非線形屈折率効果を有する有機物を有機溶媒
    あるいは透明性に優れる高分子材料に分散せしめ、かつ
    分散濃度あるいは分散体の組成を調整することにより屈
    折率を微細に制御した有機物分散体をガラスを主成分と
    する中空状細径管内に封入した非線形光ファイバであっ
    て、該有機物分散体を封入するための中空部を中心に持
    ちガラスを主成分とし該有機物分散体と等しい屈折率を
    有するコアa1と、該コアa1の中心部に封入された該
    有機物分散体からなるコアb1と該コアa1の外側に配
    置されガラスを主成分とし該コアa1より小さい屈折率
    を有するクラッドとを有する構造の非線形光ファイバを
    使用することを特徴とする非線形光学装置。 【請求項20】2つの入射端と2つの出射端とを有し、
    一方の入射端に入射された信号光を2つの出射端にほぼ
    均等に分ける半透鏡もしくは光カップラと、当該半透鏡
    もしくは光カップラの2つの出射端に接続された非線形
    屈折率効果を有する光学媒質からなり、制御光を当該光
    学媒質中をほぼ一方向のみ伝搬させる構造を有する非線
    形光学装置において、非線形屈折率効果を有する光学媒
    質として、非線形屈折率効果を有する有機物を有機溶媒
    あるいは透明性に優れる高分子材料に分散せしめ、かつ
    分散濃度あるいは分散体の組成を調整することにより屈
    折率を微細に制御した有機物分散体をガラスを主成分と
    する中空状細径管内に封入した非線形光ファイバであっ
    て、該有機物分散体を封入するための中空部を中心に持
    ちガラスを主成分とし該有機物分散体と等しい屈折率を
    有するコアa2と、該コアa2の中心部に封入された該
    有機物分散体からなるコアb2と該コアa2の外側に配
    置されガラスを主成分とし該コアa2より小さい屈折率
    を有するクラッドと、該クラッド中に配置したガラスを
    主成分とする少なくとも2つの応力付与部とを有し、該
    応力付与部は該コアa2をはさんで対向し、かつ該コア
    a2から離隔し、該応力付与部の熱膨張係数が該クラッ
    ドの熱膨張係数と異なり、該コアa2に非軸対称の応力
    を加える構造の非線形光ファイバを使用することを特徴
    とする非線形光学装置。 【請求項21】2つの入射端と2つの出射端とを有し、
    一方の入射端に入射された信号光を2つの出射端にほぼ
    均等に分ける半透鏡もしくは光カップラと、当該半透鏡
    もしくは光カップラの2つの出射端に接続された非線形
    屈折率効果を有する光学媒質からなり、制御光を当該光
    学媒質中をほぼ一方向のみ伝搬させる構造を有する非線
    形光学装置において、非線形屈折率効果を有する光学媒
    質として、ガラスを主成分とする細径管内に中空部を設
    け、非線形屈折率効果を有する有機物を有機溶媒あるい
    は透明性に優れる高分子材料に分散させた有機物分散体
    を、該中空部に封入してコア部b0とし、かつ分散濃度
    あるいは分散体の組成を調整することにより、該コア部
    の屈折率をクラッド部の屈折率より大きくなるように制
    御した非線形光ファイバであって、前記有機物及び該有
    機物を分散させる有機溶媒あるいは透明性に優れる高分
    子材料として、それらの分子を構成する水素を重水素化
    あるいはフッ素化したものを用いた非線形光ファイバを
    使用することを特徴とする非線形光学装置。 【請求項22】1つの光束を半透鏡もしくは光カップラ
    にて、2光束に分岐し、二つの光学媒質を用い、相異な
    る経路を経由せしめることにより、相対的光路長差を付
    与せしめた後、2光束を再び合波させる光学装置におい
    て、光学媒質の一方に、非線形屈折率効果を有する有機
    物を有機溶媒あるいは透明性に優れる高分子材料に分散
    せしめ、かつ分散濃度あるいは分散体の組成を調整する
    ことにより屈折率を微細に制御した有機物分散体をガラ
    スを主成分とする中空状細径管内に封入した非線形光フ
    ァイバであって、該有機物分散体を封入するための中空
    部を中心に持ちガラスを主成分とし該有機物分散体と等
    しい屈折率を有するコアa1と、該コアa1の中心部に
    封入された該有機物分散体からなるコアb1と該コアa
    1の外側に配置されガラスを主成分とし該コアa1より
    小さい屈折率を有するクラッドとを有する構造の非線形
    光ファイバを使用することを特徴とする非線形光学装
    置。 【請求項23】1つの光束を半透鏡もしくは光カップラ
    にて、2光束に分岐し、二つの光学媒質を用い、相異な
    る経路を経由せしめることにより、相対的光路長差を付
    与せしめた後、2光束を再び合波させる光学装置におい
    て、光学媒質の一方に、非線形屈折率効果を有する有機
    物を有機溶媒あるいは透明性に優れる高分子材料に分散
    せしめ、かつ分散濃度あるいは分散体の組成を調整する
    ことにより屈折率を微細に制御した有機物分散体をガラ
    スを主成分とする中空状細径管内に封入した非線形光フ
    ァイバであって、該有機物分散体を封入するための中空
    部を中心に持ちガラスを主成分とし該有機物分散体と等
    しい屈折率を有するコアa2と、該コアa2の中心部に
    封入された該有機物分散体からなるコアb2と該コアa
    2の外側に配置されガラスを主成分とし該コアa2より
    小さい屈折率を有するクラッドと、該クラッド中に配置
    したガラスを主成分とする少なくとも2つの応力付与部
    とを有し、該応力付与部は該コアa2をはさんで対向
    し、かつ該コアa2から離隔し、該応力付与部の熱膨張
    係数が該クラッドの熱膨張係数と異なり、該コアa2に
    非軸対称の応力を加える構造の非線形光ファイバを使用
    することを特徴とする非線形光学装置。 【請求項24】1つの光束を半透鏡もしくは光カップラ
    にて、2光束に分岐し、二つの光学媒質を用い、相異な
    る経路を経由せしめることにより、相対的光路長差を付
    与せしめた後、2光束を再び合波させる光学装置におい
    て、光学媒質の一方に、ガラスを主成分とする細径管内
    に中空部を設け、非線形屈折率効果を有する有機物を有
    機溶媒あるいは透明性に優れる高分子材料に分散させた
    有機物分散体を、該中空部に封入してコア部b0とし、
    かつ分散濃度あるいは分散体の組成を調整することによ
    り、該コア部の屈折率をクラッド部の屈折率より大きく
    なるように制御した非線形光ファイバであって、前記有
    機物及び該有機物を分散させる有機溶媒あるいは透明性
    に優れる高分子材料として、それらの分子を構成する水
    素を重水素化あるいはフッ素化したものを用いた非線形
    光ファイバを使用することを特徴とする非線形光学装
    置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2021522556A (ja) * 2018-04-20 2021-08-30 エコール ポリテクニック 超短パルスを生成する方法

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