JPH0557724A - 潜在的アルカリ反応性骨材の判定用試薬及びその使用方法 - Google Patents

潜在的アルカリ反応性骨材の判定用試薬及びその使用方法

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JPH0557724A
JPH0557724A JP24846091A JP24846091A JPH0557724A JP H0557724 A JPH0557724 A JP H0557724A JP 24846091 A JP24846091 A JP 24846091A JP 24846091 A JP24846091 A JP 24846091A JP H0557724 A JPH0557724 A JP H0557724A
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稔 安田
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一彦 山田
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淳一 三宅
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  • Investigating Or Analyzing Non-Biological Materials By The Use Of Chemical Means (AREA)
  • Preparation Of Clay, And Manufacture Of Mixtures Containing Clay Or Cement (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 水;Ca(OH)2 ;及びNaOHとKOH
の中の少なくとも一種を含み、NaOH及びKOHに比
しCa(OH)2 の混在率が高いコンクリート用骨材の
潜在的アルカリ骨剤反応性判定用試薬。この試薬を加温
し、試験すべきコンクリート用骨材粒を浸漬し、骨材粒
へのカルシウム系白色物質の付着、骨材粒の膨脹又は重
量の増大、または試薬のゲル化を以て上記反応性ありと
判定する。 【効果】 潜在的アルカリ骨剤反応性を迅速、簡便、安
価に判定することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は潜在的アルカリ反応性骨
材の判定用試薬及びその使用方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のコンクリート用骨材の潜在アルカ
リ反応性の判定方法は、ASTM C−227の現象的
直接法(モルタル棒の膨脹)、同じくC−289の化学
的間接法(化学組成の評価)および鉱物的間接法(鉱物
組成の確定)を基調とし、また生セメントペースト等も
検討されて来たが、合理的、実際的な手法はなかった。
【0003】従来法の問題点として、直接的手法にモル
タル棒の膨脹量測定とその類似手法があったが、40℃
という高温養生下であっても判定までに数ヶ月を要する
という時間的不便性のほかに、骨材粒個々の特定が不可
能であった。また化学組成と鉱物組成からの間接的判定
手法は、分析や鑑定の技術者が限定されると共に費用も
高い他に、間接的という不確実性と不安感がつきまと
い、コンクリートの技術者や業界への普及浸透に問題が
あった。他方、生セメントペーストやアルカリ金属溶液
の利用も検討されて来たが、アルカリ土類金属の苛性化
効果を無視し、アルカリ金属のみにこだわっていたた
め、顕著な反応現象を発現せしめなかった。
【0004】
【発明の解決しようとする課題】本発明はコンクリート
用骨材の潜在的アルカリ骨剤反応性の有無を簡便・迅速
に判定することを課題とするものである。
【0005】
【課題を解決する手段】生コンクリート状態ではCa
(OH)2 は微量しか存在しないが、セメントの水和が
完了した状態で大量に存在するようになる。なお、セメ
ントの水和は数年経過后でも数十%しか進まない。水和
完了時には、理論的にはセメント重量の約30%、実際
には約20%がCa(OH)2 となる。更に、Ca(O
H)2 アルカリ金属炭酸塩を苛性化することができる。
本発明者等はこの二点に着目し、水和完了コンクリート
を模擬し、必然的にCa(OH)2 によるナトリウム及
びカリウムの炭酸塩の苛性化を起し、これにより骨材の
アルカリ溶融を惹起し、この結果生ずる諸現象をもっ
て、骨材の潜在的アルカリ反応性の有無を判定し得ると
の知見を得、本発明を完成した。
【0006】本発明は水;Ca(OH)2 ;及びNaO
HとKOHの中の少なくとも一種を含み、NaOH及び
KOHに比しCa(OH)2 の混在率が高いことを特徴
とするコンクリート用骨材の潜在的アリカリ骨材反応性
判定用試薬を提供するものである。
【0007】本発明は、更に、上記試薬を加温し、検体
であるコンクリート用骨材粒を浸漬し、 (i)骨材粒へのカルシウム系白色物質の付着、 (ii)骨材粒の膨脹又は重量の増大、及び (iii)試薬のゲル化 の少なくとも1つの生起をもって潜在的アルカリ骨材反
応性ありとする判定方法を提供するものである。本発明
における「カルシウム系白色物質」とはCaO、Si O
2 を主体として成る白色物質である。
【0008】この試薬の成分は好ましくは、水 50−
100重量部、Ca(OH)2 50−70重量部、N
aOH 0.5−5重量部、及びKOH 0.4−5重
量部の割合で配合する。本発明においては、Ca(O
H)2 の混在率を高めることで、苛性化を促進し、水酸
化ナトリウム、水酸カリウムの炭酸塩化を防止し、アル
カリ融解を妨害しない効果を生ずる。
【0009】実コンクリートのアルカリ骨材反応現象
は、セメントが水和完了し、コンクリート中にCa(O
H)2 が多量放出されたのちの5〜10年後に多発する
が、そのCa(OH)2 とポゾラン反応するフライアッ
シュの当量混和は、それ自体にNa2 OとK2 Oとをセ
メント以上に含有する場合でも反応膨脹が抑制され、ま
たソーダ工業では炭酸ナトリウムの苛性化に石灰乳[C
a(OH)2 ・nH2 O]を添加利用するという事実が
ある。従って、アルカリ骨材反応は、セメントの水和完
了に伴って多量発生する水酸化カルシウムがセメントよ
り溶出する少量のアルカリ金属を長期苛性化し、アルカ
リ反応性骨材粒をアルカリ融解し、膨脹させると共に、
反応性シリカ質骨材の場合は、融解シリカイオンと介在
カルシウムイオンとが骨材粒の内外でイオン結合し、骨
材表面へのカルシウム系白色物質の付着が生じ、さらに
骨材粒を膨脹させたり、ペーストをゲル化させるとの知
見を得、本発明に到達した。
【0010】水、Ca(OH)2 、及びNaOHとKO
Hの中の少なくとも一種を含み、且つ、Ca(OH)2
の混在率がNaOH及びKOHに比し高いペーストを調
合し、反応促進のため昇温せしめた上で各種骨材粒を浸
漬したところ、アルカリシリカ反応性骨材粒の場合に
は、(イ)カルシウム系白色物質の該骨材粒表面への付
着、例えば、固着し、それをつつみ込み、が起り、
(ロ)該骨材粒の体積膨脹、重量増加の現象が生じ、続
いて、(ハ)そのペーストのゲル化現象も生じ、典型的
なアルカリシリカ反応現象が短期間に発現した。
【0011】従って、潜在アルカリシリカ反応性骨材の
判定は、本発明ペーストに浸漬した骨材粒の表面がカル
シウム系白色物質で包含されるか否かの目視観察で一義
的に迅速識別でき、その程度は白色物質の包含度・体積
膨脹度・重量増加度などの定量から精査可能であり、粒
子個々の判別も容易となった。また、融解量が著しい場
合はペーストがゲル化するため、判定が一層確実とな
る。
【0012】なお、骨材のアルカリ反応迅速度を高める
ためには、塩化物などの反応促進材や反応助成材の添加
及びペースト温度の加昇温やアルカリ金属の増量も緊急
的判断に効果的であるが、実際の現象との遊離はいなめ
ない。
【0013】セメントが含有するNa2 OとK2 Oは、
気中の粉砕分級・空気輸送・含気貯蔵中に(1)例のよ
うに炭酸化する。
【0014】
【化1】 次にコンクリート化する時にその用水によって(2)例
のように加水分解し水酸化アルカリと炭酸塩が発生す
る。
【0015】
【化2】 しかしながら水酸化アルカリはCO2 の吸収力が早いた
め、(3)式のように再び炭酸化し、炭酸水素塩と共に
コンクリート中に介在するが、これらは中性のため、活
性骨材でも融解されにくく安定状態が続く。
【0016】
【化3】 しかし、セメントの水和完了に伴って、次第にその重量
の約20%に及ぶ遊離石灰(Ca(OH)2 )がコンク
リート中に発生すると、Ca(OH)2 の炭酸化力が強
いため炭酸アルカリ金属塩を(4)例のように苛性化
し、また体中にCO2 が浸入しても余剰のCa(OH)
2 がそれと反応するため、NaとKの苛性化はコンクリ
ートの気密性も加わって長期間活性骨材粒を融解する。
【0017】
【化4】 このNaとKの苛性化持続現象がアルカリ骨材反応の起
因要件であり、本発明の模擬ペーストはこの(4)例の
原理を応用した上に加温効果も作用し、活性状態のシリ
カ系骨材とドロマイト質骨材に浸透し、(5)(6)例
のようにアルカリ融解を起し膨脹・増量を生じる。
【0018】
【化5】
【化6】 また、(5)例のアルカリ塩が多量発生すると(7)例
のように加水分解して強い水酸化アルカリと硅酸アルカ
リ塩が発生し、前者は炭酸化しない限り活性シリカ質骨
材を新たにアルカリ融解膨脹させ、後者は電解質のため
さらに水が浸入すると、Si2 5 2-の負イオンも電離
し、水酸化カルシウムから解離するCa2+の正イオンと
イオン結合し、(8)例のようにシリケートカルシウム
ゲルを成生する。
【0019】
【化7】 この現象は当初骨材粒表面で生じるため、Ca(OH)
2 結晶中にもCa2+イオンが介在することから結晶ごと
骨材表面に吸引固着し、骨材粒はカルシウム系白色物質
で包含され、次にアルカリ融解が内部に達するとCa2+
イオンも浸透し膨脹・増量を助長し、さらにアルカリ融
解が進みペースト中にシリカイオンが放出拡散するとペ
ーストがゲル化することとなって、本発明における潜在
アルカリ反応性骨材の識別の手段となっている。すなわ
ち、Ca(OH)2 が介在し水分が供給され続ける限
り、アルカリ金属の苛性化が持続するために、骨材粒は
とめどもなく融解膨脹を常温下ではゆるやかに進行し、
その蓄積結果として5〜10年も経過したコンクリート
を破壊(ひび割れや骨材粒ポップアウト)に至らせしめ
る。ただし、本発明のように模擬ペーストを昇温させる
と、反応が促進されてその潜在性を判定するに要する時
間は、80℃加温下で数時間に短縮され、40℃でも数
日間内に発現する。
【0020】他方、(6)例のドロマイトの融解による
とアルカリ塩は、水分の供給でCa(OH)2 によって
(4)例のように再び苛性化し、繰り返し骨材粒をアル
カリ融解膨脹させる。従って、コンクリート中にCa
(OH)2 が介在する限りアルカリ金属の苛性化を続
け、適度な含水下でとめどもなく骨材粒を常温下でゆる
やかに融解膨脹させ、長期間に亘ってコンクリートを破
壊する。しかしながら、負イオンが介在しないため、カ
ルシウム系白色物質の包含現象やペーストのゲル化現象
は生じないが、本発明ペーストによる骨材粒の体積膨脹
と重量増加の現象からドロマイト系骨材といえども潜在
アルカリカーボネイト反応性をシリカ質骨材の反応挙動
例から見て特定できる。
【0021】セメントの水和完了に伴って、その重量の
約20%の遊離石灰(Ca(OH)2 )がコンクリート
中に放出される。またセメント中にはNa2 OとK2
がR2 O状態で0.5〜1.5%混在しその比が1:2
〜2:1になること、またその値が1.2%以上になる
とアルカリ骨材反応が顕著に現われる。セメントの水和
完了にはセメント重量の約30%の水が必要である。ま
た一般に、コンクリート中に含まれるセメント量と水量
は、最大骨材寸法40mm換算で、セメントが250〜3
50kg/m3 で、標準的には約300kg/m3 、水が1
57〜175kg/m3 で水和後の残留水量が100〜5
2kg/m3 で、標準的残留水量が90kg/m3 である。
【0022】水和完了済コンクリート中のアルカリ性成
分及び水の含有量を一酸化物換算で示すと、一般にCa
Oが標準で45.4kg/m3 、範囲は37.9−53.
0kg/m3 、Na2 Oが標準で1.8kg/m3 、範囲は
3.5−0.4kg/m3 、K2 Oが標準で1.8kg/m
3 、範囲は0.4−3.5kg/m3 、水(残留水とCa
(OH)2 中のH2 Oの和)が標準で104.6kg/m
3 、範囲は64−117kg/m3 である。
【0023】従って、アルカリ骨材反応が発生する水和
完了コンクリート中のアルカリペースト条件、すなわ
ち、模擬ペーストの標準調合比率とその範囲は表1のと
おりとなる。即ち、表1は水和完了の実コンクリートの
標準的アルカリ条件とその範囲を示す。
【0024】
【表1】 実調合では試薬特級の水酸化物を酸化物に換算し、また
純度補正も行ってペーストとした。
【0025】さらにCa(OH)2 を著しく高めたケー
スについても試験したがペーストの粘性が高くゲル化の
判定面からは60kg/m3 近傍が最良であった。
【0026】
【実施例】
(実施例1)次に表1の標準模擬ペーストを40℃に加
温し、各種骨材を浸漬してその骨材粒表面の白色Ca
(OH)2 包含状況観測例を表2にしめす。
【0027】
【表2】
【表3】 これは軽度のブラッシングとシャワー水洗で骨材粒を清
掃したのちの包含度を示すもので、その包含度を例示す
ると図1のごとくであって、誰にでも容易に判定するこ
とができる。
【0028】図1は試薬に浸漬処理后の骨材の断面の略
解図である。図1のAはアルカリ無反応性骨材であり、
骨材粒1の表面にカルシウム系白色物質の付着がない。
図1のBはアルカリ微反応性骨材であり、骨材粒1の表
面にカルシウム系白色物質2(黒点で表示してあるが、
白色である。以下同様。)が微包状或いは点着状に固着
している。図1のCはアルカリ並反応性骨材であって、
骨材粒1の表面にカルシウム系白色物質2が薄包状に固
着している。図1のDはアルカリ強反応性骨材であっ
て、骨材粒1の表面にカルシウム系白色物質が厚包状に
固着している。
【0029】その結果、実害例とASTMの潜在性とを
共に有しない骨材種は3例すべてにおいて、カルシウム
系白色物質の付着包含現象は全く見られなかったが、実
害例とASTMの潜在性を有する骨材種は6例すべて
に、白色カルシウムが付着包含し、一見して潜在反応の
有無を特定できた。また骨材種4は川砂利で多様な岩種
が混在していたが、安山岩系の骨材粒のみにカルシウム
系白色物質が付着包含し、10粒中6粒が反応性である
ことが特定できた。
【0030】反応性骨材粒の表面に固着したカルシウム
系白色包含物に関し、化学分析・X線回折分析・示差熱
分析を、また白色包含物生成後のペーストに関して化学
分析を、骨材に関し参考のためにX線解析分析を行っ
た。また用いたペースト中のNa2 O/K2 O比は1.
34と0.55の2ケースとし、セメントの品質変動の
影響も検証した。その結果は表4と表5に示すとおりと
なった。なお、両表においてはNaOH/KOHの比は
一酸化物の比として表現した。
【0031】
【表4】
【表5】 その化学分析値によれば、水和完了模擬ペースト中に反
応性骨材種を浸漬すると、短期間で活性質シリカがアル
カリ融解し、ペースト中にも1%前後のシリカ分が分散
し、特に骨材粒表面を白色包含する固着物件(ゲル)に
はシリカ分が13.9〜17.5%も混在する。従っ
て、水和完了コンクリート中のアルカリペーストは活性
質シリカをアルカリ融解するため、骨材表面部にはカル
シウムイオン(Ca2+)がシリカイオン(Si
2 5 2-)を求め固着する。
【0032】さらに白色包含物をX線回折分析した値を
見ると、消石灰(Ca(OH)2 )が強く、方解石(C
aCO3 )が弱く検出されるものの、化学分析で多量定
量されたシリカ(SiO2 )が不検出であって、これら
ゲルは非晶質のイオン結合ゲルと判定され、本発明の基
本的技術思想を裏づけている。また、白色包含物の示差
熱分析では、二つのピークが見られ、そのTDA値とT
G値から見ると一次ピークで消石灰(Ca(OH)2
の分解が、二次ピークで方解石(CaCO3 )の分解が
検出され、依然としてペーストをCa(OH)2 がアル
カリ金属を苛性化していることが理論づけられる。従っ
て、コンクリート中のように気密性が高く、Ca(O
H)2 がセメントの水和で長期間放出される環境では、
長年に亘って骨材のアルカリ融解とそのシリケートとカ
ルシウムとのゲル反応が生じ、コンクリートを膨脹破壊
するといえる。
【0033】また、ペースト中のNa2 OとK2 Oとの
比を変化させても、表4と表5から明らかなように、活
発に作用している。従ってアルカリ金属種の影響は少な
いといえる。
【0034】なお、これら反応性骨材の鉱物組成のうち
結晶質は、斜長石を主成分とし、微量成分として石英・
クリストバライト・輝石(紫蘇)・磁鉄鉱などからなっ
ているが、活性シリカ質としてはX線回折分析に表われ
ないガラス化した非晶質が主成分とされているが、試験
後のペースト中に表2、表3のごとく、MgOが0.3
〜0.4%も混在することから結晶質輝石(紫蘇)のア
ルカリ融解も示唆されている。また、ポゾラン質である
フライアッシュを反応性骨材と共に本ペーストに浸漬す
ると、微粉の影響もあるが骨材粒に先がけてアルカリ融
解しCa2+とイオン結合ゲル化することから、本発明ペ
ーストの融解力は著しく、またアルカリ骨材反応は一種
のポゾラン反応ともいえる。
【0035】(実施例2)本発明ペースト中における骨
材粒の体積膨脹と重量増加の挙動を表6に示す骨材粒に
関し実施、表7の実施例を得ている。
【0036】
【表6】
【表7】 これら実施例によれば、ペースト中でカルシウム系白色
物質で包含され、本発明の目視判定で潜在性ありと特定
され、かつ実害例があり、またASTMの二手法からも
それなりに潜在性ありと特定された骨材番号13〜16
のものは、浸漬14日の間に著しい体積膨脹と重量増加
を示し、典型的なアルカリ骨材反応現象が観測された
が、潜在性なしと特定された骨材番号10−12のもの
は、体積や重量の増減も少なく、かつ経時安定を示し、
アルカリ骨材反応の兆候は全く見られない。従って、本
発明の目視判定に疑義が生じる場合は、その骨材粒の体
積膨脹と重量増加の現象測定を併用することで、実挙動
を加味しながら確定することができ、本発明の定量判定
手法の根拠でもある。
【0037】なお、人工のパイレックスガラスのように
異常に活性が強く、著しい実害を生じる天然骨材よりも
10倍以上もアルカリ融解する物は、溶出拡散するシリ
カイオン(Si2 5 2-)によって、ペースト中のカル
シウムイオン(Ca+2)がすばやく中和されるため、基
本的に骨材粒表面へのカルシウム系白色物質の固着現象
は激減し、もし一時付着しても、核自体が高純で均質な
ため、その表面が次々に融解し、天然骨材のように核形
が残存しずらいこと、およびシリカイオンの拡散量が多
いためカルシウムイオンがシリカイオンを求め骨材表面
に吸着しないことにより白色包含されない。また、粒子
の体内はアルカリ融解されにくく、かつカルシウムイオ
ンが浸入しないため生ぜず、むしろ融解拡散分だけ減量
する。他方、ペースト自体はシリカイオンの放出拡散に
よってカルシウムのイオンと結合し、短期間で強固にゲ
ル化する。すなわち、パイレックスガラスのように高純
度で高活性の天然骨材のコンクリート利用は考えられな
いが、万一遭遇したとしても、ペーストのゲル化現象や
骨材種の重量低減現象から特定される。これも本発明の
ペーストゲル化判定の根拠の一つである。
【0038】(実施例3)本発明ペーストの温度を60
℃と80℃に高め、表6に示す骨材種の中から反応の最
も遅い骨材番号13を短期間浸漬し、表8の反応促進結
果を得ている。
【0039】
【表8】 これによれば、40℃では判定までに14日近く要した
ものが60℃では白色包含現象は6時間、体積膨脹と重
量増加現象は24時間、ペーストのゲル化現象は3日で
発見され、80℃ではさらに諸現象が6時間に短縮され
た。従って、浸漬ペーストの温度を60〜80℃に高め
れば、短時間でアルカリ骨材反応の潜在性を目視および
定量のいずれか単独または双方より特定できる。
【0040】
【発明の効果】本発明においては、水和完了済コンクリ
ートを模擬することで、アルカリ土類金属の発生時間省
略と実際的高混合を行なったため、その苛性化力によっ
てアルカリ金属の苛性化が高まり、顕著なアルカリ骨材
反応現象を迅速、簡便、安価に実現することができる。
【0041】更に詳説すれば、アルカリ反応性骨材粒の
事前チェックを簡便・迅速・確実に行うことが可能とな
り、有害骨材の使用回避や反応抑制の事前対策が容易と
なり、今日社会問題化しているコンクリートのアルカリ
骨材反応劣化の予防に貢献する。また、コンクリートの
供給製造者と利用者の不安を払拭すると共に、この原理
は学術的にも貢献する。
【0042】(1)本発明の試薬は、セメント中のアル
カリ金属の他に、セメントの水和で多量放出されるアル
カリ土金属を調合しているため、水酸化アルカリ金属の
苛性化を高め、活性骨材粒を容易にアルカリ融解する効
果がある。
【0043】(2)本発明の試薬は、正のカルシウムイ
オンを解離するカルシウム系白色物質が多量混在してい
るため、シリカ質の活性骨材がアルカリ融解し、負のシ
リカイオンが骨材粒表面に滲出すると、イオン結合でカ
ルシウム系白色物質が骨材表面に吸着固定される効果が
あり、一見してアルカリシリカ反応性骨材を特定するこ
とができる。
【0044】(3)本発明試薬は、苛性化が強いため活
性骨材粒の内部も順次融解し、またカルシウムイオンの
浸入も相乗して、活性骨材粒の体積と重量を著しく増量
せしめる効果があり、計測によってその程度までも特定
できる。
【0045】(4)活性骨材のアルカリ融解が進み、ペ
ースト中にシリカイオンが拡散すると、本発明ペースト
はゲル化する効果があり、その現象により浸漬骨材粒群
中に反応性粒の介在が特定できる。
【0046】(5)本発明のアルカリ骨材反応の特定手
法は、骨材粒個々をペーストに浸漬するため、粒毎に反
応の可否とその程度を(2)(3)から特定できる。
【0047】(6)本発明試薬は、高温にしても水酸化
アルカリ土金属が水酸化アルカリ金属の炭酸化を防止し
苛性化を維持するため、高温浸漬効果が顕著に現われ、
80℃の場合では数時間内に反応性骨材粒をカルシウム
系白色物質で包含し、かつ増量させまたペーストをゲル
化させる効果があり短時間で反応性骨材粒を特定でき
る。
【0048】(7)本発明試薬は、アルカリ金属の多い
セメントに相当し、それが水和し多量のアルカリ土金属
を放出したコンクリート中のアルカリ雰囲気を模擬して
おり、実際のアルカリ骨材反応と相似し最も現実的な迅
速判定手法といえる。
【0049】(8)本発明の判定方法は試薬とビーカー
と高温槽(40〜80℃)によってアルカリ骨材反応を
容易に発生せしめられ、その判定もカルシウム系白色包
含状態の目視、体積と重量の定量、ペーストのゲル化で
判定できコンクリート試験室の常用設備と技術員で十分
対応できることから、最も簡便かつ経済的な上に合理性
も併有する。
【図面の簡単な説明】
図1は本発明の目視判定法を説明するための略解図であ
る。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水;Ca(OH)2 ;及びNaOHとK
    OHの中の少なくととも一種を含み、NaOH及びKO
    Hに比しCa(OH)2 の混在率が高いことを特徴とす
    るコンクリート用骨材の潜在的アルカリ骨材反応性判定
    用試薬。
  2. 【請求項2】 水 50−100重量部、Ca(OH)
    2 50−70重量部、NaOH 0.5−5重量部、
    及びKOH 0.4−5重量部から成る請求項1記載の
    試薬。
  3. 【請求項3】 請求項1の試薬を加温し、検体であるコ
    ンクリート用骨材粒を浸漬し、 (i)骨材粒へのカルシウム系白色物質の付着、 (ii)骨材粒の膨脹又は重量の増大、及び (iii)試薬のゲル化 の少なくとも1つの生起をもって潜在的アルカリ骨材反
    応性ありとすることを特徴とする判定方法。
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JP2014202564A (ja) * 2013-04-03 2014-10-27 学校法人福岡大学 コンクリート評価方法およびその指示試薬

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