JPH0548810U - 抗菌容器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 簡単な構造で、しかも抗菌効果が高く、さら
には幅広い材質の容器に適用し得る抗菌容器を提供す
る。 【構成】 有底筒状の容器本体１の口部２に容器本体１
の内部に収納した液状内容物Ｋのみを取り出し可能とす
る取出口４を有する中栓３を装着し、前記容器本体１の
液状内容物Ｋ中にこの内容物に対して同程度または異な
る比重を持つ少なくとも１種類以上の粒状抗菌剤Ａ、
Ｂ、Ｃを多数含ませる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、細菌類の侵入および繁殖を防止でき、飲料、食品、化粧品、トイレ タリー、医薬品を収容するのに好適な合成樹脂製の抗菌容器に関する。

【０００２】

【従来の技術】

一般に、化粧品や化粧クリームの内容物中には、本来の目的である肌をきれい にするための成分の他、内容物を細菌類から保護するための防腐剤、防菌剤が含 まれている。しかしながら、近年では、自然指向が強く、安全性等を特に考慮し て、より自然な素材が多く用いられる傾向となっている。

【０００３】 そこで、近年では、細菌類の容器内への侵入を防止する対策として、エアバッ ク防止弁や、化粧品容器を形成する樹脂に抗菌効果を備えた抗菌剤を配合してな る抗菌容器等が提供されている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、前者のエアバック防止弁の性能は必ずしも十分とは言えず、ま た、部品点数の増加による製造コストの上昇の問題が生じるなど、細菌類の容器 内への侵入を防止する対策としては最善の方法とは言えず、結果として内容物に 防腐剤等を添加して対処せざるを得なかった。また、後者の抗菌容器にあっては 、抗菌剤は樹脂にのみ配合可能であるため、合成樹脂製の容器にしか適用し得ず 、たとえばガラス製の瓶容器には適用できず、その適用範囲が限られていた。

【０００５】 本考案は、前述の課題に鑑みてなされたもので、簡単な構造で、しかも抗菌効 果が高く、さらには幅広い材質の容器に適用し得る抗菌容器を提供することを目 的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】 そこで、請求項１の抗菌容器では、有底筒状の容器本体の口部に該容器本体の 内部に収納した液状内容物のみを取り出し可能とする取出口を有する中栓を装着 し、前記容器本体の液状内容物中に当該液状内容物に対して同程度または異なる 比重を持つ少なくとも１種類の抗菌性粒状物を多数含ませることを前記課題の解 決手段とした。

【０００７】 また、請求項２の抗菌容器では、前記中栓を抗菌剤を配合した樹脂から形成し 、前記容器本体の液状内容物中には該液状内容物に対して軽重異なる比重を持つ 数種類の抗菌性粒状物または前記液状内容物に対して同程度および異なる比重を 持つ数種類の抗菌性粒状物を多数含ませることを前記課題の解決手段とした。

【０００８】

【作用】

請求項１記載の抗菌容器においては、容器本体内の液状内容物よりも比重の軽 い抗菌性粒状物は液状内容物の表面付近に多数浮上して抗菌層を形成し、細菌類 の液状内容物に対する侵入を防止する。また、容器本体内の液状内容物と同程度 の比重の抗菌性粒状物は液状内容物中に多数浮遊状態となり、液状内容物中にお いて液状内容物に対する抗菌剤の接触面積を増加させて高い抗菌効果を発揮する 。さらに、容器本体内の液状内容物よりも比重の重い抗菌性粒状物は底部付近に 多数沈降して抗菌層を形成し、液状内容物中において液状内容物に対する抗菌剤 の接触面積を増加させて高い抗菌効果を発揮する。

【０００９】 また、請求項２記載の抗菌容器においては、容器本体の口部に抗菌剤を配合し てなる中栓を装着することで、容器本体の口部の内容物取り出し口から侵入する 細菌類に対して銀イオンの殺菌作用による抗菌効果を発揮する。さらに、容器本 体中の内容物中に内容物に対して軽重比重の異なる２種類の抗菌性粒状物を多数 含ませることによって、内容物の上下に形成される抗菌層により内容物がサンド イッチされ、上側の抗菌層で細菌類の侵入を防止し、上下の抗菌層で内容物中の 細菌類に対して抗菌作用を発揮する。

【００１０】 また、請求項２記載の抗菌容器においては、内容物を取り出す際において、容 器を傾けるが、口部を下にして底を上にして９０度以上傾けた場合、今迄底付近 にあった比重の重い抗菌性粒状物は口部方向に沈下し、内容物の表面にあった比 重の軽い抗菌性粒状物は底付近に浮上する。その結果、比重の異なる各抗菌性粒 状物の位置が逆転する。容器を戻せば、比重の異なる各抗菌性粒状物の位置が再 び逆転する。このように、容器を傾けたり、戻したりすることによって、各抗菌 性粒状物が上下に移動する間、内容物全体に対して抗菌剤が接触することになり 、高い抗菌効果を発揮する。

【００１１】

【実施例】

以下本考案の第１実施例を、図１および図２を参照して説明する。

【００１２】 本実施例の抗菌容器は、図１に示すように、液状化粧料Ｋを内部に収納する有 底筒状の容器本体１と、この容器本体１の上部に形成された口部２の上端に装着 される中栓３と、容器本体１内の液状化粧料Ｋ中に多数含まれ異なる比重を持つ ２種類の抗菌性粒状物Ａ、Ｂとから構成されている。

【００１３】 前記容器本体１は、ガラス製、合成樹脂製等の中空容器とされており、容器本 体１の口部２に対してはねじ嵌合等の周知手段によりキャップを装着できるよう になっている。また、容器本体１の材質は上記材質が通常であるが、これに特に 限定されるものではない。

【００１４】 また、中栓３は、口部２の上端内面に基端側が嵌入される有頭筒状の本体部３ ａと、本体部３ａの上端側外側面に周設された鍔部３ｂとから構成されており、 かかる中栓３は、前記本体部３ａを口部２の上端内面に嵌入するとともに、鍔部 ３ｂを口部２の上端に係止させることにより、口部２に対して装着されるように なっている。またこの中栓３の本体部３ａの天面中央には容器本体１内部の液状 化粧料Ｃを取り出す取り出し口４が軸方向に穿設されている。この取り出し口４ には、図２に示すように、網状のスリット部５が形成されている。このスリット 部５は、容器本体１内部の液状化粧料のみを取り出し可能としかつ容器本体１内 部の抗菌性粒状物Ａ、Ｂを外部に飛び出し不可とするものである。

【００１５】 かかる中栓３は、抗菌剤を配合した合成樹脂から形成されている。配合すべき 抗菌剤としては、抗菌性ゼオライトまたは抗菌性アパタイトがある。たとえば前 者の抗菌性ゼオライトは、粒径０．７〜１．５ミクロン程度のもので、ゼオライ トの結晶構造中のナトリウムイオンを抗菌作用を有する銀イオン、銅イオン、亜 鉛イオン等にイオン交換したものである。この抗菌性ゼオライトは無機系抗菌剤 であって、各種高分子へ粉末として混入・成形することができる。この抗菌性ゼ オライトの配合比は、ベース樹脂に対して０．１〜３０重量％とされている。か かる抗菌剤によれば、口部２の取り出し口４から侵入する細菌類に対して抗菌作 用を発揮し、細菌類の容器本体１内部への侵入を防止できる。また、上記抗菌剤 を配合する樹脂としては、ポリオレフィン系が好ましく、たとえばポリエチレン （ＰＥ）、ポリプロピレン（ＰＰ）等が好適に用いられる。

【００１６】 前記抗菌性粒状物Ａ、Ｂは、容器本体１内部の液状化粧料Ｋに対し抗菌作用を 発揮させるためのもので、それぞれ上記抗菌剤を配合して成る樹脂をそれぞれ比 較的大きさの小さい粒状物としたものである。また、抗菌剤自体を粒状にしたも のもある。かかる抗菌性粒状物Ａ、Ｂは、抗菌性ゼオライトの抗菌効果が抗菌性 ゼオライトと内容物との接触面積が大きい程高くなる点に鑑みて、粒状物とした ものである。このような抗菌性粒状物Ａ、Ｂは、樹脂の成分を変えたり、抗菌剤 の配合比を変えることにより、それぞれ液状化粧料Ｋに対する比重を異ならしめ た２種類のものが使用される。さらに各抗菌性粒状物Ａ、Ｂの大きさは、栓体の スリットより流出しない程度であればよい。

【００１７】 上記抗菌性粒状物の組み合わせ例としては、第１に、前記したように液状化粧 料Ｋの比重よりも軽い比重を持つ抗菌性粒状物Ａと液状化粧料Ｋの比重よりも重 い比重を持つ抗菌性粒状物Ｂとの組み合わせ（図１）、第２に、液状化粧料Ｋの 比重と同程度の比重を持つ抗菌性粒状物Ｃと液状化粧料Ｋの比重よりも軽い比重 を持つ抗菌性粒状物Ａとの組み合わせ（図３）、第３に、液状化粧料Ｋの比重と 同程度の比重を持つ抗菌性粒状物Ｃと液状化粧料Ｋの比重よりも重い比重を持つ 抗菌性粒状物Ｂとの組み合わせ、の例がある。

【００１８】 図１は上記第１の組み合わせ例を示している。図１においては、液状化粧料Ｋ よりも比重の軽い抗菌剤Ａは液状化粧料Ｋの表面に多数浮上して抗菌層１０を形 成する。また、液状化粧料Ｋよりも比重の重い抗菌剤Ｂは容器本体１の底に多数 沈んで抗菌層１１を形成する。これによって、液状化粧料Ｋの上下の抗菌層１０ 、１１で液状化粧料がサンドイッチされることになる。そして、上側の抗菌層１ ０で容器本体１内に侵入する細菌類をほぼ死滅させるとともに、上下の抗菌層１ ０、１１で液状化粧料Ｋ中に存在し得る細菌類に対して抗菌作用を発揮し、細菌 類の繁殖を防止することができる。

【００１９】 また、上記第１の組み合わせにおいて、液状化粧料Ｋを取り出す際に、容器を 傾けるが、口部２を下にして容器底部を上にして９０度以上傾けた場合、今迄容 器底付近にあった比重の重い抗菌性粒状物Ｂが口部２方向に沈下し、液状化粧料 Ｋの表面にあった比重の軽い抗菌性粒状物Ａが容器底部付近に浮上し、各抗菌性 粒状物Ａ、Ｂが各々の反対位置に移動する。容器を再び正立状態に戻せば、各抗 菌性粒状物Ａ、Ｂの位置が再び元の位置に移動する。このように、容器を傾けた り、戻したりすることによって、各抗菌性粒状物Ａ、Ｂが上下に移動する間、液 状化粧料Ｋ全体に対して抗菌効果を発揮させることができる。

【００２０】 図３は、上記抗菌性粒状物の第２の組み合わせ例を示している。図３において 、液状化粧料Ｋと比重が同程度の抗菌性粒状物Ｃが液状化粧料Ｋ中に多数浮遊状 態となり、比重の軽い抗菌性粒状物Ａが液状化粧料Ｋの表面に浮上して抗菌層１ ０を形成する。これによって、上の抗菌層１０が細菌類の液状化粧料Ｋ中への侵 入を防ぐとともに、液状化粧料Ｋ中に浮遊する抗菌性粒状物Ｃが液状化粧料Ｋ中 で直接抗菌作用を発揮する。

【００２１】 また、図示しないが、上記抗菌性粒状物の第３の組み合わせ例として、液状化 粧料Ｋと比重が同程度の抗菌性粒状物Ｃが液状化粧料Ｋ中に多数浮遊状態となり 、比重の重い抗菌性粒状物Ｂが液状化粧料Ｋの底に沈下して抗菌層１１を形成す る。これによって、液状化粧料Ｋ中に浮遊する抗菌性粒状物Ｃが液状化粧料Ｋ中 で直接抗菌作用を発揮し、底に沈下した抗菌性粒状物Ｂが下方から液状化粧料Ｋ に対し抗菌効果を発揮させることができる。

【００２２】 なお、上記抗菌性粒状物の第４の組み合わせとして、上記比重の異なる３種類 の抗菌性粒状物Ａ、Ｂ、Ｃを同時に使用してもよい。この場合、上記した全ての 抗菌作用を発揮させることができる。また、抗菌性粒状物Ａ、Ｂ、Ｃのうち、い ずれか１種類を用いても初期の目的は達成し得る。即ち、抗菌性粒状物Ａを用い れば細菌類の液状化粧料への侵入を防止でき、抗菌性粒状物Ｂ、Ｃを用いれば液 状化粧料との接触面積が大きくなりより高い抗菌作用を発揮できる。

【００２３】 本実施例の抗菌容器によれば、口部２に装着した中栓３の抗菌作用により、容 器本体１内部に侵入する細菌類をほぼ死滅させて細菌類の侵入を防止できるとと もに、万一口部２から容器本体１内部に侵入した細菌類は液状化粧料Ｋ中に入る 前に液状化粧料Ｋの表面に形成される抗菌層１０により捕獲され、ほぼ死滅する 。さらに、液状化粧料Ｋ中に細菌類が存在したとしても、上下の抗菌層１０、１ １が抗菌作用を発揮し、しかも、液状化粧料Ｋを取り出す際に容器を倒したり起 こしたりする際に抗菌性粒状物Ａ、Ｂが上下動し、液状化粧料Ｋ全体に対してよ り大きな抗菌作用を発揮させることができる。したがって、本実施例の抗菌容器 によれば、細菌類に対する抗菌作用はきわめて効果の高いものとなる。このため 、抗菌容器としては、合成樹脂製の材質に限定されず、ガラス製の容器なども好 適であり、その材料の適用範囲は広い。

【００２４】 なお、中栓３の構造としては、図１に示す構造に限らず、図３あるいは図４に 示す構造のものもある。図３に示す抗菌容器の中栓３は、中栓３の本体３ａの天 面に上方に突出する筒部３ｃが形成されるとともに、この筒部３ｃの内面に格子 状のスリット部６が形成された構造とされている。また、第４図に示す抗菌容器 の中栓３は、口部２の上端に係止する鍔部３ｅを主体として形成され、この鍔部 ３ｅの裏面に口部２内部に進入する筒部７が垂設され、この筒部７の内側に縦ス リット７ａが形成された構造とされている。いずれの構造であっても、容器本体 １内部の抗菌性粒状物の取り出し口４からの外部への飛び出しが防止される構造 となっている。

【００２５】

【考案の効果】

以上説明したように、本考案の抗菌容器によれば、容器本体中の液状内容物中 に内容物と同程度または異なる比重の少なくとも１種類の抗菌性粒状物を多数含 ませることとしたから、抗菌性粒状物を、その比重に応じて液状内容物の表面付 近または底部付近に位置させ、あるいは液状内容物中に浮遊状態とすることで、 容器本体中の液状内容物に対する細菌類の侵入を防止し、または液状内容物中に おいて液状内容物に対する抗菌剤の接触面積を拡大して高い抗菌効果を発揮させ ることができる。さらには、容器本体中の液状内容物を取り出す際に、容器本体 を傾けたり戻したりして抗菌性粒状物を上下動させることにより、容器本体中の 液状内容物全体に対して抗菌剤を接触させることができ、これによっても高い抗 菌効果を発揮させることができる。このため、抗菌剤を配合できないガラス製等 の容器に対しても抗菌効果を発揮させることができ、合成樹脂のみならず、種々 の材質から成る容器を抗菌容器として幅広く利用することができる。また、中栓 および抗菌性粒状物は容器本体と別体であり、別途に生産できるため、製造コス トの低減を図れる他、既存の容器をも抗菌容器として利用できる効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示す抗菌容器の縦断面図で
ある。

【図２】同抗菌容器の平面図である。

【図３】同抗菌容器の縦断面図である。

【図４】中栓の別構造を示す抗菌容器の断面図である。

【図５】中栓の別構造を示す抗菌容器の断面図である。

【符号の説明】

１ 容器本体 ２ 口部 ３ 中栓 Ａ 抗菌性粒状物 Ｂ 抗菌性粒状物 Ｃ 抗菌性粒状物 Ｋ 液状化粧料（液状内容物）。

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 有底筒状の容器本体（１）の口部（２）
   に該容器本体（１）の内部に収納した液状内容物（Ｋ）
   のみを取り出し可能とする取出口（４）を有する中栓
   （３）が装着され、前記容器本体（１）の液状内容物中
   には該液状内容物（Ｋ）に対して同程度または異なる比
   重を持つ少なくとも１種類の抗菌性粒状物（Ａ、Ｂ、
   Ｃ）が多数含まれていることを特徴とする抗菌容器。
2. 【請求項２】 前記中栓（３）は抗菌剤を配合した樹脂
   から形成され、前記容器本体（１）の液状内容物中には
   該液状内容物（Ｋ）に対して軽重異なる比重を持つ数種
   類の抗菌性粒状物（Ａ、Ｂ）または前記液状内容物
   （Ｋ）に対して同程度および異なる比重を持つ数種類の
   抗菌性粒状物（Ｃ、Ａ）が多数含まれていることを特徴
   とする抗菌容器。