JPH0547737A - 素子ウエハのエツチング制御方法 - Google Patents

素子ウエハのエツチング制御方法

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JPH0547737A
JPH0547737A JP22882091A JP22882091A JPH0547737A JP H0547737 A JPH0547737 A JP H0547737A JP 22882091 A JP22882091 A JP 22882091A JP 22882091 A JP22882091 A JP 22882091A JP H0547737 A JPH0547737 A JP H0547737A
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etching
element wafer
wafer
flatness
etchant
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Application number
JP22882091A
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English (en)
Inventor
Sakae Tezuka
栄 手塚
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JFE Steel Corp
Original Assignee
Kawasaki Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 エッチャントの浪費が少なく、且つ高い生産
性で、目標通りの平均厚み、及び、平坦度の素子ウエハ
を生産する。 【構成】 素子ウエハの外観的平坦度、及び、素子ウエ
ハの残留応力層の厚み分布を測定し、これらに基づいて
残留応力層を除去した後の有効平坦度を推定し、この推
定値を基に、最も平坦となるエッチング条件を選択して
エッチングする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、半導体材料の素子ウ
エハ、特にエッチング加工前の状態で、スライス及び/
又はラッピングによる機械加工に基づく残留応力層を有
する素子ウエハのエッチング制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体材料としての素子ウエハは、シリ
コンや砒化ガリュウム等のインゴットを鋸断(スライ
ス)して得られた平坦度の悪い状態から、エッジ研削、
ラッピング等の機械加工を経て、エッチング及びポリッ
シングにより、鏡面ウエハに仕上げられる。
【0003】平坦度のよい鏡面ウエハを得るためには、
エッチングにおいてできる限り平坦にすると共に、最適
なポリッシング条件を選択しなければならない。
【0004】ここで、エッチング工程は、ポリッシング
工程に先立ち有害な残留応力層を除去することを目的と
している。
【0005】即ち、スライスやラッピング等の機械加工
によって、ウエハに生じた残留応力層は、無応力層に比
べて結晶光子が歪んでいるため、半導体素子としての電
子的特性を狂わせる大きな原因になる。更に、半導体製
造工程中に加えられる熱処理等で、割れの原因にもなる
ので、これをエッチングによって除去するものである。
【0006】このようなエッチングが最適になされない
と、エッチングによってかえって素子ウエハの平坦度が
損なわれることになり、時間の無駄、エッチャントの浪
費を招くことになるために、最適エッチング条件を選択
する必要があり、このためには、従来は、エッチング前
あるいはエッチング後において、素子ウエハの平坦度を
測定し、これを適宜エッチング工程の条件選択にフィー
ドバックさせていた。
【0007】このような従来からの素子ウエハの平坦度
の測定方法としては、静電容量センサによりウエハ表面
を相対的2次元走査を行う方法、特開平2−28003
号公報に開示されるような、差動トランス型距離測定セ
ンサを用いる方法がある。
【0008】又、エッチング方法としては、例えば特開
昭50−53775号公報に開示されるような、素子ウ
エハのエッジをローラで垂直に支持して回転させながら
液槽に浸し、更に液の濃度と温度を一定に制御すること
によって、平坦でステイン(しみ)やスクラッチのない
ウエハを、少ないエッチャント使用量でエッチングする
方法がある。
【0009】又、特開昭58−166726号公報に
は、表面に導通路を持つ平板をウエハと平行に動かしな
がら素子ウエハをエッチングすることによって、エッチ
ャントが攪拌され、均一にエッチングされる装置が開示
されている。
【0010】更に、特開昭59−219476号公報に
は、主液槽と反応槽からなり、濾過されたエッチャント
が分配管と枝管を経て、スリット板で支持された多孔板
で整流されて反応槽に送り込まれることによって、平面
度と平行度のよい素子ウエハを得るようにしたエッチン
グ装置が開示されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】前記静電容量センサに
よって相対的2次元走査を行う方法は、残留応力層を有
する素子ウエハの平坦度測定に利用することができない
という問題点がある。
【0012】即ち、静電容量センサは、被測定物及びセ
ンサと被測定物との間の誘電率が一定であることが必要
条件であるが、残留応力層を有する素子ウエハでは圧電
現象により素子ウエハ内の誘電率が無応力状態のそれか
ら変化していて、距離の測定値が残留応力の大小によっ
て大きく変化して、正確な距離の測定が不可能だからで
ある。
【0013】又、前記差動トランス型距離測定センサを
用いたものが、センサを素子ウエハに直接押付けなけれ
ばならないので、素子ウエハの表面に新たな残留応力層
や欠陥を生じさせる恐れがあるという問題点がある。
【0014】又、前記エッチング方法及びエッチング装
置では、素子ウエハの外観上の平坦度及び残留応力層の
厚みの分布のどちらも考慮されていなかった。換言すれ
ば、エッチングされる素子ウエハは、外観上平坦であっ
て、残留応力層の厚みが均一であることを前提としてい
た。
【0015】従って、無応力層までエッチングしてしま
って、エッチング後の素子ウエハの厚み不良や、平坦度
不良、更には時間及びエッチャントの浪費という問題を
生じていた。
【0016】この発明は、上記従来の問題点に鑑みてな
されたものであって、残留応力の大きさ及び残留応力層
の厚みに影響されることなく、且つ、非接触で、素子ウ
エハの有効平坦度を推定し、これに基づき、無応力層を
必要以上にエッチングすることがなく、生産性を改善
し、且つ、エッチャントの浪費が少なく、目標通りの平
均厚み、及び、平坦度の素子ウエハを生産できる素子ウ
エハのエッチング制御方法を提供することを目的とす
る。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明は、素子ウエハの
外観的平坦度、及び、該素子ウエハの残留応力層の厚み
分布を測定し、これらの測定値に基づき前記残留応力層
を除去した後の有効平坦度を推定し、該推定値を基に、
最も平坦となるエッチング条件を選択してエッチングす
ることにより、上記課題を達成するものである。
【0018】ここで、前記エッチング条件は、エッチン
グ槽内におけるエッチャントの温度やエッチャントの成
分、濃度並びに素子ウエハ周囲での流速、素子ウエハの
回転速度であることにしてもよい。
【0019】更に、前記エッチング条件を前記素子ウエ
ハの材料成分の種類及び濃度に応じて選定することにし
てもよい。
【0020】
【作用及び効果】この発明によれば、まず素子ウエハの
平坦度を外観的平坦度として測定しているので、例えば
静電容量センサで平坦度を測定した場合のように、残留
応力層の影響を受けることがない。
【0021】次に、素子ウエハの条件やラッピング条件
を一定に保てば、ラッピング後の素子ウエハの残留応力
層の厚みと素子ウエハ表層部の残留応力値とがよく対応
するから、素子ウエハの残留応力層の厚み分布を測定し
て、外観的平坦度と残留応力層の厚み分布の測定値に基
づいて、残留応力層を除去した後の素子ウエハの有効平
坦度を推定しているので、無応力層よりもはるかに速く
エッチングされる残留応力層の除去後の平坦度を正確に
推定することができる。
【0022】更に、この推定値に基づいて、エッチング
条件を最適に選んでエッチングし、平坦な素子ウエハを
能率良く得ることができる。
【0023】又、請求項2によれば、前記エッチング条
件を、エッチング槽内におけるエッチャントの温度、エ
ッチャントの成分、濃度並びに素子ウエハ周囲での流
速、及び、素子ウエハの回転速度としているので、平坦
な素子ウエハを能率良く得ることができる。
【0024】素子ウエハのエッチング速度が、エッチン
グ槽内におけるエッチャントの温度と成分と、濃度及び
素子ウエハの周りの流速と、素子ウエハの回転速度の影
響を受けることによるものである。
【0025】更に、請求項3によれば、前記エッチング
条件を前記素子ウエハの材料成分の種類及び濃度に応じ
て選定するので、更に平坦な素子ウエハを能率良く得る
ことができる。
【0026】素子ウエハの残留応力層が無応力層よりも
はるかに速くエッチングされ、且つそのエッチング速度
が、半導体材料の成分の種類及びその濃度、例えばシリ
コン単結晶中のドーパントの種類とその濃度によって決
定されることによるものである。
【0027】本発明の方法によって、推定した残留応力
層の厚みと、残留応力層を除去した後の有効平坦度を使
ってエッチング条件を最適に選定することによって、素
子ウエハのエッチング時間を、従来と比較して10〜2
0%短縮でき、更にエッチング後の素子ウエハの平坦度
を20〜30%改善することができると共に、生産性、
エッチャント消費量の改善もできた。
【0028】発明者は、硼酸(ボロン,B)やリン
(P)、砒素(As )等をドープしたシリコン単結晶の
素子ウエハをエッチした。
【0029】ここで、エッチング速度はドーパントの種
類に依存し、更にドーパントの濃度や残留応力の大き
さ、エッチャントの温度に依存することを発見した。
【0030】又、エッチングにおけるエッチャントの消
費量とエッチャントの温度上昇量もエッチング速度と同
様の傾向を示した。この特性をコンピュータのメモリに
記憶させた。
【0031】実験に供した素子ウエハは、全て直径15
0mmのラップ後ウエハで、外観上の平坦度は全て5μm
以内に入っていたが、残留応力層の厚みは2〜5μm に
ばらつき、なお且つ、素子ウエハの中心部で厚いグルー
プと外周部で厚いグループに2分された。これらの素子
ウエハ群を更に2分して、従来の方法と本発明の方法に
よってエッチした。
【0032】本発明の方法では、残留応力層の厚みの分
布に応じてエッチャントの各成分の混合比や、循環流
量、素子ウエハの回転速度を調節し、それに対応してエ
ッチング時間を設定した。この結果、次に示すような違
いが見られた。
【0033】 従来の方法 本発明の方法 1.平坦度の標準偏差 2.83μm 0.87μm 2.平均厚みの標準偏差 0.75μm 0.35μm 3.エッチング時間 13秒 11秒 4.エッチャント消費量 2.3 l/100枚 1.7 l/100枚
【0034】上記の比較データのうち、エッチャント消
費量については、従来は予め混合しておいたエッチャン
トを過去の経験に従って供給していたために、エッチン
グ反応によって消耗せずに活性を持ったまま残っている
成分も供給していたが、本発明の方法では、エッチング
反応によって消耗した成分だけを供給するようにしたも
のであって、各成分の単価を考慮すると、金額的な効果
は上の表の数値の比以上になる。
【0035】
【実施例】以下、本発明の実施例について詳細に説明す
る。
【0036】まず、本発明の基本的構成について説明す
る。
【0037】本発明では、外観的な平坦度を素子ウエハ
内の残留応力の影響を受けることなく測定し、更に素子
ウエハ内の残留応力層の厚み分布を測定し、これらの測
定値を演算することによって、残留応力層を除去した後
のウエハの平坦度を推定し、この推定値に基づき、素子
ウエハが最も平坦になるエッチング条件を選択するもの
である。
【0038】前記外観的な平坦度の測定は、例えばレー
ザ光のような単色光を素子ウエハ表面に照射し、その反
射光を三角測量法又はモアレ縞法等の光学的方法によっ
て測定して、ウエハの外観的な平坦度を測定する。
【0039】素子ウエハ内の残留応力層の厚み分布は次
のようにして測定する。
【0040】まず、素子ウエハの近傍に静電容量センサ
を置き、該静電容量センサを素子ウエハの表面に対して
略平行に、相対的に走査すると、素子ウエハや素子ウエ
ハと静電容量センサ間の空間の誘電率の積分値が得られ
る。
【0041】ここで、素子ウエハの幾何学的形状及び前
記誘電率が一定であれば、前記積分値は、静電容量セン
サと素子ウエハとの間の距離を表わすが、前記幾何学的
形状及び誘電率が一定でないとすると、単純に距離を表
わすものとすることができない。
【0042】ここで、前記静電容量センサの大きさ、及
び、静電容量センサと素子ウエハ間の距離を十分小さく
すると、静電容量センサと対象物の相対形状の影響を受
けずに誘電率の積分値が得られる。
【0043】これに加え、前記三角測量法やモアレ縞法
等の光学的方法によって測定した距離を使って、素子ウ
エハの誘電率を求めることができる。
【0044】誘電率から、静電容量の分布、更には残留
応力の分布は次のように求める。
【0045】断面積Sの静電容量センサーを、比誘電率
εw の素子ウエハから距離La の点に置いた時の静電容
量Cは次式で表わされる。
【0046】 C=ε0 ・S・{1/(La /εa +Lw /εw )} …(1) 但し、ε0 :真空の誘電率 εa :空気の比誘電率 Lw :素子ウエハの厚み
【0047】(1)式において、εw 以外の量が全て既
知であれば、εw を求めることができる。
【0048】更に、誘電体の比誘電率は次式で表わされ
る。
【0049】 ε=ε0 +(γ・N・e 2 /m ) ×{1/(ω0 2 −ω2 +i ・ω・f /m )} …(2) 但し、γ:幾何学的定数 N:単位体積当りの粒子数 e :粒子の電荷 m :粒子の質量 k :ばね定数 ω0 :k /m ω:角周波数 i :虚数(i 2 =−1) f :摩擦定数
【0050】(2)式において、Nは誘電体に作用する
応力σに比例して変化するから、誘電率εも応力σに比
例して変化する。即ち、誘電率の微小変化d εと応力の
微小変化d σの間には次の関係がある。
【0051】 d ε=(γ・e 2 /m )・1/(ω0 2 −ω2 +i ・ω・f /m ) ×(ΔN/Δσ)・d σ …(3) 但し、ΔN/ΔσはNのσに対する微係数、Δは偏微分
演算子。
【0052】又、比誘電率εと比抵抗ρの間には次の関
係がある。
【0053】 1/ρ=ω・ε′′/γ …(4) 但し、ε=ε′+i ε′′ ε′ :複素誘電率の実数部 ε′′:複素誘電率の虚数部 cos θ=ε′/|ε|・・・ (θ:力率)
【0054】有効平坦度は次のように推定される。
【0055】外観上の平坦度を、座標(r ,θ)上の厚
みLo (r ,θ)とする。
【0056】座標(r ,θ)の点の静電容量をC(r ,
θ)とする。
【0057】(1)式より、ウエハの比誘電率εw は次
のように求められる。
【0058】 εw =Lw /{(ε0 ・S/C)−(La /εa )} …(5)
【0059】更に、(3)式の比誘電率εをεw と置き
換えると、比誘電率εw の微小変化d εw から、応力の
微小変化d σは次のように求められる。但し、ΔN/Δ
σは素子ウエハの縦弾性係数に比例する係数である。
【0060】 d σ={m ・(ω0 2 −ω2 +i ・ω・f /m ) /(γ・e 2 ・ΔN/Δσ)}・d εw …(6)
【0061】(5)式から、 εw =(−Lw /La )・εa ・{1+(ε0 ・εa ・S/La ) /(C−ε0 ・εa ・S/La )} …(7)
【0062】これをCに関して微分すると、次のように
なる。但し、lnは自然対数を表わす。
【0063】 d εw =(−Lw /La 2 )・εa 2 ・ε0 ・S ×ln(C−ε0 ・εa ・S/La )・d C …(8)
【0064】(6)式と(8)式より、応力の微小変化
d σは次のように表わされる。
【0065】 d σ={m ・(ω0 2 −ω2 +i ・ω・f /m )} /(γ・e 2 ・ΔN/Δσ) ×(−Lw /La 2 )・εa 2 ・ε0 ・S ×ln(C−ε0 ・εa ・S/La )・d C …(9)
【0066】この式を使うと、静電容量Cの分布C(r
,θ)から、残留応力の分布σ(r,θ)を知ることが
できる。
【0067】半導体材料の素子ウエハは一般的に脆弱で
あるので、ラッピングによる残留応力層はウエハの表面
直下に集中し、その残留応力層の厚みτはウエハの表面
真下の残留応力σの大きさにほぼ比例し次のように表わ
される。
【0068】 τ(r ,θ)=α・σ(r ,θ) …(10)
【0069】即ち、(9)式と(10)式より、静電容
量の分布C(r ,θ)を測定することにより、残留応力
層の厚みの分布τ(r ,θ)を知ることができる。
【0070】従って、外観上の平坦度Lo (r ,θ)か
ら、対応する座標の残留応力層の厚みLs (r ,θ)を
差し引くと、残留応力層を除去した後の有効平坦度Lc
(r,θ)を推定することができる。
【0071】 Lc (r ,θ)=Lo (r ,θ)−Ls (r ,θ) …(11)
【0072】(4)式の比抵抗ρは、公知のように、半
導体材料としての単結晶を作る段階で添加するドーパン
トの種類と、その濃度に強く影響され、なお且つチョク
ラルスキー法で作ったシリコン単結晶では、1本の単結
晶の中でも単結晶の長さ方向の位置によってドーパント
の濃度が異なり、それに応じて比抵抗の値も差違があ
る。更に1枚の素子ウエハの中でも半径方向の位置によ
って僅かに比抵抗の値に差違がある。これは単結晶を溶
融シリコンから引上げる際の固液界面が曲面状になって
いることによる。
【0073】このように、1枚のウエハ内の比抵抗の値
は大まかには、ドーパントの種類と、その濃度によって
求めることができ、更に詳しくは、個々のウエハの面内
の代表点の比抵抗の値を4探針法等によって測定するこ
とによって把握し得る。
【0074】一方、素子ウエハの硬度はドーパントの濃
度が高いほど大きく、同じ応力が作用してもそれによっ
て発生する結晶格子の歪みは小さい。
【0075】次に、上記のようにして得られた情報を元
にしてエッチング条件を選定し、最も平坦な素子ウエハ
をエッチングする過程の基本原理について説明する。
【0076】素子ウエハにはオリエンテーションフラッ
トが有り、厳密にはオリエンテーションフラットに対す
る相対位置を考慮する必要があるが、素子ウエハのウェ
ットエッチングにおいては、オリエンテーションフラッ
トの存在を考慮して制御することはできないので、以後
はこれを無視し、素子ウエハをオリエンテーションフラ
ットの無い完全な円盤状であると仮定する。
【0077】次のように記号を定める。
【0078】 r :半径方向位置 T :温度 [N]:硝酸濃度 [F]:弗酸濃度 [A]:酢酸濃度 D :ドーパント濃度 P :素子ウエハの回転速度 Q :エッチャントの流速 R :素子ウエハの半径 E :エッチング速度
【0079】以下は下添字 o :初期値 t :目標値 a :実際値 s :残留応力層 n :ドーパントの種類 c :推定値(計算値) opt :最適値
【0080】前記(11)式を次式のように簡単にす
る。
【0081】 Lc (r )=Lo (r )−Ls (r ) …(12)
【0082】目標の平坦度Lt (r )を得るためのエッ
チング量d Lt (r )は次式で表わされる。
【0083】 d Lt (r )=Lo (r )−Lt (r ) …(13)
【0084】ここでLt (r )=Lt 、即ち面内にわた
って均一であるとしても良いが、後のポリッシング工程
における減厚パターンによっては、エッチング後の素子
ウエハの平坦度に分布を持たせる方が良いこともあるの
で、ここでは分布をつけることにする。
【0085】理想的には、(12)式のLc (r )がL
t (r )に等しければ良いが、Lo(r )及びLs (r
)の値と素子ウエハ面内のエッチング速度の値のばら
つきによっては、必ずしもLc (r )はLt (r )に一
致しない。
【0086】この問題点は、エッチング条件を最適に選
ぶことによって解決される。エッチング速度は、次式の
ように減厚速度として表わされる。
【0087】 E(r )=−ΔL(r )/Δt …(14)
【0088】又、エッチング速度は、素子ウエハの条件
やエッチングの条件によって、次のように表わされる。
【0089】 E(r )=E(r ,T,[N],[F],[A],Dn ,P,Q,Ls ,R) …(15)
【0090】エッチング速度に影響を及ぼす諸因子のう
ち、素子ウエハに固有のDn とLs、Rは、エッチング
に際して与えられるものであり、これに対して、Tや
[N]、[F]、[A]、P,Qは、与えられたDn や
Ls 、Rの下で、E(r )を希望する値とパターンにす
るために調節可能な因子である。又、時間t は、希望す
るエッチング速度Ea (r )の下でLc (r )をLt
(r )に一致させるために必要な時間である。
【0091】次に、これらについて詳細に説明する。
【0092】素子ウエハのエッチング速度Eは、素子ウ
エハの成分とその濃度(例えばシリコンウエハのドーパ
ントの種類n と、その濃度Dn )、及び素子ウエハのエ
ネルギーレベル(即ち、残留応力層の厚みLs 等)と、
エッチャントの成分(硝酸,弗酸,酢酸等)と、それぞ
れの濃度[N]、[F]、[A]、及び温度Tと、更に
素子ウエハとエッチャントとの相対的な流速Q等によっ
て決定される。
【0093】エッチング速度Eの例は「半導体プロセス
材料実務便覧」第197頁、第198頁、及び図−2
に、又、サイエンスフォーラム発行の「エレクトロニク
ス用結晶材料の精密加工技術」第431頁、第432
頁、表1、図−1、同第440頁、第441頁、及び図
−2〜図−4に、それぞれ示されている。
【0094】これらは、あるドーパントの種類n と濃度
Dn の素子ウエハに関する例であって、ドーパントの種
類n と濃度Dn が変れば定量的には差異が生じるが、そ
のドーパントの種類n と濃度Dn に対して最適のエッチ
ャントの濃度[N]opt 、[F]opt 、[A]opt が有
ることを示している。
【0095】即ち、硝酸と弗酸の混合液を酢酸(又は
水)で希釈したエッチャントでシリコンウエハをエッチ
する場合、最初にシリコンSi は硝酸によって酸化され
てSiO2 になる。次に、この酸化物が弗酸にとけて再
び新しいSi 面がエッチャントに露出されて反応が継続
される。
【0096】まず、硝酸濃度[N]が低い領域では酸化
作用が弱いため、Siの酸化に触媒としてのNOが必要
である。一旦、エッチング反応が始まると、このNOは
エッチング反応の生成物として硝酸が分解されて供給さ
れる。又、素子ウエハの表面に結晶の欠陥や歪みが有る
場合には、素子ウエハのエネルギーレベルが高いため
に、触媒としてのNOが無くてもエッチング反応が進行
する。そして、一旦エッチング反応が始まると、生成さ
れるNOの触媒作用と反応熱によるエッチャントの温度
上昇によって、エッチング反応は加速度的に進行する。
【0097】この現象はエッチャントが滞留し易い場合
に、より顕著になる。即ち、エッチャントと素子ウエハ
との間の相対流速Qが低く、且つ複数枚の素子ウエハを
平行に保持してエッチャントに浸漬している場合、素子
ウエハの中心部において起り易い。
【0098】従って、この場合には素子ウエハは凹形状
になり易い。
【0099】次に、硝酸濃度[N]が高く、且つ低希釈
の場合には、硝酸による酸化速度が大きく、NO触媒量
が飽和するが、一方で弗酸による溶解速度が小さいの
で、素子ウエハの表面は酸化膜で覆われる。従って、こ
の領域では、酸化膜の溶解は酸化膜への弗酸の拡散によ
って律速される。
【0100】この反応は、素子ウエハとエッチャントと
の相対流速Qが大きい場合で、且つ素子ウエハの周辺部
において顕著になる。この結果、得られる素子ウエハは
凸形状になり易い。
【0101】前述のように、残留応力層Ls のエッチン
グ速度Eは、無応力層のそれよりもはるかに大きい。し
かし、無応力層と言えども、エッチング速度Eは零では
なく、ましてや触媒としてのNOの増加やエッチャント
温度Tの上昇が加味されると、無応力層の方がエッチン
グ速度Eが大きくなることもある。
【0102】このような状況に対し、調節可能な因子
[N]、[F]、[A]、P、Q、Tを、それぞれ独立
して、あるいは組合せて調節することによって、希望す
るエッチング速度パターンE(r )を得ることができ
る。
【0103】即ち、残留応力層の分布Ls (r )と、希
望のエッチング量の分布Lo (r )−Lt (r )によっ
て、次のように整理することができる。
【0104】 Lo(o)−Lt(o)>Lo(R)−Lt(R) Lo(o)−Lt(o)<Lo(o)−Lt(R) [N][F][A] P Q T [N][F][A] P Q T Ls(o)> 低 高 高 低 高 低 高 低 低 高 中 高 Ls(R) Ls(o)< 低 高 低 低 低 高 高 低 高 低 高 低 Ls(R)
【0105】これらは、各因子の増減に伴う次のような
影響に由来する。
【0106】
【0107】ドーパントの種類と濃度によってエッチン
グ速度が異なるということは、ドーパントの成分によっ
て、エッチャントの成分との反応の速度が異なることを
表わす。
【0108】更に、このことは、ドーパントの種類n と
濃度Dn によって、単位エッチング量当りのエッチャン
トの消費量が変わることも意味する。このエッチャント
の消費量については、本発明の発明者が既に出願してい
る別の発明「半導体材料の湿式処理方法及び装置」(特
開平3−107477号)と「半導体装置用ウエハーの
薬液処理方法及びその装置」(特開平3−108719
号)によって、ドーパントの種類n と濃度Dn 及び素子
ウエハの合計表面積に応じて消費される成分を消費され
る分だけ補給するフィードフォワード的方法、及び、エ
ッチャントの各成分の濃度をオンラインで滴定分析して
所定の濃度になるように新液を補給するフィードバック
的方法を提案している。
【0109】但し、上記のフィードフォワード的方法で
は、エッチング量即ちエッチングによって減少する素子
ウエハの厚みは、残留応力槽の厚みを考慮せず、単に外
観上の厚みと目標のエッチング語の厚みTa の差として
求めた値を使っていたので、エッチャントの消費量の予
測精度が悪かった。
【0110】これに対し、本発明では、残留応力槽の厚
みTs が測定され、それに応じてエッチング量が決定さ
れるので、必要なエッチャントの消費量が精度良く求め
られ、その分の新液を補給することによって、エッチャ
ントの濃度[N]、[F]、[A]を所定の値に制御す
ることができる。
【0111】更に、あるエッチャントの濃度において、
ある量のエッチングを行った時の反応発熱量は実験と計
算によって求められ、それに応じてフィードフォワード
的に、又はエッチング槽の中のエッチャントの温度を測
定することによってフィードバック的に、液体窒素の量
を調節する等の手段でエッチャントの温度Tを所定の値
に制御することができる。
【0112】次に、図1及び図2を参照して、まず有効
平坦度を推定する方法を実施する装置によって、素子ウ
エハの有効平坦度推定を行う具体的過程について説明す
る。
【0113】図1は、本発明方法を実施する装置を示す
ものであり、被測定物たる素子ウエハ10は、チャック
12により吸着保持され、このチャック12は、モータ
14によって回転されるようになっている。
【0114】このモータ14には、該モータ14の、あ
る基準線からの回転角度を測定するための角度センサ1
6が取付けられている。
【0115】前記素子ウエハ10に対面して、光学セン
サ18、静電容量センサ20、及び、比抵抗測定プロー
ブ22が配置されている。
【0116】前記光学センサ18はスキャナ24によっ
て素子ウエハ10の半径方向に走査され、該素子ウエハ
10の外観上の平坦度を測定するようにされている。
【0117】又、前記静電容量センサ20は、スキャナ
26によって素子ウエハ10の半径方向に走査され、該
素子ウエハ10及び素子ウエハ10までの空間との静電
容量を測定するようにされている。
【0118】更に、前記比抵抗測定プローブ22は、ス
キャナ28によって、素子ウエハ10の半径方向に走査
され、素子ウエハ10の比抵抗値を測定するようにされ
ている。
【0119】図2の符号30は、人間とコントローラ3
2との中継をすると共に、情報処理をするためのコンピ
ュータを示す。
【0120】前記光学センサ18、静電容量センサ2
0、及び、比抵抗測定プローブ22は、それぞれ、素子
ウエハ10の外観上の平坦度の測定値信号、素子ウエハ
10及び該素子ウエハ10までの空間との静電容量の測
定値信号を、更に素子ウエハ10の比抵抗値の測定信号
を、コントローラ32を介して前記コンピュータ30に
伝送するようにされている。
【0121】又、前記スキャナ24、26及び28は、
前記光学センサ18、静電容量センサ20、及び、比抵
抗測定プローブ22の位置信号を、前記コントローラ3
2を介して前記コンピュータ30に伝送するようにされ
ている。
【0122】更に、前記角度センサ16からの回転角度
信号も、コントローラ32を介して、コンピュータ30
に伝送されるようになっている。
【0123】次に、前記素子ウエハ10を、直径150
mm、厚さ約500μm の、ボロン(硼素)をドープした
シリコンウエハをラッピングしたものとして、本発明方
法を実施する過程について図2(流れ図)を参照して説
明する。
【0124】まず、コンピュータ30に、前記素子ウエ
ハ10の仕様データを入力する(ステップ101)。
【0125】仕様データとしては、素子ウエハ10の前
記直径、厚さや、オリエンテーョンフラットの長さ、ド
ーパントの種類とその濃度、酸素濃度等である。
【0126】一方、前記チャック12に素子ウエハ10
をセットする(ステップ102)。
【0127】素子ウエハ10のセッティングは、通常、
ウエハマウント装置(図示省略)によって自動的にセッ
トされ、素子ウエハ10の中心位置がチャック12の中
心位置に合せられる。
【0128】次に、セットされた素子ウエハ10の、オ
リエンテーションフラットの位置を把握するために、チ
ャック12を回転させながらスキャナ24により、光学
センサ18を走査する。
【0129】光学センサ18が素子ウエハ10から初め
て外れる点として、基準線からオリエンテーションフラ
ットの中心線までの角度を角度センサ16により求め
る。
【0130】ここでオリエンテーションフラットの中心
線までの角度を求めるのは、該オリエンテーションフラ
ットの中心線を、今後の測定における新たな基準線とす
るためである(ステップ103)。
【0131】次に、比抵抗測定プローブ22とスキャナ
28とによって、素子ウエハ10の所定点の比抵抗値を
測定する(ステップ104A)。ここで、比抵抗測定プ
ローブ22は、4探針プローブ等から構成される。
【0132】なお、素子ウエハ10の比抵抗値は、ドー
パントの種類とその濃度から計算するようにしてもよい
(ステップ104B)。
【0133】次に、光学センサ18とスキャナ24によ
って、素子ウエハ10の外観上の平坦度を測定する(ス
テップ105)。
【0134】この測定は、光学的に行われるので、素子
ウエハ10の残留応力の影響を受けることがない。
【0135】前記光学センサ18によって得られた素子
ウエハ10の平坦度データは、コントローラ32を介し
てコンピュータ30に送られ、該コンピュータ30のメ
モリに記憶される(ステップ106)。
【0136】更に、静電容量センサ20とスキャナ26
によって、素子ウエハ10及び該素子ウエハ10と静電
容量センサ20との間の空隙との静電容量を測定し(ス
テップ107)、その測定データを、コントローラ32
を介してコンピュータ30に送り、該コンピュータ30
のメモリに記憶する(ステップ108)。
【0137】コンピュータ30では、記憶された平坦度
データと静電容量データを、それぞれの座標に対応させ
て荷重加算し、それによって、素子ウエハ10の残留応
力を除去した後の有効平坦度を、前記(11)式によっ
て推定する(ステップ109)。
【0138】ここで、前記光学センサ18としては、例
えば米国ADE社製のオプトマイクロメータ、NIDE
C社のオプトマイクロメータ、日本光学社製の光束斜め
投射型干渉計、キャノン社、あるいは、SILTEC社
製のオートコリメータ走査型干渉計、日本光学社製の多
重干渉計、富士写真光機社製のモアレ干渉計等を利用す
ることができる。
【0139】静電容量センサとしては、米国ADE社製
のキャパシタンスメータを利用することができる。
【0140】なお、上記実施例において、素子ウエハ1
0の残留応力層の厚みの測定方法として、静電容量セン
サ20によって行っているが、本発明はこれに限定され
るものでなく、条件さえ合えば、特開平3−18744
号公報に開示されるレーザラマン分光法、特開昭60−
166847号公報に開示されるX線コッセル回析像
法、特開昭60−169757号公報に開示される渦電
流法、特開昭56−4026、4027、61−222
21、61−172023号公報等に開示されるストレ
ーンゲージ法、特開昭56−140228号公報に開示
される応力腐蝕割れ法、センサ技術Vol・8、No.5
(1988年5月号P29〜31に開示されるバルクハ
ウゼンノイズ法)等によって、残留応力層の厚みを測定
するようにしてもよい。
【0141】更に、結晶歪みの測定方法としては、X線
3結晶回折計による方法がある。この方法は表層部の歪
みの大きさが、残留応力層の厚みを代表する場合には適
用できる。
【0142】又、波長9400オングストロームの発光
ダイオードのパルス光を照射し、これによって励起され
た少数キャリヤのライフタイムによって、結晶の歪みを
測定する方法がある。この方法は表層部のみの測定であ
り、更に結晶中の不純物の影響を受ける。
【0143】更に又、光反射率スペクトル法がある。こ
れは、結晶に光を照射すると、その入射光のエネルギに
よって、結晶の原子の外殻電子のエネルギ状態が変わ
り、この電子が再び基底状態になるとき放出される光の
スペクトルを測定するものである。
【0144】格子欠陥のある結晶では、原子間結合に寄
与している外殻電子のエネルギ状態が変わり、光を照射
されるときの外殻電子のエネルギ状態の変化の様子が、
格子欠陥のないときと異なるのでスペクトル解析によっ
て歪みが測定できる。
【0145】この方法も、表層部の歪みの大きさが残留
応力層の厚みを代表する場合のみ適用できる。
【0146】又、強力なX線照射が必要であるが、結晶
歪みの測定方法としてX線散漫散乱による測定方法があ
る。
【0147】又、前述のレーザラマン分光法による結晶
歪みの測定方法の変形として、素子ウエハの表面に対し
てレーザ光を照射する方法で、非破壊的に測定すること
ができる。この場合も、素子ウエハの表層部のみが測定
できる。
【0148】例えば、スライシング条件やラッピング条
件を一定に保って行えば、素子ウエハ表層部の格子の歪
みの大きさが、残留応力層の厚みを代表することもでき
るので、このような場合には、表層部の歪みの大きさを
測定する方法を使うことができる。
【0149】次に、前記のようにして有効平坦度が推定
された素子ウエハ10を、図3に示されるエッチング制
御装置によりエッチングする過程を説明する。
【0150】エッチング制御装置40は、エッチャント
を満たすと共に、エッチングカセット42に入れた素子
ウエハ10を浸漬させるためのエッチング槽44を含ん
で構成されている。
【0151】エッチング槽44には、図4に示されるよ
うに、前記エッチングカセット42、このエッチングカ
セット42を、エッチング槽44及びエッチング槽外の
純水槽(図示省略)に浸漬させるためのレバー48と、
このレバー48上に取付けられ、エッチングカセット4
2と共に動き、更に、該エッチングカセット42を回転
させることによって素子ウエハ10が均一にエッチされ
るようにするための回転機構50と、を備えている。
【0152】前記エッチング槽44には、図3に示され
るように、循環ポンプ52により混合槽54との間でエ
ッチャントが循環され、これによってエッチャントの温
度や濃度が均一化されるようになっている。
【0153】前記混合槽54には、エッチャントの各成
分(硝酸、弗酸、氷酢酸)が、必要量だけ供液弁56A
〜56Cを経て、供給槽(図示省略)から供給されるよ
うになっている。
【0154】前記混合槽54は、供液弁56A〜56C
を経て供給されたエッチャントの各成分を、循環ポンプ
52によって循環されているエッチャントと混合するも
のである。
【0155】なお、エッチング槽44が十分な容積と適
当な仕切や攪拌機を備えていれば、前記混合槽54を設
置する必要がなく、この場合はエッチャントの各成分は
供液弁56A〜56Cから直接エッチング槽44に供給
されることになる。
【0156】前記エッチング槽44の底部には、エッチ
ングの化学反応によって化学的活性度を失った古いエッ
チャントを排出するための排液弁58が設けられてい
る。エッチャントの適正な合計量は、排液弁58からの
排出、及び/又はエッチング槽44あるいは混合槽54
からのエッチャントの溢出によって保つようにする。
【0157】又、前記排液弁58は、エッチャントを供
液弁56A〜56Cから供給するに先立って、新たなエ
ッチャントの供給量と反応熱による蒸発量等を考慮し
て、エッチング槽44の液面が所定の高さになるように
排液時間、即ち開弁時間が制御されるようになってい
る。
【0158】前記エッチング槽44には、該エッチング
槽44内のエッチャントの各成分の濃度を定量分析する
ための濃度センサ60が取付けられている。
【0159】この濃度センサ60は、中和滴定や酸化還
元滴定を自動化した装置である。
【0160】なお、濃度センサ60は、エッチャントの
成分の種類や、使用する装置の種類によってその数を増
減させる。
【0161】前記循環ポンプ52によって、エッチング
槽44、混合槽54を循環するエッチャントの循環経路
には、その途中にエッチャントの温度を希望する値にす
るための熱交換器62が配置されている。この熱交換器
62は、特に、エッチングの化学反応による発熱が急激
且つ大量であり、更にエッチャントの腐蝕性が極めて強
いことから大容量且つ高応答性のものが用いられ、冷却
媒体としては液体窒素等が有効である。
【0162】前記エッチング槽44には、該エッチング
槽44内のエッチャントの温度を測定するための温度セ
ンサ64が取付けられている。
【0163】この温度センサ64は、測定された温度と
目標温度との差によって、前記熱交換器62を制御す
る、即ち、冷却媒体としての液体窒素等の流量を制御す
るものである。
【0164】前記レバー48は、図示されない駆動装置
(電動モータ、空気シリンダ、空気モータ等)によっ
て、エッチングカセット42をエッチング槽44と純水
槽の間を往復動させるものであるが、これは、素子ウエ
ハ10とエッチャントとの間の反応が開始すると、その
反応において生成されるNOが正の触媒として作用する
と共に、反応熱によってエッチャントの温度が上昇する
ことにより、エッチングの反応が、加速度的に進行する
ことを抑制するものである。
【0165】即ち、熱交換器62によってエッチャント
を冷却しても、その反応を停止させることは困難であ
り、反応を停止させるには、素子ウエハ10をエッチャ
ントから取出して純水中に浸漬し、素子ウエハ10の表
面に付着しているエッチャントを洗い流さなければなら
ないからである。
【0166】なお、レバー48によってエッチング槽4
4から純水槽に移送中の、素子ウエハ10の表面では付
着したエッチャントによって反応が続行するので、該素
子ウエハ10の表面にはオレンジピールや各種のステイ
ンが発生し易い。
【0167】従って、レバー48は高速で、素子ウエハ
を移送しなければならないが、素子ウエハ10は一般に
脆弱であるため、急激な加減速運動が、表面に疵を発生
させたり、破損させたりするので、レバー48の駆動装
置は、上記のような条件を満たすように制御されなけれ
ばならない。
【0168】前記レバー48、回転機構50、循環ポン
プ52、供液弁56A〜56C、排液弁58及び熱交換
器62は、前記図1におけるコンピュータ30によって
コントローラ32を介して制御されるようになってい
る。
【0169】又、前記濃度センサ60及び温度センサ6
4からの検出信号は、前記コントローラ32を経てコン
ピュータ30に送られるようになっている。
【0170】このコンピュータ30は、更に、前記エッ
チング槽44周りの各種装置と接続されて、最適なエッ
チング条件を算出すると共に、該最適条件になるように
各種装置を制御するようにされている。
【0171】又、コンピュータ30は、操作者との間で
素子ウエハ10の使用条件の入力や計算結果の出力(表
示)等を行うものである。
【0172】前記コントローラ32は、コンピュータ3
0が計算によって求めた最適なエッチング条件の信号を
各装置に出力して設定すると共に、各センサからの測定
信号をコンピュータ30にフィードバックする仲介をな
すものである。
【0173】コンピュータ30には、前述の図1の装置
によって測定された、素子ウエハ10の外観上の平坦
度、残留応力層の厚み及び計算された有効平坦度のデー
タが、該コンピュータ30のメモリに記憶されていて、
該コンピュータ30はこれらメモリから記憶を取出し
て、最適なエッチング条件を演算するときに利用する。
【0174】コンピュータ30としては単に、工業用パ
ーソナルコンピュータや、工業用マイクロコンピュータ
にリアルタイムのオペレーティングシステム(OS)を
搭載したもの、コントローラ32としては、工業用マイ
クロコンピュータやシーケンサでプロセス入出力制御装
置やリアルタイムOSを付加したものが利用される。
【0175】エッチング槽44や、エッチングカセット
42は、上記の各条件に加えて、エッチャントに耐え得
る工業用樹脂で作る。又、回転機構50は、電動モータ
とプラスチック製ベルトで構成してもよいが、エッチャ
ントの蒸気等の環境条件を考慮して、空気モータとプラ
スチック製ベルトの組合せが望ましい。
【0176】又、循環ポンプ52としては、ドローポン
プやダイヤフラムポンプが望ましい。
【0177】次に、図5のフローチャートを用いて、素
子ウエハをエッチングする過程について説明する。
【0178】まず、ステップ201に示されるように、
コンピュータ30に素子ウエハ10の主要データを入力
する。
【0179】ステップ202において、前記図1の装置
によって予め求められた、素子ウエハ10の外観上の平
坦度のデータと、残留応力層の厚み分布のデータをコン
ピュータ30に入力する。
【0180】このコンピュータ30への入力は、操作者
がマニュアルによって行ってもよく、又オンライン伝送
してもよい。
【0181】ステップ203において、前記入力された
条件を元に、素子ウエハ10の目標の厚みと目標の平坦
度を得るためのエッチング条件、即ちエッチャントの濃
度、温度、流速、素子ウエハの回転速度等の条件を仮定
する。
【0182】ステップ204において、素子ウエハ10
内のエッチング量分布とエッチング速度分布を計算し、
目標の厚みと目標の平坦度を得るためのエッチング時間
を決定する。
【0183】次にステップ205において、ステップ2
04で決定したエッチング時間によって得られる、素子
ウエハ10の平均厚みと平坦度を計算する。
【0184】ステップ206においては、ステップ20
5で計算された平均厚みと平坦度が許容値を満足するか
否かを判定する。
【0185】否であれば、ステップ207に進み、エッ
チング条件を見直して、ステップ204に戻る。
【0186】可であれば、ステップ208に進み、エッ
チング条件に応じて素子ウエハ10を分類する。このと
きエッチング条件としては、ステップ203でのエッチ
ング条件以外にエッチング時間も加えて考える。
【0187】ステップ209では、ステップ208で求
められたエッチング条件になるように、各種の制御要素
を制御しながらエッチングを実行する。
【0188】以上によって、目標通りの平均厚みと平坦
度の素子ウエハを得ることができる。この際、過度のエ
ッチングがなされないことによって生産性の向上、エッ
チャントの消費量の改善が達成できた。
【0189】なお、前記図3の構成では、図1の有効平
坦度測定のための装置と、コンピュータ30及びコント
ローラ32を共有しているが、本発明はこれに限定され
るものでなく、コンピュータとコントローラを、有効平
坦度の推定及びエッチングのための装置において別々に
設けてもよい。
【0190】別々のコンピュータ及びコントローラを設
ける場合は、有効平坦度推定の過程で得られたデータ
は、コンピュータ間の伝送ラインによってオンライン的
に伝送してもよく、又、フロッピーディスク等の記憶媒
体を介してデータ移動を行ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に係る素子ウエハエッチング制
御方法の前半過程である有効平坦度を推定する方法を実
施するための装置を示すブロック図である。
【図2】図2は、前記有効平坦度推定方法の過程を示す
流れ図である。
【図3】図3は、本発明に係る素子ウエハエッチング制
御方法の後半過程であるエッチングをするための装置を
示すブロック図である。
【図4】図4は、図3に示されるエッチング槽を拡大し
て示す断面図である。
【図5】図5は、図3の装置によってエッチングする過
程を示す流れ図である。
【符号の説明】
10…素子ウエハ、 18…光学センサ、 20…静電容量センサ、 24、26、28…スキャナ、 30…コンピュータ、 32…コントローラ、 40…エッチング制御装置、 44…エッチング槽、 50…回転機構、 56A〜56C…供液弁、 58…排液弁、 60…濃度センサ、 62…熱交換器、 64…温度センサ。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】素子ウエハの外観的平坦度、及び、該素子
    ウエハの残留応力層の厚み分布を測定し、これらの測定
    値に基づき前記残留応力層を除去した後の有効平坦度を
    推定し、該推定値を基に、最も平坦となるエッチング条
    件を選択してエッチングすることを特徴とする素子ウエ
    ハのエッチング制御方法。
  2. 【請求項2】請求項1において、前記エッチング条件
    は、エッチング槽内におけるエッチャントの温度、エッ
    チャントの成分、濃度並びに素子ウエハ周囲での流速、
    素子ウエハの回転速度であることを特徴とする素子ウエ
    ハのエッチング制御方法。
  3. 【請求項3】請求項1又は2において、前記エッチング
    条件を前記素子ウエハの材料成分の種類及び濃度に応じ
    て選定することを特徴とする素子ウエハのエッチング制
    御方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023068066A1 (ja) * 2021-10-19 2023-04-27 東京エレクトロン株式会社 基板処理方法及び基板処理システム
CN116995003A (zh) * 2023-09-28 2023-11-03 威海奥牧智能科技有限公司 基于空气泵的芯片刻蚀清洗液内循环控制系统和方法

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