JPH0538573Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、収穫機の茎葉切断装置に於ける制動
機構に係り、詳しくは玉ネギなどの地下茎農作物
（以下単に農作物という）を収穫する収穫機に於
いて、切断される農作物の茎葉の首の長さを一定
にすると共に、農作物の損傷を防止する茎葉切断
装置の制動機構に関するものである。

〔従来の技術〕

従来、この種茎葉切断装置として、いろいろな
構成のものが開発されている。

ここに第６図と第７図とに示す従来例について
説明する。

図に於いて、１は収穫機の茎葉切断装置で、互
いに内向き巻込み方向に回転させる一対の送りロ
ーラ２，３を複数組設け、これら各送りローラ
２，３の後端部にそれぞれ切断機構４が設けられ
ている。

そして、農作物５は、第６図に示すように、各
送りローラ２，３によつて、その茎葉５ａが垂下
され、一定の速度で後方に移送されて、制動機構
４の切刃６と受刃７とで茎葉５ａが切断された
上、後方の横送りコンベヤ８に放出される。

この放出の際、農作物は重力の作用を受けて放
物線を描いて横送りコンベヤ８上に落下する。

図中、９は送りローラ２，３に巻装されている
螺旋体、１０は一方の送りローラ２の支持具、１
１は他方の送りローラ３の腕杆で、下端部に押圧
調整装置１２が設けられており、切刃６に対し受
刃７の位置を調整するようにしてある。１３は切
断機構４の下方に設けた受板、１４は側板、１５
は支持板、１６は切刃６のカバーである。

〔考案が解決しようとする問題点〕

このような構成の茎葉切断装置１にあつて、農
作物５は前記のように横送りコンベヤ８へ放物線
を描いて落下する。このため、以下に述べるよう
な問題点が発生する。

この茎葉切断装置１を構成する送りローラ
２，３の回転数を上げると、農作物５の移送速
度は速くなり、後端部の切断機構４により切断
された農作物５の放出距離は長くなる。

このことから、農作物５の茎葉５ａの長さに
バラツキが増え、商品価値が低下する。

この首の長い茎葉５ａは、後の選別作業に於
いて切落とすが、人手を要する作業となり、経
済的でない。

収穫された農作物は、地干しを行つて乾燥さ
せているが、この乾燥時に、茎葉に緑色が残
り、首の長い茎葉の場合、茎葉の切口が地面に
接していると、この切口から軟腐病菌が侵入す
ることがあり、農作物５を腐敗させる原因とも
なつている。

この切断機構４によつて、茎葉５ａが切断さ
れた農作物５は、横送りコンベヤ８に放出され
るが、勢いを増しながら落下するため、側板１
４や支持板１５に当たつたり、農作物５同士が
衝突し合つて、農作物５が打撲を受け、損傷し
腐敗の原因となつている。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は、このような問題点に鑑み創作された
もので、その目的は玉ネギなどの農作物を収穫す
る収穫機に於いて、切断される農作物の茎葉の首
の長さを一定にすると共に、農作物の損傷を防止
できる茎葉切断装置に於ける制動機構を提供する
ものである。

この目的を達成するために、本考案に係る制動
機構は、所定の間隔を設けて互いに内向き巻込み
方向に回転させる一対の送りローラを複数組並設
し、これら各送りローラの外周面に螺旋体をそれ
ぞれ巻装し、後端部に農作物の茎葉を切断する切
断機構に設けてなる茎葉切断装置に於いて、前記
切断機構の後方に抵抗体を送りローラの垂直方向
に設けたことを特徴とするものである。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を図面を参照しながら説
明する。

まず、初めに本考案に係る制動機構を設置する
茎葉切断装置の一例について説明する。

第１図は、この茎葉切断装置を設けた収穫機全
体の概略側面図である。なお、従来技術と同じ構
成は、同一符号をもつて説明する。

図に於いて、２０は収穫機で、前方から掘上げ
装置２１、茎葉切断装置２２、横送りコンベヤ２
３などが機枠２４に順次設置してあり、無限軌道
帯２５により走行する構成としてある。

上記掘上げ装置２１は、地中或いは地上にある
農作物５を茎葉５ａが付いているままの状態で、
最先端に設けた掘取り具２６により掘上げるもの
である。

続いて、この農作物５を緩やかな傾斜の第１コ
ンベヤ２７に移送させ、ここで泥、土、砂などの
付着物を下方に落としながら、次の第２コンベヤ
２８に農作物５を移送させている。

この第２コンベヤ２８は、図示のごとく急傾斜
場に設置されており、農作物５を後方の放出端か
ら、次の茎葉切断装置２２に移送させている。

この茎葉切断装置２２に移送された農作物５
は、この切断装置２２の上を通過する間に、この
茎葉５ａは切断され、この切断された農作物５
は、次の横送りコンベヤ２３に移送されて、地上
に列状に放出されるものである。

次に、この茎葉切断装置２２の構成を説明する
が、この構成は第６図と第７図とに示す従来例と
同じであり、しかも本願と同時に提出する実用新
案登録願(1)と同じ構成であるから、第４図と第５
図とにより簡単に説明する。

この送りローラ２，３を一対として複数組、互
いに内向き巻込み方向に回転させ、且つ円柱形状
を呈する外周面には、丸棒などの螺旋帯９が所定
のピツチで、それぞれ巻装されており、収穫機２
０の進行方向に対し平行に設置されている。

そして、各送りローラ２，３は、螺旋体９，９
が互いに接近し合うように調整可能に所定の間隔
Ｌを離し、且つ一方の送りローラ２は隣り合う次
の組の送りローラ３とは、間隔Ｍだけ離して設置
してある。

また、各送りローラ２，３，…に於いて、先端
部（つまり掘上げ装置２１側）は、支持軸３５，
４５のベアリング３６，４６を介して取付け枠３
７の前枠にそれぞれ支持させてある。

一方、送りローラ３，３，…の後端部には、ベ
アリング３９のベアリングケース４０の端部を内
設させて、他方の送りローラ２より後端を若干長
目とし、ベアリングケース４０の支持軸４１は、
基端部が取付け枠３７の後枠４２に、軸４３を介
して回転可能に軸支されている腕杆４４の上端部
に支持させてある。

次に、他方の送りローラ２，２，…の後端部
は、ベアリング４７のベアリングケース４８を内
設させ、この外側開口部に、支持軸４９の端部を
内側面に固着してある円盤形状の支持部材５０を
嵌め込んである。そして、この支持部材５０の外
側面には、後記する受刃寄りの偏心させた支持軸
５１が固着され、この支持軸５１は前記後枠に設
けてある支持具５５の支持板５６に取付けてあ
る。

このような構成の各送りローラ２，３の後端部
には、受刃５６と切刃６６とからなる切断機構６
７が設けられている。前記のように各ローラ２，
３の間隔Ｌを調整するため、送りローラ３には、
押圧調整装置８０が設けられ、一端開口部にネジ
部８１を形成した円筒形状のケース８２を前記後
枠４２に取付け、このネジ部８１に螺進退可能に
螺合させたネジ杆８３を介してばねスプリング８
４の張性により、切刃６６の刃部７３が受刃６５
に接近し合う押圧力を調整するように構成してあ
る。

そして、この駆動源として油圧モータ８５を使
用して、駆動装置８６により各ローラ２，３を駆
動させている。

続いて、本考案の要旨である制動機構の構成に
ついて説明する。

この制動機構９０は、第２図と第３図とに詳し
く図示されているように、ゴム、合成樹脂などの
弾性体からなるほぼ長尺形状の抵抗体９１で構成
されている。

そして、図示のように前記切断機構６７の後端
部に於いて、側板１４，１４間に配した支持具９
２にボルトなどの取付け具９３を介して配設させ
てある。

この側板１４，１４は、茎葉切断装置２２の枠
１７の両側に取付けてある。

また、この抵抗体９１には、下端縦方向に切目
９４を設けて、後記するように農作物５を適度に
制動させることができる。

なお、切断機構を含めた茎葉切断装置２２は、
前記実施例に限定されるものでなく、任意な茎葉
切断装置に本考案の制動機構９０を取付けること
ができる。

〔考案の作用〕 収穫機２０の先端部に設けた掘上げ装置２１に
より、掘上げた農作物５は、次の茎葉切断装置２
２に移送される。

この茎葉切断装置２２の左右一対の送りローラ
２，３は、外周面の螺旋体９により、農作物５の
茎葉５ａは、各送りローラ２，３の間に巻込まれ
垂下状になつて後方に移送される。

そして、茎葉切断装置２２の後端部には、受刃
５６と切刃６６とからなる切断機構６７を設けて
あり、農作物５は垂下状態からほぼ90°程度円運
動して茎葉は切断される。

この切断機構６７により切断される前の時点に
於いて、この制動機構９０の抵抗体９１に農作物
５が当たり、その運動は押さえられ、切刃５６と
受刃６７とによる切断位置から農作物５の上面位
置は、農作物の外形の大小にかかわらず、常に一
定となり、茎葉の切断長さは一定になつて、次の
横送りコンベヤ２３に放出される。

〔考案の効果〕

本考案は以上の構成であるから、次のような効
果を奏するものである。

(1) 茎葉切断装置を構成する送りローラの回転数
を上げて農作物の移送速度を速くし、作業能率
を上げても、また、形状の大小にかかわらず農
作物の茎葉の首の長さが一定となり、バラツキ
がなくなり、商品価値は向上する。

(2) 後の選別作業時に於ける、茎葉の長いものだ
け切落とす作業が少なくなり、人件費が少なく
なり経済的に有効である。

(3) 切断機構によつて切断された農作物は、抵抗
体により、その勢いを制止させられるから、放
出時に於ける打撲はなくなり、損傷を防止でき
るものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の茎葉切断装置を設置させた収
穫機全体の概略側面図、第２図は制動機構を示す
一部切欠側面図、第３図は同一部切欠正面図、第
４図は茎葉切断装置の概略平面図、第５図は同正
面図、第６図は従来例の一部切欠側面図、第７図
は同正面図である。 ２，３……送りローラ、６７……切断機構、９
０……制動機構、９１……抵抗体、９４……切
目。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 所定の間隔を設けて互いに内向き巻込み方向
   に回転させる一対の送りローラを複数組並設
   し、これら各送りローラの外周面に螺旋体をそ
   れぞれ巻装し、後端部に農作物の茎葉を切断す
   る切断機構に設けてなる茎葉切断装置に於い
   て、 前記切断機構の後方に抵抗体を送りローラの
   垂直方向に設けたことを特徴とする収穫機の茎
   葉切断装置に於ける制動機構。 (2) 前記抵抗体の下端縦方向に任意数の切目を設
   けてなる請求項１記載の収穫機の茎葉切断装置
   に於ける制動機構。