JPH0536148Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、流体圧利用の産業機械に使用する方
向切換弁に関するものである。

［従来の技術］ 従来公知の方向切換弁における弁体は、第６図
に示すように、弁棒１の外周に、軸線方向に所望
の間隔を置いて複数の溝２，……と、流路を構成
する縮径部３，……とを切削により形成し、上記
溝２，……にシール部材４，……と案内シール部
材５，５を嵌着している。

しかしながら、上記公知の弁体は、弁棒１から
溝２，……と縮径部３，……を削り出すために、
材料の無駄が多く、かつ加工が面倒で、コストが
高くなるという問題がある。

この問題を解決するために、弁棒に複数のシー
ル部材を直接嵌着し、これらのシール部材を、シ
ール部材間の弁棒に嵌着したフランジ部材で支持
することが考えられるが、フランジ部材によつて
流路面積が小さくなるため、流量が制限されると
いう新たな問題がある。

［考案が解決しようとする課題］ 本考案が解決しようとする課題は、安価で、か
つ流路面積の減少が少ない弁体を有する方向切換
弁を提供することにある。

［課題を解決するための手段］ 上記課題を解決するため、本考案は、弁体の駆
動により流体の流れ方向を切換える方向切換弁に
おいて、上記弁体が、主軸と、該主軸の外周に軸
線方向に間隔を置いて嵌着した複数のシール部材
と、これらのシール部材間の主軸に嵌着したフラ
ンジ部材とを備え、上記フランジ部材が、外周に
軸線方向の流体導通溝を備えていることを特徴と
している。

［作用］ 弁体が、主軸と、該主軸に嵌着した複数のシー
ル部材と、これらのシール部材間のフランジ部材
とを備えているため、主軸に、シール部材嵌着の
ための溝や、流路を構成する縮径部を形設する必
要がないので、材料の無駄がなく加工も簡単にな
り、したがつて、弁体を安価なものにすることが
できる。

また、フランジ部材の外周に設けた軸線方向の
流体導通溝により、フランジ部材を嵌着しても、
流路面積の減少を少なくすることができる。

［実施例］ 第１図ないし第３図は本考案の第１実施例を示
し、この方向切換弁は、主弁１１とパイロツト電
磁弁１２を備えている。

主弁１１の弁箱１４は、軸線方向の貫通孔１
５、先端が貫通孔１５に開口する圧力流体の入力
ポートＰ、出力ポートＡ，Ｂ及び排出ポートEA，
EBを備え、両端がピストン収納箱１６と端板１
７で閉鎖されており、ピストン収納箱１６に形設
した有底の案内筒部１８は、ピストン１９によつ
て加圧室２０と大気室２１に区画されている。

上記貫通孔１５に摺動可能に挿入した弁体２３
は、管状の主軸２４と、該主軸２４の外周に軸線
方向に所望の間隔を置いて嵌着した複数のシール
部材２５，……と、主軸の両端近くに嵌着した案
内シール部材２６，２６と、シール部材２５，２
５間及び２５，２６間の主軸に嵌着したフランジ
部材２７Ａ，……及び２７Ｂ，２７Ｂと、主軸２
４の両端に装着した冠体２８，２８と、主軸２４
の中空部を閉鎖する密封栓２９を備えている。な
お、上記主軸は、筒体に代えて丸棒とすることが
でき、この場合には、密封栓を省略できる。

シール部材２５，２６は、主軸２４への嵌着部
と貫通孔１５に摺接すると幅狭のシール部とによ
つて、肩部２５ａ，２６ａが形設され、フランジ
部材２７Ａ，２７Ｂは、両端のフランジ部２７ａ
に、肩部２５ａ，２６ａに係止してシール部材２
５，２６の主軸からの浮き上りを防止する係止部
２７ｂが、フランジ部２７ａ，２７ａ間の外周
に、軸線方向の流体導通溝２７ｃ，……が、それ
ぞれ形設されている。また、冠体２８は、主軸外
周側の案内部２８ａに肩部２６ａに係止する係止
部２８ｂを有し、フランジ部材と冠体は、それぞ
れ合成樹脂によつて一体に形成されている。

また、冠体２８の案内部２８ａ、フランジ部材
２７Ｂの外側のフランジ部２７ａ、及びフランジ
部材２７Ａのフランジ部２７ａの各外径は、それ
ぞれ等しいか、或いはこの順に小さくされてい
る。したがつて、案内部２８ａ等によつて弁体２
３の摺動を案内させることができる。

上記弁体２３は、開口３１から加圧室２０にパ
イロツト流体を供給すると、ピストン１９により
押圧されて、入力ポートＰと出力ポートＡ、及び
出力ポートＢと排出ポートEB間の流通を連通さ
せ、加圧室２０のパイロツト流体を排出すると、
復帰ばね３２の付勢力と復帰室３３の流体圧の作
用力により、入力ポートＰと出力ポートＢ、及び
出力ポートＡと排出ポートEA間の流路を連通さ
せる。

しかしながら、本考案の方向切換弁は、５ポー
ト弁に限定されるものではない。

一方、パイロツト電磁弁１２は、ソレノイドの
励磁により、入力ポートＰからパイロツト通路３
４を介して供給されるパイロツト流体を、開口３
１から加圧室２０に供給し、ソレノイドの励磁を
解除すると、パイロツト流体の供給を遮断すると
ともに、加圧室２０を外部に連通させる周知の３
ポート電磁弁で構成されている。

しかしながら、上記パイロツト弁は、流体圧で
動作するものでもよく、或いはソレノイドによつ
て直接弁体２３を駆動してもよい。

上記第１実施例における流体の切換動作は、上
述の説明で明らかであるから、詳細な説明は省略
する。

上記弁体２３は、主軸２４と、フランジ部材２
７Ａ，……及び２７Ｂ，２７Ｂとをそれぞれ別体
に形成し、主軸２４にシール部材とこれらのフラ
ンジ部材を嵌着したことにより、主軸２４に、シ
ール部材装着用の溝や流路を構成する縮径部を形
設する必要がないので、弁体の製作が極めて容易
であり、かつ切削による材料の無駄もないので、
弁体を安価なものにすることができる。

また、フランジ部材２７Ａ，２７Ｂの外周に、
軸線方向の流体導通溝２７ｃ，……を設けたこと
により、主軸２４にフランジ部材２７Ａ，２７Ｂ
を嵌着したものでありながら、流路面積の減少を
可及的に少なくすることができる。

さらに、フランジ部２７ｂ，……によつて、シ
ール部材２５，……及び２６，２６の主軸２４か
らの浮き上りを防止したので、シール部材の損傷
やシール不良等がなくて切換動作が確実であり、
また、シール部材２５，２６を所望の素材で形成
できるので、シール性能や耐久性を向上させるこ
とができる。

第４図及び第５図は本考案の第２実施例を示
し、弁体３７の管状の主軸３８に嵌着したフラン
ジ部材４１Ａ，４１Ｂは、フランジ部４１ａの内
周に係止部４１ｂが、外周に軸線方向の流体導通
溝４１ｄ，……が、フランジ部４１ａ，４１ｂ間
の外周に軸線方向の流体導通溝４１ｃ，……がそ
れぞれ形設されており、これらの流体導通溝４１
ｃ，……と４１ｄ，……によつて、流路断面の減
少を可及的に少なくしている。

第２実施例の他の構成及び作用は、第１実施例
と同じである。

［考案の効果］ 本考案の方向切換弁は、弁体を、主軸と、該主
軸に嵌着した別体のフランジ部材及び複数のシー
ル部材とで構成したことにより、主軸にシール部
材装着用の溝や流路を構成する縮径部を切削する
必要がないので、加工が簡単でかつ切削による材
料の無駄がなく、したがつて、弁体を安価なもの
にすることができる。

また、フランジ部材の外周に、軸線方向の流体
導通溝を設けたので、フランジ部材の嵌着による
流路面積の減少を少なくすることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の第１実施例の要部の拡大縦断
正面図、第２図は同上縦断正面図、第３図は第１
図のＡ−Ａ断面図、第４図は本考案の第２実施例
の要部を示す縦断側面図、第５図は第４図のＢ−
Ｂ断面図、第６図は公知の弁体の縦断正面図であ
る。 ２３，３７……弁体、２４，３８……主軸、２
５……シール部材、２７Ａ，２７Ｂ，４１Ａ，４
１Ｂ……フランジ部材、２７ｃ，４１ｃ，４１ｄ
……流体導通溝。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 弁体の駆動により流体の流れ方向を切換える方
   向切換弁において、 上記弁体が、主軸と、該主軸の外周に軸線方向
   に間隔を置いて嵌着した複数のシール部材と、こ
   れらのシール部材間の主軸に嵌着したフランジ部
   材とを備え、 上記フランジ部材が、外周に軸線方向の流体導
   通溝を備えている、 ことを特徴とする方向切換弁。