JPH05329194A - 医療用キット製品 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 キット製品に不可欠のコネクターの性能向上
のため、密封能力にすぐれ、連通時の操作容易性にすぐ
れ、また連通時にコネクターを破断させることがなく、
薬液中に不純物を混入させない安全性にすぐれたコネク
ター部を有する医療用キット製品の提供。 【構成】 ソフトバッグ１の収納室３，４間に別部材の
コネクター部１０を設け、連通用の通路１１に対して直
交方向の通路横断部１２を設けて、通路１１方向の楕円
貫通孔１３を設けたブチルゴム製の可動コア１４を通路
横断部１２の孔内に嵌入し、孔外に突出した可動コア１
４の押圧端部１５を押してコア１４を移動させることに
より貫通孔１３で通路１１を連通させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、医薬品と投与システ
ムを組み合せた注射剤の医療用キット製品において、使
用時まで容器内に分割密封保存される複数の薬剤の混合
時に薬剤通路となるコネクター部の改良に係り、収納分
室間に設けた所定形状の通路あるいは導入通路を横断遮
蔽しかつバッグ外から押圧し移動可能にした可動コアを
配置して、コアを移動させてコアに設けた貫通孔の位置
で分離遮断されていた収納分室間を連通させる構成とな
し、収納分室間の遮断特性、連通時の操作容易性にすぐ
れ、また連通時に打栓部材を破断させることがなく、薬
液中に不純物を混入させない安全性にすぐれたコネクタ
ー部を有する医療用キット製品に関する。

【０００２】

【従来の技術】医療用キット製品は医薬品と投与システ
ムを組み合せた注射剤の形態であり、我が国でも薬事審
議会のキット製品の取扱いに関する答申（１９８６，
３．薬審二第９８号）が出された後に注目され、種々の
構成が提案されている。

【０００３】輸液製剤のブドウ糖液とアミノ酸製剤を混
合して保存すると、変質や変色を招来する懸念があり、
通常、その使用時これらの２液が混合使用されるよう
に、種々の薬剤を使用時に混合することが一般的であ
る。また、注射用抗生剤は点滴静注をその基本投与形態
とし、多くの抗生剤は用時溶解型であるため、投与時に
再溶解と混合の２操作を必要としているが、微生物汚染
や操作に長時間を要する等の医療用上の問題が生じる。

【０００４】そこで、用時溶解型製剤と溶解液を同容器
内に分離収納して、使用時にコネクター部に簡単な接続
操作を施すことにより、容易に混合できる構成のキット
製品が待望されていた。

【０００５】例えば、ガラスバイヤルやプラスチックボ
トル内の用時溶解型製剤と、ソフトバッグ内の溶解液を
混合するためにバッグ側の一端にバイヤルのゴム栓に刺
通して薬剤を導入するための針を設け、バッグ内の針の
他端に打栓部を配置して、その一部折り曲げ破損させて
同部を開通させる破断型コネクターを設けた構成のキッ
ト製品が提案（特開昭６１−５０１１２９号、特開平１
−９４８５６号）されている。

【０００６】また、両頭針を有するコネクター部を配置
し、ソフトバッグ内のダイヤフラムまたはゴム栓とバイ
ヤルのゴム栓に刺通して、両薬剤の収納室間を連通させ
る構成のキット製品が提案（特開昭６３−１３９５５５
号、特開平２−１２７７号）されている。

【０００７】ソフトバッグ内を複数の収納室に仕切りし
て収納室間にコネクターを配置して、使用時に同部を解
放する構成のうち、打栓部を折り曲げ破損させて開通さ
せる破断型コネクターを有するもの（特開昭６３−１１
１６１号）、凹凸嵌合する種々のクリップを用いてバッ
グ外からの押圧力で通路を遮断するクランプ型コネクタ
ーを有するもの（実公昭６３−２０５５０号、特開昭６
３−３０９２６３号、実開昭６４−５４５４７号、実開
平１−１３５９４０号）、密封用のダイヤフラムを中空
針等で刺通して連通する針型コネクターを有するもの
（特公昭６３−２０５５０号）がある。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】上述のキット製品は、
例えば、使用時まで同一バッグ内に密閉分離収納される
ため、薬剤等の微生物汚染の危険を軽減できること、混
合が予定される薬剤を同一バッグ内分離収納するため、
投薬調剤時の過誤防止が可能になること、さらに救急時
の迅速対応が可能になるなどの種々の利点がある。

【０００９】しかし、かかる種々の利点はバイヤルから
薬剤を導入するためのコネクター部や、ソフトバッグ内
を仕切りして収納室間に設けるコネクター部の性能如何
んに係わり、例えば、クランプ型コネクターは使用時ま
での密封能力に劣り、ダイヤフラムを中空針等で刺通し
て連通する針型コネクター及び破断型コネクターは解放
作業性に劣り、また破断片等を薬剤中に浮遊させる問題
がある。

【００１０】この発明は、２液や３液などの混合バッグ
型、液状または粉状薬剤のバイヤルとバッグ内の薬剤と
を混合するバイヤル混合型などの各種形態からなるキッ
ト製品の提供を目的とし、キット製品に不可欠のコネク
ターの性能向上のため、密封能力にすぐれ、連通時の操
作容易性にすぐれ、また連通時にコネクターを破断させ
ることがなく、薬液中に不純物を混入させない安全性に
すぐれたコネクター部を有する医療用キット製品の提供
を目的としている。

【００１１】

【課題を解決するための手段】この発明は、医療用薬剤
の分離収納、混合および投与システムを組み合せたソフ
トバッグからなる注射剤の医療用キット製品において、
ソフトバッグに配設される連通用通路に通路横断部を有
し、横断部内に該通路方向の貫通孔を有する可動コアを
移動かつ該通路遮蔽可能に嵌入した構成のコネクター部
を、ソフトバッグの少なくとも１箇所に配設したことを
特徴とする医療用キット製品である。またこの発明は、
上記の構成において、ソフトバッグの周端から可動コア
を押動、引出し可能にコネクター部を配設したことを特
徴とする医療用キット製品である。

【００１２】

【作用】この発明による医療用キット製品は、ソフトバ
ッグの収納分室間に設けた所定形状の通路あるいは導入
通路に設けるコネクター部に、所定形状の通路を横断す
る通路横断部を配置しかつバッグ外から押圧して横断部
内を移動させる可動コアを嵌入配置して、この可動コア
を移動させてコアに設けた通路方向の貫通孔の位置で分
離遮断されていた収納分室間等を連通させる構成となし
た新規なコネクターを配設するこにより、収納分室間の
遮断特性、連通時の操作容易性にすぐれ、また連通時に
打栓部材を破断させることがなく、薬液中に不純物を混
入させることなく安全性にすぐれ、また実施例に明らか
な如く、種々形態のキット製品に容易に適用できるな
ど、コネクター部に要求される全ての特性を満足する。

【００１３】この発明において、コネクター部の可動コ
アを押動または引出しするには、種々形態が利用できる
が、例えば、実施例に示す如く、通路横断部端をソフト
バッグ周端に位置させて可動コアの端部を孔外に突出さ
せて、同端部を押圧し易い形状に成形した構成、また、
ソフトバッグ周端の通路横断部端に可動コアの端面を露
出させて、ボールペン先や棒先で可動コアを押動させる
構成、さらには、同様に露出させた可動コアの端面に、
ねじ穴や凹凸嵌合用穴を設けて同部に押子棒を螺合ある
いは嵌合させて可動コアを押動または引き出す構成など
種々の構成を採用できる。

【００１４】この発明において、コネクター部はソフト
バッグに設けられる通路の用途、形状、配置位置等に応
じて、その形態を適宜選定するが、特に通路横断部の通
路に対する横断角度、横断孔形状、寸法は横断部内に嵌
入する可動コアによる通路の遮断性能、移動や開通操作
容易性に大きく影響するため、ソフトバッグ並びに通路
横断部及び可動コアに用いる材質、各部の仕上げ面粗
度、組立てや溶着一体化の手法等に応じて適宜選定する
必要がある。

【００１５】ソフトバッグには通常、ポリエチレン（Ｐ
Ｅ）系やポリプロピレン（ＰＰ）系が多用されるが、所
要の連通通路と通路横断部及び可動コアをソフトバッグ
と同材質で高硬度のものとするほか、医療用キット製品
に使用可能な公知の他合成樹脂やブチルゴム等のゴム材
質を適宜選定できる。

【００１６】この発明によるコネクター部は、ソフトバ
ッグに設けられる連通通路とは別部材で組立てあるいは
熱溶着で一体化するほか、該通路の用途、形状、配置位
置等に応じて、実施例に示す如く、当該通路と通路横断
部を射出成形にて同一部材として構成し、通路と同法で
同一通路孔形状の貫通孔を有する棒状の可動コアを前記
通路横断部内に嵌入した後に、ソフトバッグ内の所要位
置に配置してに、熱溶着にて封着する構成が、工業生産
に適している。また、可動コアは通路横断部内にコアの
外周全面で孔内面接触するほか、コア外周部に突出成形
した単数または所定間隔の複数のシールリング部で接触
する構成など、孔内の移動性と密封性を勘案して適宜選
定するとよい。

【００１７】

【実施例】

実施例１ 図１はこの発明による医療用キット製品を２液混合用ソ
フトバッグに構成した例を示す。ＰＰ製のソフトバッグ
１は頭部に吊支用孔２を有し、胴部を上下に２つの収納
室３，４を配置して収納室３，４間にコネクター部１０
を設け、さらに下端部には混合した薬剤を投与するため
の輸液セットの針を刺通するためのゴム栓部５が配設し
てある。

【００１８】コネクター部１０は、ＰＰ製の別部材で構
成したもので、上下方向の連通用の楕円通路１１に対し
て直交方向に断面矩形の通路横断部１２を設けてあり、
断面矩形の柱状で所要位置に楕円通路１１方向の楕円貫
通孔１３を設けたブチルゴム製の可動コア１４を通路横
断部１２の孔内に嵌入してある。また、通路横断部１２
端をソフトバッグ１周端に位置させて可動コア１４の端
部を孔外に突出させて、同端部を指で押圧し易いように
Ｔ字型の押子形状に成形して押圧端部１５となしてあ
る。

【００１９】以上の構成において、コネクター部１０の
楕円通路１１は、可動コア１４にて遮断され、収納室
３，４内の薬剤は完全に分離収納され、また、通路横断
部１２の孔内の可動コア１４は、ここではコア外周面と
孔内の全面密着しており、コネクター部１０は完全に密
封され、外部からの雰囲気や菌の侵入が完全に防止さ
れ、長期間の保存が可能になる。

【００２０】また、所要の投与時にコネクター部１０に
おいて、押圧端部１５を押して可動コア１４を図で左行
きさせると、容易に楕円貫通孔１３位置が移動して楕円
通路１１と連通して、例えばソフトバッグ１を吊支した
際に収納室３内の用時溶解型製剤が下部の収納室４内の
溶解液内に落下導入される。

【００２１】なお、図１の例では上下に２液を混合する
例を示したが、同様にコネクター部を介して上下に３液
の収納室を配置する３液混合型ソフトバッグとして構成
することができる。

【００２２】実施例２ 図２はこの発明による医療用キット製品を３液混合用ソ
フトバッグに構成した例を示し、実施例１と同様構成の
ソフトバッグ１を用い、さらに上部の収納室を２室に区
分にして収納室３ａ，３ｂとなし、収納室４との間に実
施例１と同様のコネクター部１０をそれぞれ配設した構
成からなる。

【００２３】なお、コネクター部１０は基本的に実施例
１で詳述した構成と同様であるが、可動コア１４の端部
はソフトバッグ１周端の通路横断部１２端に可動コア１
４の端面を露出させる構成となしてあり、コネクター部
１０は完全に密封され、外部からの雰囲気や菌の侵入が
完全に防止され、長期間の保存が可能になる。また、所
要の投与時には、例えばボールペン先や棒先で可動コア
１４を押動させて、楕円通路１１を開通させることがで
きる。

【００２４】実施例３ 図３はこの発明による医療用キット製品をバイヤルとの
２液混合用ソフトバッグに構成した例を示す。ソフトバ
ッグ６は溶解液等の収納室７と吊支用孔２側の上部を開
口して収納室７の中ほどまで侵入する如くバイヤル用袋
部８を配設してあり、バイヤル用袋部８底と収納室７と
の間にコネクター部２０が配置してある。

【００２５】コネクター部２０は、ソフトバッグ６とは
別部材で構成したもので、上下方向の連通用の円形通路
２１に対して直交方向に断面円形の通路横断部２２を設
けてあり、円柱状で所要位置に円形通路２１方向の貫通
孔２３を設けたブチルゴム製の可動コア２４を通路横断
部２２の孔内に嵌入してある。また、バイヤル用袋部８
の円形通路２１は、バイヤルのゴム栓に刺通可能な針部
２５となっている。さらに、通路横断部２２端をソフト
バッグ６周端に位置させて可動コア２４の端面を露出さ
せて、同端面部にはねじ穴２６を設けてあり、棒状の押
子２７の先端ねじ部を螺合可能に構成してある。

【００２６】コネクター部２０の針部２５を含む円形通
路２１は保管時には可動コア２４にて遮断され、また通
路横断部２２は可動コア２４にて密封され、外部からの
雰囲気や菌の侵入が完全に防止され、収納室７内の薬剤
の長期間の保存が可能になる。また、バイヤル用袋部８
の開口部をチャックで使用時まで密封できる構成するこ
とにより針部２５の汚染を防止できる。使用時には、ま
ずバイヤル９のゴム栓を針部２５に突き立てて刺通さ
せ、ついで、可動コア２４の端面のねじ穴２６に押子２
７を螺合させて、可動コア２４を押動させると、容易に
貫通孔２３が円形通路２１位置まで移動して連通してバ
イヤル９内の薬剤を収納室７内に導入できる。

【００２７】さらに、バイヤル用袋部８内の針部２５を
図示しないが、ロート状のものに代えることにより、粉
状薬剤との混合として利用することができる。

【００２８】

【発明の効果】この発明は、ソフトバッグの収納分室間
に設けた所定形状の通路あるいは導入通路を横断遮蔽し
かつバッグ外から押圧し移動可能にした可動コアを有す
るコネクター部を配置して、コアを移動させてコアに設
けた貫通孔の位置で分離遮断されていた収納分室間を連
通させる構成としたことにより、収納分室間の遮断特
性、連通時の操作容易性にすぐれ、また連通時に打栓部
材を破断させることがなく、薬液中に不純物を混入させ
ないなどの安全性にすぐれ、さらに２液混合、バイヤル
との混合、粉状薬剤との混合など種々の形態のキット製
品に適用できる汎用性にすぐれたコネクター部を有する
医療用キット製品である。

【図面の簡単な説明】

【図１】２液混合用ソフトバッグに構成したこの発明に
よる医療用キット製品の一部破断説明図である。

【図２】３液混合用ソフトバッグに構成したこの発明に
よる医療用キット製品の一部破断説明図である。

【図３】バイヤルとの２液混合用ソフトバッグに構成し
たこの発明による医療用キット製品の一部破断説明図で
ある。

【符号の説明】

１，６ ソフトバッグ ２ 吊支用孔 ３，３ａ，３ｂ，４，７ 収納室 ５ ゴム栓部 ８ バイヤル用袋部 ９ バイヤル １０，２０ コネクター部 １１ 楕円通路 １２ 通路横断部 １３ 楕円貫通孔 １４ 可動コア １５ 押圧端部 ２１ 円形通路 ２２ 通路横断部 ２３ 貫通孔 ２４ 可動コア ２５ 針部 ２６ ねじ穴 ２７ 押子

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 医療用薬剤の分離収納、混合および投与
   システムを組み合せたソフトバッグからなる注射剤の医
   療用キット製品において、ソフトバッグに配設される連
   通用通路に通路横断部を有し、横断部内に該通路方向の
   貫通孔を有する可動コアを移動かつ該通路遮蔽可能に嵌
   入した構成のコネクター部を、ソフトバッグの少なくと
   も１箇所に配設したことを特徴とする医療用キット製
   品。
2. 【請求項２】 ソフトバッグの周端から可動コアを押
   動、引出し可能にコネクター部を配設したことを特徴と
   する請求項１記載の医療用キット製品。