JPH05329168A - 止血補助器具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 Ｘ，Ｙ方向可動アームに取り付けられたＺ方
向微調整ネジをＺ方向に移動させ、このＺ方向微調整ネ
ジの先端に取り付けられたシリコンゴム製の穿刺部位圧
迫端で穿刺部位を圧迫固定する止血補助器具において、
カテーテル抜去時の止血を瞬時に杭止める装置とする。 【構成】 Ｘ，Ｙ方向可動アームのＺ方向微調整ネジが
係合するナット部に、ボタンで解除が可能なラチェット
（ｒａｔｃｈｅｔ）機構を組み込むと共に、Ｚ方向戻り
用スプリングを備えたことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、止血補助器具に関する
ものである。

【０００２】

【従来の技術】例えば、従来の造影システムおよびＤＳ
Ａ（ディジタル・サブストラクション造影）において
は、外部から患者の動脈血管へ穴を開けて穿刺部位を設
け、径皮的に血管内腔にカテーテルを押し進める作業が
必要である。患者の大腿部に穿刺部位を設ける場合を大
腿アプローチ、患者の上腕に穿刺部位を設ける場合を上
腕アプローチと言うが、大腿アプローチの場合は術後の
止血のため患者の歩行が拘束され入院を余儀なくされる
ので、近年では比較的止血が簡便にでき、外来ベースで
検査が可能な上腕アプローチが行われる。

【０００３】次に上腕アプローチにおける止血方法につ
いて説明する。カテーテル抜去後は、医師等が一方の手
で脈を取りながら、他の一方の手で穿刺部位を約１５分
〜３０分（使用カテーテルの径の大きさによって異な
る）圧迫した後、弾力包帯などを用いてきつく圧迫固定
する。

【０００４】然しながらこの圧迫固定は、穿刺部位だけ
でなく静脈も一緒に圧迫してしまうことになり、圧迫固
定できる時間が約３０分に制限され、これ以上長時間の
圧迫固定を行うと、患者に不必要な痛みを与え、うっ血
を起こす。従って圧迫固定時間が３０分を超える場合、
圧迫固定を一度解いて止血状態を確認し、さらに１０分
〜２０分間の間、穿刺部位だけを手で圧迫して止血を行
う必要がある。このように、上腕アプローチにおける止
血方法は、弾力包帯などを用いて圧迫固定することとし
ているので、約３０分程度しか圧迫固定することができ
ず、その後さらに手で穿刺部位だけを圧迫して止血を行
う必要があり、均一な圧力で圧迫することができず、止
血に時間がかかり、患者に苦痛を与え、且つ医師等に多
大な負担をかける。このような問題を解決するため各種
の止血補助器具が開発されている。

【０００５】図３は本願出願人と同一出願人に係る実用
新案登録出願、実願平２−２０１２１４号公報、「腕用
止血補助器具」で開示した止血補助器具の構成を示す斜
視図であり、図において、１は下側固定板、２は上側可
動板、３はアジャスタ部、３ａは固定ネジ、３ｂはアジ
ャスタ尺、４は微調整ネジ、５は穿刺部位圧迫端、６は
患者の上腕を示す。次に動作について説明する。固定ネ
ジ３ａを緩め下側固定板１と上側可動板２との間を十分
に開けて、患者の上腕を、アジャスタ部３を降下させ、
シリコンゴム製の穿刺部位圧迫端５を穿刺部位へ位置決
めする。そして、固定ネジ３ａを締めて上側可動板２を
固定し、患者の脈を計りながら微調整ネジ４を回転さ
せ、シリコンゴム製の穿刺部位圧迫端５が患者の上腕に
加える圧力を調整して、止血を行う。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】上記のような従来の止
血補助器具は以上のように構成されているので、穿刺部
位圧迫端により穿刺部位だけを適当な圧力で均一に圧迫
固定できるが、穿刺部位を瞬時に圧迫することができな
いという問題点があった。例えば、カテーテルを抜去す
る際には、カテーテルを抜去した瞬間から大量に出血す
る。したがってこの出血を抑えるため、できるだけ速く
穿刺部位を圧迫する必要があるが、従来の装置では、固
定ネジを緩めてアジャスタ部をアジャスタ尺に沿って摺
動させて高さ方向（Ｚ方向）の調整を行い、再び固定ネ
ジを締めて位置決めする作業が必要であり、この作業が
煩わしく時間がかかり、その間の出血が大きい。

【０００７】本発明はかかる問題点を解決するためにな
されたものであり、穿刺部位圧迫端の高さ方向（Ｚ方
向）の移動を瞬時に行え、カテーテル抜去時の出血を最
小限に抑えられる止血補助器具を提供することを目的と
している。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明に係わる止血補助
器具は、Ｚ方向微調整ネジが係合するナット部に、ボタ
ン操作で解除が可能なラチェット（ｒａｔｃｈｅｔ）機
構を組み込むと共に、Ｚ方向戻り用スプリングを備えた
ことを特徴とする。

【０００９】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図面を用いて説明
する。図１は本発明の一実施例を示す斜視図であり、図
において、１１は固定アーム、１２はＸ，Ｙ方向可動ア
ーム、１３は固定ネジ、１４はＺ方向微調整ネジ、１５
はシリコンゴム製の穿刺部位圧迫端、１６は固定台、２
０はラチェット（ｒａｔｃｈｅｔ）機構部、２１はラチ
ェットを解除するためのラチェット解除ボタン、２２は
ラチェットが解除された時に穿刺部位圧迫端１５を引き
上げるためのＺ方向戻り用スプリングである。

【００１０】図２は、図１に示す止血補助器具のラチェ
ット機構部２０付近の構成および動作を説明するための
図であり、図２（Ａ）は使用前の状態、図２（Ｂ）はカ
テーテル抜去時に穿刺部位を圧迫している状態を示す。
使用前の状態では、スプリング２２の引張り力によって
穿刺部位圧迫端１５は引き上げられた状態にあり、カテ
ーテル抜去時には、この状態で止血補助器具を移動さ
せ、シリコンゴム製の穿刺部位圧迫端１５を穿刺部位上
部まで持ってくる。そして、カテーテルを抜去すると同
時に、Ｚ方向微調整ネジ１４を図２（Ｂ）の矢印に示
すように上から押し下げ、スプリング２２の付勢に抗っ
て、シリコンゴム製の穿刺部位圧迫端１５で穿刺部位を
瞬時に圧迫する。

【００１１】Ｘ，Ｙ方向可動アーム１２先端のＺ方向微
調整ネジ１４が係合するナット部には、図２に示すよう
にラチェット機構２０が設けられており、Ｚ方向微調整
ネジ１４が押し下げられると、その位置でＺ方向微調整
ネジ１４の移動が固定されるため、穿刺部位を圧迫した
状態をそのまま継続でき、穿刺部位からの出血を瞬時に
止めることができる。以上のようにして本発明の止血補
助器具は、従来の装置ではＺ方向微調整ネジ１４の回転
だけに頼っていたシリコンゴム製の穿刺部位圧迫端１５
のＺ方向の移動を瞬時に行わせることで抜去時の出血を
最小限に杭止めることができる。なお、一旦出血を止め
てからの穿刺部位の圧迫力の微調整は従来通りＺ方向微
調整ネジ１４を回転させて行うことができ、ラチェット
の解除は、図２（Ｂ）の矢印２の方向にラチェット解除
ボタン２１を移動させることで、解除機構（図示せず）
が働き、スプリング２２の引っ張り力によってシリコン
ゴム製の穿刺部位圧迫端１５を図２（Ａ）の状態に戻す
ことができる。

【００１２】なお、ラチェット機構およびラチェット解
除機構は、上記目的を達成できるものであれば良く、そ
の形状や構成は問わない。

【００１３】

【発明の効果】本発明は以上説明したように、カテーテ
ル抜去時の瞬間から穿刺部位の圧迫が可能となり、従来
の装置の機能を何ら損なうことなく、カテーテル抜去時
の出血を最小限に押さえられる止血補助器具が得られる
という効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す斜視図である。

【図２】図１に示す止血補助器具のラチェット機構部２
０付近の構成および動作を説明するための図である。

【図３】従来の装置の構成を示す斜視図である。

【符号の説明】

１１ 固定アーム １２ Ｘ，Ｙ方向可動アーム １３ 固定ネジ １４ Ｚ方向微調整ネジ １５ 穿刺部位圧迫端 １６ 固定台 ２０ ラチェット機構部 ２１ ラチェット解除ボタン ２２ Ｚ方向戻り用スプリング

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 Ｘ，Ｙ方向可動アームに取り付けられた
   Ｚ方向微調整ネジをＺ方向に移動させ、このＺ方向微調
   整ネジの先端に取り付けられた穿刺部位圧迫端で穿刺部
   位を圧迫固定する止血補助器具において、 上記Ｘ，Ｙ方向可動アームの上記Ｚ方向微調整ネジが係
   合するナット部に、ボタンで解除が可能なラチェット
   （ｒａｔｃｈｅｔ）機構を組み込むと共に、Ｚ方向戻り
   用スプリングを備えたことを特徴とする止血補助器具。