JPH05328909A - 養殖動物の体色又は肉色改善用組成物および動物の養殖方法 - Google Patents
養殖動物の体色又は肉色改善用組成物および動物の養殖方法Info
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- JPH05328909A JPH05328909A JP4137386A JP13738692A JPH05328909A JP H05328909 A JPH05328909 A JP H05328909A JP 4137386 A JP4137386 A JP 4137386A JP 13738692 A JP13738692 A JP 13738692A JP H05328909 A JPH05328909 A JP H05328909A
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Abstract
(57)【要約】
【構成】 ヒトデ類の色素を用いる養殖動物の体色又は
肉色改善用組成物を、給餌することを特徴とする動物の
養殖方法。 【効果】 ヒトデ類からの色素含有組成物を混合した飼
料を給餌して養殖された動物は、天然品に匹敵する品質
となり、商品価値が非常に高くなる。また、ヒトデ類の
有効利用という点でも期待できる。
肉色改善用組成物を、給餌することを特徴とする動物の
養殖方法。 【効果】 ヒトデ類からの色素含有組成物を混合した飼
料を給餌して養殖された動物は、天然品に匹敵する品質
となり、商品価値が非常に高くなる。また、ヒトデ類の
有効利用という点でも期待できる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、養殖動物の体色又は肉
色の改善に優れた効果を示し、養殖動物の商品価値を高
め得る養殖動物の体色又は肉色改善用組成物に関し、更
にかかる組成物を用いた動物の養殖方法に関する。
色の改善に優れた効果を示し、養殖動物の商品価値を高
め得る養殖動物の体色又は肉色改善用組成物に関し、更
にかかる組成物を用いた動物の養殖方法に関する。
【0002】
【従来の技術及びその課題】近年、特に高級魚介類、甲
殻類などの需要が高まる一方、漁獲海域の制約などもあ
って、高級魚介類の養殖による生産が次第に盛んにな
り、養殖は水産業において重要な役割を担うに至ってい
る。
殻類などの需要が高まる一方、漁獲海域の制約などもあ
って、高級魚介類の養殖による生産が次第に盛んにな
り、養殖は水産業において重要な役割を担うに至ってい
る。
【0003】また、高級指向が高まるにつれて、魚介類
の鮮度や肉質だけでなく肉色、体色などの外観も商品価
値を大きく左右するようになってきた。外観は、主とし
て、形と色より成っているが、体表及び筋肉の色調は外
観を構成する重要な要素となっている。
の鮮度や肉質だけでなく肉色、体色などの外観も商品価
値を大きく左右するようになってきた。外観は、主とし
て、形と色より成っているが、体表及び筋肉の色調は外
観を構成する重要な要素となっている。
【0004】水産動物の体表及び筋肉に存在する色素
は、化学構造から分類すると、カロチノイド群、胆汁色
素群、ナフトキノン系色素群、メラニン、プテリジン系
色素群、その他の色素に大別される。
は、化学構造から分類すると、カロチノイド群、胆汁色
素群、ナフトキノン系色素群、メラニン、プテリジン系
色素群、その他の色素に大別される。
【0005】カニ、クルマエビなどの甲殻類、マダイ、
サケ・マス類、錦ゴイ、キンギョなどの体色及び肉色な
どの赤色系の色素及びブリの表皮の色などはいずれもカ
ロチノイド群の色素に主として由来する。
サケ・マス類、錦ゴイ、キンギョなどの体色及び肉色な
どの赤色系の色素及びブリの表皮の色などはいずれもカ
ロチノイド群の色素に主として由来する。
【0006】水産動物に良く見られるカロチノイドに
は、β−カロチン、ルテイン、ゼアキサンチン、ツナキ
サンチン、アスタキサンチンなど現在までに多くのもの
が知られている。魚介類の体色等を彩る赤色系の色素は
主として、アスタキサンチンであり、ブリの表皮の色素
は主として、ツナキサンチンが成分色素であることが知
られている。しかし、水産動物の体色、肉色は主の色素
の他にいくつかのカロチノイドによって独特の色を形成
していることが多い。魚介類などはいずれもカロチノイ
ドを生合成できないので餌からカロチノイドを摂取して
いる。
は、β−カロチン、ルテイン、ゼアキサンチン、ツナキ
サンチン、アスタキサンチンなど現在までに多くのもの
が知られている。魚介類の体色等を彩る赤色系の色素は
主として、アスタキサンチンであり、ブリの表皮の色素
は主として、ツナキサンチンが成分色素であることが知
られている。しかし、水産動物の体色、肉色は主の色素
の他にいくつかのカロチノイドによって独特の色を形成
していることが多い。魚介類などはいずれもカロチノイ
ドを生合成できないので餌からカロチノイドを摂取して
いる。
【0007】クルマエビ、キンギョ、ヒゴイなどは餌か
ら摂取した前駆体となるカロチノイドからアスタキサン
チンなどへの代謝も可能であるが、マダイ、サケ・マス
類などは、前駆体となるカロチノイドからアスタキサン
チンその他の色素への転換能を欠くため、体色、肉色の
改善にはアスタキサンチン、その他ルテイン、ツナキサ
ンチンなど、必要な色素を含有する餌から直接摂取させ
ることが必要である。
ら摂取した前駆体となるカロチノイドからアスタキサン
チンなどへの代謝も可能であるが、マダイ、サケ・マス
類などは、前駆体となるカロチノイドからアスタキサン
チンその他の色素への転換能を欠くため、体色、肉色の
改善にはアスタキサンチン、その他ルテイン、ツナキサ
ンチンなど、必要な色素を含有する餌から直接摂取させ
ることが必要である。
【0008】一方、ブリは前駆体であるアスタキサンチ
ンからツナキサンチンへの転換能を有することが知られ
ている。従って、ブリにはツナキサンチン又はアスタキ
サンチンを含んだ餌料の給餌が有効である。
ンからツナキサンチンへの転換能を有することが知られ
ている。従って、ブリにはツナキサンチン又はアスタキ
サンチンを含んだ餌料の給餌が有効である。
【0009】以上のように特に甲殻類、例えばクルマエ
ビなどはβ−カロチンを色素源として体内でアスタキサ
ンチンに生合成でき有効であるが、マダイの天然魚は、
アスタキサンチンを主とし、ルテイン、ツナキサンチ
ン、さらにわずかなα−カロチン、ゼアキサンチンなど
の色素源から美しい体表の色が発現されていることが知
られている。キンギョ、錦ゴイなどは、アスタキサンチ
ン、ゼアキサンチン(体内でアスタキサンチンに生合成
される)などの色素源によって赤味の強い体表色とな
り、α−ドラデキサンチン(ルテインからも体内で生合
成される)によって橙色の体表色を呈することが知られ
ている。天然魚のサケ・マス類の肉色の色素源として
は、アスタキサンチンを主とし、その他カンタキサンチ
ン、ルテインなどから構成されており、養殖魚ではそれ
ら色素源の含有比を変えた餌料の給餌を行うと色調の異
なる肉色になることが知られている。しかし、色素の蓄
積率は、種によっても異なるが、給餌量の 0.2〜9%程
度であり、又色素の成分によって異なる。色素を含有す
る飼料の給餌による養殖魚の色調の改善は、一般的には
色揚げと称されている。
ビなどはβ−カロチンを色素源として体内でアスタキサ
ンチンに生合成でき有効であるが、マダイの天然魚は、
アスタキサンチンを主とし、ルテイン、ツナキサンチ
ン、さらにわずかなα−カロチン、ゼアキサンチンなど
の色素源から美しい体表の色が発現されていることが知
られている。キンギョ、錦ゴイなどは、アスタキサンチ
ン、ゼアキサンチン(体内でアスタキサンチンに生合成
される)などの色素源によって赤味の強い体表色とな
り、α−ドラデキサンチン(ルテインからも体内で生合
成される)によって橙色の体表色を呈することが知られ
ている。天然魚のサケ・マス類の肉色の色素源として
は、アスタキサンチンを主とし、その他カンタキサンチ
ン、ルテインなどから構成されており、養殖魚ではそれ
ら色素源の含有比を変えた餌料の給餌を行うと色調の異
なる肉色になることが知られている。しかし、色素の蓄
積率は、種によっても異なるが、給餌量の 0.2〜9%程
度であり、又色素の成分によって異なる。色素を含有す
る飼料の給餌による養殖魚の色調の改善は、一般的には
色揚げと称されている。
【0010】甲殻類については、合成品のβ−カロチ
ン、藍藻、スピルリナ、アミ類などを色素源として色揚
げが行われている。
ン、藍藻、スピルリナ、アミ類などを色素源として色揚
げが行われている。
【0011】タイ類、サケ・マス類の色揚げに用いられ
るアスタキサンチンを主とした色素源としては、カニ
殻、ザリガニ、オキアミ、イサザアミの生又は冷凍品、
それらのミール、乾燥品及びそれらの色素抽出油、ホヤ
の被ノウ、などがある。最も一般的にはオキアミ、イサ
ザアミなどアミ類のミール、アミ類、ザリガニなどの色
素抽出油、アミ類の生又は冷凍品が用いられている。乾
燥品ではその効果が低いため特別に製造されたアミ類の
ミール、それらの生又は冷凍品が主に使用されている。
また植物性のアスタキサンチン色素源としては、パブリ
カ、ホウセンカなどが挙げられる。
るアスタキサンチンを主とした色素源としては、カニ
殻、ザリガニ、オキアミ、イサザアミの生又は冷凍品、
それらのミール、乾燥品及びそれらの色素抽出油、ホヤ
の被ノウ、などがある。最も一般的にはオキアミ、イサ
ザアミなどアミ類のミール、アミ類、ザリガニなどの色
素抽出油、アミ類の生又は冷凍品が用いられている。乾
燥品ではその効果が低いため特別に製造されたアミ類の
ミール、それらの生又は冷凍品が主に使用されている。
また植物性のアスタキサンチン色素源としては、パブリ
カ、ホウセンカなどが挙げられる。
【0012】しかし、経済性、原料供給の安定性、更に
は原料又は飼料中のアスタキサンチンなどの色素源は安
定性が非常に悪く、特に光、紫外線、熱、空気中の酸素
などにより、変質するので貯蔵安定性などにそれぞれ一
長一短がある。
は原料又は飼料中のアスタキサンチンなどの色素源は安
定性が非常に悪く、特に光、紫外線、熱、空気中の酸素
などにより、変質するので貯蔵安定性などにそれぞれ一
長一短がある。
【0013】例えば、色揚げの目的達成のために生又は
冷凍のアミ類を大量給餌すると、栄養素のバランスを保
ち難くなり、さらにその鮮度にもよるが、いわゆるアミ
臭が養殖魚に転移して著しく商品価値を損なうなどの問
題が生じることになる。
冷凍のアミ類を大量給餌すると、栄養素のバランスを保
ち難くなり、さらにその鮮度にもよるが、いわゆるアミ
臭が養殖魚に転移して著しく商品価値を損なうなどの問
題が生じることになる。
【0014】最近、ファフィアなどアスタキサンチン生
産酵母による色揚げの研究や、ヘマトコッカスなどの微
細藻類によるアスタキサンチンの生産等も研究されてい
るが、十分実用化できる段階には至っていない。
産酵母による色揚げの研究や、ヘマトコッカスなどの微
細藻類によるアスタキサンチンの生産等も研究されてい
るが、十分実用化できる段階には至っていない。
【0015】またアスタキサンチン及びカンタキサンチ
ンの合成も試みられている。合成アスタキサンチン、合
成カンタキサンチンなども欧米等ではサケ・マス類の色
揚げに利用されるようになってきた。また合成アスタキ
サンチンはタイ類の色揚げに適用可能である。
ンの合成も試みられている。合成アスタキサンチン、合
成カンタキサンチンなども欧米等ではサケ・マス類の色
揚げに利用されるようになってきた。また合成アスタキ
サンチンはタイ類の色揚げに適用可能である。
【0016】これら合成品は天然色素源より安価ではあ
るが、養殖業界では天然指向が強いこと、またサケ・マ
ス類のカンタキサンチンによる色揚げでは天然の肉色よ
り橙色が強くなり天然品とは異なる不自然な色相を呈す
るなどから実用的に劣る。さらにはカンタキサンチン
は、その分子内に水酸基をもたないため、肉タンパク質
との結合性が弱く、調理加工時における色調の安定性に
も劣るなどの問題点も認められている。
るが、養殖業界では天然指向が強いこと、またサケ・マ
ス類のカンタキサンチンによる色揚げでは天然の肉色よ
り橙色が強くなり天然品とは異なる不自然な色相を呈す
るなどから実用的に劣る。さらにはカンタキサンチン
は、その分子内に水酸基をもたないため、肉タンパク質
との結合性が弱く、調理加工時における色調の安定性に
も劣るなどの問題点も認められている。
【0017】タイ類の色揚げに色素源として、最も良く
用いられるオキアミ、イサザアミなどの甲殻類、又は合
成アスタキサンチンを用いた場合は、タイ類の外観は赤
味をおびた表皮となり、その効果は認められるものの天
然魚と比較した場合、体色は単調であり、天然魚の外
観、体色にはおよばない。例えば、マダイの場合、天然
魚の赤味のある美しい黄金色と青味のあるいくつかの斑
点など、深味のある外観を呈しているが、養殖魚は天然
魚の美しい体色には全くおよばない。その原因の一つと
して、オキアミ、イサザアミ、ザリガニなど甲殻類の色
素であるカロチノイドの分布は、アスタキサンチンが80
〜90%以上とその大部分をしめ、他のカロチノイドは少
量又はこん跡程度であることが挙げられる。
用いられるオキアミ、イサザアミなどの甲殻類、又は合
成アスタキサンチンを用いた場合は、タイ類の外観は赤
味をおびた表皮となり、その効果は認められるものの天
然魚と比較した場合、体色は単調であり、天然魚の外
観、体色にはおよばない。例えば、マダイの場合、天然
魚の赤味のある美しい黄金色と青味のあるいくつかの斑
点など、深味のある外観を呈しているが、養殖魚は天然
魚の美しい体色には全くおよばない。その原因の一つと
して、オキアミ、イサザアミ、ザリガニなど甲殻類の色
素であるカロチノイドの分布は、アスタキサンチンが80
〜90%以上とその大部分をしめ、他のカロチノイドは少
量又はこん跡程度であることが挙げられる。
【0018】天然魚の場合、例えばマダイの表皮のカロ
チノイド分布は、アスタキサンチン60%、ツナキサンチ
ン20%、ルテイン15%、ゼアキサンチン4%、α−カロ
チン、カンタキサンチンがそれぞれ1〜2%程度の割合
を中心にした分布となっていることが知られている。さ
らに、その他の微量のカロチノイドも存在している。
チノイド分布は、アスタキサンチン60%、ツナキサンチ
ン20%、ルテイン15%、ゼアキサンチン4%、α−カロ
チン、カンタキサンチンがそれぞれ1〜2%程度の割合
を中心にした分布となっていることが知られている。さ
らに、その他の微量のカロチノイドも存在している。
【0019】チダイの表皮はアスタキサンチン80%、ツ
ナキサンチン15%、フェニコキサンチン2%、カンタキ
サンチン、ゼアキサンチン、α−クリプトキサンチン、
が各1%程度、その他ルテインが少量といった分布をし
ている。
ナキサンチン15%、フェニコキサンチン2%、カンタキ
サンチン、ゼアキサンチン、α−クリプトキサンチン、
が各1%程度、その他ルテインが少量といった分布をし
ている。
【0020】キンメダイでは、アスタキサンチン75%、
ツナキサンチン20%、カンタキサンチン3%、ルテイン
2%程度、その他微量のカロチノイドなどとなっいるこ
とが知られている。
ツナキサンチン20%、カンタキサンチン3%、ルテイン
2%程度、その他微量のカロチノイドなどとなっいるこ
とが知られている。
【0021】サケ・マス類とタイ類の色揚げについて比
較すると、サケ・マス類は養殖でも餌料中の色素源を比
較的単純に蓄積することが知られており、天然魚は種に
よっても異なるがアスタキサンチンを主な色素源に、そ
の他カンタキサンチン等のカロチノイドで肉色が構成さ
れている。それでもなおかつ、天然魚に近い肉色の養殖
魚を生産するこは、困難な状況下にある。
較すると、サケ・マス類は養殖でも餌料中の色素源を比
較的単純に蓄積することが知られており、天然魚は種に
よっても異なるがアスタキサンチンを主な色素源に、そ
の他カンタキサンチン等のカロチノイドで肉色が構成さ
れている。それでもなおかつ、天然魚に近い肉色の養殖
魚を生産するこは、困難な状況下にある。
【0022】タイ類の場合には、体色の色素源は主とし
てはアスタキサンチンであるが、その他いくつかのカロ
チノイド色素によって天然魚の美しい体色を呈してい
る。従って、養殖で天然魚に近い体色の魚体を生産する
ことは非常にむずかしく現在においても、養殖魚は、簡
単に天然魚と識別できる。とりわけ、天然のマダイは体
色の構成カロチノイドの数が多く、その含有比などによ
っても異なり、体色自体複雑な構成になっており、天然
魚に近い体色のものを養殖で生産することは、現在にお
いても、非常に困難である。天然魚の体色の成分カロチ
ノイドを分析し、それに近い組成のカロチノイドを餌に
配合して、給餌してもそれぞれのカロチノイドが均等に
魚体に吸収されることはなく、各カロチノイド又は比率
によってもそれぞれ各成分カロチノイドの魚体への吸
収、蓄積比率が異なるために天然魚に近い体色の魚体を
生産できない。
てはアスタキサンチンであるが、その他いくつかのカロ
チノイド色素によって天然魚の美しい体色を呈してい
る。従って、養殖で天然魚に近い体色の魚体を生産する
ことは非常にむずかしく現在においても、養殖魚は、簡
単に天然魚と識別できる。とりわけ、天然のマダイは体
色の構成カロチノイドの数が多く、その含有比などによ
っても異なり、体色自体複雑な構成になっており、天然
魚に近い体色のものを養殖で生産することは、現在にお
いても、非常に困難である。天然魚の体色の成分カロチ
ノイドを分析し、それに近い組成のカロチノイドを餌に
配合して、給餌してもそれぞれのカロチノイドが均等に
魚体に吸収されることはなく、各カロチノイド又は比率
によってもそれぞれ各成分カロチノイドの魚体への吸
収、蓄積比率が異なるために天然魚に近い体色の魚体を
生産できない。
【0023】天然マダイの赤味を帯びた美しい黄金色、
青みを帯びた斑点など深味のある体色は鱗上の色素胞で
構成されている。鱗上の色素胞の配列は、最上層に黒色
素胞その下に赤色素胞、黄色素胞あるいは虹胞(光彩細
胞、銀白色)が混在したような構成になっていることが
知られている。いずれにしても、特にマダイの場合は、
体色等、天然に近い品質のものを養殖で生産すること
は、現状においては非常に困難であり、実質的には実現
されていない。
青みを帯びた斑点など深味のある体色は鱗上の色素胞で
構成されている。鱗上の色素胞の配列は、最上層に黒色
素胞その下に赤色素胞、黄色素胞あるいは虹胞(光彩細
胞、銀白色)が混在したような構成になっていることが
知られている。いずれにしても、特にマダイの場合は、
体色等、天然に近い品質のものを養殖で生産すること
は、現状においては非常に困難であり、実質的には実現
されていない。
【0024】しかるに、畜産界では野生肉より養殖品の
方が高価であるが、水産養殖においては、天然品の方が
はるかに高価であり、天然品に匹敵するか、又は体色・
姿・肉質等、より天然品に近い品質のものほど高価であ
り、商品価値が高い。従って水産養殖においては、天然
品に匹敵させるか、又は近づけることが重要な課題とな
っている。
方が高価であるが、水産養殖においては、天然品の方が
はるかに高価であり、天然品に匹敵するか、又は体色・
姿・肉質等、より天然品に近い品質のものほど高価であ
り、商品価値が高い。従って水産養殖においては、天然
品に匹敵させるか、又は近づけることが重要な課題とな
っている。
【0025】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記現状
に鑑み、養殖動物の体色又は肉色が、天然品に匹敵する
か、又はより天然品に近い高品質の養殖動物を生産する
ために、色揚げ用のカロチノイド系色素源について検討
し、供給安定性があり、経済的に有利に、養殖動物の高
品位の色揚げができる組成物、及び色揚げ方法を提供す
ることを目的に鋭意研究を重ね、本発明を完成するに至
った。
に鑑み、養殖動物の体色又は肉色が、天然品に匹敵する
か、又はより天然品に近い高品質の養殖動物を生産する
ために、色揚げ用のカロチノイド系色素源について検討
し、供給安定性があり、経済的に有利に、養殖動物の高
品位の色揚げができる組成物、及び色揚げ方法を提供す
ることを目的に鋭意研究を重ね、本発明を完成するに至
った。
【0026】即ち、本発明は天然の海産物中のカロチノ
イド系色素について検討を重ね、現在、ほとんど利用さ
れていない棘皮動物ヒトデ類からアセトンで抽出するか
又は、乾燥した後アセトン等で抽出して得られるカロチ
ノイド色素を含有する養殖動物の体色又は肉色改善用組
成物及びかかる組成物を含有する餌料を給餌することを
特徴とする動物の養殖方法に関する。
イド系色素について検討を重ね、現在、ほとんど利用さ
れていない棘皮動物ヒトデ類からアセトンで抽出するか
又は、乾燥した後アセトン等で抽出して得られるカロチ
ノイド色素を含有する養殖動物の体色又は肉色改善用組
成物及びかかる組成物を含有する餌料を給餌することを
特徴とする動物の養殖方法に関する。
【0027】更に本発明を詳述すると、生のヒトデ類に
3倍量以上のアセトンを加え、2〜6時間煮沸抽出する
か又はソックスレー抽出器を用いて2〜6時間抽出す
る。又は生のヒトデ類を80℃以下の温度、実用的にさら
に好ましくは40〜60℃で減圧又は常圧下で乾燥した後、
アセトン等で抽出する。これら抽出溶液からアセトンを
常法により留去し、ヒトデ類のカロチノイド色素を含有
する油状の組成物を得る。この油状物を所定量、市販の
ドライペットに吸収させるか、又は、魚粉、脱脂大豆、
コーングルテンミール、小麦粉、リン酸カルシウム、ビ
タミン配合剤及びカルボキシメチルセルロースのナトリ
ウム塩等からなる配合飼料と混合し、水を加えモイスト
ペレットとする。これを、飼料に混合して養殖されたも
のは天然品に匹敵するか又は非常に近い品質となり、高
級品として評価でき、商品価値が非常に高くなる。
3倍量以上のアセトンを加え、2〜6時間煮沸抽出する
か又はソックスレー抽出器を用いて2〜6時間抽出す
る。又は生のヒトデ類を80℃以下の温度、実用的にさら
に好ましくは40〜60℃で減圧又は常圧下で乾燥した後、
アセトン等で抽出する。これら抽出溶液からアセトンを
常法により留去し、ヒトデ類のカロチノイド色素を含有
する油状の組成物を得る。この油状物を所定量、市販の
ドライペットに吸収させるか、又は、魚粉、脱脂大豆、
コーングルテンミール、小麦粉、リン酸カルシウム、ビ
タミン配合剤及びカルボキシメチルセルロースのナトリ
ウム塩等からなる配合飼料と混合し、水を加えモイスト
ペレットとする。これを、飼料に混合して養殖されたも
のは天然品に匹敵するか又は非常に近い品質となり、高
級品として評価でき、商品価値が非常に高くなる。
【0028】例えば、サケ・マス類ではその肉色が、又
タイ類では体色が天然品に近いか又は匹敵する。賞味の
結果、味も優れており、又解剖の所見も異状は認められ
なかった。
タイ類では体色が天然品に近いか又は匹敵する。賞味の
結果、味も優れており、又解剖の所見も異状は認められ
なかった。
【0029】生ヒトデ類からのカロチノイド系色素の抽
出は、アセトンが最も好ましい。例えばジエチルエーテ
ルで同様に抽出しても、カロチノイド色素は、アセトン
での抽出量の約1/10程度の量しか抽出できない。抽出時
のアセトン溶媒量は生ヒトデ類に対し、2倍以上である
ことが望ましく、2倍以下では、かかる色素の抽出量が
著しく少なくなる。さらに望ましくは、アセトン溶媒量
は3倍以上、最も好ましくは実用的には4〜5倍量であ
る。
出は、アセトンが最も好ましい。例えばジエチルエーテ
ルで同様に抽出しても、カロチノイド色素は、アセトン
での抽出量の約1/10程度の量しか抽出できない。抽出時
のアセトン溶媒量は生ヒトデ類に対し、2倍以上である
ことが望ましく、2倍以下では、かかる色素の抽出量が
著しく少なくなる。さらに望ましくは、アセトン溶媒量
は3倍以上、最も好ましくは実用的には4〜5倍量であ
る。
【0030】ヒトデ類を乾燥した後、カロチノイド系色
素を抽出する場合、乾燥温度は80℃以下が望ましい。例
えば90℃以上では30〜60分でそれら色素の大部分が変質
し色素を効率よく抽出することはできなくなる。実用的
に好ましくは40〜60℃程度の温度が望ましく、減圧下、
又は常圧下で乾燥できる。抽出溶媒としては、エタノー
ル等のアルコール類、アセトン等のケトン類、酢酸エチ
ルなどのエステル類、ジエチルエーテルなどのエーテル
類、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素類が挙げら
れ、これらの有機溶媒又は、動植物油がある。抽出溶媒
量は特に規定することはない。また抽出は、通常用いら
れるソックスレー抽出器を使用できる。又、単にフラス
コに還流器を組み合せた煮沸抽出によることも可能であ
る。
素を抽出する場合、乾燥温度は80℃以下が望ましい。例
えば90℃以上では30〜60分でそれら色素の大部分が変質
し色素を効率よく抽出することはできなくなる。実用的
に好ましくは40〜60℃程度の温度が望ましく、減圧下、
又は常圧下で乾燥できる。抽出溶媒としては、エタノー
ル等のアルコール類、アセトン等のケトン類、酢酸エチ
ルなどのエステル類、ジエチルエーテルなどのエーテル
類、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素類が挙げら
れ、これらの有機溶媒又は、動植物油がある。抽出溶媒
量は特に規定することはない。また抽出は、通常用いら
れるソックスレー抽出器を使用できる。又、単にフラス
コに還流器を組み合せた煮沸抽出によることも可能であ
る。
【0031】生ヒトデ類の抽出溶媒としてのアセトン
は、水との相溶性があり、カロチノイド系色素の溶解能
を有することが、抽出溶媒として好都合である。
は、水との相溶性があり、カロチノイド系色素の溶解能
を有することが、抽出溶媒として好都合である。
【0032】又アセトンは、沸点が低いので、抽出後、
溶媒を留去する時、低温で処理できることが有利であ
る。その他ビタミン類など色揚げに有効な成分も同時に
抽出されることが考えられる。
溶媒を留去する時、低温で処理できることが有利であ
る。その他ビタミン類など色揚げに有効な成分も同時に
抽出されることが考えられる。
【0033】カロチノイド系色素は、不安定な物質であ
るので、処理工程で安定性又は保存安定性を向上させる
ために、BHT(2,6−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ
トルエン)、エトキシキン(6−エトキシ−1,2−ジヒド
ロ−2,2,4−トリメチルキノリン)などの抗酸化剤の一
種又は二種以上を添加して抽出処理することや、抽出処
理後の色素を含有する油状組成物への添加などは効果が
ある。また紫外線などの光線をできるだけさえぎって処
理することが望ましい。
るので、処理工程で安定性又は保存安定性を向上させる
ために、BHT(2,6−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ
トルエン)、エトキシキン(6−エトキシ−1,2−ジヒド
ロ−2,2,4−トリメチルキノリン)などの抗酸化剤の一
種又は二種以上を添加して抽出処理することや、抽出処
理後の色素を含有する油状組成物への添加などは効果が
ある。また紫外線などの光線をできるだけさえぎって処
理することが望ましい。
【0034】カロチノイド系色素の分子構造は、多くの
二重結合を有する長鎖の炭化水素の部分構造をもつこと
から、酸化または分解されやすく、さらには、紫外線、
熱、酸などにより非常に変質しやすい物質である。又、
油溶性であることから、アルコール類、ケトン類、エス
テル類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素等の有機溶媒
および動植物油に溶け易く、水には溶け難い。
二重結合を有する長鎖の炭化水素の部分構造をもつこと
から、酸化または分解されやすく、さらには、紫外線、
熱、酸などにより非常に変質しやすい物質である。又、
油溶性であることから、アルコール類、ケトン類、エス
テル類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素等の有機溶媒
および動植物油に溶け易く、水には溶け難い。
【0035】ヒトデ類のカロチノイド系色素が、養殖動
物の色揚げに特に有益な原因は十分解明できるには至っ
ていない。又ヒトデ類の有効な利用方法、特に色素の利
用については、いまだほとんど研究されていない。本発
明者らの研究によれば、ヒトデ類のカロチノイド色素の
成分は、アスタキサンチンが主成分であるが、さらにル
テイン、ゼアキサンチンおよび、その他多くのカロチノ
イド成分からなっていることが明らかであり、又含有比
率の少ない成分としてはカンタキサンチン、α−カロチ
ン、β−カロチン、エキネノン、α−クリプトキサンチ
ン、ダイアトキサンチン、β−ドラデキサンチンなどの
存在も明らかにされている。このようにカロチノイドの
構成成分が多いこと、又これらの各成分の中で種独特の
色素蓄積に寄与する成分があることなどが考えられる。
物の色揚げに特に有益な原因は十分解明できるには至っ
ていない。又ヒトデ類の有効な利用方法、特に色素の利
用については、いまだほとんど研究されていない。本発
明者らの研究によれば、ヒトデ類のカロチノイド色素の
成分は、アスタキサンチンが主成分であるが、さらにル
テイン、ゼアキサンチンおよび、その他多くのカロチノ
イド成分からなっていることが明らかであり、又含有比
率の少ない成分としてはカンタキサンチン、α−カロチ
ン、β−カロチン、エキネノン、α−クリプトキサンチ
ン、ダイアトキサンチン、β−ドラデキサンチンなどの
存在も明らかにされている。このようにカロチノイドの
構成成分が多いこと、又これらの各成分の中で種独特の
色素蓄積に寄与する成分があることなどが考えられる。
【0036】一方、現在、最も一般的に色揚げ用に多用
されている甲殻類、例えばエビ類、オキアミ、イサザア
ミなどのアミ類中のカロチノイド色素の構成成分は、そ
のほとんどがアスタキサンチン又はアスタキサンチンと
タンパク質との結合体であり、単純な成分構成となって
いる。
されている甲殻類、例えばエビ類、オキアミ、イサザア
ミなどのアミ類中のカロチノイド色素の構成成分は、そ
のほとんどがアスタキサンチン又はアスタキサンチンと
タンパク質との結合体であり、単純な成分構成となって
いる。
【0037】又、アスタキサンチンは天然には、高級脂
肪酸とのジエステル型、又はモノエステル型、及び遊離
型の三つに大別され、さらにアスタキサンチンには三種
の立体異性体も存在する。ヒトデ類中のアスタキサンチ
ンは、本発明者らの研究によれば、アスタキサンチンの
大部分は遊離型と推定される。
肪酸とのジエステル型、又はモノエステル型、及び遊離
型の三つに大別され、さらにアスタキサンチンには三種
の立体異性体も存在する。ヒトデ類中のアスタキサンチ
ンは、本発明者らの研究によれば、アスタキサンチンの
大部分は遊離型と推定される。
【0038】ヒトデ類のカロチノイド系色素が色揚げに
特異的、有益な効果を示すことはおそらくヒトデ類のカ
ロチノイド系色素の構成成分にあると考えられる。アス
タキサンチンを主として、さらに非常に多くの成分から
構成されていることが特徴的であり、さらにはビタミン
類などその魚種独特の生体内色素蓄積が助長されるので
あろう。色素を蓄積する動物は、摂取した色素を必ずし
もすべて蓄積するのではなく種によって、または遺伝的
特性などと飼料中色素との複雑な関係から、同じ種に属
しても例えば、キンギョ、錦ゴイなどのように、それぞ
れ独特な色調を呈している。これらのことから、ヒトデ
類のカロチノイド系色素の構成成分が動物の色揚げ効果
に有益な、又は必要な成分を十分、好都合に含有してい
るため、動物は種又はその個体が、自由に摂取色素成分
の中から選択でき、さらにそれらの成分色素を好都合に
蓄積を促す作用を有する成分構成になっているので、よ
り天然品に近い色揚げが可能になるものと推定される。
なお一般的には、給餌によって摂取した色素の動物体内
への蓄積率は甲殻類では 0.2〜9%、タイ類、サケ・マ
ス類では 0.5〜2%程度である。又色素成分によっても
蓄積率は全く異なる。また、立体異性体など、この種の
相違も場合によっては寄与していることも考えられる。
特異的、有益な効果を示すことはおそらくヒトデ類のカ
ロチノイド系色素の構成成分にあると考えられる。アス
タキサンチンを主として、さらに非常に多くの成分から
構成されていることが特徴的であり、さらにはビタミン
類などその魚種独特の生体内色素蓄積が助長されるので
あろう。色素を蓄積する動物は、摂取した色素を必ずし
もすべて蓄積するのではなく種によって、または遺伝的
特性などと飼料中色素との複雑な関係から、同じ種に属
しても例えば、キンギョ、錦ゴイなどのように、それぞ
れ独特な色調を呈している。これらのことから、ヒトデ
類のカロチノイド系色素の構成成分が動物の色揚げ効果
に有益な、又は必要な成分を十分、好都合に含有してい
るため、動物は種又はその個体が、自由に摂取色素成分
の中から選択でき、さらにそれらの成分色素を好都合に
蓄積を促す作用を有する成分構成になっているので、よ
り天然品に近い色揚げが可能になるものと推定される。
なお一般的には、給餌によって摂取した色素の動物体内
への蓄積率は甲殻類では 0.2〜9%、タイ類、サケ・マ
ス類では 0.5〜2%程度である。又色素成分によっても
蓄積率は全く異なる。また、立体異性体など、この種の
相違も場合によっては寄与していることも考えられる。
【0039】ヒトデ類は近海に生息するものとしては、
6〜8種類をあげられる。例えば、オニヒトデ、モミジ
ガイ、トゲモミジガイ、オオアカヒトデ、ヒトデ、ヤツ
デヒトデ、イトマキヒトデ、シワヒトデなどである。こ
れらヒトデはその種によってカロチノイド色素の構成、
成分にその比率の差異、又は成分数などにもいくらかの
差があり、また同種でも各個体によっても差異はある。
しかし、いずれでも主要成分や多くの構成成分からなっ
ていることは共通的である。微量成分についてはそれぞ
れ異なっている。
6〜8種類をあげられる。例えば、オニヒトデ、モミジ
ガイ、トゲモミジガイ、オオアカヒトデ、ヒトデ、ヤツ
デヒトデ、イトマキヒトデ、シワヒトデなどである。こ
れらヒトデはその種によってカロチノイド色素の構成、
成分にその比率の差異、又は成分数などにもいくらかの
差があり、また同種でも各個体によっても差異はある。
しかし、いずれでも主要成分や多くの構成成分からなっ
ていることは共通的である。微量成分についてはそれぞ
れ異なっている。
【0040】本発明者らの研究によれば、タイ類、サケ
・マス類の色揚げには、特にヒトデ類の中でもイトマキ
ヒトデから抽出したカロチノイド系色素が最も優れてお
り、天然品に非常に近いか、匹敵する色揚げ効果を認め
有益であった。さらには、特にマダイを天然品のように
色揚げすることは至難であるが、イトマキヒトデから得
られるカロチノイド系色素は、マダイの色揚げには、特
に有効であった。
・マス類の色揚げには、特にヒトデ類の中でもイトマキ
ヒトデから抽出したカロチノイド系色素が最も優れてお
り、天然品に非常に近いか、匹敵する色揚げ効果を認め
有益であった。さらには、特にマダイを天然品のように
色揚げすることは至難であるが、イトマキヒトデから得
られるカロチノイド系色素は、マダイの色揚げには、特
に有効であった。
【0041】ヒトデ類のうち、特に、オニヒトデなどは
ホタテ貝などの養殖場では、貝の天敵として懸命に駆除
されているのが現状である。ホタテ貝の養殖地として
は、例えば、北海道地方では噴火湾、サロマ湖、留萌、
野付、根室海域などがあり、これらの海域では、2〜3
万t/年程度の駆除量と推定され、これらの有益な利用
方法は、見出されていないのが現状であり、これらの利
用法も、又、一つの課題となっている。
ホタテ貝などの養殖場では、貝の天敵として懸命に駆除
されているのが現状である。ホタテ貝の養殖地として
は、例えば、北海道地方では噴火湾、サロマ湖、留萌、
野付、根室海域などがあり、これらの海域では、2〜3
万t/年程度の駆除量と推定され、これらの有益な利用
方法は、見出されていないのが現状であり、これらの利
用法も、又、一つの課題となっている。
【0042】従って、本発明の意義は、養殖動物の色揚
げ色素源の確保、その色揚げ方法、およびヒトデ類の有
効利用などの観点からも非常に大きい。
げ色素源の確保、その色揚げ方法、およびヒトデ類の有
効利用などの観点からも非常に大きい。
【0043】
【実施例】以下、実施例にて、本発明を説明するが、本
発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0044】実施例1 ヒトデ類からのカロチノイド等色素を含有する油状組成
物の分離 生のヒトデ類からの分離 北海道、根室海域から採取したイトマキヒトデとオニヒ
トデ他2種(A、B)の計4種類をソックスレー抽出器
を用い、アセトン溶媒で抽出を行った。各ヒトデを細断
し、小片にしたものを試料とした。それぞれの試料約40
gづつ各抽出器に入れ、5時間抽出を行なった。溶媒量
はいづれも200ml 使用した。
物の分離 生のヒトデ類からの分離 北海道、根室海域から採取したイトマキヒトデとオニヒ
トデ他2種(A、B)の計4種類をソックスレー抽出器
を用い、アセトン溶媒で抽出を行った。各ヒトデを細断
し、小片にしたものを試料とした。それぞれの試料約40
gづつ各抽出器に入れ、5時間抽出を行なった。溶媒量
はいづれも200ml 使用した。
【0045】得られた抽出液から溶媒等を留去した。そ
して、色素を含有する油状組成物を分離した。その結果
は表1の通りであった。油状組成物中の色素成分の評価
は吸光光度法、薄層クロマトグラフィー、高速液体クロ
マトグラフィーで行なった。
して、色素を含有する油状組成物を分離した。その結果
は表1の通りであった。油状組成物中の色素成分の評価
は吸光光度法、薄層クロマトグラフィー、高速液体クロ
マトグラフィーで行なった。
【0046】
【表1】
【0047】表1の油状組成物の外観は4種類いずれも
赤色を呈しており、吸光光度法のスペクトルには 400〜
500nm の領域に3つの吸収が認められた。またカロチノ
イド等色素の構成成分としては、アスタキサンチンが主
成分 (45〜60%) であり、その他ゼアキサンチンとルテ
インおよび少量のβカロチン、さらに確認はできなかっ
た多数の色素成分が検出された。また抽出溶媒として、
ジエチルエーテルを用いた場合は、色素分の抽出量はア
セトンの場合の1/10にもおよばなかった。カロチノイド
色素の構成成分比率は、アセトンの場合とほぼ同じであ
った。
赤色を呈しており、吸光光度法のスペクトルには 400〜
500nm の領域に3つの吸収が認められた。またカロチノ
イド等色素の構成成分としては、アスタキサンチンが主
成分 (45〜60%) であり、その他ゼアキサンチンとルテ
インおよび少量のβカロチン、さらに確認はできなかっ
た多数の色素成分が検出された。また抽出溶媒として、
ジエチルエーテルを用いた場合は、色素分の抽出量はア
セトンの場合の1/10にもおよばなかった。カロチノイド
色素の構成成分比率は、アセトンの場合とほぼ同じであ
った。
【0048】 乾燥したヒトデ類からの分離 ヒトデのサンプルはと同じものを用い、生のまま細断
し、小片としたものをそれぞれ、50℃、減圧下で乾燥し
た。この乾燥した試料を各10g採取し、ソックスレー抽
出器を用いて、 3.5時間抽出した。抽出溶媒としては、
アセトン50mlを用いた。抽出終了後、抽出液の溶媒等を
留去し色素分を含有する油状組成物を得た。その結果は
表2の通りであった。色素を含有する油状組成物の色素
分の評価は、に記した方法と同じ方法で行なった。実
験結果は表2の通りである。
し、小片としたものをそれぞれ、50℃、減圧下で乾燥し
た。この乾燥した試料を各10g採取し、ソックスレー抽
出器を用いて、 3.5時間抽出した。抽出溶媒としては、
アセトン50mlを用いた。抽出終了後、抽出液の溶媒等を
留去し色素分を含有する油状組成物を得た。その結果は
表2の通りであった。色素を含有する油状組成物の色素
分の評価は、に記した方法と同じ方法で行なった。実
験結果は表2の通りである。
【0049】
【表2】
【0050】表2の油状組成物の外観は4種類のいずれ
も赤色を呈しており、吸光光度法のスペクトルには 450
〜500nm の領域に二つの吸収が認められた。 400〜450n
m の領域の吸収は弱くなり、ショルダー状にわずかに認
められた。表1の油状組成物のスペクトルと少し異なる
パターンとなる。この原因の詳細を十分には解明してい
ないが、色素とタンパク質との結合状態が乾燥時の温度
などの影響を受け、より遊離状の成分になったものと推
定され、色素自体の変質によるものではないと推定でき
る。
も赤色を呈しており、吸光光度法のスペクトルには 450
〜500nm の領域に二つの吸収が認められた。 400〜450n
m の領域の吸収は弱くなり、ショルダー状にわずかに認
められた。表1の油状組成物のスペクトルと少し異なる
パターンとなる。この原因の詳細を十分には解明してい
ないが、色素とタンパク質との結合状態が乾燥時の温度
などの影響を受け、より遊離状の成分になったものと推
定され、色素自体の変質によるものではないと推定でき
る。
【0051】表2の油状組成物のカロチノイド等、色素
の構成成分はいずれも表1の油状組成物の成分と同じで
あり、比率などにも差はなかった。抽出溶媒にクロロホ
ルムを使用してもアセトンの場合と同じ結果が得られ
た。
の構成成分はいずれも表1の油状組成物の成分と同じで
あり、比率などにも差はなかった。抽出溶媒にクロロホ
ルムを使用してもアセトンの場合と同じ結果が得られ
た。
【0052】表1、2のAのヒトデは5ケ所の突起状の
部分の長さがイトマキヒトデとオニヒトデとの中間程度
の長さであり、Bのヒトデは5ケ所の突起状部分の長さ
は、オニヒトデよりやや短い形状をしている種類であっ
た。5ケ所の突起状部分の長さの関係は結局、イトマキ
ヒトデ<A<B<オニヒトデとなっていた。
部分の長さがイトマキヒトデとオニヒトデとの中間程度
の長さであり、Bのヒトデは5ケ所の突起状部分の長さ
は、オニヒトデよりやや短い形状をしている種類であっ
た。5ケ所の突起状部分の長さの関係は結局、イトマキ
ヒトデ<A<B<オニヒトデとなっていた。
【0053】実施例2(ドナルドソントラウトの飼育) 1) ドナルドソントラウト(ニジマスを選抜飼育した改
良新種以下同じ)を試験魚として用いた。
良新種以下同じ)を試験魚として用いた。
【0054】各試験区画には、平均魚体重 345gのドナ
ルドソントラウト15匹づつ入れ、地下水を曝気した水を
用いた。水温10〜13℃の流水下で、以下に示す所定の飼
料を、乾燥基準で魚体重の2%相当量を毎日2回に分け
て給餌し、所定期間(90日)飼育した。
ルドソントラウト15匹づつ入れ、地下水を曝気した水を
用いた。水温10〜13℃の流水下で、以下に示す所定の飼
料を、乾燥基準で魚体重の2%相当量を毎日2回に分け
て給餌し、所定期間(90日)飼育した。
【0055】2) 飼料の調製 カロチノイド等色素を含有する組成物(油状物)を表3
に示したようにフィードオイル(タラ肝油)でアスタキ
サンチン(以下ASと略す)を1000ppm に調製する。こ
れを、マス用の配合飼料にASとして乾物基準で表4に
示す所定量になるように、それぞれ添加、混合した後、
重量比で40%に相当する水を加え、モイストペレットを
造り飼料とした。
に示したようにフィードオイル(タラ肝油)でアスタキ
サンチン(以下ASと略す)を1000ppm に調製する。こ
れを、マス用の配合飼料にASとして乾物基準で表4に
示す所定量になるように、それぞれ添加、混合した後、
重量比で40%に相当する水を加え、モイストペレットを
造り飼料とした。
【0056】又カロチノイド等色素を含有する組成物と
しては表3の通りである。
しては表3の通りである。
【0057】
【表3】
【0058】3) 飼育試験結果 飼育試験結果は表4に示した。
【0059】試験終了後の魚は解剖して内臓の異状の有
無を観察した後、筋肉部を切身にして、色差計(日本電
色工業K.K.製ND-1001DP 型、以下同じ)で色合いを評価
し、又専門家による目視によっても筋肉部の色合いの評
価を行なった。色差計と目視の評価結果は、良い相関関
係が認められた。各試験区画からの魚のサンプリング
は、1回の評価に5匹ずつ行なった。また色合いの評価
基準は以下の通りである。
無を観察した後、筋肉部を切身にして、色差計(日本電
色工業K.K.製ND-1001DP 型、以下同じ)で色合いを評価
し、又専門家による目視によっても筋肉部の色合いの評
価を行なった。色差計と目視の評価結果は、良い相関関
係が認められた。各試験区画からの魚のサンプリング
は、1回の評価に5匹ずつ行なった。また色合いの評価
基準は以下の通りである。
【0060】評価基準 ×・・・赤味ほとんどなし、市場評価少 □・・・赤味は良好、人口的色合い、市場評価やや良 ○・・・赤味良好、自然に近い色合い、市場評価良 ◎・・・赤味良好、最も自然な色合い、市場評価良好
【0061】
【表4】
【0062】実施例3(マダイの飼育) 1) 平均魚体重 195gの養殖マダイを各試験区画に10匹
づづ入れ水温24〜26℃に調整した水槽中で90日間飼育し
た。この間、以下に示す所定の飼料を乾物基準で魚体重
の2%相当量を毎日2回に分けて給餌した。
づづ入れ水温24〜26℃に調整した水槽中で90日間飼育し
た。この間、以下に示す所定の飼料を乾物基準で魚体重
の2%相当量を毎日2回に分けて給餌した。
【0063】2) 飼料の調製 マダイ用の配合飼料にASとして、乾物基準で表5に示
す所定量になるように、以下は全て実施例2-2)と同様
にして調製した。
す所定量になるように、以下は全て実施例2-2)と同様
にして調製した。
【0064】3) 飼育試験結果 飼育試験結果は表5に示した。解剖による観察の結果は
内臓に異状所見はいずれも認められなかった。表皮など
外観の色合いについては、専門家の目視により評価し
た。また飼育魚とほぼ同魚体重の天然魚を入手し比較し
た。
内臓に異状所見はいずれも認められなかった。表皮など
外観の色合いについては、専門家の目視により評価し
た。また飼育魚とほぼ同魚体重の天然魚を入手し比較し
た。
【0065】また色合いの評価基準は以下の通りであ
る。
る。
【0066】評価基準 ×・・・赤味ほとんどなく、少し黒味あり、天然魚と全
く異なる 市場価値、マダイとしては、ほとんどなし □・・・赤味良好、色合い単調、いくらか天然魚に近い 市場価値、やや良 ○・・・赤味良好、色合いは天然魚に近い 市場価値、良 ◎・・・赤味良好、色合いは天然魚に匹敵する赤味を帯
びた美しい黄金色 市場価値、良好
く異なる 市場価値、マダイとしては、ほとんどなし □・・・赤味良好、色合い単調、いくらか天然魚に近い 市場価値、やや良 ○・・・赤味良好、色合いは天然魚に近い 市場価値、良 ◎・・・赤味良好、色合いは天然魚に匹敵する赤味を帯
びた美しい黄金色 市場価値、良好
【0067】
【表5】
【0068】
【発明の効果】本発明のヒトデ類からの色素含有組成物
を混合した飼料を給餌して養殖された動物は、従来の天
然・合成色素含有組成物を混合した飼料を給餌して養殖
された動物に比べて、天然品に匹敵するか又は非常に近
い品質となり、高級品として評価でき、商品価値が非常
に高くなる。また、ヒトデ類の有効利用という点でも非
常に有意義である。
を混合した飼料を給餌して養殖された動物は、従来の天
然・合成色素含有組成物を混合した飼料を給餌して養殖
された動物に比べて、天然品に匹敵するか又は非常に近
い品質となり、高級品として評価でき、商品価値が非常
に高くなる。また、ヒトデ類の有効利用という点でも非
常に有意義である。
Claims (2)
- 【請求項1】 ヒトデ類の色素を含有することを特徴と
する養殖動物の体色又は肉色改善用組成物。 - 【請求項2】 請求項1記載の組成物を給餌することを
特徴とする動物の養殖方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4137386A JPH05328909A (ja) | 1992-05-29 | 1992-05-29 | 養殖動物の体色又は肉色改善用組成物および動物の養殖方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4137386A JPH05328909A (ja) | 1992-05-29 | 1992-05-29 | 養殖動物の体色又は肉色改善用組成物および動物の養殖方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05328909A true JPH05328909A (ja) | 1993-12-14 |
Family
ID=15197479
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4137386A Pending JPH05328909A (ja) | 1992-05-29 | 1992-05-29 | 養殖動物の体色又は肉色改善用組成物および動物の養殖方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05328909A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100822875B1 (ko) * | 2007-04-24 | 2008-04-17 | 주식회사 바다에스앤씨 | 불가사리와 파리를 이용한 사료 및 그의 제조방법 |
-
1992
- 1992-05-29 JP JP4137386A patent/JPH05328909A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100822875B1 (ko) * | 2007-04-24 | 2008-04-17 | 주식회사 바다에스앤씨 | 불가사리와 파리를 이용한 사료 및 그의 제조방법 |
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