JPH05321966A - 樹脂製衝撃吸収体 - Google Patents

樹脂製衝撃吸収体

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JPH05321966A
JPH05321966A JP15435792A JP15435792A JPH05321966A JP H05321966 A JPH05321966 A JP H05321966A JP 15435792 A JP15435792 A JP 15435792A JP 15435792 A JP15435792 A JP 15435792A JP H05321966 A JPH05321966 A JP H05321966A
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Tokio Kokubu
外喜雄 国分
Masaru Kamata
賢 鎌田
Hitoshi Ueno
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 軽量且つ簡単な構造で、反力に比較して大き
なエネルギー吸収効率を有すると共に、復元性にも優れ
ており、しかも空中や海中などの如何を問わず使用可能
な防錆、耐水、耐候性を有していてメインテナンスフリ
ーであり、更には必要に応じて拡張組立が可能で且つ広
い面積で均質なクッション性を発揮し得る様な樹脂製衝
撃吸収体を得ること。 【構成】 曲げ弾性率が1,000 〜20,000Kg/cm2の樹脂に
よって形成されたアーチ状、ドーム状もしくはハニカム
状の大変形可能部が、有孔もしくは無孔の平板上に複数
個立設され、且つ該大変形可能部は、その圧縮時におけ
る応力・圧縮率曲線が下記の条件を満足する様に構成さ
れた樹脂製衝撃吸収体。 (a) 降伏強度が2〜25トン/m2 であること、(b) 圧
縮エネルギー吸収効率が50%以上であること。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、衝撃の吸収や緩和を必
要とする道路や岸壁の側壁、建物の床や壁、自動車など
の緩衝部等に幅広く活用することのできる樹脂製の衝撃
吸収体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の衝撃吸収体としては、金属バネ、
摩擦緩衝器、油圧緩衝器、ゴム成形体等があり、またこ
れらを組合わせたものも使用されている。しかしながら
金属バネは優れた緩衝性を有しているが、エネルギー吸
収能はほとんどない。摩擦緩衝器や油圧緩衝器は一般に
構造が複雑であって高価であるばかりでなく、バネ定数
の変形速度依存性が極めて大きく、しかも復元性がない
等の問題点を有している。加えてこれらの衝撃緩衝器
は、水中では使い難い等の使用環境による制限が大き
く、防錆や防水等のメインテナンスが不可欠である。ゴ
ム成形品は、復元性が良いという特徴を有している反
面、材料の弾性率が低いので満足のいく衝撃吸収量を確
保するには、材料使用量を多くしなければならず、非常
に重くなるため大型化が難しい。更にこれらの衝撃吸収
体は、狭い受圧部の衝撃緩和には便利であるが、道路側
壁や建築物の床や壁等広い面積で均質なクッション性を
有する構造体には適用し難い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の様な従
来技術の問題点に着目してなされたものであって、その
目的は、軽量且つ簡単な構造で、反力に比較して大きな
エネルギー吸収効率を有すると共に、復元性にも優れて
おり、しかも空中や海中などの如何を問わず使用可能な
防錆、耐水、耐候性を有していてメインテナンスフリー
であり、更には必要に応じて拡張組立が可能で且つ広い
面積で均質なクッション性を発揮し得る様な樹脂製衝撃
吸収体を得ようとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すること
のできた本発明に係る衝撃吸収体の構成は、曲げ弾性率
が1,000 〜20,000Kg/cm2の樹脂によって形成されたアー
チ状、ドーム状もしくはハニカム状の大変形可能部が、
有孔もしくは無孔の平板上に複数個立設され、且つ主に
該大変形可能部の変形によって、その圧縮時における応
力・圧縮率曲線が下記の条件を満足する様に構成された
ものであるところに要旨を有するものである。 (a) 降伏強度が2〜25トン/m2 であること、(b) 圧
縮エネルギー吸収効率が50%以上であること。 尚この衝撃吸収体は、縦方向に圧縮させた時に大変形可
能部が変形し、圧縮率15%以内に降伏点を示す特性を
有するものが好ましい。
【0005】
【作用】本発明の樹脂製衝撃吸収体は、前述の如く曲げ
弾性率が1,000 〜20,000kg/cm2の樹脂を素材として使用
し、これを用いて有孔もしくは無孔の平板上にアーチ
状、ドーム状もしくはハニカム状の大変形可能部を複数
個立設した構造を有するものであり、曲げ弾性率が1,00
0 〜20,000kg/cm2 の樹脂としては、熱可塑性のポリエ
ステルエラストマー、ポリオレフィンエラストマー、ポ
リアミドエラストマーやポリウレタンエラストマー、あ
るいはそれらのブレンド物や注型ポリウレタン等の硬化
性樹脂などが例示される。これらの中でも特に好ましい
のは、耐候性や耐水性に優れた熱可塑性ポリエステルエ
ラストマーやポリオレフィンエラストマーであるが、曲
げ弾性率が上記規定範囲に納まるものであればその種類
は一切制限されない。
【0006】ちなみに曲げ弾性率が1,000kg/cm2 未満の
樹脂では、得られる衝撃吸収体のバネ定数が不足するた
め、満足のいくエネルギー吸収性能を持たせるために構
成要素の肉厚を大きくしなければならなくなり、衝撃吸
収体が大きく且つ重いものとなるため、本発明の趣旨に
沿わなくなる。
【0007】一方、曲げ弾性率が20,000kg/cm2 を超え
ると、得られる衝撃吸収体が剛直になり過ぎて撓み性が
不足することになり、圧縮力を受けたときに応力集中を
起こして破壊し易くなり、繰り返し使用に耐え難くな
る。しかも剛性を抑えるために大変形可能部の肉厚を薄
くすると、衝撃吸収体の撓み性は良好となるが、大きな
圧縮力を受けて変形したときに構成要素が局部的に紙の
様に折れて弾性を失い、復元し難くなるので、矢張り本
発明の目的を果たせなくなる。
【0008】これに対して曲げ弾性率が1,000 〜20,000
kg/cm2 である樹脂を素材として使用すると、後述する
大変形可能部の形状などを変更することにより、必要に
応じて衝撃吸収体の応力の立上がりを早くしたり、降伏
応力を大きくしたりできるため、従来から使用されてい
るゴム成形体の様に肉厚を極端に厚くすることもなく軽
量な吸収体とすることができ、圧縮時に応力集中を起こ
して破壊し易くなるといったこともなくなる。
【0009】本発明の衝撃吸収体は、上記曲げ弾性率の
要件を満たす樹脂を使用して、以下に詳述する様な形状
・構造に成形することにより、全体として衝撃を吸収で
きる様に構成する。即ち図1〜3は本発明に係る衝撃吸
収体を構成するバネ要素Aの構造を例示するものであ
り、有孔もしくは無孔の平板3上にアーチ状もしくはド
ーム状の大変形可能部1が形成されており、この様な構
造のバネ要素Aを縦・横方向に多数配列してたとえば図
4(一部側面図)に示す様に一体成形された形状・構造
とすることにより衝撃吸収体が構成される。尚これらバ
ネ要素Aの平板3および大変形可能部1には必要に応じ
て大変形可能部1の頂部に平行部2を設けたり貫通孔4
を穿設し、一体成形された成形物を後述するように背中
合わせに重ね合わせて接合するとき、接合し易くした
り、圧縮時に頂部同士が確実に接触し、圧縮される様に
することが好ましい。
【0010】図示した様なバネ要素Aにおいて、平板3
は衝撃力受け面を構成し、一方大変形可能部1は衝撃力
を緩和乃至吸収するための弾性変形もしくは座屈変形部
を構成するものであり、従って該大変形可能部1は平板
3に対して斜め方向に立設した脚部もしくは壁を有する
ものであれば、その形状には一切制限がなく、図示した
様な円弧状、台形状等を含めた様々の形状・構造のアー
チ状もしくはドーム状に成形することができる。更には
大変形可能部1をたとえば図5に示す様なハニカム状に
成形して衝撃吸収作用を持たせることも可能である。
【0011】また本発明の衝撃吸収体を実用化するに当
たっては、たとえば図6に示す如く2個1組の衝撃吸収
体を背中合わせに重ね合わせ、更には適用場所に応じて
必要とされる衝撃力の程度や衝撃を受ける頻度等に応じ
て更に複数組積層して使用されるが、本発明の目的を達
成するには、この衝撃吸収体を図6の矢印方向に圧縮し
たときの応力・圧縮率曲線によって確認される降伏強度
が2〜25トン/m2で且つ圧縮エネルギー吸収効率が
50%以上であることが必要となる。
【0012】ここで応力・圧縮率曲線(以下、S−Sカ
ーブということがある)とは、たとえば図7に略示する
如く衝撃吸収体に上・下方向から圧縮力を作用させたと
きの応力(圧縮力/受圧面積)と圧縮率の相関性を示す
グラフであり、圧縮の初期においては圧縮率に略比例し
てS−Sカーブは急激に立ち上がり、その後カーブは徐
々に緩やかになって局部的に最大応力を示す降伏点に達
し、ここで衝撃吸収体の前記大変形可能部は降伏を起こ
して応力は若干低下傾向を示すか、あるいは形状によっ
ては緩やかに上昇傾向を示すこともある。その後更に圧
縮を続けると空隙の縮少によってS−Sカーブは再び急
激に立ち上がり、圧縮率の僅かな増大で応力は極端に上
昇する様になる。
【0013】このS−Sカーブにおいて降伏強度とは最
初の立ち上がり後の極大を示す応力値を意味し、また圧
縮エネルギー吸収効率とは、最終の立ち上がり時におい
て、降伏強度または応力が緩やかに上昇を示すときは、
その最大値と同等の値を示すときの圧縮率までのS−S
カーブで囲まれる面積(図7における斜線領域X)を、
当該圧縮率までの最大応力と圧縮率の積(図7における
斜線領域Y)で割った値の百分率を意味する。
【0014】降伏強度は最大の応力値と必ずしも一致し
ないが、当該衝撃吸収体が衝撃力を受けたときに衝突物
が受ける最大応力に近い値であり最大応力値の目安と考
える。降伏強度が不足する場合は衝撃エネルギー吸収体
としての機能が実質的に発揮されず、一方降伏強度が大
き過ぎる場合は衝撃時に生ずる反力が大きくなって衝突
物に対する衝撃を満足に緩和できなくなる。また上記説
明からも明らかである様に圧縮エネルギー吸収効率を高
めるには斜線領域Xを極力斜線領域Yに近づける(即ち
領域Xを矩形に近づける)必要があり、そのためにはS
−Sカーブの最初の立ち上がりをできるだけ急激にする
と共に、降伏点を過ぎた後の応力の低下を極力少なくす
ることが有効となる。
【0015】こうした観点に立って本発明に係る衝撃吸
収体に要求される物性を種々検討した結果、衝突物に対
して過度の反力を与えることなく衝撃力を十分に緩和す
るには、前記吸収体の降伏強度を2〜25トン/m2
範囲に収めると共に、圧縮エネルギー吸収効率を50%
以上、より好ましくは75%以上にする必要があり、本
発明の前記衝撃吸収体によればこうした要求特性を十分
に満たすものになることが明らかとなった。
【0016】ちなみに従来から知られているゴム成形品
等の様な衝撃吸収体では、たとえば図8に示す如くS−
Sカーブの立ち上がりが緩慢であるばかりでなく、降伏
点は相対的に高い値を示し降伏時の反力が大であると共
に、その後の応力の低下も相対的に大きく、且つ比較的
少ない圧縮率で最終の立ち上がりを見せる。
【0017】しかし樹脂の曲げ弾性率を特定すると共の
その形状・構造を前述の如く定めた本発明の衝撃吸収体
は、図10にその実例を示す様に、S−Sカーブの最初
の立ち上りが急激であるばかりでなく適度の降伏強度を
示した後、それ以上圧縮率を変えてもしばらくは略一定
の応力を維持し、その後に最終の急激な立ち上がりを見
せ、その結果50%以上、あるいは75%以上といった
非常に高い圧縮エネルギー吸収効率を有するものとな
る。尚このエネルギー吸収効率を高めるうえでS−Sカ
ーブの最初の立ち上がりを急激にすることが効果的であ
ることは先に述べた通りであり、そのためのより好まし
い条件としては、圧縮率が15%以内に降伏点を示す様
に樹脂の曲げ弾性率および大変形可能部の形状や肉厚等
を選定するのがよい。
【0018】また図4の例では、バネ要素として同一形
状・寸法の大変形可能部を複数個立設したものを示した
が、必要により形状・寸法の異なる2個もしくは3個以
上の大変形可能部を任意の配列で多数立設したものであ
ってもよく、更には形状・寸法等の異なる大変形可能部
を設けた異種構造の単位衝撃吸収体を相互に重ね合わせ
て衝撃吸収体を構成することも可能である。
【0019】更に大変形可能部の形状・構造・肉厚等に
は格別の制限がなく、用途・目的に応じて適当に変更し
て実施し得ることは先に述べた通りであるが、前述の降
伏強度や圧縮エネルギー吸収効率を確保すると共に、軽
量で且つ繰返し使用時の復元力をより高いものとするに
は、たとえば図2において大変形可能部の高さHとその
スパン長Bの比がH/B=0.3〜1.5の範囲となる
様に形状を選定することが望ましい。その理由は、H/
Bが0.3未満では大変形可能部が高さ不足となって平
板部の占める重量比率が高くなるため軽量化の目的が生
かし難くなり、一方H/Bが1.5を超えると大変形可
能部の脚長が長くなりすぎるため曲げ剛性が不足気味に
なって該大変形可能部が不規則な方向に横倒れを起こし
易くなり、復元力が悪くなる傾向があるからである。
【0020】また本発明に係る衝撃吸収体の耐久性を高
め繰り返し使用に耐える様にするには、圧縮率50%以
上から除重後の復元率が90%以上となる様に樹脂の種
類および大変形可能部の形状・構造を選択することが望
まれる。
【0021】尚船舶等の衝撃緩和用として従来からゴム
タイヤを用いた例があり、これにならって作製されたゴ
ム製の衝撃緩和材も知られているが、これらはいずれも
非常に高重量であるばかりでなく、高々数%の圧縮力で
過大な応力(反発力)が生じ、衝撃エネルギーを少しし
か吸収できないため該反発力によって衝突物の破壊を招
く恐れもあるが、本発明の吸収体は前述の如く適度の曲
げ弾性を持った樹脂の粘弾性特性とその形状の組合せに
よって言わばダッシュポットとバネ的なエネルギー吸収
挙動を付与することにより、衝撃エネルギーを極めて効
率良く吸収することができ、衝撃による衝突物の損傷を
最小限に抑制することができる。
【0022】本発明に係る衝撃吸収体の製造方法として
は、射出成形、押出成形あるいはプレス成形等任意の方
法を採用することができ、またこれらを更に複数個組付
けて集合体とする場合は各単位吸収体を金属リベットや
プラスチックリベット等で上・下方向もしくは縦・横方
向に接合して、所定の大きさまで拡張することもでき
る。また単位吸収体に取付けボルトやボスと孔を予め設
けておき、これを利用しセルフスナッピングにより連結
固定する方法も採用できる。また、単位吸収体を相互に
熱融着させることにより集合一体化する方法もある。集
合体組付け法として特に簡便で好ましいのは、各単位吸
収体に設けた連結用孔またはセルフスナップ用凹凸部の
嵌合を利用して、縦、横、高さ方向に組付け、拡張する
方法である。
【0023】また、本発明の樹脂製衝撃吸収体は通常の
取付け方法、例えば該吸収体を構成する平板部に設けた
孔あるいはボルトを介して他の構造物に取付ける方法等
が採用できるが、もとより取付け方法は一切制限される
ものではない。
【0024】本発明で使用される樹脂の好ましい種類は
先に例示した通りであるが、これらの樹脂には、用途ま
たは目的に応じて、たとえば熱酸化防止剤や紫外線吸収
剤等の各種安定剤、染顔料やカーボンブラック、タルク
やガラスビーズの様な充填剤、金属繊維、ガラス繊維や
カーボン繊維の様な繊維状強化剤、帯電防止剤、可塑
剤、難燃剤、発泡剤、離型剤等の添加剤を配合して改質
することも可能である。
【0025】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されており、曲
げ弾性率の特定された樹脂を使用し、且つその形状・構
造を特定することによって、優れた衝撃吸収特性を有し
且つ軽量で用途目的に応じた寸法・サイズの拡張組立て
が容易であり、しかも空中や海中等の如何を問わず優れ
た耐食、耐水、耐候性を示す衝撃吸収体を提供し得るこ
とになった。そしてこの衝撃吸収体は、その優れた特性
を生かしてたとえば道路側壁や岸壁の側壁の緩衝体、建
築物のクッション床等広い面積で均質なクッション性を
有する構造体として有効に活用することができる。
【0026】
【実施例】以下、実施例および比較例を挙げて本発明を
より具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例
によって制限を受けるものではなく、前述の趣旨に適合
し得る範囲で適当に変更して実施することはいずれも本
発明の技術的範囲に含まれる。
【0027】実施例 東洋紡績(株)製のポリエステルエラストマー「ペルプ
レン P−280B」(ブラック色)を使用し、図2に
示すアーチ形状大変形可能部を8個立設した衝撃吸収体
21cm×21cm×高さ3.3cmを射出成形した。この吸
収体は、上下方向に実質上最大80%まで圧縮できた。
また、この吸収体を縦横方向および高さ方向に樹脂リベ
ットによって接合して組付け衝撃吸収体101cm×10
1cm×99cmを作製した(実施例1)。この組み付け構
造を基準にして、表1の実施例と比較例から本発明吸収
体の特徴を明確にする。
【0028】実施例2は、住友化学工業(株)製のポリ
オレフィンエラストマー「住友TPE3255」を使用
し、実施例1と同様の成形品を射出成形し衝撃吸収体を
つくった。実施例3は実施例1に示した東洋紡績(株)
製のポリエステルエラストマー「ペルプレン P−28
0B」(ブラック色)を使用して作製した、図5に示す
ハニカム形状の例である。
【0029】比較例4はクロロプレン製の市販品で図9
に示す形状に射出成形したもの、参考例5は実施例1に
示した東洋紡績(株)製ポリエステルエラストマー「ペ
ルプレン P−280B」(ブラック色)を使用し、図
1(但しH/L>1.5)の形状に射出成形したもの、
参考例6は参考例5でH/L<0.3の形状に射出成形
したものである。結果を表1に一括して示す。尚表1中
における評価項目の意味は次の通りである。
【0030】[評価方法] 単位体積重量:衝撃吸収体の重量(kg)をその衝撃吸収
体の各片の最大長となる縦・横・高さを掛け合わせた体
積で割った値をいう。 樹脂の曲げ弾性率:一般に用いられているASTM−D790に
よって、測定した。 最大応力:図7に示すように、50mm/分で定速に圧縮
したときに応力−圧縮率曲線が、圧縮の初期においては
圧縮率に略比例して立ち上がり、その後徐々に緩やかに
なって局部的に最大応力を示す降伏点に達するが、この
降伏点に対応する応力をいう。 降伏点の圧縮率:降伏強度に対応する圧縮変位(cm)を
圧縮前の圧縮方向の長さで割った値(cm)を百分率で表
した値(%)である。最終立ち上がり時の圧縮:応力−
圧縮率曲線において最終急激な立ち上がり時下記(1) ま
たは(2) のいずれか大きい方の応力に等しい応力に対応
する圧縮率をいう。 (1) 降伏強度、(2) 応力−圧縮率曲線において応力が降
伏点を過ぎた後再び緩やかに上昇を示すときはその最大
値。
【0031】圧縮エネルギー吸収効率(%):応力−圧
縮率曲線において最終立ち上がり時の圧縮率までの応力
−圧縮率曲線に囲まれた面積を最終立ち上がり時の圧縮
率とその最大応力の積で割った値の百分率を意味する。 単位体積あたりの吸収エネルギー量(T・m/m3 ):
吸収エネルギー量を衝撃吸収体の体積で割った値であ
る。 単位重量当たり吸収エネルギー量:吸収エネルギー量を
衝撃吸収体の重量で割った値(T・m/T)である。 単位体積あたりの吸収エネルギー量/降伏強度(反
力):単位体積あたりの吸収エネルギー量を降伏強度で
割った値(T・m/m3 /T)である。
【0032】
【表1】
【0033】表1からも明らかである様に、本発明の吸
収体は、従来の衝撃吸収体に比べて軽量で小さな反力で
より大きな衝撃エネルギーを吸収できることがわかる。
しかもこのものは空中や海中でも支障なく使用すること
ができ、防錆、耐水性、耐候性にもすぐれたものであっ
てメインテナンスフリーなものである。
【0034】また図10および図11は、実施例1の衝
撃吸収体および比較例4の衝撃吸収体の応力・圧縮率曲
線を示したものであり、比較例4の衝撃吸収体は降伏強
度が非常に高く衝突時の反力が非常に大きくなるばかり
でなく、S−Sカーブからしても圧縮エネルギー吸収効
率が悪いことを確認できる。これに対し実施例1の衝撃
吸収体は適度の降伏強度を有しており、衝突物に対して
極端な反力を及ぼすことがなく、またS−Sカーブは比
較例のものに比べて矩形に近く、圧縮エネルギー吸収効
率が非常に優れたものであることが分かる。
【0035】上記実施例1で得た本発明の樹脂製衝撃吸
収体を取り付けたコンクリート壁に車両重量1Tonの
自動車を時速10km/時、また入射角10°で衝突させ
たところ自動車のバンパー部に若干の損傷がみられた
が、エネルギー吸収体の方は復元し、損傷は認められな
かった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る衝撃吸収体を構成するバネ要素を
例示する斜視図である。
【図2】本発明に係る衝撃吸収体を構成するバネ要素を
例示する斜視図である。
【図3】本発明に係る衝撃吸収体を構成するバネ要素を
例示する斜視図である。
【図4】本発明に係る衝撃吸収体を例示する斜視図であ
る。
【図5】本発明に係る衝撃吸収体を構成するバネ要素を
例示する斜視図である。
【図6】本発明に係る衝撃吸収体の使用例を示す側面説
明図である。
【図7】本発明に係る衝撃吸収体の応力・圧縮率曲線を
示す説明図である。
【図8】従来の衝撃吸収体の応力・圧縮率曲線を示す説
明図である。
【図9】比較例で使用した衝撃吸収体のバネ要素を示す
斜視図である。
【図10】実施例で得た応力・圧縮率曲線を示す図であ
る。
【図11】比較例で得た応力・圧縮率曲線を示す図であ
る。
【符号の説明】
1 大変形可能部 2 平行部 3 平板 4 貫通孔 A バネ要素
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 上乃 均 滋賀県大津市堅田2丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 曲げ弾性率が1,000 〜20,000Kg/cm2の樹
    脂によって形成されたアーチ状、ドーム状もしくはハニ
    カム状の大変形可能部が、有孔もしくは無孔の平板上に
    複数個立設され、且つ主に該大変形可能部の変形によっ
    て、その圧縮時における応力・圧縮率曲線が下記の条件
    を満足する様に構成されたものであることを特徴とする
    樹脂製衝撃吸収体。 (a) 降伏強度が2〜25トン/m2 であること、 (b) 圧縮エネルギー吸収効率が50%以上であること。
  2. 【請求項2】 大変形可能部が変形し、圧縮率15%以
    内に降伏点を示すものである請求項1記載の樹脂製衝撃
    吸収体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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