JPH05319375A - 遭難信号表示帯 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】海難事故発生時に於いて、遭難者の発見を容易
にすることのできる遭難信号用シートを提供する。 【構成】船舶や救命いかだに装備された遭難信号用シー
トを長尺寸法に引き伸ばして海面に投下することによ
り、遭難信号用シートの反射フィルム全長に形成した反
射膜が太陽光、人工光、レーダ等を反射し、且つ、遭難
信号用シートの蛍光フィルム全長に形成した蛍光膜がサ
ーチライト等の光で夜間発光するので、夜間や昼間等に
於いて遭難者の位置確認が容易に行え、遭難者の発見に
要する捜索時間を短縮することができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、例えば、旅客船や貨
物船等の船舶、或いは、救命艇や救命いかだ等の救命設
備に装備される救命用の遭難信号表示帯に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、上述例のような救命いかだに装備
される信号器具としては、例えば、落下傘信号、自己発
煙信号、発煙浮信号、自己点火灯等の各種器具がある。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上述のような
各種器具は、何れも遭難信号の発信時間が短く、持続性
が無いという欠点を有しているため、海難事故発生時に
於いて、飛行機や船舶等が遭難信号を発見可能な距離に
接近した時に使用すると有効であるが、怪我、衰弱等に
より遭難者から遭難信号が発信されなかったり、或い
は、捜索側の捜索方向と遭難者の漂流位置とが異なるよ
うな状況で使用した場合、遭難者の位置確認が困難であ
り、遭難者の捜索活動に時間が掛かるという問題点を有
している。

【０００４】この発明は上記問題に鑑み、船舶や救命い
かだ等に装備された遭難信号表示帯を長尺寸法に引き伸
ばして海面に投下することにより、夜間や昼間等に於い
て遭難者の位置確認が容易となり、遭難者の発見に要す
る捜索時間を短縮することができる遭難信号表示帯の提
供を目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】この発明の請求項１記載
の遭難信号表示帯は、長尺寸法に形成した樹脂フィルム
の表示面全長に渡って反射膜を形成した遭難信号表示帯
であることを特徴とする。

【０００６】この発明の請求項２記載の遭難信号表示帯
は、長尺寸法に形成した樹脂フィルムの表示面全長に渡
って蛍光膜を形成した遭難信号表示帯であることを特徴
とする。

【０００７】

【作用】この発明の請求項１記載の遭難信号表示帯は、
海難事故発生時に於いて、船舶や救命いかだ等に装備さ
れた遭難信号表示帯を長尺寸法に引き伸ばして海面に投
下することで、同遭難信号表示帯の表示面全長に形成し
た反射膜が太陽光、人工光、レーダ等を反射して、遭難
者の位置確認を容易にする。

【０００８】この発明の請求項２記載の遭難信号表示帯
は、上記の請求項１記載と同様にして、遭難信号表示帯
を長尺寸法に引き伸ばして海面に投下することで、同遭
難信号表示帯の表示面全長に形成した蛍光膜がサーチラ
イト等の光で夜間発光して、夜間の捜索時に於いて遭難
者の位置確認を容易にする。

【０００９】

【発明の効果】この発明によれば、遭難信号表示帯の表
示面全長により太陽光、人工光等を反射して遭難者の位
置を知らせるので、遭難信号表示帯の表示面全長で反射
された反射光を飛行機や船舶等の遠方からでも容易に確
認することができる。且つ、遭難信号表示帯の反射光を
視認困難な状況であっても、反射膜にレーダが反射又は
蛍光膜が光で夜間発光して位置確認することができ、昼
間や夜間に於いて遭難者の位置確認が容易に行えると共
に、遭難者の発見に要する捜索時間を短縮することがで
きる。

【００１０】しかも、太陽光、人工光、レーダ等の反射
を利用して遭難位置を知らせるので、従来例のような自
己発信型の信号器具に比べて遭難信号の発信時間が長
く、且つ、遭難信号が半永久的に発信されるため、従来
型の信号器具よりも持続性を有しており、飛行機や船舶
等の接近時に於いて、怪我、衰弱等により遭難者から遭
難信号が発信されなくても、遭難者の捜索活動には何等
支障がない。

【００１１】

【実施例】この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳
述する。図面は膨脹型の救命いかだに装備される遭難信
号用シートを示し、図１及び図２に於いて、この遭難信
号用シート１は、長尺寸法（約３００ｍ）に形成した樹
脂フィルム２ａの表面全長に反射膜２ｂを形成してなる
反射フィルム２と、透明又は半透明に形成した樹脂フィ
ルム３ａの裏面全長に蛍光膜３ｂを形成してなる蛍光フ
ィルム３とを、透明又は半透明の接着剤４で一体的に接
着固定している。

【００１２】すなわち、反射膜２ｂを形成してなる反射
フィルム２と、蛍光膜３ｂを形成してなる蛍光フィルム
３とを接合した遭難信号用シート１の比重は０．９であ
るので海面Ｃに浮きやすいが、同遭難信号用シート１の
浮力を高めるために、同一形状寸法に形成した反射フィ
ルム２の表面側と、蛍光フィルム３の裏面側とを長さ方
向に対接すると共に、同反射フィルム２の表面側周縁部
と蛍光フィルム３の裏面側周縁部とを透明又は半透明の
接着剤４で気密状態に接着固定し、同反射フィルム２の
表面側中央部と蛍光フィルム３の裏面側中央部とを長さ
方向及び幅方向に接着剤４で部分接着して、反射フィル
ム２と蛍光フィルム３との対向面間に多数の各空気層５
…を独立形成している。

【００１３】上述の反射フィルム２は、二軸延伸ポリプ
ロピレンやポリオレフィン等の合成樹脂で形成された樹
脂フィルム２ａの表面全長に、アルミニウム等の反射率
の高い金属素材を均一に蒸着して反射膜２ｂを形成して
いる。

【００１４】前述の蛍光フィルム３は、二軸延伸ポリプ
ロピレンやポリオレフィン等の合成樹脂で透明又は半透
明に形成された樹脂フィルム３ａの裏面全長に、赤色や
黄色等に着色された蛍光塗料を縞模様又は他の模様に印
刷して蛍光膜３ｂを形成し、樹脂フィルム３ａの透明部
分を所定等間隔に隔てて部分的に残している。

【００１５】以上のように構成された遭難信号用シート
１を膨脹型の救命いかだ６に取付ける場合、図３及び図
４に示すように、ポリプロピレン等の合成樹脂で形成し
たシート収納箱７の収納空間７ａ内に遭難信号用シート
１をロール状に巻回して装填し、同シート収納箱７の収
納空間７ａ内に軸架した巻取り軸８上に遭難信号用シー
ト１の巻取り側端部を連結固定して、救命いかだ６に連
結された装着ベルト６ａをシート収納箱７の後部側周面
に形成したベルト差込み部７ｂに挿通して取付ける。

【００１６】図示実施例は上記の如く構成するものとし
て、以下、救命いかだ６に装備された遭難信号用シート
１の使用方法を説明する。先ず、海難事故発生時に、船
本体（図示省略）に備えられた救命いかだ６を海面Ｃに
投下して膨脹させた後、救命いかだ６に乗り込んだ船員
又は乗客の手で遭難信号用シート１を海面Ｃに投下す
る。すなわち、図３及び図４に示すように、救命いかだ
６に取付けられたシート収納箱７の蓋体７ｃを開放し
て、同シート収納箱７の前部側周面に形成したシート取
出し口７ｄから遭難信号用シート１を順次引き出し、同
遭難信号用シート１の反射面側を上向けた状態のまま海
面Ｃに投下することで、図５に示すように、反射フィル
ム２と蛍光フィルム３との対向面間に形成した各空気層
５…の浮力により遭難信号用シート１が海面Ｃを浮遊
し、漂流中に於いて、遭難信号用シート１の反射フィル
ム２全長に形成した反射膜２ｂが太陽光、人工光、レー
ダ等を反射すると共に、遭難信号用シート１の蛍光フィ
ルム３全長に形成した蛍光膜３ｂがサーチライト等の光
で夜間発光するため、夜間や昼間等に於いて遭難者の位
置確認を容易に行える。

【００１７】以上のように、遭難信号用シート１の表示
面全長により太陽光、人工光等を反射して遭難者の位置
を知らせるので、遭難信号用シート１の表示面全長で反
射された反射光を飛行機や船舶等の遠方からでも容易に
確認することができる。且つ、遭難信号用シート１の反
射光を視認困難な状況であっても、反射フィルム２の反
射膜２ｂにレーダが反射又は蛍光フィルム３の蛍光膜３
ｂが光で夜間発光して位置確認することができ、昼間や
夜間に於いて遭難者の位置確認が容易に行えると共に、
遭難者の発見に要する捜索時間を短縮することができ
る。

【００１８】しかも、太陽光、人工光、レーダ等の反射
を利用して遭難位置を知らせるので、従来例のような自
己発信型の信号器具に比べて遭難信号の発信時間が長
く、且つ、遭難信号が半永久的に発信されるため、従来
型の信号器具よりも持続性を有しており、飛行機や船舶
等の接近時に於いて、怪我、衰弱等により遭難者から遭
難信号が発信されなくても、遭難者の捜索活動には何等
支障がない。

【００１９】図６は反射膜２ｂを形成してなる反射フィ
ルム２と、蛍光膜３ｂを形成してなる蛍光フィルム３と
の対向面全体を透明又は半透明の接着剤４で一体的に接
着固定した第２実施例の遭難信号用シート１を示し、同
遭難信号用シート１を膨脹型の救命いがた６に取付ける
場合、図７及び図８に示すように、遭難信号用シート１
の一端側を中空形状に形成した合成樹脂製のシート巻取
り筒１３に連結固定し、同シート巻取り筒１３の両端部
を水密状態に完全密閉した後、長尺寸法に形成された遭
難信号用シート１をシート巻取り筒１３上に巻回する。
一方、遭難信号用シート１の他端側を牽引ロープ１４を
介して救命いかだ６に連結固定している。すなわち、海
難事故発生時に、救命いかだ６に取付けられた遭難信号
用シート６を海面Ｃに投下すると、シート巻取り筒１３
の浮力により遭難信号用シート１が海面Ｃを浮遊し、漂
流中に於いて、シート巻取り筒１３に巻回された遭難信
号用シート１が自然に巻き戻されるため、遭難信号用シ
ート１の反射フィルム２全長に形成した反射膜２ｂが太
陽光、人工光、レーダ等を反射し、遭難信号用シート１
の蛍光フィルム３全長に形成した蛍光膜３ｂがサーチラ
イト等の光で夜間発光し、上述の第１実施例と同等の作
用効果が得られる。

【００２０】図９は反射膜２ｂを形成してなる反射フィ
ルム２と、蛍光膜３ｂを形成してなる蛍光フィルム３と
を表裏両面に配した第３実施例の遭難信号用シート９を
示し、同遭難信号用シート９は、樹脂フィルム２ａの表
裏両面に反射膜２ｂを形成してなる反射フィルム２と、
樹脂フィルム３ａの裏面側に蛍光膜３ｂを形成してなる
２枚の蛍光フィルム３，３とを接着剤４で一体的に接着
固定している。すなわち、遭難信号用シート９の表裏両
面に太陽光、人工光、レーザ等を反射するための反射フ
ィルム２と、サーチライト等の光で夜間発光する蛍光フ
ィルム３，３とを配しているため、海難事故発生時に於
いて、海面Ｃに投下した遭難信号用シート９の表裏が反
転しても、遭難信号が途絶えたり、発信機能が低下する
ことがなく、上述の実施例と同様に、昼間や夜間に於い
て遭難者の位置確認が容易に行える。

【００２１】この発明の構成と、上述の実施例との対応
において、この発明の遭難信号表示帯は、実施例の遭難
信号用シート１，９，１０，１１に対応するも、この発
明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではな
い。

【００２２】上述の第１実施例及び第３実施例では、反
射フィルム２と蛍光フィルム３との対向面間に形成した
空気層５の浮力を主に利用して遭難信号用シート１，９
を海面Ｃに浮遊させるが、例えば、図１０及び図１１に
示すように、反射フィルム２と蛍光フィルム３との対向
面全体を接着剤４で接着固定した第４実施例及び第５実
施例の遭難信号用シート１０，１１を海面Ｃに浮遊させ
る場合、第４実施例の遭難信号用シート１０は、反射フ
ィルム２の裏面側のみに発泡樹脂等で形成した浮遊用シ
ート１２を貼着している。一方、第５実施例の遭難信号
用シート１１は、表裏両面に配した反射フィルム２，２
の対向面間に発泡樹脂等で形成した浮遊用シート１２を
貼着しているので、上述の第１実施例及び第３実施例と
同等の作用効果が得られる。

【００２３】また、第４実施例及び第５実施例の遭難信
号用シート１０，１１を海面Ｃに浮遊させる他の方法と
して、同遭難信号用シート１０，１１の端部に発泡樹脂
や中空樹脂等で形成した浮き具（図示省略）を取付けて
もよい。

【図面の簡単な説明】

【図１】第１実施例の遭難信号用シートの積層構造を示
す一部拡大斜視図。

【図２】遭難信号用シートの積層構造を示す縦断正面
図。

【図３】遭難信号用シートの巻回状態を示すシート収納
箱の斜視図。

【図４】遭難信号用シートの取付け状態を示す救命いか
だの平面図。

【図５】遭難信号用シートの引出し状態を示す救命いか
だの平面図。

【図６】第２実施例の遭難信号用シートの積層構造を示
す一部拡大斜視図。

【図７】遭難信号用シートの巻回状態を示す斜視図。

【図８】遭難信号用シートの引出し状態を示す救命いか
だの側面図。

【図９】第３実施例の遭難信号用シートの積層構造を示
す縦断正面図。

【図１０】第４実施例の遭難信号用シートの積層構造を
示す縦断正面図。

【図１１】第５実施例の遭難信号用シートの積層構造を
示す縦断正面図。

【符号の説明】

Ｃ…海面 １…遭難信号用シート ２…反射フィルム ２ａ，３ａ…樹脂フィルム ２ｂ…反射膜 ３…蛍光フィルム ３ｂ…蛍光膜 ４…接着剤 ５…空気層 ６…救命いかだ ７…シート収納箱 ９，１０，１１…遭難信号用シート １２…浮遊用シート １３…シート巻取り筒 １４…牽引ロープ

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】長尺寸法に形成した樹脂フィルムの表示面
   全長に渡って反射膜を形成した遭難信号表示帯。
2. 【請求項２】長尺寸法に形成した樹脂フィルムの表示面
   全長に渡って蛍光膜を形成した遭難信号表示帯。