JPH05311286A - 耐摩耗性が優れた高力銅合金及びその製造方法 - Google Patents

耐摩耗性が優れた高力銅合金及びその製造方法

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JPH05311286A
JPH05311286A JP11759592A JP11759592A JPH05311286A JP H05311286 A JPH05311286 A JP H05311286A JP 11759592 A JP11759592 A JP 11759592A JP 11759592 A JP11759592 A JP 11759592A JP H05311286 A JPH05311286 A JP H05311286A
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JP
Japan
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weight
alloy
temperature
annealing
wear resistance
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JP11759592A
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English (en)
Inventor
Motohisa Miyato
元久 宮藤
Takeo Yuji
建夫 湯地
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Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 冷間加工性が優れ、薄板化でき、強度及び耐
摩耗性が優れた高力銅合金及びその製造方法を提供す
る。 【構成】 Al; 4乃至8 重量%、Ni;0.5 乃至5 重
量%、Fe;0.5 乃至5 重量%、Cr;0.01乃至0.5 重
量%、Mn;0.01乃至0.5 重量%及びZn;0.1 乃至5
重量%を含有し、残部がCu及び不可避的不純物からな
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、苛酷な摺動条件下にお
いて使用される機器材料、例えば自動車のトランスミッ
ション機構のミッションギアー及びモーター回転子等に
使用されるスペーサ等の耐摩耗性が優れた高力銅合金及
びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、自動車の回転部品のスペーサ(以
下、シールド板という)にはJIS規格のC5191( 6%
Sn−りん青銅)材が使用されている。しかし、このC
5191材はシールド板の相手材である鉄との摩耗による消
耗が激しいため、寿命が短く、信頼性が低いという難点
がある。更に、近年、自動車用変速機は変速比の多段化
又は自動化が進められ、これに伴いトランスミッション
機構も更に高速度及び高荷重の厳しい摩擦環境下になっ
ている。それで、C5191材を使用したシールド板は硬度
が低く、耐摩耗性が充分でないため、長期間の使用に耐
え難くなってきている。このため、シールド板における
C5191材の代替材料が要望されている。そして、この代
替材料としてはCu−Al−Ni系(アルミニウム青
銅)合金が挙げられる。このCu−Al−Ni系合金は
高強度で、耐蝕性及び耐摩耗性が良いことで知られてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このC
u−Al−Ni系合金は冷間圧延をすることが困難なた
め、熱間圧延による厚物の製造にしか適用できず、条材
又は薄板を量産することは極めて困難であるという問題
点がある。
【0004】このため、その用途は鋳物品及び鍛造品等
の厚物材料に限定されており、条材及び薄板材料として
は実際上製造されていない。
【0005】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、冷間加工が難しいとされていたCu−Al
−Ni系合金の冷間加工性を向上させ、その薄板化及び
条材化を可能とし、強度及び耐摩耗性が優れた摺動部用
材料として好適の高力銅合金及びその製造方法を提供す
ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係る耐摩耗性が
優れた高力銅合金は、Al; 4乃至8 重量%、Ni;0.
5乃至5 重量%、Fe; 0.5乃至5 重量%、Cr;0.01
乃至0.5 重量%、Mn;0.01乃至0.5 重量%及びZn;
0.1乃至5 重量%を含有し、残部がCu及び不可避的不
純物からなることを特徴とする。
【0007】また、本発明に係る耐摩耗性が優れた高力
銅合金の製造方法は、Al; 4乃至8 重量%、Ni;
0.5乃至5 重量%、Fe; 0.5乃至5 重量%、Cr;0.0
1乃至0.5 重量%、Mn;0.01乃至0.5 重量%及びZ
n; 0.1乃至5 重量%を含有し、残部がCu及び不可避
的不純物からなる銅合金の鋳塊を熱間加工した後、650
℃以上の温度から 5℃/秒以上の冷却速度で冷却する工
程と、冷却後の合金を50%以上の加工率で冷間加工した
後、 650乃至850 ℃の温度で30分間乃至4 時間加熱して
中間焼鈍する工程と、次いでこの合金に対し50乃至70%
の加工率の冷間加工と、700 乃至950 ℃の温度で10秒間
乃至4 時間加熱する焼鈍とを少なくとも1回以上繰り返
す工程と、次いで合金を20%以上の加工率で冷間加工し
た後、 350乃至550 ℃の温度で30分間乃至4 時間熱処理
する工程とを有することを特徴とする。
【0008】
【作用】以下、本発明に係る耐摩耗性が優れた高力銅合
金の成分添加理由及び組成限定理由について説明する。
【0009】Al Alは母相を強化すると共に耐食性を向上させる元素で
ある。Al含有量が4重量%未満の場合は、このような
効果が得られず、また、Al含有量が 8重量%を超える
と、母相中にγ相が析出するために、合金の靭性が低下
し、加工性が悪くなる。このため、Al含有量は 4乃至
8 重量%とする。
【0010】Ni NiはAlと共に母相を強化する元素である。また、N
iはβ相の析出を抑制する作用も有し、特に高温での耐
摩耗性を向上させる。更に、Ni及びAlは金属間化合
物を形成して強度及び耐摩耗性を向上させる。Ni含有
量が0.5 重量%未満の場合は、このような効果が不十分
である。また、Ni含有量が 5重量%を超える場合は、
含有量の増加に見合うNiの添加効果の向上が得られ
ず、無駄である。このため、Ni含有量は 0.5乃至5 重
量%とする。
【0011】Fe FeはAlと共に析出して母相を強化する元素である。
また、FeとAlは金属間化合物を形成して、強度及び
耐摩耗性を向上させる。Fe含有量が0.5 重量%未満の
場合は、このような効果が得られず、また、Fe含有量
が 5重量%を超える場合は、冷間加工性が悪くなる。こ
のため、Fe含有量は 0.5乃至5 重量%とする。
【0012】Cr Crは母相の結晶粒度を微細化すると共に、母相中に析
出物を分散して、強度の向上と機械摩耗特性とを向上さ
せるのに必要な元素である。Cr含有量が0.01重量%未
満の場合は、このような効果が不十分である。また、C
r含有量が0.5重量%を超える場合は、造塊時の湯流れ
性が悪化して、造塊歩留りが低下する。このため、Cr
含有量は0.01乃至0.5 重量%とする。
【0013】Mn Mnは熱間加工性を向上させる元素である。Mn含有量
が0.01重量%未満の場合は、このような効果が不十分で
ある。また、Mn含有量が0.5 重量%を超える場合は、
造塊時の湯流れ性が悪化して、造塊歩留りが低下する。
このため、Mn含有量は0.01乃至0.5 重量%とする。
【0014】Zn Znは摺動時、油との潤滑効果を向上させる元素であ
る。Zn含有量が0.1 重量%未満の場合は、このような
効果が不十分である。また、Zn含有量が 5重量%を超
える場合は、靭性及び耐食性が低下する。このため、Z
n含有量は0.1 乃至5 重量%とする。
【0015】なお、上述の各元素以外に、Si、Co、
Ti、Zr、P、V、Nb及びAgの各元素の1種又は
2種以上を総量で0.1 重量%以下含有させても、冷間加
工性はもとより、製品に必要な特性が実用上問題なく維
持される。このため、これらの元素の上記範囲内での含
有は許容される。
【0016】また、不可避的不純物としては、B、C、
Na、Mg、S、Ca、As、Se、Cd、In、S
b、Pb及びMn等が混入することが考えられる。
【0017】次に、上述の組成を有する耐摩耗性が優れ
た高力銅合金の製造方法について説明する。
【0018】先ず、Al、Ni、Fe、Cr、Mn及び
Znが上述の組成である銅合金の鋳塊を熱間加工した
後、650 ℃以上の温度から 5℃/秒以上の冷却速度で冷
却する。このように、前記合金を650 ℃以上の温度から
5℃/秒以上の冷却速度で冷却すると、Ni−Al及び
Fe−Al等の金属間化合物の析出により、合金を析出
硬化させることなく、Ni、Al及びFe等を銅合金中
に強制的に固溶させることができ、その後の冷間圧延加
工性を良好にすることができる。この合金の温度が650
℃未満又は冷却速度が 5℃/秒未満の場合は、Ni−A
l及びFe−Al等の金属間化合物が析出し、硬度が高
くなり、冷間圧延加工性が低下する。このため、前記合
金は650 ℃以上の温度から 5℃/秒以上の冷却速度で冷
却する。
【0019】次に、この合金を50%以上の加工率で冷間
加工した後、 650乃至850 ℃の温度で30分間乃至4 時間
加熱して中間焼鈍すると、α+β相の2相合金となっ
て、加工性を低下させるβ相が析出することを抑制し、
母相をα相単相にすることができる。これにより、加工
性が向上する。この合金の冷間加工の加工率が50%未満
の場合は、加工組織が不均一になる。このため、この合
金は50%以上の加工率で冷間加工する。また、中間焼鈍
の温度が650 ℃未満の場合は、母相にβ相が析出し、伸
びが小さくなり、加工性が向上しない。更に、中間焼鈍
の温度が850 ℃を超える場合は、再結晶粒が粗大化する
ため、粒界が弱くなり、硬度及び強度が小さくなる。こ
のため、中間焼鈍の温度は650 乃至850 ℃とする。一
方、焼鈍時間が30分未満の場合は、上述のような焼鈍効
果を十分に得ることができない。また、焼鈍時間が4時
間を超える場合は、焼鈍時間の増加に見合う焼鈍効果の
向上が得られず、無駄である。このため、中間焼鈍の時
間は30分間乃至4 時間とする。
【0020】更に、この合金に対し50乃至70%の加工率
での冷間加工と、 700乃至950 ℃の温度で10秒間乃至4
時間加熱する焼鈍とを少なくとも1回以上繰り返す。こ
のように、この合金に50乃至70%の高い加工率での冷間
加工を施すと、焼鈍回数を減らすことができる。これに
より、生産性を向上させることができる。また、 700乃
至950 ℃の温度で10秒間乃至4 時間加熱する焼鈍を実施
すると、冷間加工によって低下した伸びを回復させて、
加工性を向上させることができる。これにより、次の冷
間圧延加工を可能にすることができる。また、上記の製
造条件により冷間加工と焼鈍とを1回以上繰り返すと、
更に厚さが薄い材料を製造することができる。一方、中
間工程における冷間圧延及び焼鈍は加工率を高くして、
焼鈍回数を少なくすることが生産性の面から好ましく、
この合金の加工率が50%未満の場合は、焼鈍回数が増え
て、生産性が低下し、不経済である。また、この合金の
加工率が70%を超える場合は、硬度が高くなり、加工性
が低下する。このため、この合金の加工率は50乃至70%
とする。焼鈍温度が700 ℃未満の場合は、伸びが小さい
ため、加工性が向上しない。また、焼鈍温度が950 ℃を
超える場合は、結晶粒度が粗大化して強度が小さくな
り、耐摩耗性が向上しない。このため、焼鈍温度は700
乃至950 ℃とする。焼鈍時間が10秒間未満の場合は、上
述のような焼鈍効果を十分に得ることができない。ま
た、焼鈍時間が4 時間を超える場合は、焼鈍時間の増加
に見合う焼鈍効果の向上が得られず、無駄である。この
ため、焼鈍時間は10秒間乃至4 時間とする。
【0021】更にまた、この合金に対し20%以上の加工
率で冷間加工した後、 350乃至550℃の温度で30分間乃
至4 時間加熱する熱処理を実施すると、Ni−Al及び
Fe−Alの金属間化合物を析出させることができると
共に、母相中にβ相及びCrの析出物を発生させて、材
料を析出硬化させることができる。これにより、耐摩耗
性が向上する。この合金の加工率が20%未満の場合は、
上述の熱処理を実施しても上述の析出物の発生が不十分
であり、耐摩耗性が向上しない。このため、この合金の
加工率は20%以上とする。一方、熱処理の温度が350 ℃
未満の場合は、30分間乃至4 時間加熱する熱処理を実施
しても、熱処理による効果を十分に得ることができな
い。また、熱処理の温度が550 ℃を超える場合は、析出
量が少ないため、硬度及び強度が低下し、耐摩耗性を向
上させることができない。このため、熱処理の温度は35
0 乃至550 ℃とする。熱処理時間が30分間未満の場合
は、上述のような熱処理効果を十分に得ることができな
い。また、熱処理時間が4 時間を超える場合は、熱処理
時間の増加に見合う熱処理効果の向上が得られず、無駄
である。このため、熱処理時間は30分間乃至4 時間とす
る。
【0022】
【実施例】次に、本発明の実施例に係る耐摩耗性が優れ
た高力銅合金を製造し、その特性を試験した結果につい
て、本願特許請求の範囲から外れる比較例と比較して説
明する。
【0023】先ず、クリプトル炉を使用して、下記表
1,2に示す組成の合金(実施例1乃至4及び比較例1
乃至11)になるように配合した原料を木炭被覆下にお
いて大気中で溶解した後、これらの溶湯を鋳造し、厚さ
が50mm、幅が80mm、長さが200mm の鋳塊を得た。なお、
表2に示す比較例11はJISC5191材を使用してい
る。そして、これらの鋳塊の表裏両面を面削した。その
後、これらの鋳塊を870 ℃の温度で10mmの厚さになるま
で熱間圧延した後、これらの圧延材を700 ℃以上の温度
から水中に投入して 5℃/秒以上の冷却速度で冷却し
た。なお、比較例5はCr含有量が0.5 重量%を超えて
いるため、鋳造欠陥が多く、熱間圧延時に割れが発生し
た。以後、この比較例5は試料から除外した。
【0024】次いで、これらの圧延材の酸化スケールを
除去した後、加工率が70%の冷間圧延を施して、厚さが
3mmの板材を得た。その後、これらの板材に750 ℃の温
度で1時間加熱する中間焼鈍を施した。
【0025】更に、これらの板材に加工率が50%の冷間
圧延を施し、厚さが1.5mm の板材を得た。そして、1.5m
m の板材に温度が750 ℃で 1時間加熱する焼鈍を施し
た。なお、比較例2はAl含有量が 8重量%を超えて含
有するため、冷間圧延時に硬化し、割れが発生した。以
後、この比較例2は圧延を中止した。
【0026】最後に、これらの板材に対し加工率が60%
の冷間圧延を施し、最終板厚が0.6mm の板材を得た。次
に、これらの板材をカンタル炉を使用して、比較例 8,
9,10は温度が425 ℃で2 時間加熱する熱処理が施され、
その他は温度が450 ℃で 2時間加熱する熱処理が施され
た。これらの板材を試験材とした。
【0027】次に、これらの板材を使用して、以下に示
す機械試験及び摩耗試験を実施した。
【0028】(1)引張試験においては、各試験材から
圧延方向に平行に切り出したJIS13号B試験片を使用
して、引張強さ、耐力及び伸びを測定した。
【0029】(2)各試験材の硬さは、マイクロビッカ
ース硬度計を使用して、荷重500gの条件で測定した。
【0030】(3)摩耗試験においては、先ず、ワッシ
ャ摩耗試験機を製作した。
【0031】図1はワッシャ摩耗試験機の側面図であ
る。床11上に台14が固定ボルト8及びナット8aを
使用して固定されている。更に、油槽7が床11上に載
置されている。台14上にはモータ6及びベアリング1
0a,10bが設置されている。モータ6の回転軸には
フレキシブルカップリング5が取付けられており、この
フレキシブルカップリング5には回転軸18が接続され
ている。また、回転軸18の先端には相手材2が装着さ
れている。そして、この回転軸18はベアリング10
a,10bの中を通り、油槽7に挿入されている。これ
により、モータ6の回転力がフレキシブルカップリング
5及び回転軸18を介して相手材2に伝達される。
【0032】一方、台12が固定ボルト9及びナット9
aを使用して床11上に固定されている。台12上には
ばね計り支え治具15が設置されており、このばね計り
支え治具15には回転治具16cが設けられている。ま
た、台13が床11上に設置され、台13上にはボール
スライド4が設置されている。ボールスライド4には試
験片固定治具17が挿入されている。これにより、試験
片固定治具17がボールスライド4に沿って移動するこ
とができる。この試験片固定治具17の一方の端は油槽
7に挿入され、試験片固定治具17の先端には試験片1
が装着されている。また、試験片固定治具17の他方の
端には回転治具16aが設置されており、この回転治具
16a,16b,16cはその軸を水平にして、回転軸
16aと回転軸16bとが揺動可能に係合され、更に、
回転軸16bと回転軸16cとが揺動可能に係合されて
いる。そして、回転軸16bには棒19の上端部が係合
され、棒19の下端部にはばね計り3が係合されてい
る。これにより、ばね計り3の荷重が棒19及び回転治
具16bを介して、回転治具16c及び回転治具16a
に加わり、この力の水平分力が試験片固定治具17を介
して、試験片1に加えられる。
【0033】このように構成されたワッシャ摩耗試験機
に表1,2に示す組成の試験材(実施例1乃至4及び比
較例1乃至11、但し、比較例2及び5は除く)を使用
して、直径が50mm、厚さが0.6mm の円板状に加工した試
験片1を試験片固定治具17の先端に装着する。次に、
表3に示す組成のS15C材を使用して、外径が30mm、内
径が10mmの円板状に加工した相手材2を回転軸18に装
着する。更に、試験片1と相手材2との接触荷重が60kg
f/cm2 になるようにばね計り3を使用して荷重を加え
る。これにより、棒19を介して回転軸16bに下向き
の荷重が加わり、回転軸16a及び試験片固定治具17
が油槽7側に押されて、試験片1及び相手材2に圧縮荷
重が加わる。この状態で油槽7内に油を満たした後、モ
ータ6の回転軸を3553乃至3580rpm で回転させ、摩耗試
験を実施する。なお、油槽7内の油の温度は87乃至89℃
を保持した。上記方法で120 時間の運転後、試験片1及
び相手材2の摩耗量、摩耗深さ及び表面粗さを測定し
て、摺動部材料を総合的に評価した。なお、摩耗深さは
レーザ式変位計、表面粗さはランクテーラーホブソン製
表面粗さ計を使用して測定した。
【0034】これらの結果を下記表4乃至7に示す。こ
の表4乃至7から明らかなように、本発明に係る実施例
合金1乃至4は、機械試験及び摩耗試験においていずれ
も優れた特性を示した。即ち、表4,5から明らかなよ
うに、本発明に係る実施例合金1乃至4は、いずれも引
張強さが769N/mm2以上、耐力が705N/mm2以上、伸びが1
3.0%以上及び硬さが259Hv 以上と、優れた特性を示し
た。特に、実施例合金1乃至4の強度及び硬さは、比較
例1乃至11に比して優れている。また、表6,7から
明らかなように、実施例合金1乃至4の供試材の摩耗量
は105 乃至125mg、相手材の摩耗量は9 乃至10mgであ
り、一方、比較例1乃至11の供試材の摩耗量は202 乃
至410mg 、相手材の摩耗量は20乃至42mgであって、摩耗
量においても本実施例合金が比較例に比して少なくなっ
ている。更に、実施例合金1乃至4の供試材の摩耗深さ
は0.08乃至0.19mm、相手材の摩耗深さは0.09乃至0.15mm
であり、一方、比較例1乃至11の供試材の摩耗深さは
0.27乃至0.38mm、相手材の摩耗深さは0.22乃至0.50mmで
あって、摩耗深さにおいても本実施例合金が比較例に比
して少なくなっている。更にまた、本実施例合金の供試
材の表面粗さは5 乃至10μm、相手材の表面粗さが6 乃
至11μmであるのに対して、比較例1乃至11の供試材
の表面粗さは14乃至28μm、相手材の表面粗さは20乃至
36μmであり、表面粗さにおいても本実施例合金がいず
れも比較例に比して小さくなっている。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】
【表4】
【0039】
【表5】
【0040】
【表6】
【0041】
【表7】
【0042】次に、本発明の製造方法の種々の条件を変
えてその影響を調べた実施例について説明する。
【0043】先ず、クリプトル炉を使用して、下記表8
に示す組成の合金を木炭被覆下において大気中で溶製し
た後、この溶湯を鋳造して、厚さが50mm、幅が80mm、長
さが200mm の鋳塊を得る。そして、この鋳塊の表裏両面
を面削する。その後、この鋳塊を870 ℃の温度で10mmの
厚さになるまで熱間圧延した後、実施例5,6,7,8
はこの圧延材を夫々 900、 800、 750、650 ℃の温度か
ら水中に投入して5 ℃/秒以上の冷却速度で急冷する。
また、比較例12,13,14は熱間圧延した圧延材を
夫々 800、 750、650 ℃の温度から空冷し、5 ℃/秒未
満の冷却速度で冷却する。また、比較例15は熱間圧延
した圧延材を550 ℃の温度から水中に投入して5 ℃/秒
以上の冷却速度で急冷する。得られた圧延材の硬さ及び
その後の冷間圧延加工性の結果を表9に示す。実施例5
乃至8はいずれも比較例12乃至15に比して硬さが低
く、冷間圧延加工性も良好であった。一方、熱間圧延し
た後、 800、 750、650 ℃の温度から空冷した夫々比較
例12,13,14と、熱間圧延後、550 ℃の温度から
水中冷却した比較例15とはいずれも冷却速度が遅いた
め、Ni−Al及びFe−Al等の金属間化合物が析出
して硬さが高くなり、冷間圧延時に表面割れが発生し
た。
【0044】次いで、750 ℃の温度から水中に投入して
急冷させた試験材(実施例7)を使用して、この試験材
に加工率が50%(加工後の板厚が5mm )及び70%(加工
後の板厚が3mm )となるような冷間圧延を施した後、50
0 乃至950 ℃の温度で1時間加熱する中間焼鈍を施す。
得られた中間焼鈍材の硬さと、その後の冷間圧延加工性
とを表10に示す。実施例9乃至12はいずれも比較例
16,18に比して硬さが低く、冷間圧延加工性も良好
であった。一方、中間焼鈍の温度が低い比較例16,1
8はβ相が析出するため、硬さが高くなり、その後の冷
間圧延加工時に表面割れが発生した。また、中間焼鈍の
温度が高い比較例17は再結晶粒が粗大化するため、粒
界が弱くなり、硬さが小さくなる。このため、硬さ及び
強度が不足し、製品としての最終特性を満足することが
できない。
【0045】次に、750 ℃の温度で1時間加熱する中間
焼鈍を施した試験材(実施例10)を使用して、厚さが
1.5mm、1.0mm 及び0.67mmまでこの試験材に冷間圧延を
施し、その後、750 ℃の温度で1時間加熱する焼鈍を施
す。これにより、伸びを回復させて、加工性を向上させ
ることができる。
【0046】次いで、冷間圧延を実施して、厚さが0.6m
m の試験材とした。更に、この試験材をカンタル炉を使
用して、250 乃至650 ℃の温度で15分間乃至4 時間加熱
する熱処理を実施した。
【0047】この試験材を使用して、前述した機械試験
及び摩耗試験を実施した。これらの結果を表11,12
に示す。この表11,12から明らかなように、本実施
例方法13乃至16により得られた合金は、いずれも優
れた特性を示した。即ち、実施例13乃至16は引張強
さが773N/mm2以上、伸びが12.9%以上、硬さが258Hv以
上、供試材の摩耗量が110mg 以下及び相手材の摩耗量が
10mg以下と、機械的性能及び耐摩耗性共に優れた特性を
示した。
【0048】一方、最終冷間加工率が低い比較例19、
熱処理温度が低い比較例20、熱処理温度が高い比較例
21及び熱処理時間が短い比較例22はいずれも強度及
び硬度が低下し、耐摩耗性が向上しない。
【0049】なお、本実施例において、熱処理はバッチ
式の熱処理で実施したが連続熱処理ラインで実施しても
同様の効果を得ることができる。
【0050】
【表8】
【0051】
【表9】
【0052】
【表10】
【0053】
【表11】
【0054】
【表12】
【0055】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば冷
間加工が難しいとされていたCu−Al−Ni系合金の
冷間加工性を向上させ、その薄板化及び条材化を可能と
し、強度及び耐摩耗性が優れた高力銅合金及びその製造
方法を提供することができる。これにより、自動車等に
おいて、ギア、シール及び軸受け等のミッション部の耐
久性をより一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ワッシャ摩耗試験機を示す側面図である。
【符号の説明】
1;試験片 2;相手材 3;ばね計り 4;ボールスライド 5;フレキシブルカップリング 6;モータ 7;油槽 8,9;固定ボルト 8a,9a;ナット 10a,10b;ベアリング 11;床 12,13,14;台 15;ばね計り支え治具 16a,16b,16c;回転治具 17;試験片固定治具 18;回転治具 19;棒

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Al; 4乃至8 重量%、Ni; 0.5乃至
    5 重量%、Fe; 0.5乃至5 重量%、Cr;0.01乃至0.
    5 重量%、Mn;0.01乃至0.5 重量%及びZn; 0.1乃
    至5 重量%を含有し、残部がCu及び不可避的不純物か
    らなることを特徴とする耐摩耗性が優れた高力銅合金。
  2. 【請求項2】 Al; 4乃至8 重量%、Ni; 0.5乃至
    5 重量%、Fe; 0.5乃至5 重量%、Cr;0.01乃至0.
    5 重量%、Mn;0.01乃至0.5 重量%及びZn; 0.1乃
    至5 重量%を含有し、残部がCu及び不可避的不純物か
    らなる銅合金の鋳塊を熱間加工した後、650 ℃以上の温
    度から 5℃/秒以上の冷却速度で冷却する工程と、冷却
    後の合金を50%以上の加工率で冷間加工した後、 650乃
    至850℃の温度で30分間乃至4 時間加熱して中間焼鈍す
    る工程と、次いでこの合金に対し50乃至70%の加工率の
    冷間加工と、700 乃至950 ℃の温度で10秒間乃至4 時間
    加熱する焼鈍とを少なくとも1回以上繰り返す工程と、
    次いで合金を20%以上の加工率で冷間加工した後、 350
    乃至550 ℃の温度で30分間乃至4 時間熱処理する工程と
    を有することを特徴とする耐摩耗性が優れた高力銅合金
    の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2016002352A1 (ja) * 2014-06-30 2016-01-07 日立金属Mmcスーパーアロイ株式会社 銅合金、冷間圧延板材およびその製造方法

Cited By (2)

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WO2016002352A1 (ja) * 2014-06-30 2016-01-07 日立金属Mmcスーパーアロイ株式会社 銅合金、冷間圧延板材およびその製造方法
JP2016027193A (ja) * 2014-06-30 2016-02-18 日立金属Mmcスーパーアロイ株式会社 銅合金、冷間圧延板材およびその製造方法

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