JPH0530966A - 金属キレート能を賦与した化学修飾酵素 - Google Patents

金属キレート能を賦与した化学修飾酵素

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JPH0530966A
JPH0530966A JP3123238A JP12323891A JPH0530966A JP H0530966 A JPH0530966 A JP H0530966A JP 3123238 A JP3123238 A JP 3123238A JP 12323891 A JP12323891 A JP 12323891A JP H0530966 A JPH0530966 A JP H0530966A
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JP
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sod
dfo
poe
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chelating agent
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JP3123238A
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English (en)
Inventor
Masayo Watanabe
昌代 渡辺
Haruya Sato
晴哉 佐藤
Yuji Iwashita
雄二 岩下
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Ajinomoto Co Inc
Ube Corp
Original Assignee
Ajinomoto Co Inc
Ube Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 生体内における多様な活性酸素種の発生を防
止する為、金属キレート剤と活性酸素分解能を有する酵
素とを組合せて、効率よく酸素傷害を防止する複合機能
をもった分子素子(Molecular Devic
e)を創出すること。 【構成】 金属イオン除去能と活性酸素分解能を併せも
つ、金属キレート剤により化学修飾されたスーパーオキ
サイドジスムターゼを調製した。 【効果】 生体内における酸素傷害によって発生する不
整脈の抑制、肺及び心臓の浮腫の防止、制癌剤副作用軽
減、老化防止、発癌予防等への応用が考えられる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属イオン除去能と活
性酸素分解能を併せもつ、金属キレート剤により化学修
飾されたスーパーキオサイドジスムターゼに関する。
【0002】
【従来の技術】酸素は高等動物には必須な分子でありな
がら、ヒドロキシルラジカルや一重項酸素、スーパーオ
キサイド等の反応性の高い分子種を生じ、酸化分解等に
より、生体物質傷害、食品あるいは化成品の劣化をひき
おこす事が知られている。
【0003】特に生体においては、白血球等がこれらの
活性酸素を発生している。近年においては、キサンチン
−キサンチンオキシダーゼにより発生されるスーパーオ
キサイドが種々の活性酸素に変換される事実が明らかと
なり、下記に示すHaber−Weiss反応が起って
いることが示された。
【0004】
【化1】
【0005】特に、ヒドロキシルラジカルは、反応性が
高くこのラジカルが発生すればその周囲に存在するほと
んどの物質が多かれ少なかれ無差別に酸化されると考え
られる。
【0006】最近の研究によると、重金属イオンがこの
ような活性酸素の発生を増加させ、特に鉄イオンは下記
に示すように
【0007】
【化2】
【0008】
【化3】
【0009】触媒として働き、ヒドロキシルラジカルの
発生を大巾に増加させる働きがある。
【0010】これが、鉄触媒Haber−Weiss反
応である(B.Halliwell,J.Gutler
idge“Free radicals in bio
logy and medicine”P118(19
85),Oxford University Pre
ss参照)。
【0011】このヒドロキシルラジカル、スーパーオキ
サイドラジカル、過酸化水素等の活性酸素は、生体にお
いては老化、発ガン、炎症を、食品においては油脂や蛋
白質の劣化を、またファインケミカルにおいては分解や
機能の低下をひきおこす。
【0012】本発明はこのような活性酸素の効率的除去
による酸素傷害の防止と関連している。
【0013】これら活性酸素の除去には、スーパーオキ
サイドジスムターゼ、カタラーゼ、パーオキシダーゼ、
グルタチオンパーオキシダーゼ、セルロプラスミン等の
酵素群が有効であり、特にスーパーオキサイドジスムタ
ーゼ(SODと略す)は、活性酸素に由来する疾患の治
療薬として注目を集めている。
【0014】例えば、虚血心を再灌流した直後に発生す
る不整脈に対して、SODが有効なことはBernie
rらによって報告されている(Bernier,M.,
Hearse,D.J.,Manning,A.S.,
Circ.Res.58,331〜340(1986)
参照)。
【0015】さらに肺動脈閉塞、再灌流後に生じる肺水
腫をSODが抑制するとの報告もある(M.J.Hor
gan,H.Lum,A.B.Malik,Am.Re
v.Respir.Dis.140 1421〜142
8(1989))。
【0016】しかしSODを静脈投与した場合、急速に
血中より消失し効力を発揮する時間が短かいことから、
ポリアルキレンオキサイドで化学修飾したSODを調製
し(H.Morimoto,T.Tsuji,M.Yo
koyama,Y.Iwashita,Med.Bio
chem.Aspect Free Radical,
P615〜618(1989)Elsevier Sc
i.Publisher,および特開昭61−2493
88参照)、ラットの再灌流不整脈がこれによってin
vivoでも有効に予防できることを報告されている
(M.Galcia−Alves,Y.Kadowak
i,Y.Iwashita,K.Nishi,Japa
n J.Pharmacol.51,199〜209
(1989)参照)。
【0017】一方、前述したHaber−Weiss反
応が鉄イオンの存在によって加速される事から明らかな
ように、鉄イオンの除去も、ヒドロキシルラジカル発生
の防止に有用と考えられる。Feberらは、強力な鉄
キレート剤であるデフェロキサミン(DFO)の投与が
虚血後の心臓機能の回復に有効なことを示されている
(N.E.Farber,G.M.Vercellot
ti,H.S.Jacob,G.M.Depper,
G.M.Gross,Circ・Res.63,351
〜360(1988)参照)。
【0018】また薬物等による肺血管傷害に対して、D
FOが有効であるとの報告もなされている(G.O.T
ill,P.A.Ward,Federation P
roc.45,13〜18(1986))。
【0019】しかし、これまでの研究においてもSOD
の活性酸素除去能は完全でなく、その薬効についても必
ずしも十分とは云えない。これは、一つには生体内で発
生する酸素種が多様であり、一種の活性酸素消去剤だけ
ではこれらを完全に除くことが出来ないことを示唆して
いる。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、多様
な活性酸素種を除去するため、金属キレート剤と活性酸
素分解能を有する酵素とを組合せて、効率よく酸素傷害
を防止する複合機能をもった分子素子(Molecul
ar Device)を創出することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明は、金属キレート
剤とスーパーオキサイドジスムターゼを共有結合で結合
し協同的に働かすことによって解決する手段を提供する
ものである。
【0022】このためには、金属キレート剤とSODを
一定の距離をもって固定し、協同効果を発しうるものと
することが重要である。
【0023】本発明に用いられる、スーパーオキサイド
ジスムターゼの由来はヒトを含む哺乳類あるいは微生物
であってもよい。また大腸菌や酵母を用いる遺伝子組替
えによって調製された酵素であってもよい。金属キレー
ト剤としては、デフェロキサミン、ジアンチピリルメタ
ン、エチレンジアミン四酢酸、トリエタノールアミン等
が反応性の官能基を有する点から用い易い。
【0024】また2,2′−ビピリジル等に適当な官能
基を賦与した誘導体も用いることが出来るが特に鉄に対
して特異性の高いデフェロキサミンが好ましい。
【0025】キレート剤を直接、酵素のアミノ基やカル
ボキシル基へ結合してもよいが、これらの化学修飾酵素
は血中寿命が短いのでスペーサーを介して結合させる方
がより好ましい。
【0026】金属キレート剤をスペーサーを介して酵素
に結合する際は、ポリアルキレンオキサイド(ポリエチ
レングリコール、ポリプロピレングリコールあるいはそ
の共重合体等)、マレイン酸無水物を含む高分子、酸性
アミノ酸ポリマー、また多糖類をコハク酸等で修飾した
もの、あるいは蛋白質と架橋化剤の組合せ(例えばJ.
Carlsson,H.Drevin,R.Axen,
Biochem.J.173,723〜737(197
8)参照)等を用いることができる。
【0027】特にポリオキシエチレン類は、血中での金
属キレート−酵素結合体の寿命を有効に延長する特質を
持つことから特にスペーサーとして好ましい。
【0028】
【作用】本発明の化合物は、金属キレート能と活性酸素
分解能をもつことから、生体内における酸素傷害によっ
て発生する疾患、例えば炎症、虚血後再灌流時の梗塞部
位の拡大あるいは不整脈等の治療への応用が期待でき
る。さらに血中に存在する不要の鉄イオンの除去、酸素
ラジカルの発生の防止を通じて老化防止、発癌予防への
応用も考えられる。
【0029】とりわけ、本発明の化合物特にDFOと結
合した化学修飾SODは、外傷や手術時の灌流傷害ある
いは薬物の作用等により生じる各臓器の浮腫、特に肺水
腫に対して有用である。その場合、本発明の化合物を手
術前あるいは手術中に直接投与、あるいは灌流液中に添
加する方法等により使用することにより効果が得られ
る。使用用量としてはかかる治療を必要とする患者に対
して患者当たり0.001〜1000mg/kgの用量
範囲で使用することができ、この用量は手術の状況、患
者の状態あるいは薬物等により予想される状況を考慮し
て変化させることができる。
【0030】また本発明の化合物は制癌剤によって生ず
る副作用の抑制に対しても有用である。各種の癌の治療
に用いられる化学療法剤、例えばアドリアマイシン、マ
イトマイシン、ブレオマイシン、シスプラチン等は強い
抗腫瘍効果を持つ反面、種々の副作用を示すことが知ら
れている。その場合、制癌剤を投与する前、または投与
直後より1日1〜2回程度本発明の化合物を投与するこ
とにより著しい副作用抑制効果が得られる。使用用量と
してかかる治療を必要とする患者に対して患者当たり
0.001〜500mg/kgの用量範囲で投与するこ
とができ、制癌剤の使用量、患者の状態等、また当事者
が認める他の因子によって変化させることができる。
【0031】また、本発明の金属キレート能を賦与した
化学修飾酵素は、医療用として使用するものであり、塩
の形態であってもよく、例えば非経口投与として無菌溶
剤液で処方し、利用することができる。注射のための無
菌組成物は、例えば注射用蒸留水に緩衝剤、酸化防止剤
等を必要に応じて混合させたものによって調製される。
【0032】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明す
る。
【0033】
【実施例1】 (1) デフェロキサミン(以下DFOと略す)(シグ
マ、U.S.A.)0.99g(1.5mmol)を8
1mlの0.05Mリン酸カリウム緩衝液(pH8.
0)に溶解させ、これにポリオキシエチレンをN−ヒド
ロキシコハク酸イミドによって活性エステル化した活性
化α−カルボキシメチル−ω−カルボキシメトキシポリ
オキシエチレン(以下活性化POEと略す)(平均分子
量約3000ダルトン)(日本油脂(株)製)2.5g
(8.8×10−1mmol)を添加し、素早く一様に
攪拌し、室温にて1時間放置し反応させた。その後反応
液は、分子量阻止5000ダルトンの限外濾過膜YM5
(アミコン、U.S.A.)により限外濾過をくり返
し、未反応のDFO,DOE及び塩類を除去した。as
ahipack ES−502N(旭化成工業(株)
製)カラムを使用した反応生成物のクロマトグラフィー
の結果を図1に示す。
【0034】(2) (1)で得られた溶液を「Qセフ
ァロース、ハイパフォーマンス」(ファルマシア、Sw
eden)カラムを用いて分離し、図2に示すほぼ単一
なピークを単離した。その後(1)と同様YM5膜を用
いて脱塩、濃縮後、溶液をHClにてpH2に調整し、
凍結乾燥し、570mgの反応物を得た。このものにつ
き(400MHz)H−NMRスペクトルを測定し、
POEとDFOが一対一に結合したもの(POE−DF
O)であることを確認した。
【0035】(3) (2)で得られたPOE−DFO
を以下の方法に従って再び活性エステル化した。すなわ
ち、POE−DFO 1300mg(0.356mmo
l)を無水ピリジン4.2mlに溶解し、DFO中のア
ミノ基を保護するためこの溶液にトリメチルシリルクロ
ライド(東京化成工業(株))0.184ml(1.4
28mmol)を攪拌下滴下した。滴下終了後、5時間
室温下で攪拌を続けた。得られた反応液より溶媒を留去
し、容器に付着した粘稠な生成物を4.2mlのジメチ
ルホルムアミドに溶解させた。この反応液に、162m
g(1.428mmol)のN−ヒドロキシサクシンイ
ミドと292mg(1.428mmol)のN,N′−
ジシクロヘキシルカルボジイミドを順次加え、35℃で
一夜攪拌した。析出したウレアを除去した後、濾液を2
0mlのジエチルエーテル中に滴下することにより生成
物を結晶化させた。この結晶性物質を高真空下で乾燥さ
せることによりPOE−DFOの活性エステル1235
mg(収率95%)を得た。尚、POEの再活性化は
H−NMRスペクトルによって確認した。
【0036】(4) Bovine Erythroc
yte由来SOD(シグマ.U.S.A.)、500m
g(15.6μmol)2080unit/mgを0.
1Mリン酸カリウム緩衝液(pH8.5)10mlに溶
解させ、これに上記(3)にて得られた活性化POE−
DFO 1000mg(273.5μmol)を添加
し、4℃にて1時間撹拌して反応させた。その後、この
溶液を分子量阻止3万の限外濾過膜YM30(アミコ
ン、U.S.A.)を用いて脱塩、濃縮後、凍結乾燥を
行い、SODにPOE−DFOが結合したもの、すなわ
ち、SOD−POE−DFO573mgを得た。尚、S
OD−POE−DFO中のSOD含量を663nmの吸
光度より求めると、358mg(タンパク収率71.6
%)であった。
【0037】(5) 上記(4)で得られたSOD−P
OE−DFOの分析結果を以下に示す。
【0038】 SOD活性値 1620unit/SOD1mg当り 活性保持率 77.9%(活性収率55.8%) SOD1分子当りの平均POE結合数4.5個
【0039】尚、SOD活性はマッコードらの方法
(J.M.McCord,I.Fridovich,
J.Biol.Chem.244 6049〜6055
(1969)参照)により測定し、SODタンパク濃度
は663nmの吸光度より求めた。また活性保持率は、
反応前のSOD活性値に対する保持率で求めた。
【0040】SOD1分子当りの平均POE結合数は、
元素分析を行い、C/N比を求めることにより算出し
た。
【0041】また、このものの「TSK−G3000S
WXL」(東ソー(株)製)カラムを用いた分子量分布
を示すクロマトグラフィーの結果を図3に示す。
【0042】また、SOD−POE−DFO中のFe
3+の除去能であるDFO活性はKasaiらの方法
(Y.Kasai,T.Tanimura,Z.Tam
ura.Anal.Chem.47,34〜37(19
75))により確認した。
【0043】
【実施例2】ポリエチレングリコール平均分子量400
0ダルトン(Aldrich Chem,Co)とモノ
クロル酢酸をアルカリ存在下トルエン溶媒中で反応さ
せ、α−カルボキシメチルポリエチレングリコールを得
た。生成物をイオン交換樹脂で精製したのち、塩化シア
ヌル、ひき続き、DFOと反応させて、下記の化合物を
得た。
【0044】
【化4】
【0045】この化合物を、実施例1で述べた方法によ
り、コハク酸イミドの活性エステルとした。
【0046】上記のDFOを末端に有するポリオキシエ
チレンの活性化エステル160mg(34.4μmo
l)を遺伝子組替え法で作られたヒトSOD(宇部興産
(株)、4140unit/mg)35mg(1.1μ
mol)の0.1Mリン酸カリウム緩衝液(pH8.
5)0.7mlに加えた。実施例1に述べた方法と同様
に反応させたのち、脱塩凍結乾燥後、DFOを含むSO
D修飾体46mgを得た。
【0047】反応収率:蛋白質として82.3% SOD活性値 4100unit/SOD1mg当り SOD活性収率 81.5%
【0048】この分子量分布を図4に示す。但し、活性
値、蛋白質定量は実施例1に用いたマッコードの方法お
よび672nmにおける吸光度によった。結合したPO
E数は、SODあたり4.0個であり、またDFOのF
3+キレート能は実施例1に用いた方法によって確認
した。
【0049】
【実施例3】Human Erythrocyte由来
SOD(シグマ、U.S.A.).35mg(1.1μ
mol)2220unit/mgを0.1Mリン酸カリ
ウム緩衝液(pH8.5)0.7mlに溶解させ、実施
例1と同様にして得られた活性化POE−DFO 60
mg(16.4μmol)を添加し、実施例1と同様に
して反応、脱塩、濃縮後、凍結乾燥し、SOD−POE
−DFO44mgを得た。SOD含量を672nmの吸
光度より求めると、14.9mg(タンパク収率42.
6%)であった。SOD活性値を実施例1と同様にして
測定した。
【0050】 SOD活性値 800unit/SOD1mg当り 活性保持率 36.0%(活性収率 15.3%)
【0051】また分子量分布を図5に示す。
【0052】
【実施例4】スチレン−無水マレイン酸共重合体(以下
SMA1000と略す)(平均分子量1600ダルト
ン、川原油化(株))1.0g(0.63mmol)を
8mlの無水ジメチルホルムアミドに溶解させ、これに
DFO 0.82g(1.26mmol)を添加し、9
0℃で6時間攪拌を続けた。得られた反応液より溶媒を
濃縮した後、濾液を50mlのジエチルエーテル中に滴
下することにより、生成物を結晶化させた。この結晶性
物質を高真空下で乾燥させることにより、目的とするD
FOを結合したスチレン−無水マレイン酸共重合体(以
下SM−DFOと略す)を0.86g得た。この物質の
赤外線吸収スペクトル(FT−IR,KBrディスク
法)を測定し、1780cm−1(無水マレイン酸残基
CO伸縮振動)と1700cm−1(スチレン残基
CH面外振動)(図6)の比から残存無水マレイン酸残
基の含有率を求めたところ、約45%であった。
【0053】遺伝子組替え法で作られたヒトSOD(宇
部興産(株))、4140unit/mg)60mg
(1.875μmol)を0.1M重炭酸ナトリウム水
溶液(pH8.5)2.0mlに溶解させ、これに上記
で得られたSM−DFO 54mgを添加し、室温にて
1時間攪拌して反応させた。その後、この溶液を分子量
阻止3万の限外濾過膜YM30(アミコン、U.S.
A.)を用いて脱塩、濃縮後、凍結乾燥を行い、SOD
にSM−DFOが結合したもの、すなわちSOD−SM
−DFO53mgを得た。その分析結果を以下に示す。
【0054】 SOD活性値 1430unit/SOD1mg当り 活性保持率 37% SOD1分子当りの平均DFO結合数 2.1個
【0055】但し、活性値、蛋白質定量は実施例1に用
いたマッコードの方法及び672nmにおける吸光度に
よった。SOD1分子当りの平均DFO結合数はFeS
溶液を用いたDFO−鉄比色法により求め、併せて
DFOのFe3+キレート能も確認した。また、生成物
の確認は、ゲルろ過カラムを用いた液体クロマトグラフ
ィー(図7)及び電気泳動(SDS−PAGE)を用い
て行なった。また液体クロマトグラフィーからも示され
るようにSM−DFOによる架橋型SODの生成も認め
られた。
【0056】
【実施例5】実施例1にて得られたSOD−POE−D
FOを用い、以下に示す実験を行った。
【0057】Wistar系雄ラットをペントバルビタ
ール腹腔内投与により麻酔し、気管切開後人工呼吸下に
おき、第4肋間にて左胸を開胸した。続いて心嚢膜を破
り心臓を胸廓外に露出させた。
【0058】冠状血管左前下行枝に直径4mmの吸引杯
をとり付け、電気式吸引機により200〜400mmH
gの陰圧をかけ血管閉塞を15分間行った。吸引杯をは
ずすことにより再灌流を行い血流量を測定することによ
り血流が再開したことを確認した。その後、30分間の
インターバルをおき同様の操作をもう一度繰り返した。
【0059】薬物は以下に示すものを2回目の血管閉塞
の前に大腿静脈より投与した。
【0060】1群 生理食塩水 2群 SOD−POE−DFO
【0061】2群はSOD量で3mg/kgの投与量と
なるように投与した。2回目の血流再開を確認した後、
心臓及び肺を摘出し、重量を測定し、Wet−Weig
htとし、これをさらに真空凍結乾燥して重量を測定
し、Dry−Weightとした。これらから以下に示
す式により心臓及び肺の組織当たりの水分含量を計測し
た。
【0062】
【数1】
【0063】結果を図8及び図9に示す。
【0064】心臓、肺いずれもSOD−POE−DFO
を投与した群ではTotal tissue Wate
rが有意に減少しており、明確な浮腫の抑制効果がみら
れた。ここでSOD1分子に対するDFOの結合数は実
施例1(5)より4.5個と求められており、従ってD
FOの投与量としては約0.3mg/kgであり、すで
に浮腫抑制効果が知られているDFOの投与量20mg
/kg(N.E.Ferber,G.M.Vercel
lotti,H.S.Jacob,G.M.DePPe
r,G.M.Gross,Girc.Res.63,3
51〜360(1988))よりもはるかに少ない投与
量できわめて顕著な効果が得られていることがわかる。
なお、有意差の検定はStudent−t検定により、
コントロール群との比較を行った。
【0065】
【実施例6】実施例1にて得られたSOD−POE−D
FO及び遺伝子組替え法で作られたヒトSOD(宇部興
産(株)、4140unit/mg)を用い、以下に示
す実験を行った。
【0066】CD−1(ICR)系雄マウスを用いアド
リアマイシン群(「ADM群」と略す)及びアドリアマ
イシンとSOD−POE−DFOを併用した群(「AD
M+SOD−POE−DFO群と略す)、アドリアマイ
シンとSODを併用した群(「ADM+SOD群」と略
す)(各n=10)に対して15mg/kgのアドリア
マイシンを腹腔内に投与した。
【0067】1群 コントロール群 2群 ADM群 3群 ADM+SOD−POE−DFO群 4群 ADM+SOD群
【0068】また、ADM+SOD−POE−DFO群
とADM+SOD群に対しては同じ日からSOD−PO
E−DFO及びSODを4mg/kgずつ1日1回尾静
脈内投与し、ADM群には生理食塩液を14日間静脈内
投与した。評価は22日間の生存率の比較により行なっ
た(図10)。各生存率を比較した結果、コントロール
群が90%であったのに対し、ADM群では10%と生
存率が著しく低下した。それに対し、ADM+SOD群
は20%と、SODによる効果が得られなかったが、A
DM+SOD−POE−DFO群では、50%と生存率
に顕著な効果が得られた。このようにSOD−POE−
DFOはアドリアマイシン投与による生存率を上昇させ
ることが明らかとなった。
【0069】
【発明の効果】本発明の金属キレート能を賦与したスー
パーオキサイドジスムターゼは、金属キレート能と活性
酸素分解能とを併せ持ち、多様な酸素種を除去すること
ができるので医薬産業上有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1におけるPOE−DFO反応溶液のH
PLCチャートである。上段はUV吸収(229nm)
下段は屈折率を示す。
【図2】実施例1におけるPOE−DFO単離溶液のH
PLCチャートである。上段はUV吸収(229nm)
下段は屈折率を示す。
【図3】実施例1におけるSOD−POE−DFO溶液
のHPLCチャートである。
【図4】実施例2におけるSOD−POE−DFO溶液
のHPLCチャートである。
【図5】実施例3におけるSOD−POE−DFO溶液
のHPLCチャートである。
【図6】実施例4におけるSM−DFOのIRのスペク
トルを示している。
【図7】実施例4におけるSOD−SM−DFO溶液の
HPLCチャートである。
【図8】実施例5における心臓の組織あたりの水分含量
測定の結果を示している。
【図9】実施例5における肺の組織あたりの水分含量測
定の結果を示している。
【図10】実施例6における生存率の変化を示してい
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 37/50 ADD AGZ (72)発明者 岩下 雄二 神奈川県川崎市川崎区鈴木町1−1 味の 素株式会社中央研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属キレート剤とスーパーオキサイドジ
    スムターゼが結合した化合物
  2. 【請求項2】 金属キレート剤が反応基を有するスペー
    サーを介してスーパーオキサイドジスムターゼと結合し
    た化合物
  3. 【請求項3】 金属キレート剤がデフェロキサミン、ト
    リエタノールアミン、ジアンチピリルメタン、またはエ
    チレンジアミン四酢酸である請求項1または2記載の化
    合物
  4. 【請求項4】 スペーサーが、ポリアルキレンオキサイ
    ド、無水マレイン酸を含む重合体、多糖類、ポリアミノ
    酸または蛋白質である請求項2記載の化合物
JP3123238A 1991-03-05 1991-03-05 金属キレート能を賦与した化学修飾酵素 Pending JPH0530966A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5600056A (en) * 1994-06-20 1997-02-04 Honda Giken Kogyo Kabushiki Kaisha Air/fuel ratio detection system for multicylinder internal combustion engine
US7720672B1 (en) 1995-12-29 2010-05-18 Wyse Technology Inc. Method and apparatus for display of windowing application programs on a terminal

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US8904362B2 (en) 1995-12-29 2014-12-02 Wyse Technology L.L.C. Method and apparatus for display of windowing application programs on a terminal

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