JPH0530747Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本考案は、歯列矯正用のアーチワイヤーを保持
するブラケツトに関するものである。

「従来の技術」 この種ブラケツトは、アーチワイヤーの曲げや
引張りにより生じる負荷荷重を、矯正したい歯に
加えるために、歯牙面に接着固定されるもので、
その一例を示せば、従来のブラケツトは、ステン
レス等の金属材料で一体成形されて、第３図に示
す如く、ブラケツト本体１の中央部に、アーチワ
イヤーを係留するＵ字状のスロツト２を形成する
と共に、本体１の両側部に、結紮線を係止するウ
イング３，３を一体に延設する構成となつてい
る。

そして、実際の使用に際しては、本体１の底部
４面を直接又は接着ベース板を介して、接着剤で
歯牙面に固定して、スロツト２内にアーチワイヤ
ーを係留した後、該アーチワイヤーを上記ウイン
グ３を介して結紮線で縛着することにより、アー
チワイヤーの負荷荷重を矯正したい歯に加えるも
のである。

「考案が解決しようとする問題点」 然し乍ら、従来のブラケツトにあつては、図示
する如く、スロツト２を画成する本体１の両内壁
のエツジ部１ａ，１ａと、底壁のエツジ部１ｂ
を、全て尖鋭な直角形状となしている。

この為、例えば第４図Ａ，Ｂに示す状態に、ア
ーチワイヤー５をスロツト２内に保持すると、該
ワイヤー５が歯６の不正状態に応じて所定形状に
曲げ加工されている関係上、アーチワイヤー５が
上記各直角状エツジ部１ａ，１ｂに接触して、該
接触部位に応力が集中するので、斯る状態で咀嚼
等を繰り返すと、ワイヤー５が疲労限界を越えて
破損することが多々見受けられた。

又、特に第４図Ａに示す如く、上下の歯６に対
して同時に歯列矯正治療を施すような場合に、歯
の咬合の都度、仮想線で示す如く上歯で下歯側の
直線状アーチワイヤー５を干渉屈曲して、ワイヤ
ー５を直角状エツジ部１ａ，１ｂに繰り返し接触
させると、これによつても同様にワイヤー５が破
損することも多々見受けられた。

「問題点を解決するための手段」 而して、本考案は上記従来ブラケツトの問題点
を有効に解決するために開発されたもので、本体
にアーチワイヤーを係留するスロツトを形成して
なる歯科矯正用ブラケツトを前提として、少なく
とも係留用スロツトを画成する本体両内壁のエツ
ジ部を、曲面となす構成を採用した。

「作用」 依つて、本考案にあつては、少なくともスロツ
トを画成する本体両内壁のエツジ部が曲面となつ
ているので、スロツト内に保持されたアーチワイ
ヤーが、本体両内壁のエツジ部に接触しても、曲
面の作用でワイヤーの接触部位に、従来の如く応
力が集中することがないので、接触状態のまま咀
嚼等を繰り返し行なつても、アーチワイヤーが疲
労限界を越えて破損することを完全に防止できる
こととなる。

「実施例」 以下、本考案を図示する一実施例に基づいて詳
述すれば、該実施例に係るブラケツトも、第１図
に示す如く、ブラケツト本体１１の中央部に、ア
ーチワイヤーを係留するＵ字状のスロツト１２を
形成すると共に、本体１１の両側部に、結紮線を
係止するウイング１３，１３を一体に延設してな
るものであるが、特徴とするところは、特に第２
図にも示す如く、上記アーチワイヤーの係留用ス
ロツト１２を画成する本体両内壁のエツジ部１１
ａ，１１ａと、底壁のエツジ部１１ｂを、夫々積
極的に円弧面等の曲面となしたものである。

依つて、斯る構成のブラケツトを用いて、歯列
の矯正を行なう場合にも、本体１１の底部１４面
を直接又は接着ベース板を介して、接着剤で歯牙
面に固定して、本体１１のスロツト１２内にアー
チワイヤーを係留した後、該アーチワイヤーを上
記ウイング１３を介して結紮線で縛着することに
より、アーチワイヤーの負荷荷重を、矯正したい
歯に確実に加えることが可能となる。

然し、本ブラケツトにあつては、既述した如
く、スロツト１２を画成する本体両内壁及び底壁
の各エツジ部１１ａ，１１ｂが、全て曲面となつ
ているので、矯正治療中に、アーチワイヤーが各
エツジ部１１ａ，１１ｂに接触したとしても、該
各エツジ部１１ａ，１１ｂの曲面により、応力を
効果的に分散できることとなる。

従つて、仮に第４図Ａ，Ｂに示す状態に、アー
チワイヤーが保持されたとしても、従来の如くワ
イヤーの接触部位に応力が集中することがないの
で、応力集中に起因するアーチワイヤーの破損が
有効に防止できることとなる。

尚、上記実施例は、本体１１の両内壁のエツジ
部１１ａのみならず、底壁のエツジ部１１ｂをも
曲面となして、アーチワイヤーの破損を全てのエ
ツジ部から有効に防止するように構成したもので
あるが、実際には本体１１の両内壁のエツジ部１
１ａとの接触が大であるので、該エツジ部１１ａ
のみを曲面となすだけでも、アーチワイヤーの破
損は大巾に防止できることとなる。

又、本考案の精神は、実施例に示す構成のブラ
ケツトに限定されるものではなく、所謂本体部が
二つに分離する２叉ブラケツトは勿論のこと、そ
の他スロツトを有するブラケツトであれば、全て
のブラケツトに対して実施応用できることは言う
までもない。特に、２叉ブラケツトに実施応用す
る場合には、分離側のエツジ部は従来と同様に直
角形状となして、外側のエツジ部のみを曲面とな
すだけで十分である。

「考案の効果」 以上の如く、本考案は、本体にアーチワイヤー
を係留するスロツトを形成してなるブラケツトを
前提として、少なくとも係留用スロツトを画成す
る本体両内壁のエツジ部を曲面となしたことを特
徴とするものであるから、スロツト内に保持され
たアーチワイヤーが、本体両内壁のエツジ部と接
触しても、エツジ部の曲面により、従来の如く応
力が集中することがないので、接触状態のまま咀
嚼等を繰り返しても、アーチワイヤーが疲労限界
を越えて破損することが完全に防止できることと
なつた。

従つて、本考案に係るブラケツトは、如何なる
治療下にあつても、確実な歯列矯正を保障するこ
ととなる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例に係る歯科矯正用ブラ
ケツトを示す斜視図、第２図Ａは第１図のＡ−Ａ
線断面図、同図ＢはＢ−Ｂ線断面図、第３図は従
来のブラケツトを示す斜視図、第４図Ａはブラケ
ツトによつてアーチワイヤーを保持した一例を正
面側から示す要部説明図、同図Ｂは平面側から示
す要部説明図である。 １１……ブラケツト本体、１２……係留用スロ
ツト、１３……ウイング、１１ａ……係留用スロ
ツトを画成する本体内壁のエツジ部、１１ｂ……
同本体底壁のエツジ部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 本体にアーチワイヤーを係留するスロツトを
   形成してなるブラケツトにおいて、少なくとも
   上記係留用スロツトを画成する本体両内壁のエ
   ツジ部を、曲面となしたことを特徴とする歯科
   矯正用ブラケツト。 (2) 係留用スロツトを画成する本体底壁のエツジ
   部をも、曲面となした実用新案登録請求の範囲
   第１項記載の歯科矯正用ブラケツト。