JPH05306114A - 表面を化学修飾された雲母及びその製造方法 - Google Patents

表面を化学修飾された雲母及びその製造方法

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JPH05306114A
JPH05306114A JP14013692A JP14013692A JPH05306114A JP H05306114 A JPH05306114 A JP H05306114A JP 14013692 A JP14013692 A JP 14013692A JP 14013692 A JP14013692 A JP 14013692A JP H05306114 A JPH05306114 A JP H05306114A
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mica
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reaction
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JP14013692A
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Hiroshi Okusa
洋 大草
Kazue Kurihara
和枝 栗原
Toyoki Kunitake
豊喜 国武
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Japan Science and Technology Agency
Original Assignee
Research Development Corp of Japan
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C01INORGANIC CHEMISTRY
    • C01BNON-METALLIC ELEMENTS; COMPOUNDS THEREOF; METALLOIDS OR COMPOUNDS THEREOF NOT COVERED BY SUBCLASS C01C
    • C01B33/00Silicon; Compounds thereof
    • C01B33/20Silicates
    • C01B33/36Silicates having base-exchange properties but not having molecular sieve properties
    • C01B33/38Layered base-exchange silicates, e.g. clays, micas or alkali metal silicates of kenyaite or magadiite type
    • C01B33/42Micas ; Interstratified clay-mica products

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  • Silicon Polymers (AREA)
  • Silicates, Zeolites, And Molecular Sieves (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 共有結合で修飾層を雲母表面に形成し、雲母
表面に種々の特性を備えた修飾層を形成することを容易
にする。 【構成】 表面を化学修飾された雲母は、雲母表層の珪
素原子又はアルミニウム原子に対し式[I]で表される
共有結合で結合された修飾層を有する。 但し、Mは雲母表層の珪素またはアルミニウム原子;R
は反応性を有し珪素原子と共有結合している官能基を
Yとし、Y上の前記反応性官能基と反応しうる官能基を
Zとする時、Y+Zの反応によって形成される共有結合
を少くとも1つ含む置換基であり;R,Rは任意の
置換基であって酸素原子を介して珪素原子またわアルミ
ニウム原子と結合していてもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、多様なニーズに対応し
て種々の特性を呈するように表面を化学修飾された雲母
及び修飾方法に関する。
【0002】
【従来の技術】雲母は、合成樹脂,塗料等に対する添加
物として使用されている。雲母の添加によって、合成樹
脂,塗料等の有機材料の耐熱性及び耐候性が向上すると
共に、機械的強度の改善も図られる。また、化粧品等に
雲母を添加するとき、白色度や光沢性に優れた製品が得
られる。
【0003】雲母を添加物として使用するとき、樹脂や
媒体に対する親和性を調整することが必要である。親和
性が不十分であると、合成樹脂,塗料,化粧品等への雲
母添加によって所期の性質改善を十分に行うことができ
ず、一部の性質が逆に劣化する場合もある。たとえば、
化粧品に雲母を添加したものにあっては、雲母が凝集や
沈澱を起こし易く、保存状況下で品質安定性が保たれな
い。
【0004】これらの欠点は、樹脂,媒体等に対して高
い親和性をもつ表面状態に添加前の雲母を改質すること
により解消される。たとえば、雲母の表面を所定の化学
物質で修飾するとき、表面特性が変わり、樹脂,媒体等
に対する親和性が高くなる。しかし、雲母の表面を改質
することは容易でなく、また改質後の特性も安定化しな
い。
【0005】雲母は、他の物質にみられない特殊な劈開
面をもっている。分子オーダーの極めて平滑な劈開面を
活用し、種々の分野で雲母を使用する試みが行われてい
る。たとえば、物質表面をナノメータスケールで評価・
観察するとき、表面力直接測定装置,原子間力顕微鏡
(AFM)等の機器が使用されている。これらの測定法
において、極めて平滑な表面をもった測定用基板が必要
となるが、雲母の劈開面は測定用基板に適した表面を提
供する。
【0006】測定用基板として使用される雲母を種々の
対象物に広く適用するためには、その対象物に応じた状
態に雲母表面を修飾することが必要になる。この場合に
も、添加剤と同様に雲母の劈開面が化学的に不活性であ
ることから、所定の特性をもった表面層を安定して形成
することができない現状である。
【0007】表面修飾法として、吸着法が採用されてい
る。吸着法では、負電荷をもっている雲母表面の性質を
利用し、所定の化合物を雲母表面に吸着させる。たとえ
ば、化学修飾で雲母の表面を改質するイオン交換法が特
開昭63−3753号公報で紹介されている。この方法
は、膨潤性雲母の層間アルカリイオンをイオン交換法に
より置換するものであり、イオン結合した修飾膜が雲母
表面に形成される。
【0008】LB法も、雲母の表面修飾に使用されてい
る。LB法では、両親媒性物質を液面に展開して単分子
膜を形成し、そこに雲母を浸漬し引き上げることによ
り、単分子膜を雲母表面に累積させる。累積可能な単分
子膜は、液体表面に単分子膜を形成することができる両
親媒性物質に限られる。そのため、LB法による雲母の
表面修飾は、汎用性に欠け、多様なニーズに応じた特性
をもつ表面修飾に適さない。
【0009】何れの方法においても、媒体の種類によっ
ては安定性が不十分で、修飾層が雲母表面から剥離する
場合がある。この点、多様なニーズに応じ且つ安定性に
優れた修飾表面を作製するためには、雲母表面に共有結
合した修飾層を形成する化学修飾が理想的である。しか
し、雲母の表面が化学的に不活性であるため、化学修飾
層を雲母表面に形成することは一般的に困難であるとさ
れている。
【0010】共有結合によって雲母表面を修飾する方法
として、クロロシラン化合物により雲母表面を疎水化す
ることがJournal of Physical Chemistry (1989
年)第98巻第6121頁で報告されている。この方法
においては、雲母表面を水蒸気プラズマで活性化した
後、アルキルクロロシラン化合物を反応させて疎水性の
アルキル基等を雲母表面に共有結合させている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】イオン交換法では、修
飾可能な雲母が膨潤性雲母に限られる。また、修飾に使
用される物質も、陽イオン性の化合物に限られ、アニオ
ン性化合物やノニオン性化合物で雲母表面を修飾するこ
とができない。そのため、イオン交換法は、汎用性に乏
しく、多様なニーズに対応した特性で表面修飾すること
ができない。しかも、修飾層は、媒体の種類によっては
不十分な安定性をもったものとなる。
【0012】クロロシラン化合物で雲母表面を疎水化す
る方法においては、クロロシラン基の反応性が高いた
め、アミノ基,メルカプト基等の官能基を含む安定なク
ロロシラン誘導体を合成することができず、雲母表面に
導入することができる官能基が制約される。したがっ
て、多様なニーズに対応した特性を持つ種々の官能基を
導入する方法としては不適当である。
【0013】本発明は、このような問題を解消すべく案
出されたものであり、特定された共有結合を介して修飾
層を雲母表面に段階的に作製することにより、多様なニ
ーズに応じた特性を持つ官能基を導入し、安定性に優れ
た化学修飾層が形成された雲母を提供することを目的と
する。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の化学修飾された
雲母は、その目的を達成するため、雲母表層の珪素原子
又はアルミニウム原子に対し、式[I]で表される共有
結合で結合された修飾層を有することを特徴とする。
【0015】
【0016】
【0017】この化学修飾された雲母は、式[I]で表
される共有結合を持った修飾表面を製造する際、雲母表
面に水蒸気プラズマを照射した後、アルコキシシラン化
合物を反応させることにより製造される。このとき使用
されるアルコキシシラン化合物としては、一般式[II]
で表されるアルコキシシラン化合物がある。
【0018】
【0019】修飾層の置換基R1 に含まれるY+Zの反
応によって生成する結合としては、アミド結合,チオア
ミド結合,スルフィド結合,ジスルフィド結合,エーテ
ル結合,ジアゾ結合,エステル結合等がある。官能基Y
上の反応性官能基は、たとえば一般式[II]で表される
シラン化合物の置換基R6 に由来する反応性官能基をそ
のまま用いるか、或いは置換基R6 に由来する反応性官
能基を他の化合物と反応させることにより、導入するこ
とができる。また、2つの官能基を有する複数の化合物
を段階的に反応させることによっても導入することがで
きる。これらの結合は、たとえば「固定化酵素」(千畑
一郎編,昭和50年3月20日講談社発行)第11〜4
1頁に記載されている方法によって形成することができ
る。
【0020】一般式[II]で表されるアルコキシシラン
化合物において、置換基R6 上の反応性官能基として
は、たとえばアミノ基,メルカプト基,エポキシ基,イ
ソシアネート基等がある。R4 ,R5 は、Xと同じ、又
は直鎖状或いは分岐状のアルキル基又はアルケニル基,
フェニル基等である。
【0021】一般式[II]で表わされるアルコキシシラ
ン化合物の具体例を、表1に示す。
【0022】
【表1】
【0023】一般式[II]で表されるアルコキシシラン
化合物を雲母表面に反応させる方法としては、シラン化
合物を適当な溶媒を用いて調製した希薄溶液に雲母を浸
漬する方法,シラン化合物の蒸気を雲母表面に接触させ
る方法等がある。
【0024】アルコキシシラン化合物の蒸気は、アルコ
キシシラン化合物単体又は適当な溶媒で調製されたアル
コキシシラン化合物の溶液から得られる。接触反応にお
いては、雲母表面に対するアルコキシシラン化合物蒸気
の反応性に応じて溶媒の種類,濃度を変えることができ
る。接触反応は、必要に応じて減圧下で反応を行なうこ
ともできる。アルコキシシラン化合物の蒸気を使用した
接触反応は、雲母表面に対するコンタミネーションやポ
リマー化したアルコキシシラン化合物の表面への反応等
を抑制し、平滑で且つ高度に制御された表面を作製する
ことができる利点を持っている。他方、浸漬法は、アル
コキシシラン化合物の蒸気と接触させる方法に比較し、
より温和な条件下で修飾反応を行うことができる。そこ
で、それぞれの利点を考慮して、目的に応じた修飾法が
採用される。
【0025】アルコキシシラン化合物との反応に先立っ
て、雲母表面に水蒸気プラズマを照射することが好まし
い。水蒸気プラズマは、反応容器内を排気した後、水蒸
気を導入し、高周波或いは直流の電圧を印加し、放電を
行なうことによって発生させる。放電用電極としては、
容量結合型,平行平板型等の電極が使用される。高周波
交流で電圧を印加するとき、高周波出力が大きすぎる
と、プラズマ照射による表面活性化の効果が減少する。
また、プラズマ照射時間が長すぎる場合にも、プラズマ
照射による表面活性化の効果が減少する。水蒸気は、ア
ルゴン,ヘリウム等の不活性気体をキャリアガスとして
反応容器に導入することができる。
【0026】表面を修飾される雲母の修飾の有無及び修
飾法を評価する方法として、フーリエ変換赤外分光法
(FT−IR),X線光電子分光法(XPS)等があ
る。なかでも、X線光電子分光法(XPS)は、表面に
微量に存在する修飾層中の元素を高感度で検出できる点
で、表面修飾された雲母の評価法として適している。
【0027】表面修飾された雲母では、X線光電子分光
法(XPS)を用いて修飾量を評価することができる。
雲母等の層状構造をもつ物質では、原子の表面からの距
離,光電子の平均自由行程を考慮して、X線光電子シグ
ナルに対する所定原子の寄与度を求める必要がある。
【0028】配向試料中にある元素のX線光電子シグナ
ルへの寄与は、一般に式(1)で表される。ただし、I
d は試料表面から深さdの位置にある原子AによるX線
光電子シグナルに対する寄与を、nd は深さdの位置に
ある元素Aの数,λは元素Aからの光電子の平均自由行
程,θは光電子の取出し角を表す。そこで、Id を深さ
方向に積算することにより、元素Aの光電子強度が理論
的に求められる。 Id =nd ・exp(−dλ/sinθ)・・・・・(1)
【0029】たとえば、白雲母は、図1に示すような層
状構造を持っていることが知られている。この構造か
ら、各原子の表面からの距離が判る。この構造式に基づ
き式(1)を適用すると、未修飾雲母の各原子のXPS
シグナルに対する寄与を計算することができ、計算結果
は実測値とよい一致性をもっている。
【0030】雲母表面がある密度で修飾した化合物によ
って被覆されていると仮定する。この化学修飾された雲
母表面に式(1)を適用すると、この仮定の下での修飾
表面における元素比が求められる。そして、求めた元素
比が実測値に近くなるように仮定した密度をフィッティ
ングさせることにより、単位表面積当りにシラン化合物
が反応した量が得られる。
【0031】このようにして、式(1)式を用いてX線
光電子のシグナルに対する寄与を求め、実際のデータと
比較するとき、単位表面積当りの反応分子数、ひいては
被覆率を求めることができる。この解析法によって、配
向した層状構造を持つ雲母の原子濃度が正確に把握され
る。
【0032】[解析例]白雲母薄片を次の条件下で水蒸
気プラズマ処理した。劈開したシート状の雲母薄片をプ
ラズマ処理装置の反応容器内にセットし、容器内部を
0.08mmHgまで排気した。次いで、アルゴンをキ
ャリアガスとし水蒸気を流量78ml/分で導入した。
出力100wで高周波電圧を印加し、水蒸気プラズマを
10分間照射した。
【0033】水蒸気プラズマ処理した白雲母の組成を、
X線光電子分光機(XPS)により実測した。また、式
(1)を用いて、白雲母の結晶構造から組成を計算し
た。実測値及び計算値を表2に比較して示す。
【0034】
【表2】
【0035】表2から明らかなように、XPSによる実
測値は、式(1)を用いて白雲母の結晶構造から求めた
計算値に一致していることが判る。このことは、雲母表
面のような配向試料中の原子濃度を、式(1)によって
比較的正確に求めることができることを示す。
【0036】次いで、雲母表面を化合物2で化学修飾し
た。化学修飾は、水蒸気プラズマで照射された雲母を6
0℃で16時間にわたり化合物2の蒸気と接触させるこ
とにより行った。
【0037】この場合、表面が1nm2 当り2.8個の
化合物2で修飾されたと仮定したとき、表2に示すよう
に計算値と実測値とがほぼ一致していた。そこで、この
ときのシラン化合物の反応量を修飾量とした。なお、光
電子の平均自由行程については、Journal of Colloid a
nd Interface Science(1978年)第119巻第15
5頁からλ=3.0nmとした。
【0038】
【表3】
【0039】
【作用】雲母表面に水蒸気プラズマを照射した後、アル
コキシシラン化合物と反応させるとき、雲母表面の平滑
性を損なわずに高い効率でM−O−Siにより雲母表面
を化学修飾させることができる。このとき、水蒸気プラ
ズマを照射することにより、雲母表面に反応活性な水酸
基が生成される。生成した水酸基は、シラン誘導体と効
率的に反応する。しかし、シラン誘導体自体の反応性が
高いため、直接導入できる水酸基には制約がある。そこ
で、先ずアルコキシシラン誘導体により適当な反応性の
官能基を雲母表面に導入し、そこに更に他の化合物を反
応させる。これによって、シラン誘導体から直接導入す
ることが困難な置換基についても容易に導入することが
可能になる。
【0040】雲母表面に導入される置換基としては、具
体的には固体表面の化学修飾に一般的に使用されている
置換基がある。雲母表面を直接化学修飾するシラン化合
物としては、雲母表面と反応し得る官能基Xと、この反
応には不活性であるが適当な反応性がある官能基R6
もつ一般式[II]で表されるアルコキシシラン誘導体が適
している。このアルコキシシラン誘導体は、アミノ基,
メルカプト基等の種々の官能基を有しており、これら官
能基を雲母表面に導入することができる。その結果、一
般式[II]のアルコキシシラン誘導体を用いて適当な反応
性,反応選択性をもつ官能基で雲母表面を修飾すること
により、式[I]中でのY+Zとして様々な反応を行う
ことができ、多種多様な修飾表面を作製することができ
る。この点、クロロシラン誘導体では、クロロシラン基
の反応性が高いため、アミノ基等の置換基を有する化合
物は安定に存在せず、アミノ基等の官能基を雲母表面に
直接導入することはできない。また、クロロシラン誘導
体では雲母表面の水酸基との反応によって有害なHCl
を副生成物として発生させる。これに対し、アルコキシ
シラン誘導体を使用する場合の副生成物はアルコールで
あり、より安全に化学修飾を行うことができる。
【0041】アルコキシシラン誘導体により化学修飾さ
れた雲母表面に対しては、たとえばアミノ基,メルカプ
ト基等の反応選択性に富み、雲母表面の化学修飾に従来
使用されていたクロロシラン誘導体からは直接導入でき
なかった置換基をも導入することができる。なお、アル
コキシシラン誘導体から雲母表面に導入される官能基
は、雲母表面の水酸基との反応に用いられるアルコキシ
シラン基と比較して、反応しにくい必要がある。
【0042】アルコキシシラン誘導体で一度化学修飾さ
れた雲母表面に対し更に他の化合物を反応させることに
より、シラン化合物から直接導入することが困難な置換
基も容易に導入される。たとえば、蛋白,酵素,ペプチ
ド等の生体関連物質によって雲母表面を化学修飾するこ
とも可能である。このように、一般式[I]のM−O−
Si−R6 で表される共有結合で結合された化学修飾を
有する雲母は、製造が容易であり、しかも極めて多様な
特性が付与される。
【0043】
【実施例】
−実施例1−比較例試料1の作製 :劈開した雲母薄片をプラズマ処理
装置の反応容器内に設置し、容器内を真空度0.08m
mHgまで排気した。次いで、アルゴンをキャリヤーガ
スとして流量78ml/分で水蒸気を導入した。出力1
00Wで高周波電圧を印加し、水蒸気プラズマを雲母表
面に10分間照射した。
【0044】容器内を0.08mmHgまで再び排気し
た後、水蒸気プラズマ照射された雲母薄片を取り出し、
シラン化剤として3−メルカプトプロピルトリメトキシ
シランを予め底部に入れたシラン化処理用反応容器に移
した。反応容器を80℃に加温することにより、雲母薄
片をシラン化剤蒸気と接触,反応させた。反応を16時
間継続した後、雲母薄片をエタノールで洗浄した。
【0045】本発明試料1の作製:比較例試料1を更に
0.1Mグルタチオン水溶液に浸漬し、室温で1時間放
置することにより作製した。
【0046】作製した試料は、何れもX線光電子分光装
置を用いて表面を分析した。分析結果を示した表4から
明らかなように、比較例試料1にほとんど検出されなか
った窒素が、本発明試料1で検出されている。この窒素
は、本発明試料1の作製で用いたグルタチオンに由来す
るものであり、メルカプトプロピル基で修飾された表面
が更にグルタチオンで修飾されている。
【0047】
【表4】
【0048】−実施例2−比較例試料2の作製 :劈開した雲母薄片をプラズマ処理
装置の反応容器内に設置し、容器内を排気した後、アル
ゴンガスをキャリヤーとして水蒸気を導入した。出力2
0Wの高周波電圧を印加し、2分間プラズマ処理を施し
た。容器内を再び排気した後、雲母薄片を取り出し、シ
ラン化剤として予め3−アミノプロピルトリエトキシシ
ランを予め底部に入れたシラン化処理用反応容器に移し
た。反応容器内を30℃に加温することにより、試料を
シラン化剤蒸気と接触,反応させた。16時間反応を継
続させた後、試料をエタノールで洗浄した。
【0049】本発明試料2の作製:比較例試料3を更に
トリエチルアミンの15mトルエン溶液に浸漬し、0℃
で1.2mMの塩化ブロモヘキシルを撹拌しながら添加
した。反応を8時間継続させた後、試料をトルエンで洗
浄した。
【0050】作製した各試料を、実施例1と同様にX線
光電子分光装置で表面分析した。本発明試料2の表面か
ら、比較例試料2でほとんど検出されなかった臭素が検
出された。この臭素は、本発明試料2の作製に使用した
塩化ブロモヘキシルに由来するものであり、アミノプロ
ピル基で修飾された雲母表面が更に塩化ブロモヘキシル
で修飾されていることを裏付けるものである。分析結果
を基にし、前述した解析例に準拠して修飾量を評価した
ところ、本発明試料2では、2.1個/nm2の3−ア
ミノプロピル基で修飾された雲母表面が更に0.2個/
nm2 のブロモヘキシル基で修飾されていることが判っ
た。
【0051】−実施例3−比較例試料3の作製 :実施例2の比較例試料2と同様の
プラズマ処理を施した雲母薄片を、シラン化剤として3
−メルカプトプロピルトリメトキシシランを予め底部に
入れたシラン化処理用反応容器に移した。反応容器を8
0℃に加温することにより、雲母薄片をシラン化剤蒸気
と接触・反応させた、反応を16時間計測させた後、雲
母薄片をエタノールで洗浄した。
【0052】本発明試料3の作製:比較例試料5を更に
0.01M5,5′−ジチオ−ビス(2−ニトロ安息香
酸(DTNB)のリン酸緩衝溶液(pH8.0)に浸漬
し、室温で24時間放置することにより、本発明試料3
を作製した。
【0053】本発明試料4の作製:本発明試料3を更に
0.01mMウレアーゼのトリス−塩酸緩衝溶液(pH
7.3)に浸漬し、5℃で48時間放置することによ
り、本発明試料4を作製した。
【0054】作製した各試料は、何れも実施例1と同様
に表面分析した。分析結果を示す表5から明らかなよう
に、比較例試料5ではほとんど検出されなかった窒素
が、本発明試料4で検出されている。この窒素は、本発
明試料4の作製に使用したDTNBに由来する。また、
本発明試料4においては、メルカプトプロピル基で修飾
された表面が更にDTNBで修飾されている。更に、本
発明試料5は、本発明試料4と比較して炭素及び窒素が
著しく増加している。これは、雲母表面が更にウレアー
ゼで修飾されていることを示す。
【0055】
【表5】
【0056】−実施例4−比較例試料4及び本発明試料5の作製 :劈開した雲母薄
片をプラズマ処理装置の反応容器内に設定し、容器内を
排気した後、アルゴンガスをキャリアーとして水蒸気を
導入した。出力20Wで高周波電圧を印加し、5分間プ
ラズマ処理を施した。容器内を再び排気した後、雲母薄
片を取り出し、シラン化剤として3−メルカプトプロピ
ルトリメトキシシランを予め底部に入れたシラン化処理
用反応容器に移した。反応容器内を30℃に加温するこ
とにより、試料をシラン化剤蒸気と接触させ、接触反応
を16時間継続した。反応後、試料を二つに分け、一方
をエタノールで洗浄し、比較例試料4とした。他方の試
料は、2,2´−ジビリジルジスルフィドの0.01M
エタノール溶液で洗浄し、更に同溶液に48時間浸漬
し、本発明試料5とした。
【0057】比較例試料5の作製:劈開した雲母薄片を
プラズマ処理装置の反応容器内に設置し、容器内を排気
した後、アルゴンガスをキャリアーとして水蒸気を導入
した。出力20Wで高周波電圧を印加し、5分間プラズ
マ処理を施した。容器内を再び排気した後、雲母薄片を
取り出し、ウレアーゼの0.01mMトリス−塩酸緩衝
溶液(pH7.3)に浸漬し、5℃で48時間放置する
ことにより比較例試料5を作製した。
【0058】本発明試料6の作製:本発明試料5を更に
ウレアーゼの0.01mMトリス−塩酸緩衝溶液に浸漬
し、5℃で48時間放置することにより本発明試料6を
作製した。比較例試料6の作製 :比較例試料5を更に0.01Mド
デシルベンゼンスルホン酸ナトリウム溶液で洗浄するこ
とにより、比較例試料6を作製した。本発明試料7の作製 :本発明試料6を更に0.01Mド
デシルベンゼンスルホン酸ナトリウム溶液で洗浄するこ
とにより、本発明試料7を作製した。作製した試料は何
れも実施例1と同様にX線光電子分光分析装置で表面分
析した。分析結果を、表6に示す。
【0059】
【表6】
【0060】表6から明らかなように、本発明試料5で
は、比較例試料4からほとんど検出されなかった窒素が
検出されている。この窒素は、本発明試料5の作製に使
用した2,2´−ジピリジルジスルフィドに由来するも
のである。このことから、本発明試料5においては、メ
ルカプト基で修飾された雲母表面が更に2,2´−ジピ
リジルジスルフィドで修飾されていることが判る。
【0061】比較例試料5及び本発明試料6では、何れ
も表面から窒素及び炭素が検出されている。これは、雲
母表面に蛋白(ウレアーゼ)が存在していることを示
す。しかし、比較例試料6から明らかなように、比較例
試料5上のウレアーゼは、ドデシルベンゼンスルホン酸
ナトリウム溶液によって洗い流された。すなわち、比較
例試料5上のウレアーゼは、不安定な状態で雲母表面に
付着していた。これに対し、本発明試料6は、ドデシル
ベンゼンスルホン酸ナトリウム溶液で洗浄した後でも、
雲母表面に検出される修飾量が本発明試料7にみられる
ように洗浄前に比較してほとんど減少していなかった。
このことから、本発明試料6に形成されている修飾表面
が安定であることが判る。
【0062】比較例試料5及び本発明試料6の表面を原
子間力顕微鏡(AFM)で観察した。本発明試料6で
は、ウレアーゼに由来するものとみられる大きさ数十n
mの構造が再現性よく観察された。他方、比較例試料5
では、観察中に次第に構造がみられなくなった。これ
は、比較例試料5上のウレアーゼがAFMの探針によっ
て視野の外に動かされてしまったためである。すなわ
ち、比較例試料5上のウレアーゼは、不安定な状態で雲
母表面に付着していたことを示す。これに対し、本発明
試料6では、ウレアーゼはAFM探針によっても動かさ
れず、安定な修飾表面であることが判る。
【0063】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明において
は、雲母表面にあるケイ素原子又はアルミニウム原子と
の間でアルコキシシラン系の共有結合によって雲母表面
に結合した修飾層を形成している。この修飾層によっ
て、雲母表面が他の化合物に対して親和性の高い状態に
なるため、多様なニーズに対応する特性を備えた種々の
修飾表面層を形成することができる。このようにして化
学修飾された雲母は、各種添加剤,触媒材料,光学材
料,表面測定用基板材料等として広範な分野で使用され
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 白雲母の断面モデル及び各原子の層中におけ
る位置関係

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 雲母表層の珪素原子又はアルミニウム原
    子に対し式[I] で表される共有結合で結合された修飾層を有することを
    特徴とする表面を化学修飾された雲母。
  2. 【請求項2】 式[I]で表される共有結合を持った修
    飾表面を製造する過程において、雲母表面に水蒸気プラ
    ズマを照射した後、アルコキシシラン化合物を反応させ
    ることを特徴とする請求項1記載の化学修飾された雲母
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項2のアルコキシシラン化合物とし
    て、一般式[II] で表されるシラン化合物を用いることを特徴とする化学
    修飾された雲母の製造方法。
JP14013692A 1992-03-03 1992-04-30 表面を化学修飾された雲母及びその製造方法 Pending JPH05306114A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

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JP8165592 1992-03-03
JP4-81655 1992-03-03

Publications (1)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100655126B1 (ko) * 2005-11-01 2006-12-08 (주)용궁일라이트 무성 방전에 의해 개질된 일라이트의 탈철방법
JP2016526525A (ja) * 2013-06-27 2016-09-05 セントル ナショナル ドゥ ラ ルシェルシュ シアンティフィック(シー.エヌ.アール.エス.) 官能基化鉱物粒子を含む組成物の調製方法及び組成物
US20170167807A1 (en) * 2015-12-14 2017-06-15 Industrial Technology Research Institute Heat shielding material, heat shielding composition and heat shielding structure employing the same

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