JPH0529998Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本考案は、セールボード用マストのジヨイント
機構に関する。

「従来の技術」 一般に、セールボードはボード上にジヨイント
機構を介してマストを取付け、更に該マストにセ
ールを張設するようになつている。そして、セー
ルは、通常風の強さなどの海上の状態やその他の
条件の変化に応じて大きさを変えて使用してい
る。この時、マストもセールの大きさに応じてボ
ードからの高さを変えねばならない。マストの高
さを変えるには、マストとボードとの間のジヨイ
ント機構により行うようになつている。

従来のジヨイント機構は、第４図に示す如くジ
ヨイントベース１をボード上にボルト止めし、該
ジヨイントベース１にユニバーサルジヨイント２
を回動自在に取付け、ユニバーサルジヨイント２
の突出方向に弾性付勢されたスプリングピン３を
エクステンシヨンパイプ４の下部の取付け孔に嵌
入させて、該エクステンシヨンパイプ４を取付け
るようになつている。エクステンシヨンパイプ４
は長さ方向に一定間隔をおいて多数の調節孔５を
有しており、マスト６の所望する高さに見合う調
節孔５を選定してピン７を差し込み、該ピン７の
突出する部分に当たる位置までリング状のマスト
ストツパー８を上記エクステンシヨンパイプ４に
嵌入させる。次いで、該エクステンシヨンパイプ
４にマスト６の下部を差し込み、マスト６の下端
がマストストツパー８に当接させた後、該マスト
６にセールを張設するようになつている。セール
の大きさに応じてマスト６の高さ位置を変えるに
は、その高さに見合う調節孔５を選定してピン７
を差し込むようになつている。尚、マスト６の下
端とマストストツパー８との間にはＯリング９を
介在させるようになつている。その他のマスト６
の高さが変えられる機構としては、第５図及び第
６図に示す如くエクステンシヨンパイプ４よりや
や大きい径のパイプを所定幅でかつある斜角をも
つて切断した如き形状の止めリング１０を利用し
たものが知られるところである。つまり、該止め
リング１０には、内面の一箇所に突起１１を有し
ており、まず止めリング１０を水平にして楕円形
にした状態でエクステンシヨンパイプ４に遊挿
し、次いで斜めにして止めリング１０の孔がエク
ステンシヨンパイプ４の径と見合うように向き変
えし上記突起１１をマスト６の高さ位置に見合う
位置の調節孔５を選定して嵌入させるようになつ
ている。エクステンシヨンパイプ４にマストスト
ツパー１２を嵌挿させるが、該マストストツパー
１２の下面が傾斜面にしてあつて、この傾斜面が
止めリング１０の上面の傾斜面と一致するように
なつている。マストストツパー１２上にはマスト
６の下端が当接するようになつていることは前者
の者と同様である。

「考案が解決しようとする課題」 しかしながら、上記従来のジヨイント機構のう
ち前者のものは、組立時や解体時においてピン７
を砂浜に落下させると容易に見つけられず紛失す
ることが多く、特に組立時にはピン７を紛失する
とその後のボードセーリングが行えずに落胆する
ことがしばしばあつた。例えば組立時には、ピン
７を手前側の調節孔５から反対側の調節孔５の位
置を勘に頼つて探り挿通させねばならないため、
甚だ煩瑣で、この時ピン７を落下させて紛失する
ことが多かつた。一方、後者のジヨイント機構に
あつては、止めリング１０の一箇所にのみ突起１
１を有して、該突起１１を調節孔５に嵌入させる
ものであるから、マスト６が何らかの原因でマス
トストツパー１２から浮き上がなどによりマスト
６からマストストツパー１２に加わる力が変動す
ると、止めリング１０が自重などにより水平に回
り易く、これにより突起１１が調節孔５から抜け
出してマスト６が落下し、利用者が思わぬ怪我を
することがあつた。エクステンシヨンパイプ４の
挿通が容易なように、止めリング１０の傾斜の度
合いを大きくすればするほど、止めリング１０と
マストストツパー１２との接し合う面の勾配が急
になり、マストストツパー１２が、マスト６の自
重を受けてエクステンシヨンパイプ４への挿通の
ためのクリアランス分だけ止めリング１０のテー
パ状の上面に沿つて下降し、更にマスト６の自重
によりマストストツパー１２のテーパ状の下面と
接し合う面から加わる力で、突起１１が調節孔５
より抜け出しする方向に力が作用し、これに相加
わつてマスト６の浮き上がりなどマストストツパ
ー１２に加わるマスト６の自重の変化によつて突
起１１が調節孔５から抜け出すこともあつた。上
記突起１１はマスト６の加重などに充分に耐え得
るような径にするが、該突起１１の径に応じて止
めリング１０の高さも大きくなつて軽量化が好ま
しいこの種のものには不向きで使い難いものにな
つていた。しかも、後者のジヨイント機構は、突
起１１を有する止めリング１０と、下面が該止め
リング１０に一致するテーパ状のマストストツパ
ー１２との２部材からなつていて、一操作で組立
や解体ができずに煩瑣であり、又紛失もし易かつ
た。

そこで、本考案は、上記事情に鑑み、分離不能
な一体の部材からなつていて一操作で所望するマ
ストの高さ位置に見合うように位置決めでき、し
かもマストの重量を受けて係合力が増加して脱離
がし難く、かつ紛失もし難いセールボード用マス
トのジヨイント機構を提供することを目的とす
る。

「課題を解決するための手段並びに作用」 本考案は、上記目的を達成するためになされた
もので、マストストツパーをエクステンシヨンパ
イプに嵌挿させる際に、ストツパーリングをリン
グ受け入れ部内にて回動させて開き、エクステン
シヨンパイプに嵌挿後、ストツパーリングを閉じ
て、所望するマストの高さ位置に見合う位置のエ
クステンシヨンパイプの調節孔にストツパーリン
グの止め突起を嵌入させるようにしたものであ
る。マストストツパーがマストを受ければ、該マ
ストの自重で止め突起が調節孔に食い込む方向の
力が加わるようにしたものである。

「実施例」 以下に、本考案に係わるセールボード用マスト
のジヨイント機構の一実施例を図面に基づき説明
する。第１図乃至第３図において、１５はマスト
ストツパーである。上記従来構成のエクステンシ
ヨンパイプ４に遊挿できる程度の径を有するリン
グ状に形成させてある。該マストストツパー１５
は、周壁の下部の対向する箇所に、ある斜角をも
つて、例えば45度程度の斜角をもつて切断した如
く切欠したリング受入れ部１６，１７を有してい
る。従つて、リング受入れ部１６，１７は、マス
トストツパー１５の端縁が半円弧状になる。該マ
ストストツパー１５の端縁の最上部の中央に挿通
孔１８，１９を有している。リング受入れ部１
６，１７の境界のマストストツパー１５下部には
軸孔２０，２１を穿設させてある。該軸孔２０，
２１には２個のストツパーリング２２，２３を回
動自在に枢着する。各ストツパーリング２２，２
３は、同一形状に形成させてある。つまり、各ス
トツパーリング２２，２３は、半円弧形状の半リ
ング部２４の端縁から斜め上方に向かつて突出す
る腕２５，２６を有している。半リング部２４は
両周壁が内方に向かつて傾斜するテーパ面になつ
ている。半リング部２４の中央部には、斜め上方
でかつ内方に向かつて突出する止め突起２９を有
している。該止め突起２９は、上記挿通孔１８，
１９を挿通自在な径にしてある。上記一方の腕２
５には外方に向かつて突出するピン軸２７を有し
ている。他方の腕２６にはピン軸２７が遊通可能
な径の軸孔２８を穿設させてある。

そして、上記マストストツパー１５とストツパ
ーリング２２，２３とは、各ストツパーリング２
２，２３を互いに対向させた状態で、一方のスト
ツパーリング２２，２３のピン軸２７を他方のス
トツパーリング２２，２３の軸孔２８に挿通さ
せ、更に各ピン軸２７をマストストツパー１５の
軸孔２０，２１に挿通させて、容易に分離不能に
組付けるようになつている。

上記構成において、従来と同様にしてユニバー
サルジヨイントにエクステンシヨンパイプ４を取
付けておき、ストツパーリング２２，２３を水平
に開いた状態でマストストツパー１５をエクステ
ンシヨンパイプ４に嵌挿させる。ストツパーリン
グ２２，２３を開いた状態では、一方のストツパ
ーリング２２，２３の半リング部２４と腕２５，
２６との係合段部３０に他方のストツパーリング
２２，２３の腕２５，２６乃至半リング部２４の
端縁が当接して水平状態を維持している。ストツ
パーリング２２，２３が開いた状態では、各スト
ツパーリング２２，２３との間で作る径口が楕円
となり、上記エクステンシヨンパイプ４の外径よ
り大きなものとなつて、各ストツパーリング２
２，２３は止め突起２９に何ら邪魔されることな
くエクステンシヨンパイプ４に極めて簡単に遊挿
できる。その後、マストストツパー１５とストツ
パーリング２２，２３とは、エクステンシヨンパ
イプ４の多数の調節孔５のうちから使用すべきセ
ールの大きさに対応するマスト６の高さ位置に見
合う調節孔５を選定しておき、各ストツパーリン
グ２２，２３を回動させて止め突起２９をマスト
ストツパー１５の挿通孔１８，１９から更に選定
した調節孔５に向けて突出させて、これにより止
め突起２９をその調節孔５に嵌入させる。該止め
突起２９が上記選定した調節孔５に嵌入した状態
では、各ストツパーリング２２，２３の半リング
部２４上面がマストストツパー１５のリング受入
れ部１６，１７端縁に当接しない状態で、ある程
度のクリアランスを持たせておくことが良いが、
必ずしも上記クリアランスを持たせねばならない
といつたものではなく、各ストツパーリング２
２，２３とリング受入れ部１６，１７とが当接し
ても止め突起２９が調節孔５に嵌入できる状態で
あれば不都合はない。次いで、上記エクステンシ
ヨンパイプ４にマスト６を嵌挿させて、該マスト
６の下端をマストストツパー１５に受け止めさせ
る。この時、マスト６とマストストツパー１５と
の間に、従来と同様にＯリングを介在させること
もできる。マスト６をエクステンシヨンパイプ４
に嵌挿すると、マストストツパー１５にはマスト
６の自重が加わり、この自重がピン軸２７に作用
する。すると、この作用力は、各ストツパーリン
グ２２，２３を閉じる方向に作用し、このため止
め突起２９が調節孔５に嵌入する方向に押圧され
ることになり、又ストツパーリング２２，２３も
エクステンシヨンパイプ４を挟圧するために、エ
クステンシヨンパイプ４とマストストツパー１５
とのロツクが堅牢になる。従つて、該エクステン
シヨンパイプ４とマストストツパー１５とのロツ
クは、マスト６からマストストツパー１５に加わ
る力が変動しても緩むことがない。

使用すべきマスト６の大きさを変え、これに応
じてマスト６の高さ位置を変えるには、上記エク
ステンシヨンパイプ４からマスト６を抜けば、ス
トツパーリング２２，２３を簡単に回動させるこ
とができ、これにより調節孔５から止め突起２９
を離脱させることができ、以後上記と同様にマス
トストツパー１５及び各ストツパーリング２２，
２３をエクステンシヨンパイプ４に沿つて移動さ
せて、別に選定した調節孔５に止め突起２９を嵌
入させる。

「考案の効果」 以上の如く、本考案に係わるセールボード用マ
ストのジヨイント機構によれば、分離不能な一体
の部材を操作するのみでマストの高さ位置を調節
することができ、しかも一操作で調節できて取扱
が極めて簡単であり、又マストの重量を受けると
その力がエクステンシヨンパイプの調節孔とスト
ツパーリングの止め突起とが嵌入する方向に加わ
るために、不用意に脱離するといつた事態の発生
がなく、更にマストの高さ位置を調節する部材が
分離不能に一体になつているから紛失するいつた
こともなく使用上頗る便利である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係わるセールボード用マスト
のジヨイント機構の要部を示す分解斜視図、第２
図はマストストツパーとストツパーリングとの組
付けた状態の斜視図、第３図はマストストツパー
がマストを受けている状態の一部断面図、第４図
は従来のセールボード用マストのジヨイント機構
の分解斜視図、第５図は従来の他のジヨイント機
構を示す要部斜視図、第６図は第５図のジヨイン
ト機構の使用状態を示す一部断面図である。 ４……エクステンシヨンパイプ、５……調節
孔、６……マスト、１５……マストストツパー、
２２，２３……ストツパーリング、２９……止め
突起。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ボード上のユニバーサルジヨイントと、該ユニ
   バーサルジヨイントに取付けられて長さ方向に多
   数の調節孔が穿設されたエクステンシヨンパイプ
   と、該エクステンシヨンパイプの調節孔に係合し
   て高さ位置が調節可能にマストを受けるリング状
   のマストストツパーとを備えたセールボード用マ
   ストのジヨイント機構において、上記マストスト
   ツパーをエクステンシヨンパイプに遊挿可能な径
   に形成すると共に、該マストストツパーに下部の
   対向する箇所を斜めに裁断した形状のリング受け
   入れ部を有し、上記マストストツパーには、それ
   ぞれが半円弧状で中央部内側にエクステンシヨン
   パイプの調節孔に嵌入可能な止め突起を有するス
   トツパーリングをリング受け入れ部に位置させて
   回動自在に枢着したことを特徴とするセールボー
   ド用マストのジヨイント機構。