JPH05285640A - 溶融金属容器用ポーラスプラグの構造 - Google Patents

溶融金属容器用ポーラスプラグの構造

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JPH05285640A
JPH05285640A JP9558692A JP9558692A JPH05285640A JP H05285640 A JPH05285640 A JP H05285640A JP 9558692 A JP9558692 A JP 9558692A JP 9558692 A JP9558692 A JP 9558692A JP H05285640 A JPH05285640 A JP H05285640A
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waveguide rod
ultrasonic
rod
porous
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Masayuki Fujita
昌之 藤田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 超音波を使用してポーラスプラグの残存高さ
を正確に検出すること。 【構成】 ポーラスプラグ8と同程度の進度で溶失する
超音波測長用の導波棒状体14を、その一端面が炉内に
露出し他端面が炉外に露出した状態で配設する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、取鍋等の溶融金属容器
に用いられるポーラスプラグの構造に関し、特に、残存
高さの実測を可能としたポーラスプラグの構造に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ポーラスプラグは、たとえば、取鍋等の
溶融金属容器の底部に配置され、溶融金属中にガスを吹
き込むために使用されている。ポーラスプラグは、通気
性の高い耐火物から形成されており、その先端は溶融金
属内に露出している。このため、ポーラスプラグの先端
は高熱により溶失し残存高さが順次短くなる。ポーラス
プラグの長さが限界値よりも短くなると、ポーラスプラ
グの取り付け部から溶融金属が漏れるため、甚大な損害
が発生する。
【0003】容器内のポーラスプラグの溶失状態は直接
目視で確認することができないので、操業時間等から溶
失状態を推測してポーラスプラグを交換する必要があ
る。しかしながら、ポーラスプラグの溶失量は、各種の
操業条件によって異なるため、安全性を考えると早めに
ポーラスプラグを交換する必要がある。このため、本来
は未だ使用可能であるにも拘わらず交換することにな
り、経済性が悪いという問題があった。
【0004】一方、高炉、加熱炉等の各種炉において、
超音波の反射を利用して炉壁の脱落を検知する方法が、
特開昭55−162593号公報で知られている。同公
報に記載の炉壁脱落検知方法は、炉壁中に検知棒を水平
方向に埋め込み、この検知棒に炉外から超音波を入射
し、反射信号の変化から炉壁の脱落に伴って生じる検知
棒の曲がり状態を検出し、これから炉壁の脱落状態を知
るようにしたものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記公
報に記載の炉壁脱落検知方法においては、検知棒の曲が
り状態から炉壁の脱落状態を検出しているので、炉壁が
脱落したにも拘わらず検知棒が曲がらないような場合は
検出できない。また、検知棒は脱落した炉壁の重みで曲
がるのであるから、検知棒の配置方向は水平方向に制限
される。更に、炉壁の脱落に伴い検知棒が溶融金属に接
触する状態になると、検知棒が非常な高温となり、検知
棒の超音波伝播特性が低下してしまい正確な測定を行う
ことができなくなる。また、検知棒が炉壁内に完全に埋
設されている状態と、検知棒が溶融金属に対して露出し
ている状態とでは検知棒の温度が変化するため、超音波
伝播特性も変化してしまいこの点からも正確な測定が困
難となるという問題がある。したがって、上記公報に記
載の炉壁脱落検知方法をそのままポーラスプラグの残存
高さの検出に使用することはできない。
【0006】そこで本発明は、超音波を使用してポーラ
スプラグの残存高さを正確に検出することを目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の溶融金属容器用
ポーラスプラグの構造は、前記目的を達成するため、ポ
ーラスプラグと同程度の進度で溶失する超音波測長用の
導波棒状体をポーラスプラグと一体に配設したことを特
徴とする。
【0008】前記超音波測長用の導波棒状体は、その一
端面が炉内に露出し他端面が炉外に露出した状態で配設
することができる。
【0009】また、本発明の溶融金属容器用ポーラスプ
ラグの構造は、超音波測長用の導波棒状体が、その一端
面がポーラスプラグの先端から所定の距離だけ離れたポ
ーラスプラグ内に位置し他端面が炉外に露出した状態で
配設することもできる。
【0010】
【作用】本発明においては、操業に伴い高熱によりポー
ラスプラグが溶失してその高さが減少すると、超音波測
長用の導波棒状体も同様に溶失してその長さが短くな
る。炉外から超音波を導波棒状体に与えると反射超音波
の状態は導波棒状体の長さに応じて変化する。したがっ
て、反射超音波の状態を測定することにより、ポーラス
プラグの残存高さが判る。また、ポーラスプラグにはガ
スが通過するので、ポーラスプラグに一体に設けられた
導波棒状体はこのガスにより冷却され、良好な超音波伝
播特性が維持されるため溶鋼部と導波棒状体の境界が鮮
明に検知できる。
【0011】また、超音波測長用の導波棒状体が、その
一端面がポーラスプラグの先端から所定の距離だけ離れ
た状態で配設されている場合には、操業開始時には導波
棒状体の一端面は高温の溶融金属と接触する位置にな
く、導波棒状体の周囲を流れるガスによる冷却効果のた
めそれほど高温とならず一端面は超音波の反射面として
十分機能し大きな反射波が得られる。ポーラスプラグが
溶失して導波棒状体の一端面に到ると導波棒状体の一端
面が高温となり溶失して超音波の反射面として十分機能
しなくなり反射波が小さくなる。すなわち、ポーラスプ
ラグの残存高さが使用限界に達すると反射波の大きさが
急激に減少する。したがって、反射超音波の大小を測定
することにより、ポーラスプラグが残存高さに達したか
否かが判る。
【0012】
【実施例】以下、図面を参照しながら実施例に基づいて
本発明の特徴を具体的に説明する。
【0013】図1は、本発明の溶融金属容器用ポーラス
プラグの第1の実施例を示しており、同図(a)はポー
ラスプラグの上端面図、同図(b)はポーラスプラグの
断面図、同図(c)は同図(b)のI−I線断面図を示
す。本実施例においては、溶融金属容器として取鍋が使
用されており、取鍋の底部にポーラスプラグが取り付け
られている。
【0014】取鍋底板1の上にはパーマれんが2及び取
鍋底れんが3が積層されている。取鍋底板1、パーマれ
んが2及び取鍋底れんが3には、ポーラスプラグを貫通
させるための貫通孔4が形成され、また、取鍋底れんが
3の貫通孔4に対応する部分には、円錐状の透孔5を有
する受けれんが6が設けられている。また、取鍋底板1
の貫通孔4に対応する部分の下面にはポーラスプラグを
着脱自在に取り付けるための受け金物7が、溶接等によ
り固定されている。
【0015】ポーラスプラグ8は、通気性の高い高アル
ミナ質れんが等の耐火物からなる丸棒状のポーラスエレ
メント9と、このポーラスエレメント9の外周に設けら
れた略円錐状のキャスタブル10と、このキャスタブル
10を上端部を除いて気密状態で覆う略円錐状メタルケ
ース11とからなるプラグ本体12を備えており、メタ
ルケース11の底面にはガス吹き込みパイプ13が連結
されている。
【0016】更に、超音波に対して良好な伝播特性を有
し且つポーラスプラグ8と同程度の進度で溶失する超音
波測長用の導波棒状体14が、ポーラスプラグ8の内部
に一体化して配設されている。具体的には、鋼、SU
S、非鉄金属、合金、ファインセラミックス(緻密
質)、溶融セラミックス(ガラス,石英等を含む)等の
何れかからなる導波棒状体14が、ポーラスエレメント
9に沿ってキャスタブル10の内周部に埋め込まれてい
る。導波棒状体14は、メタルケース11の底部に形成
された透孔11aを介して下方に引き出されている。メ
タルケース11と導波棒状体14とのシール構造は、可
能であれば溶接が望ましく、不可であればセラミックフ
ァイバーを用いたシールとするが、気密性が保持できれ
ばキャスタブル10のみでもよい。
【0017】導波棒状体14には、図2(a),(b)
に示すように、炉内に露出する初期端面14aから一定
間隔Lで、たとえば、50mm間隔で小さな三角形の切
り込み14b,14c,14dが形成されている。最も
基端側、すなわち、測定端面14e側の切り込み14d
は、ポーラスプラグ8の残存高さの限界位置に形成され
ている。
【0018】プラグ本体12の下方にはプラグ受けれん
が15が設けられ、このプラグ受けれんが15に対して
所望枚数の高さ調整ディスク16を介して押さえ金物1
7が押さえつけられる。
【0019】プラグ受けれんが15には、図1(c)に
示すように、その中心にガス吹き込みパイプ13を通過
させるための貫通孔15aと、導波棒状体14を通過さ
せるために貫通孔15aと連通して設けられた長溝15
bが形成されており、前記ガス吹き込みパイプ13及び
導波棒状体14は、プラグ受けれんが15、高さ調整デ
ィスク16及び押さえ金物17を貫通して容器外に引き
出される。
【0020】前記押さえ金物17と前記受け金物7はバ
ヨネット構造を有しており、押さえ金物17に設けられ
た翼部17aを受け金物7に形成された切欠部 (図示せ
ず)に一致させた状態で、プラグ本体12、プラグ受け
れんが15、高さ調整ディスク16及び押さえ金物17
からなるポーラスプラグ8を、受けれんが6に押しつけ
て回転することにより、取鍋に対してポーラスプラグ8
が取り付けられる。
【0021】導波棒状体14の引き出し側端部、すなわ
ち、測定端面14e(図2(a)参照)には、超音波ト
ランスジューサからなる探触子18が取り付けられてお
り、この探触子18は、図3に示すように超音波測長装
置19に接続されている。超音波測長装置19により探
触子18が所定周期で駆動され、探触子18からの超音
波が導波棒状体14に対して送信される。また、導波棒
状体14からの反射波は探触子18で検出されて超音波
測長装置19に送られブラウン管19aで反射の状態が
測定される。
【0022】導波棒状体14の断面は可及的に小さくす
ることが好ましいが、探触子18との接触面に比して小
さすぎると探触子18から送信される超音波が導波棒状
体14内へ伝達されにくくなる場合がある。この場合に
は、導波棒状体14の引き出し側端部の測定端面14e
を大きくするため、側端部近傍を図2(c),(d)に
示すようにテーパ状とするか、もしくは、同図(e),
(f)に示すように探触子18の接触面をテーパ形状と
して小さくする必要がある。また、探触子18を常時測
定端面14eに取り付けておくのではなく、測定が必要
な場合にのみ押し当てるようにしてもよい。
【0023】次に、上述した溶融金属容器用ポーラスプ
ラグ8の動作を説明する。
【0024】導波棒状体14の測定端面14eに取り付
けられた探触子18は、超音波測長装置19により所定
周期で駆動され、探触子18で発生した超音波は導波棒
状体14に沿って進み、主として端面14aで反射し、
一部は導波棒状体14に形成された切り込み14b,1
4c,14dで反射する。導波棒状体14からの反射超
音波は、探触子18で電気信号に変換され超音波測長装
置19に送られる。超音波測長装置19では、横軸を時
間軸とし縦軸を反射強度として表示するブラウン管19
aで超音波の反射状態を測定する。
【0025】初期状態においては、超音波は、主として
導波棒状体14の初期端面14aで反射するため、図4
に示すように導波棒状体14の初期端面14aに対応す
る位置に振幅の大きな反射波PT が観測される。また、
切り込み14b,14c,14dで発生する小さな反射
波Pb ,Pc ,Pd も観測される。
【0026】操業開始に伴い、高熱によりポーラスプラ
グ8の先端が溶失するとともに導波棒状体14の先端も
溶失する。したがって、ポーラスプラグ8の残存高さが
短くなるにつれて導波棒状体14の長さも短くなる。こ
のため、超音波の反射時間が短くなり、図5に示すよう
に導波棒状体14の端部で発生する振幅の大きな反射波
T の位置が、送信端側(図において左側)に移動す
る。この反射波PT の位置を超音波測長装置19で観測
することにより、ポーラスプラグ8の残存高さを知るこ
とができる。このとき、導波棒状体14の端部で発生す
る振幅の大きな反射波PT の他に切り込み14b,14
c,14dで発生する一定間隔の振幅の小さな反射波P
b ,Pc ,Pd (図4参照)も観測されるので、これら
の反射波を参照することによりポーラスプラグ8の残存
高さを正確に知ることができる。そして、ポーラスプラ
グ8の残存高さが限界に達したら、すなわち、反射波P
T の位置が反射波Pd の位置に到ったら、ポーラスプラ
グ8を交換する。
【0027】超音波の反射を利用してポーラスプラグ8
の残存高さを知るためには、導波棒状体14は超音波を
良好に伝播するものでなくてはならない。すなわち、炉
内端面はもちろん、各部分が充分な硬度を有していなけ
ればならない。導波棒状体14は、溶融金属に接触した
状態で配置されているので非常に高温になる。一般に物
質は高温になると硬度が低下するため、超音波の伝播効
率や反射効率が低下する。ここで本実施例においては、
導波棒状体14を、ガスが通過するポーラスプラグ8と
一体に設けているので、ポーラスプラグ8を通過するガ
スにより導波棒状体14が冷却され、導波棒状体14の
硬度が維持され超音波を良好に伝播・反射することがで
きる。
【0028】導波棒状体14の端部は溶融金属に接触し
たり、或いは、ごく近傍にあるため、ガスによる冷却が
不十分となり、超音波を良好に反射しなくなる場合があ
る。この場合には、端面からの反射波PT がブラウン管
19aで観察されにくくなるが、冷却が十分である切り
込み14b,14c,14dからの反射波Pb ,Pc
d は明瞭であり、ポーラスプラグ8の残存部が少なく
とも切り込み14bを含んでいることが確認できる。
【0029】上述した第1の実施例においては、導波棒
状体14を、ポーラスエレメント9に沿ってキャスタブ
ル10の内周部に埋め込んだが、この構造に限定される
ものではなく、以下に述べるように各種の構造を取り得
る。なお、第1の実施例と対応する部材等には同一符号
を付している。
【0030】図6(a),(b)は、本発明のポーラス
プラグの第2の実施例の要部の上端面図及び断面図を示
しており、ポーラスエレメント9の外周に軸に沿って長
溝9aが形成され、この長溝9aの中に導波棒状体14
が収納されている。
【0031】図7(a),(b)は、本発明のポーラス
プラグの第3の実施例の要部の上端面図及び断面図を示
しており、導波棒状体14はポーラスエレメント9の中
心軸を貫通して設けられており、ガス吹き込みパイプ1
3の側壁から外部に導出されている。
【0032】図8は、本発明のポーラスプラグの第4の
実施例の断面図を示しており、導波棒状体14はポーラ
スエレメント9から離れた状態でキャスタブル10の中
を貫通して設けられており、メタルケース11の底面か
ら外部に導出されている。
【0033】図9は、本発明のポーラスプラグの第5の
実施例の断面図を示しており、キャスタブル10の外周
に軸に沿って長溝10aが形成され、この長溝10aの
中に導波棒状体14がメタルケース11に内接した状態
で収納されており、メタルケース11の底面から外部に
導出されている。なお、導波棒状体14はメタルケース
11に外接した状態で設けてもよい。
【0034】上述した各実施例においては、超音波測長
用の導波棒状体14が、その一端面が炉内に露出し他端
面が炉外に露出した状態で配設されているが、図10に
示す第6の実施例のように、導波棒状体20を、その一
端面がポーラスプラグの先端から所定の距離だけ離れた
ポーラスプラグ内に位置し他端面が炉外に露出した状態
で配設することもできる。但し、導波棒状体20は、溶
失するもので有りさえすれば、必ずしもポーラスプラグ
と同程度の進度で溶失する材料でなくてもよい。
【0035】図10に示す第6の実施例においては、導
波棒状体20の初期端面20aは炉内に露出しておら
ず、ポーラスプラグの先端から所定距離Mだけ後退した
位置にあり、初期端面20aはポーラスエレメント9内
に埋設された状態にある。所定距離Mは、ポーラスプラ
グの初期高さから使用限界高さを減じた距離に相当して
いる。
【0036】操業開始時には、導波棒状体20の初期端
面20aは溶融金属に接触していないので、初期端面2
0aはそれほど高温にならない。したがって、初期端面
20aは超音波の反射面として十分機能し、図11に示
すように大きな反射波PT が得られる。ポーラスプラグ
が溶失して初期端面20aが溶融金属に露出したり露出
直前の状態になると、初期端面20aが高温となって溶
失し始めるとともに超音波の反射面として十分機能しな
くなり、図12に示すように反射波PT ’が小さくなっ
たり、消失したりする。したがって、端面からの反射波
をブラウン管19aで観測しておけば、反射波の大きさ
が急激に減少した場合には、ポーラスプラグの残存高さ
が使用限界に達したことが判る。このように第6の実施
例においては、反射波の大小や有無だけを二値的に観測
すればよいので、ポーラスプラグの状態の判定を容易に
行うことができる。
【0037】第6の実施例においては、高熱により導波
棒状体20の初期端面20aの反射特性が大幅に劣化す
ることを積極的に利用し、反射波の大小でポーラスプラ
グの残存高さが使用限界に達したか否かを判別してい
る。したがって、炉内に溶融金属が存在する高温状態に
おいて、ポーラスプラグの状態を確実に検出することが
できる。
【0038】なお、導波棒状体20の配設構造は、図1
0に示される構造に限定されるものではなく、先に説明
した第1〜第5の実施例において、それぞれの導波棒状
体14に代えて、初期端面20aが炉内に露出しない導
波棒状体20を使用することができる。但し、操業開始
時に溶融金属が初期端面20aと接触しないように、導
波棒状体20の初期端面20aとポーラスプラグの先端
との間の空間は、導波棒状体20を囲む物質と同じ物
質、或いは他の適当な物質で埋めておく必要がある。
【0039】
【発明の効果】以上に述べたように、本発明において
は、熱により溶失する超音波測長用の導波棒状体を使用
したので、容器の底部に設けられるポーラスプラグに関
しても残存高さを正確に知ることができ、使用限界の判
定を誤って甚大な損害が発生することを防止することが
できる。また、導波棒状体をポーラスプラグと一体に設
けているので、ポーラスプラグを通過するガスにより導
波棒状体が十分に冷却されて導波棒状体の良好な超音波
伝播特性が維持され、高温環境のもとでも残存高さを正
確に知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の溶融金属容器用ポーラスプラグの第
1の実施例を示す図である。
【図2】 本実施例のポーラスプラグで使用される各種
の導波棒状体及び接触子を示す斜視図である。
【図3】 導波棒状体に取り付けられた探触子と超音波
測長装置との接続関係を示す説明図である。
【図4】 初期状態における超音波測長装置での測定例
を示す説明図である。
【図5】 ポーラスプラグ溶失時の超音波測長装置での
測定例を示す説明図である。
【図6】 本発明の溶融金属容器用ポーラスプラグの第
2の実施例の要部を示す図である。
【図7】 本発明の溶融金属容器用ポーラスプラグの第
3の実施例の要部を示す図である。
【図8】 本発明の溶融金属容器用ポーラスプラグの第
4の実施例の要部を示す図である。
【図9】 本発明の溶融金属容器用ポーラスプラグの第
5の実施例の要部を示す図である。
【図10】 本発明の溶融金属容器用ポーラスプラグの
第6の実施例の要部を示す図である。
【図11】 第6の実施例における初期状態における超
音波測長装置での測定例を示す説明図である。
【図12】 第6の実施例におけるポーラスプラグ溶失
時の超音波測長装置での測定例を示す説明図である。
【符号の説明】
1:取鍋底板、2:パーマれんが、3:取鍋底れんが、
4:貫通孔、5:透孔、6:受けれんが、7:受け金
物、8:ポーラスプラグ、9:ポーラスエレメント、9
a:長溝、10:キャスタブル、10a:長溝、11:
メタルケース、11a:透孔、12:プラグ本体、1
3:ガス吹き込みパイプ、14:導波棒状体、14a:
初期端面、14b,14c,14d:切り込み、14
e:測定端面、15:プラグ受けれんが、15a:貫通
孔、15b:長溝、16:高さ調整ディスク、17:押
さえ金物、17a:翼部、18:探触子、19:超音波
測長装置、19a:ブラウン管、20:導波棒状体、2
0a:初期端面
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年7月14日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 溶融金属容器用ポーラスプラグの構造
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、取鍋等の溶融金属容器
に用いられるポーラスプラグの構造に関し、特に、残存
高さの実測を可能としたポーラスプラグの構造に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ポーラスプラグは、たとえば、取鍋等の
溶融金属容器の底部に配置され、溶融金属中にガスを吹
き込むために使用されている。ポーラスプラグは、通気
性の高い耐火物から形成されており、その先端は溶融金
属内に露出している。このため、ポーラスプラグの先端
は高熱により溶失し残存高さが順次短くなる。ポーラス
プラグの長さが限界値よりも短くなると、ポーラスプラ
グの取り付け部から溶融金属が漏れるため、甚大な損害
が発生する。
【0003】容器内のポーラスプラグの溶失状態は直接
目視で確認することができないので、操業時間等から溶
失状態を推測してポーラスプラグを交換する必要があ
る。しかしながら、ポーラスプラグの溶失量は、各種の
操業条件によって異なるため、安全性を考えると早めに
ポーラスプラグを交換する必要がある。このため、本来
は未だ使用可能であるにも拘わらず交換することにな
り、経済性が悪いという問題があった。
【0004】一方、高炉、加熱炉等の各種炉において、
超音波の反射を利用して炉壁の脱落を検知する方法が、
特開昭55−162593号公報で知られている。同公
報に記載の炉壁脱落検知方法は、炉壁中に検知棒を水平
方向に埋め込み、この検知棒に炉外から超音波を入射
し、反射信号の変化から炉壁の脱落に伴って生じる検知
棒の曲がり状態を検出し、これから炉壁の脱落状態を知
るようにしたものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記公
報に記載の炉壁脱落検知方法においては、検知棒の曲が
り状態から炉壁の脱落状態を検出しているので、炉壁が
脱落したにも拘わらず検知棒が曲がらないような場合は
検出できない。また、検知棒は脱落した炉壁の重みで曲
がるのであるから、検知棒の配置方向は水平方向に制限
される。更に、炉壁の脱落に伴い検知棒が溶融金属に接
触する状態になると、検知棒が非常な高温となり、検知
棒の超音波伝播特性が低下してしまい正確な測定を行う
ことができなくなる。また、検知棒が炉壁内に完全に埋
設されている状態と、検知棒が溶融金属に対して露出し
ている状態とでは検知棒の温度が変化するため、超音波
伝播特性も変化してしまいこの点からも正確な測定が困
難となるという問題がある。したがって、上記公報に記
載の炉壁脱落検知方法をそのままポーラスプラグの残存
高さの検出に使用することはできない。
【0006】そこで本発明は、超音波を使用してポーラ
スプラグの残存高さを正確に検出することを目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の溶融金属容器用
ポーラスプラグの構造は、前記目的を達成するため、ポ
ーラスプラグと同程度の進度で溶失する超音波測長用の
導波棒状体をポーラスプラグと一体に配設したことを特
徴とする。
【0008】前記超音波測長用の導波棒状体は、その一
端面が炉内に露出し他端面が炉外に露出した状態で配設
することができる。
【0009】また、本発明の溶融金属容器用ポーラスプ
ラグの構造は、超音波測長用の導波棒状体が、その一端
面がポーラスプラグの先端から所定の距離だけ離れたポ
ーラスプラグ内に位置し他端面が炉外に露出した状態で
配設することもできる。
【0010】
【作用】本発明においては、操業に伴い高熱によりポー
ラスプラグが溶失してその高さが減少すると、超音波測
長用の導波棒状体も同様に溶失してその長さが短くな
る。炉外から超音波を導波棒状体に与えると反射超音波
の状態は導波棒状体の長さに応じて変化する。したがっ
て、反射超音波の状態を測定することにより、ポーラス
プラグの残存高さが判る。また、ポーラスプラグにはガ
スが通過するので、ポーラスプラグに一体に設けられた
導波棒状体はこのガスにより冷却され、良好な超音波伝
播特性が維持されるため溶鋼部と導波棒状体の境界が鮮
明に検知できる。
【0011】また、超音波測長用の導波棒状体が、その
一端面がポーラスプラグの先端から所定の距離だけ離れ
た状態で配設されている場合には、操業開始時には導波
棒状体の一端面は高温の溶融金属と接触する位置にな
く、導波棒状体の周囲を流れるガスによる冷却効果のた
めそれほど高温とならず一端面は超音波の反射面として
十分機能し大きな反射波が得られる。ポーラスプラグが
溶失して導波棒状体の一端面に到ると導波棒状体の一端
面が高温となり溶失して超音波の反射面として十分機能
しなくなり反射波が小さくなる。すなわち、ポーラスプ
ラグの残存高さが使用限界に達すると反射波の大きさが
急激に減少する。したがって、反射超音波の大小を測定
することにより、ポーラスプラグが残存高さに達したか
否かが判る。
【0012】
【実施例】以下、図面を参照しながら実施例に基づいて
本発明の特徴を具体的に説明する。
【0013】図1は、本発明の溶融金属容器用ポーラス
プラグの第1の実施例を示しており、同図(a)はポー
ラスプラグの上端面図、同図(b)はポーラスプラグの
断面図、同図(c)は同図(b)のI−I線断面図を示
す。本実施例においては、溶融金属容器として取鍋が使
用されており、取鍋の底部にポーラスプラグが取り付け
られている。
【0014】取鍋底板1の上にはパーマれんが2及び取
鍋底れんが3が積層されている。取鍋底板1、パーマれ
んが2及び取鍋底れんが3には、ポーラスプラグを貫通
させるための貫通孔4が形成され、また、取鍋底れんが
3の貫通孔4に対応する部分には、円錐状の透孔5を有
する受けれんが6が設けられている。また、取鍋底板1
の貫通孔4に対応する部分の下面にはポーラスプラグを
着脱自在に取り付けるための受け金物7が、溶接等によ
り固定されている。
【0015】ポーラスプラグ8は、通気性の高い高アル
ミナ質れんが等の耐火物からなる丸棒状のポーラスエレ
メント9と、このポーラスエレメント9の外周に設けら
れた略円錐状のキャスタブル10と、このキャスタブル
10を上端部を除いて気密状態で覆う略円錐状メタルケ
ース11とからなるプラグ本体12を備えており、メタ
ルケース11の底面にはガス吹き込みパイプ13が連結
されている。
【0016】更に、超音波に対して良好な伝播特性を有
し且つポーラスプラグ8と同程度の進度で溶失する超音
波測長用の導波棒状体14が、ポーラスプラグ8の内部
に一体化して配設されている。具体的には、鋼、SU
S、非鉄金属、合金、ファインセラミックス(緻密
質)、溶融セラミックス(ガラス,石英等を含む)等の
何れかからなる導波棒状体14が、ポーラスエレメント
9に沿ってキャスタブル10の内周部に埋め込まれてい
る。導波棒状体14は、メタルケース11の底部に形成
された透孔11aを介して下方に引き出されている。メ
タルケース11と導波棒状体14とのシール構造は、可
能であれば溶接が望ましく、不可であればセラミックフ
ァイバーを用いたシールとするが、気密性が保持できれ
ばキャスタブル10のみでもよい。
【0017】導波棒状体14には、図2(a),(b)
に示すように、炉内に露出する初期端面14aから一定
間隔Lで、たとえば、50mm間隔で小さな三角形の切
り込み14b,14c,14dが形成されている。最も
基端側、すなわち、測定端面14e側の切り込み14d
は、ポーラスプラグ8の残存高さの限界位置に形成され
ている。
【0018】プラグ本体12の下方にはプラグ受けれん
が15が設けられ、このプラグ受けれんが15に対して
所望枚数の高さ調整ディスク16を介して押さえ金物1
7が押さえつけられる。
【0019】プラグ受けれんが15には、図1(c)に
示すように、その中心にガス吹き込みパイプ13を通過
させるための貫通孔15aと、導波棒状体14を通過さ
せるために貫通孔15aと連通して設けられた長溝15
bが形成されており、前記ガス吹き込みパイプ13及び
導波棒状体14は、プラグ受けれんが15、高さ調整デ
ィスク16及び押さえ金物17を貫通して容器外に引き
出される。
【0020】前記押さえ金物17と前記受け金物7はバ
ヨネット構造を有しており、押さえ金物17に設けられ
た翼部17aを受け金物7に形成された切欠部 (図示せ
ず)に一致させた状態で、プラグ本体12、プラグ受け
れんが15、高さ調整ディスク16及び押さえ金物17
からなるポーラスプラグ8を、受けれんが6に押しつけ
て回転することにより、取鍋に対してポーラスプラグ8
が取り付けられる。
【0021】導波棒状体14の引き出し側端部、すなわ
ち、測定端面14e(図2(a)参照)には、超音波ト
ランスジューサからなる探触子18が取り付けられてお
り、この探触子18は、図3に示すように超音波測長装
置19に接続されている。超音波測長装置19により探
触子18が所定周期で駆動され、探触子18からの超音
波が導波棒状体14に対して送信される。また、導波棒
状体14からの反射波は探触子18で検出されて超音波
測長装置19に送られブラウン管19aで反射の状態が
測定される。
【0022】導波棒状体14の断面は可及的に小さくす
ることが好ましいが、探触子18との接触面に比して小
さすぎると探触子18から送信される超音波が導波棒状
体14内へ伝達されにくくなる場合がある。この場合に
は、導波棒状体14の引き出し側端部の測定端面14e
を大きくするため、側端部近傍を図2(c),(d)に
示すようにテーパ状とするか、もしくは、同図(e),
(f)に示すように探触子18の接触面をテーパ形状と
して小さくする必要がある。また、探触子18を常時測
定端面14eに取り付けておくのではなく、測定が必要
な場合にのみ押し当てるようにしてもよい。
【0023】次に、上述した溶融金属容器用ポーラスプ
ラグ8の動作を説明する。
【0024】導波棒状体14の測定端面14eに取り付
けられた探触子18は、超音波測長装置19により所定
周期で駆動され、探触子18で発生した超音波は導波棒
状体14に沿って進み、主として端面14aで反射し、
一部は導波棒状体14に形成された切り込み14b,1
4c,14dで反射する。導波棒状体14からの反射超
音波は、探触子18で電気信号に変換され超音波測長装
置19に送られる。超音波測長装置19では、横軸を時
間軸とし縦軸を反射強度として表示するブラウン管19
aで超音波の反射状態を測定する。
【0025】初期状態においては、超音波は、主として
導波棒状体14の初期端面14aで反射するため、図4
に示すように導波棒状体14の初期端面14aに対応す
る位置に振幅の大きな反射波PT が観測される。また、
切り込み14b,14c,14dで発生する小さな反射
波Pb ,Pc ,Pd も観測される。
【0026】操業開始に伴い、高熱によりポーラスプラ
グ8の先端が溶失するとともに導波棒状体14の先端も
溶失する。したがって、ポーラスプラグ8の残存高さが
短くなるにつれて導波棒状体14の長さも短くなる。こ
のため、超音波の反射時間が短くなり、図5に示すよう
に導波棒状体14の端部で発生する振幅の大きな反射波
T の位置が、送信端側(図において左側)に移動す
る。この反射波PT の位置を超音波測長装置19で観測
することにより、ポーラスプラグ8の残存高さを知るこ
とができる。このとき、導波棒状体14の端部で発生す
る振幅の大きな反射波PT の他に切り込み14b,14
c,14dで発生する一定間隔の振幅の小さな反射波P
b ,Pc ,Pd (図4参照)も観測されるので、これら
の反射波を参照することによりポーラスプラグ8の残存
高さを正確に知ることができる。そして、ポーラスプラ
グ8の残存高さが限界に達したら、すなわち、反射波P
T の位置が反射波Pd の位置に到ったら、ポーラスプラ
グ8を交換する。
【0027】超音波の反射を利用してポーラスプラグ8
の残存高さを知るためには、導波棒状体14は超音波を
良好に伝播するものでなくてはならない。すなわち、炉
内端面はもちろん、各部分が充分な硬度を有していなけ
ればならない。導波棒状体14は、溶融金属に接触した
状態で配置されているので非常に高温になる。一般に物
質は高温になると硬度が低下するため、超音波の伝播効
率や反射効率が低下する。ここで本実施例においては、
導波棒状体14を、ガスが通過するポーラスプラグ8と
一体に設けているので、ポーラスプラグ8を通過するガ
スにより導波棒状体14が冷却され、導波棒状体14の
硬度が維持され超音波を良好に伝播・反射することがで
きる。
【0028】導波棒状体14の端部は溶融金属に接触し
たり、或いは、ごく近傍にあるため、ガスによる冷却が
不十分となり、超音波を良好に反射しなくなる場合があ
る。この場合には、端面からの反射波PT がブラウン管
19aで観察されにくくなるが、冷却が十分である切り
込み14b,14c,14dからの反射波Pb ,Pc
d は明瞭であり、ポーラスプラグ8の残存部が少なく
とも切り込み14bを含んでいることが確認できる。
【0029】上述した第1の実施例においては、導波棒
状体14を、ポーラスエレメント9に沿ってキャスタブ
ル10の内周部に埋め込んだが、この構造に限定される
ものではなく、以下に述べるように各種の構造を取り得
る。なお、第1の実施例と対応する部材等には同一符号
を付している。
【0030】図6(a),(b)は、本発明のポーラス
プラグの第2の実施例の要部の上端面図及び断面図を示
しており、ポーラスエレメント9の外周に軸に沿って長
溝9aが形成され、この長溝9aの中に導波棒状体14
が収納されている。
【0031】図7(a),(b)は、本発明のポーラス
プラグの第3の実施例の要部の上端面図及び断面図を示
しており、導波棒状体14はポーラスエレメント9の中
心軸を貫通して設けられており、ガス吹き込みパイプ1
3の側壁から外部に導出されている。
【0032】図8は、本発明のポーラスプラグの第4の
実施例の断面図を示しており、導波棒状体14はポーラ
スエレメント9から離れた状態でキャスタブル10の中
を貫通して設けられており、メタルケース11の底面か
ら外部に導出されている。
【0033】図9は、本発明のポーラスプラグの第5の
実施例の断面図を示しており、キャスタブル10の外周
に軸に沿って長溝10aが形成され、この長溝10aの
中に導波棒状体14がメタルケース11に内接した状態
で収納されており、メタルケース11の底面から外部に
導出されている。なお、導波棒状体14はメタルケース
11に外接した状態で設けてもよい。
【0034】上述した各実施例においては、超音波測長
用の導波棒状体14が、その一端面が炉内に露出し他端
面が炉外に露出した状態で配設されているが、図10に
示す第6の実施例のように、導波棒状体20を、その一
端面がポーラスプラグの先端から所定の距離だけ離れた
ポーラスプラグ内に位置し他端面が炉外に露出した状態
で配設することもできる。但し、導波棒状体20は、溶
失するもので有りさえすれば、必ずしもポーラスプラグ
と同程度の進度で溶失する材料でなくてもよい。
【0035】図10に示す第6の実施例においては、導
波棒状体20の初期端面20aは炉内に露出しておら
ず、ポーラスプラグの先端から所定距離Mだけ後退した
位置にあり、初期端面20aはポーラスエレメント9内
に埋設された状態にある。所定距離Mは、ポーラスプラ
グの初期高さから使用限界高さを減じた距離に相当して
いる。
【0036】操業開始時には、導波棒状体20の初期端
面20aは溶融金属に接触していないので、初期端面2
0aはそれほど高温にならない。したがって、初期端面
20aは超音波の反射面として十分機能し、図11に示
すように大きな反射波PT が得られる。ポーラスプラグ
が溶失して初期端面20aが溶融金属に露出したり露出
直前の状態になると、初期端面20aが高温となって溶
失し始めるとともに超音波の反射面として十分機能しな
くなり、図12に示すように反射波PT ’が小さくなっ
たり、消失したりする。したがって、端面からの反射波
をブラウン管19aで観測しておけば、反射波の大きさ
が急激に減少した場合には、ポーラスプラグの残存高さ
が使用限界に達したことが判る。このように第6の実施
例においては、反射波の大小や有無だけを二値的に観測
すればよいので、ポーラスプラグの状態の判定を容易に
行うことができる。
【0037】第6の実施例においては、高熱により導波
棒状体20の初期端面20aの反射特性が大幅に劣化す
ることを積極的に利用し、反射波の大小でポーラスプラ
グの残存高さが使用限界に達したか否かを判別してい
る。したがって、炉内に溶融金属が存在する高温状態に
おいて、ポーラスプラグの状態を確実に検出することが
できる。
【0038】なお、導波棒状体20の配設構造は、図1
0に示される構造に限定されるものではなく、先に説明
した第1〜第5の実施例において、それぞれの導波棒状
体14に代えて、初期端面20aが炉内に露出しない導
波棒状体20を使用することができる。但し、操業開始
時に溶融金属が初期端面20aと接触しないように、導
波棒状体20の初期端面20aとポーラスプラグの先端
との間の空間は、導波棒状体20を囲む物質と同じ物
質、或いは他の適当な物質で埋めておく必要がある。
【0039】また、上記各実施例においては、導波棒状
体はその下端がポーラスプラグ外に露出する位置まで一
体的に引き出された構造となっているが、導波棒状体は
必ずしもその伸延方向に一体に構成されている必要はな
い。
【0040】図13は、本発明のポーラスプラグの第7
の実施例の断面図を示しており、導波棒状体20の下端
部はメタルケース11の底面程度までしか伸延しておら
ず、測定が必要なときに、図14(a)に示されるよう
な上端部に探触子18が取り付けられた保持棒21を矢
印で示すようにガス吹き込みパイプ13の中に挿入し、
探触子18を導波棒状体20の下端部に押付けるように
してもよい。この場合には、導波棒状体の全長を短くす
ることができるので、導波性能が改善され、より安定し
た且つ高精度の測定を行うことができる。
【0041】或いは、測定時に図14(b)に示される
ような下端部に探触子18が取り付けられた導波棒状体
20bをガス吹き込みパイプ13の中に挿入し、導波棒
状体20bの上端部を導波棒状体20の下端部に押付け
るようにしてもよい。この場合には、探触子18と熱源
との距離が離れるので、探触子18として熱に弱いもの
も使用することができる。なお、符号22は、探触子1
8と先に説明した超音波測長装置19を電気的に接続す
るためのリード線である。
【0042】上述のように、保持棒21や導波棒状体2
0bをパイプ13内に挿入して、探触子18や導波棒状
体20bの先端を導波棒状体20の下端部に押付ける場
合には、ガス吹き込みパイプ13を利用して保持棒21
や導波棒状体20bの位置決めを行うことができる。
【0043】たとえば、図15に示すように、探触子1
8の周囲に円筒状の案内部材23を設けるとともに、保
持棒21の下端部近傍に環状の案内部材24を設けるこ
とにより、保持棒21をガス吹き込みパイプ13の中に
挿入するときの位置決めを正確に行うことができる。な
お、案内部材23,24の外径は、パイプ13の内径よ
り僅かに小さくされる。また、案内部材23の上端部は
探触子18の上面より上方に突出しており、その内周面
には上方に向かって広がる傾斜面23aが形成されてい
る。これにより、保持棒21をガス吹き込みパイプ13
の中に挿入するとき、導波棒状体20の下端部が傾斜面
23aに当接して導波棒状体20と保持棒21の軸合わ
せが自動的に行われる。なお、同様な案内部材を、図1
4(b)に示される導波棒状体20bに対して設けるこ
とができる。
【0044】このようにガス吹き込みパイプ13を利用
して保持棒21や導波棒状体20bを案内することによ
り、導波棒状体20の軸に対して保持棒21や導波棒状
体20bが傾くことがなくなり、導波棒状体20の下端
面に対して探触子18の上端面や導波棒状体20bの上
端面が密着することになり、超音波の伝播が良好に行わ
れる。
【0045】上述のように導波棒状体20の下端部をメ
タルケース11の底面程度までしか伸延させない場合に
は、導波棒状体20の下端部より下方に位置する高さ調
整ディスク16、押さえ金具17等の部品として従来の
ものを使用することができ、改造のための工数の増加や
コストの上昇を抑えることができる。また、導波棒状体
20の下端部が常にガス吹き込みパイプ13により囲ま
れているので、測定端面が外力から保護され傷つくこと
がない。
【0046】
【発明の効果】以上に述べたように、本発明において
は、熱により溶失する超音波測長用の導波棒状体を使用
したので、容器の底部に設けられるポーラスプラグに関
しても残存高さを正確に知ることができ、使用限界の判
定を誤って甚大な損害が発生することを防止することが
できる。また、導波棒状体をポーラスプラグと一体に設
けているので、ポーラスプラグを通過するガスにより導
波棒状体が十分に冷却されて導波棒状体の良好な超音波
伝播特性が維持され、高温環境のもとでも残存高さを正
確に知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の溶融金属容器用ポーラスプラグの第
1の実施例を示す図である。
【図2】 本実施例のポーラスプラグで使用される各種
の導波棒状体及び接触子を示す斜視図である。
【図3】 導波棒状体に取り付けられた探触子と超音波
測長装置との接続関係を示す説明図である。
【図4】 初期状態における超音波測長装置での測定例
を示す説明図である。
【図5】 ポーラスプラグ溶失時の超音波測長装置での
測定例を示す説明図である。
【図6】 本発明の溶融金属容器用ポーラスプラグの第
2の実施例の要部を示す図である。
【図7】 本発明の溶融金属容器用ポーラスプラグの第
3の実施例の要部を示す図である。
【図8】 本発明の溶融金属容器用ポーラスプラグの第
4の実施例の要部を示す図である。
【図9】 本発明の溶融金属容器用ポーラスプラグの第
5の実施例の要部を示す図である。
【図10】 本発明の溶融金属容器用ポーラスプラグの
第6の実施例の要部を示す図である。
【図11】 第6の実施例における初期状態における超
音波測長装置での測定例を示す説明図である。
【図12】 第6の実施例におけるポーラスプラグ溶失
時の超音波測長装置での測定例を示す説明図である。
【図13】 本発明の溶融金属容器用ポーラスプラグの
第7の実施例の要部を示す図である。
【図14】 第7の実施例において使用される探触子付
き保持棒及び探触子付き導波棒状体を示す図である。
【図15】 探触子付き保持棒に案内部材を設けた例を
示す図である。
【符号の説明】 1:取鍋底板、2:パーマれんが、3:取鍋底れんが、
4:貫通孔、5:透孔、6:受けれんが、7:受け金
物、8:ポーラスプラグ、9:ポーラスエレメント、9
a:長溝、10:キャスタブル、10a:長溝、11:
メタルケース、11a:透孔、12:プラグ本体、1
3:ガス吹き込みパイプ、14:導波棒状体、14a:
初期端面、14b,14c,14d:切り込み、14
e:測定端面、15:プラグ受けれんが、15a:貫通
孔、15b:長溝、16:高さ調整ディスク、17:押
さえ金物、17a:翼部、18:探触子、19:超音波
測長装置、19a:ブラウン管、20,20b:導波棒
状体、20a:初期端面、21:保持棒、22:リード
線、23,24:案内部材,23a:傾斜面
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図13
【補正方法】追加
【補正内容】
【図13】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図14
【補正方法】追加
【補正内容】
【図14】
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図15
【補正方法】追加
【補正内容】
【図15】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G01B 17/00 A

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポーラスプラグと同程度の進度で溶失す
    る超音波測長用の導波棒状体をポーラスプラグと一体に
    配設したことを特徴とする溶融金属容器用ポーラスプラ
    グの構造。
  2. 【請求項2】 前記超音波測長用の導波棒状体が、その
    一端面が炉内に露出し他端面が炉外に露出した状態で配
    設されていることを特徴とする請求項1記載の溶融金属
    容器用ポーラスプラグの構造。
  3. 【請求項3】 超音波測長用の導波棒状体が、その一端
    面がポーラスプラグの先端から所定の距離だけ離れたポ
    ーラスプラグ内に位置し他端面が炉外に露出した状態で
    配設されていることを特徴とする溶融金属容器用ポーラ
    スプラグの構造。
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