JPH0526379A - 樹脂複合管及び樹脂複合管継手 - Google Patents

樹脂複合管及び樹脂複合管継手

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JPH0526379A
JPH0526379A JP17825991A JP17825991A JPH0526379A JP H0526379 A JPH0526379 A JP H0526379A JP 17825991 A JP17825991 A JP 17825991A JP 17825991 A JP17825991 A JP 17825991A JP H0526379 A JPH0526379 A JP H0526379A
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Tsutomu Hashimoto
勉 橋本
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Abstract

(57)【要約】 【目的】長期間高熱に晒されても、また高圧下で管内温
度が大きく変化するといったことが繰り返されても、割
れが発生したり、芯材と繊維強化熱硬化性樹脂層との界
面で層間剥離現象が発生することのない樹脂複合管及び
樹脂複合管継手を提供する。 【構成】芯材(熱可塑性樹脂管又は管継手)1の外周面
に接着剤層2を介して繊維強化熱硬化性樹脂層3が形成
されたものであって、接着剤層2は、ポリオールと、ト
リレンジイソシアネート系及びヘキサメチレンジイソシ
アネート系の2種のポリイソシアネートを配合してなる
ポリイソシアネート組成物とを含むものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、強度、剛性、耐蝕性、
耐熱性、耐圧性及び耐衝撃性等に優れ、例えば高温の各
種薬液の輸送が行われる化学プラントの配管等に好適に
用いられる樹脂複合管及び樹脂複合管継手に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の樹脂複合管としては、例
えば実公昭30−6159号公報や実開昭49−772
45号公報に開示されたものが知られている。
【0003】前者は、硬質塩化ビニル管の外周面にガラ
ス繊維を巻着し、これにポリエステル樹脂を含浸硬化さ
せて一体となしたものである。このようになる樹脂複合
管は、硬質塩化ビニル管により耐酸、耐アルカリ性に優
れ、また外層のガラス繊維強化ポリエステル樹脂層、い
わゆるFRP層により機械的強度及び耐熱性にも優れて
いるといった利点を有している。
【0004】一方、後者は、耐熱塩化ビニル管、耐衝撃
性塩化ビニル管を含む硬質塩化ビニル管の外周面に、ポ
リエステル樹脂又はエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を含
浸したガラス繊維を巻き付けて繊維強化熱硬化樹脂(F
RP)層を形成し、さらにその上にポリ塩化ビニル管接
続用接着剤等のような一液性接着剤により接着可能な樹
脂層を設けてなるものである。このようになる樹脂複合
管は、内部の硬質塩化ビニル管により耐酸、耐アルカリ
性に優れ、またFRP層により機械的強度及び耐熱性に
優れ、さらに最外層に設けられた接着可能な樹脂層によ
り、配管接続時にネジ切やテーパリングあるいはオーバ
ーラップ等の面倒な接続付帯作業を行うことなく、通常
の塩化ビニル管接続用の速乾性一液接着剤を用いて接続
作業を行うことができるなど配管作業性にも優れている
といった利点を有している。
【0005】しかしながら、上記の樹脂複合管にあって
は、いずれも芯材である硬質塩化ビニル管の外周面にF
RP層が直接形成され、両者はFRP層における熱硬化
性樹脂の接着力によって一体化されているものである
が、その接着力には限度があり両者の密着性が低いた
め、次のような問題があった。
【0006】すなわち、芯材の硬質塩化ビニル管と、外
層のFRPとでは線膨張係数が大きく異なる(硬質塩化
ビニル管は約7×10-5/℃であるのに対し、FRPは
約2〜3×10-5/℃)ことから、硬質塩化ビニル管の
伸縮力によって容易に両者間に層間剥離が生じ、このた
めFRP層の補強効果が失われることとなり、硬質塩化
ビニル管が管内圧力及び温度の上昇により割れてしまっ
たり、あるいは管内温度の上昇に伴って負圧が大になる
と硬質塩化ビニル管が偏平してしまうといった問題があ
った。そしてこのような硬質塩化ビニル管の割れや偏平
の発生によって、外荷重に対する強度の低下を招くとい
った問題があった。
【0007】また、このような問題を解消すべく、上記
の樹脂複合管では、硬質塩化ビニル管の表面にサンディ
ング処理等を施して該表面を粗面にすることにより硬質
塩化ビニル管とFRP層との間の接着力の向上を図って
いるが、サンディング処理は作業工程が多くて面倒であ
り、しかも硬質塩化ビニル管の粉末が大量に発生するた
め、作業環境が非常に悪くなるといった問題があった。
【0008】そこでこのような問題を解消すべく、本発
明の出願人は先に実開平2−88740号公報におい
て、サンディング処理を不要とし、しかも芯材である熱
可塑性樹脂管及び管継手と外層の繊維強化熱硬化性樹脂
との接着力が大きく、特に、耐圧性、耐熱性、耐衝撃性
等に優れた樹脂複合管及び樹脂複合管継手を提供してい
る。
【0009】この樹脂複合管及び樹脂複合管継手は、熱
可塑性樹脂製の芯材の外周面に、不飽和ポリエステル樹
脂とイソシアネート化合物とを含む化合物をガラス繊維
に含浸させてなる繊維強化熱硬化性樹脂層が形成された
ものである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところが、出願人が提
供した上記樹脂複合管にあっても、例えば高圧下で管内
温度が大きく変化する(例えば−10℃〜90℃)とい
ったことが繰り返された場合、その影響で割れが発生し
たり、芯材と繊維強化熱硬化性樹脂層との界面で層間剥
離現象が発生したりすることがあった。
【0011】このようなことから、本発明は、さらに苛
酷な条件下でも耐えうるよう、 23℃における芯材と繊維強化熱硬化性樹脂層間の引
張剪断接着強度の初期値が120kgf/cm2 以上、 90℃で1000時間といった長期高温処理後におけ
る23℃での引張剪断接着強度が100kgf/cm2 以上、 95℃で2時間、続いて−10℃で2時間、再び95
℃で2時間といった冷熱繰り返しを100回行った後の
23℃での引張剪断接着強度が100kgf/cm2 以上、と
いった非常に高い性能をもつ樹脂複合管及び樹脂複合管
継手を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明に係る樹脂複合管及び樹脂複合管継手は、熱
可塑性樹脂管又は熱可塑性管継手を芯材とし、この芯材
の外周面に接着剤層を介して繊維強化熱硬化性樹脂層が
形成されたものであって、前記接着剤層は、ポリオール
と、トリレンジイソシアネート系(以下、TDI系と略
記する)及びヘキサメチレンジイソシアネート系(以
下、HDI系と略記する)の2種のポリイソシアネート
を配合してなるポリイソシアネート組成物とを含み、こ
れらポリオールとポリイソシアネート組成物との配合比
率が、ポリオール100重量部に対してポリイソシアネ
ート組成物10〜80重量部とされ、且つ、ポリイソシ
アネート組成物における前記TDI系とHDI系の両ポ
リイソシアネートの配合比率が、TDI系10重量部に
対してHDI系1〜10重量部とされたものとした。
【0013】
【作用】接着剤層に、上記した配合比率のTDI系及び
HDI系の2種のポリイソシアネートからなるポリイソ
シアネート組成物を用いたことにより、芯材と繊維強化
熱硬化性樹脂層との密着性が高められるとともに長期耐
熱性が向上することが実験で確かめられた。そのメカニ
ズムは現在のところ判明していないが、ポリイソシアネ
ート組成物を構成する一方のTDI系ポリイソシアネー
トが上記密着性の向上に寄与し、他方のHDI系のポリ
イソシアネートが長期耐熱性の向上に寄与していると考
えられる。
【0014】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面を参照して説
明する。
【0015】図1は本発明に係る樹脂複合管の層構成を
示す斜視図である。
【0016】この樹脂複合管は、熱可塑性樹脂管1を芯
材とし、この芯材の外周面に、接着剤層2を介して繊維
強化熱硬化性樹脂層3が形成されたものである。
【0017】上記熱可塑性樹脂管1としては、例えばポ
リ塩化ビニル樹脂、塩素化ポリ塩化ビニル樹脂等の塩化
ビニル樹脂や、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリカ
ーボネート樹脂等から成形されたものが好ましい。ま
た、これら樹脂に安定剤や可塑剤等を配合した樹脂組成
物から成形されたものであってもよい。
【0018】なお、この熱可塑性樹脂管1に予め熱処理
等を施して残留応力を除去しておいてもよく、そうすれ
ば熱可塑性樹脂管1を外部応力のみ吸収できる状態とす
ることができ、樹脂複合管としての強度を一層高めるこ
とができる。
【0019】前記繊維強化熱硬化性樹脂層3は、補強用
の繊維に熱硬化性樹脂を含浸させたものである。この繊
維としては、例えばロービングクロス、ガラスクロス、
チョップドストランドマット、ロービングストランド、
フィラメントマット等のガラス繊維をはじめ、炭素繊維
やアラミド繊維等が好適に用いられる。
【0020】また、上記熱硬化性樹脂としては、例えば
不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹
脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、シリコ
ン樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。
【0021】前記接着剤層2を形成する接着剤は、ポリ
オールと、TDI系及びHDI系の2種のポリイソシア
ネートを配合してなるポリイソシアネート組成物とを含
むものである。
【0022】これらポリオールとポリイソシアネート組
成物との配合比率は、ポリオール100重量部に対して
ポリイソシアネート組成物10〜80重量部とされる。
【0023】また、上記ポリイソシアネート組成物にお
けるTDI系とHDI系の両ポリイソシアネートの配合
比率は、TDI系10重量部に対してHDI系1〜10
重量部とされる。
【0024】本発明において用いられるポリオールとし
ては、例えばポリエステルポリオール、アクリルポリオ
ール、エポキシ変性ポリオール等が挙げられる。
【0025】次に、上記のようになる樹脂複合管の製造
方法について説明する。
【0026】まず、芯材となる熱可塑性樹脂管1を例え
ば80℃で30分間アニールしてから、外周面に付着し
ている汚れ等を例えばアセトン等の溶剤を用いて払拭す
る。
【0027】次に、適宜の溶剤で希釈した前記接着剤を
熱可塑性樹脂管1の外周面に塗布する。ここで、上記溶
剤としては、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、メチレン
クロライド、トルエン等が好適に用いられる。
【0028】続いて、上記接着剤2の指触乾燥後、図2
に示すように繊維強化熱硬化性樹脂層3を形成する。す
なわち、熱硬化性樹脂液32の入った含浸槽4内に、補
強用繊維31を浸漬通過させてこれに該樹脂液32を含
浸させ、この補強用繊維31を熱可塑性樹脂管1に巻回
する。
【0029】そして最後に加熱処理を行って補強用繊維
31に含浸された熱硬化性樹脂を硬化させ、全工程を終
了する。
【0030】なお、図2中、符号5…は、補強用繊維3
1を案内するガイドローラを、また符号6…は、管を回
転自在に支持する支持ローラをそれぞれ示している。
【0031】繊維強化熱硬化性樹脂層3を形成する方法
は上記したようなフィラメントワインディング法以外
に、例えばハンドレイアップ法、スプレーアップ法等で
あってもよい。
【0032】次に、本発明に係る樹脂複合管継手につい
て説明する。
【0033】図3乃至図5は本発明の樹脂複合管継手の
各実施例を示し、図3はチーズ継手を、図4はエルボ継
手を、図5はソケット継手をそれぞれ示している。な
お、これらの図において、上述した樹脂複合管と同一構
成要素には同一符号を付している。
【0034】これら各管継手は、芯材である熱可塑性樹
脂管継手11が各種管継手の形状に成形されている点を
除き、その他の構成及び製造方法は前記樹脂複合管の場
合と同じであるので、その説明は省略する。
【0035】なお、継手の形状は図示例のものに限らず
種々の形状とされる。
【0036】次に、本発明に係る樹脂複合管が前記〜
に掲げた要求性能を満足するものであるか否かについ
て試験を行ったところ、表1に示すように、実施例1〜
3のいずれも満足するものであるとの結果を得た。
【0037】またこれと比較するため、接着剤層に、ポ
リオールと、TDI系又はHDI系のいずれか1種のポ
リイソシアネートとを含むものを用いたもの(比較例1
〜3)についても同様の試験を行った。その結果も併せ
て表1に示す。
【0038】なお、上記各試験において測定に供した試
験片は、図6に示すような形状のものとした。この図に
おいて、符号1は芯材(熱可塑性樹脂)を、2は接着剤
層を、3は繊維強化熱硬化性樹脂層をそれぞれ示す。
【0039】
【表1】
【0040】
【発明の効果】表1からも明らかなように、本発明の樹
脂複合管及び樹脂複合管継手は、芯材と繊維強化熱硬化
性樹脂層との密着性が非常に高く、特に長期間高熱に晒
されても、また高圧下で管内温度が大きく変化するとい
ったことが繰り返されても、割れが発生したり、芯材と
繊維強化熱硬化性樹脂層との界面で層間剥離現象が発生
するといったことがない。
【0041】また、本発明における接着剤は熱可塑性樹
脂に対する付着力が強いことから、従来必要とされてい
た接着剤塗布前の芯材に対するサンディング処理を省く
ことができる。したがって、その分製造工程を少なくす
ることができ、コストダウンを図ることができるといっ
た効果を奏する。
【0042】さらに、詳細な理由は不明であるが、配管
接続時に管端部に切り込みを付与し、加熱処理をするこ
とにより、該部の繊維強化熱硬化性樹脂層を芯材から極
めて容易に剥離することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る樹脂複合管の層構成を示す概略斜
視図である。
【図2】本発明に係る樹脂複合管の製造方法の一例を示
す概略斜視図である。
【図3】本発明に係る樹脂複合管継手の一実施例を示す
一部切欠斜視図である。
【図4】本発明に係る樹脂複合管継手の他の実施例を示
す一部切欠斜視図である。
【図5】本発明に係る樹脂複合管継手のさらに他の実施
例を示す一部切欠斜視図である。
【図6】各種性能試験に供する試験片を示し、(a)は
平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
【符号の説明】
1 熱可塑性樹脂管 2 接着剤層 3 繊維強化熱硬化性樹脂層 11 熱可塑性樹脂管継手

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂管を芯材とし、この芯材の
    外周面に接着剤層を介して繊維強化熱硬化性樹脂層が形
    成されたものであって、前記接着剤層は、ポリオール
    と、トリレンジイソシアネート系及びヘキサメチレンジ
    イソシアネート系の2種のポリイソシアネートを配合し
    てなるポリイソシアネート組成物とを含み、これらポリ
    オールとポリイソシアネート組成物との配合比率が、ポ
    リオール100重量部に対してポリイソシアネート組成
    物10〜80重量部とされ、且つ、ポリイソシアネート
    組成物における前記トリレンジイソシアネート系とヘキ
    サメチレンジイソシアネート系の両ポリイソシアネート
    の配合比率が、トリレンジイソシアネート系10重量部
    に対してヘキサメチレンジイソシアネート系1〜10重
    量部とされたものであることを特徴とする樹脂複合管。
  2. 【請求項2】 熱可塑性樹脂管継手を芯材とし、この芯
    材の外周面に接着剤層を介して繊維強化熱硬化性樹脂層
    が形成されたものであって、前記接着剤層は、ポリオー
    ルと、トリレンジイソシアネート系及びヘキサメチレン
    ジイソシアネート系の2種のポリイソシアネートを配合
    してなるポリイソシアネート組成物とを含み、これらポ
    リオールとポリイソシアネート組成物との配合比率が、
    ポリオール100重量部に対してポリイソシアネート組
    成物10〜80重量部とされ、且つ、ポリイソシアネー
    ト組成物における前記トリレンジイソシアネート系とヘ
    キサメチレンジイソシアネート系の両ポリイソシアネー
    トの配合比率が、トリレンジイソシアネート系10重量
    部に対してヘキサメチレンジイソシアネート系1〜10
    重量部とされたものであることを特徴とする樹脂複合管
    継手。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6720546B1 (en) 1999-09-27 2004-04-13 Heidelberger Druckmaschinen Ag Method and device for detecting a true product jam in a folder
JP2021030725A (ja) * 2019-08-19 2021-03-01 積水化学工業株式会社 多層管

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US6720546B1 (en) 1999-09-27 2004-04-13 Heidelberger Druckmaschinen Ag Method and device for detecting a true product jam in a folder
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