JPH0525573Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本案は角形棒体の先端面の上下両端より幅中央
部に向つてＶ字形に凹設し、そのＶ字形と同形に
した短尺のラインガイドを、角形棒体片面の先端
部凹設面に稍突出せしめて取着し、又棒体他面に
設けた蟻形溝と、蟻形溝の前端部下面の摺動溝内
に角形ナツトと切断刃と止螺子との連結体を嵌入
するに際し、上面に被覆板を嵌着し、被覆板の摺
動孔上に止螺子を露出し、止螺子を移動すること
により連結体を摺動して切断刃の先端部を調節す
ると共に、止螺子を螺脱して切断刃を左向又は右
向に転換できるようにした。等間隔の縫代を設け
る左右両端兼用型紙裁断具に関するものである。

各種衣料の縫製において、男性用、女性用の別
なく、先ず出来上り寸法によりそれぞれ各部分に
分割した原型を作り、その原型を基準として縫製
素材に、原型に一定寸法の縫代を含めた型紙によ
り裁断している。この型紙を作る場合、原型を用
紙上に置き、その左側縁と右側縁、又は上側縁と
下側縁とに同じ寸法の縫代を同じ向の切断刃付の
裁断具では裁断することができなかつた。

本案は１個の裁断具において、切断刃の向を変
えることができ、原型の左右両側の裁断に裁断具
を変えることなく型紙を裁断できるようにしたも
のである。

（従来の技術） 従来行なわれていた型紙の裁断方法は、原型を
用紙上に置き、その外周縁に縫代に相当する一定
間隔の印をつけてゆき、この印と印との間を線で
結んで等間隔の縫代を設けた用紙を鋏で裁断して
型紙としたものである。この方法によると原型の
外周縁が直線である場合は型紙もその原型に合せ
た縫代を得ることができる。然し原型に大小の弯
曲がある場合、その弯曲に対し縫代間隔を細かく
印をつけ線で結び裁断しても物差しのあて方によ
り誤差を生じ、原型と同様の弯曲を型紙に取るこ
とは難しく技術を要する作業であつた。従つて縫
代の不均等の型紙となり製品に影響するものであ
つた。

本案は角形棒体先端のラインガイドと切断刃と
の間を縫代間隔とし、然も切断刃は左向又は右向
きとすることができ、ラインガイドを原型の左
側、右側を問わずその側縁に沿つて摺動すれば、
切断刃は直線又は弯曲に用紙を自在に裁断して原
型に縫代をつけた型紙を得ることができるもので
ある。

（考案が解決しようとする問題点） 原型の左側縁と右側縁、又は上側縁と下側縁と
に一定寸法の縫代をつけた型紙を裁断するには、
切断刃が左向と右向との向の違つた２個の裁断具
を用意しなければならない。然し複数の裁断具を
１枚の原型に各別に使用する場合、往々にして縫
代の寸法に誤差を生じ仕上品に影響するものであ
る。又裁断具はラインガイドと切断刃との間隔を
厳密にしておかなければならないが、裁断具を複
数個使用の場合、各別に使用するための技術が必
要となるが、本案は１個の裁断具の切断刃の向を
変えるだけで縫代の寸法に変化なく左右の裁断を
兼用することができるものである。

（問題を解決するための手段） 本案は１個の棒体先端部に取付けた切断刃の向
を左向、又は右向に変えることにより左右両側兼
用して使用できるようにしたものである。これが
ため棒体先端面を左右兼用となるようにしておか
なければならない。即ち棒体の先端面を上下両端
より幅中央部に向つて切断刃と同角度に凹設して
Ｖ字形の前端面とする。その前端面の片面に、前
端面と同形にしたＶ字形のラインガイドを稍突出
させて取着し、他面に先端部がラインガイドより
も僅かに突出するようにして切断刃を締着するよ
うにしている。切断刃は多数の型紙を裁断してい
ると切れ味が低下して裁断力がなくなる。この場
合、被覆板上の摺動孔上に露出せる止螺子を弛緩
して前方に摺動すれば連結体となつている角形ナ
ツトと切断刃とが連動して切断刃の前端部が棒体
前面に必要以上に露出するから切断刃上に設けた
切取線から不用部分を切り取れば切れ味の更新が
できて再使用がでるものである。そして左向のも
のを右向にしても何等切れ味に変わりがない。

（作用） 本案は原型の左側縁に縫代を付けて型紙を裁断
する場合は、原型の左側縁にラインガイドを接触
させて裁断すれば左側縁に一定寸法の縫代を設け
た型紙を得ることができ、又原型の右側縁に同様
の縫代を付けて裁断する場合は、棒体の向を上下
反対にして用いる。内側縁および下側縁において
も同様にすれば縫代の寸法を一定させることがで
きる。そして切断刃を不使用の場合は被覆板上の
止螺子を弛緩して後方に摺動すれば、連結体とな
つている角形ナツトおよび切断刃は止螺子と共に
連動して摺動溝内を後方に摺動して切断刃を棒体
内に収納でき、刃先を保護することができる。

（実施例） 合成樹脂にて形成せる一定の長さの角形棒体１
の前端面の上下両端２，３より幅中央部４に向つ
て同角度に切削してＶ字形の端面５としそのＶ字
形端面５と同角度にした、端面６の短尺のライン
ガイド７を、棒体１の片面の先端部の凹設面８に
端面６を稍突出せしめて取着し、又棒体１の他面
に蟻形溝９と、蟻形溝９の前端部下面に摺動溝１
０とを設け、その摺動溝１０内に角形ナツト１１
を嵌入し、角形ナツト１１上に切断刃１２を載置
し、蟻形溝９内に被覆板１３を嵌着した後、被覆
板１３の前端部に設けた摺動孔１４より止螺子１
５の螺軸を切断刃１２と角形ナツト１１との螺子
孔に挿通螺合して連結し、止螺子１５を前後に摺
動することにより切断刃１２を前後に移動せし
め、又止螺子１５を螺脱して切断刃１２の向を変
えて螺合することにより左右両側縁の裁断を兼用
できるようにしたものであつて、図中、１６は被
覆板用螺子、１７はラインガイド用螺子、１８，
１９は螺子孔、２０，２１は螺子孔、２２は切断
線、２３は原型、２４は裁断線、２５は縫代であ
る。

本案は叙上のごとき構成によりなるものであつ
て、棒体１の前端面を切断刃１２の裁断時の邪魔
にならないよう幅中央部４に向つて上下両端２，
３よりＶ字形に切削して端面５としたものであ
る。これがため切断刃１２を左向又は右向にして
も障害なく使用できる。又角形ナツト１１は摺動
溝１０内に嵌入し、止螺子１５と連着して摺動溝
１０内を円滑に摺動し切断刃１２を前後に移動さ
せるものである。

又ラインガイド７の端面６も棒体１の端面５と
同角度のＶ字形とし、稍突出させて原型に接触し
裁断し易くしたものである。

（考案の効果） 本案は従来原型２３の左側縁に縫代２５をつけ
た型紙を裁断するのに、左側縁用の裁断具を用い
右側縁に縫代２５をつけた型紙を裁断するのに右
側縁用の裁断具を用いていたのを、１個の裁断具
に取付けた切断刃１２を左向、又は右向に変える
だけで左側縁用、又は右側縁用となるものであ
る。又その操作についても止螺子１５を螺脱して
切断刃１２の向を変えて螺締するだけであるから
極めて容易である。そして切断刃１２を左向、又
は右向として使用しても、棒体１の前端面の上下
両端２，３より幅中央部４に向つて同角度に切削
してＶ字形端面５としているから、ラインガイド
７を原型２３に接触誘導する際、又はその誘導に
より切断刃１２が用紙を裁断する際など、前端面
が接触して裁断操作を妨害することがない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本案の正面図、第２図は背面図、第３
図は一部切截し内部の構造を表わした平面図、第
４図は棒体と切断刃と被覆板とを分離した背面
図、第５図は左側面図、第６図は第２図Ａ−Ａ線
における切断面図、第７図は棒体と切断刃と被覆
板とを分離した斜面図、第８図および第９図は使
用状態を示す斜視図である。 図中、１……角形棒体、２……上端、３……下
端、４……幅中央部、５……Ｖ字形端面、６……
端面、７……ラインガイド、８……凹設面、９…
…蟻形溝、１０……摺動溝、１１……角形ナツ
ト、１２……切断刃、１３……被覆板、１４……
摺動孔、１５……止螺子。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 合成樹脂にて形成せる一定の長さの角形棒体１
   の前端面の上下両端２，３より幅中央部４に向つ
   て同角度に切削してＶ字形の端面５としそのＶ字
   形端面５と同角度にした、端面６の短尺のライン
   ガイド７を、棒体１の片面の先端部の凹設面８に
   端面６を稍突出せしめて取着し、又棒体１の他面
   に蟻形溝９と、蟻形溝９の前端部下面に摺動溝１
   ０とを設け、その摺動溝１０内に角形ナツト１１
   を嵌入し、角形ナツト１１上に切断刃１２を載置
   し、蟻形溝９内に被覆板１３を嵌着した後、被覆
   板１３の前端部に設けた摺動孔１４より止螺子１
   ５の螺軸を切断刃１２と角形ナツト１１との螺子
   孔に挿通螺合して連結し、止螺子１５を前後に摺
   動することにより切断刃１２を前後に移動せし
   め、又止螺子１５を螺脱して切断刃１２の向を変
   えることにより左右両側の裁断を兼用することが
   できる、等間隔の縫代を設ける左右両側兼用型紙
   裁断具。