JPH05240987A - 原子炉格納容器及びその構造壁製作方法 - Google Patents

原子炉格納容器及びその構造壁製作方法

Info

Publication number
JPH05240987A
JPH05240987A JP4043494A JP4349492A JPH05240987A JP H05240987 A JPH05240987 A JP H05240987A JP 4043494 A JP4043494 A JP 4043494A JP 4349492 A JP4349492 A JP 4349492A JP H05240987 A JPH05240987 A JP H05240987A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pool
containment vessel
pressure
reactor
vent pipe
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP4043494A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshiyuki Kataoka
良之 片岡
Kazuhide Takamori
和英 高森
Tadashi Fujii
正 藤井
Hidefumi Araki
秀文 荒木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Ltd filed Critical Hitachi Ltd
Priority to JP4043494A priority Critical patent/JPH05240987A/ja
Publication of JPH05240987A publication Critical patent/JPH05240987A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E30/00Energy generation of nuclear origin
    • Y02E30/30Nuclear fission reactors

Landscapes

  • Structure Of Emergency Protection For Nuclear Reactors (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】原子炉格納容器において、外周プールによる格
納容器冷却系の圧力抑制プール内の蓄熱能力を向上し、
外周プールへの放熱特性を向上する。 【構成】圧力抑制プール6中に設置した対流促進板10
に、ベント管5に対面する面でベント管出口20の高さ
に、対流促進板下端を回る循環流による上昇流を堰き止
めて流れ方向を水平方向に変える張出し40を設置す
る。この張出し40によって、循環流による上昇流はベ
ント管出口20より上方の高温水の対流中に侵入するこ
とが無くなり、上昇流による対流促進板10の内側領域
の温度成層界面の押し上げを防止できる。これにより、
対流促進板10の内外領域の水温の違いの基づく静水頭
バランスで与えられる循環流に対する駆動力を大きくし
て、循環流を増大し、圧力抑制プール内の蓄熱能力を増
大させるとともに、外周プールへの放熱特性を向上させ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は原子炉に係り、特に、原
子炉の安全設計で想定することになっている冷却材喪失
時に、原子炉から放出される熱エネルギーをポンプなど
の動的な機器を使用せづに長期にわたり格納容器外に除
去し、格納容器内圧力の上昇を抑制するに好適な原子炉
格納容器及びその構造壁製作方法に関する。
【0002】
【従来の技術】原子炉の安全設計では冷却材喪失を想定
し、原子炉格納容器の過大な圧力上昇を抑え原子炉格納
容器の健全性を確保することが設計条件となっている。
冷却材喪失時の圧力抑制機能を有する原子炉格納容器に
あって、格納容器外周部に冷却水プール(以下、外周プ
ールと呼ぶ)を備えた自然放熱型格納容器は、格納容器
内部の圧力抑制室から格納容器壁を介して外周プールへ
対流熱伝達や熱伝導といった自然現象のみを利用して熱
を伝え、格納容器を冷却し、格納容器の圧力上昇を抑制
する。
【0003】この自然放熱型格納容器格納容器の放熱特
性を向上させる手法としては、格納容器からの放熱源で
ある圧力抑制室で高温となる領域を拡大して外周プール
への放熱面積を増加させることがある。放熱面積を拡大
するために、原子炉圧力容器を包むドライウエルと圧力
抑制室内の圧力抑制プールを結ぶベント管水深を深くし
た場合、冷却材喪失時初期に蒸気とともに流入する不凝
縮性気体によってプール水面が盛り上がる現象がより厳
しくなり、構造材強度の増大が必要であり、好ましくな
い。ベント管水深を深くすることなしに放熱面積を拡大
する従来技術として、特開平2−297097号公報及
び特開平3−163397号公報に記載のように、圧力
抑制プール内に対流促進板を設置することで、従来低温
のままであった圧力抑制プール下部領域においてプール
水の循環を促進し、該領域を高温とする方法がある。
【0004】また、従来過渡時に作動し、原子炉圧力容
器の蒸気を熱交換器に導き凝縮させて該原子炉容器の圧
力上昇を抑える隔離時凝縮器を、冷却材喪失時にも作動
させて格納容器の圧力上昇を抑制するシステムとして
は、「第1回JSME/ASME原子力技術国際会議」
(ICONE−1)で発表されたものがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記の圧力抑制プール
で高温となる領域を拡大する従来技術の対流促進板で
は、対流促進板の内側(ベント管側)と外側(格納容器
壁側)の温度分布の違いに基づく静水頭バランスから、
上方の高温水をベント管出口よりも下側に導き、従来低
温であったベント管出口より下側の領域を高温とするも
のである。このとき、対流促進板の内側領域でベント管
出口より上方の領域は、ベント管から冷却材喪失時に流
入する蒸気により加熱され他の領域よりも高温になり、
下側の相対的に低温な領域との境界である温度成層界面
がベント管出口高さに形成されるとしている。しかし、
対流促進板の作用によって促進板の外側領域を下降し、
促進板の下端を回って内側領域に流入する高温水の流動
による影響については考慮されていない。
【0006】すなわち、対流促進板の下端を回る流れ
は、その一部が下側領域と混合し、主流は促進板に沿っ
て上昇する。この主流である促進板に沿った上昇流は、
ベント管出口高さで形成されるとしていた上方の高温領
域と下方の相対的に低温な領域を区分する温度成層界面
を押し上げる。対流促進板の外側領域から内側領域への
圧力抑制プール水の循環は、対流促進板に沿った領域の
水温分布に基づく静水頭バランスで定まる。対流促進板
の下端を回る流れによる影響としては、上述のように対
流促進板の内側に沿った領域でベント管出口高さ近傍で
温度成層化界面を押し上げるため、対流促進板の内側領
域の高さ方向において相対的に低温な領域が拡大し該領
域の静水頭が増加する。この結果、対流促進板を回る循
環流の駆動力が減少し、ひいては循環流量が減少してベ
ント管出口より下側の領域を高温にするという対流促進
板の効果を低下させる。
【0007】以上のように、特開平2−297097公
報及び特開平3−163397公報に記載されている従
来技術では、対流促進板に起因する流れによって高温領
域の拡大に対する効果を低下させるため、所定の効果を
達成するためには対流促進板の高さを高くベント管水深
を深くしなければならないという問題があった。
【0008】本発明の第1の目的は、対流促進板に起因
する圧力抑制プール内の循環による対流促進板の内側領
域での温度成層界面の押し上げを回避し、高温領域の拡
大による放熱特性向上を行うに好適な原子炉格納容器を
提供するにある。
【0009】また、特開平3−163397公報に記載
されている従来技術では、対流促進板を大型の格納容器
に適用する手段として、上部の重量物を支えるコンクリ
ート製の構造壁を圧力抑制プール内に設置し、該構造壁
の上下に局所的に流路孔を設けて対流促進板としても兼
用するが、その場合でも上記と同じ問題があるととも
に、コンクリート製構造壁の製作に型枠の取付け及び取
外しといったコンクリート製であることに起因する作業
に時間を要するという問題があった。
【0010】本発明の第2の目的は、構造壁と対流促進
板を兼用する場合においても、対流促進板の内側領域の
温度成層界面の押し上げを回避し、高温領域の拡大によ
る放熱特性向上を行うのに好適な原子炉格納容器を提供
するにある。
【0011】本発明の第3の目的は、構造壁と対流促進
板を兼用する場合においても、対流促進板の内側領域の
温度成層界面の押し上げを回避し、さらにその構造壁を
短時間で設置するのに好適な原子炉格納容器及びその構
造壁製作方法を提供することにある。
【0012】さらに、隔離時凝縮器を冷却材喪失時にも
作動させて、格納容器の圧力抑制を行う従来技術では、
制御性、格納容器の耐震性、及び原子炉圧力容器内の炉
心の冷却に失敗するという確率的には極めて低い事象が
発生することを想定した対応設備に対する熱負荷の観点
から、以下の問題があった。
【0013】隔離時凝縮器は本来過渡時に原子炉圧力容
器を隔離する場合に作動するもので、高温高圧の蒸気を
凝縮させるという作動環境にあるものであり、冷却水プ
ールとの温度差及び凝縮熱伝達率が大きいため、設備と
して必要な伝熱面積は小さい。一方、冷却材喪失時に
は、原子炉圧力容器の圧力が低下し相対的に低温であり
かつドライウエルにあった不凝縮性気体とともに流動す
る蒸気を凝縮する作動環境となり、冷却水プールとの温
度差及び凝縮熱伝達率が低下する。この結果、目的とす
る機能を達成ためには、設備の伝熱面積を数倍以上に大
きくする必要があるとともに、冷却材喪失時に凝縮器内
に流入した不凝縮性気体を圧力抑制室に排出する系統が
必要とされている。
【0014】このように同一設備を隔離時と冷却材喪失
時に使用するためには、伝熱面積を大きくした設備とし
ておく必要があり、隔離時に作動した場合原子炉圧力容
器の過度な冷却が起こり容器に熱応力が発生しないよう
に、作動する凝縮器を限定作動及び冷却材喪失時に不凝
縮性気体の排出系統の作動等の制御が必要である。
【0015】また、格納容器の圧力抑制は長期間に渡っ
て行う必要があり、伝熱面積を大きくすること、すなわ
ち凝縮器の大型化とあいまって、大規模な冷却水プール
が必要になる。隔離時凝縮器は、凝縮した水を再び原子
炉圧力容器に戻してやる必要があることから、凝縮器及
びそれに付随する冷却水プールを原子炉圧力容器よりも
上方に設置するする必要がある。これは、格納容器の上
部に冷却水プールという重量物を追加設備することにな
り、結果として重心が高く格納容器の耐震上好ましくな
い。
【0016】さらに、炉心冷却に失敗するという事象を
想定した対応設備としては、格納容器が圧力過大となる
ことを防止するため、圧力抑制室の気相空間(以下ウェ
ットウエルと呼ぶ)からガスを抜きフィルターを通して
放出するフィルターベントがあるが、隔離時凝縮器を冷
却材喪失時に作動させる従来技術では、外周プールのよ
うな圧力抑制室を冷却する手段が無い。フィルターベン
トが作動する事象では、原子炉の運転中に炉心で発生し
た核分裂生成物が、圧力抑制室に流入し崩壊熱を放出す
る。従来技術では、圧力抑制室で発生する崩壊熱を冷却
する手段が無いため、フィルターベントに高温状態のガ
スが流入することになり、フィルター等にかかる負担が
大きくなり好ましくない。
【0017】本発明の第4の目的は、隔離時凝縮器を冷
却材喪失時にも作動させて格納容器の圧力制御を行うと
ともに、制御性、耐震性を向上させるのに好適な原子炉
格納容器を提供することにある。
【0018】本発明の第5の目的は、隔離時凝縮器を冷
却材喪失時にも作動させて格納容器の圧力制御を行うと
ともに、炉心冷却失敗事象の対応設備への熱負荷を軽減
するのに好適な原子炉格納容器を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記第1及び第2の目的
を達成するために、本発明の第1の概念では、原子炉格
納容器において、圧力抑制プール中に設置する対流促進
板のベント管出口と対面する側でベント管出口の高さ
に、対流促進板に沿って上昇する流れを堰き止める張出
し手段を設ける。このことは、構造壁と対流促進板を兼
用するタイプにおいても同様である。なお、対流促進板
に新たに設置する張出し手段の材質は、機能に影響しな
い。
【0020】また、上記第3の目的を達成するために、
本発明の第2の概念では、構造壁と対流促進板を兼用す
る上記第1の概念による原子炉格納容器において、構造
壁の製作を以下の方法とする。すなわち、構造壁の基本
骨組みをH型鋼などの鉄骨で形成し、その両表面に完成
後にコンクリート構造物のライニング材となる鋼製平板
を溶接し、かつ片方の表面に鋼製の張出しを溶接した
後、該鉄骨及び鋼製平板で型組された空間に無筋コンク
リートを流し込む。
【0021】さらに、上記第4の目的を達成するため
に、本発明の第3の概念では、上記第1及び第2の概念
による原子炉格納容器において、冷却水プール中に位置
する複数の伝熱管で構成され、原子炉隔離時に必要な冷
却能力を有する熱交換器(隔離時凝縮器)を設置し、こ
の熱交換器をそのまま冷却材喪失時にも原子炉容器水位
低等冷却材喪失事象発生を示す信号で作動させる。
【0022】また、上記第5の目的を達成するため、本
発明の第4の概念では、上記第1〜第3の概念による原
子炉格納容器において、圧力抑制プールの上部の気相空
間から放射性物質を吸着するフィルターを有する排気設
備に接続できる取り出し部を設置する。
【0023】
【作用】本発明の第1の概念による原子炉格納容器にお
いて、対流促進板の内側面のベント管出口高さに張出し
手段を設置することにより、対流促進板が機能して、該
対流促進板の下端を回って流入する循環流は、促進板に
沿って上昇するが、設置された張出し手段に堰き止めら
れる。張出し手段で堰き止められた循環流は、張出し手
段に沿って横方向に流れの向きを変える。このため、下
側からの相対的に低温な循環流はベント管出口より上方
には上昇しない。一方、対流促進板の内側でベント管出
口より上方の領域では、ベント管出口近傍の蒸気凝縮に
より発生する浮力を駆動力としてベント管出口高さを下
端とした対流が起きているため、一様に高温となる。ベ
ント管出口より上方は密度の小さい高温水、下方は相対
的に密度の大きい低温水であり、横向きの流れによって
は温度成層界面は上方へ押し上げられることは無い。す
なわち、対流促進板が機能して対流促進板の下端を回る
対流が発生しても、上方の高温領域と下方の相対的に低
温な領域を区画する温度成層界面は、ベント管出口高さ
に維持される。このとき、対流促進板の内側面に設置す
る張出し手段の寸法を、対流促進板に沿って上昇する対
流によって形成される温度境界層以上の幅としておけ
ば、上昇する対流は張出し手段によって必ず流れ方向を
横方向に変えられるため、上記の動作が確実に起こる。
【0024】また、上部の重量物を支えるコンクリート
製の構造壁を圧力抑制プール内に設置し、該構造壁の上
下に局所的に流路孔を設けて対流促進板として兼用する
タイプにおいて、該対流促進板の内側面でベント管出口
高さに張出し手段を設置することによる作用は、上記と
同じである。
【0025】本発明の第2の概念による原子炉格納容器
において、H型鋼等の鉄骨で基本骨組みを造り、その表
面にライニング材及び対流促進板における張出しを溶接
後、該ライニング材で区画形成された空間に無筋コンク
リートを注入することにより、コンクリート成型のため
の型枠とライニング材を共用することになるため、鉄筋
コンクリートで構造壁を製作後ライニング材を表面にと
める従来手段に比べ、型枠の設置及びコンクリート養生
後の型枠の取外しが不要となり、工期の短縮が可能であ
る。
【0026】本発明の第3の概念による原子炉格納容器
が採用した上記構成の作用は以下のようである。本発明
の第3の概念により設置した隔離時凝縮器は、高温高圧
状態である隔離時を想定したものであり、隔離時に作動
する上で問題は無い。冷却材喪失時には、原子炉容器水
位低等の冷却材喪失を示す信号に同調して原子炉容器と
隔離時凝縮器を結ぶ配管に設けられた弁が開動作し、原
子炉容器で炉心崩壊熱で発生する蒸気を凝縮する。この
時、作動条件は相対的に低圧低温であるため、発生する
すべての蒸気は凝縮しきれず、凝縮されない残りの蒸気
がドライウエルに放出され、ベント管を通って圧力抑制
プールに流入凝縮される。圧力抑制プールでの凝縮によ
る加熱で生じた浮力により、圧力抑制プール内で対流が
形成される。さらに、上記本発明の第1の概念での作用
で述べたように、張出し手段を設けた対流促進板により
ベント管出口より下側の領域に至る対流の促進が効率よ
く行われる結果、圧力抑制プールの広範な領域の水温が
上昇する。相対的に高温となった圧力抑制プールと低温
の外周プールの温度差に基づき、鋼製の格納容器壁を介
して格納容器から外周プールに放熱が起こる。このプー
ル内の蓄熱及び外周プールへの放熱によって圧力抑制プ
ール表面温度の上昇が抑制され、圧力抑制プール表面温
度に対応した蒸気分圧の上昇が抑制される。最終的に
は、格納容器から外周プールへの放熱量が、時間ととも
に減少する炉心崩壊熱を上回るようになり、圧力抑制プ
ールの水温が低下を始め、不凝縮性気体分圧と蒸気分圧
の和となる格納容器圧力も低下し始める。この様にし
て、冷却材喪失時の格納容器の最高圧力を許容圧力以下
に抑制し、格納容器の健全性を確保することができる。
【0027】以上より、本発明の第3の概念では、冷却
材喪失事象発生の初期の原子炉容器圧力及び蒸気温度が
相対的に高い条件において、最も蒸気温度の高い原子炉
容器から蒸気を導き隔離時凝縮器を作動させることがで
き、圧力抑制プールへの蒸気流入量を低減することがで
きる。この結果、圧力抑制プールの水温上昇を抑制する
ことができるので、同一の格納容器形状及び外周プール
形状で対応できるプラント出力を増大できる。
【0028】また、該隔離時凝縮器を、冷却材喪失事象
発生を示す原子炉容器水位低等の信号に同調させて弁を
開き作動させることは、従来のプラントにおいて自動減
圧弁の制御に使用しているロジックと同じであり技術的
に問題無く、かつ弁開動作の隔離時の場合と同じ制御を
するため、複雑な制御系統の追加は不要である。
【0029】さらに、本発明の第3の概念では、従来技
術に示された、冷却材喪失時のみに作動し凝縮器内の不
凝縮性気体を排出する系統を設置しないので、格納容器
を貫通する配管が少なくシステムを構成する機器数が少
ないとともに、凝縮器の伝熱面積が小さいので該凝縮器
用の冷却水プールも小型でよい。長期にわたる格納容器
冷却に使用する冷却水は、原子炉容器を環状に取り囲む
圧力抑制プールの外側の外周プールに配置されるので、
原子炉建家の上部の冷却水プールが小型化することと相
乗して、建家の重心が低くなり耐震性が向上する。
【0030】本発明の第4の概念による原子炉格納容器
が採用した上記構成の作用は以下のようである。冷却材
喪失時の炉心冷却に失敗するという事象を想定した場
合、圧力抑制プールに流入した核分裂性生成物からの発
熱は、格納容器壁を介しての外周プールへの放熱により
冷却される。この結果、圧力抑制プールの上部にある気
相空間ウェットウエルの温度を従来技術に比べ相対的に
低温とすることができる。この冷却されたウェットウエ
ルに放射性物質を吸着するフィルターを有する排気設備
への取り出し部を設け、炉心冷却に失敗する事象が発生
した場合に、該取り出し部より格納容器のガスをフィル
ターを通して排気することによって、炉心冷却に失敗す
る事象において格納容器の過圧破損を防止する設備に対
する熱的な負荷を低減することができる。
【0031】
【実施例】本発明の第1の実施例を図1〜図7により説
明する。図1において、本実施例の原子炉格納容器は、
炉心1を内包する原子炉圧力容器2を基礎30に自立し
た鋼製の格納容器壁7及び22で収容したものであり、
その内部は原子炉容器を包む気相空間ドライウエル4、
原子炉圧力容器2を環状に取り囲む圧力抑制プール6と
その上部の気相空間ウェットウェル9から成る圧力抑制
室に区画され、該ドライウェル4と該圧力抑制プール6
は複数のベント管5で連結されており、ベント管出口2
0は炉心1の上端より高い位置とした構造となってい
る。さらに、圧力抑制プールの外壁を構成する鋼製の原
子炉格納容器壁22の外側には外周プール8が設置され
ている。その他の構成要素としては、圧力抑制プール6
と原子炉容器2を逆止弁を介して連結する冠水系11が
ある。圧力抑制プール中には、その上端がベント管出口
20より高く、下端が該出口より低い位置関係で対流促
進板10が設置されており、該対流促進板の内側面(ベ
ント管出口側)にはベント管出口高さに張出し40が全
周にわたって取り付けられている。
【0032】原子炉の安全設計では、例えば原子炉容器
2で発生した蒸気をタービン(図示せず)に導く主蒸気
管の破断による冷却材喪失事故を想定する。この想定事
象においては、原子炉圧力容器2内の冷却材は高温高圧
の蒸気としてドライウェル4へ流出する。炉心1には制
御棒(図示せず)が挿入され核分裂反応が停止するが、
炉心ではその後も長期に崩壊熱が発生する。原子炉容器
2の圧力は破断口からの蒸気の流出によって低下し、圧
力抑制プールから冠水系11から重力差で冷却水が原子
炉容器2に注水され、炉心1の冠水が維持される。炉心
1での崩壊熱はこの冷却水の蒸発により除去され、破断
箇所から蒸気がドライウェル4に放出される。これによ
り、ドライウェル4の圧力が上昇しベント管5内の水を
押し下げ、蒸気は圧力抑制プール6に流入してプール水
中で凝縮される。圧力抑制プール6内での蒸気凝縮の際
に発生する潜熱によりベント管出口20付近のプール水
が加熱され、対流によりベント管出口20から上方で対
流が発生する。
【0033】圧力抑制室部分の拡大図を図2に示す。図
2により、冷却材喪失事象発生時の圧力抑制プール6内
の流動挙動について説明する。前記の通り、冷却材喪失
時にベント管出口20近傍での蒸気凝縮で発生したプー
ル内の対流によって、圧力抑制プール6のうち対流促進
板10の内側でベント管出口20より上方の領域及び対
流促進板上端以上の全領域は一様に温度が上昇する。一
方、対流促進板10の外側領域(格納容器壁22側)は
対流の影響が及ばず低温のままである。この結果、対流
促進板の上下端の区間においては、相対的に低温で密度
の大きい外側領域の方が静水頭が大きくなり、外側領域
から内側領域に向かって対流促進板下端を回る循環流が
発生する。この循環流の発生により、対流促進板10の
上端より上方の領域にあった高温水が対流促進板10と
鋼製格納容器壁22で形成される外側領域を流下する。
この時、外周プール8との温度差に基づき鋼製格納容器
壁を介して外周プールへの放熱が起こり、該外側領域を
流下する流れは下降するにつれて低温になる。しかし、
対流促進板下端に至ってもその初期温度より高い状態に
あり、対流促進板下端を回って内側領域のベント管出口
より下側の領域に流入し、対流促進板に沿って上昇しな
がら下側領域のプール水と混合する。対流促進板に沿っ
て上昇する主流は、対流促進板10の内側面のベント管
出口高さに設置された張出し40により堰き止められ、
流れ方向を水平方向に変える。上昇過程の混合及び水平
方向に流れ方向を変えての混合によって、対流促進板の
内側でベント管出口より下側の領域の温度を上昇させ
る。ベント管出口より上方の高温水の対流と下方の相対
的に低温な対流により、温度成層界面がベント管出口高
さに形成される。
【0034】上述したような対流促進板下端を回る対流
が定常的に発生する条件は、温度成層界面を基準にした
対流促進板上端までの高さL1 が下端までの深さL2 よ
り大きいことであるが、この理由については従来技術の
特開平2−297097に記述されている通りである。
この条件を満足する対流促進板形状であれば対流促進板
下端を回る循環流を定常的に発生させることができ、下
側領域を継続的に昇温することができ、圧力抑制プール
内の蓄熱領域及び外周プールへの放熱面積を拡大するこ
とができる。
【0035】ここで、本実施例で用いた手段のうちで特
徴となる対流促進板の内側面でベント管出口高さに設け
た張出し40の効能について、図3から図7により説明
する。図3は、張出し40を設置しない場合の、圧力抑
制プール内の流動状況を示し、図4は張出し40を設置
した場合の流動状況を示している。なお、図中破線で圧
力抑制プール中の温度境界を示している。
【0036】張出しが無い場合には、図3に示すように
対流促進板下端を回る流れ41は途中堰き止められるこ
と無く対流促進板に沿って上昇し、この上昇流は、対流
促進板下端を回る循環流が形成されるまでベント管出口
40を下端として対流している、上方の高温水中に侵入
する。対流促進板に沿った上昇流41は対流促進板下端
から温度境界層を形成して流動するため、相対的に薄い
層で流れるため流速が相対的に大きい。一方、上方の対
流42の下降流速は遅い。相対的に低温で密度が大きく
流速の大きい上昇流と、高温で密度が小さく流速の遅い
下降流が衝突し、混合しながら流れ方向を水平方向に変
えるため、運動量の大きい上昇流によって上方からの高
温流と下方から低温流の境界がベント管出口より上側に
押し上げられる。水平方向に流れを変えた以降は、下側
の方が低温で密度も大きく、形成された温度境界面の高
さを変化させる要因は無い。さらに、上方の対流の駆動
源であるベント管出口20における蒸気凝縮による浮力
は、ベント管出口20のごく近傍の領域のプール水を水
平方向に引っ張る作用をするものであり、凝縮の起こっ
ている領域の水温は高くなるが、離れた所にある温度境
界面の位置を下げることは無い。この結果、対流促進板
10の内側領域では、上方の高温領域と下方の相対的に
低温な領域を区画する温度成層界面がベント管出口20
よりΔLだけ押し上げられるわけである。冷却材喪失時
には、ベント管出口20より、炉心崩壊熱に対応した蒸
気が出続けるため、上方の高温領域の水温は時間の経過
とともに高くなる。この時間の経過に伴う温度上昇によ
り上方の領域で対流するプール水の密度が低下し、対流
促進板に沿った上昇流の影響を受けやすくなるため、対
流促進板の内側領域で形成される温度成層界面の押し上
げ量ΔLも時間とともに増大する。
【0037】一方、図4に示すように対流促進板10の
内側面でベント管出口20の高さに張出し40を設置し
た場合は、対流促進板10に沿って上昇する循環流41
は設置した張出し40に堰き止められて流れ方向を水平
方向に変えるため、ベント管出口より上方に形成されて
いる高温水の対流42中に侵入し、影響を与えることは
無い。この結果、温度成層界面の押し上げも無く、該温
度成層界面を常にベント管出口高さに位置させることが
できる。設置する張出しの長さは、形成される温度境界
層の幅以上であれば上昇流の主流を堰き止め流れ方向を
変えることが可能であり、例えば30cm程度に設定さ
れる。また、上昇流あるいは下降流の衝突によって生じ
る荷重は小さいので、鋼製の薄板等で製作することがで
きる。
【0038】この様に、温度成層界面の押し上げが起こ
る場合と無い場合について、対流促進板の下端を回る循
環流を支配する対流促進板内外の高さ方向の温度分布
を、図5に模式的に比較して示す。対流促進板に張出し
を設置せず内側領域の温度成層界面の押し上げがある場
合は、図5の左側に示したような温度分布となり、本実
施例のように対流促進板の内側面のベント管出口高さに
張出し40を設置した場合は、右側の図のようになる。
対流促進板下端を回る循環流の駆動力は、対流促進板下
端における内外領域の静水頭バランスである。静水頭は
プール水の密度と高さ方向の距離の積で表せる。プール
水の密度は、水温に逆比例することが知られており、プ
ール水の密度の高さ方向の分布は図5に示した温度分布
を裏返したような分布となる。高さ方向の距離は内外領
域で同じであることから、静水頭のバランスは図5にお
いて内側及び外側の温度分布の違いで形成される三角形
の面積と等価となる。図5の右側の場合を例にとると、
ベント管出口より上方では外側領域の水温が低く密度が
大きいため外側領域を下降する方向に駆動力が作用す
る。この駆動力の総和は両領域の水温の線で囲まれる三
角形aの面積となる。ベント管出口より下側では、外側
領域の水温が高いく密度が小さいため、上方で発生した
駆動力を打ち消す方向となる。このベント管出口より下
側の区間で発生する駆動力の総和は、三角形bの面積で
あり、三角形aと三角形bの面積の差が、対流促進板下
端を回る循環流の駆動力となる。
【0039】対流促進板に張り出しを設置しない場合は
設置した場合に比べ、内側領域の温度成層界面の押し上
げが発生しているために三角形aとbの面積の差が小さ
くなり循環流に対する駆動力が減少している。前述のよ
うに時間の経過とともに温度成層界面の押し上げ量が増
大すると、最悪の場合三角形aとbの面積が等しくな
り、対流促進板下端を回る循環流が停止してしまう。張
り出しを設置した場合は、温度成層界面の押し上げがな
く、L1 >L2 という初期の形状条件が維持されてお
り、循環流が継続的に形成され、かつ循環流に対する駆
動力が前述のように相対的に大きいので対流促進板下端
を回って内側領域でベント管出口より下側の領域に流入
する流量が大きい。
【0040】図6は、L1 =1.8mでL2 =1.3m
の体系を例として、対流促進板の内側面に張出しを設置
しない場合と設置した場合の対流促進板下端を回る循環
流量の違いを示している。図示した結果は、三次元の熱
流動解析に基づいている。この結果によれば、張出しを
設置して内側領域の温度成層界面の押し上げを防止する
ことにより、対流促進板下端を回る循環流量を張り出し
を設置しない場合の10倍とすることができる。循環流
量が大きい、すなわち対流促進板の内側でベント管出口
より下側の領域に流入する流量が大きいことにより、該
下側領域の昇温を早く行うことができ、圧力抑制プール
内の蓄熱量並びに外周プールへの放熱量を増大すること
ができる。
【0041】対流促進板を設置したことによって、圧力
抑制プール内の高温領域を拡大し、プール内の蓄熱量並
びに外周プールへの放熱量を増大させるという放熱特性
向上の効果について図7に示す。図の横軸はL2 /L1
であり、縦軸は対流促進板を設置しない場合のプール内
蓄熱量で規格化した蓄熱量を示している。L2 /L1を
大きくする、すなわち対流促進板の下端を下側に伸ばし
てゆくにつれて、高温となる領域が増大するため、プー
ル内蓄熱量も増大する。しかし、L2 /L1 が約0.7
を超えて大きくなると、高温領域が拡大する効果よりも
対流促進板下端の温度(すなわち内側領域に流入する水
温)が低下する効果が勝り蓄熱量は減少傾向となる。た
だし、減少傾向となっても、対流促進板を設置しない場
合に比べれば増大している。図1の実施例に示したよう
に対流促進板の内側面に張出し40をベント管出口高さ
に設置した場合は設置しない場合に比較して、上述の理
由によりプール内の蓄熱量が増大し、対流促進板設置の
効果が図7に示すように約10%向上する。
【0042】以上のように、圧力抑制プール内の蓄熱能
力が向上すれば冷却材喪失時における圧力抑制プール水
温の上昇を緩やかなものとすることができる。格納容器
の圧力は圧力抑制プール水温に対応した蒸気分圧に支配
されるものであり、水温上昇が緩やかになることは、圧
力上昇を抑制することになる。この結果、格納容器の許
容圧力に到達するまでの時間が拡大し、その拡大した時
間の間に外周プールへ放熱を行えるので、トータルの放
熱量も増大するという放熱能力の向上が達成される。冷
却材喪失時において外周プールへの放熱量が炉心崩壊熱
を上回れば、格納容器の圧力は低下し始める。炉心崩壊
熱は時間の経過とともに低下するので、格納容器の圧力
が許容圧力に到達する時間を拡大することによって、圧
力を低下傾向とするに必要な放熱量も小さくてよくな
る。これにより、同一の格納容器形状であれば収容する
原子炉の出力を大きくするか、あるいは同一の原子炉出
力に対する格納容器を小型化することができる。
【0043】本発明の第2の実施例を図8により説明す
る。図8において、格納容器バウンダリを形成する鋼製
格納容器壁22の内部には、炉心1を内包する原子炉容
器2と原子炉容器を包むドライウエル4、原子炉容器2
を環状に取り囲む圧力抑制プール6とウェットウエル9
を保有する圧力抑制室があり、該ドライウエル4と圧力
抑制プール6は、複数のベント管5で連結されている。
格納容器の上部には、非常用炉心冷却系として、ガス加
圧をした冷却水を保有する蓄圧タンク51及び冷却水プ
ール52が設置されている。これらの重量物を支える構
造壁10Aは、圧力抑制室を格納容器側とベント管側に
区画するように基礎30から立てられている。該構造壁
10Aには圧力抑制プール部分の上下に複数の流路孔5
0が設けられており、対流促進板としての機能を兼有し
ている。さらに、該構造壁10Aの内側面(ベント管
側)には、ベント管出口20高さに、張出し40Aが設
置されている。該圧力抑制プールの外側には鋼製格納容
器壁22を介して外周プール8が、上部の気相空間ウェ
ットウエル9の外側には下部入り口53と上部出口56
により大気と結合した流路54が設置されており、これ
らが原子炉建屋55の内部に収容されている。その他の
構成要素としては、圧力抑制プール6と原子炉容器2
を、逆止弁を介して連結する冠水系11がある。
【0044】このような原子炉において、例えば主蒸気
管3の破断で代表される冷却材喪失時には、以下の動作
となる。原子炉容器2から破断孔を通って蒸気がドライ
ウエル4に流出する。これにより、原子炉容器の圧力が
低下するとともに水位が低下する。水位低下の信号発生
により、炉心1に制御棒が挿入されて核分裂反応が停止
するとともに、やはり水位低下の信号によって動作する
自動減圧弁58が開き、原子炉容器の減圧が促進され
る。原子炉容器の圧力低下に従って、順次蓄圧タンク5
1、冷却水プール52及び冠水系11から冷却水が原子
炉容器に流入し、炉心の冠水を維持する。炉心では、核
分裂反応停止後もそれまでの反応で生成した核分裂性生
成物からの崩壊熱の放出があるが、前述の冠水維持動作
によって冷却される。炉心1で発生した蒸気は破断孔か
らドライウエルに流出し、ベント管5を通って圧力抑制
プール6に流入し、ベント管出口20の近傍で凝縮され
る。この凝縮で発生した浮力によりプール内で対流が起
こり圧力抑制プール内の温度が上昇する。
【0045】圧力抑制プール内の構造壁10Aは対流促
進板としての機能も有しており、構造壁10Aの上下に
設置された流路孔50を通って、該構造壁10Aの内側
領域で上部から外側領域(格納容器壁22側)へ流入
し、そして外側領域を下降後内側領域の下方領域へ流入
するという循環流が形成される。このような循環流が形
成される状況において、構造壁10Aの内側面でベント
管出口高さに設置した張出し40Aの機能及び効果は、
前述の実施例の場合と同様である。
【0046】このようにして、圧力抑制プール内に効率
良く放出される崩壊熱を蓄熱するとともに、該圧力抑制
プール6と外周プール8の温度差に基づき、鋼製格納容
器壁22を介して外周プールに放熱する。さらに、圧力
抑制プールの水温上昇にともなって温度が上昇するウェ
ットウエル9からも、鋼製格納容器壁22の外側を流通
する空気に対して放熱し、格納容器の圧力上昇を抑制す
る。なお、格納容器壁22の外側の空気は、格納容器か
らの放熱による煙突効果で自然通風となり滞留すること
は無い。時間の経過とともに、格納容器内の温度が上昇
して外周プール及び流通空気との温度差が拡大し放熱量
が増大し、かつ炉心崩壊熱が減少するため、放熱量が炉
心崩壊熱を上回るようになる。この結果、格納容器内の
温度及び圧力は減少し始め、格納容器圧力が許容圧力以
下に抑制されて、格納容器の健全性が確保される。
【0047】本実施例によっても、前述の実施例で述べ
たと同じ理由により、対流促進板の機能を有した構造壁
の内側面に設置した張出し40Aの作用で、放熱特性を
向上することができる。
【0048】本発明の第3の実施例を図9により説明す
る。本実施例は、図8に示した実施例において、対流促
進板としての機能を有し、その内側面に張出しを持った
構造壁の製作方法に関して示している。図9において、
構造壁の基本的な骨組みを基礎に埋め込んだ型鋼41で
形成する。その後、構造壁の表面となる面に、鋼製の板
42を溶接するとともに、内側面でベント管出口高さと
なる位置に鋼製の張出し40Aを溶接する。これらの作
業終了後、鋼製の板で区画された空間43に無筋コンク
リートを流し込む。内側領域と外側領域を連通する流路
孔部分は、該当部分にパイプ等を配置しておけば良い。
構造壁としての強度は、基本的に型鋼により維持してお
り問題は無い。
【0049】本実施れによれば、流し込むコンクリート
の型枠とした鋼製の板が、そのままライニング材とする
ことができるので、コンクリート部位製作に必要な型枠
の設置、取外し、その後のライニング材の張付け作業
が、一作業に集約でき作業時間を短縮することができ
る。これによって、格納容器ひいては原子力プラントの
建設工期を短縮することができる。
【0050】本発明の第4の実施例を図10により説明
する。本実施例は、図8に示した実施例において、原子
炉容器2より高い位置に冷却水プール62を設置し、該
冷却水プール62中に複数の伝熱管60を主体に構成さ
れる熱交換器(隔離時凝縮器)61を配置し、熱交換器
61と主蒸気管3を主蒸気隔離弁の閉止信号あるいは圧
力容器の水位低下の信号により開く開閉弁63を有する
配管64で接続し、また熱交換器61と原子炉容器2を
逆止弁65を有する配管66で接続したものである。ま
た、熱交換により冷却水プール62で発生した蒸気は、
格納容器壁22を貫通する配管67により放出される。
設置した熱交換器61は、過渡事象発生により主蒸気隔
離弁が閉止した場合に、炉心崩壊熱を除去することを主
目的にしている。このため、原子炉隔離時に必要な冷却
能力を有しており、動作条件は高温高圧であり必要な伝
熱面積は小さく、冷却水プールも小さい。
【0051】冷却材喪失時には、原子炉容器2の水位低
下の信号により開閉弁63が開き、主蒸気管を通して原
子炉容器から蒸気を導き凝縮し、配管66を通して凝縮
水を原子炉容器2に戻す動作をする。冷却材喪失時に
は、原子炉容器の圧力及び蒸気温度が低下するため、該
熱交換器だけでは炉心崩壊熱を除去することが不可能で
あるが、除去しきれない炉心崩壊熱に相当する蒸気が、
ドライウエル4に流出しベント管5を通って圧力抑制プ
ール6に流入凝縮する。それ以降の、圧力抑制プールで
の効率よい蓄熱及び外周プール8及び流路54の空気へ
の放熱は、前述の実施例の場合と同様である。
【0052】すなわち、圧力抑制プール6での凝縮によ
る加熱で生じた浮力により、圧力抑制プール内で対流が
形成される。さらに、張出し40Aを設けた対流促進板
10Aによりベント管出口20より下側の領域に至る対
流の促進が効率よく行われる結果、圧力抑制プール6の
広範な領域の水温が上昇する。相対的に高温となった圧
力抑制プールと低温の外周プール8の温度差に基づき、
鋼製の格納容器壁22を介して格納容器から外周プール
8に放熱が起こる。このプール内の蓄熱及び外周プール
8への放熱によって圧力抑制プール表面温度の上昇が抑
制され、圧力抑制プール表面温度に対応した蒸気分圧の
上昇が抑制される。最終的には、格納容器から外周プー
ル8への放熱量が、時間とともに減少する炉心崩壊熱を
上回るようになり、圧力抑制プール6の水温が低下を始
め、不凝縮性気体分圧と蒸気分圧の和となる格納容器圧
力も低下し始める。この様にして、冷却材喪失時の格納
容器の最高圧力を許容圧力以下に抑制し、格納容器の健
全性を確保することができる。
【0053】以上より、本実施例によれば、冷却材喪失
事象発生の初期の原子炉容器圧力及び蒸気温度が相対的
に高い条件において、最も蒸気温度の高い原子炉容器か
ら蒸気を導き熱交換器61(隔離時凝縮器)を作動させ
ることができ、圧力抑制プール6への蒸気流入量を低減
することができる。この結果、圧力抑制プール6の水温
上昇を抑制することができるので、同一の格納容器形状
及び外周プール形状で対応できるプラント出力を増大で
きる。
【0054】また、隔離時凝縮器を、冷却材喪失事象発
生を示す原子炉容器水位低等の信号に同調させて弁を開
き作動させることは、従来のプラントにおいて自動減圧
弁の制御に使用しているロジックと同じであり技術的に
問題無く、かつ弁開動作の隔離時の場合と同じ制御をす
るため、複雑な制御系統の追加は不要である。
【0055】本発明の第5の実施例を図11により説明
する。本実施例は、図10に示した実施例において、圧
力抑制プール6の上部の気相空間ウェットウエル9に開
閉弁71を有する取り出し配管72を設置したものであ
る。該取り出し配管は、炉心1の冷却に失敗するという
確率的に極めて低い事象が発生した場合に、格納容器の
圧力破損を防止するため、格納容器内の気体を放射性物
質を吸着するフィルターを通して放出する排気設備に接
続可能となっている。ただし、該排気設備は、常設の設
備、事象発生時に仮設する設備のいずれであってもよ
く、本実施例に影響しない。
【0056】炉心1の冷却に失敗する事象が発生した場
合、炉心内の核分裂生成生物はドライウエルばかりでな
く圧力抑制プールにも移行し発熱する。しかし、該生成
物は圧力抑制プール中でスクラビングされるため、ウェ
ットウエル9中には、ほとんど移行しない。圧力抑制プ
ール6は、外周プール8への放熱により冷却されるとと
もに、ウェットウエル9も鋼製格納容器壁22の外側流
路54の空気へ放熱することで冷却されている。このた
め、格納容器から排気設備へ導かれる気体の温度は、相
対的に低温であり、放射性物質を吸着するフィルター樹
脂に対する熱的負荷を軽減することができる。また、排
気設備に特別な冷却装置を設ける必要が無く、さらに、
気体をドライウエル4から排気する場合に比べると、圧
力抑制プールでスクラッビングが行われているので、排
気設備にスクラビング用の機器を設備する必要が無く、
設備を単純にできる。
【0057】
【発明の効果】本発明の第1の概念によれば、圧力抑制
プール内の対流促進板の内側でベント管出口近傍におけ
る温度成層界面の押し上げを防止し、対流促進板の下端
を回る循環流によるベント管出口の下側領域の蓄熱効率
を向上させ、かつ外周プールへの放熱特性を向上できる
ので、対象とした技術をより大出力のプラントに適用可
能となり、あるいは同一出力のプラントに対する格納容
器を小型化できる。
【0058】また、上部の重量物を支持する格納容器内
の構造物を対流促進板として兼用するタイプでも同様
に、圧力抑制プール内の蓄熱能力を増大し、かつ外周プ
ールへの放熱特性を向上できるので、対象とした技術を
より大出力のプラントに適用可能となり、あるいは同一
出力のプラントに対する格納容器を小型化できる。
【0059】本発明の第2の概念によれば、対流促進板
の機能を有した格納容器内の構造壁を短期間に製作でき
るので、原子炉格納容器、ひいては原子力プラントの建
設期間を短縮することができる。
【0060】本発明の第3の概念によれば、事象発生初
期における炉心崩壊熱の大きい段階における熱量の一部
を冷却材喪失時の格納容器冷却を主として行う外周プー
ルへ移行する以前に除去するとともに、圧力抑制プール
内の蓄熱能力を高め外周プールへの放熱特性を向上する
ことができるので、対象とした技術をより大出力のプラ
ントに適用可能となり、あるいは同一出力のプラントに
対する格納容器を小型化できる。さらに、冷却材喪失時
における格納容器からの除熱を格納容器上部に設置する
熱交換器のみで実施する概念に比べ、上部の重量物であ
るプール水を削減し、建家の重心を低くすることができ
るので、耐震性が向上し建家構造材の物量を低減するこ
とができる。
【0061】本発明の第4の概念によれば、炉心冷却に
失敗するという確率的に極めて低い事象に対する対応設
備への熱的負荷を低減できるとともに、スクラビング用
の機器及び排気設備の冷却装置を削除することができる
ので、設備を単純化し物量を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例による原子炉格納容器の
縦断面図である。
【図2】図1の実施例における圧力抑制室の縦断面図で
ある。
【図3】従来技術による圧力抑制プール内の流動状況を
示す模式図である。
【図4】本発明の第1の実施例における圧力抑制プール
内の流動状況を示す模式図である。
【図5】従来技術と本発明における圧力抑制プール内の
温度分布図である。
【図6】従来技術と本発明におけるプール内循環流量の
比較図である。
【図7】従来技術と本発明におけるプール内蓄熱能力の
比較図である。
【図8】本発明の第2の実施例による原子炉格納容器の
縦断面図である。
【図9】本発明の第3の実施例による構造壁の構造図で
ある。
【図10】本発明の第4の実施例による原子炉格納容器
の縦断面図である。
【図11】本発明の第5の実施例による原子炉格納容器
の縦断面図である。
【符号の説明】 1 炉心 2 原子炉容器 4 ドライウエル 5 ベント管 6 圧力抑制プール 8 外周プール 9 ウェットウエル 10 対流促進板 11 冠水系 20 ベント管出口 22 鋼製格納容器壁 40 張出し 41 型鋼 42 鋼製の板 60 伝熱管 61 熱交換器 62 冷却水プール 72 取り出し配管
フロントページの続き (72)発明者 荒木 秀文 茨城県日立市森山町1168番地 株式会社日 立製作所エネルギー研究所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炉心を収納する原子炉圧力容器と、該原
    子炉圧力容器を包むドライウエル空間と、前記原子炉圧
    力容器を環状に取り囲み、冷却水を保有しその水面を前
    記炉心の上端より高く配置できる圧力抑制プ−ルを備え
    た圧力抑制室と、前記ドライウエル空間と前記圧力抑制
    プ−ルとを接続する複数のベント管と、前記圧力抑制室
    の環状外周側壁を構成し、前記ドライウエル及び圧力抑
    制室を収容する鋼製の格納容器と、該格納容器の外周側
    壁を取り囲み冷却水を保有する外周プ−ルと、前記格納
    容器の外側側壁に沿って圧力抑制プ−ル内に設けられ、
    上端が圧力抑制プ−ルの水面と前記ベント管の圧力抑制
    プ−ル内出口との間に位置し、下端が前記ベント管出口
    と圧力抑制プ−ル底面との間の高さに位置する対流促進
    板とを含み、該対流促進板のベント管出口と対面する側
    でベント管出口の高さに、該対流促進板に沿って上昇す
    る流れを阻害する張出し手段を設けたことを特徴とする
    原子炉格納容器。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の原子炉格納容器におい
    て、上部の重量物を支持する構造壁が前記圧力抑制室を
    径方向に区画し、区画された空間が構造壁の上下に設置
    された複数の流路孔により連通することで該構造壁が対
    流促進板となり、該構造壁のベント管出口と対面する側
    でベント管出口の高さに、前記上昇流を阻害する張出し
    手段を設けたことを特徴とする原子炉格納容器。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の原子炉格納容器におい
    て、前記圧力抑制室を径方向に区画する構造壁を、型鋼
    で骨組みを形成し、その表面部位に鋼製の板及びベント
    管出口と対面する側でベント管出口の高さに鋼製の張出
    しを溶接後、溶接した鋼製の板で区画された空間に無筋
    コンクリートを注入して製作することを特徴とする原子
    炉格納容器。
  4. 【請求項4】 請求項2又は3記載の原子炉格納容器に
    おいて、原子炉圧力容器の上方に、冷却水プール中に位
    置する複数の伝熱管で構成され、原子炉隔離時に必要な
    冷却能力を有する熱交換器を設置し、該熱交換器には、
    開閉弁を有し主蒸気管に連結された配管と、逆止弁を有
    し原子炉容器に連結された配管とを備えたことを特徴と
    する原子炉格納容器。
  5. 【請求項5】 請求項1から4のいずれか1項記載の原
    子炉格納容器において、圧力抑制プールの上部の気相空
    間に、気体中の放射性物質を吸着するフィルターを備え
    た排気設備に接続するための取り出し部を設けたことを
    特徴とする原子炉格納容器。
  6. 【請求項6】 請求項2記載の原子炉格納容器の構造壁
    製作方法において、前記圧力抑制室を径方向に区画する
    構造壁を、型鋼で骨組みを形成し、その表面部位に鋼製
    の板及びベント管出口と対面する側でベント管出口の高
    さに鋼製の張出しを溶接後、溶接した鋼製の板で区画さ
    れた空間に無筋コンクリートを注入して製作することを
    特徴とする原子炉格納容器の構造壁製作方法。
JP4043494A 1992-02-28 1992-02-28 原子炉格納容器及びその構造壁製作方法 Pending JPH05240987A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4043494A JPH05240987A (ja) 1992-02-28 1992-02-28 原子炉格納容器及びその構造壁製作方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4043494A JPH05240987A (ja) 1992-02-28 1992-02-28 原子炉格納容器及びその構造壁製作方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH05240987A true JPH05240987A (ja) 1993-09-21

Family

ID=12665271

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP4043494A Pending JPH05240987A (ja) 1992-02-28 1992-02-28 原子炉格納容器及びその構造壁製作方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH05240987A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011232179A (ja) * 2010-04-28 2011-11-17 Hitachi-Ge Nuclear Energy Ltd 原子炉格納容器冷却設備を備えた原子力プラント
CN113314238A (zh) * 2021-05-10 2021-08-27 中国核电工程有限公司 一种三代核电站反应堆厂房及其布置方法、核电站

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011232179A (ja) * 2010-04-28 2011-11-17 Hitachi-Ge Nuclear Energy Ltd 原子炉格納容器冷却設備を備えた原子力プラント
CN113314238A (zh) * 2021-05-10 2021-08-27 中国核电工程有限公司 一种三代核电站反应堆厂房及其布置方法、核电站
CN113314238B (zh) * 2021-05-10 2023-10-24 中国核电工程有限公司 一种三代核电站反应堆厂房及其布置方法、核电站

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7522693B2 (en) Passive safety-grade decay-heat removal method and decay-heat removal system for LMR with pool direct heat cooling process
KR960008856B1 (ko) 역류 냉각제 흐름로를 갖는 액상금속 냉각 원자로에 대한 수동 냉각 시스템
JP3118489B2 (ja) 原子炉の偶発的メルトダウン後に炉心を回収するための装置を備えた原子炉
KR100972344B1 (ko) 컴팩트한 가압수형 원자로
US8744036B2 (en) High power density liquid-cooled pebble-channel nuclear reactor
US4986956A (en) Passive nuclear power plant containment system
JP2002122686A (ja) 沸騰水型原子力発電プラントおよびその建設工法
JP2007225356A (ja) コアキャッチャーおよびその製造方法、並びに、原子炉格納容器およびその改造方法
CN103165199A (zh) 采用闭合传热路径的、用于核反应堆的紧急堆芯冷却系统(eccs)
US10147506B2 (en) Conformal core cooling and containment structure
KR101250479B1 (ko) 안전보호용기를 구비한 피동형 비상노심냉각설비 및 이를 이용한 열 전달량 증가 방법
US7684535B2 (en) Reactor containment vessel
JPH0727050B2 (ja) 受動冷却系を備えた液体金属冷却型原子炉
US5211906A (en) Reactor containment vessel
US20040240601A1 (en) Forced cooling circular deep & minus; water pond type heat supply nuclear reactor with natural circulation
JP3499920B2 (ja) 空冷用のじゃま板
Lin et al. Kuosheng Mark III containment analyses using GOTHIC
JP4746911B2 (ja) 高速炉および高速炉施設の建設方法
Hejzlar et al. Design strategy and constraints for medium-power lead-alloy–cooled actinide burners
JPH05240987A (ja) 原子炉格納容器及びその構造壁製作方法
US11087894B2 (en) Mitigation assembly for nuclear reactor comprising a removable sealing plug
JP2001228280A (ja) 原子炉
Jin et al. Natural Circulation Characteristics of China Lead Alloy Cooled Research Reactor CLEAR-I
JP2022032025A (ja) 炉心溶融事故を軽減するための専用の安全装置を含む一体型高速中性子原子炉
Elter et al. Proposal of In-vessel corium retention concept for Paks NPP