JPH05237494A - 自然界水系の水質浄化方法 - Google Patents

自然界水系の水質浄化方法

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JPH05237494A
JPH05237494A JP3979792A JP3979792A JPH05237494A JP H05237494 A JPH05237494 A JP H05237494A JP 3979792 A JP3979792 A JP 3979792A JP 3979792 A JP3979792 A JP 3979792A JP H05237494 A JPH05237494 A JP H05237494A
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  • Purification Treatments By Anaerobic Or Anaerobic And Aerobic Bacteria Or Animals (AREA)
  • Biological Treatment Of Waste Water (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 BODおよびNH3 の分解または硝化だけで
なく、硝酸および亜硝酸性窒素を効果的に分解すること
ができ、SSの発生量が少ない、自然界水系の水質浄化
方法を提供する。 【構成】 自然界水系内に砂または砂利からなる濾床1
を設け、この濾床1を上方から下方に流通する循環流を
設け、濾床1の出口循環流中の溶存酸素濃度を1.5p
pm以下になるように循環流量を制御し、濾床表層部で
植物性プランクトンよにる光合成によって酸素を取り入
れるとともに、一部の植物性プランクトンを魚貝類に捕
食させ、濾床1の中層部で酸素を利用して好気性微生物
による硝化および有機物の分解を行い、その後濾床1の
下層部で嫌気性微生物による中和、脱窒を行い、濾床1
を支持する支持砕石層2内に配置された集水管3で処理
水を集水し、集水管3に連結された集水ピット4を経て
被処理水系に排水する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自然界水系の水質浄化
方法に係り、特に生態系の食物連鎖を利用した池、湖
沼、海浜、河川等の自然界水系の水質浄化方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来から礫、塩ビ波板、ひも状物等、微
生物が付着し易い物体を水路内に設置し、水位差を利用
して通水することによる水質浄化方法が知られており、
例えば小さな河川の水質浄化に使用されている。また、
汚濁水が流通する水槽内に充填された、生物の付着を目
的とした充填物を水面で回転させたり、水槽内の被処理
水面を上下動して前記充填物を水面上に露出したり水面
下に埋没させたりして該充填物に付着した微生物に酸素
を供給するようにした水質浄化方法が知られている。
【0003】このような水質浄化方法において、充填物
に付着した微生物層は、該充填物の付着面に対して垂直
方向に、外側から好気性微生物層、微好気性微生物層、
嫌気性微生物層、付着面という変化がみられる。また汚
濁水の入口部から出口部に向かって、汚濁水の汚濁濃度
差による生物付着量および生物種の変化がみられる。こ
のように生物種に変化はあるものの、前記従来の水質浄
化方法は好気性微生物によるBOD(生物化学的酸素要
求量)の分解およびNH3 (アンモニア)の酸化が主目
的である。
【0004】このように好気性微生物だけを用いた処理
方法においては、硝酸または亜硝酸の分解、すなわち脱
窒は付随的に生じるだけであり、十分な脱窒効果が得ら
れないという問題がある。また、上記従来技術に利用さ
れる生物の食物連鎖系は原生動物までであり、増殖した
微生物を余剰汚泥として分離して別途処理しなければな
らず、生物膜等の管理が煩雑であるという問題があっ
た。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
従来技術に鑑み、BODおよびNH3 の分解または硝化
だけでなく、硝酸態窒素、亜硝酸態窒素等を効果的に分
解することができ、しかも浮遊固形物の発生が極めて少
ない、生態系の食物連鎖を利用した自然界水系の水質浄
化方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は、魚貝類、植物性プランクトン、好気性微
生物および嫌気性微生物の水質浄化作用を利用した自然
界水系の水質浄化方法であって、前記自然界水系内に設
けられた、生物が付着または潜入して生息できる濾床を
上方から下方に向かって流通する循環流を形成し、該循
環流の流量を前記濾床出口の溶存酸素濃度が1.5pp
m以下になるように制御し、前記濾床表層部で植物性プ
ランクトンによる光合成によって酸素を取り入れるとと
もに、一部の植物性プランクトンを魚貝類に捕食させ、
次いで濾床の中層部で前記植物性プランクトンの光合成
によって得られた酸素を利用して好気性微生物によるア
ンモニア性窒素の硝化および有機物の分解を行い、その
後、濾床の下層部で嫌気性微生物による中和、脱窒を行
うことを特徴とする。
【0007】
【作用】自然界の水系内に設けられた濾床を上方から下
方に向かって流通する循環流を形成し、濾床下層部出口
の溶存酸素濃度を1.5ppm以下に維持するように前
記循環流の流量を制御することにより、前記濾床の表層
部では植物性プランクトンの光合成反応による酸素が発
生するとともに、魚貝類による一部の植物性プランクト
ンの捕食が生じ、濾床中層部では前記表層部における光
合成によって発生した酸素を利用した好気性菌および硝
化菌による有機物の分解およびアンモニア性窒素の分解
が生じ、さらに下層部では酸素不足により、嫌気性菌お
よび脱窒菌による中和、脱窒反応がそれぞれ生じるの
で、生態系の食物連鎖を多段階に利用して自然界水系中
の汚濁物質を緩やかに、しかも確実に分解し、その水質
を浄化することができる。
【0008】本発明において、自然界水系内に設けられ
る濾床は、生物が付着または侵入して生息できるもので
あればよく、濾材としては、例えば砂、砂利、砕石、ゼ
オライト、サンゴ、ソフトセラミック等の多孔質粒材が
用いられ、その粒径は、例えば0.2mmφ〜2.0mmφ
である。精密濾過ではないので比較的粗い粒径の濾材を
用いることが好ましい。このような濾材層の下方は、例
えば0.5cmφ〜5.0cmφの砕石層で支持されてい
る。濾床は前記砕石支持層を含めた全体として深層濾床
とすることが好ましく、例えば前記砕石支持層上の濾材
を粗、密、粗の順に積層するか、または前記砕石支持層
以外の濾床を全て0.2mmφ以上の濾材を用いて形成し
てもよい。
【0009】本発明において、濾床は自然界水系の水環
境内に設けられるので、特に被処理水の供給手段を必要
とせず、濾床内を通過するゆるやかな水流を発生する手
段があれば十分である。本発明においては、濾床下層部
から流出する循環水のDO(溶存酸素濃度)が1.5p
pm以下となるように循環水量を制御する。これによっ
て多段階の生態系食物連鎖を活用できるようになる。循
環水量が多すぎる(濾過水量が多すぎる)と濾床表面か
ら取り入れられる酸素が十分に消費されないまま濾床を
通過するので、濾過水中のDOが上昇し、この場合は、
脱窒作用が不十分となり全体としての窒素除去率が低下
する。一方、循環水量が少ない(濾過水量が少ない)と
濾床への酸素供給量および汚泥負荷量がともに減少し、
脱窒量が減少するだけでなく、硫酸還元やメタン発酵が
生じ、全体としての浄化能力が低下してしまう。
【0010】本発明において、浄化対象の水系の水質が
極端に悪い場合は、循環水量を減少させるか、または循
環流を停止して目詰まりを防止、または目詰まりの回復
を待つことが好ましく、また高BOD負荷の場合は空隙
率の大きな濾材を用いることが好ましい。本発明におい
て、濾床表面を30度程度まで傾斜させることにより、
より広範囲の生物の生息が可能となり、水質浄化に利用
できる生態系の食物連鎖を拡げることができる。濾床を
傾斜させても濾床内を通過する下降流が生じている限
り、濾材が流出する心配はない。
【0011】本発明は、有機汚濁度の比較的低い自然界
水系の富栄養化対策としても適しており、例えば池、湖
沼、海浜、河川等自然界の水環境のあらゆる水系の水質
浄化に利用できる。
【0012】
【実施例】次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明する。図1は、本発明である自然界水系の水質浄化方
法に使用される装置の説明図、図2は、図1の要部断面
図である。この装置は、例えば湖沼の水質を浄化するた
めに湖沼内に設けられたもので、例えば0.2mmφ〜
2.0mmφの砂または砂利からなる濾床1と、該濾床1
の下方でこれを支持する支持砕石層2と、該支持砕石層
2内に配置された集水管3と、該集水管3で集められた
浄化水が流入する集水ピット4と、該集水ピット4内に
配置された排水管5および排水ポンプ6とから主として
構成されている。集水管3は、動水勾配が生じないない
程度の径の陶管または鋼管またはPVC管からなり、例
えばその断面の中心から下向き45度の位置に集水用の
孔9が多数設けられている。また、集水ピット4は、例
えば前記集水管3と同様の材質からなり、図示省略した
溶存酸素測定手段を有している。また排出ポンプ6は、
排出水量を可変することができるものである。なお、7
は、濾床1の崩れを防止する隔壁、8は装置を設置した
池の護岸、10は、湖沼水系内に空気を曝気する散気板
である。
【0013】このような構成において、集水ピット4内
の排水ポンプ6を稼動して所定量の水を排出管5から排
出すると、これに伴って湖沼の水が濾床1にその表層部
から侵入し、濾床1、支持砕石層2、集水管3を経て集
水ピット4に流入する循環流が形成される。この循環流
は、濾床1下層部から流出する循環流中の溶存酸素濃度
が1.5ppm以下になるように制御される。このよう
にして所定条件の循環流が形成され、所定期間が経過す
ると、濾床1の表層部、中層部および下層部にそれぞれ
その環境に適した微生物が生息するようになる。濾床1
の表面部に発生した植物性プランクトンは水面を透過す
る太陽光を受けて光合成反応による酸素を放出して増殖
し、その一部は、該濾床表面部に生息する魚貝類によっ
て捕食される。植物性プランクトンの光合成によって生
じた酸素および散気板によって取り入れられた酸素は溶
存酸素として循環流に同伴して濾床1の中層部に侵入
し、該濾床中層部において硝化菌および好気性菌に摂取
される。この硝化菌および好気性菌の作用によって、水
中のアンモニア性窒素が硝化され、有機物が分解され
る。次いで、アンモニア性窒素および有機物が処理され
た循環流は、濾床の下層部まで到達し、ここで酸素不足
により脱窒菌および嫌気性菌の作用を受けて脱窒および
中和される。このようにして微生物の作用を受けて浄化
され、濾床1の下層部から流出する処理水は集水管3を
経て集水ピット4に流入し、排出ポンプ6および排出管
5を経て湖沼表面に循環される。
【0014】本実施例によれば、湖沼の水面下に濾床を
設け、該濾床を上方から下方へゆっくりと通過する循環
流を生じさせるとともに、濾床下層部から流出する循環
水のDOを1.5ppm以下になるように循環流量を制
御したことにより、濾床表層部において植物性プランク
トンの光合成によって酸素が取り入れられ、中層部では
好気性菌および硝化菌の作用によって有機物の分解およ
びアンモニア性窒素の硝化が行なわれ、下層部では嫌気
性菌および脱窒菌による脱窒および中和がそれぞれ順次
継続して行われるので、水系内のBOD、浮遊固形物
(SS)、NH3、NOx等を効果的に分解することが
できる。また、本実施例によれば、生態系の食物連鎖を
利用した緩慢な水質浄化が行われるので、例えば河川の
伏流水および海辺の浸透水を再現することもでき、全て
の自然水域において効果的に水質を浄化することができ
る。
【0015】本実施例によれば、濾床、集水管、集水ピ
ット等の大部分は全て自然界水系の水面下に設置できる
ので、景観を損なうことがなく、濾床は生物の恰好の餌
場または産卵場となる。また本実施例によれば、循環流
は濾床内を下向流となって通過するので、濾床表面で光
合成によって発生した酸素を濾床内で有効に利用でき
る。さらに被処理水系内に散気板を設置したことによ
り、日照時間不足または植物性プランクトンの増殖不足
によるDO不足を解消することができる。
【0016】本実施例において、濾床厚は、30〜10
0cm程度であることが好ましい。また、濾床表面から集
水管までの距離ができる限り均一となるように集水管3
を配置することが好ましい。本実施例において、濾床下
部に、酸と反応して溶解するカルシウム化合物またはリ
ン酸と不溶物を作り易い鉱物を混合しておくことによ
り、P(リン)の除去効率を向上することができる。
【0017】本実施例において散気板は特に必要ではな
いが、併用する場合は、例えば図3に示すように濾床各
部までの距離が全体的に均一となるような位置に配置す
ることが好ましい。濾床1の隔壁7として、例えばラン
杭、蛇篭、石積み等を利用できるが、隔壁はなくてもよ
い。また、砂浜が存在する場所であれば、砂浜を濾床と
して使用し、集水管と集水ピットを埋設するだけで効果
的に水質を浄化することができる。
【0018】本実施例において、排出ポンプは、濾床に
よる濾過速度が1〜5m/日に調整できるものであるこ
とが好ましい。排水ポンプ6を直接集水管3に接続して
集水ピット4を省略することもできるが、この場合は集
水中の溶存酸素を検出できるような手段を講じておく必
要がある。また、排出ポンプとして水中ポンプの代りに
エアリフトを使用することにより、より効率のよい自動
運転を行うこともできる。
【0019】
【発明の効果】本発明によれば、自然界の水系内に濾床
を設け、該濾床内を上方から下方に向けてゆっくり流通
する循環流を形成するとともに、濾床下層部出口水の溶
存酸素が1.5ppm以下になるように循環水量を制御
することにより、生態系の食物連鎖を利用した効果的な
水質浄化を行うことができ、河川、湖沼、海浜等の自然
水域の機能を効果的に再現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の一実施例に用いられる水質浄
化装置の説明図である。
【図2】図2は、図1の要部断面図である。
【図3】図3は、散気板の配置例を示す説明図である。
【符号の説明】
1…濾床、2…支持砕石層、3…集水管、4…集水ピッ
ト、5…排出管、6…排出ポンプ、7…隔壁、8…護
岸、9…集水用の孔、10…CFL散気板、11…排出
水。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C02F 3/34 101 D 7158−4D (72)発明者 小倉 智 東京都中央区築地5丁目6番4号 三井造 船株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 魚貝類、植物性プランクトン、好気性微
    生物および嫌気性微生物の水質浄化作用を利用した自然
    界水系の水質浄化方法であって、前記自然界水系内に設
    けられた、生物が付着または潜入して生息できる濾床を
    上方から下方に向かって流通する循環流を形成し、該循
    環流の流量を前記濾床出口の溶存酸素濃度が1.5pp
    m以下になるように制御し、前記濾床表層部で植物性プ
    ランクトンによる光合成によって酸素を取り入れるとと
    もに、一部の植物性プランクトンを魚貝類に捕食させ、
    次いで濾床の中層部で前記植物性プランクトンの光合成
    によって得られた酸素を利用して好気性微生物によるア
    ンモニア性窒素の硝化および有機物の分解を行い、その
    後、濾床の下層部で嫌気性微生物による中和、脱窒を行
    うことを特徴とする自然界水系の水質浄化方法。
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