JPH05236828A - 桜桃等の落葉果樹類の周年栽培方法 - Google Patents

桜桃等の落葉果樹類の周年栽培方法

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JPH05236828A
JPH05236828A JP8037792A JP8037792A JPH05236828A JP H05236828 A JPH05236828 A JP H05236828A JP 8037792 A JP8037792 A JP 8037792A JP 8037792 A JP8037792 A JP 8037792A JP H05236828 A JPH05236828 A JP H05236828A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 桜桃等の核果類の果樹を人為的に休眠操作す
ることによって休眠時期を適宜設定し、これによって収
穫時期を早めること。 【構成】 桜桃、桃等の落葉果樹類を一定期間冷蔵して
休眠させた後、加温環境下にて結実させる落葉果樹類の
周年栽培方法において、前記落葉果樹を所要期間生育さ
せた後、落葉前に冷蔵装置を利用して冷蔵を開始し、冷
蔵温度を徐々に降下させるとともに果樹に対する光照射
時間を徐々に短縮させる休眠促進操作を行うことによっ
て果樹を休眠させ、休眠状態のまま所要の休眠期間を経
過させた後、冷蔵環境から自発休眠覚醒させ加温環境に
果樹を移して開花結実させることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は桜桃、桃等の落葉果樹類
の栽培方法に関するもので、より詳細には果樹の冷蔵環
境を調節することによって果樹の休眠を促進させ、かつ
確実な結実を可能にする落葉果樹類の周年栽培方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】ぶどう、桃、りんご等の果樹栽培では従
来、促成栽培技術を利用して自然環境下での収穫時期よ
りも早く収穫する促成栽培が行われている。この促成栽
培技術は露地栽培等では収穫時期が一定の時期に限定さ
れるため、端境期の品薄の時期あるいは贈答等の需要期
に品物を提供することによって付加価値の高い商品を提
供しようとするものである。一般に果樹栽培でなされる
促成栽培技術は、果樹にハウスをかけ、落葉後の冬期間
から加温を開始することによって結実を早めさせ、収穫
時期を早くする方法である。この方法はハウス内の環境
を外部の自然環境よりも進ませることによって収穫を早
めようとするものである。
【0003】上記のような促成栽培技術によって生産さ
れたぶどう、桃等は実際に商品として市場に提供されて
いるが、従来の促成栽培技術ではこれら果樹類の収穫時
期を早める場合にも限度があり、いくらでも早くできる
ものではない。すなわち、促成栽培方法で単純に加温開
始時期を早めるといった方法によるのでは収穫時期を早
くすることはできない。これは果樹栽培で良好な果実を
得るためには一定期間果樹を休眠させることが必要で、
この休眠期間の条件を満足しないと良好に結実させるこ
とができないためである。すなわち、果樹が落葉した後
には一定期間の休眠期間を与える必要があり、加温開始
はこの休眠期間経過後に行うようにするから、休眠期間
と関係なく単に加温開始時期を早めただけでは所期の収
穫量は得られず、商品性の高いものが得られない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
に果樹栽培で良好に結実させるためには一定の休眠期間
を経過させることが必要であるという条件を考えると、
果樹の収穫時期をより早めようとする場合には、果樹を
より早く休眠状態に入らせることができれば可能であ
る。この考え方にしたがって果樹をより早く休眠させる
方法として、低地よりも早く落葉する高山に果樹を移し
て落葉を早め、休眠を促進させ、これによって加温開始
時期を早めて収穫時期を早める試みがなされている。こ
れは、自然条件を利用して休眠を促進させる方法で、い
わば低地よりも時期を進ませることによって収穫時期を
早めるものである。この方法では低地で果樹を収穫した
後、秋口に寒冷な高山に果樹を移動し、落葉させた後、
再び低地に戻して促成栽培を行うようにする。
【0005】しかしながら、上記のように高山に果樹を
移動させる方法の場合は、果樹をいちいち移動させなけ
ればならず、また果樹が凍らないように低地に戻すとい
った作業も必要になってきわめて作業性が悪いという問
題点がある。このように、自然条件を利用して果樹を早
めに休眠させるという方法は果樹を休眠させる操作を積
極的に行うという点で従来の促成栽培技術とはその内容
面で大きく異なっているが、自然環境を利用している点
で完全な人工栽培方法にはなっていない。このように自
然環境を利用せざるを得ないのは、果樹を人為的に休眠
させることが困難で、人為的に果樹を休眠させる技術が
開発されていないためである。人為的方法で果樹を休眠
させる場合は、通常の促成栽培等にくらべてさらに収穫
時期を早めることが目的であるから、ふつうの自然環境
では落葉しない時期から果樹を休眠できるようにしなけ
ればならない。しかし、このようにいわば青葉の段階か
ら休眠を促進させることは非常に困難でありいまだ成功
例は報告されていない。
【0006】本発明者はぶどう、桃、りんご、桜桃等の
落葉果樹類について休眠を人為的に促進させる方法につ
いて種々研究を行った結果、果樹を青葉の段階から一定
の休眠環境におくことによって好適に休眠させることが
でき、十分な休眠期間を経過させることによって確実に
結実させる栽培方法を新たに開発した。この方法によれ
ば従来の促成栽培方法等とくらべてはるかに早い時期か
ら収穫することが可能になり、生産品の商品価値をさら
に高めることが可能になる。本発明は、このように果樹
栽培おいて早期収穫を可能にするとともに、良品生産を
確実に可能にし、ぶどう、桃、りんご、桜桃等の各種果
樹について周年での栽培も可能とする落葉果樹類の周年
栽培方法を提供するものである。なお、落葉果樹類とは
りんご等の仁果類、桃、ネクタリン、桜桃等の核果類、
ぶどう等のつる性果樹を意味するものとする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するため次の構成を備える。すなわち、桜桃、桃等の落
葉果樹類を一定期間冷蔵して休眠させた後、加温環境下
にて結実させる落葉果樹類の周年栽培方法において、前
記落葉果樹を所要期間生育させた後、落葉前に冷蔵装置
を利用して冷蔵を開始し、冷蔵温度を徐々に降下させる
とともに果樹に対する光照射時間を徐々に短縮させる休
眠促進操作を行うことによって果樹を休眠させ、休眠状
態のまま所要の休眠期間を経過させた後、冷蔵環境から
自発休眠覚醒させ加温環境に果樹を移して開花結実させ
ることを特徴とする。また、果樹を休眠促進操作する際
に、前記果樹を鉢植えにして、根部を全体的に冷却する
ことを特徴とする。また、休眠促進操作によって休眠さ
せた後の果樹の冷蔵温度を休眠限界温度以下の5 ℃〜6
℃に設定することを特徴とする。
【0008】
【発明の概要】本発明に係る桜桃等落葉果樹類の周年栽
培方法では、果樹を人為的に冷蔵することによって休眠
状態とし、一定期間休眠させた後、自発休眠覚醒させ加
温環境に移して開花結実させるようにする。ところで、
果樹を人為的に休眠させる場合、単に果樹を冷蔵環境に
いれるだけでは好適に休眠させることはできない。本発
明では果樹を冷蔵する際に一定期間にわたって温度を徐
々に低下させ、同時に果樹に対する光照射時間を徐々に
短くして休眠を促進させる操作を行うことを特徴とす
る。果樹が休眠する場合の限界温度は休眠限界温度とし
て知られており、7.2 ℃がこの休眠限界温度である。す
なわち、一般に植物は7.2 ℃を境目としてこの温度以上
では生育しこの温度以下では生育を停止する。この休眠
限界温度は果樹についても同様にあてはまるもので、果
樹を人為的に休眠させる場合にはこの休眠限界温度が温
度管理の指標となる。前記の冷蔵温度を徐々に低下させ
る操作は、この休眠限界温度以下に果樹をおくことによ
って休眠を促進させるものである。
【0009】なお、上記のように果樹を冷蔵環境におい
て休眠させる場合には単に休眠限界温度以下に温度設定
するのではなく、少なくとも冷蔵を開始した初期段階で
は1日のうち休眠限界温度以下におく時間と休眠限界温
度以上におく時間を切り換えながら冷蔵するのがよい。
これは果樹を冷蔵環境に慣らしていくとともに1日のう
ちでの温度差を設けることで落葉を促進させるためであ
る。果樹が完全に休眠する条件は休眠限界温度以下にそ
の果樹が合計で何時間おかれていたかによる。樹種によ
って休眠に必要な時間はきまっており、たとえば桜桃な
どでは休眠限界温度以下におく時間が合わせて546 時間
程度になると完全な休眠状態となる。なお、露地栽培の
桜桃は人為的に休眠させる場合よりも早く休眠し360 時
間程度で休眠する。また、桃などは比較的早く休眠には
いるもので、100 時間程度休眠限界温度以下にあると完
全休眠する。上記のように1日のうちで温度差を設ける
場合、たとえば昼間は休眠限界温度以上とし夜間は休眠
限界温度以下に設定するとすると、夜間の休眠限界温度
以下の時間を合計してこの合計時間が休眠に必要な時間
を超えれば完全休眠になる。このように、果樹を冷蔵し
て休眠させる場合には、休眠限界温度以下におく時間を
あらかじめ計算し、これに基づいて温度管理する。
【0010】本発明においては上記のように冷蔵温度を
管理して休眠を促進することと合わせて果樹に対する光
照射時間を管理することによって休眠促進をさらに確実
にするようにしている。すなわち、自然環境においても
徐々に日照時間が短くなることと対応させて、冷蔵する
際に人為的に光照射時間を短くしていく。光照射時間の
管理のため、果樹は冷蔵庫内等の外光がはいり込まない
環境におき、電気照明によって光照射時間を管理する。
光照射時間は初期段階ではたとえば1日のうち12時間
ごと点灯と消灯を切り換え、徐々に光照射時間を減らし
ていく。最終的には1日中光照射をまったくしない状態
にしてかまわない。
【0011】上記のように冷蔵温度を管理し、光照射時
間を管理することによって、一定の休眠限界温度以下の
時間を経過すると、果樹は完全に休眠状態となる。本発
明者は桃、桜桃等について青葉の状態で冷蔵環境下に移
し、上記の休眠促進操作にしたがって人為的に休眠操作
をさせることによって完全休眠させることができた。な
お、果樹を冷蔵環境に移すのは果樹が結実して果実を収
穫した後、一定期間の生育期間を経過した後からであ
る。結実後、一定の生育期間が経過して十分に養分が蓄
えられると、外観的には青葉の状態であっても果樹はい
つでも休眠できる状態となる。桃、桜桃等の核果類の生
育期間は結実後4か月〜5か月程度で十分である。こう
して、生育期間が経過した果樹は青葉のまま上記の冷蔵
環境において休眠促進操作をさせることにより休眠状態
にはいらせることができる。果樹が完全に休眠すると葉
は枯れるがそのままでは落葉しないから、人為的に葉を
落とすようにする。自然環境下では雨風の外部作用によ
って落葉するが、冷蔵環境下では静置されているため落
葉しないためである。
【0012】上記のようにして果樹が完全に休眠した後
は、一定の休眠時間を与える必要がある。この休眠時間
は完全休眠の状態で果樹を維持する状態で、果樹が充実
した花芽をつけて良好な果実を形成するために要する期
間である。完全休眠状態では冷蔵温度は1日中休眠限界
温度以下にし、光照射もまったくしないで果樹を維持す
る。完全休眠状態で果樹を維持する時間も樹種によって
異なるが、先の休眠促進操作の際に休眠限界温度以下に
果樹をおいた時間とこの完全休眠状態での時間を総合計
した時間を全休眠時間としてこの期間を決める。たとえ
ば、休眠時間が全体として1500時間必要な樹種の場合
に、休眠促進操作の際に500 時間要したとすれば、この
完全休眠状態では1000時間経過させればよい。核果類で
は良好に結実させるに要する全休眠時間は1000時間〜15
00時間程度である。なお、完全に休眠した状態であって
も果樹は生きており樹液は循環しているから、休眠状態
であまり冷蔵温度を低くすることは適当でなく、完全休
眠後は休眠限界温度よりも低い温度でかつ休眠限界温度
に近い5℃ぐらいの温度で維持管理するのが適当であ
る。
【0013】なお、果樹を冷蔵して人為的に休眠させる
場合、果樹はコンテナ等を用いて鉢植えの状態で冷蔵さ
せることが必要である。これは、冷蔵操作の場合に果樹
の根部を冷却するためのもので、上記の休眠促進操作も
この根部を冷却することによって成り立っている。した
がって、果樹を冷蔵する場合は根部を冷却することがで
きるように鉢植え状態として冷蔵庫内に持ち込むように
する。なお、このように鉢植え状態にして取り扱うこと
でポット育苗によることができ、搬送等が容易になると
いう利点がある。なお、休眠させている間は適宜灌水を
行うようにする。
【0014】所要の休眠時間が経過したら、冷蔵環境か
ら果樹を外部のハウス内の生育環境に移し、生育を開始
する。なお、冷蔵環境から外部に出す場合は休眠限界温
度以上の10℃程度のやや低温の状態におく推移期間を
経過させてから加温状態のハウス内に移すのがよい。ハ
ウス内の加温環境下で、適宜灌水等を行って生育させ
る。露地栽培にくらべて剪定はやや強めにするのがよ
く、すべての枝について先がりを行うようにする。これ
によって結実率を高めることができる。
【0015】上述した方法によって休眠を促進させ、完
全休眠させてから、ハウス内で加温生育させることによ
って、充実した花芽を形成することができ良好に結実さ
せることが可能になる。本栽培方法においては結実に必
要な休眠時間を確実にとることによって結実率を高めて
いる。本発明者はこの休眠時間を十分にとることによっ
て人工休眠させた果樹の場合でも結実率を高めることが
でき、優れた品質の果実を得ることができることを確か
めることができた。また、本発明方法によれば、果樹が
青葉の状態で人為的に休眠状態にはいらせるから、外的
な自然環境とは関係なく休眠開始を進めることができ、
結果として収穫時期を大幅に早めることが可能となる。
また、休眠時期を適宜選択することができるから、収穫
時期を適宜設定することが可能になる。本栽培方法は落
葉果樹の栽培方法として一般的に適用できる方法であ
り、ぶどう、桃、りんご、桜桃等の種々の果樹に適用す
ることができる。そして、本方法を利用することによっ
ていわゆる促成栽培による収穫時期にくらべて数か月程
度収穫時期を早めることができるようになる。また、収
穫サイクルを連続させることによって周年栽培も可能と
なる。
【0016】
【実施例】以下、本発明の好適な実施例として桜桃の栽
培に本発明方法を適用した栽培例について説明する。表
1および表2は桜桃の木を冷蔵庫内に持ち込み、休眠操
作を行って完全休眠させ、一定の休眠期間を経過させた
後、ハウスに移して生育させた状況を示す。なお、栽培
用の木は果実を収穫した後4か月以上経過した木で、コ
ンテナに植えつけて冷蔵庫内に収容した。表1は冷蔵庫
内に収容して休眠させた管理内容、表2は完全休眠した
後、一定期間休眠状態を維持し、冷蔵庫からハウスに移
して生育させた状況を示す。
【表1】
【表2】
【0017】実施例では桜桃の木を冷蔵庫内に収容した
後、表1に示すように、週ごと昼間の時間が徐々に短く
なるように設定して5週間かけて休眠させた。昼間と夜
間とで冷蔵庫の設定温度を変え、第1週〜第4週までは
昼間温度が休眠限界温度の7.2 ℃以上になるようにし、
第5週では昼間温度も休眠限界温度以下になるようにし
た。なお、休眠限界温度以上に設定する場合も冷蔵庫内
の温度は時間経過とともに低下するように設定した。光
照射時間は昼間部のみとした。昼間時間が短くなること
から光照射時間は週をおって徐々に短くなる。なお、灌
水は鉢がかわき過ぎないように適宜行った。
【0018】表1の最下欄には各週ごと休眠限界温度以
下になる時間を示す。徐々に休眠限界温度以下となる時
間が長くなっている。人為的な休眠操作によると桜桃の
休眠に要する時間は450 時間程度であり、上記操作によ
って第5週経過時には休眠限界温度以下の時間が546 時
間となって完全に休眠状態となる。冷蔵庫に収容した時
点では青かった葉は第5週経過時には枯れた状態になっ
た。この時点で葉をすべてむしって取り、完全休眠状態
を維持させる状態に移行させた。完全休眠状態では表2
に示すように、光照射を断つとともに冷蔵庫内の温度を
5℃の一定温度に維持して6週間経過させた。この第6
週から第11週の終了時までで休眠限界温度以下におか
れる時間は合わせて1008時間である。
【0019】桜桃の休眠時間としては1400〜1500時間程
度必要であるが、上記の第1週から第11週の終了まで
で休眠限界温度以下の時間は総合計で1554時間となる。
したがって、これで十分な休眠時間が得られたことにな
る。第12週と第13週は冷蔵庫からハウスに桜桃の木を移
す推移期間で、冷蔵庫内の温度を休眠限界温度以上に設
定して木をならす期間である。この場合も光照射は行わ
ず、冷蔵温度のみ上げるようにした。なお、この期間も
灌水は適宜行った。
【0020】第13週終了後、ハウス内に移して加温
し、生育を開始した。ハウス内温度は昼間は20℃、夜間
は 8℃とした。日照等は自然条件にしたがうが日照時間
が不足する場合は人工照明によって補った。ハウスに移
した後は、通常のハウス栽培と基本的には変わらない。
花芽がふくらみはじめたら3日に1回位の割合で落花ま
で葉面散布を行った。これは結実率を向上させるためで
ある。桜桃の品種のうち早い品種では、ハウスにいれた
後25日目頃から花が咲きはじめ、50日後に出荷可能
となった。遅い品種でもハウスにいれた後40日目頃か
ら花が咲きはじめ、55日で出荷可能となった。なお、
休眠期間を長くするほど開花が早くなる傾向が見られて
いる。
【0021】今回の桜桃の栽培例では9月上旬に冷蔵庫
に桜桃の木を収容し、5週間(10月上旬)で休眠さ
せ、13週(11月下旬)経過したところでハウス内に
移して実をつけさせた。そして、ハウス内でほぼ50日
経過した2月上旬に出荷可能となった。従来の桜桃の促
成栽培による出荷時期はもっとも早いもので3月中旬で
ある。今回の栽培例はこれにくらべても1か月以上収穫
時期を早めることができた。このように出荷時期を大き
く早めることができたのは、桜桃を青葉の段階から人為
的に休眠させることができたことによっている。
【0022】桜桃は果樹類のうちでも実を結ばせること
が非常に困難な果物である。促成栽培等で実際に花が咲
いても結実しなかったり、結実しても実が落ちてしまっ
たり、粒の大きな実が得られなかったりするという問題
がしばしば生じる。しかしながら、上記の栽培方法によ
ればこれらの問題を解消して粒の大きな良品を収穫する
ことができ、青葉の段階から休眠操作を行っても、一定
条件を満足するよう管理することによって確実に結実さ
せることができる。なお、本発明方法は人為的に休眠を
させる方法をとるから、休眠開始時期を適宜設定するこ
とによって周年栽培が可能となる。表3は本発明方法に
よって桜桃を周年栽培する場合の栽培サイクル例を示
す。
【表3】
【0023】桜桃を休眠させる操作は上述したように人
為的に行うから、休眠させる時期を選択することによっ
て出荷時期を任意に設定することができる。表3では当
年の出荷時期を1月から5月とし、木を生育するに要す
る4か月の期間をとって、上記方法に従って栽培した場
合の次回の出荷時期を示している。たとえば、2月に出
荷した木については当年の12月末から出荷を開始する
ことが可能で、3月に出荷した木については次年の1月
末からの出荷が可能となることを示す。この周年栽培方
法によれば、次回の出荷までに要する期間が1年以内に
短縮できるから、表3の最下欄のように当年の1月に出
荷したものについては11月末からの出荷が可能とな
る。年末は贈答等で需要期になるから、高付加価値商品
として提供することが可能である。
【0024】以上、桜桃についての実際の栽培例につい
て説明したが、桜桃以外に桃、りんご、ぶどう等につい
ても同様に適用可能である。発明者は桃についても上記
栽培方法を適用することによって早期収穫が可能である
ことを確かめている。桃の場合には桜桃よりも結実率が
高く、休眠期間が若干不足する場合でも率は低いが結実
する。
【0025】
【発明の効果】本発明に係る桜桃等果樹類の周年栽培方
法によれば、上述したように、従来の促成栽培による収
穫時期にくらべさらに早い時期から収穫することが可能
になるとともに、果樹を人為的に休眠させることによっ
て休眠時期を任意に選択することができ、収穫時期を適
宜設定することが可能になる。これによって、従来方法
では品物を収穫することができない時期であっても収穫
することが可能となり、周年栽培も可能となってより付
加価値の高い商品として提供することが可能となる等の
著効を奏する。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 桜桃、桃等の落葉果樹類を一定期間冷蔵
    して休眠させた後、加温環境下にて結実させる落葉果樹
    類の周年栽培方法において、 前記落葉果樹を所要期間生育させた後、落葉前に冷蔵装
    置を利用して冷蔵を開始し、 冷蔵温度を徐々に降下させるとともに果樹に対する光照
    射時間を徐々に短縮させる休眠促進操作を行うことによ
    って果樹を休眠させ、 休眠状態のまま所要の休眠期間を経過させた後、冷蔵環
    境から自発休眠覚醒させ加温環境に果樹を移して開花結
    実させることを特徴とする桜桃等の落葉果樹類の周年栽
    培方法。
  2. 【請求項2】 果樹を休眠促進操作する際に、前記果樹
    を鉢植えにして、根部を全体的に冷却することを特徴と
    する請求項1記載の桜桃等の落葉果樹類の周年栽培方
    法。
  3. 【請求項3】 休眠促進操作によって休眠させた後の果
    樹の冷蔵温度を休眠限界温度以下の5 ℃〜6 ℃に設定す
    ることを特徴とする請求項1または2記載の桜桃等の落
    葉果樹類の周年栽培方法。
JP8037792A 1992-03-02 1992-03-02 桜桃の周年人工促成栽培方法 Expired - Lifetime JP2710259B2 (ja)

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