JPH0523353A - 保護矯正具 - Google Patents

保護矯正具

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JPH0523353A
JPH0523353A JP3201111A JP20111191A JPH0523353A JP H0523353 A JPH0523353 A JP H0523353A JP 3201111 A JP3201111 A JP 3201111A JP 20111191 A JP20111191 A JP 20111191A JP H0523353 A JPH0523353 A JP H0523353A
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protective
hollow
dental arch
tooth
parts
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JP3201111A
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English (en)
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Narutoshi Matsuda
成俊 松田
Takashi Hashimoto
隆 橋本
Shozo Arata
正三 荒田
Shigemichi Honda
成道 本田
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Mitsui Petrochemical Industries Ltd
Original Assignee
Mitsui Petrochemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】歯列弓の左側臼歯部および右側臼歯部において
咬合面に当接する部位のみが中空である保護矯正具。 【効果】耐久強度が従来よりも優れており、衝撃吸収能
力が従来よりも高い構造を有し、さらに、咬合力、およ
び、衝撃力を吸収する部位を左右顎に分散させる機構を
備え、加えて、会話あるいは発声時の支障が従来よりも
少なく、異物感が従来よりも少ない形状を採用すること
により、従来技術による保護矯正具に伴う問題点を解決
した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は保護矯正具に関する。さ
らに詳しくは、各個人の歯列に応じた形状に予め形成さ
れた保護矯正具に関する。
【0002】
【従来の技術】ボクシング、アメリカンフットボールな
どの激しい動作を伴うスポーツでは、歯列を保護するた
め、および、脳への衝撃を緩和するため、一般にマウス
ピースと呼ばれている保護具が広く用いられている。ま
た、歯科医院では、歯列の咬合状態が正常でない患者の
歯列咬合状態を改善するため、歯列矯正具が用いられて
いる。
【0003】ところで、従来、上記の用途の保護矯正具
は、酢酸ビニル樹脂を代表とする弾力性を有する熱可塑
性樹脂から形成されていた。かかる保護矯正具は、一般
に、加熱して軟化させたのち、火傷しない程度に冷ま
し、硬化しないうちに歯列で噛んで各個人の歯列に応じ
た形状に変形させて用いている。
【0004】しかしながら、かかる保護矯正具は、手指
を用いて変形させることから、各個人の歯列、および、
歯牙形状に完全に適合した形状に変形させることが困難
であり、装着時の密着性あるいは装用感が不充分であっ
た。
【0005】一方、歯科医院において、歯科の通法にし
たがって、各個人の歯列の印象を採取したのち、石膏模
型を作製し、この石膏模型を用いて、弾力性を有する熱
可塑性樹脂を高温に加熱して溶融成形させ、装着時の密
着性あるいは装用感の良い保護矯正具が製作されてい
る。
【0006】しかしながら、このようにして加熱溶融成
形された保護矯正具においても、熱可塑性樹脂を用い
て、その硬化によって形状を保持していることに起因す
る弾力性の不足、および保護矯正具を使用中に、咬合力
による塑性変形の蓄積によって、早期に破断を来すとい
う欠点を有していた。また、各個人の咬合力、あるい
は、付加される衝撃力が左右の顎で異なる場合に、その
部位に局所的に強い力がかかることを防止することがで
きないという欠点を有していた。
【0007】そこで、本発明者は、先に、歯牙当接面側
を弾力性を有する熱可塑性基板で形成し該基板外面側の
周縁部に変形可能な薄膜シートの周縁部を固着して中空
部を有させたマウスガード外表面部を形成すると共に該
中空部に液体や気体等の流動体を注入充填して緩衝部を
形成したことを特徴とするマウスガードを提案した(実
開平1−147868号公報参照)。
【0008】しかしながら、該考案のマウスガードにお
いても、咬合時に歯牙咬合面以外の中空部が容易に膨張
変形するため、臼歯咬合面部の薄膜シートと熱可塑性基
板とが直接当接し、衝撃力の、吸収および左右の顎への
均等化が不充分であった。
【0009】さらに、従来の保護矯正具は、歯列で噛ん
で各個人の歯列に応じた形状に変形させるもの、あるい
は、各個人の歯列の石膏模型を用いて加熱溶融成形され
るもの、いずれの場合も、歯列前歯部の内側、即ち、舌
側の形状が、歯列前歯部の外側、即ち、唇側の形状とほ
ぼ同様に形成されていることから、該保護矯正具の前歯
舌側面当接部分が舌先端に接触して異物感を感じさせる
ばかりでなく、会話あるいは発声を要する際に、発声し
にくいという欠点を有していた。したがって、該保護矯
正具の使用者は、衝撃がかかると予見した時にのみ、保
護矯正具を装着する傾向が強く、このため、予見できな
い事故から保護するという、保護矯正具本来の目的を全
うできない場合があった。
【0010】そこで、本発明者は、先に、スポーツで使
用する顎口腔領域の外傷の発生を減じるマウスガードに
おいて、上顎の第3大臼歯を除く歯牙の唇頬側は、歯頸
部より2mm程度歯肉に覆設し、前歯部口蓋側は切端部の
みを覆い、臼歯部口蓋側は歯頸部に至るまで覆うと共
に、奥端を遠心面に及ばないようにし、マウスガードの
縁端部を歯牙から歯肉に至るまで、弾性体素材で形成し
たマウスガードを提案した(実公平2−46388号公
報参照)。
【0011】該考案の形状は、本発明の保護矯正具に応
用することによって、前述の、会話あるいは発生を要す
る際に発音しにくいという欠点を解消した保護矯正具を
提供することができるので好適である。
【0012】
【発明が解決すべき課題】本発明の目的は、新規な構造
を備えた保護矯正具を提提供することにある。本発明の
他の目的は、衝撃吸収能力が従来よりも高い構造を有
し、さらに、咬合力、および衝撃力を吸収する部位を左
右顎に従来よりも効果的に分散させる機構を備え、加え
て、会話あるいは発声時の支障が少なく、異物感が少な
い形状の保護矯正具を提供することにある。
【0013】本発明のさらに他の目的は、使用中の耐久
強度が従来よりも強い素材を用い、素材からしても衝撃
に強い保護矯正具を提供することにある。本発明のさら
に他の目的および利点は以下の説明から明らかとなろ
う。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、本発明
の上記目的および利点は、歯列弓の左側臼歯部および右
側臼歯部において咬合面に当接する部位のみが中空であ
ることを特徴とする保護矯正具によって達成される。
【0015】歯列弓の左側臼歯部および右側臼歯部にお
いて咬合面に当接する部位のみが中空であることによっ
て、咬合力あるいは衝撃力が最も大きくなる臼歯部にお
いて、中空部がいたずらに膨張変形して上下顎の歯牙の
咬合面が中空部を完全に押しつぶすことを回避できるの
で、衝撃力の吸収に高い効果を発揮する。
【0016】本発明の保護矯正具は、エチレン−α−オ
レフィン−ジエン共重合体を架橋してなる架橋体から形
成されていることが好ましい。また、本発明の保護矯正
具は、エチレン−α−オレフィン−ジエン共重合体を構
成するジエンが、ジシクロペンタジエンおよびエチリデ
ンノルボルネンの少なくともいずれか一方であることが
好ましい。
【0017】前記のエチレン−α−オレフィン−ジエン
共重合体の架橋体は、高分子間が架橋していることによ
り、ゴム弾性を有するので、弾力性が従来の熱可塑性樹
脂よりも大幅に高く、しかも、使用中の耐久強度が従来
の熱可塑性樹脂よりも強い。また、前記の特定のジエン
は、エチレン−α−オレフィンとの共重合性が高く、ま
た、架橋処理による架橋度が高いので、架橋体が高性能
となる特長がある。
【0018】本発明の保護矯正具は、歯列弓の左側臼歯
咬合面部および右側臼歯咬合面部に当接する部位の中空
部間が該歯列弓の犬歯乃至前歯部に当接する部位内を経
由する通路例えば細管で導通可能に連結されていること
すなわち流体連結されていることが好ましい。
【0019】該中空部間が該歯列弓の犬歯乃至前歯部に
当接する部位内を経由する通路で流体連結されているこ
とによって、連結部がいたずらに膨張変形して左右の臼
歯咬合面部の中空部間の圧力伝達および流体の移行が減
殺されることなく、衝撃力および歯牙乃至顎の変位を左
右の顎へ従来よりも均等に分散することができる。
【0020】また、本発明の保護矯正具は、歯列弓の左
側臼歯咬合面部あるいは右側臼歯咬合面部にそれぞれ当
接する部位の中空部内およびそれらの中空部間を連結す
る通路内に可流動体が保持ないし充填されていることが
できる。可流動体は例えば空気、空気以外の気体、液
体、粉体、ゲル体のいずれか、または、空気を含むこれ
らの可流動体の2種以上の混合物である。液体は例えば
水を主成分としてなる。
【0021】前記の保護矯正具においては、左側臼歯咬
合面部あるいは右側臼歯咬合面部にそれぞれ当接する中
空部が該歯列弓の犬歯乃至前歯部に当接する部位内を経
由する通路で導通可能な連結部を介して連結されること
により、左側の中空部に右側よりも大きい変形が加わっ
た場合には、左側の中空部内の可流動体が該連結部内を
移動して右側の中空部を膨張させ、右側の上下顎臼歯間
を押し広げる。これとは逆に、右側の中空部に左側より
も大きい変形が加わった場合には、前記の逆の過程が起
きる。その結果、左右の上下顎臼歯間に発生する力が常
に同じになる方向に制御され、咬合力、および、衝撃力
を吸収する部位を左右顎に分散させる効果を発揮する。
【0022】本発明の保護矯正具は、前歯に当接する部
位が該歯の固有切端面と舌側面との境界面近傍から始ま
り、該歯の唇側面乃至歯頸部にかけてのみ形成されてい
ることができる。この保護矯正具は、前歯の舌側面乃至
舌側面歯頸部を被覆しない形状であり、従来の保護矯正
具における、前歯舌側面当接部分が舌先端に接触して異
物感を感じさせるばかりでなく、会話あるいは発声を要
する際に、発声しにくいという欠点を解消するものであ
る。
【0023】以下に本発明に係る保護矯正具についてさ
らに具体的に説明する。本発明の保護矯正具は、歯列弓
の左側臼歯咬合面部および右側臼歯咬合面部にそれぞれ
当接する部位に中空を有していることを特徴としてい
る。ここで言う臼歯咬合面部に当接する中空部として
は、歯列弓の第1小臼歯乃至第3大臼歯の内、第1小臼
歯乃至第2大臼歯の4歯を主な対象とする。
【0024】なお、第3大臼歯は、一般に、智歯または
親知らずと呼ばれている歯で、最近は抜去される場合が
多い。顎関節の構造と運動挙動の特性により、咬合力あ
るいは衝撃力が最も大きくなる臼歯部において、該中空
部は、衝撃吸収能力を大幅に向上させる。中空部の大き
さは、対象とする個人の歯列弓の大きさによって異なる
が、厚さ1mm乃至3mm、幅3mm乃至10mmのおおむね平
板状、楕円筒状、あるいは、半楕円筒状で、臼歯咬合面
の幅を大幅には越えない幅で、長さはおよそ25mm乃至
35mmの範囲である。該中空部の形成方法としては、中
空部に対応する形状を、該保護矯正具の素材と接着性の
ない薄膜状の素材を用いて作製し挿入しておき、前記両
素材の接着していない境界に可流動体を注入する方法、
該保護矯正具の素材と接着するが内部が連通した多孔質
で形成されている弾力性のある素材を挿入する方法、架
橋処理あるいは沸水煮沸処理で溶融気化して該保護矯正
具の素材を透過し散失する素材で中空部に対応する形状
を築成する方法などを例示できる。
【0025】本発明の保護矯正具を形成するエチレン−
α−オレフィン−ジエン共重合体を架橋してなる架橋体
において、該共重合体のエチレン成分の比率としては、
エチレン−α−オレフィンの総量に対して、50モル%
乃至95モル%が好ましいが、エチレン成分の比率が低
すぎると架橋度が上がり難いので、エチレン成分の比率
を70モル%以上とするのが、より好ましい。
【0026】該共重合体の架橋方法としては、工業的に
は通常、硫黄架橋あるいは過酸化物架橋が用いられてい
るが、硫黄架橋の場合には架橋体に硫黄の臭気が残留し
やすいので、保護矯正具用途には不向きであり、過酸化
物架橋を用いるのが好ましい。過酸化物としては、種々
の化合物を用い得るが、該保護矯正具を製造する工程
で、未架橋の混練組成物を薄板状に成形し、これを加熱
軟化させたのち、各個人の歯列模型上に塑性加工する必
要があるので、この工程までに架橋が開始しないよう維
持する必要がある。そのため、分解開始温度が塑性加工
温度以上の過酸化物を選択する。通常、2時間半減期温
度で約100℃以上の分解温度を有する過酸化物を用い
る。
【0027】また、未架橋の該保護矯正具を成形した
後、加熱による架橋処理を行なう工程で、該未架橋保護
矯正具は、その熱変形を防止するため、歯列弓の石膏模
型および埋没用石膏硬化体と一体のままで加熱架橋処理
されることから、石膏模型および石膏硬化体の耐熱温度
以下で加熱架橋する必要がある。歯科用石膏の耐熱温度
は、高々130℃程度であるため、過酸化物の分解温度
も2時間半減期温度で約130℃以下のものを選択する
必要がある。
【0028】したがって、過酸化物の分解温度は、2時
間半減期温度で約100℃乃至約130℃が好ましい。
この条件を満たす過酸化物としては、例えば、1,1−
ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシ
クロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)
シクロヘキサン、t−ブチルパーオキシラウレート、t
−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、シクロ
ヘキサンパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアリル
カーボネートなどが例示できる。
【0029】なお、過酸化物の分解物が臭気を有する場
合、あるいは安全上不安が残る場合には、架橋処理終了
後に、分解物を除去する処理を行う。例えば、通常の過
酸化物の場合には、アルコール性分解物が生成するの
で、架橋済みの保護矯正具を石膏型から取り出し、沸水
で煮沸処理すると、分解物が水に抽出され、同時に保護
矯正具の臭気も除去されるので好ましい。
【0030】このようにして作製された架橋保護矯正具
は、高分子間が架橋していることにより、ゴム弾性を有
するので、弾性変形性、並びに、弾性回復性が従来の熱
可塑性樹脂よりも大幅に高く、しかも、使用中の耐久強
度、即ち、繰り返し咬合による永久変形量が少なく、ひ
いては、噛み切り破断に至るまでの耐久性が従来の熱可
塑性樹脂よりも良好である。
【0031】エチレン−α−オレフィン−ジエン共重合
体を構成するα−オレフィンとしては、炭素数3ないし
10のα−オレフィン、例えばプロピレン、1−ブテ
ン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペ
ンテン、1−オクテン、1−デセン及びこれらの混合物
を挙げることができるが、なかでも1−ブテンが好まし
い。
【0032】エチレン−α−オレフィン−ジエン共重合
体を構成するジエンは、ジシクロペンタジエン、あるい
は、エチリデンノルボルネンの少くともいずれか一方で
あることが好ましい。該ジエンは、エチレン−α−オレ
フィンとの共重合性が高く、また、架橋処理による架橋
度が高いので、架橋体のゴム弾性を大きくする特長があ
る。該ジエンの共重合率は、エチレン−α−オレフィン
の総量に対して、通常、5モル%乃至60モル%が好ま
しい。
【0033】共重合率が高すぎると、架橋速度が速すぎ
て局部発熱のため架橋反応が暴走しやすく、未架橋成形
物の成形が困難となる。したがって、共重合率が約40
モル%以下の共重合体を選択するのが、より好ましい。
一方、共重合率が低すぎると架橋度が低くなり、架橋体
のゴム弾性が低下する。したがって、共重合率が約20
モル%以上の共重合体を選択するのが、より好ましい。
前記の理由から、ジエンの共重合率は、エチレン−α−
オレフィンの総量に対して、20モル%乃至40モル%
がより好ましい。
【0034】また、本発明の保護矯正具の未架橋組成物
には、架橋速度を制御するための安定剤、成形工程・架
橋処理工程・沸水煮沸工程での表面劣化を抑制するため
の酸化防止剤、保護矯正具の表面硬度、あるいは、ゴム
弾性を調整するための有機あるいは無機の充填材、及
び、着色材などを添加することもできる。
【0035】本発明の保護矯正具における、歯列弓の左
側臼歯咬合面部あるいは右側臼歯咬合面部にそれぞれ当
接する部位に存在する中空部間が歯列弓の犬歯乃至前歯
部に当接する部位内を経由する通路で導通可能な連結部
を介して連結されていることにより、左側の中空部に、
右側よりも大きい変形が加わった場合には、左側の中空
部内の可流動体が該連結部内を移動して、右側の中空部
を膨張させ、右側の上下顎臼歯間を押し広げる。
【0036】また、これとは逆に、右側の中空部に、左
側よりも大きい変形が加わった場合には、前記の逆の過
程が起きる。その結果、左右の上下顎臼歯間に発生する
力が常に同じになる方向に制御され、咬合力、および、
衝撃力を吸収する部位を左右顎に分散させる効果を発揮
する。
【0037】導通可能な連結部を形成する方法として
は、上記の如く連結部に対応する形状を、該保護矯正具
の素材と接着性のない素材を用いて作製して挿入し、非
接着界面を導通可能な連結部として用いる方法、該保護
矯正具の素材と接着する、接着しないにかかわらず、内
部が連通開口している素材を挿入する方法、架橋処理あ
るいは沸水煮沸処理で溶融気化して該保護矯正具の素材
を透過し散失する素材で連結部に対応する形状を築成す
る方法などを例示できる。
【0038】本発明の保護矯正具において、歯列弓の左
側臼歯咬合面部あるいは右側臼歯咬合面部にそれぞれ当
接する部位の中空部に保持ないし充填されている可流動
体は、該保護矯正具の素材を透過拡散して吸入置換され
た空気であることができ、また、外部から該保護矯正具
の素材を透過拡散させて吸入置換させた空気以外の気
体、あるいは、外部から該保護矯正具の素材を通して機
械的に注入した液体、粉体、流動性ゲル体のいずれか、
または、空気を含むこれらの可流動体の2種以上の混合
物であることができる。
【0039】該可流動体を中空部に機械的に注入する方
法としては、細い注射針を装着した注射筒に予め注入す
る可流動体を充填しておき、該保護矯正具の中空部に注
射針を突き刺し、中空部を外力で圧迫しながら、注射筒
ピストンを引出すことによって、既に中空部内に存在し
ている気体を注射筒内に吸出して注射筒のピストン付近
に上昇させ、次いで、中空部の外力による圧迫を解除し
ながら注射筒のピストンを押し込むことによって、可流
動体の比重が空気よりも大きいことによって注射筒の針
元側に移行している該可流動体を中空部内に注入する方
法を例示できる。
【0040】注入後の細い注射針跡は、該保護矯正具の
素材である架橋ゴムのゴム弾性によって自動的に封止さ
れるが、使用時の過大な咬合力あるいは衝撃力による中
空部の圧迫によって、注入した可流動体が噴出すること
が想定される場合には、該保護矯正具の素材の厚さが特
に厚い部位を選んで注射針を突き刺すようにする。また
は、保護矯正具を強く噛み締めた時に、突き刺し跡が押
し潰される位置になるように突き刺し経路を選定する。
さらに確実に封止するには、突き刺し跡に、注射針で該
保護矯正具の素材に接着する接着剤を塗布することがで
きる。可流動体として水を主成分に用いることにより、
水の非圧縮性に由来する速い圧力伝達性、高い安全衛生
性、安価性などの利点がもたらされる。
【0041】本発明の保護矯正具は、前歯に当接する部
位が該歯の固有切端面と舌側面との境界面近傍から始ま
り、該歯の唇側乃至歯頸部にかけてのみ形成されている
ことができる。このような保護矯正具は、前歯の舌側面
乃至舌側歯頸部を被覆しない形状であり、従来の保護矯
正具における、前歯舌側面当接部分が舌先端に接触して
異物感を感じさせるばかりでなく、会話あるいは発声を
要する際に、発声しにくいという欠点を解消するもので
ある。本発明の保護矯正具を作製する全工程の例を、実
施例を挙げて以下に説明する。
【0042】
【実施例】
実施例1 (素材の混練)5インチ直径の2本ロール式混練機
〔(株)安田精機製作所製、MIXINGROLL型式
No.191TM〕を用いて、ロール表面温度を100℃
に設定して回転させ、エチレン−1−ブテン−ジシクロ
ペンタジエン共重合体(以下、EBTと略記する:エチ
レンと1−ブテンのモル比 90/10、ヨウ素価 1
0、固有粘度[η] 1.0 − デカリン溶媒中135℃
で多点法により測定)ペレット100gを溶融し、均一
な薄い板状になるまで混練した。次いで、ロール混練作
業用皮切りナイフでロール上の溶融状態のEBT板状体
を切り返しながら、酸化亜鉛粉末〔和光純薬(株)製、
試薬特級〕0.5g、ステアリン酸粉末〔和光純薬
(株)製、試薬1級〕0.5g、シリカ粉末〔日本アエ
ロジル(株)製、RM−50〕30g、および、ポリブ
タジエン液〔日本石油化学(株)製、日石ポリブタジエ
ンB−300〕10gを予め混合した混合物を徐々に添
加した。添加終了後もさらに5分間続けてロール混練し
た。ついで、無機系顔料〔東洋インキ製造(株)製、Y
−3〕0.5gを添加し、さらに3分間ロール混練し
た。次に、過酸化物粉末〔日本油脂(株)製、パーヘキ
サ 3M−40〕0.5gを徐々に添加しながら、3分
間ロール混練した後、ロールから取り出し放冷した。
【0043】(薄板状の中間素材の成形)前記のロール
混練後の素材を型温度を100℃に設定した加熱圧縮成
形機〔(株)神藤金属工業所製、50トン・プレス成形
機〕を用いて、金枠内で長さ12cm、幅12cm、厚さ1
mmの薄板状の中間素材に成形した。該中間素材は、粘着
を避けるため、ポリテトラフルオロエチレン製フィルム
〔日本バルカー(株)製、テフロン(R)フィルム〕に挟
んで室温で保存した。
【0044】(保護矯正具の歯側層の成形)常法にした
がって歯科医院にて製作されたヒト上顎歯列弓の石膏模
型を、卓上型圧空成形機〔エルコデント社製、エルコプ
レス(R)〕の模型載置台上に載せ、一方、前記の中間素
材薄板の外周部を素材取り付け治具に挟んで水平に取り
つけ、同成形機の赤外線加熱装置を作動させて、中間素
材薄板を温度約60℃まで加熱し軟化させた。次いで、
同成形機の5kg/cm2 ゲージの圧縮空気放出弁を開き、
加熱軟化した前記の中間素材薄板を、素材取り付け治具
に挟んだままで歯列弓の石膏模型上に急速降下させ、同
時に降下してくる空気導入筒内の圧縮空気圧で、加熱軟
化した中間素材薄板を歯列弓の石膏模型に押圧成形する
と同時に空気冷却した。
【0045】(中空部の形成)前記の保護矯正具の歯側
層を石膏模型に取りつけた状態のままで、左右臼歯咬合
面の第2小臼歯乃至第2大臼歯に対応する部分の上面に
印象用周縁保護ワックスを幅約5mm、厚さ約2mmの概ね
楕円筒状に築成した。
【0046】(中空部間の連結部の形成)次いで、同ワ
ックスを直径約1mmの細ひも状に手指で形成した後、歯
列弓模型上の左中空部を成すワックス築成体の縁から左
第1小臼歯、前歯、右第1小臼歯のそれぞれ切端上面を
辿って、右中空部を成すワックス築成体の縁までを該細
ひも状ワックスで連結した。
【0047】(反歯側層の重ね合わせ成形)中空部、お
よび、中空部間連結部をワックスで形成した保護矯正具
の歯側層を石膏模型に取りつけた状態のままで、再び、
前記の卓上型圧空成形機の所定位置に載せ、歯側層を成
形した手順と同様の手順で、もう1枚の中間素材薄板を
圧空成形した。かくして、ワックスで成形した中空部、
及び中空部間連結部を内外2層間に挿入した未架橋状態
の保護矯正具前駆体を成形した。
【0048】(外形仕上げ操作)未架橋状態の保護矯正
具前駆体を石膏模型に取りつけた状態のままで、該前駆
体の外形を、鋭利な刃を備えたデザイン・ナイフを用い
て切断し、所望の外形を整えた。
【0049】(架橋処理)外形を整え終わった該前駆体
を石膏模型から取外し、全表面に、石膏埋没・架橋処理
時の保護矯正具表面肌荒れを防止する目的で、液状シリ
コーン樹脂〔東芝シリコーン(株)製、TSE350〕
を筆で塗布し、風乾して、該シリコーン樹脂を硬化させ
た。次に、シリコーン樹脂で被覆した該前駆体を円筒容
器〔直径13cm、深さ12mm〕に入れ、石膏〔松風
(株)製、ユニストーン〕を常法にしたがって水和調製
した液に埋没させ、硬化させた。石膏が硬化したのち、
石膏埋没体を容器から取外し、約50℃の熱風乾燥機内
で12時間乾燥した。次いで、架橋反応を行なわせるた
め、保護矯正具前駆体を埋没したままの石膏埋没体を1
20℃の熱風乾燥機内で24時間加熱処理した。
【0050】(歯列保護矯正具の取り出し)熱風乾燥機
から取り出し、放冷後、石膏破砕具を用いて石膏を割
り、架橋済みの歯列保護矯正具を取り出し、表面の硬化
したシリコーン樹脂被覆膜を剥離した。
【0051】(脱臭抽出処理)次いで、沸騰水中で1時
間煮沸したのち取り出して放冷し、保護矯正具の完成品
とした。
【0052】実施例2 実施例1の中空部形成の素材を歯科簡易防湿用唾液吸収
材〔吉岡歯研(株)製、簡易防湿用唾液吸収材〕に変更
し、市販の両面粘着テープで貼りつけ、また、中空部間
連結部の素材を該両面粘着テープを紙縒り状にしたもの
に変更したほかは、実施例1と全く同じ方法を用いて、
所期の保護矯正具を作製した。
【0053】実施例3 実施例2の中空部間連結部の素材をシリコーン樹脂製細
チューブ〔ラボラン(R ) シリコンチューブ〕に変更した
ほかは、実施例2と全く同じ方法を用いて、所期の保護
矯正具を作製した。
【0054】
【発明の効果】本発明に係る保護矯正具は、耐久強度が
従来よりも優れており、衝撃吸収能力が従来よりも高い
構造を有し、さらに、咬合力、および、衝撃力を吸収す
る部位を左右顎に分散させる機構を備え、加えて、会話
あるいは発声時の支障が従来よりも少なく、異物感が従
来よりも少ない形状を採用することにより、従来技術に
よる保護矯正具に伴う問題点を解決した好適な保護矯正
具である。
【図面の簡単な説明】
【図1】歯列の模型を示す概略図である。
【図2】本発明の保護矯正具の一例を示す概略図であ
る。
【図3】図1の歯列の模型に図2の本発明の保護矯正具
を装着した様子を示す概略図である。
【図4】図3のB−B断面図である。
【図5】図3のA−A、A’−A’断面図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 本田 成道 山口県玖珂郡和木町和木六丁目1番2号 三井石油化学工業株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 歯列弓の左側臼歯部および右側臼歯部に
    おいて咬合面に当接する部位のみが中空であることを特
    徴とする保護矯正具。
  2. 【請求項2】 エチレン−α−オレフィン−ジエン共重
    合体を架橋してなる架橋体から形成されている請求項1
    の保護矯正具。
  3. 【請求項3】 ジエンがジシクロペンタジエンおよびエ
    チリデンノルボルネンより選らばれる請求項2の保護矯
    正具。
  4. 【請求項4】 歯列弓の左側臼歯部の咬合面に当接する
    部位の中空と右側臼歯部の咬合面に当接する部位の中空
    とが歯列弓の犬歯乃至前歯部に当接する部位内を経由す
    る通路で流体連結されている請求項1の保護矯正具。
  5. 【請求項5】 中空内に可流動体が充填ないし保持され
    ている請求項4の保護矯正具。
  6. 【請求項6】 可流動体が水を主成分としてなる請求項
    5の保護矯正具。
  7. 【請求項7】 歯列弓の前歯に当接する部位が、該歯の
    固有切端面と舌側面との境界面近傍から始まり、該歯の
    唇側面乃至歯頸部にかけてのみ形成されている請求項1
    の保護矯正具。
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