JPH0521283Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 この考案はばね推力を利用して工作物を両セン
タ間に支持する工作機械用自動心押台に関する。

従来技術 研削盤等の自動心押台は圧縮ばねの推力で工作
物を支持する構造であるが工作物の着脱時の心押
軸の前進後退は油圧シリンダに嵌挿されるピスト
ンの移動によつて行われているものが多い。とこ
ろが停電又は油圧回路の故障等でシリンダ内の圧
力が低下した場合には工作物の重量及び研削加工
の負荷によつてピストンが前進端位置から後退し
工作物が両センタ間から外れて落下しテーブルや
砥石に衝突し砥石の破壊、工作物の飛び出し等に
よる大きな事故を引起こす恐れを多分に含んでい
る。このような対策として特公昭42−23865号の
ようにピストンが前進し工作物を支持した状態で
ピストン外周切欠き部に直角方向にばねにより楔
を押込んで押圧しピストンの後退を阻止し、後退
時には楔の抜取りとピストン後退とが同時に作動
するような構造がとられている。

考案が解決しようとする問題点 上記の圧油によつて楔を押込んで押圧する方法
では油圧回路の故障によつて楔の押圧力が無くな
つた場合楔のセルフロツク効果だけで心押軸の後
退を阻止することになり、研削盤のように大事故
に結びつく可能性のある安全対策としては万全と
は言い切れない。また、楔のセルフロツク効果を
より安全とするためには楔の勾配を小さく、係合
部を長く取る必要があるが、心押軸の後退時にピ
ストンが楔を押圧して楔が円滑に抜けないという
問題点があつた。

問題点を解決するための手段 工作物Ｗをばね推力を利用して両センタ間に支
持する自動心押台において、心押軸２後方に設け
られた心押軸進退用流体圧駆動機構と、該駆動機
構のピストン１２が前進端に位置するときそのピ
ストンロツド１２ｂ後端の傾斜面１２ｆに直角に
係合され前記ピストン１２の動きをロツクする安
全ノツチ１９と、該安全ノツチ１９を常時突出勝
手に付勢する圧縮ばね２１と、前記安全ノツチの
係合を解除するアンロツク用流体圧駆動機構と、
前記安全ノツチと一体に設けられ前記心押軸進退
用流体圧駆動機構の後退側油路を前記安全ノツチ
の傾斜面との係合が解除される移動によつて開き
係合中は閉止するパイロツトバルブ２３とを含ん
でなり、工作物Ｗ支持中は圧縮ばね２１によつて
付勢された安全ノツチで前記ピストンをロツクし
ロツク解除後に心押軸２の後退を開始するもので
ある。

実施例 以下本考案の実施例を図面にもとづき説明す
る。心押台本体１に図示しない主軸と同心に穿設
された段付穴１ａ，１ｂに中心穴を有する心押軸
２が嵌挿され穴１ａ，１ｂの段差端面と心押軸外
径段差部で前進端が規制されている。心押軸２の
中心部外周に軸方向のキー溝２ａが穿設されキー
溝２ａに対応して本体１に軸心と直角に穿設され
た穴１ｃに先端がキー３の穴内に嵌挿される止め
軸４が嵌着され心押軸２が軸方向にのみ移動可能
とされている。心押軸２の中心穴の先端部はテー
パ穴２ｂが穿設され工作物Ｗの支持用のセンタ５
が嵌着され後端部には大径段穴２ｃ及び２ｄが穿
設され穴２ｃには軸方向にキー溝２ｅが削設され
後端面にカラー６が固着されている。本体１の後
端に心押軸２と同心に心押軸移動用のシリンダ８
及びこれと直角方向の安全ノツチ用シリンダ１０
が穿設されたシリンダブロツク１１が固着されて
いる。そしてシリンダ８には油路８ａ，８ｂ、シ
リンダ１０には油路１０ａが設けられている。シ
リンダ８に嵌挿される中心穴を有するピストン１
２は両端に一体のピストンロツド１２ａ，１２ｂ
を有し、ピストンロツド１２ｂの先端は傾斜端面
１２ｆが設けられピストンロツド１２ａの先端に
鍔部１２ｃが設けられている。鍔部１２ｃの外周
にキー１４が植設されて心押軸の大径穴２ｃ内に
鍔部１２ｃが嵌挿されキー１４がキー溝２ｅと係
合して回り止めとされている。またピストン１２
の中心穴は心押軸の大径段穴２ｄと同径に形成さ
れた穴１２ｄ及びねじ１２ｅが設けられている。
そしてねじ１２ｅに推力調整ねじ１５のセンタ５
抜き用の中心穴の先端にスパナ用の六角穴が設け
られ円筒部１５ａ外周にセンタ推力表示用の目盛
りが軸方向に刻設されている。推力調整ねじ１５
と心押軸２の間に圧縮ばね１６が介装されて心押
軸２が常時突出勝手に付勢され推力調整ねじ１５
によりばね推力の調整が可能とされている。ピス
トン１２が工作物Ｗ側の前進端に位置する状態で
ピストンロツド１２ｂの先端の傾斜面１２ｆと先
端テーパ部が直角に係合するシリンダ１０に嵌挿
されるピストン２０と一体の安全ノツチ１９が設
けられている。そしてピストン２０側に中心止ま
り穴２０ａが穿設され止まり穴２０ａとシリンダ
１０の端面の間に圧縮ばね２１が介装されて安全
ノツチ１９が常時突出勝手に付勢されている。更
に安全ノツチ１９の嵌挿されるシリンダ１０の同
心穴１３には穴軸心方向にずれた位置に油溝１３
ａ，１３ｂが設けられ油溝１３ａに油路１３ｃが
油溝１３ｂに油路１３ｄがそれぞれ設けられパイ
ロツトバルブ機構２３のシリンダに形成され安全
ノツチ１９の外周に対応する油溝１３ａ，１３ｂ
にまたがる巾を有する油溝１９ａが設けられスプ
ールバルブに形成されている。このパイロツトバ
ルブ機構２３は安全ノツチ１９が押し出された状
態で油路１３ｃ，１３ｄは閉止され押し下げられ
た状態で開口されるようにされている。そして油
路１３ｃは絞り弁２４と逆止弁２５が並列に接続
されたメータアウト回路を経てシリンダ８の前室
の油路８ａと接続され、油路１３ｄは油路１０ａ
と連結されて油圧回路２７を経て電磁弁２８に接
続されシリンダ８の後室の油路８ｂは油圧回路２
９を経て電磁弁２８に接続されている。電磁弁２
８は両ソレノイド式が採用され前進、後退及
び中間停止の三様の切り換えが可能とされマニ
アル操作時の寸動も可能とされている。心押台本
体１と心押軸２の先端部にかけてゴム製の防水カ
バー３２が伸縮自在に設けられている。そして防
水カバー３２は心押軸２の先端面に設けられた板
金製カバー３３によつて保護されている。カバー
３３の上面に固着されたブラケツト３５が心押台
本体１の上面２個所に設けられた案内ブラケツト
３６Ａ，３６Ｂの穴に嵌挿されたドツグ棒３７の
先端が嵌着され、心押軸の移動に伴い軸心と平行
に移動されるドツグ棒３７にドツグ３８Ａ，３８
Ｂ，３８Ｃが取付位置の変更可能に嵌着されてい
る。またドツグ３８Ａ，３８Ｂ，３８Ｃに対応す
るリミツトスイツチLS１，LS２，LS３は図示し
ない取付具によつて心押台本体に設けられ、心押
軸の位置を検出して図示しない制御装置に信号を
送り、工作物Ｗの支持状態及び心押軸後退位置の
確認がなされるようになつている。

作 用 今円筒研削盤のテーブル上に主軸台に相対して
設けられた自動心押台は心押軸が後退した状態に
あり工作物Ｗは両センタ間に設けられた図示しな
い工作物支持台上に置かれている。図示しない制
御装置によつて電磁弁２８に通電され弁が位置
に切り換えられて圧力油が油圧回路２９を経て油
路８ｂに供給されピストン１２が前進される。そ
して油路８ａから排出される戻り油は絞り弁２４
によつて流量が絞られて移動速度が調整され安全
ノツチ先端がピストンロツド１２ｂの外周に当接
し押し下げられた状態にあるので油路１３ｃ，１
３ｄは開とされているのでパイロツトバルブ機構
２３、油圧回路２７、電磁弁２８を経て油タンク
に戻される。

ピストン１２の前進に伴い圧縮ばね１６を介し
て心押軸２が前進されセンタ５の先端が工作物Ｗ
のセンタ穴に当接して心押軸の前進が阻止され
る。ピストン１２は更に圧縮ばね１６を押し縮め
て前進し前進端で停止しセンタ穴にセンタ５の先
端が圧縮ばね１６によつて圧接されて工作物Ｗが
所定圧で支持される。工作物Ｗの支持圧力は必要
に応じて推力調整ねじ１５によつて調節される。
この状態になるとシリンダ１０の前室は排出側に
連通していて安全ノツチ１９の先端テーパ部は圧
縮ばね２１によつて突出しピストンロツド１２ｂ
の傾斜端面１２ｆと係合されピストン１２が前進
端位置にロツクされ同時にパイロツトバルブ機構
２３によつて油路１３ｃ，１３ｄが閉止され安全
ノツチ１９が後退されない限りシリンダ８の油路
８ａは遮断された状態を維持するようになされて
いる。この状態で確認用のドツグ３８Ｂはリミツ
トスイツチLS２と当接し、ドツグ３８Ａはリミ
ツトスイツチの直前で停止し、LS２によつて工
作物Ｗ支持完了の信号が制御装置に送られる。万
一工作物Ｗが無かつたり短い異材の場合にはドツ
グ３８Ａが更に前進しリミツトスイツチLS１に
当接し工作物なしの信号を送る。またセンタ５の
先端が工作物Ｗのセンタ穴に挿入されず端面に当
接している場合にはドツグ３８Ａ，３８Ｂは何れ
のリミツトスイツチにも当接せず制御装置によつ
て支持不良と判断される。このようにして工作物
支持完了の信号が送られると続いて工作物が回転
され研削加工が行われる。研削加工が終了すると
電磁弁２８がに切り換えられて圧力油が油圧回
路２７から油路１０ａに供給されピストン２０が
後退し安全ノツチ１９が後退してピストン１２の
ロツクを解除する。この状態でパイロツトバルブ
機構２３の流路１３ｃ，１３ｄは連通して圧力油
は逆止弁２５を経てシリンダ８の前室の油路８ａ
に供給される。後室の油路８ｂからの排出される
油は油圧回路２９を通り電磁弁２８を経て油タン
クにもどされるので背圧が小さくピストン１２は
前進時に比べて高速で後退端に移動しピストンロ
ツド１２ａ先端の鍔部１２ｃの側面が圧力ばね１
６の圧力でカラー６の端面に当接し心押軸が後退
させられセンタ５は工作物Ｗから離れる。この状
態でドツグ３８ｃはリミツトスイツチLS３と当
接し後退完了の信号を制御装置に送る。尚心押軸
２の移動はマニアル操作でも行うことができこの
時には寸動によつて少しづつセンタ穴に近づける
ことも可能である。

効 果 以上詳述したように本考案は心押軸進退用シリ
ンダに嵌挿されるピストンが前進端にあるとき安
全ノツチ先端が圧力ばねによつて突出しピストン
をロツクするメカロツク式となし、安全ノツチを
パイロツトバルブ付となし心押軸後退時には安全
ノツチが後退したのちでなければ心押軸進退用シ
リンダに圧油が供給されないようになしたので心
押軸の進退動作が極めてスムースに行われ伴つて
油圧回路の故障で安全に圧油の供給が停止されて
もばね圧で安全ノツチが押し続けられピストンロ
ツクが続けられるのでこのように安全性が高く動
作の確実な簡素な安全装置を付加することが可能
となる。また心押軸進退用油圧系路と安全ノツチ
アンロツク用油圧系路を一つの電磁切換弁で操作
できるので専用の切換弁が不要となる効果を有す
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の正面断面図である。 ２……心押軸、８……シリンダ、１２……ピス
トン、１２ｂ……ピストンロツド、１９……安全
ノツチ、２１……圧縮ばね、２３……パイロツト
バルブ機構、Ｗ……工作物。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 工作物をばね推力を利用して両センタ間に支持
   する自動心押台において、心押軸後方に設けられ
   た心押軸進退用流体圧駆動機構と、該駆動機構の
   ピストンが前進端に位置するときそのピストンロ
   ツド後端の傾斜面に直角に係合され前記ピストン
   の動きをロツクする安全ノツチと、該安全ノツチ
   を常時突出勝手に付勢する圧縮ばねと、前記安全
   ノツチの係合を解除するアンロツク用流体圧駆動
   機構と、前記安全ノツチと一体に設けられ前記心
   押軸進退用流体圧駆動機構の後退側油路を前記安
   全ノツチの傾斜面との係合が解除される移動によ
   つて開き係合中は閉止するパイロツトバルブとを
   含んでなり、工作物支持中は圧縮ばねによつて付
   勢された安全ノツチで前記ピストンをロツクしロ
   ツク解除後に心押軸の後退を開始することを特徴
   とする安全装置付自動心押台。