JPH05212798A - 繊維強化合成樹脂成形体の製造方法 - Google Patents

繊維強化合成樹脂成形体の製造方法

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JPH05212798A
JPH05212798A JP3326921A JP32692191A JPH05212798A JP H05212798 A JPH05212798 A JP H05212798A JP 3326921 A JP3326921 A JP 3326921A JP 32692191 A JP32692191 A JP 32692191A JP H05212798 A JPH05212798 A JP H05212798A
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fiber
core material
synthetic resin
core
materials
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JP3326921A
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English (en)
Inventor
Noboru Matsunaga
昇 松永
Kazuyoshi Azeyanagi
和好 畔柳
Ichiro Sogaishi
一郎 曽我石
Takeo Katakura
健男 片倉
Takaaki Osawa
孝明 大澤
Yoshihisa Ueda
義久 上田
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Terumo Corp
Janome Corp
Original Assignee
Terumo Corp
Janome Sewing Machine Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】特に不定形状を有する合成樹脂成形体において
その所定方向の強度を向上せしめた繊維強化合成樹脂成
形体を製造することを目的とする。特に、人体内に埋め
込まれる合成樹脂製の骨インプラントを効率的に製造す
ることができ、所要の強度特性を与えることのできる方
法を提供することを目的とする。 【構成】合成樹脂を主材として芯材Sを任意形状に成形
し、この芯材Sの外周面を被覆するように複数の樹脂含
浸補強繊維材を所定方向に並列的に延長させた状態にて
配置し、この樹脂含浸補強繊維材を溶融して前記芯材の
外周面に接着させて繊維強化樹脂による被膜を形成する
ことにより、芯材の表面部分の上記所定方向における補
強を行うべく繊維強化する方法である。樹脂含浸補強繊
維材の延長方向を異なるものとしてこの工程を繰り返し
て行うと、異なる複数の方向において繊維強化された合
成樹脂成形体が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は繊維強化合成樹脂成形
体、特に、不定形状を有する合成樹脂成形体においてそ
の特定方向の強度を向上せしめた繊維強化合成樹脂成形
体の製造方法に関する。本発明は、特に、整形外科治療
において人体内に埋め込まれる合成樹脂製の骨インプラ
ントの製造方法として好適である。
【0002】
【従来の技術】人体の関節に変形、欠損、壊死等が生じ
た場合に関節を補綴して関節機能を再建するための人工
関節(特にその人工骨頭側のステム部)や、骨幹部の骨
折の場合の骨髄内釘治療に用いる髄内釘等、整形外科治
療において人体内に埋め込まれる骨インプラントは、ス
テンレスSUS316L、Co−Cr、Co−Cr−N
i、Ti−6%Al−4%V等の金属インプラント材を
利用して、鋳造、鍛造、焼結等の適宜手段によって形成
されるのが主流であった。
【0003】ところが、金属インプラント材を利用した
骨インプラントには様々な問題があり、例えば、人の皮
質骨の曲げ弾性率はおよそ16GPaであるのに対し、
ステンレスSUS316L、Co−Cr、Ti−6%A
l−4%Vの曲げ弾性率はそれぞれ200、213、1
24GPaであって、骨の約8〜13倍もあるため、人
工関節がたわんだり、ねじれたりすることによって局所
的に応力が集中し、その応力集中部分で骨を破壊してし
まう虞れがある。
【0004】また、アクリルベースのセメントを用いず
に直接インプラントと骨を固着するセメントレス人工股
関節の臨床において、骨髄腔と良く嵌合して体重や歩行
等の運動による応力の作用を繰り返し受けるステム先端
部では骨の増勢がみられるが、応力が作用しない部分で
は骨への刺激がなくなるために逆に骨組織の吸収が起こ
って骨量が減少するという結果が報告されている。即
ち、応力が作用しない部分においては、骨と人工関節と
の嵌合にズレや緩みが増長され、人工関節を安定して保
持することができなくなる虞れがある。
【0005】また、比重の大きな金属インプラント材に
よる人工関節は、患者にとって挿入中の負担が大きいと
いう問題がある。
【0006】更に、骨インプラントは、髄内釘の場合で
も数カ月、人工関節では10年以上もの間埋入されてい
るものであるから、生体環境内での腐食が生じ、ステン
レスSUS316LやCo−Cr−Ni等からはニッケ
ル、Ti−6%Al−4%Vからはバナジウムといった
毒性物質が溶出し、炎症を起こすことがあった。また、
これら毒性物質の発癌性も指摘されている。
【0007】このような問題点に鑑みて、例えば米国特
許第4902297号に示されるような、繊維強化合成
樹脂成形体による骨インプラントが提案されるに至って
いる。
【0008】この繊維強化合成樹脂成形体による骨イン
プラントは、マトリックス樹脂として、ポリエーテルエ
ーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトン(PE
K)、ポリアリルエーテルケトン(PAEK)、ポリフ
ェニレンサルファイド(PPS)、ポリサルフォン(P
S)等の高機能のエンジニアリングプラスチックを利用
する。これらのエンジニアリングプラスチックは、毒性
や分解性がないために生体に対する安全性が高く、更に
酸やアルカリに対する安定性、有機溶剤に対する不溶
性、油脂類に対する不活性等の諸性質のゆえに、従来の
金属製骨インプラントに代わる材料として好適であると
考えられる。
【0009】これらのエンジニアリングプラスチックは
強度、特に引張り強度や圧縮強度が不十分であるので、
カーボンファイバー(CF)、ガラスファイバー(G
F)、アラミッドファイバー(ArF)等の補強繊維材
をステム長さ方向に配しつつ、プレス成形や引き抜き成
形によって成形を行うことが提案されている。
【0010】ところが、このような成形法では、埋入さ
れるべき骨の髄腔形状に応じた不定形状を有することが
要求される骨インプラントを直接的に得ることは不可能
である。
【0011】そこで、上述の米国特許では、エンジニア
リングプラスチックのマトリックスに補強繊維材を長さ
方向に配しつつ、プレス成形によって、長さ方向各部分
の断面形状が略均一なコアを成形した後、その表面を別
のエンジニアリングプラスチックによるインサート成形
体で被覆して肉付けすることによって、所要の外形状を
有するステムを形成するようにしている。
【0012】ところで、人工関節のステム部には、引張
り応力や圧縮応力の他に、曲げやねじれの応力が作用す
るが、これらの曲げやねじれに対する強度は、ステム部
の中心部分よりも外周部分の材料強度に大きく左右され
る。上記米国特許によるステム部の外周部分は、インサ
ート成形体によって肉付けされているので、必ずしも十
分な材料強度を持っていない。したがって、この問題に
対処するためには、コアを前述のように繊維強化すると
共に、肉付けに用いるインサート成形体をも繊維強化し
なければならない。
【0013】なお、熱可塑性または熱硬化性樹脂をマト
リックスとする繊維強化複合材料の成形方法として、フ
ィラメントワインディング法が知られている。この方法
は、繊維プリプレグ材を芯材に対してあるピッチで巻き
付けて成形するものであり、芯材の表面を繊維強化する
ことができる。しかしながら、繊維プリプレグ材と芯材
とを相対的に回転させながら巻き付ける方法であるた
め、芯材の長さ方向に対してある程度の角度を持たせる
必要があり、芯材の長さ方向と完全に平行に巻き付ける
ことは不可能である。したがって、芯材をフィラメント
ワインディング法で繊維強化した複合成形体において
は、補強繊維材自体の大きな引張り強度を長さ方向に発
揮させることができず、補強繊維材同士の接着力に依存
するため、長さ方向の引張り強度が弱く、また曲げ強度
も不十分であるという欠点を有する。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の問題点に鑑みて、特に不定形状を有する合成樹脂成
形体の特定方向、特に長さ方向における強度を増大すべ
く繊維強化するための方法を提案することを目的とす
る。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に創案された本発明による繊維強化合成樹脂成形体の製
造方法は、合成樹脂を主材として芯材を任意形状に成形
し、この芯材の外周面を被覆するように複数の樹脂含浸
補強繊維材を所定方向に並列的に延長させた状態にて配
置し、この樹脂含浸補強繊維材を溶融して前記芯材の外
周面に接着させて繊維強化樹脂による被膜を形成するこ
とを特徴とする。
【0016】この方法においては、前記複数の樹脂含浸
補強繊維材を前記芯材の長さ方向に略平行に延長させて
配置することにより、前記芯材における長さ方向の強度
を前記被膜によって向上せしめることができる。
【0017】また、この方法における前記工程を複数回
繰り返して行うことにより、前記芯材における異なる複
数の方向の強度を複数形成される前記被膜によって向上
せしめることができる。
【0018】本発明による繊維強化合成樹脂成形体の製
造方法は、また、複数の補強繊維材にそれぞれ溶融合成
樹脂を含浸させて複数の繊維プリプレグ材を得る工程
と、この複数の繊維プリプレグ材を互いに平行状態とし
てそれぞれ上方に引き上げてその上方部分と下方部分と
をそれぞれ所定位置に保持する工程と、かくしてその上
方部分と下方部分とが保持された前記複数の繊維プリプ
レグ材による環状列の中心に合成樹脂を主材として任意
形状に成形された芯材を挿入保持する工程と、前記複数
の繊維プリプレグ材を少なくとも局所的に溶融させなが
ら前記芯材の外周面に押圧して接着せしめる工程と、か
くして接着された前記複数の接着されたプリプレグ材に
おける溶融合成樹脂を硬化させて前記複数の補強繊維材
が所定方向に配向されてなる繊維強化樹脂被膜を前記芯
材の外周面に被覆形成する工程とからなることを特徴と
する。
【0019】本発明によれば、エンジニアリングプラス
チックを利用しつつ所要の強度特性をも有する骨インプ
ラントを容易に製造することができる。
【0020】
【実施例】図1は本発明方法を実施するための装置例の
概略構成を示す。
【0021】上方繊維保持部材10と下方繊維保持部材
16とからなる繊維保持手段が、繊維強化すべき芯材S
の長さ寸法に略対応する間隔を置いて配置される。上方
繊維保持部材10は一対のリング12、14で構成さ
れ、下方繊維保持部材16は同様に一対のリング18、
20で構成される。
【0022】各リング12、14、18、20は図3に
示すような構成であり、後述する繊維プリプレグ材Pを
各々挿通せしめるための挿通孔22がその中心開口23
に連通して等間隔に形成されている。また、各リング1
2、14、18、20は一対の半円状部材24、26か
らなり、その一方に形成されたダボ28、30と他方に
形成されたダボ穴32、34との嵌合を介して常時は結
合されているが、この嵌合状態を解除することによって
分割可能に構成されている。
【0023】上方繊維保持部材10における12、1
4、また下方繊維保持部材16におけるリング18、2
0の寸法や形状は、それらによって保持すべき芯材Sの
寸法や形状に応じて適宜変更可能である。例えば、図示
の例では簡略のために円筒形状の芯材Sが示されている
が、芯材Sが人工関節のステム部として用いられる場合
のように不規則な断面形状を有する場合には、これらリ
ングの中心開口23をその保持すべき箇所における断面
形状に対応する形状とすることができる。
【0024】上方繊維保持部材10におけるリング12
と14、また下方繊維保持部材16におけるリング18
と20は、少なくとも一方が他方に関して回転可能であ
り、あるいは双方がそれぞれ独立して回転可能であるよ
うに支持されている。
【0025】下方繊維保持部材16の下方にはタンク3
6が配置される。タンク36内には、図示されないボビ
ンから繰り出される複数本(図示の例では6本)の補強
繊維材Fに含浸すべき合成樹脂Rが溶融状態で収容され
ている。図示されない熱源に接続されるヒーター38が
タンク36内に配置され、合成樹脂Rを所定温度に維持
する。
【0026】タンク36内の溶融合成樹脂Rに浸漬され
樹脂含浸せしめられた繊維プリプレグ材Pは、プリヒー
ター52によって予熱されながら、前述の上方繊維保持
部材10の上方にまで引き上げられ、その上端部分が上
方繊維保持部材10によって保持された後に、その下端
部分が下方繊維保持部材16によって保持される。この
保持の要領を以下に説明する。
【0027】上方繊維保持部材10におけるリング1
2、14は、当初は、図2に示されるように、それらの
挿通孔22が全て整列状態にある。そして、整列した挿
通孔22に繊維プリプレグ材Pを挿通させた後、リング
12、14の一方を所定の一方向に回転させ、あるいは
これらリング12、14の双方を互いに逆方向に回転さ
せて、これらリング12、14における挿通孔22を非
整列状態とする。これによって、繊維プリプレグ材Pは
図4に示されるような要領で保持される。この際に繊維
プリプレグ材Pを切断させないために、繊維プリプレグ
材Pを保持すべく働く対向エッジ部40、42には図示
のようにアール加工を施しておくことが好ましい。
【0028】このようにして繊維プリプレグ材Pの上端
部分を上方繊維保持部材10のリング12、14によっ
て拘束保持した後、同様の要領にて、下方繊維保持部材
16のリング18、20によって、その下端部分を拘束
保持する。
【0029】前述のように各リング12、14、18、
20は分割可能な一対の半円状部材24、26よりなっ
ている(図3)ので、繊維プリプレグ材Pの上端部分を
上方繊維保持部材10のリング12、14によって保持
した後に、下方繊維保持部材16をリング18、20が
分割状態として所定位置に配置し、そのリング18、2
0における各挿通孔22に繊維プリプレグ材Pを挿通さ
せ、しかる後に各リング18、20における一対の半円
状部材を連結させることができる。予め下方繊維保持部
材16をリング18、20が結合状態として所定位置に
配置しておいても良いが、この場合には、繊維プリプレ
グ材Pをタンク36から上方繊維保持部材10の上方に
まで引き上げる作業を、下方繊維保持部材16のリング
18、20における各挿通孔22に挿通させながら行う
必要がある。
【0030】このようにして、複数本の繊維プリプレグ
材Pが、上方および下方の繊維保持部材10、16によ
って、鉛直方向に且つ互いに平行に拘束保持される。
【0031】かくして保持された複数本の繊維プリプレ
グ材Pの環状束に囲まれた中心空間内に、繊維補強すべ
き芯材Sが挿入され、その軸心が鉛直方向となるように
所定の高さ位置に保持される。
【0032】上記のように保持された複数本の繊維プリ
プレグ材Pを芯材Sの外周面に溶融接着させるための接
着手段44が設けられる。図示の例では、この接着手段
は、環状をなして整列している繊維プリプレグ材Pに熱
風を吹きかけてその表面に含浸されている合成樹脂を軟
化溶融せしめるための熱風吐出リング46と、この溶融
状態の樹脂含浸補強繊維材を芯材Sの外周面に押圧して
接着せしめるために環状に配置された複数(繊維プリプ
レグ材Pの本数に対応する数、即ち本例では6つ)の弾
性押圧ローラ48と、各弾性押圧ローラ48を内方に付
勢するためのバネ50と、これらを下方繊維保持部材1
0の近辺から上方繊維保持部材16の近辺まで一体的に
低速にて上昇移動せしめるための駆動手段(図示せず)
とからなっている。図1には、この上昇移動中のある時
点における接着手段44の位置が示されている。
【0033】なお、弾性押圧ローラ48自体に加熱手段
を備えることによって、熱風吐出リング46を省略する
ことができる。また、熱風吐出リング46は環状に配設
された複数部材として構成することができ、弾性押圧ロ
ーラ48は逆にリング状をなす単一の部材として構成す
ることができる。更に、共に図示されていないが、芯材
S外周面に対する接触圧力を各弾性押圧ローラ48ごと
に検知するセンサー手段と、このセンサー手段からの信
号を受けて該接触圧力を常に一定とするための制御手段
とを更に設けることができる。これにより、芯材Sが長
さ方向に不規則な断面形状を有する場合であっても、そ
の外周面の全般に亙って繊維プリプレグ材Pが均等に被
覆される。
【0034】かくして、芯材Sの下端側から上端側に向
けて徐々に、繊維プリプレグ材Pを芯材Sの外周面に接
着させることができる。このようにして接着された繊維
プリプレグ材Pにおける溶融状態の含浸合成樹脂は、そ
の後硬化されて、各補強繊維材Fが所定方向(本例の場
合は芯材Sの長さ方向)に配向された繊維強化樹脂被膜
が、芯材Sの外周面に被覆形成される。
【0035】上方繊維保持部材10のリング12と1
4、および下方繊維保持部材16のリング18と20
を、前述の繊維プリプレグ材Pの保持のために回転させ
た回転方向とは逆方向に回転させて図5に示す位置関係
とすることによって、上方繊維保持部材10よりも上方
の余剰部分および下方繊維保持部材16よりも下方の未
使用部分の繊維プリプレグ材P’を切断することができ
る。
【0036】この繊維プリプレグ材Pの切断作業は、上
方および下方繊維保持部材10、16を図1に示す位置
に保持したまま行っても良いが、好ましくは、芯材S、
上方繊維保持部材10および下方繊維保持部材16の全
体を一団となして、下方繊維保持部材16を図1の上方
繊維保持部材10の位置にまで上昇させ、この位置にて
上述の切断作業を行う。このようにすると、切断時に
は、繊維プリプレグ材Pが所定の上方位置にまで既に引
き上げられているので、下方繊維保持部材を補充するこ
とによって、次の芯材に対する繊維プリプレグ材Pの接
着作業を迅速且つ円滑に行うことができる。このように
して、上方繊維保持部材と下方繊維保持部材とを交互に
上方にたぐり上げて用いることによって、芯材に対する
繊維補強処理を連続的に行うことが可能となる。
【0037】上述したような構成の装置を用いて行った
具体的な本発明の実施例について、以下に詳述する。こ
の実施例では、大腿骨に埋入される人工股関節のステム
部の芯材を繊維強化することが意図された。
【0038】まず、大腿骨に埋入される人工股関節のス
テム部の芯材の模型を作成し、これに基づいて粉体成形
用金型を作成した。
【0039】成形に要した材料はPEEK粉末(ICI
社製)であり、この粉体を上記金型に充填した後、38
5〜390℃にて7〜12分間ホットプレス成形を行っ
た。金型への充填に際しては、上下型の圧縮圧を徐々に
増大させて、粉体間の空気を型外に脱気させることに配
慮した。このときの最高圧力は800kg/cmであ
り、得られた成形体(芯材)は理論密度に対して85%
の密度を有するものであった。なお、成形温度と圧力の
関係によって成形体の密度を調整することは容易であ
り、必要であれば多孔質の芯材を成形することも可能で
ある。この実施例において成形した芯材Sは、長さ12
0mm、最大幅16mm、最小幅8mmで、若干湾曲し
たものであった。
【0040】一方、補強繊維材Fとしては、曲げ弾性率
の大きな炭素繊維(三菱レイヨン社製、商品名パイロフ
ィル、単繊維径7μ)をフィラメント数6000として
用い、これに溶融PEEKを浸漬含浸させて繊維プリプ
レグ材Pとした。溶融PEEKは、タンク36内におい
て395±3℃となるように、ヒーター38による温度
調整を行った。
【0041】上方および下方繊維保持部材10、16の
間隔は、芯材Sの長さ寸法よりも若干大きい130mm
とし、前述の要領にて繊維プリプレグ材Pを保持した。
繊維プリプレグ材Pは、直径40mmの円周上に、60
°間隔で6本保持するものとした。
【0042】この直径40mmの繊維プリプレグ材Pの
環状束の中心に芯材Sを挿入し、接着手段44により前
述の要領にて繊維プリプレグ材Pを局部的に軟化溶融さ
せつつ、芯材Sの外周面に押圧せしめ、接着を行った。
熱風吐出リング46からの熱風温度は吐出口近辺におい
て480℃前後となるように設定した。また、弾性押圧
ローラ48は1本の繊維プリプレグ材Pについて各々1
つ設け、各ローラは直径8mmであってその幅方向中央
部には最大深さ0.25mmの弧状の凹溝を全周に亙っ
て形成したものとし、ローラ1つ当たりの押圧力を4.
5kgとして実施した。また、熱風吐出リング46と弾
性押圧ローラ48とを一体とした接着手段44の上昇速
度は20mm/分に設定した。
【0043】以上の条件によって実施することにより得
られた繊維強化合成樹脂(PEEK)成形体であるとこ
ろの人工股関節ステムについて、その諸物性値を測定し
たところ、以下の結果が得られた。
【0044】比重 1.22 引張り強度 126kg/mm 引張り伸び率 2.1% 曲げ強度 97kg/mm 曲げ弾性率 11.2×10kg/mm これに比して、従来のPEEK焼結材の成形品のみによ
る人工股関節ステムの物性値は以下の通りである。
【0045】比重 1.12 引張り強度 8.6kg/mm 引張り伸び率 46% 曲げ強度 16.2kg/mm 曲げ弾性率 355×10kg/mm これらの比較から、本発明方法によって繊維強化するこ
とによって、成形体の物性値が顕著に向上することが明
らかとなった。
【0046】以上、本発明方法の一実施例についてその
ための装置構成と共に説明したが、これに限定されるも
のではなく、様々な変更を加えることが可能である。例
えば、芯材S自体においても、必要に応じて、その成形
体内に短繊維等を配して繊維補強することができる。
【0047】用いられる補強繊維材Fの本数は、芯材S
の外周面全体を繊維プリプレグ材Pによって被覆するに
必要十分なものであれば良く、芯材Sの寸法や形状によ
って適宜選択されるものである。補強繊維材Fとしては
上述の例のようにフィラメント状またはストランド状の
ものを用いることができるが、所要幅寸法を有する帯状
のものを用いると、比較的少ない本数で芯材Sの外周面
全体を被覆することができる。
【0048】繊維プリプレグ材Pを保持するための保持
手段として上方および下方の繊維保持部材10、16が
示されているが、必要に応じて更に中間位置に同様の構
成の繊維保持部材を所要数配置することができる。ま
た、繊維保持手段は図示の繊維保持部材に限定されず、
他のいかなる構成態様のものであっても良い。
【0049】上述の実施例は、人工股関節ステムにおい
て特にその長さ方向の強度を繊維強化することを目的と
しているので、各繊維プリプレグ材Pは真直に上方に引
き上げられ、芯材Sの軸心と平行に延長した状態として
芯材Sの外周面に接着される。しかしながら、各繊維プ
リプレグ材Pの延長方向は、製造すべき繊維強化合成樹
脂成形体において特に必要とされる強度特性に鑑みて、
適宜決定することが可能である。人工関節のステム部に
は様々な方向からの荷重が加えられるので、用いられる
人体内の箇所によっては、長さ方向の補強よりもむしろ
他の特定の方向の補強が望まれる場合がある。このよう
な場合には、繊維プリプレグ材Pを、芯材Sの軸心に対
して所定角度傾斜させて配向させることが必要となる。
【0050】この場合の実施例が図6に示されている。
この図においては、簡略のため、3本の繊維プリプレグ
材Pのみが、芯材Sの外周面に螺旋状に巻回された状態
が示されている。これは、上述の実施例において説明し
た要領にて繊維プリプレグ材Pを上方および下方の繊維
保持部材10、16によって保持した後、下方繊維保持
部材16を静止させたまま、上方繊維保持部材10をリ
ング12、14を一体として所要角度回転させることに
よって、容易になすことができる。
【0051】本発明方法による処理は、必要に応じて、
複数回繰り返して行うことができる。例えば、まず、最
初の実施例のように繊維プリプレグ材を芯材の軸心と平
行に延長させた状態にて接着させ、次いで、図6のよう
に所要角度偏向させた状態にて繊維プリプレグ材を接着
させることにより、長さ方向において優れた強度特性を
発揮すると共に、曲げやねじれにも強い成形体を得るこ
とができる。あるいはまた、図6のようにして繊維プリ
プレグ材を接着させた後、これとは逆方向に螺旋状に巻
回させて繊維プリプレグ材を接着させることにより、引
張り強度の向上並びに全方向の曲げやねじれに対する強
度の向上を図ることができる。
【0052】
【発明の効果】本発明方法によれば、長繊維の補強繊維
材を任意の方向に配向させて合成樹脂成形体を強化する
ことができるので、その引張強度を最大限に発揮させて
合成樹脂成形体における特定方向の強度、例えば長さ方
向の強度を向上させることができる。
【0053】本発明は、特に、長さ方向に異なる断面形
状を有する合成樹脂成形体の繊維補強方法として有効で
あり、中でも、整形外科治療において用いられる人工関
節や髄内釘等の骨インプラントの製造方法として極めて
有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法を実施するための装置構成例を概略
的に示す縦断面図である。
【図2】この装置における上方繊維保持部材を示す拡大
断面図である。
【図3】この装置における上方および下方繊維保持部材
を構成する各リングの構成の詳細を示す拡大平面図であ
る。
【図4】上方繊維保持部材による繊維プリプレグ材の保
持要領を示す部分拡大断面図である。
【図5】上方繊維保持部材による繊維プリプレグ材の切
断要領を示す部分拡大断面図である。
【図6】本発明方法の他の実施例を示す拡大正面図であ
る。
【符号の説明】
F 補強繊維材 P 繊維プリプレグ材 R 溶融合成樹脂 S 芯材 10 上方繊維保持部材 12 リング 14 リング 16 下方繊維保持部材 18 リング 20 リング 22 挿通孔 36 タンク 38 ヒーター 44 接着手段 46 熱風吐出リング 48 弾性押圧ローラ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 曽我石 一郎 東京都中央区京橋3丁目1番1号 蛇の目 ミシン工業株式会社内 (72)発明者 片倉 健男 神奈川県足柄上郡中井町井ノ口1500番地 テルモ株式会社内 (72)発明者 大澤 孝明 神奈川県足柄上郡中井町井ノ口1500番地 テルモ株式会社内 (72)発明者 上田 義久 神奈川県足柄上郡中井町井ノ口1500番地 テルモ株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 合成樹脂を主材として芯材を任意形状
    に成形し、この芯材の外周面を被覆するように複数の樹
    脂含浸補強繊維材を所定方向に並列的に延長させた状態
    にて配置し、この樹脂含浸補強繊維材を溶融して前記芯
    材の外周面に接着させて繊維強化樹脂による被膜を形成
    することを特徴とする、繊維強化合成樹脂成形体の製造
    方法。
  2. 【請求項2】 前記複数の樹脂含浸補強繊維材を前記
    芯材の長さ方向に略平行に延長させて配置することによ
    り、前記芯材における長さ方向の強度を前記被膜によっ
    て向上せしめることを特徴とする、請求項1の繊維強化
    合成樹脂成形体の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記工程を複数回繰り返して行い、前
    記芯材における異なる複数の方向の強度を複数形成され
    る前記被膜によって向上せしめることを特徴とする、請
    求項1の繊維強化合成樹脂成形体の製造方法。
  4. 【請求項4】 複数の補強繊維材にそれぞれ溶融合成
    樹脂を含浸させて複数の繊維プリプレグ材を得る工程
    と、この複数の繊維プリプレグ材を互いに平行状態とし
    てそれぞれ上方に引き上げてその上方部分と下方部分と
    をそれぞれ所定位置に保持する工程と、かくしてその上
    方部分と下方部分とが保持された前記複数の繊維プリプ
    レグ材による環状列の中心に合成樹脂を主材として任意
    形状に成形された芯材を挿入保持する工程と、前記複数
    の繊維プリプレグ材を少なくとも局所的に溶融させなが
    ら前記芯材の外周面に押圧して接着せしめる工程と、か
    くして接着された前記複数の接着されたプリプレグ材に
    おける溶融合成樹脂を硬化させて前記複数の補強繊維材
    が所定方向に配向されてなる繊維強化樹脂被膜を前記芯
    材の外周面に被覆形成する工程とからなることを特徴と
    する、繊維強化合成樹脂成形体の製造方法。
JP3326921A 1991-11-15 1991-11-15 繊維強化合成樹脂成形体の製造方法 Pending JPH05212798A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013509505A (ja) * 2009-10-28 2013-03-14 アルバニー エンジニアード コンポジッツ インコーポレイテッド 繊維プリフォーム、繊維強化コンポジットおよびその製造方法

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