JPH0521235A - 大型電気機器の据付装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】現地溶接作業を必要とせず、大型電気機器と基
礎ソケットとの間の位置ずれの吸収が容易な大型電気機
器の据付装置を得る。 【構成】大型電気機器１の外壁面に突設された固定座２
２と、この固定座２２が間隙を保持して貫通するよう基
礎ボルト座１１に形成された貫通孔２３とからなる基礎
ボルト座１１の位置調整手段３０を備え、間隙に固定座
２２を包囲するよう充填されたライナ−２４を介して基
礎ボルト座１１が大型電気機器１に連結されてなるもの
とする。また、固定座２２を包囲するよう充填されたラ
イナ−２４が、基礎ボルト座１１と大型電気機器１の外
壁面との間の隙間まで延長して介装されてなるものとす
る。さらに、固定座２２が、その端面側にライナ−２４
の抜け止め手段を備えてなるものとする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、例えば大容量の変圧
器等の大型電気機器をコンクリ−ト基礎上の定位置に固
定するために設けられる据付装置、ことに大型電気機器
と基礎ソケットとの位置ずれ吸収機能を有する据付装置
の構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】コンクリ−ト基礎の定位置に載置された
大型電気機器は、数１０から数１００ｔに及ぶ機器自身
の重量により定位置を保持し得るものであるが、電気機
器の電磁振動や地震等により位置ずれを生ずることを回
避するために、据付装置を介してコンクリ−ト基礎にあ
らかじめ埋設された基礎ソケットに連結される。ところ
が、工場生産される大型電気機器の寸法精度と、土木工
事によりコンクリ−ト基礎中に埋設される基礎ソケット
の位置精度に差があるために、相互に位置ずれが発生す
る。そこで、この位置ずれを回避するために、大型電気
機器をコンクリ−ト基礎上の定位置に載置した後、据付
装置を大型電気機器に溶接する方法が一般に行われてい
る。

【０００３】図３は大型電気機器の据付け状態を示す側
面図、図４は従来の据付装置を示す断面図、図５は図４
を異なる方向から見た側面図である。図において、大型
電気機器，例えば大容量変圧器のタンク１は、コンクリ
−ト基礎２上の定位置に載置された後、その外壁面の複
数個所に基礎ボルト座１１が溶接され、基礎ボルト座を
貫通する基礎ボルト１２がコンクリ−ト基礎にあらかじ
め埋設された基礎ソケット２のボルト孔にねじ込まれる
ことにより、大容量変圧器１は複数の据付装置１０を介
してコンクリ−ト基礎２の定位置に固定される。

【０００４】基礎ボルト座１１は基礎ボルト孔１１Ｃを
有する座板１１Ｂとその上面に垂直に溶接された２枚の
連結板１１Ａとで構成され、基礎ボルト孔１１Ｃと基礎
ソケット３のねじ孔との位置合わせを行った状態で、連
結板１１Ａを大容量変圧器１のタンクの外壁面に溶接す
る。従って、基礎ボルト１２をワッシャ−および位置合
わせされた基礎ボルト孔１１Ｃを通して基礎ソケット３
にねじ込み、座板１１Ｂを基礎ソケットに締めつけれ
ば、複数の据付装置１０を介して大容量変圧器１をコン
クリ−ト基礎２上の定位置に固定する据付け作業を容易
に行うことができる。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】従来の据付装置１０
は、その基礎ボルト座１１をコンクリ−ト基礎上で溶接
する現地作業を必要とするため、据付工事期間の延長お
よび据付工事費の上昇を招くという問題がある。また、
大型電気機器が油入変圧器である場合、溶接作業が内部
の絶縁油等の絶縁材に熱影響を与え、変圧器の絶縁性能
に悪影響を及ぼす危険性がある。さらに、これらの制約
が原因で溶接部に欠陥が残る可能性が高まり、信頼性の
高い据付装置を得難いという問題が発生する。

【０００６】この発明の目的は、現地溶接作業を必要と
せず、大型電気機器と基礎ソケットとの間の位置ずれの
吸収が容易な大型電気機器の据付装置を得ることにあ
る。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、この発明によれば、コンクリ−ト基礎上に配設され
た大型電気機器の外壁の定位置に連結された基礎ボルト
座と、この基礎ボルト座を前記コンクリ−ト基礎の定位
置に埋設された基礎ソケットに固定する基礎ボルトとを
含み、前記大型電気機器を前記コンクリ−ト基礎の定位
置に固定するものにおいて、前記大型電気機器の外壁面
に突設された固定座と、この固定座が間隙を保持して貫
通するよう基礎ボルト座に形成された貫通孔とからなる
基礎ボルト座の位置調整手段を備え、前記間隙に固定座
を包囲するよう充填されたライナ−を介して前記基礎ボ
ルト座が大型電気機器に連結されてなるものとする。

【０００８】また、固定座を包囲するよう充填されたラ
イナ−が、基礎ボルト座と大型電気機器の外壁面との間
の隙間まで延長して介装されてなるものとする。

【０００９】さらに、固定座が、その端面側にライナ−
の抜け止め手段を備えてなるものとする。

【００１０】

【作用】この発明の構成において、大型電気機器の外壁
面に突設された固定座と、この固定座が間隙を保持して
貫通するよう基礎ボルト座に形成された貫通孔とからな
る基礎ボルト座の位置調整手段を据付装置に設け、間隙
に固定座を包囲するよう充填したライナ−を介して基礎
ボルト座を大型電気機器に連結するよう構成したことに
より、大型電気機器と基礎ソケットとの間の位置ずれを
ライナ−の厚みにより容易に吸収して大型電気機器の据
付け作業を容易化できるとともに、現地での溶接作業が
不要になり、大型電気機器に及ぼす悪影響を排除し，据
付工事期間を短縮する機能が得られる。

【００１１】また、固定座を包囲するよう充填されたラ
イナ−を、基礎ボルト座と大型電気機器の外壁面との間
にまで延長すれば、基礎ボルト座の位置調整を立体的に
行うことが可能となり、大型電気機器の位置決め精度を
向上できる。

【００１２】さらに、固定座の端面側にライナ−の抜け
止め手段を設けるよう構成すれば、地震や大型電気機器
の振動によりライナ−が抜け落ちる等のトラブルを未然
に防止でき、据付装置の長期信頼性を向上することがで
きる。

【００１３】

【実施例】以下、この発明を実施例に基づいて説明す
る。図１はこの発明の実施例になる大型電気機器の据付
装置を示す要部の断面図、図２は実施例になる据付装置
の異なる方向の側面図であ、従来技術と同じ構成部分に
は同一参照符号を付すことにより、重複した説明を省略
する。図において、基礎ボルト座２１はＬ字状の座板２
１Ｂに一対の補強板２１Ａを溶接して剛性を持たせた構
造となっており、その座板２１Ｂには基礎ボルト孔１１
Ｃの他に、図の場合方形の貫通孔２３が形成される。一
方、大型電気機器，例えば大容量変圧器１のタンクの外
壁にはタンク壁に溶接された方形板状の固定座２２が突
設される。固定座２２の位置は、固定座に基礎ボルト座
２１の貫通孔を嵌め込んだとき、基礎ボルト孔１１Ｃが
定位置に埋設された基礎ソケット３のボルト孔に一致す
るよう大容量変圧器１の外壁面にあらかじめ溶接され
る。また、貫通孔２３の大きさは、大容量変圧器１と基
礎ソケット３との間の位置ずれを考慮して固定座２２よ
り大きく形成され、固定座の周囲に間隙２５が保持され
る。

【００１４】上述のように、大型電気機器側に突設され
た固定座２２と、基礎ボルト座２１側に形成された貫通
孔２２と、両者間に保持された間隙２５とで構成される
基礎ボルト座の位置調整手段３０を有する据付装置２０
において、その位置調整作業は次の手順で行われる。す
なわち、コンクリ−ト基礎２の定位置に載置された大容
量変圧器１に突設された固定座２２に貫通孔２３を嵌め
込んだ状態で、基礎ボルト１２を基礎ボルト孔１１Ｃを
通して基礎ソケット３のねじ孔に仮止めする。この状態
で変圧器のタンクと基礎ソケットとの位置ずれは基礎ボ
ルト座との間の隙間に吸収される。次いで間隙２５にラ
イナ−２４Ａを挿入して固定座２２の周囲の隙間を埋め
ると同時に、基礎ボルト座の座板２１Ｂと変圧器１の外
壁との隙間にもライナ−２４Ｂを挿入する。この状態で
基礎ボルト１２により基礎ボルト座２１を基礎ソケット
に締めつければ、基礎ボルト座２１はライナ−２４を介
して大容量変圧器１に連結され、定位置に載置された大
型電気機器としての大容量変圧器１をコンクリ−ト基礎
２に固定することができる。

【００１５】また、ライナ−２４Ｂにはコ字状の薄い金
属板を用い、固定座を跨ぐよう固定座の上方から隙間に
挿入することにより、ライナ−の挿入を容易化し、かつ
その抜け落ちを防ぐことができる。また、ライナ−２４
Ａは短冊状の薄板を間隙２５を埋めるよう固定座の周囲
に挿入するが、固定座２２の端面に抑え板２７をねじ止
めしてライナ−の抜け止め手段とすれば、運転中の振動
や地震等によりライナ−２４Ａが間隙２５から抜け落
ち、大容量変圧器の据付け状態が不安定になるトラブル
を未然に防止することができる。

【００１６】

【発明の効果】この発明は前述のように、大型電気機器
の外壁面に突設された固定座と、この固定座が間隙を保
持して貫通するよう基礎ボルト座に形成された貫通孔と
からなる基礎ボルト座の位置調整手段を据付装置に設
け、間隙に固定座を包囲するよう充填したライナ−を介
装して基礎ボルト座を大型電気機器に連結するよう構成
した。その結果、大型電気機器と基礎ソケットとの間の
位置ずれをライナ−の厚みにより容易に吸収して大型電
気機器の据付け作業を容易化できるとともに、現地での
溶接作業が不要になるので、従来技術で問題となった現
地据付け作業の長期化，および現地溶接作業が大型電気
機器の性能に及ぼす悪影響，および現地溶接部の信頼性
の低下などの諸問題が排除され、据付工事期間が短く経
済的で、信頼性の高い据付装置を備えた大型電気機器を
提供することができる。

【００１７】また、固定座を包囲するよう充填されたラ
イナ−を、基礎ボルト座と大型電気機器の外壁面との間
にまで延長すれば、基礎ボルト座の位置調整を立体的に
行うことが可能となり、大型電気機器の位置決め精度を
向上できる利点が得られる。

【００１８】さらに、固定座の端面側にライナ−の抜け
止め手段を設けるよう構成すれば、地震や大型電気機器
の振動によりライナ−が抜け落ちる等のトラブルを未然
に防止でき、据付装置の長期信頼性を向上できる利点が
得られる。

【００１９】なお、大型電気機器が油入り変圧器である
場合、現地溶接作業がタンク内の絶縁油に及ぼす悪影響
を回避できるとともに、基礎ボルト座を取り外した状態
で輸送できることにより、輸送制限の厳しい組立輸送型
変圧器の輸送可能容量の増大に貢献できる利点も得られ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の実施例になる大型電気機器の据付装
置を示す要部の断面図

【図２】実施例になる据付装置の異なる方向の側面図

【図３】大型電気機器の据付け状態を示す側面図

【図４】従来の据付装置を示す断面図

【図５】図４を異なる方向から見た側面図

【符号の説明】

１ 大型電気機器（大容量変圧器） ２ コンクリ−ト基礎 ３ 基礎ソケット １０ 据付装置 １１ 基礎ボルト座 １１Ａ 連結板 １１Ｂ 座板 １１Ｃ 基礎ボルト孔 １２ 基礎ボルト ２０ 据付装置 ２１ 基礎ボルト座 ２１Ａ 補強板 ２１Ｂ Ｌ字状の座板 ２２ 固定座 ２３ 貫通孔 ２４ ライナ− ２４Ａ ライナ−（貫通孔に挿入） ２４Ｂ ライナ−（大型電気機器との隙間に介装） ２５ 間隙 ２７ 抑え板（ライナ−の抜け止め防止手段） ３０ 位置調整手段

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】コンクリ−ト基礎上に配設された大型電気
   機器の外壁の定位置に連結された基礎ボルト座と、この
   基礎ボルト座を前記コンクリ−ト基礎の定位置に埋設さ
   れた基礎ソケットに固定する基礎ボルトとを含み、前記
   大型電気機器を前記コンクリ−ト基礎の定位置に固定す
   るものにおいて、前記大型電気機器の外壁面に突設され
   た固定座と、この固定座が間隙を保持して貫通するよう
   基礎ボルト座に形成された貫通孔とからなる基礎ボルト
   座の位置調整手段を備え、前記間隙に固定座を包囲する
   よう充填されたライナ−を介して前記基礎ボルト座が大
   型電気機器に連結されてなることを特徴とする大型電気
   機器の据付装置。
2. 【請求項２】固定座を包囲するよう充填されたライナ−
   が、基礎ボルト座と大型電気機器の外壁面との間にまで
   延長して介装されてなることを特徴とする請求項１記載
   の大型電気機器の据付装置。
3. 【請求項３】固定座が、その端面側にライナ−の抜け止
   め手段を備えてなることを特徴とする請求項１記載の大
   型電気機器の据付装置。