JPH0520963Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の目的〕 （産業上の利用分野） 本考案は、燃料集合体におけるスペーサの格子
部の間隔検査装置に関する。

（従来の技術） 一般に、原子炉用の燃料集合体においては、そ
の長手方向に複数個所に核燃料スペーサを設け、
核燃料棒の湾曲等を矯正するとともに、冷却部材
の流動による燃料棒の振動を低く押えるようにし
てある。

上記スペーサ１は、第３図および第４図に示す
ように正方形のバンド２を有し、そのバンド２内
に互いに格子状に配設されたバー３，４およびデ
イバイダー５，６によつて複数個のセル７が形成
されている。また、上記バー３，４の各交差部に
は、各側部に外側方に突出する板ばね部８ａを有
すランタンスプリング８が装着されており、上記
各セル７内に挿入された燃料棒を、セル７の隅角
部から前記デイバイダ５，６に形成されたＳバン
ド５ａ，６ａに対して弾性的に圧接するようにし
てある。

しかして、上記スペーサ１の各セルの位置すな
わち各格子部の間隔が正しい寸法に製作されてい
ないと、各セル内に挿入された燃料棒の間隔が設
計値通りにならない等の不都合がある。

そこで、各スペーサの格子部の間隔を厳重に検
査し、上述の如き不都合が生じることを防止して
いる ところで、上記スペーサ格子部の間隔を検査す
る装置としては、第５図に示すような装置が提案
されている（特願昭59−31299）。

すなわち、中心軸間隔がスペーサにおける各セ
ルの所定の中心軸間隔と等しく、上記各セルと同
数のボアゲージ保持孔１０ａを穿設したボアゲー
ジ保持板１０を基板１１の上方に装着するととも
に、上記基板１１上にその基板の表面上を摺動し
得るように立設されたボアゲージ１２が、上記ボ
アゲージ保持板１０の各ボアゲージ保持孔１０ａ
に或程度水平方向に移動可能に貫挿させてある。
また、上記ボアゲージ保持板１０にはガイドピン
１３が立設してあり、そのガイドピン１３に、前
記ボアゲージがそれぞれ挿通することができ、ボ
アゲージと同数の孔１４ａ，１５ａを設けた抜き
板１４および押え板１５がそれぞれ摺動可能にか
つ着脱自在に装着され、さらに所定間隔に保持さ
れた各ボアゲージ１２の軸線と合致する位置に、
各ボアゲージ１２の先端部１２ａを挿入し得る小
孔１６ａを穿設した検査ゲージ１６を、前記ガイ
ドピン１３に摺動可能に装着するようにしてあ
る。

しかして、スペーサＳの格子部の間隔の検査に
際しては、押え板１５および検査ゲージ板１６を
ガイドピンから除去し、上記スペーサＳをボアゲ
ージ１２の上方から下降せしめて、スペーサＳの
各セル内にそれと対応するボアゲージ１２を挿入
させ、その後押え板１５をガイドピン１３に係合
させてそのガイドピン１３に沿つて下降させ、上
記スペーサＳの下端面が抜き板１４の上面に接す
る所定位置に位置させる。

そこで、検査ゲージ板１６をガイドピン１３に
係合させ、その検査ゲージ板１６とガイドピン１
３に沿つて下降させると、スペーサＳの格子間隔
が規定通りであつてそのスペーサに挿通された各
ボアゲージ１２の中心軸線間のピツチが所定値に
ある場合には、上記検査ゲージ板１６の各小孔１
６ａに対応するボアゲージ１２の先端小径部１２
ａが全てスムーズに挿通され、上記スペーサＳが
規格通りに製作されていることを検出することが
できる。

一方、スペーサの格子間隔が設計仕様値と異な
つている場合には、スペーサとボアゲージとの係
合によつて各ボアゲージが水平方向に移動し、検
査ゲージ板１６を下降した場合にその小孔１６ａ
にボアゲージ１２の先端の挿入不可が生じ、これ
により不良品の検知を行なうことができる。

（考案が解決しようとする問題点） ところがこのような装置においては、スペーサ
挿入時にボアゲージに軸方向の荷重が加わり、ボ
アゲージの基部と基板との間に摩擦が生じ、ボア
ゲージが必ずしも水平方向に移動せず、ボアゲー
ジを垂直状態に保つことが困難であり、スペーサ
の各セルの真の中心軸間隔の検査が十分できない
等の問題がある。また、上記装置では単に一つの
検査ゲージ板の操作のみによつてスペーサの全格
子部の間隔の検査を行なうことはできるが、燃料
間隔および燃料棒とウオータロツド間の間隔を検
査し得るにすぎない。

本考案はこのような点に鑑み、ボアゲージのス
ペーサへの挿入時にそのボアゲージの水平方向移
動が容易で、ボアゲージをスペーサの各セルの真
の中心軸へ位置決めすることができるとともに、
燃料棒とバンドコーナー間隔等をも検査すること
ができ、スペーサ寸法検査の信頼性と検査効率を
向上することができるスペーサ格子部の間隔検査
装置を得ることを目的とする。

〔考案の構成〕

本考案は、中心軸間隔がスペーサにおける各セ
ルの所定の中心軸間隔と等しく上記各セルと同数
のボアゲージ保持孔を穿設したボアゲージ保持板
を、基板から立設されたガイドピンに摺動可能に
装着するとともに、上記ボアゲージ保持板の各ボ
アゲージ保持孔に、ボアゲージの上部を或程度水
平方向に移動可能に貫挿係合せしめることによ
り、上記各ボアゲージをボアゲージ保持板から垂
直状態に吊設し、上記ボアゲージ保持板の上方に
装着された軸受支持板と上記各ボアゲージの頂端
面との間に上記ボアゲージの水平方向移動を容易
とする軸受を介装し、さらに所定間隔に保持され
た各ボアゲージの軸線と合致する位置に、各ボア
ゲージの頂端からそれぞれ突設されたスピンドル
の先端小径部が挿入され得る小孔を穿設したスプ
リング検査ゲージ板およびセル検査板を、前記ガ
イドピンに摺動可能にかつ着脱自在に装着したも
のである。

（作用） 基板上に配設したスペーサの各セル内に、ボア
ゲージ保持板を下降させることによつて各セルに
対応するボアゲージを挿入し、その後スプリング
検査ゲージ板およびセル検査板を順次ガイドピン
に沿つて下降させ、スプリング検査ゲージ板およ
びセル検査板に穿設された小孔に、上記ボアゲー
ジの頂端から突設されたスピンドルの先端小径部
がスムーズに挿入されるか否かによつて、スペー
サの良否が判定される。そして、上記スペーサの
セル内にボアゲージを挿入するとき、ボアゲージ
に横方向の応力が加わつた場合でも、ボアゲージ
の頂端軸支持板との間に軸受が介装されているの
で、ボアゲージの頂部も自由に横方向に移動し、
各ボアゲージの軸線が常に垂直位置に保持され
る。

（実施例） 以下、第１図および第２図を参照して本考案の
一実施例について説明する。

第１図において符号２０は基板であつて、その
基板２０には、中心軸間隔がスペーサＳにおける
各セルの所定の中心軸間隔と等しく、かつ燃料棒
の径より若干大きい内径を有し、上記スペーサの
セルと同数のボアゲージ挿通孔２０ａが穿設され
ており、上記基板２０の四隅部にはそれぞれガイ
ドピン２１が立設されている。

上記基板２０の上方には、上記ガイドピン２１
に沿つて上下動可能な抜き板２２が配設されてい
る。その抜き板２２には、上記スペーサＳの各セ
ルに対応して格子状にそれと同数のボアゲージ挿
通孔２２ａが穿設されており、そのボアゲージ挿
通孔２２ａの中心軸間隔は上記スペーサＳにおけ
る各セルの所定の中心軸間隔と等しくある。

また、前記ガイドピン２１には、互いに上下に
所定間隔を有するように連結されたボアゲージ保
持板２３および軸受支持板２４が上下摺動可能に
装着されている。上記ボアゲージ保持板２３に
は、上記抜き板２２に穿設されたボアゲージ挿通
孔２２ａの軸線と同一軸線上にそれと同数のボア
ゲージ保持孔２３ａが穿設されており、そのボア
ゲージ保持孔２３ａにそれぞれボアゲージ２５の
頂部が係合保持せしめられている。

すなわち、上記ボアゲージ２５はその下半部が
燃料棒の外径と同一径を有する棒状体を呈し、そ
の下端部にはスペーサＳの各セル内への挿入時に
おける抵抗を減少させるための面取りがしてあ
り、さらに重量を軽減するためにその下半部は中
空状にしてある。また、上記ボアゲージ２５には
通り止まりゲージの機能を持たせるため径に段差
がつけてある。すなわち、上記ボアゲージ２５の
上半部は下半部よりやや大径としてあり、その段
差部にはテーバ部２５ａが形成され、さらに上記
上半部は、上記各セルのスペーサスプリングのデ
インプルまで挿入したとき、そのデインプルと上
記ボアゲージ２５との嵌合の程度で生ずる抵抗に
よりその外径を収縮し得るように二つ割にしてあ
る。

上記各ボアゲージ２５の頂端部は、前記ボアゲ
ージ保持板２３に穿設された各ボアゲージ保持孔
２３ａに或程度水平方向に移動可能にそれぞれ下
方から挿入されており、そのボアゲージ２５の頂
端に形成したフランジ部２５ｂがボアゲージ保持
孔２３の上面に係合され、このフランジ部２５ｂ
によつてボアゲージ２５がボアゲージ保持板２３
に垂直状態に懸吊されている。そして、上記フラ
ンジ部２５ｂと前記軸受支持板２４間には、上記
ボアゲージ２５の水平移動をスムーズに許容する
軸受２６が介装されている。

一方、上記ボアゲージ２５の上部には、そのボ
アゲージ２５の軸線と同一軸線を有する上端開放
の凹部２５ｃが形成されており、この凹所２５ｃ
内にはスプリング２７によつて下方に付勢された
スピンドル２８が挿入されている。上記スピンド
ル２８の下部には、下方に向つて収検するテーパ
部２８ａが形成されており、このテーパ部２８ａ
がこれに対応して前記凹所２５ｃ内に設けられた
傾斜段部に係合せしめられ、さらに上記スピンド
ル２８は前記軸受支持板２４に穿設された、上記
スピンドル２８より大径の孔を貫通して上方に突
出し、その先端部には小径部２８ｂが形成されて
いる。

また、前記ガイドピン２１には、所定位置に配
列されたボアゲージ２５に装着された各スピンド
ル２８の小径部２８ｂに嵌合し得るように、それ
と同一ピツチＰで配列された小孔２９ａを設けた
スプリング検査ゲージ板２９、および同様に小孔
３０ａを設けたセル検査ゲージ板３０がそれぞれ
着脱可能に、かつそのガイドピン２１に沿つて水
平状態を保持して上下動可能に装着される。

しかして、スペーサ格子部の間隔の検査に際し
ては、上記スプリング検査ゲージ板２９およびセ
ル検査板３０をガイドピン２１から除去し、スペ
ーサＳを基板２０の側方向からスライドセツト
し、ボアゲージ２５を吊下したボアゲージ保持板
２３を下降して上記スペーサＳの各セル内にそれ
と対応するボアゲージ２５を挿入させ、その後ス
プリング検査ゲージ板２９を上記ガイドピン２１
に係合させて、そのスプリング検査ゲージ板２９
を上記ガイドピン２１に沿つて軸受支持板２４の
上面まで下降させる。そこで、スペーサ格子部の
ボアゲージ２５とスペーサデインプル間距離、お
よび燃料棒とバンドコーナー間隔が規定通りであ
る場合には、上記スプリング検査ゲージ板２９の
下面と上記軸受支持板２４の上面とが密着し、上
記間隔等が規格通りに製作されていることを検出
することができる。

一方、上記間隔等が設計仕様と異なつている場
合には、前記ボアゲージ２５の上半部の収縮によ
り、ボアゲージ２５の凹所２５ｃの傾斜段部とス
ピンドル２８のテーパ部２８ａとの係合部を介し
て上記スピンドル２８が上方に移動し、上記スピ
ンドル２８の先端部に形成された小径部２８ｂに
よる段差部が軸受支持板２４上面より突出し、ス
プリング検査ゲージ板２９の小孔２９ａの縁に上
記段差部が当接し、上記スプリング検査ゲージ板
２９の下面と上記軸受支持板２４との間に間隙を
生じ、当該スペーサが不良品であることを検出す
ることができる。

次に、前記セル検査板３０をガイドピン２１に
係合させ、そのセル検査板３０を上記ガイドピン
２１に沿つて下降させると、スペーサ格子間隔が
規定通りであつて、スペーサに挿通された前記各
ボアゲージ２５の中心軸間のピツチが所定値にあ
る場合は、上記セル検査板３０の各小孔３０ａに
対応する上記スピンドル２８の先端小径部２８ａ
が、すべてスムーズに挿通され、上記スペーサが
規格通りに製作されていることを検出することが
できる。

一方、スペーサの格子間隔が設計仕様と異なつ
ている場合には、そのスペーサを上記ボアゲージ
２５に嵌合することによつて、各ボアゲージ２５
がそれぞれに応じて水平方向に移動し、それによ
り各ボアゲージ２５の中心軸線間のピツチが設計
仕様値からずれる。したがつて、上述のようにセ
ル検査板を下降した場合、そのセル検査板３０の
小孔３０ａの縁に、スピンドル２８の先端が接触
或は突き当り、セル検査板３０のの下降方向の挿
入荷重が増加或は挿入不可となり、当該スペーサ
が不良品であることを検出することができる。

したがつて、スプリング検査ゲージ板２９およ
びセル検査板３０の両者共に、当接位置等の認知
により設計仕様からずれている格子部の検知を行
なうことができる。

また、上記スペーサの取り出しに際しては、セ
ル検査板３０とスプリング検査ゲージ２９を上方
に抜き取り、抜き板２２を固定したまま、ボアゲ
ージ２５を上方に移動させることにより、当該ス
ペーサをボアゲージから取り外すことができる。

〔考案の効果〕

本考案は上述のように構成したので、スペーサ
を上記ボアゲージに嵌合装着した後、二つの検査
ゲージ板をガイドピンにに沿つて下降させるだけ
で、上記スペーサの適否を判定することができ、
従来のように多数本のピンゲージをスペーサのセ
ル内へ順次それぞれ挿入するとともに、各ピンゲ
ージ間の多数箇所への厚みゲージ挿入の繰り返し
を行なう必要がなく、しかもボアゲージの水平方
向への移動の際に生ずる摩擦の発生がなく、真の
中心軸の検査ができ、単に二つの検査ゲージの操
作のみによつて、スペーサの全格子部の間隔の検
査と、スペーサスプリングの検査を行なうことが
できるばかりでなく、その所用時間を大幅に短縮
することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の検査装置の一部縦断側面図、
第２図は同上一部横断平面図、第３図はスペーサ
の平面図、第４図は第３図の−線に沿う断面
図、第５図は従来の検査装置の一部縦断側面図で
ある。 ２０……基板、２１……ガイドピン、２２……
抜き板、２３……ボアゲージ保持板、２３ａ……
ボアゲージ保持孔、２４……軸受支持板、２５…
…ボアゲージ、２６……軸受、２８……スピンド
ル、２８ｂ……小径部、２９……スプリング検査
ゲージ板、３０……セル検査板、２９ａ，３０ａ
……小孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 中心軸間隔がスペーサにおける各セルの所定の
   中心軸間隔と等しく上記各セルと同数のボアゲー
   ジ保持孔を穿設したボアゲージ保持板を、基板か
   ら立設されたガイドピンに摺動可能に装着すると
   ともに、上記ボアゲージ保持板の各ボアゲージ保
   持孔に、径が収縮可能に形成され、その径の収縮
   に応じてスプリングに抗して上動するスピンドル
   を内蔵したボアゲージの上部を或程度水平方向に
   移動可能に貫挿係合せしめることにより、上記各
   ボアゲージをボアゲージ保持板から垂直状態に吊
   設し、上記ボアゲージ保持板の上方に装着された
   軸受支持板と上記各ボアゲージの頂端面との間に
   上記ボアゲージの水平方向移動を容易とする軸受
   を介装し、さらに、各ボアゲージの頂端からそれ
   ぞれ突設され上記軸受支持板に穿設された孔を貫
   通して上方に突出するスピンドルの先端小径部が
   挿入可能で、その小径部の段差部が縁部に当接し
   得るようにした小孔を、所定間隔に保持された各
   ボアゲージの軸線と合致する位置に穿設したスプ
   リング検査ゲージ板、および上記小孔と同一軸線
   上にそれぞれ配設され、上記スピンドルの小径部
   とほぼ同一内径の小孔を穿設したセル検査板を、
   前記ガイドピンに摺動可能にかつ着脱自在に装着
   したことを特徴とする、燃料集合体におけるスペ
   ーサの格子部の間隔検査装置。