JPH05202739A - 通電発熱式触媒コンバータ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、通電発熱式触媒コンバータに関
し、メタルモノリス担体における簡単で良好な絶縁が保
証される中心電極方式の通電発熱式触媒コンバータの排
気通路内に延在する導体を省略することを目的とする。 【構成】 中心電極２を有する直列に配置された二つの
メタルモノリス担体３，４を具備し、各前記メタルモノ
リス担体３，４が各前記中心導体２によってのみ互いに
電気的に接続され、各前記メタルモノリス担体３，４の
両外周部が両電極５，８とされる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、それ自身を発熱させる
ことにより、内燃機関の暖機以前に触媒を活性化させ、
その時の排気ガスの浄化を可能にする通電発熱式触媒コ
ンバータに関する。

【０００２】

【従来の技術】このような通電発熱式触媒コンバータ
は、メタルモノリス担体を発熱体として利用するもので
あり、また内燃機関の暖機以前において、通常の車両用
バッテリで短時間に発熱しなければならないために、熱
容量の小さい比較的小型のものである。従って、それだ
けでは排気ガスの浄化を十分に行なうことができず、一
般的には、その下流側に通常の主触媒コンバータを設け
て使用するものである。

【０００３】通電発熱式触媒コンバータに使用されるメ
タルモノリス担体のメタル箔は、一般的に外周部のほぼ
対向位置にプラス及びマイナスの電極を設け、各電極か
ら中心部へ向かう互いに反対方向の二つの渦状に形成さ
れ、それらの中心側端部が互いに電気的に接続されてい
る。

【０００４】この構造のメタルモノリス担体は、両電極
に電圧を印加することで一様に発熱し、暖機以前におけ
る排気ガスを浄化すると共に、排気ガス温度を上昇さ
せ、それにより下流側の主触媒コンバータを活性化させ
て、さらなる排気ガスの浄化を行なわせることが可能と
なる。

【０００５】しかし、このメタルモノリス担体への電圧
の印加に際して、半径方向に隣接する二つの渦状のメタ
ル箔の間には、特に外周部において、印加電圧と同等の
高い電位差が生じることになり、通常のアルミナ被覆等
ではショートする可能性がある。

【０００６】この問題を解決するために、実開昭６３−
６７６０９号公報には、一方の電極をメタルモノリス担
体の中心に設け、他方の電極をメタルモノリス担体の外
周部に設けるものが記載されている。

【０００７】この構造によれば、中心電極から複数のメ
タル箔を渦状に配置するもの、又は単一のメタル箔を渦
状に配置するもののいずれにおいても、メタル箔の半径
方向隣接部には、それほど高い電位差が生じることはな
く、簡単なアルミナ被覆等で十分に絶縁を維持すること
ができる。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】このように、中心電極
を有する通電発熱式触媒コンバータは、モノリス担体に
おける絶縁を良好に維持することができるが、中心電極
とバッテリとを接続するために、触媒コンバータの排気
ガス通路内を中心電極から触媒コンバータの外部まで延
在する導体が必要である。

【０００９】この導体は、排気抵抗を増加させ、それに
よるトルクの減少をもたらすだけでなく、排気が通電発
熱式触媒コンバータに流入するのを邪魔し、触媒の利用
が低下するために、浄化性能を低下させ、またこの導体
自身が常に排気ガスにさらされているために、導体の寿
命が早まる欠点を有している。

【００１０】従って、本発明の目的は、メタルモノリス
担体における簡単で良好な絶縁を維持すると共に、排気
抵抗となる排気通路内に延在する導体を省略することが
できる通電発熱式触媒コンバータを提供することであ
る。

【００１１】

【課題を解決するための手段】前述の目的を達成するた
めに、本発明による通電発熱式触媒コンバータは、中心
導体を有する直列に配置された二つのメタルモノリス担
体を具備し、各前記メタルモノリス担体が、各前記中心
導体によってのみ互いに電気的に接続され、他の部分に
おいて互いに電気的に絶縁され、各前記メタルモノリス
担体の両外周部が両電極とされることを特徴とする。

【００１２】

【作用】前述の通電発熱式触媒コンバータは、中心導体
のみが互いに電気的に接続され、その他の部分において
互いに電気的に絶縁されたこのメタルモノリス担体を具
備し、各メタルモノリス担体の外周部を電極として利用
するために、上流側のメタルモノリス担体の構造は、従
来の中心電極を有するものと同様であり、メタルモノリ
ス担体における簡単で良好な絶縁は維持されると共に、
下流側のメタルモノリス担体が導体として機能し、排気
通路内に延在する導体は不要となる。

【００１３】

【実施例】図１は、本発明による通電発熱式触媒コンバ
ータの実施例を示す断面図である。同図において、１は
金属製ケースである。ケース１内には、同一の中心導体
２に間を明けて巻かれた二つのメタルモノリス担体３，
４が設けられている。上流側（図１において左側）のメ
タルモノリス担体３は、通電発熱式メタルモノリス担体
として構成され、従来同様、それ自身に触媒が担持され
ており、アルミナ被覆等により半径方向隣接各部が電気
的に絶縁されている。それにより、通電により良好に発
熱して、それ自身の触媒を活性化すると共に、排気ガス
温度を上昇させるものである。また下流側（図１におい
て右側）のメタルモノリス担体４は、主メタルモノリス
担体として構成され、触媒活性時において良好に排気ガ
スを浄化するものである。

【００１４】上流側のメタルモノリス担体３の外周部に
は、プラス電極５が取付けられ、メタルモノリス担体３
の外周部及び電極５は、ケース１に対して絶縁材６，７
によって電気的に絶縁されている。

【００１５】一方、下流側のメタルモノリス担体４の外
周部は、ケース１に電気的に接続され、ケース１の外側
にはマイナス電極８が設けられている。

【００１６】このように構成された本実施例の通電発熱
式触媒コンバータ組立体１０は、図２に示すように内燃
機関の排気系に組み込まれる。同図において、１１はエ
ンジン、１２は排気通路、１３は吸気通路である。

【００１７】バッテリ１４のマイナス側は、通電発熱式
触媒コンバータ組立体１０のマイナス端子８へ結線さ
れ、一方プラス側は、コントローラ１５を介してプラス
端子５へ結線されている。

【００１８】コントローラ１５は、スタータリレー及び
通電発熱式触媒コンバータ組立体１０の温度を検出する
温度センサ１６が接続され、エンジン１１の始動時にお
いて、通電発熱式触媒コンバータ組立体１０の温度が、
触媒が十分に活性化していない温度であることが確認さ
れると、バッテリ１４のプラス側と通電発熱式触媒コン
バータ組立体１０のプラス端子５とを電気的に接続す
る。

【００１９】本実施例の通電発熱式触媒コンバータ組立
体１０は、前述のように、上流側のメタルモノリス担体
３と下流側のメタルモノリス担体４とが、中心導体２に
よってのみ電気的に接続され、他の部分において両者間
の空間及び絶縁体６，７によって電気的に絶縁されてい
るために、この時、電流が、プラス電極５から上流側の
メタルモノリス担体３及び中心導体２及び下流側のメタ
ルモノリス担体４を通り、マイナス電極８へ流れる。

【００２０】下流側のメタルモノリス担体は、発熱を目
的としたものではなく、アルミナ被覆等の半径方向隣接
部間の絶縁は行なわれていないために、あまり発熱する
ことなく単なる導体として機能し、上流側のメタルモノ
リス担体３のみが従来同様良好に発熱する。

【００２１】それにより、上流側のメタルモノリス担体
３において触媒が活性化して排気ガスを浄化すると共
に、排気ガス温度を上昇させ、この排気ガスにより下流
側のメタルモノリス担体４の触媒が活性化して、排気ガ
スをさらに十分に浄化する。

【００２２】このように、従来から通電発熱式触媒コン
バータと組み合わせて使用される主触媒コンバータを導
体として使用することにより、中心電極へ接続される排
気通路内の導体は省略することが可能となる。それによ
り、この導体が有する排気抵抗の増大の問題、排気ガス
が触媒コンバータに流入するのに邪魔となる問題及びそ
れ自身の耐久性の問題は解決される。

【００２３】本実施例の通電発熱式触媒コンバータ組立
体１０は、上流側及び下流側の二つのメタルモノリス担
体３，４を有しているが、従来においても、単一の通電
発熱式触媒コンバータだけでは排気ガスの浄化が十分で
ないために、その下流側には主触媒コンバータが必要で
あり、コストアップとなることはない。

【００２４】また、本実施例において、下流側のメタル
モノリス担体４を上流側のメタルモノリス担体３と同様
に通電発熱式のものとしてもよく、それにより、全体の
電気抵抗値が上昇して高い発熱性能を有するものとな
り、触媒をより活性化することが可能となる。また、全
体の電気抵抗値を図１に示す上流側のメタルモノリス担
体３の電気抵抗値と同程度にするには、中心導体から複
数のメタル箔が過状に配置されるものにおいて、両メタ
ルモノリス担体の各メタル箔の長さを短くでき、またメ
タル箔の枚数を増加することができ、それにより両メタ
ルモノリス担体を強度的に強いものとすることが可能と
なる。

【００２５】

【発明の効果】このように、本発明による通電発熱式触
媒コンバータによれば、従来においても必要とされてい
た主触媒コンバータのモノリス担体を導体として使用す
ることにより、中心導体へ接続される排気通路内の導体
を省略することが可能となり、それに伴う排気抵抗増加
等の問題は解決される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による通電発熱式触媒コンバータの長手
方向断面図である。

【図２】図１の通電発熱式触媒コンバータを組み込んだ
内燃機関の排気系のシステム図である。

【符号の説明】

１…ケース ２…中心導体 ３…上流側のメタルモノリス担体 ４…下流側のメタルモノリス担体 ５…プラス電極 ６，７…絶縁体 ８…マイナス電極

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 中心導体を有する直列に配置された二つ
   のメタルモノリス担体を具備し、各前記メタルモノリス
   担体が、各前記中心導体によってのみ互いに電気的に接
   続され、他の部分において互いに電気的に絶縁され、各
   前記メタルモノリス担体の両外周部が両電極とされるこ
   とを特徴とする通電発熱式触媒コンバータ。