JPH05192398A - 系圧調節滅菌方法 - Google Patents

系圧調節滅菌方法

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JPH05192398A
JPH05192398A JP4123929A JP12392992A JPH05192398A JP H05192398 A JPH05192398 A JP H05192398A JP 4123929 A JP4123929 A JP 4123929A JP 12392992 A JP12392992 A JP 12392992A JP H05192398 A JPH05192398 A JP H05192398A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 人工臓器の破壊を防止することができる系圧
調節滅菌方法を提供する。 【構成】 オートクレーブ中で高圧蒸気を用いて人工臓
器を滅菌するにあたり、滅菌前に所定の高温液を通液
し、滅菌後に所定の低温液を通液するに際し、人工臓器
内の圧力およびオートクレーブ内の圧力を測定し、人工
臓器内の圧力とオートクレーブ内の圧力との差を人工臓
器の耐圧力値以上とならないようにするために、人工臓
器の下流側に設けられた弁の開きを調節する手段を設
け、オートクレーブ内の圧力が人工臓器内の圧力よりも
大きいときは、前記弁を閉じ、オートクレーブ内の圧力
が人工臓器内の圧力よりも小さいときは、前記弁を開
く。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は人工臓器の系圧調節滅菌
方法に関する。 【0002】 【従来の技術】人工腎臓に代表される人工臓器は、近年
急激な発展を遂げ、人工肺、活性炭吸着剤を用いる人工
肝臓、腹水処理装置、血漿分離装置などが実用化されて
いる。さらに、吸着体(吸着材や吸着剤を含む、以下同
様)を用いる各種治療装置が開発されている(特開昭57
-75141号、同58-27559号、同58-10055号、同58-12656号
各公報および特願昭58-71913号明細書参照)。 【0003】通常、それらの人工臓器および治療装置は
製造段階での汚染に備え、製造の最終工程で滅菌された
のち無菌状態で封印され、使用者に提供されるものであ
る。 【0004】近年、用いられる滅菌方法としては、オー
トクレーブによる高圧蒸気滅菌方法が一般的である。 【0005】その他の方法としては、ホルムアルデヒド
水溶液やエチレンオキサイドガスを充填する方法および
γ線を照射する方法があげられるが、それらの方法は滅
菌剤が使用時にも容器内に残留する危惧や、γ線照射に
より内容物や容器が変質して有害物を内部で発生する危
惧など、安全面での問題を有しており、実用上採用をは
ばかられるばあいが多い。 【0006】しかし前記オートクレーブによる高圧蒸気
滅菌方法を採用するにあたり、人工臓器の内部に熱容量
の大きい水、生理食塩水または若干の安定剤などを含有
する水溶液や熱伝導性の小さい固形充填物が内部充填物
(充填材や充填剤を含む、以下同様)として保有されて
いるばあいには、人工臓器の外部から高圧蒸気や高温水
を加えて加熱滅菌するという従来の方法のみを採用する
と、人工臓器内の中心に近い部分の内部充填物の温度を
滅菌に必要な所定温度まで上昇せしめる際、また滅菌し
たのち、外部から冷却して内容物が長時間保持されても
変質しにくい温度以下、より好ましくは内容物をオート
クレーブより取り出すとき作業者が熱いと思うことな
く、確実に素手で取り扱うことのできる温度にまで下降
せしめるのに長時間を要する。すなわち人工臓器の加温
時に人工臓器の外壁に近い部分では人工臓器内の中心に
ある充填物の温度を滅菌に必要な温度にまで上昇せしめ
るため、滅菌温度以上の高い温度にまで加熱されたり、
滅菌に必要な高い温度に長時間さらされるため、人工臓
器に使用されている容器や内部充填物の品質の劣化、た
とえば吸着体に付加されている有効成分が除去されるな
ど致命的欠陥が生ずる。 【0007】そこで、オートクレーブ中で高圧蒸気を用
いて人工臓器を滅菌するにあたり、人工臓器を滅菌する
のに充分な高い温度にまであらかじめ滅菌されたのち高
温に保持された液(通常、水、生理食塩水または若干の
安定剤などを含む水溶液)を人工臓器内に通液し、その
内部温度をほぼ滅菌温度に到達せしめたのち、高圧蒸気
による外部加熱により、滅菌に必要な温度で所定時間、
すなわち必要なグレードの滅菌が可能な時間(たとえば
10-8のグレードの滅菌を121 ℃の高圧蒸気滅菌で行なう
ばあいは20分間)維持して該人工臓器を滅菌し、ついで
該人工臓器に未だ通液していない滅菌された高温の液を
冷却装置によって冷却した液を該人工臓器内に通液し、
その内部を冷却せしめることにより、一連の滅菌操作を
終了することを特徴とする急速昇温急速冷却による人工
臓器の滅菌方法が報告されている(特願昭 58-245761号
および同59-12462号各明細書参照)。すなわちこの方法
は急速昇温急速冷却することによって、有効成分の不必
要に多量な脱離や製品の薬効の低下を防止することがで
きる方法である。しかしながら、このままの方法におい
ては、人工臓器はオートクレーブ内に設置されているの
で、人工臓器はその外部条件であるオートクレーブの内
部の温度や圧力の影響を受ける。つまり人工臓器の周辺
であるオートクレーブ内の温度が高く、人工臓器内がよ
り低い温度でかつその温度での飽和蒸気圧下にあると人
工臓器は周辺から熱をもらって温度を上げるとともに人
工臓器の内部で沸騰現象が生じる。このため人工臓器内
で薬効成分の充填状況が変化したり機械的強度の弱い部
分、たとえばフィルター部が破損したり変形したりして
人工臓器としての性能をいちじるしく低下させる現象が
生じる。 【0008】また、人工臓器の内部圧力を不用意に大き
くすると、人工臓器の容器にかかる人工臓器内の圧力と
オートクレーブ内の圧力との差が大きくなり、人工臓器
が破壊されることになる。また人工臓器をその材料が本
来有する限度一杯の滅菌温度、すなわち人工臓器を構成
する合成樹脂容器が熱によって軟化する温度、あるいは
軟化温度未満であっても容器の内外にかかる差圧により
容器が破損したり、変形したり溶着部分が外れたりする
温度以下でないと滅菌することができない。とくに、オ
ートクレーブ内が過渡状態にある昇温時期にはオートク
レーブ内をあらかじめ設定した温度にしようとしても内
部の温度分布が不均一であるとか装置の熱容量が大きい
ため、一時的に若干設定値より高い温度になったりする
(過渡応答現象)ので人工臓器内の圧力とオートクレー
ブ内の圧力との差が大きいときには、人工臓器の容器が
部分的に軟化して破損するなどの問題が生ずる。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、かかる
実情に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、人工臓器内の圧力
およびオートクレーブ内の圧力を測定し、人工臓器内の
圧力とオートクレーブ内の圧力との差が小さくなるよう
に自動制御装置を用いてオートクレーブ内または人工臓
器内の圧力を調節したばあい、人工臓器を構成する材料
が本来有する限度一杯の滅菌温度で滅菌することができ
るという事実を見出し、本発明を完成するに至った。 【0010】 【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、オー
トクレーブ中で高圧蒸気を用いて人工臓器を滅菌するに
あたり、人工臓器の蒸気滅菌温度に近いあらかじめ滅菌
されたのち高温に保持された液(以下、滅菌済所定温度
液用高温液という)を、人工臓器内に通液装置を用いて
通液し、ついで所定温度の該液(以下、滅菌済所定温度
液という)の充填下、高圧蒸気による外部加熱により所
定時間滅菌温度に維持して滅菌し、あらかじめ滅菌され
たのち高温に保持された液(以下、滅菌済高温液とい
う)を人工臓器に通液する途中で冷却装置を用いて冷却
した滅菌された低温の液(以下、滅菌済低温液という)
を人工臓器内に通液してその内部を冷却する際に、人工
臓器内の圧力およびオートクレーブ内の圧力を測定し、
人工臓器内の圧力とオートクレーブ内の圧力との差を人
工臓器の耐圧力値以上とならないようにするために、人
工臓器の下流側に設けられた弁の開きを調節する手段を
設け、オートクレーブ内の圧力が人工臓器内の圧力より
も大きいときは、前記弁を閉じ、オートクレーブ内の圧
力が人工臓器内の圧力よりも小さいときは、前記弁を開
くことを特徴とする人工臓器の系圧調節滅菌方法に関す
る。 【0011】 【実施例】本発明は、人工臓器の蒸気滅菌温度に近い滅
菌済所定温度液を人工臓器に通液し、もってその内部温
度をほぼ蒸気滅菌温度に到達せしめ、該液の充填下、高
圧蒸気による外部加熱により所定時間蒸気滅菌温度に維
持して滅菌し、滅菌済高温液を人工臓器内に通液する途
中で冷却装置を用いて冷却した滅菌済低温液を人工臓器
内に通液してその内部を冷却し、これら工程の際人工臓
器内の圧力およびオートクレーブ内の圧力を測定し、人
工臓器内の圧力があらかじめ設定した一定圧力差、すな
わち人工臓器の耐圧力値以上とならないようにするため
に、管路に設けられた手段を自動制御装置を用いて作動
させることを特徴とする。 【0012】すなわち、人工臓器内の圧力があらかじめ
設定した一定圧力以上オートクレーブ内の圧力より大き
いばあい、滅菌済所定温度液が人工臓器内を通過して流
出している状態では人工臓器の下流側のバルブを開く方
法を自動制御装置を用いて行なう。また、人工臓器内の
圧力があらかじめ設定した一定圧力以上オートクレーブ
内の圧力より小さいばあい、滅菌済所定温度液が人工臓
器内を通過して流出している状態では人工臓器の下流側
のバルブを絞る方法を自動制御装置を用いて行なう。 【0013】本発明に用いる人工臓器およびその充填物
の種類は、いずれもとくに限定されるものではない。 【0014】本発明において、人工臓器の蒸気滅菌温度
に近い滅菌済所定温度液とは、あらかじめ蒸気滅菌など
の方法で滅菌されたのち冷却装置としての機能を発揮し
えない状態、たとえば冷媒を通液していない状態の冷却
装置を通じて人工臓器に通液される通常、水、生理食塩
水または若干の安定剤などを含有するそれらの水溶液で
ある。 【0015】該所定温度は、人工臓器の外部からの蒸気
滅菌の際の滅菌条件として採用される温度よりも0〜3
℃高い温度である。たとえば、多くのばあい、蒸気滅菌
温度は 115〜 134℃の範囲であるので、該所定温度は 1
15〜 137℃となる。 【0016】本発明において人工臓器の滅菌に用いる液
を人工臓器に通液する装置は、前記滅菌済所定温度液用
高温液を加熱し貯えておく滅菌液貯槽および該貯槽と人
工臓器とを連結する配管からなり、さらに該配管は冷却
装置および人工臓器の直後に設けられたバルブを有する
ものである。さらに前記滅菌液貯槽とオートクレーブと
に、自動制御装置と接続された加圧装置およびバルブを
有する配管が連結されている。 【0017】人工臓器内の圧力の測定値とオートクレー
ブ内の圧力の測定値との差(以下、圧力差という)が、
前記人工臓器の耐圧力値未満となるようにオートクレー
ブ内に加圧気体を加えたり、気体を放出したり、管路系
の終末バルブの開きを変えたり、滅菌液貯槽内の気相部
に加圧気体を加えたり、放出したりする操作方法による
自動制御装置を用いて調節される。前記圧力差は、好ま
しくは0〜3kg/cm2 、さらに好ましくは 0.5kg/cm2
未満、もっとも好ましくは 0.1kg/cm2 未満であるのが
よい。圧力差が3kg/cm2 をこえて人工臓器内の圧力が
オートクレーブ内の圧力よりも大きいばあいも圧力差が
3kg/cm2 をこえてオートクレーブ内の圧力が人工臓器
内の圧力よりも大きいばあいも人工臓器を構成する容器
が破損する可能性が大きくなる。 【0018】前記人工臓器内の圧力の測定値および前記
オートクレーブ内の圧力の測定値が1〜4atm であるの
が好ましい。この範囲を外れるばあいも人工臓器を構成
する容器が破損する可能性が大きくなる。 【0019】前記人工臓器やオートクレーブ内の圧力を
加圧装置を用いて強制的に上げるばあい、該圧力を上げ
るために用いられる加圧装置としては、たとえばコンプ
レッサーなどがあげられる。 【0020】人工臓器内の圧力とは人工臓器内に存在す
る充填液の圧力のことであり、人工臓器と滅菌液貯槽と
を連結する管路に耐圧ステンレス配管を分岐させるよう
に取り付け、オートクレーブの外に出た該耐圧ステレス
配管に圧力計を取り付けることにより人工臓器内の圧力
を測定しうる。また、人工臓器は滅菌液貯槽と通液装置
を介して連結されているので、人工臓器内の圧力を滅菌
液貯槽で測定した結果をもって代用させることができ
る。また、人工臓器内の圧力を人工臓器回路出口と排出
側の絞り弁との間の管路で測定してもよい。滅菌液貯槽
の圧力は、とくに限定されないが好ましくは滅菌液貯槽
の気相部に耐圧ステンレス配管を介して圧力計を取り付
けて測定されるのがよい。 【0021】オートクレーブ内の圧力とは、オートクレ
ーブ内に存在する水蒸気を含めた気体の圧力のことであ
り、とくに限定されないが好ましくはオートクレーブに
耐圧ステンレス配管を介して圧力計を取り付けて測定す
るのがよい。 【0022】人工臓器の耐圧力値とは、人工臓器の内外
の圧力差が生じても人工臓器を構成する容器が破損しな
い程度の最も大きな圧力差をいい、温度が高いほど耐圧
力値は小さくなるため該圧力差が小さいほど人工臓器を
構成する材料が本来有する限界の温度まで滅菌温度を高
くすることができ短時間で人工臓器を滅菌することがで
きる。 【0023】本発明に用いられる自動制御装置には、空
気式、油圧式、電気式などのオンオフ調節計または連続
式調節計があげられ、後者にはさらに比例式、比例+積
分式、比例+積分+微分式などの種々のものがあるが、
現実の装置に合わせ適当なものを選定することができ
る。自動制御装置は、人工臓器内の圧力がオートクレー
ブ内の圧力よりも大きいばあい、人工臓器の下流側に設
けたバルブを開け通液量を多くする。また、人工臓器内
の圧力がオートクレーブ内の圧力よりも小さいばあい、
前記バルブを閉じて通液量を少なくする。なお、オート
クレーブ内や人工臓器内が過渡状態にある昇温時および
降温時ならびに滅菌時において、前記したように自動制
御装置が作動する。 【0024】人工臓器が長時間高温にさらされるばあ
い、内部充填物などの品質劣化や性能劣化が生ずるの
で、本発明の方法では滅菌液貯槽内の圧力を加圧装置を
用いて大気圧よりも大きくしておき、人工臓器の蒸気滅
菌温度に近い滅菌済所定温度液を人工臓器内にすみやか
に通液し、内部充填液を置換することによって短時間で
人工臓器の内部温度をほぼ蒸気滅菌温度に到達させても
よい。内部充填液の置換回数は1回以上、好ましくは2
〜5回である。 【0025】また、オートクレーブ内にノズル機構を設
けておき、人工臓器内の圧力がオートクレーブ内の圧力
よりも大きいばあい、該ノズル機構から液体を噴霧する
ことにより、オートクレーブ内の気体を撹拌しながらオ
ートクレーブ内に気体を導入してもよい。 【0026】前記ノズル機構は、人工臓器の圧力がオー
トクレーブ内の圧力よりも大きいばあい、オートクレー
ブ内に加圧装置を用いて導入される酸素、窒素、空気な
どの不活性な気体によってオートクレーブ内の温度分布
が不均一になり、その結果オートクレーブ内に設定され
ている人工臓器の滅菌温度が不均一になるのを防止する
ためにオートクレーブ内に液体をシャワー状に高速で噴
霧する。これにより前記導入される気体とオートクレー
ブ内の気体とを激しく撹拌してオートクレーブ内の温度
分布を一定にし、均一に人工臓器を加熱滅菌することが
できる。このとき用いる液体はオートクレーブの温度を
変化させない温度の液体であるのが好ましい。 【0027】前記オートクレーブ内に噴霧する液体とし
ては、噴霧後はオートクレーブ内底部に保持された高温
溜液と混合することを考えると、人工臓器外部加熱用の
蒸留水などの水と同じものを用いるのが好ましい。ま
た、該液としては、オートクレーブ内底部に保持された
高温溜液を用いてもよく、オートクレーブ外に設けられ
た 121〜 128℃の液であってもよい。 【0028】人工臓器の蒸気滅菌温度は、人工臓器に用
いられている容器や内部充填物の品質を劣化させずに滅
菌することができればとくに限定されないが、通常は日
本薬局方に記載された条件、たとえば 105℃以上、多く
のばあい 115〜 134℃を用いる。その所定時間は、通常
115℃のばあい30分、 121℃のばあい20分、 126℃のば
あい15分、 134℃のばあい3分などの条件が採用され
る。 【0029】高圧蒸気による外部加熱により所定時間蒸
気滅菌温度に維持して滅菌する方法はオートクレーブを
用いて通常の高圧蒸気滅菌方法と同様に実施される。 【0030】ついで、本発明においては滅菌済高温液を
人工臓器に通液する途中で冷却装置により冷却した滅菌
済低温液を人工臓器内に通液し、内部充填液を置換する
ことによってその内部を冷却せしめる。この際に前記オ
ートクレーブ内と人工臓器内との圧力差を調整する手段
を用いてもよい。このばあいはオートクレーブ内温度が
まだ下がらず、滅菌温度に近い高温にあるとき、人工臓
器の内部に滅菌済低温液を通すことにより、内部温度が
急激に下がったときに、人工臓器内の圧力とオートクレ
ーブ内の圧力差が生じ、人工臓器内に成分の充填状況を
変化させるなど有害な突沸が起こることを防止すること
ができる。内部充填液の置換回数は1回以上、好ましく
は2〜5回である。 【0031】ここで、滅菌済高温液とは、一旦高温状態
で滅菌されたのち冷却されて滅菌済低温液に転換する目
的で使われる液のことで、人工臓器の内部温度昇温用の
滅菌済所定温度液用高温液であってもよいが、必ずしも
これと同じ高温液である必要はなく、滅菌済所定温度液
の槽、すなわち滅菌液貯槽の温度を下げることなどによ
ってつくられた70〜95℃の常圧高温水、生理食塩水また
は若干の安定剤を含有するそれらの水溶液であってもよ
い。 【0032】滅菌済低温液とは、前記滅菌済高温液を冷
却装置としての機能を発揮しうる状態、たとえば冷媒を
通液している状態に変換された前記冷却装置を通して60
℃未満好ましくは20〜40℃に冷却されているものをい
う。 【0033】冷却装置としては、蛇管式、2重管式、プ
レート式などの公知の液−液または気−液熱交換器など
があげられる。 【0034】また、冷却装置に用いられる冷媒として
は、低温の水道水、工業用水またはその他の冷却水など
の液体の冷媒、または低温の空気またはその他の気体を
用いてもよい。 【0035】人工臓器の蒸気滅菌温度に近い、滅菌済所
定温度液用高温液および滅菌済低温液調整用の滅菌済高
温液は、滅菌された直後のものでもよいし、また一旦滅
菌されたのち、菌の繁殖を許さない適正な温度(たとえ
ば70℃以上、好ましくは80℃以上)で比較的短時間(た
とえば24時間以内)、適正な容器に保持されたものでも
よい。またそれらは、同一の貯槽から供給されるもので
もよいし、前記滅菌条件を満たす範囲内で別途異なる条
件または装置内で供給されるものでもよい。 【0036】なお前記滅菌済所定温度液用高温液および
滅菌済低温液調整用の滅菌済高温液は、図1〜図3に示
す実施例のばあいには冷却装置を通じて人工臓器内に通
液される。したがって、滅菌済所定温度液用高温液を通
過させると、それによって冷却装置をも滅菌しうる。一
方、冷却装置内を滅菌済所定温度液用高温液、ついで冷
却されるべき滅菌済高温液が通過して人工臓器内に至る
のみでなく、たとえば冷媒管路が滅菌済所定温度液用高
温液の槽、すなわち滅菌液貯槽の中を通過するなど、冷
却装置が高温液槽中に存在するようにし、冷却装置が滅
菌済所定温度液用高温液や滅菌済低温液調整用の滅菌済
高温液中に存在するものであってもよい。 【0037】また、滅菌済所定温度液用高温液を冷却装
置を通過させずに直接人工臓器内に至らしめ、人工臓器
を滅菌したのち、今度は滅菌済高温液が、たとえば冷却
装置を経由して人工臓器に至るように別途設けられた管
路を通過して冷却されたのち、人工臓器内に流入するよ
うにしてもよい。 【0038】以下に、本発明の 121℃、20分間の高圧蒸
気滅菌を行なったばあいの実施例を図1に基づいて説明
するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるもので
はない。すなわち本明細書中でいう高圧蒸気滅菌の滅菌
条件は 121℃で20分間に限定されるものではなく、人工
臓器の容器や吸着剤の特性に合わせて選定することがで
きる。すなわち、その条件を日本薬局方に準じて 115℃
で30分間、 126℃で15分間などに選ぶことができるが、
これらのばあいは以下の説明に準じて適宜温度設定値や
時間を平行移動的に変更することが望ましい。 【0039】また本実施例では生理食塩水を滅菌済所定
温度液用高温液、滅菌済高温液および滅菌済低温液とし
て用いているが、水または他の安定剤の水溶液を用いる
ことも可能であることは勿論である。 【0040】図1に示す概略系統図に基づいて、本発明
の系圧調節滅菌方法の一実施例を 121℃、20分間の高圧
蒸気滅菌方法により実施するための装置を用いて説明す
る。 【0041】オートクレーブ1の中に人工臓器2を設置
する。前記オートクレーブ1には、加熱器3、高温溜液
4、排出バルブ5が設けられている。前記オートクレー
ブ1の外部には滅菌液貯槽6および冷却装置7が設置さ
れている。滅菌液貯槽6にはジャケット8が設置され該
槽6を加熱しうるようになっており、該槽6の上部には
バルブ19を介して呼吸用フィルター9が設けられてい
る。滅菌液貯槽6と冷却装置7とは耐圧ステンレス配管
で連結されている。冷却装置7と人工臓器回路入口11
とは耐圧ステンレス配管で連結されている。また、人工
臓器回路出口14とバルブ30は耐圧ステンレス配管で
分岐して設置された温度計31を有する耐圧ステンレス
配管で連結されている。 【0042】前記滅菌液貯槽6には加圧装置としてコン
プレッサー15が、操作バルブ17を介して耐圧ステン
レス配管で連結されており、また該槽6には槽内の気体
を大気中に放出するための操作バルブ10が設けられて
いる。また圧力計16が滅菌液貯槽6の上部にバルブ1
8を介して耐圧ステンレス配管で連結されている。さら
に、圧力計21がオートクレーブ1にバルブ24を介し
て耐圧ステンレス配管で連結されている。 【0043】また、前記コンプレッサー15、操作バル
ブ10および17ならびに圧力計16および21は電子
空気圧式の P.I. 作動式連続調節計である自動制御装置
20と接続され、自動制御装置20は圧力計16および
21からの圧力を検知しコンプレッサー15の作動や停
止ならびに操作バルブ10および17の開閉を制御して
いる。さらにオートクレーブ1内の人工臓器2上部およ
び下部近傍の温度を測定するための温度計27および2
8がそれぞれオートクレーブ1の側面に設けられてい
る。 【0044】まず、滅菌液貯槽6に人工臓器2の充填液
と同じ水、生理食塩水または若干の安定剤を含有するそ
れらの水溶液を入れ、バルブ19を開けた状態でジャケ
ット8を用いて 127℃の高温に加熱し、30分間以上保持
することにより液を滅菌し、滅菌済所定温度液用高温液
および滅菌済高温液となる滅菌された高温の液とした。 【0045】えられた滅菌された127 ℃の高温の液を人
工臓器の蒸気滅菌温度に近い 123〜127℃で滅菌液貯槽
6内に保持した。このとき滅菌液貯槽6内の気相部は加
圧ぎみになり、その圧力は約2.3atmとなった。 【0046】つぎに、バルブ19を閉じ、操作バルブ1
7ならびにバルブ18、24および30を開いた。圧力
計16によって滅菌液貯槽6内の圧力を介して人工臓器
2内の圧力が測定された。バルブ17側の耐圧ステンレ
ス配管に加圧気体を送るようにコンプレッサー15を作
動させて管路中の流体圧力減少の定理および水頭圧から
導かれる一定の関係から滅菌液貯槽内を3.5atmとし、所
定温度の該液を人工臓器2の内部に人工臓器回路入口1
1を通して供給した。このとき、冷却装置7には冷媒を
流さなかった。すなわち熱交換することなく、滅菌液貯
槽6内の前記滅菌された所定温度である 121℃以上( 1
21〜 123℃)の液を人工臓器2に供給し、該人工臓器2
内部を通過させ、内部充填液を置換することによって人
工臓器2の内部温度をほぼ熱滅菌温度まで上昇せしめバ
ルブ30を閉じた。この際にオートクレーブ1内の圧力
が圧力計21によって、ほぼ2.0atmと検知された。 【0047】この際には自動制御装置20が人工臓器2
内の圧力とオートクレーブ1内の圧力との圧力差を 0.4
kg/cm2 に保持するように設定され、操作バルブ10お
よび17を作動させた。すなわち、人工臓器2がオート
クレーブ1中において周辺から熱を受け内部温度が上が
り、飽和蒸気圧が上がったときなどには、滅菌液貯槽6
内の気相部から加圧気体をわずかに操作バルブ10から
放出する方法を用いることにより人工臓器2内の圧力差
を所定の圧力差である 0.4kg/cm2 に保つように自動制
御装置20を用いて操作バルブ10を作動させた。また
所定の滅菌が終わり、人工臓器2内に低温液を流し急冷
するときなどの、低温液が人工臓器2内に流れ、その飽
和蒸気圧が下がったとき(容器の温度はまだ高い)には
貯槽6の気相に操作バルブ17を介して加圧気体を追加
して注入する方法を用いることにより人工臓器2内外の
差圧が 0.4kg/cm2 より大きくなることを防ぐように自
動制御装置20を用いて操作バルブ17を作動させた。 【0048】なお、オートクレーブ1の昇温に要する時
間をあらかじめ測定しておき、人工臓器2内部の温度が
121℃に達するときと前記オートクレーブ1の昇温が終
了し、 121℃に達するときとを一致させるのが好まし
い。 【0049】前記のように 121℃以上の温度の滅菌済所
定温度液での置換によってあげられた人工臓器2内の温
度および前記オートクレーブ1の昇温された温度が温度
計30、27および28で 121℃に達したことを確認し
たのちバルブ30を閉じ、 121℃の高圧蒸気滅菌の条件
として設定した所定時間である20分間人工臓器2の滅菌
を行なった。このときも前記と同様に自動制御装置20
によってオートクレーブ1内および人工臓器2内の圧力
調節が行なわれた。滅菌が終了するまでに冷却装置7に
冷媒を流し、冷却装置として機能しうる状態にしてお
き、所定時間である20分間の滅菌が終了したとき、冷却
装置7を働かせたまま、滅菌液貯槽6内の安定剤液とし
ての生理食塩水を人工臓器2に通液する途中で冷却装置
7で冷却し滅菌済低温液として人工臓器2内に通液し、
前記方法と同様に置換することにより、人工臓器2の内
部を急速に80℃以下に下げ、約2分後には40℃に下げ
た。このときも前記人工臓器2の昇温時と同様に、自動
制御装置20によって圧力差が0.4kg/cm2 となるよう
にコンプレッサー15、操作バルブ10および17を作
動させた。 【0050】これらの操作を行なうことにより、人工臓
器内で突沸現象を発生させることなく、かつ過大な圧力
差と高温により人工臓器の容器が破壊されることなく、
所望の滅菌を行なうことができた。 【0051】また、図2は本発明の方法に用いる装置の
一実施例を示す概略系統図であり、コンプレッサー15
が滅菌液貯槽6に操作バルブ17を介して連結されてい
ること、該槽6に操作バルブ10が設けられることにか
わってコンプレッサー15がオートクレーブ1に操作バ
ルブ25を介して耐圧ステンレス配管で連結され、該オ
ートクレーブ1にオートクレーブ1内の気体を大気中に
放出するための操作バルブ26が設けられ、圧力計16
が該槽6にバルブ18を介して連結されていることにか
わり圧力計13がオートクレーブ1内で人工臓器回路出
口14側の耐圧ステンレス配管にバルブ29を介して耐
圧ステンレス配管で分岐して連結されており、人工臓器
回路出口14と耐圧ステンレス配管で連結されているバ
ルブは操作バルブ12であり、さらにポンプ22がオー
トクレーブ1外に設けられており、高温溜液4をオート
クレーブ1内に設けられたステンレス配管でオートクレ
ーブ1上部に吸い上げ、オートクレーブ1内の上部から
該液をオートクレーブ1内に噴霧できるように、オート
クレーブ1内の上部に該ポンプ22からステンレス配管
で連結してノズル23が設けられているほかは第1図に
示す装置と同じ構成となっている。 【0052】前記コンプレッサー15、操作バルブ1
2、25および26は自動制御装置20と接続され、該
自動制御装置20は圧力計13および21からの圧力を
検知しコンプレッサー15の作動や停止ならびに操作バ
ルブ12、25および26の開閉を制御している。 【0053】ここで、人工臓器2内の圧力はバルブ29
を開いて、圧力計13によって人工臓器2の下流側の耐
圧ステンレス配管中の圧力を介して測定される。図1の
装置におけるときと同様に、自動制御装置20によって
圧力差を調整する際には、人工臓器2内の圧力がオート
クレーブ1内の圧力より大きいばあい操作バルブ12が
開かれるか、操作バルブ25を介して加圧気体がオート
クレーブ1内に注入されるかまたはそれら操作が組み合
わされ、人工臓器2内の圧力がオートクレーブ1内の圧
力より小さいばあい、操作バルブ12が閉じられるか、
操作バルブ26を介してオートクレーブ1内から加圧気
体が放出されるかまたはそれらの操作が組み合わされる
ように自動制御装置20が作動する。また、操作バルブ
25を通じてオートクレーブ1内に加圧気体を加えるば
あい、オートクレーブ1内の温度分布が不均一になるの
を防止するためにポンプ22を作動させ、ノズル23か
ら高温溜液4をオートクレーブ1内に噴霧した。この操
作により人工臓器2の上部および下部の温度差が小さく
なることを温度計27および28で確認した。 【0054】図3は本発明の方法に用いる装置の一実施
例を示す概略系統図であり、図1と図2における装置を
組み合わせた構成となっている。このように、各操作手
段を組み合わせて用いることもできる。 【0055】 【発明の効果】従来の方法では人工臓器内の圧力とオー
トクレーブ内の圧力との差が大きくなったとき、該圧力
差が人工臓器を構成する材料が高温時に有する耐圧強度
をこえ、その結果人工臓器が破壊されるといった問題が
生ずるが、本発明の方法によれば、人工臓器内の圧力を
圧力計で検知し、該圧力とオートクレーブ内の圧力との
差が大きくならないように、自動制御装置を用いて人工
臓器内の圧力が調整されるので、前記耐熱温度まで滅菌
温度を上げても人工臓器が破壊されることはなく、かか
る問題は解消される。 【0056】さらに、内部に充填液が充填された人工臓
器を熱滅菌するばあい、充填液の熱膨脹による人工臓器
の損傷が問題になるが、本発明による方法では熱膨脹に
よる内部圧力の上昇分は、自動制御装置によって人工臓
器内の圧力とオートクレーブ内の圧力との差が小さくな
るように調節されて、吸収されるので問題にならない。
また、従来の方法では人工臓器の降温時、オートクレー
ブ内温度がまだ冷えきらず、滅菌温度に近い高温にある
とき人工臓器の内部に滅菌済低温液を通すことにより内
部温度が急激に下がったばあいに突沸現象が生じるとい
った問題があるが、本発明の方法によれば人工臓器内の
圧力を検知し、該圧力とオートクレーブ内の圧力との差
が大きくならないように調整できるので、人工臓器を冷
却しても人工臓器内部に突沸現象が生じることはなく、
かかる問題は解消される。 【0057】本発明の方法は人工臓器全般に応用するこ
とができ、しかも製造工程の最終段階における滅菌のみ
ならず、使用中の人工臓器の滅菌にも適用しうることは
いうまでもなく、また人工臓器内およびオートクレーブ
内の圧力制御が自動化されているので滅菌操作を簡略化
することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の系圧調節滅菌方法を実施するための装
置の実施例を示す概略系統図である。 【図2】本発明の系圧調節滅菌方法を実施するための装
置の実施例を示す概略系統図である。 【図3】本発明の系圧調節滅菌方法を実施するための装
置の実施例を示す概略系統図である。 【符号の説明】 1 オートクレーブ 2 人工臓器 13、16、21 圧力計 10、12、17、 25、26 操作バルブ 20 自動制御装置

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 オートクレーブ中で高圧蒸気を用いて人工臓器を滅
    菌するにあたり、人工臓器の蒸気滅菌温度に近いあらか
    じめ滅菌されたのち高温に保持された液を、人工臓器内
    に通液装置を用いて通液し、ついで所定温度の該液の充
    填下、高圧蒸気による外部加熱により所定時間滅菌温度
    に維持して滅菌し、あらかじめ滅菌されたのち高温に保
    持された液を人工臓器に通液する途中で冷却装置を用い
    て冷却した滅菌された低温の液を人工臓器内に通液して
    その内部を冷却する際に、人工臓器内の圧力およびオー
    トクレーブ内の圧力を測定し、人工臓器内の圧力とオー
    トクレーブ内の圧力との差を人工臓器の耐圧力値以上と
    ならないようにするために、人工臓器の下流側に設けら
    れた弁の開きを調節する手段を設け、オートクレーブ内
    の圧力が人工臓器内の圧力よりも大きいときは、前記弁
    を閉じ、オートクレーブ内の圧力が人工臓器内の圧力よ
    りも小さいときは、前記弁を開くことを特徴とする人工
    臓器の系圧調節滅菌方法。 2 人工臓器内の圧力の測定値が1〜4atm である特許
    請求の範囲第1項記載の人工臓器の系圧調節滅菌方法。 3 オートクレーブ内の圧力の測定値が1〜4atm であ
    る特許請求の範囲第1項記載の人工臓器の系圧調節滅菌
    方法。 4 人工臓器内の圧力の測定値とオートクレーブ内の圧
    力の測定値との差が0〜3kg/cm2 である特許請求の範
    囲第1項記載の人工臓器の系圧調節滅菌方法。 5 人工臓器内の圧力の測定値とオートクレーブ内の圧
    力の測定値との差が 0.5kg/cm2 未満である特許請求の
    範囲第1項記載の人工臓器の系圧調節滅菌方法。 6 人工臓器内の圧力の測定値とオートクレーブ内の圧
    力の測定値との差が 0.1kg/cm2 未満である特許請求の
    範囲第1項記載の人工臓器の系圧調節滅菌方法。 7 人工臓器内の圧力を滅菌液貯槽で測定する特許請求
    の範囲第1項記載の人工臓器の系圧調節滅菌方法。 8 人工臓器内の圧力を滅菌液貯槽と人工臓器とを連結
    する管路で測定する特許請求の範囲第1項記載の人工臓
    器の系圧調節滅菌方法。 9 人工臓器内の圧力を人工臓器回路出口と排出側の絞
    り弁との間の管路で測定する特許請求の範囲第1項記載
    の人工臓器の系圧調節滅菌方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2016201783A1 (zh) * 2015-06-19 2016-12-22 南方医科大学珠江医院 新型组合型肝肾支持系统 crrt 模式管路

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2016201783A1 (zh) * 2015-06-19 2016-12-22 南方医科大学珠江医院 新型组合型肝肾支持系统 crrt 模式管路

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