JPH05176787A - インターロイキン−6の産生法 - Google Patents

インターロイキン−6の産生法

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JPH05176787A
JPH05176787A JP18248791A JP18248791A JPH05176787A JP H05176787 A JPH05176787 A JP H05176787A JP 18248791 A JP18248791 A JP 18248791A JP 18248791 A JP18248791 A JP 18248791A JP H05176787 A JPH05176787 A JP H05176787A
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昌信 成戸
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 天然型インターロイキン−6を大量に産生さ
せる。 【構成】 インターロイキン−6産生細胞を培養し、該
細胞をマイトマイシンC等のDNA合成阻害剤で処理す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、生産性の高いインター
ロイキン−6の産生法に関する。
【0002】
【従来の技術】インターロイキン−6(以下、IL−6
と略す)は、Bリンパ球分化因子、インターフェロンβ
、26K蛋白、ハイブリドーマ/プラズマサイトーマ
増殖因子、あるいは肝細胞刺激因子などとよばれていた
サイトカインの統一名である。IL−6は、T細胞、B
細胞、マクロファージ、線維芽細胞、血管内皮細胞など
の細胞株により恒常的に、あるいは種々の刺激により産
生される。
【0003】IL−6は、活性化されたB細胞に対し、
抗体産生細胞への分化を誘導する。T細胞に対してはマ
イトジェン刺激を受けたT細胞にインターロイキン−2
(IL−2)産生を誘導したり、ある種のT細胞株や胸
腺細胞にIL−2レセプターを誘導する。造血細胞に対
してはIL−3存在下でIL−6が造血幹細胞の増殖を
相乗的に誘導する。また、最近、IL−6はトロンボポ
エチンとしての作用を有していることが報告されてい
る。この様にIL−6は、多くの生理活性を有してお
り、臨床への応用が期待されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】現在IL−6は、主に
遺伝子組換え体で産生され提供されている。しかし、遺
伝子組換え大腸菌で産生される物は、糖鎖を有していな
い。また、遺伝子組換えCHO細胞で産生される物は、
糖鎖構造が天然の物と異なる可能性がある。糖鎖構造の
差異は、生理活性や体内動態に影響すると考えられる。
天然型IL−6の生理活性や体内動態などの性質を臨床
応用するには、天然型IL−6の大量生産が必要であ
る。
【0005】一方、天然型IL−6は、通常、IL−6
産生細胞を培養することにより、あるいはさらに誘発剤
で誘発させることにより産生させることができる。ま
た、誘発剤を用いて細胞を刺激した後、産生を一層増強
せしめるためにベラパミル、シクロヘキシミド、アクチ
ノマイシンDなどの代謝阻害剤で細胞を処理する方法
(J.Immunol.,144,4242−4248
(1990))も知られている。しかしながら、これら
従来の方法では天然型IL−6を高収率で産生すること
ができない。本発明の目的は、臨床応用のために天然型
IL−6を大量に提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、哺乳動物
培養細胞由来のIL−6を大量に生産させる方法とし
て、細胞処理方法に着目し鋭意検討を重ねてきた。その
結果、高単位のIL−6を安定して産生させる方法を提
供することができた。すなわち本発明は、IL−6産生
細胞を培養し、DNA合成阻害剤で該細胞を処理するこ
とを特徴とするインターロイキン−6の産生方法であ
る。本発明によれば、天然型IL−6を高収率で生産す
ることができる。
【0007】IL−6はさまざまな細胞により恒常的
に、あるいは種々の刺激により産生される。本発明のI
L−6産生細胞としては、IL−6産生能を有するもの
であれば、特に限定されないが、例えば、T細胞、B細
胞、マクロファージ、線維芽細胞、血管内皮細胞、骨肉
腫細胞、肺癌細胞、腎癌細胞などの細胞あるいは株化細
胞が挙げられる。本発明の方法は、誘発剤の刺激により
IL−6を産生する細胞(例えば、T細胞、B細胞、線
維芽細胞、骨肉腫細胞、肺癌細胞、腎癌細胞など)を使
用する場合に特に効果のある方法である。
【0008】IL−6産生細胞を、ルー瓶やローラー
瓶、スピナーフラスコ、またはマイクロキャリアービー
ズや中空糸またはゲル固定化培養法により培養する。培
地組成、血清濃度等は、培養すべき細胞の種類、細胞濃
度等に応じて適当に選ばれる。培養中、適宜培地交換を
行い、数日間〜20日間培養する。細胞がコンフルエン
トになるまで培養を続ける。増殖した細胞は、誘発剤で
処理するに先立ち低単位のサイトカインと数時間から2
日間インキュベートすることが好ましい。使用するサイ
トカインは、インターフェロン−βが好ましい。
【0009】その後増殖した細胞を各種IL−6誘発剤
で処理する。IL−6産生細胞を誘発剤で処理しIL−
6を産生させる方法としては、poly(I):pol
y(C)などの合成RNAもしくは天然型RNA等の誘
発剤、あるいはIL−1、TNF、IFN−βなどのサ
イトカイン、あるいはPDGF、TGF−β等の増殖因
子、あるいはPMA、PHA、リポポリサッカライドや
コレラ毒素などを用いて誘発させる方法が用いられる
(Science,235,731(1987))。誘
発剤としては、poly(I):poly(C)が特に
好ましく用いられる。
【0010】DNA合成阻害剤の添加は、誘発剤添加前
2日以内、または誘発剤添加と同時、または誘発剤添加
後2日以内に行う。IL−6産生細胞として、血管内皮
細胞、マクロファージなどの誘発剤を必要としない細胞
を使用する場合は、該細胞を培養し細胞がコンフルエン
トになった段階で添加する。DNA合成阻害剤として
は、マイトマイシンA、マイトマイシンB、マイトマイ
シンC、ポルフィロマイシン、ブレオマイシン、サルコ
マイシン、マクロモマイシン、あるいは5−FUなどが
使用できる。なかでもマイトマイシンCが特に好まし
い。使用濃度は、0.1ng/ml〜5μg/mlの範
囲が好ましい。さらに好ましくは、10〜100ng/
mlの範囲である。その後、さらに数日間インキュベー
トしIL−6を産生させる。この方法は、既知の処理方
法と比べIL−6の生産性が高い。
【0011】本発明で用いる培地は、通常のものが使用
できる。細胞に適した培地を、適宜選択することが好ま
しい。
【0012】
【実施例】以下実施例を挙げて本発明を具体的に説明す
るが、これらにより本発明が限定されるものではない。 実施例 1 胎児牛血清5%を含むイーグルMEMに、ヒト線維芽細
胞を約1×10個/mlの割合で接種し、24穴マイ
クロプレートに1穴当たり2ml蒔き37℃、5%CO
濃度インキュベータ内で4日間培養した。途中、3日
目に培地交換を行った。4日目に、インターフェロン−
β100国際単位/ml、カルボキシルメチルセルロー
スを含む、イーグルMEM培地と交換し、37℃、5%
CO濃度で24時間インキュベートした。次に、po
ly(I):poly(C)を1μg/ml加え、次い
で各種のIL−6産生増強剤を加えさらに37℃、5%
CO濃度下で5日間培養した。IL−6産生増強剤と
しては、マイトマイシンC(0.05μg/ml)、シ
クロヘキシミド(10μg/ml)、アクチノマイシン
D(4μg/ml)、ベラパミル(100μg/ml)
を用いた。シクロヘキシミド、アクチノマイシンDの場
合は、添加後各々4時間、1時間後に培地交換により除
去した。最終的に産生されたIL−6の量は、抗IL−
6抗体(N.Idaら、Biochem. Biophys. Res.Commu
n.,165,728−734,(1989))を用いた
酵素抗体法で測定した。結果は、表1に示す。
【0013】
【表1】
【0014】実施例2 ヒト骨肉腫由来MG−63細胞(Antimicrob. Ag. Chem
other., 12,11(1977))を、培養面積150cm2 の培養フ
ラスコ(コーニング社)4本を用い、5%ウシ胎児血清
を含むイーグルMEM培地中で増殖させた。コンフルエ
ントに増殖した細胞を0.3W/V%の“Cytodex
1”(ファルマシア社)を用いたマイクロキャリー培養
系に移し、1日おきに培地交換を繰り返し、マイクロキ
ャリアー上にコンフルエントに増殖させた。増殖した細
胞(1.2×106 /ml)に50ng/ml のマイトマイシン
CをPolyI/C刺激を行なう48時間前に添加し
た。24時間前に100IU/ml のインターフェロンβ
のプライミングを行ない、10μg/mlのPolyI/C
処理を2時間行なって5%CO2 のインキュベーター中
で5日間培養した。PolyI/Cを除去してから、
1、2、3および5か目の培養上清を抜き出し、Ida
らの方法に従いIL−6産生量を測定した。結果を図1
に示す。
【0015】
【発明の効果】本発明によれば、医薬としての応用が期
待される天然型IL−6を、高収率で産生することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2のIL−6産生に及ぼすマイトマイシ
ンCの影響を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 河野 源 神奈川県鎌倉市手広1111番地 東レ株式会 社基礎研究所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インターロイキン−6産生細胞を培養
    し、DNA合成阻害剤で該細胞を処理することを特徴と
    するインターロイキン−6の産生法。
JP18248791A 1990-07-25 1991-07-23 インターロイキン−6の産生法 Expired - Fee Related JP3147414B2 (ja)

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