JPH05165281A - 機能冗長系を有する自己修復型画像形成装置 - Google Patents

機能冗長系を有する自己修復型画像形成装置

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JPH05165281A
JPH05165281A JP3336731A JP33673191A JPH05165281A JP H05165281 A JPH05165281 A JP H05165281A JP 3336731 A JP3336731 A JP 3336731A JP 33673191 A JP33673191 A JP 33673191A JP H05165281 A JPH05165281 A JP H05165281A
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functional
function
failure
redundancy
image forming
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JP3336731A
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English (en)
Inventor
Yasushi Umeda
靖 梅田
Tetsuo Tomiyama
哲男 冨山
弘之 ▲吉▼川
Hiroyuki Yoshikawa
Yuichi Koike
雄一 小池
Yoshiki Shimomura
芳樹 下村
Kazuto Hori
堀  和人
Sadao Tanigawa
貞夫 谷川
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Kyocera Mita Industrial Co Ltd
Original Assignee
Mita Industrial Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】画像形成装置にパラメータ型自己修復機構およ
び機能冗長系を組み込むことにより、自己修復能力の高
い装置にすること。 【構成】パラメータ型自己修復機構は、装置の定性デー
タに基づいてパラメータ値を操作し、装置の状態を最適
な状態に修復して保持する。パラメータ型故障修復が不
可能な故障が発生した場合は、予め記憶された故障種類
に応じた組合せの冗長系制御が行われ、故障した機能が
潜在機能で代替されて故障修復がされる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】目次 産業上の利用分野 発明の背景 従来の技術 発明が解決しようとする課題 課題を解決するための手段 作用 実施例 1.「機能冗長」の概念および機能冗長を用いた自己修復
機械の概要 1-1.「機能冗長」の定義 1-2. 機能を表現するための対象表現方法: FBSダイ
アグラム 1-2-1. FBSダイアグラムの定義 1-2-2. FBSダイアグラムの実現 1-2-2-1. 機能表現 1-2-2-2. 挙動、状態表現 1-2-2-3. 対象の記述 1-2-2-4. FBSダイアグラムを用いた実際の機械の表
現例 1-2-3. FBSダイアグラムの利用 1-3. 機能冗長機械の構築 2. 機能冗長系を付加した自己修復型画像形成装置の具
体例 2-1. 基本構成 2-1-1. 逐次機能冗長推論を行うもの 2-1-2. 予め定める条件ごとの機能冗長推論の結果をメ
モリに備えたもの 2-2. 電子写真複写機を対象機械とした具体例 2-2-1. 構成ブロック図 2-2-2. 制御シーケンス 2-2-2-1. 故障判定 2-2-2-2. 実体モデルと対象モデル 2-2-2-3. 故障診断の手法 2-2-2-4. 機能冗長推論 2-2-2-5. パラメータ型修復シミュレーション 2-2-2-6. 副次的影響の推論 2-2-3. 変形例等 発明の効果
【0002】
【産業上の利用分野】この発明は、冗長系を備えた画像
形成装置に関するものであり、特に、冗長系として、機
能冗長系を備えた画像形成装置に関する。ここで、「機
能冗長」とは、「元々機械に存在する部品を用い、その
部品の潜在機能を利用して他の部品の代用として活用す
ること」をいう。
【0003】
【発明の背景】機械文明の進んだ今日、機械システムの
障害が社会に与える影響は計り知れないので、システム
に対しては種々の保全処理が図られている。機械システ
ムの保全に対しては、一般に、大きく次の3つの手段が
考えられる。すなわち、 1.高信頼性設計:なるべく故障が発生しないような設
計を行う。
【0004】2.予防保全:使用中において故障が発生
しないように予防を行う。 3.事後保全:万一、故障が発生しても、システム全体
への波及を抑え、短期間のうちに回復することを目的と
する。 しかし、このような考え方には限界がある。まず、高信
頼性設計については、部品の高品質化にも物理的な限界
があり、そのコストは高騰しがちである。また、信頼性
を確保するための冗長設計にしても、システムの巨大化
によるコスト高騰を無視できない。さらに、フォールト
・トレラント(fault tolerant:故障に対して寛容な)
設計を考えるにしても、予防保全にしても、故障が予期
できなければならないが、機械システムの複雑化に伴い
それが困難になってきている。
【0005】一方、機械システムの障害が社会に与える
影響を考えると、フェール・セーフ(fail-safe)や事後
保全だけを考えることも、現実には非常に危険である。
そこで、むしろ積極的に故障する可能性を認め、故障し
ても機能的に影響しないような方策を考える必要があ
る。
【0006】
【従来の技術】故障が生じた場合に、機能的に影響しな
いようにする方策の1つとして、機械に冗長系を付与す
ることが知られている。最も一般的な冗長系は、同様の
機能を持つ手段を余分に用意することであり、この冗長
系は機械全体としての信頼性を高める目的で付与され
る。実際には、同種類の部品を並列に複数配置すること
により実現されており、これを「部品冗長」と呼ぶこと
にする。部品冗長の一例は、たとえば特開昭63−11
520号公報に開示されている。部品冗長は、並列に並
べる部品が多いほど信頼性が向上する有効な手段である
が、その結果、機械システムの重量およびコストの増大
を招く。また、場合によっては、逆にシステムが複雑化
し、信頼性を低下させる原因となることもある。
【0007】別の冗長系として、特開平2−11060
1号公報には、「協調分散」という制御方式が開示され
ている。この公報に開示されている協調分散制御方式
は、或る制御装置が故障したときに、この制御装置が制
御していたプラントのサブシステムを、適当な他の制御
装置の制御下に置くように割り当てる方式である。つま
り、複数の制御装置を有する場合において、或る制御装
置が故障した場合、故障した制御装置にかかるタスクを
予め定める分担規約に従って他の制御装置に割り当て、
故障した制御装置が行っていた制御を他の制御装置が分
担して行うようにしたものである。この協調分散制御方
式は、制御装置が複数備えられたシステムにおける制御
装置のための冗長系としては有効であるが、制御装置が
制御する機械部品、すなわち機械システムそのものに対
する冗長系となり得るものではない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、従来の
冗長系のうち、「部品冗長」は機械システムそのもの
(被制御部品)に対する冗長系であるが、本来必要な部
品に加えて冗長系を実現するために並列に並べる部品が
必要で、価格が高くなり、重量も増加し、構成も複雑に
なる等の問題点があった。また、「協調分散」は制御装
置のための冗長系であって、被制御装置に対しては適用
することができない。
【0009】この発明は、従来の冗長系とは全く異なる
観点に立脚してなされたもので、機能冗長系という新た
な考え方の冗長系を有する画像形成装置を提供するもの
である。すなわち、この発明は、万一障害が発生して
も、構造を何らかの方法で再構成することで機能の回復
が自動的に行えるように、つまり機能的な冗長性を用
い、故障に対して自己修復するような機械を設計すると
いう新しい思想に基づいて完成されたものである。
【0010】この発明は、機能冗長に基づく自己修復型
画像形成装置を構築することにより、いわゆる「柔らか
く壊れる」画像形成装置を実現することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】この発明は、複数の機能
部分を含み、各機能部分は、それぞれが予め定める本来
機能を有し、かつ、複数の機能部分の全部または一部
は、予め定める本来機能とは異なる、通常は発現してい
ない潜在機能を有するものである機能手段と、上記機能
手段を複数個の要素の結合として表現し、各要素の挙動
または属性および各要素間の結合関係がパラメータを用
いて定性的に表わされた定性データが記憶された記憶手
段と、上記機能手段の故障を診断する診断手段と、上記
複数の機能部分に本来機能を発現させるように、複数の
機能部分を第1の組合せに従って動作させる通常制御手
段と、診断手段により機能手段の故障が発見されたと
き、記憶手段に記憶された定性データに基づいて、パラ
メータ操作による故障修復作業を演算する演算手段と、
演算手段の演算結果を実行するパラメータ型故障修復手
段と、パラメータ型故障修復手段によって機能手段の故
障が修復できないときに、上記複数の機能部分の中の故
障にかかる機能部分の本来機能を他の機能部分の潜在機
能で代替させるように、上記故障にかかる機能部分を用
いずに、残る機能部分を上記第1の組合せとは異なる第
2の組合せに従って動作させる冗長系制御手段と、を有
することを特徴とする機能冗長系を有する自己修復型画
像形成装置である。
【0012】またこの発明は、前記機能冗長系を有する
自己修復型画像形成装置において、冗長系制御手段は、
故障にかかる機能部分の種類に対応して、予め定める互
いに異なる複数の組合せの中の所定の組合せに従って制
御動作を行うものである。
【0013】
【作用】機能、挙動および状態を用いた予め定める関係
表現(以下「FBSダイアグラム」という)を用いる
と、装置を構成する複数の機能部分の有する機能を階層
的に展開して把握することができる。装置を構成する機
能部分には、通常発現される本来機能の他に、通常は発
現されない潜在機能を有しているものがある。
【0014】通常制御手段は、複数の機能部分に本来機
能を発現させるように、複数の機能部分を第1の組合せ
に従って動作させる。そして第1の組合せに従って動作
されている機能手段の故障が、診断手段により発見され
たとき、まず、定性データを用いてパラメータ型の故障
修復が行われる。パラメータ型の故障修復では、パラメ
ータ値が正常な定性値になるように修復される。このパ
ラメータ型修復は、たとえば可変抵抗器を調整したり、
印加電圧を調整することによりパラメータ値を操作する
ものであり、その操作範囲には限界があるし、また操作
できない場合(たとえばハロゲンランプ切れ)もある。
【0015】もし、パラメータ型故障修復によっては機
能部分の故障が修復できなかったときには、冗長系制御
手段が動作する。冗長系制御手段は、故障にかかる機能
部分の本来機能を他の機能部分の潜在機能で代替させる
ように、故障にかかる機能部分を用いずに残りの機能部
分を通常制御手段が行う第1の組合せとは異なる第2の
組合せに従って動作させる。
【0016】また、この第2の組合せは、故障にかかる
機能部分が代わるごとに、換言すれば代替させようとす
る本来機能が代わることに応じて、所定の組合せになる
ようにされている。それゆえ、装置に故障が発生してパ
ラメータ型修復では修復できない場合でも、冗長系制御
手段により、元々装置に存在する機能部分を利用して、
故障にかかる機能部分の本来機能を他の機能部分の潜在
機能で代替させることにより、失われた機能を回復さ
せ、自己修復を図ることができる。
【0017】
【実施例】
1. 「機能冗長」の概念および機能冗長を用いた自己修
復機械の概要 この項では、まず、この発明における「機能冗長」の概
念について説明するとともに、機械の機能冗長を表現し
利用するために必要なFBSダイアグラムについて説明
する。さらに、機能冗長性を機械に付与するための設計
方法、および、機能冗長性を持つ自己修復機械の概要に
ついて説明をする。 1-1. 「機能冗長」の定義 機能冗長とは、元々機械システムに存在する部品を用い
て、その部品の潜在機能を利用し、他の部品の代用とし
て活用できるようにすることをいう。
【0018】たとえば、マニュアルトランスミッション
の自動車は、通常、エンジンの出力により走るが、エン
ジンが作動しない場合には、スターティングモータによ
り移動することができる。これは、駆動系の構造を変更
することにより、スターティングモータに潜在機能「車
体を動かす」を、エンジンに潜在機能「駆動力を伝え
る」を発現させて実現しており、部品数を増加せずに冗
長性を付与している例である。
【0019】つまり、図1(a)に示す構成を図1
(b)に示すように、スターティングモータを「車体を
動かす」ための駆動源に変更し、エンジンを「駆動力を
伝える」ためのクランクシャフトを利用することによ
り、部品数を増加せずに冗長性を付与しているのであ
る。この明細書においては、このように、潜在機能を利
用して冗長性を付与することを「機能冗長」と定義す
る。
【0020】機能冗長を従来の部品冗長と比較すると、
表1に示すように、それぞれ、特徴および問題点があ
る。
【0021】
【表1】
【0022】表1における機能冗長の問題点として挙げ
た「機能判断、価値判断の必要性」とは次のようなこと
である。一般に、機能冗長系によって失われた機能Aを
完全に回復させることは必ずしも容易なことではない。
しかし、失われた機能Aを或る程度高めることはでき
る。たとえば、上述の自動車の例では、スターティング
モータによる走行では高々5km/h程度の速度しか出
ず、高速で走行する機能は発揮されてはいない。また、
スターティングモータによる走行時間にも著しい制限が
ある。
【0023】しかしながら、失われた機能Aを回復させ
るに際し、機能冗長系によりどの程度の機能発現があれ
ば使用者が満足できるかというのは、使用状況に依存
し、人間の価値判断により決定されるものである。上記
自動車の例では、最寄りのガソリンスタンドまたはサー
ビス工場まで走行できればよく、走行速度はあまり問題
でないとして満足できるとの考え方がある。あるいは、
そのような機能発現では満足できないとの考え方もあ
る。
【0024】上述のような価値判断はこの発明の本質と
は区別されるものであり、ユーザとの対話によって決定
されるものとする。この発明にかかる機能冗長は、特
に、メカトロニクス機械のようにコンピュータにより動
作が制御される機械において有用である。というのは、
コンピュータにより動作が制御される機械では、ソフト
ウェア上での制御パターンを変更することにより、機械
の構造変更を実現できるので、機能冗長系の付加が十分
可能だからである。 1-2. 機能を表現するための対象表現方法:FBSダイ
アグラム 機能冗長系が組み込まれた機械システム、すなわち機能
冗長機械システムを構築するためには、機能を含めた形
で機械を表現することが必要である。
【0025】この発明では、FBS(Function-Behavio
ur-State) ダイアグラムにより機械を表現する。つま
り、機能、挙動および状態からなるダイアグラムで機械
を表現する。なお、挙動および状態の表現は、K. D. Fo
rbusの定性プロセス理論に基づいた表現を用いる。この
点に関しては後に詳述する。以下、まず、FBSダイア
グラムについて概説し、次いでFBSダイアグラム上で
の機能冗長機械の表現について説明する。 1-2-1. FBSダイアグラムの定義 物理的世界に限って考察を行い、FBSダイアグラムを
構成する状態、挙動およひ機能を、以下のように定義す
る。
【0026】まず、或る機械の状態Sを機械の内部状態
i 、環境等の外部状態So を用いて式(1)のように
表現する。 S=<Si ,So > …(1) 式(1)は、集合Sが集合Si とSo とにより記述され
ることを意味している。
【0027】また、内部状態Si は機械内の部品等を表
わす実体集合E、ギヤの大きさ,抵抗の抵抗値等を表わ
す実体の属性集合A、および、部品接続関係,属性間の
関係等を表わす関係集合Rにより、次の式(2)のよう
に定義する。 Si =<E,A,R> …(2) 外部状態So も内部状態と同様に記述する。また、いわ
ゆる機械の「構造」も持続時間が長い機械の一種の状態
であると考え、内部状態Si の一部として記述する。こ
れは、機械の故障により構造自体も変化する可能性があ
り、その場合に構造変化も柔軟に記述できるようにする
ためである。
【0028】式(1)および(2)により定義された状
態記述の一例を図2に示す。図2は、文鎮の状態記述を
表わしている。図2には、文鎮は用紙上に置かれ、文鎮
には重量W、体積Vおよび密度Dの状態を表わすパラメ
ータが存在し、それらのパラメータにはD=W/Vとい
う関係があることが記述されている。次に、上述の状態
Sを用いて、挙動Bを「1つ以上の状態の変化(変化し
ないことを含む)」と定義する。この定義を式で表わせ
ば下記の式(3),(4)および(5)となる。
【0029】 b=s1 →s2 → … …(3) b∈B …(4) s1 ,s2 ,…∈S …(5) つまり、挙動Bの集合に含まれる個々の挙動bは、s1
→s2 → …と状態が変化するものであり、変化した各
状態s1 ,s2 ,…は、状態Sに含まれる。
【0030】ここで注意すべきことは、「状態変化」は
ランダムに引き起こされているのではなく、「物理法
則」により引き起こされていると考えることができる点
である。このように状態Sと挙動Bとが物理法則によっ
て結び付けられているという考え方が、この発明の1つ
の基本的な考え方である。逆にこれゆえ、物理法則の知
識ベースを構築することにより、機械システムの状態表
現と挙動表現との間の無矛盾性をコンピュータにより管
理することが可能になる。
【0031】以上に基づき、次に、機能Fを「人間が或
る目的をもって認識、抽象化した挙動の記述」であると
定義する。つまり、機能は基本的には「〜を〜する」と
いう形式で記述される。この機能Fの定義を式で表わせ
ば、下記の式(6)となる。 Γab:B→F …(6) 式(6)において、Γabは、人間による認識、抽象化の
過程を示し、この過程を通じて挙動Bは、機能Fに変換
される。
【0032】この機能と挙動との関係は人間の主観に依
存したものであり、見方により同じ挙動に対していくつ
もの機能を対応させることができるし、その逆もあり得
るというのが、この発明のもう1つの基本的な考え方で
ある。たとえば、電子写真複写機を例にとれば、「感光
体ドラムを除電する」という機能に対して、「除電ラン
プの光が感光体ドラムに照射され、静電電荷がアースさ
れる」という挙動や、「チャージャの放電現象により、
感光体ドラム上の静電電荷が打ち消される」という挙動
等、複数の挙動が対応する可能性がある。このような機
能と挙動との多対多対応が機能冗長という考え方を可能
にする根拠になっており、この多対多対応を明示的に表
現するFBSダイアグラムが機能冗長に必要不可欠な前
提要件となっている。
【0033】FBSダイアグラムにおける上述した機
能、挙動および状態の関係を図3に示す。図3におい
て、状態集合と挙動集合とは物理法則によって結び付け
られており、挙動集合と機能集合とは認識抽出によって
対応づけられている。 1-2-2. FBSダイアグラムの実現 次に、1-2-1.で述べたFBSダイアグラムの実現方法、
機能、挙動および状態の記述方法について説明する。 1-2-2-1. 機能表現 1-2-1.で定義した「機能」をここでは表2に示す「機能
知識」という枠組により記述する。
【0034】
【表2】
【0035】表2に示すように、機能知識は、以下のよ
うな項目により記述される。 「機能名」:その機能を表わすラベルであり、「目的語
(複数可)+動詞」の形で記述される。 「実現フィーチャー」:この項には、この機能を実現す
るためのフィジカル・フィーチャーを記述する。後述す
る「1-2-2-2.挙動および状態表現」の項で述べるよう
に、フィジカル・フィーチャーは機械に頻繁に出現する
挙動と状態とを組にした知識であり、先に定義した「機
能」と「挙動」との関係を規定するものである。一般的
には、記述している機能に対応する実現フィーチャーが
複数存在する場合は複数のフィーチャーを記述し、存在
しない場合は記述しない。
【0036】「展開知識」:この機能を展開するための
展開方法を示した知識である。展開知識の項には、展開
知識の集合が記述される。1つの機能知識がいくつかの
異なる展開知識を持つこともある。さて、機械の機能
は、一般に、いくつかの部分機能に展開されて観察され
る。たとえば、電子写真複写機の機能「コピーをとる」
は、画像を読取る機能、読取った画像を保持する機能、
現像する機能、現像された画像を転写する機能、転写像
を定着する機能等が組合わされて実現されていると考え
られる。さらに、画像を読取る機能は、原稿をスキャン
する機能、光源となる機能等から構成される。これらの
機能は、一般に、機能の階層構造を構成している。
【0037】そこでこの発明では、機能知識にその機能
の展開方法を記述した展開知識を持たせることにした。
次に、表3に、展開知識の記述項目を示す。
【0038】
【表3】
【0039】表3における項目は、以下の内容になって
いる。 「展開知識名」:この展開知識を示すラベルである。 「部分機能」:或る機能を展開するための方法を記述し
たものである。 1-2-2-2. 挙動、状態表現 この発明における挙動、状態の表現は、前述したよう
に、K. D. Forbusの定性プロセス理論に基づいている。
【0040】定性プロセス理論では、「物理現象」を単
位として物理的な世界を記述する。ここでは、物理的挙
動、状態をインディビジュアル(individual)、インデ
ィビジュアルビュー(individual view)、プロセスビュ
ー(process view)という基本的枠組により記述する。
インディビジュアルは、1-2-1-1.で述べた実体に対応
し、その機械に存在する物体を表わすラベルである。た
とえば図2の例で言えば、文鎮や用紙がインディビジュ
アルである。
【0041】インディビジュアルビューは、インディビ
ジュアルやインディビジュアル間の関係の状態を記述す
る。たとえば図2の例で言えば、文鎮には重量W、体積
Vおよび密度Dという状態を表わすパラメータが存在す
ること、それらのパラメータ間にD=W/Vの関係があ
ることを記述するものが、インディビジュアルビューで
ある。
【0042】プロセスビューは、インディビジュアル、
インディビジュアルビューにより構成された状態記述上
で生起する物理現象を記述する。たとえば、自由落下運
動、放電現象等が個々のプロセスビューである。これら
インディビジュアルビュー、プロセスビューは、その生
起条件と生起後の影響により記述される。インディビジ
ュアル、インディビジュアルビュー、プロセスビューを
総称して、この明細書においては単にビューと呼ぶこと
にする。
【0043】フィジカル・フィーチャー(物理特徴)
は、設計時および保全時によく現れる現象をひとかたま
りの知識としてまとめたものである。1つのフィジカル
・フィーチャーは、上記のビューのネットワークとして
表現され、名前づけされる。この発明では、物理的な体
験に基づいて収集されたフィジカル・フィーチャー・デ
ータベースを利用する。上記の機能知識のうち、このデ
ータベース内のフィーチャーと対応づけが可能な機能表
現は、対応する挙動を実現フィーチャーとして記述する
が、対応しない機能知識には実現フィーチャーを記述し
ないことにする。
【0044】書き方の具体例を、図4および図5を参照
して説明する。図4は、「電気を蓄える」という機能の
展開知識である。展開知識は、「エネルギーを出す(ene
rgysource) 」という機能によってエネルギーが出力さ
れ、「変換する(translate)」という機能によってエネ
ルギーは電気に変換され、「蓄える(store) 」という機
能によって電気が蓄えられる、という構成になってい
る。
【0045】この図4に示す展開知識を用意しておき、
機能「エネルギーを出す」をエンジンの回転現象により
実現することを決め、各部分機能を実現するフィジカル
フィーチャーを選択とすると、図4の機能階層は実体化
されて図5のようになる。すなわち、機能「エネルギー
を出す」はエンジンにより実現され、機能「変換する」
は発電機により実現される。 1-2-2-3. 対象の記述 FBSダイアグラム上で、機械のモデルMは機能レベル
の階層構造ネットワークnf 、挙動・状態レベルのビュ
ーネットワークnbs、および、機能と挙動間の関係の集
合Rfbを用いて、下記の式(7)のように定義できる。
【0046】 M=<nf ,nbs,Rfb> …(7) 機能・挙動間の関係Rfbは、機能のノードとそれを実現
するフィーチャーとを関係づけている。階層構造ネット
ワークnf およびプロトタイプネットワークnbsは、そ
れぞれ、式(8)および式(9)のように定義できる。
【0047】 nf =<F,Rf > …(8) nbs=<V,RP ,C> …(9) 式(8)が示すように、機能階層ネットワークは機能知
識Fと機能知識間の関係Rf により構成される。Rf
展開知識の上位下位関係、同一階層レベルでの目的語同
一関係である。
【0048】また、式(9)が示すように、挙動・状態
レベルのビューネットワークnbsは、ビューの集合V、
ビュー間の依存関係の集合RP 、および、スイッチのオ
ン/オフ等の条件や各パラメータの値の初期条件を示す
境界条件集合Cにより記述される。これらの記述法に基
づいた或る機械の表現には、さらに以下の2つの情報を
付加する。
【0049】「成立条件タグ」:一般に、実現フィーチ
ャーを持たない機能が成立しているかどうかの判定を行
わなければならない。そこで、機能のノードにタグとし
て、或る対象におけるその機能の実現条件を書込めるよ
うにすることにする。たとえば、自動車において電気を
蓄える機能は「蓄電池の電力パラメータが正である」時
に発現されると記述する。
【0050】「前提タグ」:機械には状態を切換えるた
めのいくつかのスイッチが付いている。これらのスイッ
チによって機械の状態が変わる。これが動作モードであ
る。機能冗長系を付加するということは、機械に新たに
動作モードを付加することである。その意味で、動作モ
ード表現する必要がある。ここでは、動作モードを切換
えるスイッチの入力を機能のノードに前提タグとして貼
っておくことにする。或る機能モードに関して挙動シミ
ュレーションを行う場合は、このタグの内容を初期条件
として入力する。 1-2-2-4. FBSダイアグラムを用いた実際の機械の表
現例 図6に、FBSダイアグラムを用いて実際の機械の一部
を表現した例を示す。図6は、電子写真複写機で実現さ
れている「感光体ドラムを帯電させる」機能を表現する
FBSダイアグラムの例である。 1-2-3. FBSダイアグラムの利用 以上述べたように、FBSダイアグラムでは、たとえば
図6で示すように、機械は人間の理解による機能の階層
構造とその機能を実現する挙動、状態により表現され
る。このため、FBSダイアグラムには次のような特徴
がある。
【0051】(1)機能と挙動の関係は、本来、多対多
対応であるが、その関係を明示的に表現できる。このた
め、この表現上で機能冗長を表現することが可能にな
る。 (2)主観的に記述される機能と、物理的,客観的に記
述することが可能な挙動、状態の表現とを分離すること
ができる。このため、機能レベルの記述は柔軟に記述す
ることができ、一方、その物理的実現性、無矛盾性を、
状態レベルで管理することができる。
【0052】(3)人間の機械の理解、または、概念設
計時の機械のイメージは機能的なものである場合が多
く、そのような機能的表現を直接コンピュータ上で表現
可能なので、推論結果が人間にとって理解容易なものと
なる。さらに、自己修復機械の設計段階、および、運用
段階でFBSダイアグラムを用いることにより、次のよ
うな特徴を得ることができる。
【0053】設計時: (1)機能階層において、機能の冗長性の付加のための
推論が行える。 (2)挙動、状態階層において、設計しつつある機能の
物理的実現性やその実現方法を導出することができる。 運用時: (1)故障発生時に、機能階層において、対象機械上で
どの機能が失われたか、また、それに対処可能な機能冗
長系を知ることができる。
【0054】(2)挙動、状態階層において、その実現
性、修復操作等をシミュレートすることができる。 1-3. 機能冗長機械の構築 機能冗長機械システムは、次の3段階によって構築され
る。 (1)設計対象の構造決定 まず、概念設計段階として、設計対象の構造を決定し、
部品の接続関係、配置関係などを決定しなければならな
い。このとき、同時に、機械がとり得る動作モードも決
定される。FBSダイアグラム上で言えば、この構造決
定は機能階層構造、および、挙動、状態レベルのネット
ワークを無矛盾、十分に決定することに対応する。
【0055】(2)対象機械の抽象的制御シーケンスの
決定 (1)で決定された抽象的構造に基づき、機能の発現に
必要なスイッチの境界条件が求まる。たとえば、「感光
体ドラムが主帯電部を通過する時に、主帯電を行わなけ
ればならない」といったものである。FBSダイアグラ
ム上で言えば、これは機械全体の機能を発現可能なよう
に、前提タグを時間順序に並べることに相当する。
【0056】(3)パラメータの決定 (1)(2)で決定された機械の抽象的な構造、制御シ
ーケンス内に記述されたパラメータの定量的な値を決定
する。具体的には、感光体ドラムの大きさ、電源の出力
等を決定することである。以上により、機械が構築され
るわけであるが、ここでの機能冗長機械の構築は主に
(1)について述べる。その理由は、(2)(3)の段
階は、一般の設計と同様に行われるからであり、機能冗
長を付加する(1)の段階が、この機械の構築の仕方を
特徴づける段階であるからである。
【0057】概念設計が終了した通常の機械である設計
対象m0 =<nf 0 ,nbf 0 ,Rf 0 >を入力として、
以下のように機能冗長設計が行われる。一例として、図
6、および、同様に電子写真複写機の「転写」機能を実
現している部分、つまり図7に示すFBSダイアグラム
を用いる。 (1)冗長性を付加したい設計対象の機能f* とその機
能構造nf * に注目ここでは、図6の「ドラムを帯電さ
せる」機能が注目される。
【0058】(2)注目機能に対する機能冗長の候補を
導出 ここでは、以下の4種類の方法を組合わせることによ
り、機能冗長の候補が導出される。 (a)FB(function-behaviour)関係の操作(図8の
(a)参照) 注目している機能階層構造nf * は同じものを使い、各
部分機能の実現挙動を既に設計対象のモデルm0 内に存
在する「同じ種類の」別の実現挙動に置換えることによ
り、新しいFB関係が作られる。すなわち、部分機能の
発現フィーチャーnbs * と同じクラスであるが別のイン
スタンスであるフィーチャーnbs′で置き換えられる。
【0059】図6の例で言えば、図6内のaで示される
「放電する」機能を図7内のbで示される「放電する」
機能を実現している「転写チャージャ上での放電現象」
挙動で置換えることに相当する。 (b)潜在機能の利用(図8の(b)参照) 上記(a)と同様、注目している機能階層構造nf *
同じものが使われ、各部分機能を対象モデルm0 内の各
インディビジュアルが発揮し得る潜在機能で置換えられ
る。欲しい機能fの機能知識に記述されている実現フィ
ーチャーpf内のインディビジュアルが設計対象の挙動
bs 0 内にあれば、そのインディビジュアルが潜在機能
としてfを発揮する可能性があるので、このfとpfの
組が機能冗長の候補とされる。
【0060】図6の例で言えば、たとえば「電気を伝達
する」機能に対して、図7内でcで示された転写チャー
ジャは「電流が流れる」という挙動を発現させることが
可能、すなわち、「電気を伝達する」機能を潜在機能と
して働かせることが可能と推論され、伝達機能をこの転
写チャージャで代替することが試みられる。 (c)機能階層の操作(図8の(c)参照) 注目している機能階層構造において、或る部分機能が選
択され、その機能と同じ種類の機能が設計対象内で探索
され、置換される。
【0061】これは、図6の例で言えば、dで示される
「エネルギーを出す」機能が図7内のeで示される「エ
ネルギーを出す」機能以下の部分で代替することが試み
られる。 (d)新たな機能階層の構築(図8の(d)参照) 注目している機能階層構造において、或る部分、もしく
は全体の機能に注目する。注目する機能の機能知識は複
数の展開知識を持っている可能性がある。そこで、現在
使用している展開知識以外の展開知識を利用し、新たに
機能階層構造が構築し、新たな各部分機能に対し、
(a)〜(c)が実行される。
【0062】図6の例で言えば、fで示される「電気を
伝達する」機能を展開し、「電気を回転に変換」し、
「回転を伝達」し、さらに、「回転を電気に変換する」
という3種類の部分機能が展開される。以上により、機
能冗長候補が導出される。 (3)機能冗長候補に対する実現条件を導出 上述の(2)で得られた機能階層構造を実現する挙動、
実体を設計対象上で引き起こさなければならない。すな
わち、改良前の設計対象モデルm0 に基づき、(2)で
導出されたモデルの部分 ms =<nf s ,nbs s ,R
fb s >を含むような矛盾のない設計解 mR (ms ⊆m
R )を構築しなければならない。nbs 0 とnbs s を比較
することにより、nbs s は下記の式(10)に示すよう
に、3つの部分に分けることができる。
【0063】 nbs s =nbs g ∪nbs i ∪nbs c …(10) nbs g は設計対象上で実現されている状態の部分(gは
goodの略)、nbs i は設計対象と矛盾はしないが、実現
条件が満たされていない挙動(iはinadequate(不十分
な)の略)、および、nbs c は設計対象と矛盾する状態
の部分(cはconflict(矛盾)の略)である。このと
き、nbs i を実現することがこの機能冗長系を実現する
ための条件となり、nbs c と設計対象間の矛盾が本来の
機能構造と機能冗長系を切換えるときに同時に切換えな
ければならないスイッチング機構の条件となる。
【0064】(4)実現条件を満たす機械の構築 上述の(3)で得られた実現条件、スイッチング機構の
条件をもとにして、概念設計が行われる。実現条件、ス
イッチング条件が1つ1つ充足されている。そして、挙
動シミュレーションが行われ、挙動、状態レベルの無矛
盾性の管理や要求機能の実現性の検証が行われる。
【0065】図6、図7および図8で取り上げた具体例
の設計結果として得られた機能冗長系を図9に示す。図
9では、上述の(2)の(a)で述べた候補が採用さ
れ、図6のaの機能を図7のbの機能で代替することが
試みられている。この場合、図6の「電源」機能、「電
気の伝達」機能はそれぞれ図7の「電源」機能、「電気
の伝達」機能により代替されて、この機能冗長系が実現
されている。
【0066】(5)機能冗長候補の評価 上述の(2)で導出された機能冗長候補集合の中から、
採用する機能冗長系が選択されなければならない。ここ
では、下記の式(11)および(12)に示す2つの評
価式を導入されている。
【0067】
【数1】
【0068】ここで、Redundancy(f* ) は注目する機能
冗長系(f* ) を実現するために付加しなければならない
部分の割合を示す。このRedundancyが1に近ければより
部品冗長的であり、0に近ければより機能冗長的である
と言える。Redundancy(f* )は定性的にコストに比例す
ると考えられる。また、Robust(f* )は注目している機
能f* に対して、元々の設計における実現構造と機能冗
長系における実現構造との間の一致していない度合いを
表わす。このRobust(f* ) が高ければ高いほど、故障発
生時の対象系において注目機能f * の機能冗長系の作動
可能性が高くなると考えられる。Robust(f* ) は定性的
には信頼性に比例すると考えられる。
【0069】機能冗長候補が選択される場合は、Redund
ancy(f* ) の低いものを重要視するか、Robust(f* ) の
高いものを重要視するかを選べる。いずれにせよ、これ
ら2つの評価式により機能冗長候補が1つ選択されるも
のとする。ただし、これら2つの評価パラメータは独立
ではなく、反比例関係にある。 2. 機能冗長系を付加された自己修復型画像形成装置の
具体例 2-1. 基本構成 2-1-1. 逐次機能冗長推論を行うもの 図10に、機能冗長系を有する自己修復型の画像形成装
置の基本構成ブロック図を示す。図10に示す装置は、
対象機械である画像形成部1から一定のトリガ信号、た
とえば故障が発生したことを知らせる信号が与えられる
ごとに、逐次機能冗長推論を行うものである。図10に
おいて、単線の実線はシステム内のパス、複線の実線は
外部からのパス、破線は対象機械である画像形成部から
のパスを示している。
【0070】図10を参照して、画像形成部1には感光
体ドラムおよびトナーによる現像装置を含む電子写真方
式の画像形成機構が備えられている。この画像形成部1
には複数のセンサ41および画像形成部1の画像形成状
態を変化させるための複数のアクチュエータ44が備え
られている。複数のセンサ41によってそれぞれ検出さ
れるデータは、定量−定性変換部3へ与えられ、定性的
なデータに変換される。たとえば、ノーマル,ハイおよ
びローのシンボルデータに変換される。データをシンボ
ル化された定性的なデータに変換することにより、故障
診断や修復診断に対するアプローチが容易になる。
【0071】定量−定性変換部3で変換されたシンボル
データは、パラメータ修復推論部4へ与えられ、故障診
断や修復計画が推論される。パラメータ修復推論部4に
おいて推論がされる際には、対象モデル5に記憶されて
いる画像形成装置に共通の定性データ(詳細は後述す
る)が参照される。そして推論された修復計画を実行す
るにあたっては、データが定性−定量変換部6で定量デ
ータに変換され、複数のアクチュエータ44へ選択的に
与えられる。応じて複数のアクチュエータ44は与えら
れる信号に基づいて駆動され、修復作業を実行する。
【0072】パラメータ修復推論部4で修復計画を推論
した結果、パラメータ修復ができないと判別された場合
は、機能冗長推論が行われる。機能冗長推論は、パラメ
ータ修復推論部4から機能冗長推論部8へたとえばトリ
ガパルスが与えられることにより開始される。機能冗長
推論部8は、前述したFBSダイアグラムを利用して機
能冗長推論を行う。この推論部8には機能知識9および
展開知識10が備えられている。機能冗長推論部8に対
して機能知識9および展開知識10が外づけされた構成
になっているのは、機能冗長推論部8内におけるFBS
ダイアグラムは、画像形成部1のためのFBSダイアグ
ラム(たとえば先に述べた図6や図7に示すもの)であ
るのに対して、機能知識9および展開知識10は、汎用
性が高く、必要に応じて他の機能知識等と取り替えられ
るようにということを考慮したためである。
【0073】機能冗長推論部8において機能冗長推論が
行われた結果、実現したい機能階層11が得られる。こ
の機能階層11は、たとえば前述した図9に示すもので
ある。実現したい機能階層11が得られると、それによ
り画像形成部1の構造が変更されるので、変更後の画像
形成部1を制御するために必要な制御シーケンスを生成
しなければならない。そのため、定性シーケンス生成部
12において定性シーケンスが生成され、外部から与え
られる対象機械に関する定量情報13が加味されて、定
量タイミングチャート生成部14において定量シーケン
スが作成される。
【0074】そして、これにより冗長系が発現している
画像形成部1が実現する。この冗長系が発現している画
像形成部1に対して、後述するように、パラメータを用
いた画像形成状態の調整、すなわち修復が可能である。 2-1-2. 予め定める条件ごとの機能冗長推論の結果をメ
モリに備えたもの 上述の2-1-1.の基本構成は、一定条件になったときの画
像形成部1からの外部トリガがあるごとに、逐次機能冗
長推論が行われるものであるが、このように或る条件信
号が与えられるごとに逐次機能冗長推論を行う構成に代
え、予めいくつかの条件に対応した機能推論を行い、そ
の条件に対応した実現したい機能階層を作っておいて、
実際に或る条件が発生したときに、予め作っておいた実
現したい機能階層をメモリから呼び出して利用する構成
にしてもよい。
【0075】図11は、そのような構成、すなわち対象
とする画像形成部の制御方式を変更するための機能階層
生成処理を示す構成図である。たとえば、画像形成部が
条件A(たとえばメインチャージャ切れ)を機能冗長推
論部8へ与え、機能冗長推論によりその場合に実現した
い機能階層11を得る。この実現したい機能階層11
は、前述した図9に示すものである。また、対象機械の
制御シーケンス17を生成する。そして実現したい機能
階層11およひ対象機械の制御シーケンス17をROM
(A)21Aに記憶する。
【0076】同様に、条件Bの場合の実現したい機能階
層および対象機械の制御シーケンスをROM(B)21
Bへ記憶し、条件Cについての実現したい機能階層およ
び対象機械の制御シーケンスをROM(C)21Cへ記
憶する。このようにして複数の条件A,B,C,…に対
応して得たデータをROM21a,21b,21c,…
に記憶して予め準備する。
【0077】そして、図12に示すように、それを備え
たROM選択部24を装置に追加する。図12に示す構
成では、外部トリガにより画像形成部1に或る条件が生
じたことが判別されると、ROM選択部24によって画
像形成部1に生じた条件に対応するROMが選択され、
そのROMに記憶されている実現したい機能階層および
制御シーケンスが呼び出され、それによって画像形成部
1が制御される。また、制御ROMが入れ換えられた場
合におけるパラメータシミュレーションが行われ、必要
な調整がされる。 2-2. 電子写真複写機を対象機械とした具体例 2-2-1. 構成ブロック図 図13は、電子写真複写機における画像形成機構の制御
構成を示すブロック図である。
【0078】図13に示す構成において、感光体ドラム
31は、矢印32方向へ一定速度で回転され、ドラム角
A0において主帯電、ドラム角A1において露光、ドラ
ム角A2において現像、およびドラム角A3において転
写が行われるようにされている。そのため、感光体ドラ
ム31の周囲には、ドラム角A0に対向してメインチャ
ージャ33が配置され、ドラム角A1で原稿反射光が照
射され、結像されるようにされている。また、ドラム角
A2に対向して現像装置35が備えられ、ドラム角A3
に対向して転写チャージャ36が配置されている。
【0079】メインチャージャ33にはコンピュータ3
8によって制御されるメイン高圧ユニット37から高電
圧が印加されるようになっていて、たとえば+5.7k
Vの高電圧の印加により、メインチャージャ33はコロ
ナ放電を行い、感光体ドラム31の表面を均一に帯電さ
せる。ドラム角A0において主帯電チャージャ33によ
り均一に帯電された感光体ドラム31の表面がドラム角
A1まで回転すると、感光体ドラム31表面は原稿反射
光34によって露光される。原稿反射光34の光量は、
AEセンサ41aによって測定され、コンピュータ38
へ与えられる。また、原稿反射光34によって露光さ
れ、露光部分の帯電電荷が除去された感光体ドラム31
の表面電位は、表面電位センサ41bで測定され、コン
ピュータ38へ与えられる。
【0080】さらに感光体ドラム31が回転して、ドラ
ム角A2になると、現像装置35によって現像がされ
る。このとき、現像装置35にはバイアス電圧ユニット
40によってたとえば+250Vの現像バイアス電圧が
印加されている。バイアス電圧ユニット40もコンピュ
ータ38の制御下に置かれている。さらに感光体ドラム
31が回転し、ドラム角A3になると、コンピュータ3
8は転写高圧ユニット42へ駆動信号を与え、転写高圧
ユニット42から転写チャージャ36へたとえば+6.
5kVの高電圧が印加され、転写チャージャ36はコロ
ナ放電を行い、感光体ドラム31表面上のトナーを、搬
送されてきた用紙43へ転写する。そして用紙43に転
写されたトナー像の濃度は、濃度センサ41cによって
検出され、コンピュータ38へ与えられる。
【0081】コンピュータ38では、3つのセンサ、す
なわちAEセンサ41a、表面電位センサ41bおよび
濃度センサ41cから与えられる検出値に基づき、画像
形成状態を監視している。なお、コンピュータ38の内
部機能を図示すれば、図10で説明したものになる。 2-2-2. 制御シーケンス 2-2-2-1. 故障判定 図14は、コンピュータ38における故障診断および修
復制御の概要を示すフローチャートである。図14のフ
ローチャートの流れに従って次に説明する。
【0082】コンピュータ38により、今、故障症状と
して「画像濃度が低い」と判断されたとすると、その故
障症状を引き起こす原因についての推論、すなわち故障
判定がされる(ステップS11)。故障判定は、3つの
センサ41a,41b,41cの検出データをもとに、
定性的なパラメータデータに変換して行われる。
【0083】次に、この故障判定について具体的に説明
をする。 2-2-2-2. 実体モデルと対象モデル ところで、図13に示す対象機械を物理的な視点から捕
え、実体レベルでその対象機械を複数個の要素の結合と
して表現し、各要素の挙動および属性ならびに各要素間
の結合関係をパラメータを用いて定性的に表わすと、表
4に示す通りとなる。この表4のような表現形式を「実
体モデル」と呼ぶことにする。
【0084】
【表4】
【0085】また、実体モデルを抽象化して、各パラメ
ータの結合ツリーとして表わした図15に示す表現を
「数学モデル」と呼ぶことにする。そして、「実体モデ
ル」と「数学モデル」とを併せて「対象モデル(定性モ
デル)」と呼ぶことにする。「対象モデル」は、後述す
る故障修復のためにも活用される、画像形成装置に共通
の定性データである。
【0086】定性データとしての実体モデルおよび数学
モデルの各内容は、コンピュータ38のメモリ38Mに
記憶されている。また、メモリ38Mには、実体モデル
に含まれているパラメータのうちの所定のパラメータに
関して、たとえば工場出荷の際に測定された基準値デー
タが記憶されている。この基準値データは、この画像形
成装置に特有の特徴データである。
【0087】たとえば、この機械では、図16のよう
に、パラメータX、VS 、OS 、Vn について、それぞ
れ、ロー、ノーマル、ハイの範囲を特定する基準値デー
タが記憶されている。なお、この実施例では、上記の基
準値データは、後の故障診断や故障修復過程におけるセ
ンシングデータや機械の動作状態の変化等に応答して、
更新され得るようにされている。
【0088】さらに、メモリ38Mには、変換されたシ
ンボルに基づいて、対象機械が正常に動作しているか否
かを判定するための基準となる故障診断知識の一例とし
ての評価機能知識が記憶されている。なお、評価機能知
識、換言すれば故障診断知識は、対象装置に特有のもの
であってもよいし、特有のものでなく、広く画像形成装
置に共通のものであってもよい。
【0089】この実施例の評価機能知識には、以下の知
識が含まれている。 画像濃度OS =ノーマル、かぶり度OS ’<ノーマル、
分離性能Sp <ノーマル ここに、Os 、OS ’、Sp が上記条件でない場合に
は、対象機械は正常に動作していないことになる。
【0090】さて、通常動作における対象機械のディジ
タル化されたセンサ情報が次の値である場合を考える。 AEセンサ41aの値X=23 表面電位センサ41bの値Vs =380 濃度センサ41cの値Os =7 また、 光学濃度D=0の白紙原稿を使用したときの濃度センサ
41cの値Os =かぶり度Os ’、 図示しないハロゲンランプを消した状態での表面電位セ
ンサ41bの値Vs =暗電位Vn 、と定め、それらの値
は、それぞれ、 かぶり度Os ’=50 暗電位Vn =590 であったとする。
【0091】なお、これらかぶり度Os ’および暗電位
n の測定は、マニュアル操作によって行われてもよい
し、一定条件時、たとえば対象機械の電源がオンされる
都度、またはコピー開始前毎に、センサによって自動的
に測定されるようにプログラミングされていてもよい。
この実施例では、後者が採用されている。AEセンサ4
1a、表面電位センサ41bおよび濃度センサ41cに
よって得られた各値X、Vs 、Os 、Os ’、Vn は、
それぞれ、コンピュータ38においてシンボルに変換さ
れる。変換は、各センサ41a,41bまたは41cか
ら与えられるディジタル値が、メモリ38Mに記憶され
ている特徴データとしての基準値データと比較されるこ
とにより行われ、ノーマル、ハイまたはローの3種類の
いずれかのシンボルに変換される。
【0092】この実施例では、各パラメータは次のよう
にシンボル化される。 X=ノーマル Vs =ロー Os =ロー Vn =ロー 次に、これらのシンボル化された各パラメータが、メモ
リ38Mに記憶されている機能評価知識と比較される。
その結果、画像濃度Os がノーマルでないから、故障あ
りと判定され、故障症状は「画像濃度が低い(Os =ロ
ー)」であると判断される。そして続いて、「Os =ロ
ー」を故障症状として、故障診断、つまり故障の推論が
される。 2-2-2-3. 故障診断の手法 故障診断は、図15の数学モデルを用いて行われ、Os
=ローを引起こす可能性のあるパラメータが探索され
る。
【0093】図15における数学モデルで、Os を低下
させる可能性があるパラメータを指摘すると、図17に
示すようになる。図17において、上向き矢印または下
向き矢印が付されたパラメータが、パラメータOs =ロ
ーを引起こす可能性のあるパラメータであり、上向き矢
印のものはそのパラメータが上昇した場合に、下向き矢
印のものはそのパラメータが低下した場合に、Os =ロ
ーを引起こす。
【0094】次に、数学モデルにおいて探索されたOs
=ローを引起こす可能性のある各パラメータζ,Ds
t ,γ0 ,Vb ,Vs ,Vn ,X,β,HL ,Dにつ
いて、パラメータの変化を引起こす原因の検出がされ
る。この検出は、表4の実体モデルに基づいて行われ、
この実施例では、次のような故障候補が推論される。す
なわち、 Vt =ロー:→転写トランスの不良 ζ =ロー:→用紙の劣化 Vb =ハイ:→現像バイアスの不良 γ0 =ロー:→トナーの劣化 Vn =ロー:→主帯電電圧の不良 HL =ハイ:→ハロゲンランプの設定不良 D =ロー:→原稿が薄い 上記故障候補のうちの「矢印→」の右側に記載された知
識、すなわち、転写トランスの不良、用紙の劣化、現像
バイアスの不良、…等の知識は、故障知識であり、この
知識は、画像形成装置に共通の定性データに含まれてい
る。なお、パラメータのうち、βは感光体の感度であ
り、これが上昇することはないから除外されている。D
s ,Vs およびXは、他のパラメータによって表わされ
るから、これも除外されている。
【0095】そして、上記の推論に対して、故障状態の
シミュレーションが行われる。故障状態のシミュレーシ
ョンとは、上記推論された故障が生じたときの対象機械
の状態を、それぞれ、推論することである。より具体的
には、Os =ローを引起こす原因、つまり故障が、たと
えば転写トランスの不良であると仮定し、正常状態のモ
デルに対してVt =ローを設定する。そして、その状態
における各パラメータに与えられる影響を数学モデル上
で検討するのである。
【0096】たとえばVt =ローを設定した場合、Os
=ローおよびSp =ローとなり、他のパラメータはすべ
てノーマルであるから、これは、センサから得られるV
s =ローおよびVn =ローと矛盾する。それゆえ、その
故障の推論が誤っているという結果を得る。同様にし
て、ζ=ローを正常状態の数学モデル上に設定し、その
結果をセンサから得られるシンボルと比較する。この場
合も、数学モデル上ではVs =ノーマル、Vn =ノーマ
ルに対し、センサからのシンボルはVs =ロー、Vn
ローであるから、矛盾があり、その故障の推論は誤りで
あると判定される。
【0097】このようにして、全ての故障候補につい
て、故障状態のシミュレーションが行われ、故障の推論
が正しいか否かが確認される。その結果、本例の場合に
は、故障を「主帯電電圧の不良(Vn =ロー)」とした
場合に、現実の対象機械の状態と一致した結果が得ら
れ、かつそれ以外の故障候補はすべて現実の装置の状態
と矛盾するとの結論を得る。
【0098】よって、この場合の故障は、主帯電電圧の
不良であると断定できる。そのときの対象機械の各パラ
メータの状況を示すと、表5のとおりとなる。
【0099】
【表5】
【0100】表5に表わすパラメータの状況を数学モデ
ル上にトレースすると、図18が得られる。図18にお
いて、各パラメータの右側に付された下向き矢印はロ
ー、上向き矢印はハイ、Nはノーマルを表わしている。
以上のような故障判定の仕方の代わりに、機能階層ネッ
トワークを用いたやり方でも故障判定は行える。すなわ
ち、対象モデルの機能階層ネットワーク上で最上位に位
置する機能の成立条件(機能評価知識)をセンサ値と比
較することによって実現される。たとえばこの実施例の
場合は、最上位機能「ドラムを帯電させる」の成立条件
タグ「ドラム電位≧ノーマル」に対してセンサ値を当て
はめることにより、たとえば帯電機能が成立していな
い、すなわち、故障であると判定される。 2-2-2-4. 機能冗長推論 次いで、図14のステップS11における故障判定の結
果に基づき、パラメータ型修復作業が実行される(ステ
ップS12)。そしてその結果、パラメータ値が正常な
範囲に復帰したか否かによりパラメータ型修復作業が成
功したか否かの判別がされる(ステップS13)。パラ
メータ型修復作業が成功した場合は、今回の故障修復処
理は終了する。ここで述べたパラメータ型修復作業のや
り方は、本願発明の発明者等の先願にかかる特願平2−
252191号の明細書や特願平3−250043号の
明細書に開示されているやり方で行えばよい。
【0101】ステップS12におけるパラメータ型修復
作業の内容は、概略、以下の手順で行われる。パラメー
タ型の故障判別の結果として、たとえば「画像濃度が低
い(Os =ロー)」が症状とされる。そうすると、この
症状「画像濃度が低い」を修復するようにパラメータ操
作をする必要がある。つまり、修復の目標は、Os を上
昇させることである。
【0102】そこで、図15に示す数学モデル上の関係
から、Ds を上昇させるか、Vt を上昇させるか、また
は、ζを上昇させるかによって、修復目標であるOs
上昇させることができると推論される。次に、Ds を上
昇させることを目標に推論を行うと、Vs を上昇させる
か、V b を下降させるか、または、γ0 を上昇させるか
のいずれかの結論を得る。このように、数学モデルに基
づいて、推論が繰返されることにより、修復操作の候補
を数学モデル上で得ることができる。得られた結果は、
表6に示すとおりである。
【0103】
【表6】
【0104】ところで、数学モデルに基づいて得られた
修復候補には、実現できるものと実現できないものとが
ある。たとえば、 D:原稿の光学濃度 は変更できないし、 β:感光体の感度 も変更し難い。
【0105】γ0 :トナーの感度 も変更できないし、 ζ:用紙の感度 も変化不可能である。また、この具体例では、 Vb :バイアス電圧 も、アクチュエータがないから変化不可能である。もち
ろん、アクチュエータを追加することにより、Vb は変
化可能にすることができる。
【0106】さらに、 X:原稿反射光量の対数 Vs :露光後のドラムの表面電位 Ds :ドラム上でのトナー濃度 については、それ自体の変更は不可能で、間接的に他の
パラメータを変化させることで変化させられるだけであ
り、ここでは修復候補から除外する。
【0107】なお、この具体例では直接関係ないが、 Asp:分離用AC電圧の振幅 も、アクチュエータ追加により、変化させることができ
る。以上の次第で、この具体例では、修復候補として、 Vt :転写電圧 Vn :主帯電後の表面電位 HL :ハロゲンランプ出力光量の対数 がとりあげられる。
【0108】一方、コンピュータ38のメモリ38Mに
は、修復計画知識として、次の知識が予め記憶されてい
る。すなわち、 (a)Vt を上昇させる→転写高圧ユニット42のコン
トロール電圧を上げる (b)Vt を下降させる→転写高圧ユニット42のコン
トロール電圧を下げる (c)Vn を上昇させる→メイン高圧ユニット37のコ
ントロール電圧を上げる (d)Vn を下降させる→メイン高圧ユニット37のコ
ントロール電圧を下げる (e)HL を上昇させる→ハロゲンランプコントロール
信号を高電圧側にシフトする (f)HL を下降させる→ハロゲンランプコントロール
信号を低電圧側にシフトする。 である。修復計画知識は、この装置に特有の特徴データ
である。該修復計画知識を数学モデルに基づいて得られ
た修復候補に適用し、Os を上昇させるための修復操作
として、 (a)Vt を上昇させる→転写高圧ユニット42のコン
トロール電圧を上げる (c)Vn を上昇させる→メイン高圧ユニット37のコ
ントロール電圧を上げる (f)HL を下降させる→ハロゲンランプコントロール
信号を低電圧側にシフトする の3方法が得られる。よって、これら3方法のうちのい
ずれかの方法が実行される。
【0109】また、より好ましくは、対象機械は、画像
濃度OS を上昇させることにより、種々の副次的な影響
を受けることが考えられる。そこで、副次的な影響の推
論が、数学モデルに基づいて行われ、上記(a)(c)
(f)の3方法のいずれが最適かが判断される。なお、
副次的影響の推論については、後述する機能冗長系が発
現された後に行われる推論と同じであり、ここでの説明
は省略する。
【0110】一方、パラメータ型修復処理が成功しなか
った場合(ステップS13においてNO)、この発明に
かかる機能冗長型の修復計画が行われる(ステップS1
4)。上述の故障が「メインチャージャ切れ」等の場合
は、パラメータ型故障修復は不可能であるから、ステッ
プS14における機能冗長型故障修復が行われる。この
機能冗長型修復計画を行うための前提として、コンピュ
ータ38のメモリ38Mには帯電機能部を対象モデルと
したFBSダイアグラムが記憶されている。図19に説
明の便宜上単純化された帯電機能部のFBSダイアグラ
ムを示す。また、図20に、感光体ドラムの帯電機能に
関する機能知識および展開知識の内容を示す。図20に
おいてラベル「Function1」には機能名「ドラムを帯電
させる」が記述され、展開知識が記述されている。ま
た、前提タグとしては「電源プラグが差し込まれ、電源
スイッチがオンしている」、成立条件タグとしては「ド
ラム電位≧ノーマル(基準電位)」が記述されている。
そして展開知識に基づいて機能知識は階層構造を構成
するように展開されている。つまり、展開知識は、Fu
nction2,3,4の各ラベルを示し、Function2,4
は、それぞれ展開知識に展開される。また、Functi
on3には「電気を伝達する」という機能名が記述され、
その実現フィーチャーとして、「実現フィーチャー4:
ビュー=電流,インディビジュアル=メイントランス,
メインチャージャ,ワイヤ4,5」が記述されている。
このような展開の仕方は、先に説明したFBSダイアグ
ラムの実現方法に従っている。
【0111】コンピュータ38は、メモリ38Mに記憶
されている上述の図19および図20に示すFBSダイ
アグラムならびに機能知識および展開知識に基づき、感
光体ドラム31を帯電させるために、メインチャージャ
33に代わる帯電機能を検索する。つまり「帯電機能」
という故障により失われた機能の中の機能冗長候補を検
索する。機能冗長系候補を発見できなかった場合は、修
復計画はこの段階で失敗する。
【0112】一方、機能冗長系候補が発見できた場合
は、その冗長系に故障診断部で導出された故障を含まな
いものが選択される。その結果、この実施例では転写チ
ャージャ36を用いた機能冗長系が選択される。要約す
れば、対象モデルは、正常時においては、図21に示す
ような構造および現象を備えており、主帯電現象はメイ
ンチャージャにより発現されていて、転写チャージャに
よる主帯電現象は潜在機能として眠っている。ところ
で、故障時には、メインチャージャによる主帯電現象は
発現不可能となるから、図22に示すように、潜在機能
として眠っていた転写チャージャによる主帯電現象を発
現させるようにする。
【0113】機能冗長系に転写チャージャ36が用いら
れるとき、対象モデルをFBSダイアグラムで表わすと
図23に示すものになる。次に、機能冗長系として転写
チャージャ36が用いられる場合において必要な画像形
成処理のための定性シーケンスが生成される(図14の
ステップS15)。定性シーケンスの生成は、次の順序
でなされる。
【0114】(1)まず前提として、以上で選択された
機能冗長候補の対象モデルとして、定性シーケンスの生
成のために必要な構造および要求挙動が予め入力され記
憶されている。構造とは、対象機械を構成する部品、部
品間の関係の性質、物理現象が前述のインディビジュア
ル、インディビジュアルビュー、プロセスビューにより
記述されている。すなわち、ビューのネットワークとし
て記述されている。そして入力されたビューネットワー
クに対して起こり得る全ての物理現象が挙動シミュレー
ションにより導出され、その成立条件等が導出されてA
TMS(Assumption based Truth Maintenance System;
De Kleerにより提唱されている)により状態記述が管理
されている。このようにして導出されたビューネットワ
ーク上で起こり得る全ての現象の依存関係を表わすディ
スプレイ表示例を図24に示す。
【0115】また、要求挙動が予め入力されて記憶され
ている。要求挙動は、2段階に分けて入力され記憶され
ている。具体的には、 瞬間状態の入力:或る状態において、最低生じて欲し
い現象およびパラメータ値等である。 状態間の時間的前後関係の入力:瞬間状態の時間的前
後関係を表わすもの。たとえば、この具体例の場合なら
ば「主帯電→転写」のように生じて欲しい現象を書き並
べたものや、「Paper image nothing →Paper image fu
ll」のようにパラメータの変化である。
【0116】(2)次に、以上の入力され記憶されてい
る構造および要求挙動をもとに、定性シーケンスが作成
される。定性シーケンスの作成の説明に先立ち、図13
に示す画像形成機構における正常時の定性的タイミング
チャートについて、図25を参照して説明する。画像形
成時における現象は、初期、主帯電、露光、現像および
転写の順序で発現する。時間0において初期現象が生
じ、このときはドラム帯電量はnothing でかつドラム上
のトナー濃度もnothing である。時間1では主帯電現象
が発現し、メインチャージモード(MCモード)がO
N、ドラム角はA0、ドラム帯電量はnothingからFull
に変化する。次いで時間2になると露光現象が発現し、
ハロゲンランプがONし(Hlモード=ON)、ドラム
角はA1となり、ドラム帯電量はFullからExposed に変
化する。時間3では現像現象が発現して(Devモード
=ON)、この場合は現像モードがON、ドラム角はA
2、ドラムトナーはnothing からFullに変化する。さら
に、時間4では転写現象が発現して(TCモード=O
N)、この場合は転写チャージモードがON、ドラム角
はA3でドラムトナー濃度はFullである。
【0117】このような正常な画像形成のための定性的
タイミングチャートにおいて、要求挙動は、「主帯電→
転写」である。つまり、主帯電現象が発現した後転写現
象が発現しなければならない。次に、故障時における画
像形成のための定性的タイミングチャート、つまり定性
シーケンスの作成について説明する。
【0118】まず、要求挙動として「主帯電→転写」が
導出され、図26に示すように、要求挙動における各瞬
間でのパラメータ値等が図27に示す現象の依存関係ネ
ットワークから導出される。たとえば、転写チャージャ
36によるドラム充電のためには、 条件:転写チャージモード=ON ドラム角=A3 影響:ドラム充電=nothing →Full という知識が図27に示す全ての起こり得る現象の前提
条件を探索することにより導出される。同様に、転写チ
ャージャ36による転写を行うためには、 条件:転写チャージモード=ON ドラム角=A3 ドラムトナー=Full でなければならない。よって、図26のようなタイミン
グチャートが作られる。
【0119】次いで、前後する瞬間状態間で生じなけれ
ばいけない現象の導出がされる。図27に示すように、
時間0でドラムトナーがnothing で、時間4ではドラム
トナーはFullである。それゆえ、時間0と時間4との間
に現象として「現像」が生じなければならないことが推
測できる。そこで、図28に示すように、現像現象に必
要な前提条件および影響、 条件:現像モード=ON ドラム角=A2 ドラム充電=Exposed 影響:ドラムトナー=nothing →Full に基づいて図28のタイミングチャートができる。
【0120】このようにして、要求挙動が満たされるよ
うになるまで推測を繰返し、全パラメータの不連続性を
埋め終わるまで行う。この結果、図29に示すメインチ
ャージャ33が故障時の定性的タイミングチャートが完
成する。図29に示すタイミングチャートは、定性的な
タイミングチャートであるから、これに定量値を与え、
転写チャージャ36のチャージ時間等を決定することに
より、制御シーケンスは完成する(図14のステップS
16)。この場合において、感光体ドラム31の回転速
度は一定であり、ドラム角A0,A1,A2およびA3
は予め決まっているので、時間0〜時間4の時間的な長
さは自ずと決定される。
【0121】以上のようにして、機能冗長型修復計画に
より冗長系が選択され、さらに定性シーケンスが生成さ
れて定量値が付加されて、コンピュータ38が行うべき
制御プログラムが完成する。そして完成した制御プログ
ラムに従って実際に制御を行う前には、好ましくは、パ
ラメータ型の修復シミュレーションが行われ(ステップ
S11,S12)、機能冗長系が作動するか、機能が回
復するか、副次的な悪影響がないか等が判定された後、
装置が作動される。つまり、ステップS11〜S13の
処理により、機能冗長系発現後の装置の画像形成状態が
自動調整される。 2-2-2-5. パラメータ型修復シミュレーション 次に、上述のパラメータ型の修復シミュレーションにつ
いてより具体的に説明をする。パラメータ型の修復シミ
ュレーションにおいては、まず、先に説明したパラメー
タ型の故障判別と同様の処理(ステップS11)がされ
る。そしてその結果として、機能冗長系が発現された後
の装置のシンボル状態により、たとえば「画像濃度が低
い(Os =ロー)」が症状として生じることが推測され
る。そうすると、この症状「画像濃度が低い」を修復す
るようにパラメータ操作をする必要がある。つまり、修
復の目標は、Os を上昇させることである。
【0122】そこで、図15に示す数学モデル上の関係
から、Ds を上昇させるか、Vt を上昇させるか、また
は、ζを上昇させるかによって、修復目標であるOs
上昇させることができると推論される。次に、Ds を上
昇させることを目標に推論を行うと、Vs を上昇させる
か、V b を下降させるか、または、γ0 を上昇させるか
のいずれかの結論を得る。このように、数学モデルに基
づいて、推論が繰返されることにより、修復操作の候補
を数学モデル上で得ることができる。得られた結果は、
表6に示すとおりである。
【0123】
【表7】
【0124】ところで、数学モデルに基づいて得られた
修復候補には、実現できるものと実現できないものとが
ある。たとえば、 D:原稿の光学濃度 は変更できないし、 β:感光体の感度 も変更し難い。
【0125】γ0 :トナーの感度 も変更できないし、 ζ:用紙の感度 も変化不可能である。また、この具体例では、 Vb :バイアス電圧 も、アクチュエータがないから変化不可能である。もち
ろん、アクチュエータを追加することにより、Vb は変
化可能にすることができる。
【0126】さらに、 X:原稿反射光量の対数 Vs :露光後のドラムの表面電位 Ds :ドラム上でのトナー濃度 については、それ自体の変更は不可能で、間接的に他の
パラメータを変化させることで変化させられるだけであ
り、ここでは修復候補から除外する。
【0127】なお、この具体例では直接関係ないが、 Asp:分離用AC電圧の振幅 も、アクチュエータ追加により、変化させることができ
る。以上の次第で、この具体例では、修復候補として、 Vt :転写電圧 Vn :主帯電後の表面電位 HL :ハロゲンランプ出力光量の対数 がとりあげられる。
【0128】一方、コンピュータ38のメモリ38Mに
は、修復計画知識として、次の知識が予め記憶されてい
る。すなわち、 (a)Vt を上昇させる→転写高圧ユニット42のコン
トロール電圧を上げる (b)Vt を下降させる→転写高圧ユニット42のコン
トロール電圧を下げる (c)Vn を上昇させる→メイン高圧ユニット37のコ
ントロール電圧を上げる (d)Vn を下降させる→メイン高圧ユニット37のコ
ントロール電圧を下げる (e)HL を上昇させる→ハロゲンランプコントロール
信号を高電圧側にシフトする (f)HL を下降させる→ハロゲンランプコントロール
信号を低電圧側にシフトする。 である。修復計画知識は、この装置に特有の特徴データ
である。該修復計画知識を数学モデルに基づいて得られ
た修復候補に適用し、かつ、それに機能冗長系が発現し
た場合の条件を加え、Os を上昇させるための修復操作
として、 (a)Vt を上昇させる→時間4(図29参照)で転写
高圧ユニット42のコントロール電圧を上げる (c)Vn を上昇させる→メイン高圧ユニット37のコ
ントロール電圧を上げる→時間1(図29参照)で転写
高圧ユニット42のコントロール電圧を上げる (f)HL を下降させる→ハロゲンランプコントロール
信号を低電圧側にシフトする の3方法が得られる。
【0129】画像濃度OS を単に上昇させるだけであれ
ば、これら3方法のうちのいずれの方法を実行しても、
修復が可能である。しかしながら、対象機械は、画像濃
度OS を上昇させることにより、種々の副次的な影響を
受けることが考えられる。そこで、この実施例では、以
下に説明するように、副次的な影響の推論を、数学モデ
ルに基づいて行っている。 2-2-2-6. 副次的影響の推論 修復計画の推論において導かれた3つの修復計画を数学
モデル上に展開すると、図30ないし図35が得られ
る。つまり、(a)Vt を上昇させた場合が図31およ
び図31(図31はD=0とした場合のOs ’が数学モ
デル上で表わされている)、(c)Vn を上昇させた場
合は、図32および図33(図33はD=0とした場合
のOs ’が数学モデル上で表わされている)、(f)H
L を下降させた場合は図34および図35(図35はD
=0とした場合のOs ’が数学モデル上で表わされてい
る)となる。
【0130】そして、数学モデルに基づいて機能評価を
行うと、次の状態が推論される。すなわち、 (1)Vt を上昇させた場合(図30、図31) (a)出力画像濃度が上昇する。 (b)D=0のとき、Os ’>ノーマルの場合がある。
つまり、かぶりが発生する可能性がある。
【0131】(c)Sp >ノーマルとなり、分離不良が
発生する可能性がある。 (2)Vnを上昇させた場合(図32、図33) (a)出力画像濃度が上昇する。 (b)D=0のとき、Os ’>ノーマルとなり、かぶり
が発生する可能性がある。 (3)HLを下降させた場合(図34、図35) (a)出力画像濃度が上昇するだけで、他の副次的な影
響はない。
【0132】よって、修復計画部15では、副次的な影
響の最も少ない修復計画、すなわちHLを下降させると
いう修復計画が選択される。 2-2-3. 変形例等 以上説明した電子写真複写機の画像形成機構を対象機械
とした場合においては、構成が比較的簡単であり、また
或る構成部品に故障が生じた場合にその構成部品に代替
可能な潜在機能を有する構成部品の予測も比較的容易で
ある。それゆえ、画像形成機構に故障が生じた場合に、
機能冗長推論をその都度実行するのに代えて、機能冗長
推論の結果を予めメモリに記憶させておくという、先の
図11のROMを作り、図12に示す構成によって機能
冗長型修復計画を実行できるようにすることもできる。
つまりいわゆる簡易型の機能冗長系を備えた構成にする
こともできる。このようにすれば、機能冗長型修復計画
および制御シーケンスをメモリから読み出すことにより
機能冗長系を発現させることができ、極めて短時間で機
能冗長系発現による故障修復を実行できる。
【0133】このように、複数の機能発現手段に関し
て、本来必要とされている機能とは異なる、各機能発現
手段が通常発現していないが潜在的に発現する機能の有
無と内容とを検索する場合において、故障等が発生する
ごとに、FBSダイアグラムを利用して逐次検索を行う
やり方でもよいし、あるいは、機械システムが比較的小
規模の場合、予めそのような検索を行って検索結果をメ
モリに記憶しておくことにより、故障等の発生時には対
応するデータをメモリから読出すというやり方を採用す
ることもできる。
【0134】いずれのやり方を用いるにしろ、機能冗長
型の修復により、いわゆる「柔らかく壊れる機械」を実
現することができる。なお、一般論をいえば、簡易型の
機能冗長系は、比較的簡単な機械や、多少複雑な機械シ
ステムであっても、故障原因や故障症状の事例が蓄積さ
れた場合には、有効に活用することができる。
【0135】一方、FBSダイアグラムを用いて故障発
生の都度機能冗長型修復計画を実行するやり方は、機械
システムが巨大化した場合、たとえば広大な地域に建設
された総合プラントや、宇宙空間に浮かぶ衛星ステーシ
ョン等のような超大規模な機械システムに対して有効で
あり、故障が発生する都度、最適な機能冗長型の修復計
画を導き出すことができる。
【0136】上述の複写機を対象機械とした機能冗長型
システムでは、画像形成機構を例にとったが、これ以外
に、たとえば感光体ドラムの帯電電荷を除電するための
除電ランプが切れた場合に、ハロゲンランプの光を感光
体ドラムへ導き、感光体ドラムの帯電電荷を除電すると
いう機能冗長系を実現することもできる。あるいは、感
光体ドラムのクリーナが故障した場合に、現像装置に備
えられている磁気ブラシを利用して感光体ドラムのクリ
ーニングを行うような機能冗長系を実現することもでき
る。
【0137】
【発明の効果】この発明によれば、画像形成装置に故障
が生じた場合に、まず、その故障を修復するためにパラ
メータ型修復操作が行われ、画像形成装置の状態を最良
の状態に自己修復して保持することができる。よって、
いわゆるメインテナンスフリーの画像形成装置とするこ
とができる。
【0138】さらに、この発明によれば、パラメータ型
修復操作ができない故障、たとえばメインチャージャ切
れ等の故障が発生した場合には、発生した故障に対応し
た予め定める組合せに従って、故障にかかる機能部分を
除いた残りの機能部分により、故障にかかる機能部分の
本来機能を残りの機能部分の潜在機能で代替して、装置
の機能を回復させ、自己修復可能な装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】自動車の駆動系を例にとった「機能冗長」の定
義を説明するための図解図である。
【図2】FBSダイアグラムにおける状態記述の一例を
示し、文鎮の状態記述を表わす図である。
【図3】FBSダイアグラムにおける機能、挙動、状態
の関係を表わす図である。
【図4】「電気を蓄える」という機能の展開知識の書き
方を示す図である。
【図5】「電気を蓄える」という機能知識を実体化した
書き方を示す図である。
【図6】電子写真複写機における「帯電」機能のFBS
ダイアグラムの一例を示す図である。
【図7】電子写真複写機における「転写」機能のFBS
ダイアグラムの一例を示す図である。
【図8】機能冗長系の候補の導出方法を説明するための
図である。
【図9】図8に示す方法に従って導き出された「ドラム
を帯電させる」という機能に関する機能冗長設計解の例
を示すFBSダイアグラムである。
【図10】機能冗長系を有する自己修復型画像形成装置
の基本構成を示すブロック図であり、逐次機能冗長推論
を行う構成のものである。
【図11】対象機械の制御方式を変更するための制御シ
ーケンス(機能冗長推論結果である実現したい機能階層
および定量シーケンス)を生成するためのシステム構成
を示すブロック図である。
【図12】図11に示す構成により生成されたROMを
備えたいわゆる簡易型機能冗長系を有する自己修復型の
画像形成装置の基本構成を示すブロック図である。
【図13】電子写真複写機における画像形成機構の制御
構成を示す図である。
【図14】図13のコンピュータ38における故障診断
およひ修復制御の概要を示すフローチャートである。
【図15】この発明の一実施例にかかる電子写真複写機
の数学モデルを表わす図である。
【図16】この発明の一実施例にかかる電子写真複写機
において、各パラメータをシンボル化する場合に必要な
各パラメータの基準値データを表わす図である。
【図17】上述した数学モデル上における故障診断のた
めの展開を表わす図である。
【図18】上述した数学モデル上における故障診断のた
めの展開を表わす図である。
【図19】説明の便宜上、単純化された帯電機能部のF
BSダイアグラムを示す図である。
【図20】感光体ドラムの帯電機能に関する知識および
展開知識の内容を示す図である。
【図21】対象モデルの正常時における構造および現象
を説明する図である。
【図22】対象モデルのメインチャージャが故障した場
合における転写チャージャにより主帯電現象を発現させ
た状態の構造および現象を示す図である。
【図23】機能冗長系に転写チャージャが用いられた時
の対象モデルをFBSダイアグラムで表わした図であ
る。
【図24】複写機の画像形成機能に関し、インディビジ
ュアルおよびビューにおける起こり得る全ての現象の依
存関係を表わすディスプレイ表示例を示す図である。
【図25】画像形成機構における正常時の定性的タイミ
ングチャートを示す図である。
【図26】故障時における定性シーケンスの作成方法を
説明するための図である。
【図27】故障時における定性シーケンスの作成方法を
説明するための図である。
【図28】故障時における定性シーケンスの作成方法を
説明するための図である。
【図29】画像形成機構における故障時の定性的タイミ
ングチャートを示す図である。
【図30】数学モデル上における副次的影響推論のため
の展開を表わす図である。
【図31】数学モデル上における副次的影響推論のため
の展開を表わす図である。
【図32】数学モデル上における副次的影響推論のため
の展開を表わす図である。
【図33】数学モデル上における副次的影響推論のため
の展開を表わす図である。
【図34】数学モデル上における副次的影響推論のため
の展開を表わす図である。
【図35】数学モデル上における副次的影響推論のため
の展開を表わす図である。
【符号の説明】
31 感光体ドラム 33 メインチャージャ 36 転写チャージャ 38 コンピュータ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 下村 芳樹 大阪府大阪市中央区玉造1丁目2番28号 三田工業株式会社内 (72)発明者 堀 和人 大阪府大阪市中央区玉造1丁目2番28号 三田工業株式会社内 (72)発明者 谷川 貞夫 大阪府大阪市中央区玉造1丁目2番28号 三田工業株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数の機能部分を含み、各機能部分は、そ
    れぞれが予め定める本来機能を有し、かつ、複数の機能
    部分の全部または一部は、予め定める本来機能とは異な
    る、通常は発現していない潜在機能を有するものである
    機能手段と、 上記機能手段を複数個の要素の結合として表現し、各要
    素の挙動または属性および各要素間の結合関係がパラメ
    ータを用いて定性的に表わされた定性データが記憶され
    た記憶手段と、 上記機能手段の故障を診断する診断手段と、 上記複数の機能部分に本来機能を発現させるように、複
    数の機能部分を第1の組合せに従って動作させる通常制
    御手段と、 診断手段により機能手段の故障が発見されたとき、記憶
    手段に記憶された定性データに基づいて、パラメータ操
    作による故障修復作業を演算する演算手段と、 演算手段の演算結果を実行するパラメータ型故障修復手
    段と、 パラメータ型故障修復手段によって機能手段の故障が修
    復できないときに、上記複数の機能部分の中の故障にか
    かる機能部分の本来機能を他の機能部分の潜在機能で代
    替させるように、上記故障にかかる機能部分を用いず
    に、残る機能部分を上記第1の組合せとは異なる第2の
    組合せに従って動作させる冗長系制御手段と、を有する
    ことを特徴とする機能冗長系を有する自己修復型画像形
    成装置。
  2. 【請求項2】請求項1記載の機能冗長系を有する自己修
    復型画像形成装置において、 冗長系制御手段は、故障にかかる機能部分の種類に対応
    して、予め定める互いに異なる複数の組合せの中の所定
    の組合せに従って制御動作を行うものである。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1996032264A1 (en) * 1995-04-12 1996-10-17 Eastman Kodak Company Block fault tolerance in integrated printing heads

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1996032264A1 (en) * 1995-04-12 1996-10-17 Eastman Kodak Company Block fault tolerance in integrated printing heads

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