JPH05164723A - 腐食探査用可搬式センサー - Google Patents

腐食探査用可搬式センサー

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JPH05164723A
JPH05164723A JP41500990A JP41500990A JPH05164723A JP H05164723 A JPH05164723 A JP H05164723A JP 41500990 A JP41500990 A JP 41500990A JP 41500990 A JP41500990 A JP 41500990A JP H05164723 A JPH05164723 A JP H05164723A
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silver
silver chloride
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polarization
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Noriyasu Mochizuki
紀保 望月
Hiroji Nakauchi
博二 中内
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NAKABOO TEC KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 センサー容器の大きさを変えることなく、塩
化銀電極の電極面積をより大きくし、取扱いや製作が容
易で対極と兼用で低分極性と長期性能の安定性を具備し
た基準電極からなる腐食探査用センサーを提供する。 【構成】 塩化銀系基準電極において、銀板または銀線
2の表面に1mmφ以下の銀粉粒と塩化銀粉を重量比で
0.2超〜5.0の割合で混合した層4を電極ケース断
面全体に広げて設け、さらにその下部に吸水性高分子樹
脂含有ゲル状塩化カリ溶液5を充填したことを特徴とす
る腐食探査用可搬式センサー。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は腐食環境にある金属の電
極電位および腐食速度測定に使用する基準電極および/
または対極を兼ねた腐食探査用可搬式センサーに関す
る。
【0002】
【従来の技術】海水、淡水あるいは土壌中にある金属構
造物(主として鉄鋼)は、常に腐食環境に晒されてい
る。この腐食環境にある金属の腐食状況を的確に把握す
るため、腐食、防食に携わる技術者にとってより精度が
高く、実施容易な腐食診断技術の開発が重要な課題であ
る。
【0003】金属の腐食あるいは防食状況の把握手段と
しては、金属がおかれている環境調査(温度、 pH、環
境抵抗および環境成分等)の他に、電位あるいは分極抵
抗で代表される各種の電気化学的な因子の測定が行なわ
れている。近年、中でも分極抵抗測定による環境中にあ
る金属の腐食速度の推定が盛んに行なわれている。今
日、金属の腐食診断は、分極抵抗がその中核となってお
り、自然腐食電位および環境抵抗測定と併せて欠くこと
のできない要素となっている。
【0004】これらの電気化学的測定法については、
「防蝕技術」、28,No.3,1979において、“電
気的計測による腐食モニタリング(特集)”を始めとし
て多くの文献で紹介されている。
【0005】実験室的な試験では、これらの要素の測定
は、自由度が大きいので別段大きな問題はないが、実用
現場の装置や構造物を対象とする場合には、装置や構造
物の大きさ、構造、場所あるいは時間等の種々の制約条
件が課せられるため、測定は容易でなく、かつ測定装置
の移動に伴なう計測機器の故障や精度に問題が生ずる。
【0006】現場において、上述の自然電位、分極抵抗
および環境抵抗をリアルタイムに容易に測定するための
例として、特開昭58−208654号公報、特開昭5
9−190647号公報に土壌中にある金属構造物の腐
食診断を行なう装置が紹介されている。また特公平1−
27384号公報、特開昭63−315941号公報に
は鉄筋コンクリート構造物の鉄筋の腐食状況を測定診断
する方法や装置が紹介されている。
【0007】この中で、前者の2件が土壌を腐食環境と
しているのに対して、後者の2件は鉄筋コンクリートを
対象としているが、本質的に自然電位、分極抵抗および
環境抵抗の3パラメータの測定にあり、測定方法、測定
項目および推定方法は異なるものではない。
【0008】これらの電気化学的測定パラメータは、基
本的に対象試料極、対極(主として白金等の不溶性陽
極)および基準電極(甘汞電極、塩化銀電極、酸化水銀
電極等)の3つの電極を利用し、測定項目に応じてそれ
ぞれの電極を組合わせ、測定場所に電極、測定器および
記録計器を移動させながら測定を行なっている。
【0009】すなわち、基準電極を用いて試料極(測定
対象金属体)の自然電位が、基準電極と対極を用いてそ
の分極抵抗と試料極周辺の環境抵抗が測定される。測定
機器は市販の3電極方式コロージョンモニタ等が使用で
きる。このほかに測定データ記録装置、解析装置等が付
随している。
【0010】自然電位は、センサー内の基準電極と測定
対象金属体との間の電圧を高入力抵抗の電圧計で測定す
るが、基準電極を含むセンサー内のインピーダンスが低
いほどS/N比のよい精度の高い電位計測ができる。
【0011】分極抵抗の測定は、センサーを通して計測
器から金属体に微小の電流を流し、金属体の分極を測定
し、電圧と電流の比から求めるが、電流は低周波交流
(通常0.1Hz以下の短形波または正弦波)または1
0秒〜数分程度の直流パルス電流が用いられる。測定さ
れた分極電圧には、基準電極と金属体の間の環境抵抗と
測定電流によるIRドロップが含まれている。これを除
いて正しい分極抵抗を求めるため上記低周波交流または
直流の測定電流に高周波(1KHz程度)の交流を重畳
し、この高周波交流による環境抵抗測定を行なって分極
抵抗を補正するのが通例である。
【0012】このように、分極抵抗の測定では、計測器
や測定ケーブルは低周波(直流)から高周波にわたる安
定した周波数特性が要求され、センサーのインピーダン
スもこれに大きく関わってる。
【0013】大型構造物、例えば橋梁、棧橋あるいは建
築物等に使われている鉄筋コンクリート構造物(以下、
RC構造物と称する)の鉄筋腐食探査を行なう場合、こ
れらの測定装置を帯同し、腐食探査を実施することは設
置場所の限定、足場の不安定さもあって容易ではない。
特に測定箇所が多岐、広範囲に亘る場合には、各電極の
移動に伴なう装置の取扱いや運搬が繁雑になり、測定者
の心労が重なり測定データへの信頼性にも影響し兼ねな
い。例えば、測定ケーブルを長くしてもデータの信頼性
が維持されるならば、測定装置類の移動頻度を少なくす
ることができるので、測定者の負担を軽減することがで
きる。
【0014】腐食診断の3パラメータである自然電位、
分極抵抗および環境抵抗の測定に共通して欠くことので
きないものは基準電極であり、あるいは基準電極と対極
を内蔵したセル構造のセンサーである。
【0015】基準電極と対極を内蔵したセル構造のセン
サーは前述の特公平1−27384号公報および特開昭
63−315941号公報等に開示されている。現場の
RC構造物の非破壊腐食診断用センサーとして優れた手
段であるが、基準電極と対極が内蔵されたセル構造のた
めセンサーが大型になり易く、測定は従来から行なわれ
ている基準電極、対極および試料極からなる3電極方式
測定の域を出ない。
【0016】基準電極自体が対極をも兼ねることができ
れば、装置が簡易化され、センサーのインピーダンス低
下をもたらし長尺ケーブルの使用が可能となって測定の
繁雑さが緩和される。
【0017】この点に着目し、本発明者等は鋭意研究を
行ない基準電極を構成する当該金属の表面積を基準電極
のケース一杯にまで拡げることにより、実用上誤差が無
視できる低分極性を有し、その結果、対極の機能を兼ね
備える基準電極のみの一極式のセンサーを開発し特許出
願した(特願平2−3553号、特願平2−21498
2号)。
【0018】ここに開示されているセンサーは、作動表
面積を少なくとも電極容器の断面の全面に広げることに
よって、従来の対極(主としてPt)と基準電極(甘汞
電極、塩化銀電極等)からなるセル型2極センサーに比
して、(1)通電に伴なうガス発生を防止し、現場向け
完全密閉構造のセンサーが可能になり、(2)従って倒
立使用も可能で、全姿勢型の測定ができ、(3)従来の
基準電極はインピーダンスが高く、高抵抗環境にあって
はノイズの影響を受け測定が困難であったが、低インピ
ーダンス化が図れたので測定は容易になり、(4)さら
に現場測定で必要な長い測定ケーブルの使用に対する制
限が緩和された等の効果を挙げることができた。
【0019】このように、これらのセンサーによって、
従来の3電極方式のセンサーが測定系のインピーダンス
が高いため長いケーブルの使用は浮遊容量やノイズの影
響を受け測定が不正確になり、加えて取扱い、運搬等測
定に苦労と事故がつきまとっていたものを大巾に軽減す
ることが可能になった。
【0020】これらの出願においては、基準電極として
現在多用されている甘汞電極(Hg/Hg2Cl2/Cl
-)、塩化銀電極(Ag/AgCl/Cl-)等を用いる
ものであり、甘汞電極についてはケース断面全面が水銀
で覆われるようにし、塩化銀電極については銀の面積を
ケース断面の全面に広げて塩化銀化処理をし、その上に
銀粉と塩化銀を混合したものを塩化カリ溶液でペースト
化して積層するものである。
【0021】いずれの場合も従来から使用されている基
準電極の寸法や大きさ等の基本構造を大きく変えること
なく、例えばRC構造物の鉄筋の電位を10〜20mV
分極させるのに必要な電流が1mA以下で基準電極の低
分極性、すなわち2mV以下、特に上述の甘汞電極と塩
化銀電極は1mV以下の低分極性を示した。
【0022】これらのセンサーの主体である低分極性の
基準電極の中で、飽和甘汞電極と酸化水銀電極は、環境
汚染の点で嫌われる水銀および水銀化合物を使用するこ
とから塩化銀電極の使用が増加している。
【0023】塩化銀電極は、表面を塩素化した銀を所定
の塩化物溶液内に浸漬すれば容易に作製できるが、銀表
面を被覆している塩化銀の絶対量が少ないため、長期安
定性に欠けるという欠点がある。また、電極液は濃度が
変化しないように高濃度塩化物溶液(飽和塩化カリウ
ム)を用いてもよいが、このような高濃度溶液中では塩
化銀の溶解度が著しく増大するため、早期に消耗してし
まうという欠点がある。
【0024】銀の表面を塩素化処理して塩化銀層を形成
させる方法には、電解法が一般に採用されるが、電極の
寿命の延長のため十分な量の塩化銀層を形成させるため
には、電極作成に手間がかかり、また厚膜塩化銀層は電
極抵抗が大きくなり絶縁層として働き電極電位の測定も
不可能になりかねない。さらに、保管、使用時での強い
衝撃や変形は塩化銀層の剥離を起し易いため慎重に取扱
わなくてはならない等の実用的なセンサーとしての使用
には不向きである。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、センサー容
器の大きさを変えることなく、塩化銀電極の電極面積を
より大きくし、取扱いや製作が容易で対極と兼用で低分
極性と長期性能の安定性を具備した基準電極からなる腐
食探査用センサーを提供することを目的とするものであ
る。
【0026】
【課題を解決するための手段】上述のように、本発明者
等は先の出願(特願平2−3553号、特願平2−21
4932号)で、従来の基準電極において電極表面積を
ケース全体に広げた電極は、基準電極と対極を兼ね備え
た2電極方式による分極抵抗測定用センサーになり得る
ことを示すと共に、さらに銀粉を電極構成要素に加える
ことにより、一段と低分極性が得られる可能性を示し
た。本発明者等は、この銀粉の作用をさらに詳細に検討
し、最大の低分極性を得る手段を明確にすることによっ
て、本発明に至ったものである。
【0027】すなわち本発明は、塩化銀系基準電極にお
いて、銀板または銀線の表面に、(1) 1mmφ以下
の銀粉粒と塩化銀粉を重量比で0.2超〜5.0の割合
で混合した層を電極ケース断面全体に広げて設けるか、
あるいは(2) 1mmφ以下の銀粉粒層を電極ケース
断面全体に広げて設け、かつその下に塩化銀粉層を配置
し、さらにその下部に吸水性高分子樹脂含有ゲル状塩化
カリ溶液を充填したことを特徴とする腐食探査用可搬式
センサーにある。
【0028】以下、本発明の腐食探査用可搬式センサー
を図面に基づいて具体的に説明する。
【0029】図1は、本発明に係る腐食探査用可搬式セ
ンサーの一例を示す部分切欠き断面図である。同図にお
いて、1は充填材、2は銀板または銀線、3はゴム栓、
4は銀粉粒/塩化銀粉混合層、5は吸水性高分子樹脂含
有飽和塩化カリ溶液、6はスポンジ等の多孔質材をそれ
ぞれ示す。同図においては、銀板または銀線2の表面
に、1mmφ以下の銀粉粒と塩化銀粉を重量比で0.2
超〜5.0の割合で混合した層(銀粉粒/塩化銀粉混合
層)4を電極ケース断面全体に広げて設けられている。
銀粉粒と塩化銀粉の重量比が0.2以下または5.0超
では良好な分極特性が得られない。また、さらに銀粉粒
/塩化銀粉混合層4の下部に吸水性高分子樹脂含有ゲル
状塩化カリ溶液5が充填されている。
【0030】図2は、本発明に係る腐食探査用可搬式セ
ンサーのその他の例を示す部分切欠き断面図である。同
図において、図1と同一の符号は同様のものを示し、7
は銀粉粒層、8は塩化銀粉層をそれぞれ示す。同図にお
いては、1mmφ以下の銀粉粒層7が電極ケース断面全
体に広げて設けられており、その下に塩化銀粉層8が配
置され、さらにその下部に図1と同様に吸水性高分子樹
脂含有ゲル状塩化カリ溶液5が充填されている。
【0031】このような構成からなる本発明のセンサー
は、現場測定での運搬、取扱いの容易さを考慮して約5
0mmφ以下、200mmL以下の容器(ケース)であ
る。そして、このセンサーにより、長期に亘って電位が
安定で広範囲の電流範囲で低分極性(1mV以下)を有
する。また、このセンサーは、電流を流すことを必要と
しない通常の電位計測用の基準電極としても、電位の安
定性の改善された基準電極としても有効である。
【0032】
【作用】塩化銀電極型センサーの電極の構成要素に銀粉
粒を加えることにより、銀と塩化銀との接触面積が著し
く増大させることができたため、安定性の良い基準電極
の製作が容易になったばかりではなく、通電電流がRC
構造物の分極抵抗測定の際、通常使用される0.1mA
以下では勿論の事、10mAでも1mV以下が確保さ
れ、繰返し使用でも変動が小さいことから河川水中や海
水中のような低抵抗環境中でかなりの腐食速度を示す場
合でも、10mA以下の電流で分極抵抗の測定が済むな
らば充分測定に供することができる。
【0033】従来から行なわれている対極(主として白
金)と照合電極(基準電極)を組み合せた2極式分極抵
抗測定用センサーが、対極を兼ね備えた照合電極のみを
有する1極式センサーとなり、加えて高性能化されたこ
とになる。
【0034】銀粉を用いて接触面積を拡大したことによ
り、高抵抗環境においてもノイズの影響が軽減され、精
度のよい測定が可能となるばかりではなく、電位測定系
のインピーダンスを低下させることができたため、長い
測定ケーブルを用いても環境抵抗測定のための高周波交
流の減衰が少ないので、測定に対する制限が緩和され測
定精度が向上する。
【0035】また、対極と基準電極を一体化したことに
より、電極形状がセンサー単面と同一形状をしているた
め、センサー内の電流分布が全体に均質化され、センサ
ー形状が小型化できるようになった。
【0036】さらに、従来の塩化銀電極は銀の表面に電
解処理で塩化銀の薄層を付けていたが、本発明における
銀粉粒と塩化銀粉の混合層または銀粉粒層と塩化銀粉層
を用いることにより、電解塩化銀層の存否は低分極性に
殆ど影響がなく電解塩化銀処理は不要になった。
【0037】加えて、本発明のセンサーの電極反応は、
ガスの発生を伴なわない単一レドックス反応であるた
め、通電によって生ずるセンサー内のガス抜き装置が不
要であるばかりでなく、内部を固形状の物質で充填する
ことが可能となり、センサーをどのような体勢で使用し
ても内部に空隙が生じない。
【0038】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明するが、本
発明はこれによって限定されるものではない。
【0039】実施例1 1mm以下の銀粉粒と塩化銀粉の混合割合(重量比)を
下記のように変量し、電極内径28mmφ、電極断面積
6.15cm2の図1の形状のセンサーを作成した。な
お、銀粉の寸法と使用量は一定にし、塩化銀粉のみを変
量し、銀粉の寸法はほぼ球状でタイラー標準篩200メ
ッシュ(約0.07mm)篩下であった。
【0040】1mAの短形波定電流を与えた場合の電極
電位および分極量(ΔE)を計測し、結果を下記に示
す。 (1) 銀粉粒:塩化銀粉の混合割合1:5、電極電位
(mV,SCE)−46、分極量(ΔE、mV)0.9
3 (2) 銀粉粒:塩化銀粉の混合割合1:2、電極電位
(mV,SCE)−46、分極量(ΔE、mV)0.4
2 (3) 銀粉粒:塩化銀粉の混合割合2:1、電極電位
(mV,SCE)−46、分極量(ΔE、mV)0.0
8 (4) 銀粉粒:塩化銀粉の混合割合5:1、電極電位
(mV,SCE)−46、分極量(ΔE、mV)0.0
【0041】上記に示されるように、銀粉粒/塩化銀粉
の重量比が小さくなるに従って低分極性は悪くなるが、
1/2すなわち塩化銀粉量の半量の銀粉粒であっても分
極量は1mAで0.5mV以下である、1/5の比率は
実用的に限界比率であり、これ以上銀粉粒の比率が下る
と著しく分極量が増大した。銀粉粒の割合が高い程、作
動面積増大の効果が大きく、極めて長期間にわたって低
分極性が維持される。
【0042】一方、電極電位は混合比の影響が認められ
ないので、この種のセンサーの寿命は極めて長いものと
推察される。なお、この種の電極の電極電位は、電極作
製直後を除き理論値−45.6mVと実用上一致した値
を示している。
【0043】実施例2 銀粉粒の粒径を下記のように変化させ、電極内径28m
mφ、電極断面積6.15cm2の図1の形状のセンサ
ーを作成した。なお、銀粉粒/塩化銀粉の重量比は5/
1であった。
【0044】1mAの短形波定電流を与えた場合の電極
電位および分極量(ΔE)を計測し、結果を下記に示
す。 (1) 銀粉粒の粒径200メッシュアンダー(約0.
07mm)、電極電位(mV,SCE)−46、分極量
(ΔE、mV)0.05 (2) 銀粉粒の粒径32〜18メッシュ(0.1〜1
mm)、電極電位(mV,SCE)−46、分極量(Δ
E、mV)0.61 (3) 銀粉粒の粒径10〜5メッシュ(約2〜4m
m)、電極電位(mV,SCE)−46、分極量(Δ
E、mV)1.25
【0045】上記に示されるように、銀粉粒末の寸法が
大きくなるに従って、分極特性は低下し、1mAで1m
V以下の分極値を得るためには、銀粉粒寸法は平均径で
18メッシュアンダー(約1mm)を超えないようにす
る必要がある。
【0046】実施例3〜4および比較例1〜3 下記の構成で5種類のセンサーを作成した。 (1) 銀板/銀粉粒/塩化銀粉/飽和塩化カリ溶液
(実施例3) (2) 銀板/(銀粉粒+塩化銀粉)/飽和塩化カリ溶
液(実施例4) (3) 銀板/塩化銀処理/(銀粉粒+塩化銀粉)/飽
和塩化カリ溶液(比較例1) (4) 銀板/塩化銀処理/飽和塩化カリ溶液(比較例
2) (5) 飽和甘汞電極(比較例3)
【0047】これらの各センサーは、いずれも電極内径
28mmφ、電極断面積6.15cm2とした。また、
実施例4においては銀粉粒と塩化銀粉の混合割合を2:
1とし、200メッシュ(約0.07mm)の銀粉粒を
用いた。さらに、比較例1では塩化銀粉の混合割合を
1:5とした。
【0048】これらのセンサーについて、0.1Hz短
形波定電流(Peak to peak:ピーク・ピー
ク値)における分極値を図3に示す共に、電極電位の経
時変化を図4に示す。
【0049】図3に示すように、銀粉粒を積層あるいは
混合した実施例3〜4の電位ΔEは10mAでも1mV
以下で極めて良好な低分極性を示し、しかも繰返し測定
による影響も認められなかった。比較例3の電位ΔE
は、1mAでは1mV以下であるが、2mA以上では分
極の増大が進み、実施例3〜4との間には、分極特性に
おいて大きな差が認められる。しかしながら、例えばR
C構造物の腐蝕診断において通常電流は通常0.1mA
であるため、実用的には何ら問題なくセンサーとして使
用できる。
【0050】比較例1は銀粉粒/塩化銀粉=1/5と塩
化銀粉の割合が最も多い例であり、1mAでΔEは1m
V以下であるが、比較例3と同様に2mA以上の電流に
おいては分極の急激な増大が認められる。
【0051】比較例2は従来から使用されている塩化銀
電極であるが、1mAでの分極値が僅かに1mVをオー
バーしており、分極特性が最も劣る結果を示した。な
お、比較例1〜2は銀の表面に電解処理により塩化銀薄
層を設けているのに対し、実施例3〜4のは塩化銀薄層
を設けていないが分極値への影響は殆ど認められず、ま
た電極電位にも差も認められなかった。すなわち本発明
のセンサーにあっては、必ずしも塩化銀処理は必要条件
ではないことが判明した。
【0052】図4は実施例3〜4および比較例1〜2の
センサーの電極電位(対SCE)の安定性をみたもので
ある。いずれも変動が小さく、極めて安定であることが
わかる。
【0053】いずれにしろ、RC構造物のように高抵抗
環境中での腐食探査用センサーとしては、図3に示す如
く比較例3の飽和甘汞電極型のセンサーでも実用的には
充分使用可能である。塩化銀電極型の本発明にかかるセ
ンサーは図3の実施例3〜4に見られる如く、低分極性
および電位の点から問題なく精度の高い分極抵抗の測定
が可能である。さらに、本願発明にかかるセンサーは、
海水等の低抵抗環境中での測定でも10mA以下の電流
で測定可能な分極抵抗であるならば、充分使用可能であ
ることが図3から判断できる。
【0054】
【発明の効果】以上説明したように、塩化銀電極の構成
材料として銀粉粒を使用することによって、飽和甘汞電
極型センサーと同等以上の精度、性能を有する対極と基
準電極を兼ねた一電極式センサーが可能であり、特に大
いに改善された低分極性と電位の安定性は広い範囲の環
境抵抗中での電位および分極抵抗の測定を容易にさせ
る。
【0055】銀粉粒を使用することにより、電極面積は
限られた電極ケースで著しく増大させる事ができ、安定
性のよい基準電極を兼ねたノイズに強く小形軽量の現場
向可搬式センサーの製作が容易になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る腐食探査用可搬式センサーの一例
を示す部分切欠き断面図。
【図2】本発明に係る腐食探査用可搬式センサーの他の
例を示す部分切欠き断面図。
【図3】0.1Hz短形波定電流における各種一極セン
サーの分極特性を示すグラフ。
【図4】各種の銀/塩化銀電極センサーの電極電位の経
時変化を示すグラフ。
【符号の説明】
2 銀板または銀線 4 銀粉粒/塩化銀粉混合層 5 吸水性高分子樹脂含有飽和塩化カリ溶液 7 銀粉粒層 8 塩化銀粉層
【手続補正書】
【提出日】平成3年2月6日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正内容】
【0011】 分極抵抗の測定は、センサーを通して計
測器から金属体に微小の電流を流し、金属体の分極を測
定し、電圧と電流の比から求めるが、電流は低周波交流
(通常0.1Hz以下の形波または正弦波)または1
0秒〜数分程度の直流パルス電流が用いられる。測定さ
れた分極電圧には、基準電極と金属体の間の環境抵抗と
測定電流によるIRドロップが含まれている。これを除
いて正しい分極抵抗を求めるため上記低周波交流または
直流の測定電流に高周波(1KHz程度)の交流を重畳
し、この高周波交流による環境抵抗測定を行なって分極
抵抗を補正するのが通例である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正内容】
【0035】 また、対極と基準電極を一体化したこと
により、電極形状がセンサー面と同一形状をしている
ため、センサー内の電流分布が全体に均質化され、セン
サー形状が小型化できるようになった。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正内容】
【0040】 1mAの形波定電流を与えた場合の電
極電位および分極量(ΔE)を計測し、結果を下記に示
す。 (1) 銀粉粒:塩化銀粉の混合割合1:5、電極電位
(mV,SCE)−46、分極量(ΔE、mV)0.9
3 (2) 銀粉粒:塩化銀粉の混合割合1:2、電極電位
(mV,SCE)−46、分極量(ΔE、mV)0.4
2 (3) 銀粉粒:塩化銀粉の混合割合2:1、電極電位
(mV,SCE)−46、分極量(ΔE、mV)0.0
8 (4) 銀粉粒:塩化銀粉の混合割合5:1、電極電位
(mV,SCE)−46、分極量(ΔE、mV)0.0
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】変更
【補正内容】
【0041】 上記に示されるように、銀粉粒/塩化銀
粉の重量比が小さくなるに従って低分極性は悪くなる
が、1/2すなわち塩化銀粉量の半量の銀粉粒であって
も分極量は1mAで0.5mV以下である1/5の比
率は実用的に限界比率であり、これ以上銀粉粒の比率が
下ると著しく分極量が増大した。銀粉粒の割合が高い
程、作動面積増大の効果が大きく、極めて長期間にわた
って低分極性が維持される。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正内容】
【0044】 1mAの形波定電流を与えた場合の電
極電位および分極量(ΔE)を計測し、結果を下記に示
す。 (1) 銀粉粒の粒径200メッシュアンダー(約0.
07mm)、電極電位(mV,SCE)−46、分極量
(ΔE、mV)0.05 (2) 銀粉粒の粒径32〜18メッシュ(0.1〜1
mm)、電極電位(mV,SCE)−46、分極量(Δ
E、mV)0.61 (3) 銀粉粒の粒径10〜5メッシュ(約2〜4m
m)、電極電位(mV,SCE)−46、分極量(Δ
E、mV)1.25
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0048
【補正方法】変更
【補正内容】
【0048】 これらのセンサーについて、0.1Hz
形波定電流(Peakto Peak:ピーク・ピー
ク値)における分極値を図3に示す共に、電極電位の経
時変化を図4に示す。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正内容】
【図3】 0.1Hz形波定電流における各種一極セ
ンサーの分極特性を示すグラフ。
【手続補正8】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正内容】
【図3】

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩化銀系基準電極において、銀板または
    銀線の表面に 1mmφ以下の銀粉粒と塩化銀粉を重量比で
    0.2超〜5.0の割合で混合した層を電極ケース断面
    全体に広げて設け、さらにその下部に吸水性高分子樹脂
    含有ゲル状塩化カリ溶液を充填したことを特徴とする腐
    食探査用可搬式センサー。
  2. 【請求項2】 塩化銀系基準電極において、銀板または
    銀線の表面に 1mmφ以下の銀粉粒層を電極ケース断面全
    体に広げて設け、その下に塩化銀粉層を配置し、さらに
    その下部に吸水性高分子樹脂含有ゲル状塩化カリ溶液を
    充填したことを特徴とする腐食探査用可搬式センサー。
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