JP2514105B2 - 腐食探査用可搬式センサ― - Google Patents
腐食探査用可搬式センサ―Info
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- JP2514105B2 JP2514105B2 JP2214989A JP21498990A JP2514105B2 JP 2514105 B2 JP2514105 B2 JP 2514105B2 JP 2214989 A JP2214989 A JP 2214989A JP 21498990 A JP21498990 A JP 21498990A JP 2514105 B2 JP2514105 B2 JP 2514105B2
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Description
【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、腐食抑制剤の添加により腐食性が低下した
水が、循環または貯蔵される装置類の腐食状態や鉄筋コ
ンクリート構造物中の鉄筋の腐食状態を測定する可搬式
センサーに関し、詳しくは、プラント冷却水による装置
類の防食のための腐食抑制剤の効果測定、適正管理およ
び装置類の防食管理のための電位計測または分極抵抗測
定や既存の鉄筋コンクリート構造物の自然腐食電位、分
極抵抗およびコンクリート抵抗を、現場で容易に、かつ
より精度の高い測定を行なうことができる基準電極と対
極とを兼ね備える2電極方式の可搬式センサーに関する
ものである。
水が、循環または貯蔵される装置類の腐食状態や鉄筋コ
ンクリート構造物中の鉄筋の腐食状態を測定する可搬式
センサーに関し、詳しくは、プラント冷却水による装置
類の防食のための腐食抑制剤の効果測定、適正管理およ
び装置類の防食管理のための電位計測または分極抵抗測
定や既存の鉄筋コンクリート構造物の自然腐食電位、分
極抵抗およびコンクリート抵抗を、現場で容易に、かつ
より精度の高い測定を行なうことができる基準電極と対
極とを兼ね備える2電極方式の可搬式センサーに関する
ものである。
[従来の技術] 金属工業、化学工業の分野では大量のプラント冷却水
が使用されているが、装置類の防食のため冷却水には腐
食抑制剤を添加し、水の腐食性を低下させて用いてい
る。あるいは脱気等の処理による腐食性低下も行なわれ
ている。
が使用されているが、装置類の防食のため冷却水には腐
食抑制剤を添加し、水の腐食性を低下させて用いてい
る。あるいは脱気等の処理による腐食性低下も行なわれ
ている。
この腐食抑制剤の効果を維持するため、適正な濃度管
理を行なう必要があるが、このため自然腐食電位と分極
抵抗による評価が行なわれている。例えば鉄系の装置で
は、腐食が良好に抑制されている場合には貴な電位を示
し、電位が卑になってくると腐食抑制の効果が低下して
いることを現わす。また、この際、同時に装置の没水面
での分極抵抗を測定するとその時点での装置材料の腐食
速度が測定できるので、腐食抑制剤の効果は一層明瞭と
なる。従って、自然腐食電位および分極抵抗の測定は、
腐食抑制剤の適正管理および装置の防食管理には必要不
可欠なものである。
理を行なう必要があるが、このため自然腐食電位と分極
抵抗による評価が行なわれている。例えば鉄系の装置で
は、腐食が良好に抑制されている場合には貴な電位を示
し、電位が卑になってくると腐食抑制の効果が低下して
いることを現わす。また、この際、同時に装置の没水面
での分極抵抗を測定するとその時点での装置材料の腐食
速度が測定できるので、腐食抑制剤の効果は一層明瞭と
なる。従って、自然腐食電位および分極抵抗の測定は、
腐食抑制剤の適正管理および装置の防食管理には必要不
可欠なものである。
一方、建築、土木分野において、鉄筋コンクリート構
造物(以下、RC構造物と称する)の普及は目覚ましく、
国家の繁栄のバロメータともなっている。従来、RC構造
物は極めて耐久性に富むものとして、その強度や安全性
に関して信頼が置かれていた。
造物(以下、RC構造物と称する)の普及は目覚ましく、
国家の繁栄のバロメータともなっている。従来、RC構造
物は極めて耐久性に富むものとして、その強度や安全性
に関して信頼が置かれていた。
しかし、近年における大気汚染等の環境条件の悪化、
骨材、砂等の原材料の不足による砕石、海砂等の止むを
得ざる使用は、RC構造物の信頼性を揺るがすことにな
り、RC構造物の安全性を常にモニターする必要が生じる
ほどとなってきている。
骨材、砂等の原材料の不足による砕石、海砂等の止むを
得ざる使用は、RC構造物の信頼性を揺るがすことにな
り、RC構造物の安全性を常にモニターする必要が生じる
ほどとなってきている。
これらの条件の悪化は、主として鉄筋の腐食につなが
り、腐食診断は安全性の評価として重要視されており、
その評価手段として、鉄筋の自然電位および分極抵抗の
測定とコンクリート抵抗の3者で複合的に診断する技術
が用いられるようになってきた。
り、腐食診断は安全性の評価として重要視されており、
その評価手段として、鉄筋の自然電位および分極抵抗の
測定とコンクリート抵抗の3者で複合的に診断する技術
が用いられるようになってきた。
本発明は、上述のように生産プラントの基盤をなすプ
ラント冷却水を用いる装置や社会資本の基となるRC構造
物に関連する腐食診断において必要不可欠な腐食探査用
可搬式センサーの提案に関するものである。
ラント冷却水を用いる装置や社会資本の基となるRC構造
物に関連する腐食診断において必要不可欠な腐食探査用
可搬式センサーの提案に関するものである。
以下、RC構造物における腐食探査を例にとって本発明
を詳細に説明する。
を詳細に説明する。
コンクリートセメントはその性質上、強いアルカリ環
境(pH12〜13)になるので、RC構造物中の鉄筋の表面は
不動態皮膜が形成し鉄筋の腐食はほとんど無視できる。
境(pH12〜13)になるので、RC構造物中の鉄筋の表面は
不動態皮膜が形成し鉄筋の腐食はほとんど無視できる。
しかし、大気汚染物質や塩化物の作用を受ける環境、
すなわち都市工業地帯や海洋ならびに沿岸周辺にあって
は、RC構造物の中性化の進行や塩化物の侵入が避けられ
ず、その結果、鉄筋の不動態皮膜が破壊され、鉄筋は腐
食環境に直接さらされることになる。ひとたび鉄筋に腐
食が始まると腐食生成物の蓄積に基づくコンクリートの
破壊につながり悪循環の繰返しで鉄筋の腐食は急速に進
行し、RC構造物の機能の存続すら危ぶまれる状態にな
る。建築後10年足らずで鉄筋腐食によりRC構造物の補修
や再構築を余儀なくされている例が少なくない。
すなわち都市工業地帯や海洋ならびに沿岸周辺にあって
は、RC構造物の中性化の進行や塩化物の侵入が避けられ
ず、その結果、鉄筋の不動態皮膜が破壊され、鉄筋は腐
食環境に直接さらされることになる。ひとたび鉄筋に腐
食が始まると腐食生成物の蓄積に基づくコンクリートの
破壊につながり悪循環の繰返しで鉄筋の腐食は急速に進
行し、RC構造物の機能の存続すら危ぶまれる状態にな
る。建築後10年足らずで鉄筋腐食によりRC構造物の補修
や再構築を余儀なくされている例が少なくない。
それ故、RC構造物が健全であるか、補修を必要とする
かを定期的にチェックする必要があるために、このよう
なRC構造物の鉄筋腐食状況の推定は、RC構造物の寿命を
予測するために重要な課題である。
かを定期的にチェックする必要があるために、このよう
なRC構造物の鉄筋腐食状況の推定は、RC構造物の寿命を
予測するために重要な課題である。
鉄筋の腐食状況を測定、探査してRC構造物の寿命を推
定する方法として、通常は、RC構造物の一部を破壊し、
鉄筋を露出させて目視で検査する方法が採用されている
が、この方法は破壊試験であり、RC構造物にとって好ま
しい手段ではなく、また手数も大変である。
定する方法として、通常は、RC構造物の一部を破壊し、
鉄筋を露出させて目視で検査する方法が採用されている
が、この方法は破壊試験であり、RC構造物にとって好ま
しい手段ではなく、また手数も大変である。
一方、環境の腐食性や環境中の金属体の腐食状況を知
る非破壊的測定手段として種々の電気化学的手法を利用
した測定方法が提案されるようになってきた。主たる金
属の腐食状況を把握する電気化学的パラメータは、腐食
環境中にある金属体の自然腐食電位、分極抵抗および環
境抵抗であり中でも分極抵抗(金属体の腐食速度に対応
する)の測定が中核となっている。現在、RC構造物の腐
食診断を行なうに当って上記のような自然腐食電位、分
極抵抗および環境(コンクリート)抵抗の測定は欠くこ
との出来ない要素である。
る非破壊的測定手段として種々の電気化学的手法を利用
した測定方法が提案されるようになってきた。主たる金
属の腐食状況を把握する電気化学的パラメータは、腐食
環境中にある金属体の自然腐食電位、分極抵抗および環
境抵抗であり中でも分極抵抗(金属体の腐食速度に対応
する)の測定が中核となっている。現在、RC構造物の腐
食診断を行なうに当って上記のような自然腐食電位、分
極抵抗および環境(コンクリート)抵抗の測定は欠くこ
との出来ない要素である。
これらの電気化学的測定法については、“「防食技
術」、vol.28、No.3、1979"に記載されている“電気的
計測による腐食モニタリング(特集)”を始め多くの文
献で紹介されている。
術」、vol.28、No.3、1979"に記載されている“電気的
計測による腐食モニタリング(特集)”を始め多くの文
献で紹介されている。
実験室的な試験でのこれらの要素の測定は、別段大き
な問題はないが、実用現場のRC構造物を対象にする場合
には、構造物の大きさ、構造、場所あるいは時間等が種
々様々であり、実施に当って多くの制約条件が課せられ
るのが実状である。
な問題はないが、実用現場のRC構造物を対象にする場合
には、構造物の大きさ、構造、場所あるいは時間等が種
々様々であり、実施に当って多くの制約条件が課せられ
るのが実状である。
現場における自然腐食電位、分極抵抗および環境抵抗
のリアルタイムの測定についての一例としては、特開昭
58−208654号公報に土壌中の腐食性を測定する手段とし
て開示されている。
のリアルタイムの測定についての一例としては、特開昭
58−208654号公報に土壌中の腐食性を測定する手段とし
て開示されている。
RC構造物については、特公平1−27384号公報および
特開昭63−315941号公報等に鉄筋の腐食状況を測定する
方法が開示されている。
特開昭63−315941号公報等に鉄筋の腐食状況を測定する
方法が開示されている。
特開昭58−208654号公報と特公平1−27384号公報
は、前者が土壌の腐食性を、後者がRC構造物の鉄筋の腐
食状況を上記の3つのパラメータを現地でリアルタイム
で測定して金属体の腐食特性から土壌の腐食性あるいは
鉄筋の腐食状況を推定しているもので、測定方法、測定
項目および推定方法は、本質的に変わるものではない。
は、前者が土壌の腐食性を、後者がRC構造物の鉄筋の腐
食状況を上記の3つのパラメータを現地でリアルタイム
で測定して金属体の腐食特性から土壌の腐食性あるいは
鉄筋の腐食状況を推定しているもので、測定方法、測定
項目および推定方法は、本質的に変わるものではない。
これらの電気化学的測定パラメータは、基本的に試料
極(被測定金属体または鉄筋)、対極(主として白金等
の不溶性陽極)および基準電極(甘汞電極、塩化銀電
極、酸化銀電極)の3つの電極を利用し、測定項目に応
じてそれぞれの電極を組み合わせ、測定箇所に電極と測
定器(例えばコロージョンモニタ)を移動させながら測
定を行なっている。
極(被測定金属体または鉄筋)、対極(主として白金等
の不溶性陽極)および基準電極(甘汞電極、塩化銀電
極、酸化銀電極)の3つの電極を利用し、測定項目に応
じてそれぞれの電極を組み合わせ、測定箇所に電極と測
定器(例えばコロージョンモニタ)を移動させながら測
定を行なっている。
すなわち、基準電極のみを用いて自然腐食電位が、基
準電極と対極を用いて分極抵抗と環境抵抗が測定され
る。測定機器は市販の3極式コロージョンモニタが使用
できる。このほかに測定データ記録装置、解析装置等が
付随している。
準電極と対極を用いて分極抵抗と環境抵抗が測定され
る。測定機器は市販の3極式コロージョンモニタが使用
できる。このほかに測定データ記録装置、解析装置等が
付随している。
RC構造物の現場にこれらの装置を帯同し、実施するこ
とは設置場所の限定、足場の不安定さもあって容易では
ない。特に測定箇所が多岐、広範囲に亘る場合には、各
電極の移動に伴なう装置の取扱いや運搬が繁雑になり、
測定者の心労が重なり測定データへの信頼性にも影響し
兼ねない。そのため、一例として、測定ケーブルを長く
してもデータの信頼性が維持されるならば、装置類の移
動頻度を少なくすることができるので測定者の負担を軽
減することができる。
とは設置場所の限定、足場の不安定さもあって容易では
ない。特に測定箇所が多岐、広範囲に亘る場合には、各
電極の移動に伴なう装置の取扱いや運搬が繁雑になり、
測定者の心労が重なり測定データへの信頼性にも影響し
兼ねない。そのため、一例として、測定ケーブルを長く
してもデータの信頼性が維持されるならば、装置類の移
動頻度を少なくすることができるので測定者の負担を軽
減することができる。
前述の特公平1−27384号公報は、現場のRC構造物の
鉄筋腐食状況を非破壊で測定する点で優れた手段である
が、測定は対極と基準電極を備えたセルからなるセンサ
ーと試料極すなわちRC構造物の鉄筋からなり、従来から
のいわゆる3電極式測定と変らない。測定機器は市販の
3極式コロージョンモニタを使用している。
鉄筋腐食状況を非破壊で測定する点で優れた手段である
が、測定は対極と基準電極を備えたセルからなるセンサ
ーと試料極すなわちRC構造物の鉄筋からなり、従来から
のいわゆる3電極式測定と変らない。測定機器は市販の
3極式コロージョンモニタを使用している。
すなわち、RC構造物の鉄筋の腐食状況を現場規模にお
いて、リアルタイムに測定するために対極と基準電極を
備えたセルからなる可搬式センサーにしたことが特徴で
ある。しかし、対極と基準電極を有する内蔵型センサー
は、 (1)対極に白金電極を使用しているためガスの発生が
あり、完全密閉構造は難しい、 (2)基準電極の内蔵はセンサー内の電流分布が乱さ
れ、電流分布の均一化の必要性から大型にならざるを得
ない。
いて、リアルタイムに測定するために対極と基準電極を
備えたセルからなる可搬式センサーにしたことが特徴で
ある。しかし、対極と基準電極を有する内蔵型センサー
は、 (1)対極に白金電極を使用しているためガスの発生が
あり、完全密閉構造は難しい、 (2)基準電極の内蔵はセンサー内の電流分布が乱さ
れ、電流分布の均一化の必要性から大型にならざるを得
ない。
(3)さらに、通常の基準電極を使用しているので、電
位測定系のインピーダンスが高くなり、RC構造物のよう
な高抵抗環境においてはケーブルの浮遊容量やノイズの
影響を受け、測定が不正確になり、従って長尺の測定ケ
ーブルは使用できない、 等の欠点がある。
位測定系のインピーダンスが高くなり、RC構造物のよう
な高抵抗環境においてはケーブルの浮遊容量やノイズの
影響を受け、測定が不正確になり、従って長尺の測定ケ
ーブルは使用できない、 等の欠点がある。
本発明の目的は、上述の従来技術の課題を解消すべく
なされたので、現場測定に適した手頃の大きさで、取扱
いが容易で、かつ測定精度の高い可搬式センサーを提供
することにある。
なされたので、現場測定に適した手頃の大きさで、取扱
いが容易で、かつ測定精度の高い可搬式センサーを提供
することにある。
[課題を解決するための手段] 本発明者等は上記目的を達成するため、次の事項につ
いて鋭意検討を行なった結果、本発明に至ったものであ
る。
いて鋭意検討を行なった結果、本発明に至ったものであ
る。
先ず、RC構造物等に対する現場での測定のポイント
は、上述のように取扱いが容易で測定精度が高く、かつ
繁雑、煩わしさを緩和させることである。
は、上述のように取扱いが容易で測定精度が高く、かつ
繁雑、煩わしさを緩和させることである。
測定に当たって、基準電極と試料極は最小限必要であ
る。対極は分極抵抗および環境抵抗の測定時に外部から
通電用極として作用させるもので、主として白金が使わ
れている。
る。対極は分極抵抗および環境抵抗の測定時に外部から
通電用極として作用させるもので、主として白金が使わ
れている。
一方、RC構造物の鉄筋の分極抵抗は、自然腐食電位近
傍で外部から微小な直流電流を鉄筋に流し、鉄筋の電位
を10〜20mV分極させ、この電位変動の範囲で付与電流と
分極値の間に直線的関係があることから、測定時点での
鉄筋の腐食速度が推定できる重要な電気化学的パラメー
タである。10〜20mV分極を与えるに必要な外部付与電流
は経験的に1mA以内で済み、多くの場合10〜100μA程度
の大きさである。コンクリート抵抗は高周波(1KHz以
上)領域での交流インピーダンス値から求める。ところ
で、基準電極の電位が長期間にわたり安定で変化しない
ことは当然として、分極抵抗の測定時には鉄筋の電位を
10〜20mV分極させるに必要な付与電流が基準電極内を流
れるが、基準電極自体の電位変動(分極)が無視できる
ほど小さいこと、すなわち、低分極性であることが必要
である。基準電極の分極は電極反応、電極物質濃度、電
流密度等の関数である。電極電位の安定性、再現性から
見ると、現在多用されている甘汞電極、塩化銀電極、酸
化銀電極が適しており、電極の選択の幅は狭い。
傍で外部から微小な直流電流を鉄筋に流し、鉄筋の電位
を10〜20mV分極させ、この電位変動の範囲で付与電流と
分極値の間に直線的関係があることから、測定時点での
鉄筋の腐食速度が推定できる重要な電気化学的パラメー
タである。10〜20mV分極を与えるに必要な外部付与電流
は経験的に1mA以内で済み、多くの場合10〜100μA程度
の大きさである。コンクリート抵抗は高周波(1KHz以
上)領域での交流インピーダンス値から求める。ところ
で、基準電極の電位が長期間にわたり安定で変化しない
ことは当然として、分極抵抗の測定時には鉄筋の電位を
10〜20mV分極させるに必要な付与電流が基準電極内を流
れるが、基準電極自体の電位変動(分極)が無視できる
ほど小さいこと、すなわち、低分極性であることが必要
である。基準電極の分極は電極反応、電極物質濃度、電
流密度等の関数である。電極電位の安定性、再現性から
見ると、現在多用されている甘汞電極、塩化銀電極、酸
化銀電極が適しており、電極の選択の幅は狭い。
従って、残された方法は電流密度の低下、すなわち基
準電極の作動表面積を極力大きくすることにより達成さ
れる。
準電極の作動表面積を極力大きくすることにより達成さ
れる。
すなわち、本発明の腐食探査用可搬式センサーは、半
電池基準電極の作動表面積を基準電極容器の少なくとも
断面の全面に広げたことを特徴とする。
電池基準電極の作動表面積を基準電極容器の少なくとも
断面の全面に広げたことを特徴とする。
従来から使用されている基準電極の基本構造を変え
ず、現場測定での運搬、取扱いの容易さを考えると、セ
ンサーは約50mm径以下、長さ20mm以下が適当なサイズで
ある。このサイズで鉄筋の電位を10〜20mV分極させるの
に必要な電流が1mA以下で基準電極の低分極性、すなわ
ち2mV以下、好ましくは1mV以下を確保するためには、上
述のように、電極としての作動表面積を極力大きくする
ことである。
ず、現場測定での運搬、取扱いの容易さを考えると、セ
ンサーは約50mm径以下、長さ20mm以下が適当なサイズで
ある。このサイズで鉄筋の電位を10〜20mV分極させるの
に必要な電流が1mA以下で基準電極の低分極性、すなわ
ち2mV以下、好ましくは1mV以下を確保するためには、上
述のように、電極としての作動表面積を極力大きくする
ことである。
具体的には、飽和甘汞電極は水銀/塩化第一水銀(甘
汞)/塩化カリ溶液からなる半電池であるが、第3図に
示されるように、従来の飽和甘汞電極1は、ケース2と
内管3からなり、内管3に白金線4が水銀5中に浸され
甘汞ペースト6が充填されている。ケース2の先端は多
孔質材(例えば木栓、コルク、ガラスファイバー等)7
を介して対象腐食環境と接触するようになっており、ま
た内管3の外側のケース2内は飽和塩化カリ溶液8で満
され、また、甘汞ペースト6はパッキン10で保持されて
いる。
汞)/塩化カリ溶液からなる半電池であるが、第3図に
示されるように、従来の飽和甘汞電極1は、ケース2と
内管3からなり、内管3に白金線4が水銀5中に浸され
甘汞ペースト6が充填されている。ケース2の先端は多
孔質材(例えば木栓、コルク、ガラスファイバー等)7
を介して対象腐食環境と接触するようになっており、ま
た内管3の外側のケース2内は飽和塩化カリ溶液8で満
され、また、甘汞ペースト6はパッキン10で保持されて
いる。
しかるに、この飽和甘汞電極1をセンサーとして使用
するためには、水銀の面積を大きくする必要がある。第
1図は飽和甘汞電極を基本とした本発明の可搬式センサ
ーAの一例を示す。比較のため、従来の方式で製作され
た飽和甘汞電極(基準電極)と白金スパイラル(対極)
を有するセンサーBの一例を第2図に示す。
するためには、水銀の面積を大きくする必要がある。第
1図は飽和甘汞電極を基本とした本発明の可搬式センサ
ーAの一例を示す。比較のため、従来の方式で製作され
た飽和甘汞電極(基準電極)と白金スパイラル(対極)
を有するセンサーBの一例を第2図に示す。
第1図の可搬式センサーは、基本構造は第3図の飽和
甘汞電極1と変わらないが、飽和甘汞電極1の内管3を
除去し、ケース2の断面全面が水銀5で覆われるように
したものである。すなわち、内管3をケース2の大きさ
に拡大した構造である。従来の第3図の飽和甘汞電極1
に対する第1図に示される本発明の飽和甘汞電極を基本
としたセンサーAの差異は次の通りである。
甘汞電極1と変わらないが、飽和甘汞電極1の内管3を
除去し、ケース2の断面全面が水銀5で覆われるように
したものである。すなわち、内管3をケース2の大きさ
に拡大した構造である。従来の第3図の飽和甘汞電極1
に対する第1図に示される本発明の飽和甘汞電極を基本
としたセンサーAの差異は次の通りである。
(1)水銀5の移動で白金線4との断線の可能性がある
ので、それを防止するため白金線4は、十分水銀5中に
没するようになっている。
ので、それを防止するため白金線4は、十分水銀5中に
没するようになっている。
(2)水銀5の使用量、すなわち厚さを極力少なくし、
水銀で混和した甘汞ペースト6で押えており、また水銀
の上方には、封止11、ゴム栓12がそれぞれ設けられてい
る。なお、ゴム栓12に代えて樹脂板等も任意に用いられ
る。
水銀で混和した甘汞ペースト6で押えており、また水銀
の上方には、封止11、ゴム栓12がそれぞれ設けられてい
る。なお、ゴム栓12に代えて樹脂板等も任意に用いられ
る。
(3)吸水性高分子樹脂(例えばポリエチレンオキサイ
ド変成物、住友化学製R−30F等)を含有し、高粘度ゲ
ル状飽和塩化カリウム溶液14でケース2内を充填し、ケ
ース2の先端は多孔質材(木栓、コルク栓またはスポン
ジ等)9で封ずるようにしてある。
ド変成物、住友化学製R−30F等)を含有し、高粘度ゲ
ル状飽和塩化カリウム溶液14でケース2内を充填し、ケ
ース2の先端は多孔質材(木栓、コルク栓またはスポン
ジ等)9で封ずるようにしてある。
(4)水銀混和甘汞ペースト6と飽和塩化カリ溶液14と
の境界にセルローズ膜のごとき低抵抗のイオン透過性セ
パレータ13を設けている。
の境界にセルローズ膜のごとき低抵抗のイオン透過性セ
パレータ13を設けている。
これらの手段を講ずることによって作動表面積拡大に
ともなう水銀5の移動によって生ずる断線を阻止でき
る。
ともなう水銀5の移動によって生ずる断線を阻止でき
る。
なお、上記したように、第2図は、従来の基準電極と
対極とを具備したセンサーBであり、図中の符番は、第
1図および第3図と同様のものを指し、また15は白金ス
パイラル(対極)、16は白金である。
対極とを具備したセンサーBであり、図中の符番は、第
1図および第3図と同様のものを指し、また15は白金ス
パイラル(対極)、16は白金である。
また、塩化銀電極や酸化水銀電極(共に図示せず)で
も銀や水銀を基準電極容器の少なくとも断面の全面に広
げることによって、上記飽和甘汞電極と同様の効果が得
られる。また、塩化銀電極にあっては、ケースの断面一
杯に設けた銀板を塩化銀化しその上に銀粉と塩化銀粉を
混合し(銀粉と塩化銀粉との混合比はとくに限定する必
要はないが、Ag/AgCl[重量比]1〜3が混合しやす
い)、それを飽和塩化カリ溶液でペースト化した層をの
せることによって作動表面積の拡大が容易に行うことが
できる。また、極の銀板または線の表面に物理的な凹凸
面を形成させることによって、さらに作動表面積を拡大
することができる。
も銀や水銀を基準電極容器の少なくとも断面の全面に広
げることによって、上記飽和甘汞電極と同様の効果が得
られる。また、塩化銀電極にあっては、ケースの断面一
杯に設けた銀板を塩化銀化しその上に銀粉と塩化銀粉を
混合し(銀粉と塩化銀粉との混合比はとくに限定する必
要はないが、Ag/AgCl[重量比]1〜3が混合しやす
い)、それを飽和塩化カリ溶液でペースト化した層をの
せることによって作動表面積の拡大が容易に行うことが
できる。また、極の銀板または線の表面に物理的な凹凸
面を形成させることによって、さらに作動表面積を拡大
することができる。
以上の説明は、RC構造物中の鉄筋の腐食探査について
詳細に説明した例であるが、上述のように、プラント冷
却水に接する金属材料の腐食探査にも同様に用いられる
ことは勿論である。
詳細に説明した例であるが、上述のように、プラント冷
却水に接する金属材料の腐食探査にも同様に用いられる
ことは勿論である。
[実施例] 以下、実施例等によって本発明を具体的に説明する
が、本発明はこれに限定されるものではない。
が、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例1 作動表面積が6mm径(一般市販品−標準比較用0.28c
m2)の飽和甘汞電極(No.1)、作動表面積が28mm径(6.
15cm2)の飽和甘汞電極(No.2)、作動表面積が40mm径
(12.56cm2)の飽和甘汞電極(No.3)を作成し、分極テ
ストを行なった。ガルバノスタットを用いて電流を調整
し、各電流値で通電前後における電位変化、すなわち分
極値を測定した。
m2)の飽和甘汞電極(No.1)、作動表面積が28mm径(6.
15cm2)の飽和甘汞電極(No.2)、作動表面積が40mm径
(12.56cm2)の飽和甘汞電極(No.3)を作成し、分極テ
ストを行なった。ガルバノスタットを用いて電流を調整
し、各電流値で通電前後における電位変化、すなわち分
極値を測定した。
また、28mm径の電極ケースに28mm径の銀板(表面は塩
化銀化)をおいた飽和塩化銀電極(No.4)と、銀板表面
に銀粉と塩化銀を重量比で2:1で混合し飽和塩化カリ溶
液でペースト化した層を設けた飽和塩化銀電極(No.5)
についても上記と同様に分極テストを行ない、分極値を
測定した。
化銀化)をおいた飽和塩化銀電極(No.4)と、銀板表面
に銀粉と塩化銀を重量比で2:1で混合し飽和塩化カリ溶
液でペースト化した層を設けた飽和塩化銀電極(No.5)
についても上記と同様に分極テストを行ない、分極値を
測定した。
さらに、飽和甘汞電極の28mm径と同様の構造を有する
酸化水銀電極(No.6)を作成し、分極テストを行ない、
分極値を測定した。
酸化水銀電極(No.6)を作成し、分極テストを行ない、
分極値を測定した。
テストした電極の電極名と作動表面積を第1表に示
す。また、各種電極からなるセンサーの分極特性を第2
表に、その分極曲線を第4図にそれぞれに示す。
す。また、各種電極からなるセンサーの分極特性を第2
表に、その分極曲線を第4図にそれぞれに示す。
この結果、分極値が1mAで1mV以下を確保できる電極は
28mm径の飽和甘汞電極(No.2)および40mm径の飽和甘汞
電極(No.3)、同じく銀粉含有28mm径の飽和塩化銀電極
(No.5)である。
28mm径の飽和甘汞電極(No.2)および40mm径の飽和甘汞
電極(No.3)、同じく銀粉含有28mm径の飽和塩化銀電極
(No.5)である。
0.1mAで1mV以下となると上記電極に加えて、28mm径の
飽和塩化銀電極(No.4)、酸化水銀電極(No.6)も該当
する。特に飽和塩化銀電極は塩化銀に銀粉を混合したペ
ースト層を設けることによって、同径の飽和甘汞電極と
同程度の電極性能を示した。
飽和塩化銀電極(No.4)、酸化水銀電極(No.6)も該当
する。特に飽和塩化銀電極は塩化銀に銀粉を混合したペ
ースト層を設けることによって、同径の飽和甘汞電極と
同程度の電極性能を示した。
飽和甘汞電極で見られるように、作動表面積を広げる
ことによって1mAの通電電流で少なくとも2mV以下の低分
極が確保できる。
ことによって1mAの通電電流で少なくとも2mV以下の低分
極が確保できる。
実施例2 基準電極がセンサーとして対極を兼ねるためには、使
用基準電極がRC構造物の鉄筋の電位を10〜20mV分極させ
るに必要な電流(1mA以下)で2mV以下、好ましくは1mV
以下の低分極であることが必要である。
用基準電極がRC構造物の鉄筋の電位を10〜20mV分極させ
るに必要な電流(1mA以下)で2mV以下、好ましくは1mV
以下の低分極であることが必要である。
上記した実施例1から、作動表面積を広げた基準電極
が上記の要件を満たすことが明らかになった。
が上記の要件を満たすことが明らかになった。
そこで、RC構造物の腐食探査用センサーとして本発明
の基準電極を主体としたセンサーが適用できるか否かを
テストした。
の基準電極を主体としたセンサーが適用できるか否かを
テストした。
コンクリート棧橋裏面の海水飛沫部の同一場所を、第
2図に示す従来の3電極方式のセンサーと第1図に示す
本発明の2電極方式のセンサー(28mm径、飽和甘汞電極
型)を用い、各場所で鉄筋の自然腐食電位、分極抵抗お
よびコンクリート抵抗の3パラメータを測定し鉄筋の腐
食探査を行なった。
2図に示す従来の3電極方式のセンサーと第1図に示す
本発明の2電極方式のセンサー(28mm径、飽和甘汞電極
型)を用い、各場所で鉄筋の自然腐食電位、分極抵抗お
よびコンクリート抵抗の3パラメータを測定し鉄筋の腐
食探査を行なった。
コンクリート抵抗実測値を第3表、分極抵抗実測値を
第4表にそれぞれ示す。測定器は棧橋上に設置し、測定
者は15mまたは25mの測定ケーブルの先端に取り付けた上
記の各センサーをボート上から棧橋裏面のコンクリート
の測定点にあてがい測定を行なった。5mのケーブルの場
合は測定器もボートに乗せ、棧橋裏面の測定点近くまで
移動して測定を行なった。
第4表にそれぞれ示す。測定器は棧橋上に設置し、測定
者は15mまたは25mの測定ケーブルの先端に取り付けた上
記の各センサーをボート上から棧橋裏面のコンクリート
の測定点にあてがい測定を行なった。5mのケーブルの場
合は測定器もボートに乗せ、棧橋裏面の測定点近くまで
移動して測定を行なった。
その結果、第5図のコンクリート抵抗および第6図の
分極抵抗の結果から明らかな通り、本発明の2電極方式
のセンサーではケーブル長さに影響なく、分極抵抗やコ
ンクリート抵抗が測定されたが、3電極方式の従来のセ
ンサーではインピーダンスが高いので、長いケーブルの
浮遊容量やノイズの影響を受け、5mのケーブルまでは2
電極方式の測定結果とほぼ一致し、各測定点での腐食状
況を反映していたが、15mまたは25mの長いケーブルでは
ケーブル長さに比例して誤差が著しくなった。自然腐食
電位については2電極方式と3電極方式ではバラツキの
幅が小さかった。
分極抵抗の結果から明らかな通り、本発明の2電極方式
のセンサーではケーブル長さに影響なく、分極抵抗やコ
ンクリート抵抗が測定されたが、3電極方式の従来のセ
ンサーではインピーダンスが高いので、長いケーブルの
浮遊容量やノイズの影響を受け、5mのケーブルまでは2
電極方式の測定結果とほぼ一致し、各測定点での腐食状
況を反映していたが、15mまたは25mの長いケーブルでは
ケーブル長さに比例して誤差が著しくなった。自然腐食
電位については2電極方式と3電極方式ではバラツキの
幅が小さかった。
この結果、本発明の2電極方式からなる可搬式センサ
ーが測定精度、ケーブル長さの制約および測定の行動範
囲において従来の3電極方式センサーより優れているこ
とが判明した。
ーが測定精度、ケーブル長さの制約および測定の行動範
囲において従来の3電極方式センサーより優れているこ
とが判明した。
実施例3 腐食抑制剤を添加した工業用水中における分極抵抗の
測定について本発明のセンサーの有効性を測定した。
測定について本発明のセンサーの有効性を測定した。
リン酸系腐食抑制を添加した復水器冷却水(淡水)送
水用100A鋼管(ピット間距離約15m)の一方から、第1
図に示す本発明の2電極方式センサー(28mm径、飽和甘
汞電極型)を送り込み、鋼管内の各位置において鋼管内
の分極抵抗を測定した。
水用100A鋼管(ピット間距離約15m)の一方から、第1
図に示す本発明の2電極方式センサー(28mm径、飽和甘
汞電極型)を送り込み、鋼管内の各位置において鋼管内
の分極抵抗を測定した。
分極抵抗の測定は実施例2と同様に、1KHz交流により
溶液抵抗を補正する低周波矩形波交流法で行なった。ま
た、センサーには適当なピッグを取り付け、冷却水の流
れに乗せて任意の位置にセンサーを送り込めるようにし
た。
溶液抵抗を補正する低周波矩形波交流法で行なった。ま
た、センサーには適当なピッグを取り付け、冷却水の流
れに乗せて任意の位置にセンサーを送り込めるようにし
た。
試験は、先ず5mの測定ケーブルを接続した本発明の2
電極方式センサーを用い、約4m奥の位置までの3位置
(1m,2m,4m)において分極抵抗を測定した。ここで該セ
ンサーを引き出し、15mの測定ケーブルに交換し、前記
した3点で分極抵抗を測定し、さらに該センサーを鋼管
内に送り込んで約14mまでの3位置(7m,10m,14m)につ
いて分極抵抗を測定した。
電極方式センサーを用い、約4m奥の位置までの3位置
(1m,2m,4m)において分極抵抗を測定した。ここで該セ
ンサーを引き出し、15mの測定ケーブルに交換し、前記
した3点で分極抵抗を測定し、さらに該センサーを鋼管
内に送り込んで約14mまでの3位置(7m,10m,14m)につ
いて分極抵抗を測定した。
次いで、第2図に示す従来の3電極方式のセンサー
で、5mおよび15mの測定ケーブルを用いて上記と同様の
鋼管内各位置での分極抵抗を測定した。
で、5mおよび15mの測定ケーブルを用いて上記と同様の
鋼管内各位置での分極抵抗を測定した。
これらの試験における分極抵抗の測定値を第5表に示
すと共に、第7図に鋼管内の各位置における分極抵抗値
を図示した。
すと共に、第7図に鋼管内の各位置における分極抵抗値
を図示した。
この第5表および第7図に示されるように、本発明に
よる2電極方式センサーを用いた場合には、測定ケーブ
ルの長短に関係なく、全域に亘ってほぼ同程度(5mでの
平均値0.120KΩ、15mでの平均値0.121KΩ)の分極抵抗
値を示し、バラツキも±5%である。
よる2電極方式センサーを用いた場合には、測定ケーブ
ルの長短に関係なく、全域に亘ってほぼ同程度(5mでの
平均値0.120KΩ、15mでの平均値0.121KΩ)の分極抵抗
値を示し、バラツキも±5%である。
これに対して、従来の3電極方式のセンサーでは、5m
の測定ケーブルを用いた場合には、本発明の2電極方式
のセンサーを用いた場合に近い値(平均値0.130KΩ)が
得られるが、15mの測定ケーブルを用いた場合には、す
べての測定位置で本発明の2電極方式のセンサーで測定
した値と異なり、平均値は0.168KΩ、バラツキは±10%
を示した。さらに測定位置が遠くなる程、分極抵抗値は
大きくなる傾向が見られる。このことは、明らかにケー
ブルの浮游容量やノイズの影響を受けていることが示さ
れている。
の測定ケーブルを用いた場合には、本発明の2電極方式
のセンサーを用いた場合に近い値(平均値0.130KΩ)が
得られるが、15mの測定ケーブルを用いた場合には、す
べての測定位置で本発明の2電極方式のセンサーで測定
した値と異なり、平均値は0.168KΩ、バラツキは±10%
を示した。さらに測定位置が遠くなる程、分極抵抗値は
大きくなる傾向が見られる。このことは、明らかにケー
ブルの浮游容量やノイズの影響を受けていることが示さ
れている。
なお、本発明の2電極方式センサーで測定した分極抵
抗から計算された鋼管の腐食速度は、0.02mm/年程度の
小さな値で充分防食されており、腐食抑制剤の添加によ
り適切に管理されていることが示されていた。
抗から計算された鋼管の腐食速度は、0.02mm/年程度の
小さな値で充分防食されており、腐食抑制剤の添加によ
り適切に管理されていることが示されていた。
以上のように、本発明の2電極方式センサーは、かな
り長尺の測定ケーブルを用いても、腐食性の小さい工業
用水中での鋼材の腐食速度を正確に測定できることが明
らかになった。
り長尺の測定ケーブルを用いても、腐食性の小さい工業
用水中での鋼材の腐食速度を正確に測定できることが明
らかになった。
[発明の効果] 以上説明したように、本発明の可搬式センサーは、現
場測定を考慮して従来の基準電極の基本構成を変えるこ
となく、低分極性を示すと共に、長尺のケーブルの使用
でも精度の低下がない、基準電極と対極を兼ね備えたセ
ンサーであり、いわゆる2電極方式センサーである。現
場測定で十分な精度を有し、取扱いも容易であり、万一
破損しても従来のセンサーに比して製作手間が少なくで
きる。そして、少なくとも従来の3電極式センサーの欠
点を排除して2電極式センサーで測定を可能にしたこと
によりその実用価値は高いものである。
場測定を考慮して従来の基準電極の基本構成を変えるこ
となく、低分極性を示すと共に、長尺のケーブルの使用
でも精度の低下がない、基準電極と対極を兼ね備えたセ
ンサーであり、いわゆる2電極方式センサーである。現
場測定で十分な精度を有し、取扱いも容易であり、万一
破損しても従来のセンサーに比して製作手間が少なくで
きる。そして、少なくとも従来の3電極式センサーの欠
点を排除して2電極式センサーで測定を可能にしたこと
によりその実用価値は高いものである。
第1図は、本発明に係る2電極方式センサーの一例を示
す破断側面図、 第2図は、従来の3電極方式センサーの一例を示す破断
側面図、 第3図は、従来の飽和甘汞電極の一例を示す断面図、 第4図は、各種電極からなるセンサーの分極曲線を示す
グラフ、 第5図は、ケーブル長さとコンクリート抵抗の関係を示
すグラフ、そして、 第6〜7図は、ケーブル長さと分極抵抗の関係を示すグ
ラフ。
す破断側面図、 第2図は、従来の3電極方式センサーの一例を示す破断
側面図、 第3図は、従来の飽和甘汞電極の一例を示す断面図、 第4図は、各種電極からなるセンサーの分極曲線を示す
グラフ、 第5図は、ケーブル長さとコンクリート抵抗の関係を示
すグラフ、そして、 第6〜7図は、ケーブル長さと分極抵抗の関係を示すグ
ラフ。
Claims (4)
- 【請求項1】半電池基準電極が甘汞電極であって、電極
材である水銀を基準電極容器の少なくとも断面の全面に
広げて層状に設置し、電極作用面は水銀混和塩化第一水
銀ペーストおよびイオン透過性セパレーターを介して吸
水性高分子樹脂含有ゲル状飽和塩化カリ溶液を充填した
ことを特徴とする腐食探査用可搬式センサー。 - 【請求項2】半電池基準電極が塩化銀電極であって、電
極材である塩化銀化した銀を基準電極容器に設置し、そ
の周囲に電極作用面として塩化銀粉と銀の粉末を飽和塩
化カリ溶液でペースト化した層を容器断面の全体に設
け、さらに吸水性高分子樹脂含有ゲル状飽和塩化カリ溶
液でペースト化した層を容器断面の全体に設け、さらに
吸水性高分子樹脂含有ゲル状飽和塩化カリ溶液を充填し
たことを特徴とする腐食探査用可搬式センサー。 - 【請求項3】鉄筋コンクリート構造物の鉄筋の腐食電
位、分極抵抗およびコンクリート抵抗の測定に用いる請
求項1または2に記載の腐食探査用可搬式センサー。 - 【請求項4】プラント冷却水に接する金属材料の自然腐
食電位および溶液抵抗を補正した分極抵抗の測定に用い
る請求項1または2に記載の腐食探査用可搬式センサ
ー。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP355390 | 1990-01-12 | ||
JP2-3553 | 1990-01-12 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH03251756A JPH03251756A (ja) | 1991-11-11 |
JP2514105B2 true JP2514105B2 (ja) | 1996-07-10 |
Family
ID=11560618
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2214989A Expired - Fee Related JP2514105B2 (ja) | 1990-01-12 | 1990-08-16 | 腐食探査用可搬式センサ― |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2514105B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5942349B2 (ja) | 2011-07-07 | 2016-06-29 | セイコーエプソン株式会社 | センサー装置 |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5469495A (en) * | 1977-11-14 | 1979-06-04 | Nippon Paint Co Ltd | Comparing electrode for potential difference measurement for ph level measurement etc* |
-
1990
- 1990-08-16 JP JP2214989A patent/JP2514105B2/ja not_active Expired - Fee Related
Non-Patent Citations (1)
Title |
---|
「防食技術」Vol.37,No.6,P.361−364 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH03251756A (ja) | 1991-11-11 |
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