JPH05159A - 医療用軟質部材 - Google Patents

医療用軟質部材

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JPH05159A
JPH05159A JP3249446A JP24944691A JPH05159A JP H05159 A JPH05159 A JP H05159A JP 3249446 A JP3249446 A JP 3249446A JP 24944691 A JP24944691 A JP 24944691A JP H05159 A JPH05159 A JP H05159A
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medical
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poly
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JP3249446A
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Kenji Ishikawa
川 健 次 石
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Terumo Corp
Original Assignee
Terumo Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 優れた生分解性を有し、使用後滅菌処理して
埋め立てや海中等に廃棄して自然環境中に放置すること
により、短時間で分解して環境汚染等の原因とならず、
しかも加工性、経済性、生態系および生体適合性等にも
優れる医療用軟質部材を提供する。 【要約】 医療用軟質部材を、ポリヒドロキシアルカノエート、あ
るいはその共重合体、またはこれらの混合物を主成分と
し、かつ脂質化合物を0.01〜60重量%を含有する
樹脂組成物を含む材料によって少なくとも一部を成型す
ることにより前記目的を達成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、生分解性を有する上
に、柔軟性、耐衝撃性、加工性等の点でも優れた物性を
有する医療用軟質部材に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、医療用軟質材料としてはポリ塩化
ビニルに可塑剤としてフタル酸系の化合物、例えばフタ
ル酸ジオクチルやフタル酸−2−エチルヘキシル等をポ
リ塩化ビニル100重量部に対して10〜100重量部
混合した材料や、エラストマーと呼ばれる樹脂、例えば
スチレン−ブタジエン−スチレン系のABA型ブロック
共重合体やエチレン−プロピレン共重合体、あるいはポ
リエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマーを
主成分とする材料、さらにはエチレン−酢酸ビニル共重
合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体といった軟
質樹脂が使用されている。
【0003】このような材料から形成される医療用軟質
部材、例えば血液バッグ、チューブ、カテーテル等は、
多くのものが使い捨てであり、それぞれに応じた用途に
使用された後は、廃棄物として処理される。ところが、
前述の医療用軟質材料は自然分解することがなく、長い
年月に亘って崩壊せずに原形のまま残ってしまうため、
環境汚染等の各種の社会問題を引起こしているのは周知
の事実である。
【0004】このような各種の問題に対し、近年では自
然界に廃棄・放置することにより自然界の生態系により
分解される高分子材料、いわゆる生分解性材料が広く研
究され、注目されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このような生分解性材
料として、コーンスターチをポリプロピレン、ポリエチ
レン等に混入することにより形態崩壊を目的とした高分
子材料が知られているが、これは経時と共に形が崩壊す
るだけであり、ポリプロピレン、ポリエチレンといった
高分子主鎖の分解は伴わないので、本質的な意味で生分
解される材料とは言い難い。
【0006】また、生分解性材料としてはある種の微生
物が作り出す、あるいは化学合成によるポリ(3−ヒド
ロキシブチレート)、あるいはそれを主成分とした共重
合体が知られている。ポリ(3−ヒドロキシブチレー
ト)は自然環境中に放置することにより良好に分解され
ることが確認され、また、優れた生体適合性も有するこ
とから、医療用途等の多方面への応用が期待されてい
た。しかしながら、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)
は固く脆い性質を有するため、耐衝撃性に劣る等の物性
上の問題があり、また、熱可塑性は有するものの、その
融点付近でも熱分解が始まってしまうため、加工性が悪
く、幅広く用途展開するには至らなかった。
【0007】一方、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)
の物性を変える試みとしては、特開昭63−26998
9号公報等に開示されるD−(−)3−ヒドロキシブチ
レートとD−(−)3−ヒドロキシバリレートとを繰り
返し単位とする共重合体が知られている。この共重合体
は融点の低下、柔軟性等の点では良好な効果は得られる
ものの、発酵合成過程で特殊な基質が必要であり、また
生産性も低いため、高価になってしまい汎用材料として
は問題を有する。
【0008】さらに、ポリ(3−ヒドロキシブチレー
ト)と他の樹脂材料、例えばポリエチレンオキサイド、
エチレンプロピレンゴム、ポリ酢酸ビニル等を混合する
ことにより、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)を改質
する試みも成されてはいるが、いずれの方法でも得られ
た樹脂組成物の安定性、経済性、加工性等に問題を残
し、特に安全性、衛生性等の点で要求が厳しい医療用途
への適用は困難である。
【0009】本発明の目的は、前記従来技術の問題点を
解決することにあり、所定の樹脂組成物を材料として用
いることにより、優れた生分解性を有し、使用後滅菌処
理して埋め立てや海中等に廃棄して自然環境中に放置す
ることにより、短時間で分解して環境汚染等の原因とな
らず、しかも加工性、経済性、生態系および生体適合性
等にも優れる医療用軟質部材を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明は、ポリヒドロキシアルカノエート、あるい
はその共重合体、またはこれらの混合物を主成分とし、
かつ脂質化合物を0.01〜60重量%を含有する樹脂
組成物を含む材料から少なくとも一部が成型されること
を特徴とする医療用軟質部材を提供する。
【0011】また、前記ポリヒドロキシアルカノエート
が、ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)、ポリ(4
−ヒドロキシアルカノエート)、ポリ(5−ヒドロキシ
アルカノエート)から選ばれてなる1以上であるのが好
ましい。
【0012】また、筒状の形状を有するのが好ましい。
【0013】また、輸液セット、輸血セット、血液回
路、カテーテルのいずれかの、少なくとも一部を構成す
るのが好ましい。
【0014】また、袋状形状を有するのが好ましい。
【0015】また、前記袋状物が血液バッグ、輸液バッ
グ、透析液バッグ、経腸栄養剤バッグのいずれかである
のが好ましい。
【0016】また、糸状、織布状、および不織布状のい
ずれかの形状を有するのが好ましい。
【0017】また、前記糸状、織布状、および不織布状
物によって少なくとも一部が形成される縫合糸、メッシ
ュ、パッチ、プレジェット、補綴材のいずれかであるの
が好ましい。
【0018】また、ステープル、クリップ、癒着防止膜
のいずれかであるのが好ましい。
【0019】以下、本発明の具体的構成について詳細に
説明する。
【0020】本発明の医療用軟質部材は、輸血バッグ、
輸液バッグ、透析液バッグ、経腸栄養剤バッグ等や、こ
れらに接続される各種のチューブ、分岐管、さらにはカ
テーテル等、従来、前述のようなポリ塩化ビニルにフタ
ル酸ジオクチル等を添加した軟質材料等で形成されてい
た各種の医療用軟質部材や、縫合糸、メッシュ、パッ
チ、プレジェット、補綴材等の糸状、織布状、不織布状
物によって形成される各種の医療用軟質部材、さらには
ステープルやクリップのように脆くなく、かつ柔軟性が
必要な成形物である医療用軟質部材のうち、特に使い捨
ての各種の医療用軟質部材であって、ポリヒドロキシア
ルカノエート、あるいはその共重合体、またはこれらの
混合物を主成分とし、かつ脂質化合物を0.01〜60
重量%を含有する樹脂組成物、この樹脂組成物に他の樹
脂を混合した複合材、前記樹脂組成物と他の樹脂材料と
からなる加工材等によって、その少なくとも一部を形成
してなるものである。
【0021】このような本発明の医療用軟質部材は、良
好な生産性、柔軟性、耐衝撃性、加工性、経済性、生態
系および生体適合性等と、優れた生分解性とを有し、安
価で、かつ廃棄等によって環境汚染を引き起こすことが
ない。
【0022】本発明の医療用軟質部材は、基本的にポリ
ヒドロキシアルカノエート、あるいはその共重合体、ま
たはこれらの混合物を主成分とし、かつ脂質化合物を
0.01〜60重量%含有する、良好な生分解性をもつ
樹脂組成物より形成される。
【0023】適用可能なポリヒドロキシアルカノエート
としては、ヒドロキシアルカノエートくり返し単位とし
ての炭素数が3〜12程度のものが例示され、具体的に
は、ポリ(3−ヒドロキシプロピオネート)、ポリ(3
−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシバリ
レート)、ポリ(3−ヒドロキシオクタノエート)等の
ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)類、ポリ(4−
ヒドロキシブチレート)、ポリ(4−ヒドロキシバリレ
ート)等のポリ(4−ヒドロキシアルカノエート)類、
ポリ(5−ヒドロキシバリレート)等のポリ(5−ヒド
ロキシアルカノエート)類、等が好適に適用される。中
でも特に、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)は好適に
適用される。
【0024】本発明においては、ポリヒドロキシアルカ
ノエート単体のみならず、その共重合体も好適に適用さ
れる。ポリヒドロキシアルカノエートの共重合体として
は、3−ヒドロキシブチレートと炭素数3〜12のその
他のヒドロキシアルカノエートとの共重合体が例示さ
れ、具体的には、(3−ヒドロキシブチレート)−(3
−ヒドロキシプロピオネート)コポリマー、(3−ヒド
ロキシブチレート)−(3−ヒドロキシプロピオネー
ト)−(4−ヒドロキシブチレート)コポリマー、(3
−ヒドロキシブチレート)−(3−ヒドロキシバリレー
ト)コポリマー、(3−ヒドロキシブチレート)−(3
−ヒドロキシバリレート)−(3−ヒドロキシヘキサノ
エート)−(3−ヒドロキシヘプタノエート)コポリマ
ー、(3−ヒドロキシブチレート)−(3−ヒドロキシ
バリレート)−(3−ヒドロキシヘキサノエート)−
(3−ヒドロキシヘプタノエート)−(3−ヒドロキシ
オクタノエート)コポリマー、(3−ヒドロキシブチレ
ート)−(3−ヒドロキシヘキサノエート)−(3−ヒ
ドロキシオクタノエート)コポリマー、(3−ヒドロキ
シオクタノエート)−(3−ヒドロキシラウレート)コ
ポリマー、(3−ヒドロキシブチレート)−(4−ヒド
ロキシジブチレート)コポリマー、(3−ヒドロキシブ
チレート)−(4−ヒドロキシバリレート)コポリマ
ー、(3−ヒドロキシブチレート)−(5−ヒドロキシ
バリレート)コポリマー等が好適に例示されるが、特に
これらに限定されるものではない。
【0025】さらに、本発明においては、前述したポリ
ヒドロキシアルカノエートの混合物、または前述の共重
合体の混合物、さらには両者の混合物も好適に適用可能
である。
【0026】これらのポリヒドロキシアルカノエートや
その共重合体は、周知の如く各種の微生物によって産出
されるものであるが、本発明においては、そのいずれに
よって産出されたものであってもよい。あるいは、化学
合成によって得られたものであってもよい。
【0027】ポリヒドロキシアルカノエートを産出する
微生物としては、例えばアシネトバクター[Acinetobact
er] 、アクチノマイセトス(放射菌)[Actinomycetes]
、アルカリゲネス[Alcaligenes] 、アファノシセ[Apha
nothece] 、アクアスピリラム[Aquaspirillum] 、アゾ
スピリラム[Azospirillum]、アゾトバクター[Azotobact
er] 、バチルス[Bacillus]、ベギアトア[Beggiatoa] 、
ベイエリンキア[Beijerinckia]、コーロバクター[Caulo
bacter] 、クロロフレクス[Chlorofrexeus] 、クロログ
ロエア[Chlorogloea] 、クロマチウム [Chromatium]、
クロモバクテリウム[Chromobacterium] 、クロストリジ
ウム[Clostridium] 、デルキシア[Derxia]、エクトチオ
リュードスピラ[Ectothiorhodospira]、エシェリキア[E
cherichia]、フェロバチルス[Ferrobacillus] 、ガンフ
ォスファエリア[Gamphosphaeria]、ヘモフィルス[Haemo
philus] 、ハロバクテリウム[Halobacterium] 、ハイフ
ォミクロビウム[Hyphomicrobium]、ランプロサイティス
[Lamprocystis]、ランプロペディア[Lampropedia] 、レ
プトスリックス[Leptothrix]、メチロバクテリウム[Met
hylobacterium]、メチロサイスティス[Methylocystis]
、ミクロコッカス[Micrococcus] 、ミクロコレアス[Mi
crocoleus] 、ミクロサイスティス[Microcystis] 、モ
ラクセラ[Moraxella] 、マイコプラナ[Mycoplana] 、ニ
トロバクター[Nitrobacter] 、ニトロコッカス[Nitroco
ccus] 、ノカルジア[Nocardia]、オシアノスピリルム[O
ceanospirillum] 、パラコッカス[Paracoccus]、フォト
バクテリウム[Photobacterium]、シュードモナス[Pseud
omonas] 、リゾビウム[Rhizobium]、ロドバクダー[Rhod
obacter] 、ロドスピリルム[Rhodospirillum]、スフェ
ロチルス[Sphaerotilus]、スピリルム[Spirillum] 、ス
ピルリナ[Spirulina] 、ストレプトマイセス[Streptomy
ces]、シントロフォモナス[Syntrophomonas]、チオバシ
ラス[Thiobacillus]、チオカブサ[Thiocapsa] 、チオサ
イスティス[Thiocystis]、チオディクティオン[Thiodic
tyon] 、チオペディア[Thiopedia] 、チオスフェラ[Thi
osphaera] 、ビブリオ[Vibrio]、サントバクター[Xanth
obactor]、ズーグロエア[Zoogloea]等の菌種に属する種
々の細菌が例示される。
【0028】このように発酵合成されたポリヒドロキシ
アルカノエート、およびその共重合体の数平均分子量M
nは、通常10,000〜3,000,000 程度のものである。ま
た、発酵合成された後、例えば加熱処理あるいはγ線処
理などの後処理によって分子量を低下、例えば3,000 〜
10,000程度としたものも好適に用いることができる。
【0029】本発明の医療用軟質部材に適用される樹脂
組成物は、このようなポリヒドロキシアルカノエート、
あるいはその共重合体を主成分として、かつ脂質化合物
を0.01〜60重量%を含有するものである。
【0030】配合される脂質化合物としては、モノグリ
セリド、ジグリセリド、トリグリセリド、モノカルボン
酸エステル、ジカルボン酸モノエステル、ジカルボン酸
ジエステル、ジアルコールモノエステル、ジアルコール
ジエステル、トリカルボン酸モノエステル、トリカルボ
ン酸ジエステル、トリカルボン酸トリエステル等の1以
上が例示される。
【0031】具体的には、モノグリセリドとしては、グ
リセロールモノアセテート、グリセロールモノプロピオ
ネート、グリセロールモノブチレート、グリセロールモ
ノカプロエート、グリセロールモノラウレート、グリセ
ロールモノミリスエート、グリセロールモノパルミテー
ト、グリセロールモノステアレート等が;
【0032】ジグリセリドとしては、グリセロールジア
セテート、グリセロールジプロピオネート、グリセロー
ルジブチレート、グリセロールジカプロエート、グリセ
ロールジラウレート、グリセロールジミリステート、グ
リセロールジパルミテート、グリセロールジステアレー
ト等が;
【0033】トリグリセリドとしては、グリセロールト
リアセテート、グリセロールトリプロピオネート、グリ
セロールトリブチレート、グリセロールトリカプロエー
ト、グリセロールトリラウレート、グリセロールトリパ
ルミテート、グリセロールトリミリステート、グリセロ
ールトリステアレート等が;各種好適に例示される。
【0034】さらに、カルボン酸エステル類としては、
炭素数2〜30のカルボン酸と炭素数2〜30のアルキ
ルアルコールとからなるエステルが挙げられ、具体的に
は、飽和ないし不飽和のモノカルボン酸エステルとして
は酢酸−n−アミル、プロピオン酸エチル、カプロン酸
メチル、クロトン酸エチル、オレイン酸−n−ブチル等
が;
【0035】飽和ないし不飽和のジカルボン酸モノエス
テルとしては、セバシン酸モノメチル、マレイン酸モノ
−n−ブチル、テレフタル酸モノエチル等が;
【0036】飽和ないし不飽和のジカルボン酸ジエステ
ルとしては、セバシン酸ジメチル、テレフタル酸ジメチ
ル、フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジ−
n−オクチル等が;
【0037】トリカルボン酸モノエステルとしては、ト
リメリト酸モノメチル、トリメリト酸モノ−n−ブチル
等が;
【0038】トリカルボン酸ジエステルとしては、トリ
メリト酸ジメチル、トリメリト酸ジブチル等が;
【0039】トリカルボン酸トリエステルとしては、ト
リメリト酸トリメチル、トリメリト酸トリブチル等が;
【0040】ジアルコールモノエステルとしては、エチ
レングリコールモノステアレート、プロピレングリコー
ルモノステアレート等が;
【0041】ジアルコールジエステルとしては、エチレ
ングリコールジステアレート、プロピレングリコールジ
ステアレート等が;それぞれ好適に例示される。
【0042】なお、これらの脂質化合物は、常温におい
て液状であっても固形状であってもよい。
【0043】本発明の医療用軟質部材に適用される樹脂
組成物において、これらの脂質化合物はポリヒドロキシ
アルカノエートに対して一種の可塑性ないし柔軟性付与
剤として働く。また、これらの脂質化合物は、混合する
ことによってポリヒドロキシアルカノエートの融点を低
下させる効果を有するものもある。そのため、熱加工温
度を下げることが可能となり、無用の熱分解をさけるこ
と、すなわち加工性の向上がみられる。しかも、これら
の脂質化合物は一般的に安価であるので、経済的にも有
利である。
【0044】樹脂組成物におけるこのような脂質化合物
の含有量は0.01〜60重量%、好ましくは1〜40
重量%である。脂質化合物の含有量が0.01重量%未
満では、ポリヒドロキシアルカノエートの物性を改善す
る効果が十分には得られず、また、60重量%を越えて
含有されると、脂質化合物が相分離等を生じ、得られた
医療用軟質部材の物性の低下等を生じてしまう。
【0045】ポリヒドロキシアルカノエートとこれらの
脂質化合物との混合方法は、クロロホルム、塩化メチレ
ン、1,2−ジクロロエタン、ジオキサン等の適当な溶
媒に両者を溶解して混合し、その後溶媒を蒸発する方
法、ミキシングロールあるいは押出機を用いて加熱しな
がら脂質化合物を混合する方法等が適用可能である。
【0046】なお、本発明の医療用軟質部材に適用され
るこのような樹脂組成物については、本出願人による特
願平2−76585号明細書に詳述されている。
【0047】本発明の医療用軟質部材においては、この
ような樹脂組成物に他の樹脂を混合した複合材も好適に
適用される。混合可能な樹脂としては特に限定はなく、
所望する特性に応じて公知の各種の樹脂が適用可能であ
るが、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポ
リ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、アイオノマー、ポリア
クリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル
酸、ポリメタクリル酸エステル、ポリビニルアルコー
ル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン
テレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ナイロ
ン、ポリカーボネート、ポリエチレングリコール、ポリ
プロピレングリコール、フッ素樹脂、およびこれらの共
重合体等が好適に例示される。
【0048】ここで、前述の樹脂組成物に混合する樹脂
は、所望する特性に応じて適宜選択されるものである
が、例えばポリエチレンテレフタレートを混合すること
により、機械的耐久性を付与することができ、フッ素樹
脂を添加することにより、表面の撥水性等を付与するこ
とができる。
【0049】なお、前述の樹脂組成物にこのような樹脂
を混合した複合材を適用する場合、複合材における樹脂
の含有量は特に限定はしないが、通常1〜70wt%程度
である。また、このような各種の樹脂のほかにも、必要
に応じて、各種の充填剤、染料、顔料、滑剤、酸化防止
剤、安定剤等を混合してもよい。
【0050】なお、前述の樹脂組成物とこれらの樹脂と
を混合して複合材とする方法には特に限定はなく、クロ
ロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、ジ
オキサン等の適当な溶媒に両者を溶解して混合し、その
後溶媒を蒸発する方法、ミキシングロールあるいは押出
機を用いて加熱しながら混合する方法、等が適用可能で
ある。
【0051】本発明の医療用軟質部材は、前述のような
生分解性を有する樹脂組成物、あるいはこれと各種の樹
脂との複合材(以下、これらを生分解性材料とする)よ
り少なくとも一部が成型されてなるものである。
【0052】適用可能な医療用部材には全く限定はな
く、従来、ポリ塩化ビニルに可塑剤としてフタル酸系の
化合物を添加した材料、各種のエラストマー、ゴム、そ
の他の樹脂等の軟質材料で形成されていた各種の医療用
軟質部材がいずれも適応対象となる。従って、その形状
にも全く限定はなく、チューブを含む筒状体、袋体、箱
体、柱状体、錐状体、フィルム状物、シート状物、糸
状、織布あるいは不織布、その他各種の成形物のような
不定形状等、いずれの形状であってもよい。
【0053】適用される医療用部材としては、具体的に
は輸血セット、輸液セット、血液回路等におけるチュー
ブ、連結チューブ、連結管(コネクタ)、分岐管、点滴
筒、タコ管、活栓等; 血液バッグ、輸液バッグ、導尿バッグ、透析液バッグ、
経腸栄養剤バッグ等の各種の液体用バッグ; 尿管、胃管等の各種カテーテルあるいはバルーンカテー
テル; 縫合糸、メッシュ、パッチ、プレジェット、癒着防止
膜、補綴材等の糸状、布あるいはシート状物; ステープル、クリップ等の各種の成形体; 等が好適に例示される。また、本発明の医療用軟質部材
は良好な生分解性を有するので、中でも特に使い捨て
(ディスポーザブル)の医療用部材には好適に適用され
る。
【0054】なお、本発明の医療用軟質部材は、全体を
前述の生分解性材料で形成する必要はなく、一部をこれ
らの生分解性材料、例えばバルーンカテーテルのバルー
ンあるいは管状部のみを前記生分解性材料で形成し、他
の部分を通常の樹脂で成型してもよく、また、液体用バ
ッグの本体を前記生分解性材料で形成し、その他の連結
部分等を通常の樹脂で成型してもよい。さらに、前記生
分解性材料と通常の樹脂とを積層した積層材によって形
成されたものであってもよい。
【0055】本発明の医療用軟質部材に適用される生分
解性材料は熱可塑性を有する。従って、本発明のチュー
ブ状、バッグ等の医療用軟質部材の成型方法としては、
通常の樹脂加工法が各種適用可能であり、押出成型、射
出成型、真空成型、プレス成型等、形状や用途、あるい
は使用設備に応じた方法を適宜選択すればよく、例え
ば、射出成形等の方法によって図1に示されるようなス
テープル状等とすることもできる。
【0056】また、本発明の医療用軟質部材に適用され
る生分解性材料を糸状に成形する方法としては、通常の
熱可塑性樹脂を糸状に成形する方法が各種適用可能であ
る。例えば、使用する生分解性材料の融点以上5〜20
℃程度に加熱したシリンダー部およびダイ部を有する押
出し成形機で、モノフィラメント状あるいはマルチフィ
ラメント状に成形することができる。
【0057】なお、このようにして成形された本発明の
医療用軟質部材にかかる糸状物は、縫合糸等に適用した
場合には十分な強度を有さない場合があるので、延伸配
向処理を施すのが好ましい。延伸配向処理の方法として
は、例えば、前述のようにして成形した本発明の無定形
(アモルファス)状態の糸状体を、ガラス転移温度(T
g)と融点(Tm)との間の温度で軸方向に延伸して配
向化させ、さらに結晶化させることにより、強度を向上
する方法等が例示される。
【0058】得られた糸状物を用いて、編糸、織布ある
いは不織布等の布状物等とする方法には特に限定はな
く、編機や織機を用いる方法等、公知の方法がいずれも
適用可能であり、縫合糸、メッシュ、パッチ、プレジェ
ット等を容易に作製することができる。
【0059】生分解性材料を糸状に成形する方法として
は、上述の方法以外にも、クロロホルム、1,2−ジク
ロロエタン等の適用する生分解性材料を溶解可能な溶剤
に溶解して2〜5%程度の濃度の溶液とし、エタノー
ル、メタノール、n−ヘキサン等の貧溶媒中に注射器等
のノズル状のものより押出し、樹脂を凝固させて糸状に
成形する、いわゆる湿式紡糸による方法も好適に適用さ
れる。
【0060】さらに、前述のようにクロロホルム、1,
2−ジクロロエタン等に溶解可能であるので、キャスト
法等によりシート状あるいはフィルム状に成形すること
もでき、癒着紡糸膜等とすることもできる。さらに、各
種の樹脂と積層材としたい場合には、前記溶媒に溶解
し、ディップコート、ロールコート等による加工方法も
好適に適用することができる。
【0061】このようにして成型された本発明の医療用
軟質部材は、滅菌されて所定の用途に適用されるわけで
あるが、滅菌方法には特に限定はなく、オートクレーブ
滅菌、紫外線滅菌、γ線、電子線等の電離放射線滅菌、
エチレンオキサイド等によるガス滅菌、アルコール等に
よる薬品滅菌等、各種の公知の滅菌方法でよい。
【0062】
【実施例】以下、本発明の医療用軟質部材の具体的実施
例を挙げ、本発明をより詳細に説明する。
【0063】[実施例1]ポリ(3−ヒドロキシブチレ
ート)(Mw=670,000 Aldrich社製)とグリセロールトリ
ラウレート(東京化成社製)とを、80:20の重量比
でクロロホルム中に溶解、混合し、その後にクロロホル
ムを蒸発することにより厚さ2mmのシートを得た。得ら
れたシートをカッタで切断してペレットを作製し、この
ペレットを原料として、押出成形機プラストミル(東洋
精機製作所製)を用いてダイ温度175℃で押出成型を
行い、外径6mm、内径4mmのチューブを得た。なお、成
型上は何のトラブルも発生せず、また得られたチューブ
は腰の強い軟質チューブであった。
【0064】得られた軟質チューブを用い図2に示され
るような輸液セット10を組み立てた。輸液セット10
においては、軟質チューブ12は作製した本発明の医療
用軟質部材による軟質チューブで、他の部材は従来の部
材である。これを従来の包装用袋に入れて封をした後、
コバルト60を線源とするγ線を1Mrad照射して滅菌を
行った。
【0065】この輸液セット10に、500mlの生理
食塩水(テルモ社製 テルモ生食)を10ml/min
の流速で流したが、特に問題は起きなかった。使用後の
輸液セット10を、神奈川県足柄上郡中井町の土中に埋
め、6か月後に掘り起こしたところ、本発明の医療用軟
質部材による軟質チューブ12は完全に分解して原形を
とどめていなかった。これに対し、ビン針、点滴筒、ク
レンメ等の従来の部材からなる部位は、元の形態のまま
であった。
【0066】[実施例2]グリセロールトリラウレート
をグリセロールトリアセテート(東京化成社製)とし、
ポリ(3−ヒドロキシブチレート)との混合比を70:
30として実施例1と同様にしてペレットを作製し、こ
のペレットを原料としてダイ温度160℃で実施例1と
同様に外径6mm、内径4mmの軟質チューブを得た。な
お、成型上は何のトラブルも発生せず、また、得られた
軟質チューブは可撓性に富んだ軟質チューブであった。
【0067】この軟質チューブを用いて、実施例1と同
様の輸液セットを作製し、同様の実験を行なったとこ
ろ、使用には何ら問題はなく、また、土中で6か月経た
後には軟質チューブは完全に分解して原形をとどめてい
なかったが、ビン針、点滴筒、クレンメ等の従来の部材
からなる部位は、元の形態のままであった。
【0068】[比較例1]グリセロールトリラウリレー
トを使用しない以外には実施例1と同様にしてチューブ
を作製したが、得られたチューブには柔軟性が無く、す
ぐに折れてしまうため、輸液セットとして組み立てるこ
とができなかった。
【0069】[実施例3]ポリ(3−ヒドロキシブチレ
ート)(Aldrich 社製)とグリセロールトリブチレート
(東京化成社製)とを、70:30の重量比でクロロホ
ルム中に溶解、混合し、実施例1と同様にしてペレット
を得た。このペレットを原料として、実施例1と同様の
押出成形機にインフレーション成形用のダイを取りつけ
て、ダイ温度165℃でインフレーション成型を行い、
厚さ0.4mmのシートを得、ヒートシール法によって図
3に示されるような軟質バッグ14に加工した。なお、
接続したチューブは実施例2で作製したものを用いた。
成型上は何のトラブルも発生せず、また得られた軟質バ
ッグ14は可撓性に富んだものであった。
【0070】この軟質バッグ14に100mlの生理食
塩水(テルモ社製 テルモ生食)を充填し、これを12
1℃で20分間オートクレーブ滅菌した。
【0071】これを室温で1か月保存して目視で観察し
たところ、内容液(生理食塩水)に変化、異物は認めら
れなかった。また、軟質バッグ14は柔軟性も維持さ
れ、通常の使用に十分耐えられる状態であった。その
後、生理食塩水を排出し、この軟質バッグ14を神奈川
県足柄上郡中井町の土中に埋め、6か月後に掘り起こし
たところ、完全に分解して原形をとどめていなかった。
【0072】[比較例2]ストレート塩化ビニル(鐘ケ
淵化学社製 S1001)100重量部に対してフタル
酸ジオクチル50重量部を配合し、その他酸化防止剤等
を通常通り配合し、実施例3と同様のインフレーション
成形によって軟質ポリ塩化ビニルシートを得た。この軟
質ポリ塩化ビニルシートを高周波シールによって加工
し、図3に示されるものと同様の軟質バッグを得た。得
られた軟質バッグを、実施例3と同様の土中に埋め、6
か月後に掘り起こしたところ、特に外観上の変化は認め
られなかった。
【0073】[実施例4]ポリ(3−ヒドロキシブチレ
ート)の代わりに(3−ヒドロキシブチレート)−(3
−ヒドロキシバリレート)共重合体(3−ヒドロキシブ
チレートモル分率83% Mw=800,000 Aldrich社製)を
用いた以外は、実施例1と同様(ただしダイ温度は15
0℃)にして本発明の医療用部材の軟質チューブを成型
した。この軟質チューブを用いて、実施例1と同様に輸
液セットを作製し、同様の実験を行ったところ、使用に
は何ら問題はなく、また、土中で6か月経た後には軟質
チューブは完全に分解して原形をとどめていなかった
が、ビン針、点滴筒、クレンメ等の従来の部材からなる
部位は、元の形態のままであった。
【0074】[実施例5]ポリ(3−ヒドロキシブチレ
ート)(Mw=670,000 Aldrich社製)、グリセロールトリ
ブチレート(東京化成社製)、ポリエチレンテレフタレ
ート(旭化成工業製 サンペット 3150G)、およ
び酸化防止剤(チバガイギー社製 イルガノックス10
10)を80:20:20:1(重量比)の割合で混合
して、実施例1で用いた押出成形機に直接入れて棒状に
押出したのちカットしてペレットを得た。さらにこのペ
レットを用いてダイ温度215℃でインフレーション成
形を行なって厚み0.4mmのインフレーションシートを
得た。
【0075】このシートを用いて実施例3と同様にして
軟質バッグを作製した。以上の工程は特に問題なく行な
うことができた。また、できた軟質バッグは実施例3の
ものよりも腰が強く破れにくく、表面に傷のつきにくい
ものであった。
【0076】生理食塩水を充填して、オートクレーブ滅
菌をして、室温で1か月間放置した後に目視で観察した
ところ内容物、軟質バッグ共に特に異状はなかった。内
容物を排出後、この軟質バッグを実施例1と同様の土中
に6か月間埋めておくと、元の形状はわかるがボロボロ
に分解されていた。しかし、ポリエチレンテレフタレー
トと思われる粉末は少量認められた。
【0077】[実施例6]ポリ(3−ヒドロキシブチレ
ート)(Mw=670,000 Aldrich社製)とグリセロールトリ
ブチレート(東京化成社製)とを、80:20の重量比
でクロロホルム中に溶解、混合し、その後にクロロホル
ムを蒸発することにより厚さ2mmのシートを得た。得ら
れたシートをカッタで切断してペレットを作製し、この
ペレットを原料として、小型少量押出成形機(オオバ製
作所製)を用い、シリンダー部分の温度178℃、ダイ
温度176℃の成形温度で、内径0.5mmのノズルより
押出し、糸状物を得た。得られた糸状物はただちに液体
窒素で急冷した。
【0078】急冷を終了した糸状物は、次いで、延伸処
理装置を用い、室温(約29℃)で破断する直前まで延
伸し、10倍以上の長さとした。これを60℃のオーブ
ン内で3時間熱処理し、外径0.1mmのしなやかな糸状
物(縫合糸)が得られた。
【0079】このようにして得られた糸状物をEOGで
滅菌した後、協和時計工業社製のベアー縫合針(丸針、
強彎、0号)に取り付け、ラットの背中皮膚の縫合を行
い、更に2週間後に抜糸を行ったが、何の問題もなく使
用することができた。また、使用しなかった糸片を神奈
川県足柄上郡中井町の土中(表層より約10cm)に埋
め、2か月後に掘り起こしたところ、原形がほとんど解
らないくらいに分解されているのが観察された。
【0080】[実施例7]グリセロールトリブチレート
の代わりにグリセロールトリカプロエート(東京化成社
製)を用いた以外は、前記実施例6と同様にして、外径
0.1mmのしなやかな縫合糸を得た。同様にラットの縫
合を行ったところ、使用にはなんら問題はなく、また、
同様に土中に埋めたところ、原形がほとんど解らないく
らいに分解されていた。
【0081】[実施例8]グリセロールトリブチレート
の代わりにグリセロールモノステアレート(東京化成社
製)を用いた以外は、前記実施例6と同様にして、外径
0.11mmのしなやかな縫合糸を得た。同様にラットの
縫合を行ったところ、使用にはなんら問題はなく、ま
た、同様に土中に埋めたところ、原形がほとんど解らな
いくらいに分解されていた。
【0082】[実施例9]押出成形機のダイ径を0.5
mmから0.3mmの6穴のマルチホールに変更した以外
は、前記実施例6と同様にして、延伸配向処理済の外径
0.01〜0.03mmの糸状物を作製した。この糸状物
を1gとって内径0.8cmの試験管に入れ、上からガラ
ス棒で押し付ける様にしてフェルト状物を得た。
【0083】このフェルト状物をラット腹腔内に臓器に
接触するように装入したが、1か月経過してもラットに
は何ら問題は生じなかった。また、余ったフェルト状物
を実施例6と同様に土中に埋めたところ、2か月後には
同様に原形がほとんど解らないくらいに分解されてい
た。
【0084】[実施例10]前記実施例6と同様にして
作製したペレットを原料として、小型少量射出形成機
(アーブルグ社製)を用いて図1に示されるようなステ
ープルを作製した。得られたステープルをラットの背中
皮膚の傷口の閉鎖に用いたところ、何の問題もなく使用
することができた。また、同様のステープルを実施例6
と同様に土中に埋めたところ、2か月後には同様に原形
がほとんど解らないくらいに分解されていた。
【0085】[実施例11]実施例7と同様にして作製
したペレット1.0gを30mlのクロロホルムに溶解
して、シャーレ上で厚さ0.6mmのキャスト膜を作製し
た。このキャスト膜を30×30mmの大きさに切り出
し、EOG滅菌した後、ラット腹腔内の皮膚の傷口と腸
との間に挿入して癒着防止膜とした。1か月後に再開腹
したところ、傷口はほぼ完治しており、傷口と内部臓器
との癒着も見られなかった。なお、キャスト膜はほぼ原
形をとどめていた。また、使用しなかったキャスト膜
を、実施例6と同様に土中に埋めたところ、2か月後に
は同様に原形がほとんど解らないくらいに分解されてい
た。
【0086】以上の結果より、本発明の効果は明らかで
ある。
【0087】
【発明の効果】以上詳細に説明したとおり、本発明の医
療用軟質部材は、良好な生分解性を有する所定の樹脂組
成物を材料として用いることにより、優れた生分解性を
有し、使用後滅菌して埋め立てや海中等に廃棄して環境
中に放置することにより短時間で分解して環境汚染等の
原因となることがない。しかも加工性、経済性、生態系
および生体適合性等にも優れているので、各種の医療用
用途、特に使い捨ての医療用軟質部材として好適に適用
される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の医療用軟質材料にかかるステープルの
一例を示す概略図である。
【図2】本発明の医療用軟質材料にかかる軟質チューブ
を適用する輸液セットの一例を示す概略図である。
【図3】本発明の医療用軟質材料にかかる軟質バッグの
一例を示す概略図である。
【符号の説明】
10 輸液セット 12 軟質チューブ 14 軟質バッグ

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリヒドロキシアルカノエート、あるいは
    その共重合体、またはこれらの混合物を主成分とし、か
    つ脂質化合物を0.01〜60重量%を含有する樹脂組
    成物を含む材料から少なくとも一部が成型されることを
    特徴とする医療用軟質部材。
  2. 【請求項2】前記ポリヒドロキシアルカノエートが、ポ
    リ(3−ヒドロキシアルカノエート)、ポリ(4−ヒド
    ロキシアルカノエート)、ポリ(5−ヒドロキシアルカ
    ノエート)から選ばれてなる1以上である請求項1に記
    載の医療用軟質部材。
  3. 【請求項3】筒状の形状を有する請求項1または2に記
    載の医療用軟質部材。
  4. 【請求項4】輸液セット、輸血セット、血液回路、カテ
    ーテルのいずれかの、少なくとも一部を構成する請求項
    3に記載の医療用軟質部材。
  5. 【請求項5】袋状形状を有する請求項1または2に記載
    の医療用軟質部材。
  6. 【請求項6】前記袋状物が血液バッグ、輸液バッグ、透
    析液バッグ、経腸栄養剤バッグのいずれかである請求項
    5に記載の医療用軟質部材。
  7. 【請求項7】糸状、織布状、および不織布状のいずれか
    の形状を有する請求項1または2に記載の医療用軟質部
    材。
  8. 【請求項8】前記糸状、織布状、および不織布状物によ
    って少なくとも一部が形成される縫合糸、メッシュ、パ
    ッチ、プレジェット、補綴材のいずれかである請求項7
    に記載の医療用軟質部材。
  9. 【請求項9】ステープル、クリップ、癒着防止膜のいず
    れかである請求項1または2に記載の医療用軟質部材。
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