JPH0515959Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は静電塗装用被塗物受け治具に関し、さ
らに詳しく述べると、例えばプラスチツク、繊維
強化プラスチツク（FRP）、ゴムなどのような絶
縁材料からなる被塗物を静電塗装する際に用い
る、被塗物を支承するための受け治具に関する。
本考案は、被塗物と治具の電気的な導通を安定化
するのに有用である。

〔従来の技術〕

各種の絶縁材料からなる被塗物を静電塗装する
ために、いろいろな塗装方法が公知である。例え
ば、特公昭59−6705号公報には、被塗物受け治具
を接地導体から形成して静電塗装を行う方法が開
示されている。この方法を第３図及び第４図を参
照しながら説明すると、例えばFRPのような絶
縁材料からなる被塗物１１を用意し、その非塗装
面である裏面に導電性付与手段１２を施す。この
例で用いられている導電性付与手段１２は導電性
プライマコートであり、導電性を有するプライマ
塗料を被塗物の裏面に部分的に塗布し、焼付ける
ことによつて形成することができる。一方、被塗
物受け治具１３は導電性材料、例えば鉄、アルミ
ニウム等の金属材料あるいは導電性プラスチツク
材料から形成し、アース線１６を介して接地す
る。静電塗装時には、第４図に示されるように、
被塗物１１の裏面の導電性プライマコート１２の
表面と被塗物受け治具１３の表面を密着させて、
塗料供給機（図示せず）に接続された塗料ホース
８を有する静電塗装ガン７で塗装を行う。図から
理解される通り、この方法によれば、被塗物１１
と受け治具１３の良好な電気的導通を達成するこ
とができる。

〔考案が解決しようとする課題〕

従来の技術では、上記したように、静電塗装の
際に被塗物の裏面と導電性を有する受け治具の表
面を面接触させる方式を採用しているけれども、
被塗物の裏面面精度と受け治具の面精度の誤差に
より両者間の安定した導通が得られず、静電塗装
を行い得ないことが屡々であつた。この問題点を
解決するために、被塗物の裏面に導電性プライマ
を全面に塗装する方法もあるが、塗装コストが約
70〜80％も上昇するので、有効な方法とは認めら
れない。

このような従来の技術の不都合は、例えば第５
図及び第６図を参照することによつてより明らか
となるであろう：第５図において、被塗物１は前
記第３図の被塗物１１と同様にその裏面に導電性
プライマコート２を有するというものの、形状を
大きく異にする。したがつて、第６図に示される
ように、静電塗装のために受け治具１３で支承し
た場合に、支承そのものは可能であるというもの
の、導電性プライマコート２と受け治具１３とが
面接触しないので、被塗物１と受け治具１３の導
通が得られず、そのために、塗装ガン７を用いた
静電塗装を実施することができない。

本考案の課題は、したがつて、静電塗装時に被
塗物と被塗物受け治具の電気的導通を安定的に達
成することのできる静電塗装用被塗物受け治具を
提供することにある。

〔課題を解決するための手段〕

上記した課題は、本考案によれば、絶縁材料か
らなりかつ非塗装面に導電性付与手段が施されて
いる被塗物を支承するためものであつて、静電塗
装時に前記導電性付与手段に密着可能である接地
された接触子を有することを特徴とする静電塗装
用被塗物受け治具によつて解決することができ
る。

本考案による被塗物受け治具において、被塗物
と受け治具の導通を保証するために用いられる接
触子は、静電塗装時にそれを被塗物の導電性付与
手段、一般に導電性プライマコートに密着させ得
る限りにおいていろいろな材料から形成しかつい
ろいろな形態を有することができる。例えば、こ
の接触子を弾力性のある金属スプリングかそれに
類似したものから形成すると、被塗物の表面に傷
がつきにくく、被塗物の形状に応じて変形可能で
あり、アースもとり易いので、有利である。その
他の接触子の例としては、フレキシブルな導電性
ゴム又はプラスチツク材料の小片、などをあげる
ことができる。接触子は、前記した通り、アース
されていなければならない。接触子の受け治具へ
の取り付けは、静電塗装時に接触子が受け治具か
ら外側上方に突出するように配慮して、任意に行
うことができる。

本考案において塗装に供する被塗物は、いろい
ろな絶縁材料、例えばプラスチツク、FRP、ゴ
ム、その他からできていてよい。また、このよう
な被塗物の非塗装面、通常裏面には、導電性プラ
イマコート、その他のような導電性付与手段が施
されていなければならない。かかる手段の形成は
常法によつて行うことができる。

〔作用〕

本考案による接触子は、弾力性を有しているの
で、被塗物の形状のかかわりなくその非塗装面に
施された導電性付与手段に密着可能である。接触
子の一端は接地されているので、被塗物と受け治
具の導通を安定的に達成することができる。

〔実施例〕

本考案による静電塗装用被塗物受け治具の好ま
しい一例を第１図及び第２図を参照しながら説明
する。

第１図において、被塗物１はFRP製の自動車
部品であり、その裏面には導電性プライマ２が塗
装されている。一方、被塗物受け治具３は導電性
材料からできており（場合によつて、導電性を有
していなくてもよい）、その上方に接触子４が突
出している。この接触子４は、金属スプリングか
らできている。接触子４の一端は、取り付け具
（図示せず）により受け治具３に固定された導体
５及びアース線６を介して接地されている。この
接地方法は、その他の任意な方法に代えてもよ
い。

静電塗装時には、第２図に示されるように、被
塗物１を受け治具３で支承する。すると、導電性
プライマコート２と接触子４とが完全に密着し、
この密着は塗装の途中で解消することがなく、し
たがつて、塗装ガン７を用いた静電塗装を確実に
行うことができる。

〔考案の効果〕

本考案によれば、上塗り塗装時等における静電
塗装を100％確実に行うことができるばかりか、
従来の方法では、生産台数のほぼ半分が導電性プ
ライマコートと受け治具の接触不良となるので、
修正として被塗物の裏面のほぼ全面に導電性プラ
イマを塗装していたが、これを解消できるので、
修正工数及び修正に要する導電性プライマの使用
量を大幅に減少することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は、本考案による被塗物受け
治具の使用例を塗装前及び塗装中に関して示した
略示図、第３図及び第４図は、従来の被塗物受け
治具の使用例を塗装前及び塗装中に関して示した
略示図、そして第５図及び第６図は、従来の被塗
物受け治具のもう１つの使用例を塗装前及び塗装
中に関して示した略示図である。 図中、１は被塗物、２は導電性プライマコー
ト、３は被塗物受け治具、４は接触子、５は導
体、６はアース線である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 絶縁材料からなりかつ非塗装面に導電性付与手
   段が施されている被塗物を支承するための静電塗
   装用被塗物受け治具であつて、塗装時に前記導電
   性付与手段に密着可能である接地された接触子を
   有することを特徴とする静電塗装用被塗物受け治
   具。