JPH05158500A - 音声伝送方式 - Google Patents

音声伝送方式

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JPH05158500A
JPH05158500A JP3324511A JP32451191A JPH05158500A JP H05158500 A JPH05158500 A JP H05158500A JP 3324511 A JP3324511 A JP 3324511A JP 32451191 A JP32451191 A JP 32451191A JP H05158500 A JPH05158500 A JP H05158500A
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恭士 大田
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智彦 谷口
Hideaki Kurihara
秀明 栗原
Yoshihiro Sakai
良広 坂井
Masako Kato
雅子 加藤
Yoshiaki Tanaka
良紀 田中
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 4〜16Kb/sの伝送速度で符号化を行うため
のA−b−S型ベクトル量子化を用いた音声符号化方式
に関し、雑音符号帳探索に要する演算量を減少でき、し
かも雑音符号帳の記憶に要するメモリ容量を減少できる
音声符号化方式を提供することを目的とする。 【構成】 符号化側及び復号化側においてそれぞれ予め
基準雑音列を表現する1種類のN次元の初期ベクトルと
(L−1)種類の階層毎のN次元のデルタ雑音列を表現
するデルタベクトルとをデルタ符号帳として用意し、各
デルタベクトルをそれぞれ該初期ベクトルに階層毎に加
え合わせるか差し引くかにより順次木構造状に2L −1
種類の該雑音列のコードベクトルによる該誤差演算を行
い、この演算過程で各コードベクトルを各インデックス
情報と該階層の情報との組合せで記憶しておくことによ
り最終的に決定される該最適コードベクトルを生成する
ように構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は音声信号の情報圧縮を行
うための音声符号化方式に関し、特に4〜16Kb/sの伝
送速度で符号化を行うためのA−b−S(Analysis-by-
Synthesis:合成による分析)型ベクトル量子化を用いた
音声符号化方式に関する。
【0002】A−b−S型ベクトル量子化を用いた音声
符号化方式による音声符号器、例えばCELP(Code E
xcited Linear Production)符号器は、企業内通信シス
テム、ディジタルの移動無線システムなどにおいて、音
声品質を保ちつつ情報圧縮を実現するものとして期待さ
れている。
【0003】
【従来の技術】音声には有声音と無声音とがあり、有声
音は声帯の振動によるパルス音源が基となって発生し、
個人個人のノドや口の声道特性が付加されて声になる。
又、無声音は声帯を振るわせないで出す音で、単なるガ
ウス性の雑音列が音源となって声道を通って声となる。
従って、音声発生メカニズムは図15に示すように、有
声音の元となるパルス音源PSGと無声音の元となる雑
音源NSGと、各音源から出力される信号に声道特性を
付加する線形予測合成フィルタLPCFによりモデル化
できる。尚、人の声は周期性有し、該周期性はパルス音
源から出力されるパルスの周期性に対応しており、人や
話の内容によって異なる。
【0004】以上のことから、入力音声に対応するパル
ス音源の周期と雑音源の雑音列を特定することができれ
ば、これらパルス周期と雑音源の雑音列を識別する符号
(インデックス)により入力音声を符号化することがで
きる。
【0005】そこで、適応符号帳を用いて入力音声信号
の周期性に基づいてパルス音源のパルス周期を同定し、
該周期を備えた前フレーム駆動音源信号を線形予測合成
フィルタに入力してフィルタ演算処理を施し、得られた
フィルタ演算結果を入力音声信号から減算して周期成分
を除去する。その後又はこれと同時に、予め複数の雑音
列(各雑音列はN次元のコードベクトルで表現されてい
る)を固定(ストカスティック)符号帳に用意してお
き、各コードベクトルに合成フィルタ処理を施した再生
信号ベクトルと上記の周期成分が除去された入力信号ベ
クトル(N次元ベクトル)との誤差が最小となるコード
ベクトルを求めれば、前記周期とコードベクトルを特定
するデータにより音声を符号化することが出来る。
【0006】図16はA−b−S法によるベクトル量子
化を用いた音声符号化方式の構成図であり、1はランダ
ムに発生した複数の例えば1024種類の雑音列C(各
雑音列はN次元コードベクトルで表現されている)を記
憶する雑音符号帳、2はゲインgの増幅部、3は増幅部
出力に声道特性を模擬した聴覚重み付け演算処理を施す
線形予測合成フィルタ、4は線形予測合成フィルタ3か
ら出力される再生信号ベクトルと入力信号ベクトルの誤
差を出力する誤差発生部、5は該誤差を評価し、該誤差
が最小となる雑音列(コードベクトル)を求める誤差電
力評価部である。
【0007】A−b−S法による量子化では通常のベク
トル量子化と異なり、雑音符号帳1の各コードベクトル
(C)に最適のゲイン(g)を掛けた後、線形予測合成
フィルタ3でフィルタ処理を施し、フィルタ処理で得ら
れる再生信号ベクトル(gAC)と入力信号ベクトル
(X)との間の誤差信号(E)を誤差発生部4で求め、
誤差電力評価部5で誤差信号の電力を評価関数(距離尺
度)として雑音符号帳1の探索を行い、誤差電力が最小
となる雑音列(コードベクトル)を求め、該雑音列(コ
ードベクトル)を特定する符号(インデックス)により
入力信号を符号化して伝送する。
【0008】このときの誤差電力は次式 |E|2 =|X−gAC|2 (1) により与えられる。最適なコードベクトル及びゲインg
は、この(1)式に示す誤差電力を最小化するものとし
て決定される。尚、声の大きさによりパワーが異なるの
で、ゲインgを最適化して再生信号パワーを入力信号の
パワーに合わせる。最適ゲインは(1)式をgで偏微分
して0と置くことにより求めることができる。すなわ
ち、 d|E|2 /dg=0 より、gは g=(XT AC)/((AC)T (AC)) (2) で与えられる。このgを(1)式に代入すると、 |E|2 =|X|2 −(XT AC)2 /((AC)T (AC)) (3) となる。入力信号Xと合成フィルタ3の出力ACの相互
相関をRXC、合成フィルタ3の出力ACの自己相関をR
ccとすれば、相互相関及び自己相関は次式 RXC=XT AC (4) Rcc=(AC)T (AC) (5) により表現される。
【0009】(3)式の誤差電力を最小にするコードベ
クトルCは(3)式の右辺第2項を最大にするものであ
るから、該コードベクトルCは次式 C=argmax(Rxc 2 /Rcc) (6) と表現でき、最適のゲインは(6)式を満たす相互相
関、及び自己相関を用いて(2)式より g=Rxc/Rcc (7) で与えられる。
【0010】図17は以上の式により、誤差電力が最小
となる雑音列(コードベクトル)を求めて入力信号を符
号化する雑音符号帳探索処理アルゴリズムをモデル化し
た構成図であり、図16に加えて、相互相関Rxc(=X
T AC)を演算する自己相関演算部、Rxc 2 /RCCを演
算する演算部9とRxc 2 /RCCが最大となる、換言すれ
ば誤差電力が最小となる雑音列(コードベクトル)を決
定して、該コードベクトルを特定する符号を出力する誤
差電力評価部10が設けられているが等価的に図16と
同じものである。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】従来の符号帳探索処理
の内で主なものは、コードベクトルCに対するフィル
タ処理、相互相関RXCの算出処理、及び自己相関R
CCの算出処理の3つである。LPCフィルタ3の次数を
Np、ベクトル量子化(コードベクトル)の次元をNと
すると、1つのコードベクトルに対して、〜のそれ
ぞれに要する演算量はNp・N,N,及びNである。従
って、1つのコードベクトル当たりの符号帳探索に要す
る演算量は(Np+2)・Nとなる。
【0012】通常用いられている雑音符号帳1は、40
次元・符号帳サイズ1024(N=40,M=102
4)程度のものであり、LPCフィルタ3の分析次数N
pが10次程度であるため、1回の符号帳探索に (10+2)・40・1024=480×103 の積和算を要する。
【0013】このような符号帳探索を音声符号化のサブ
フレーム(5msec)毎に行うためには、96Mops(メガ
オペレーション/秒)という膨大な処理能力が必要とな
り、現在最高速のディジタル・シグナル・プロセッサ
(許容演算量20〜40Mops)を使用しても、その実時
間実現には数チップを要してしまうという問題がある。
【0014】又、このような雑音符号帳1をテーブルと
して記憶・保持するためには、N・M(=40・102
4=40Kword )ものメモリ容量が必要となるという問
題がある。
【0015】更には、A−b−S型ベクトル量子化を用
いた音声符号器の適用分野と考えられる自動車電話・携
帯電話においては、装置の小型化・低消費電力化が必須
の条件であり、膨大な演算量や膨大なメモリ容量は、い
ずれも音声符号器実現上で重大な障害となっている。
【0016】以上のことから本発明は、雑音符号帳探索
に要する演算量を減少でき、しかも雑音符号帳の記憶に
要するメモリ容量を減少できる音声符号化方式を提供す
ることを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段及び作用】上記のような問
題を解決するために、本発明では図1(1)に示す従来
の符号帳の代わりに同図(2)に示す特殊な構造を持っ
た符号帳を用いる。
【0018】即ち、同図(3)に示す如く、この符号帳
の各コードベクトル(符号語)C0 〜CN(CK )は、
初期ベクトル(C0 )を設定し、全てそれ以前に生成さ
れているコードベクトル(CK-1 )に対してデルタベク
トルΔC1 〜ΔCN(ΔCK )を加えるか或いは差し引
くことにより生成される。
【0019】これを図2に示した例で説明すると、予め
1つの基準雑音列である初期ベクトルC0 と(L−1)
種類(階層)のデルタ雑音列であるデルタベクトルΔC
1 〜ΔCL-1 (L=10)をデルタ符号帳11に格納し
ておき、デルタベクトルΔC 1 〜ΔCL-1 をそれぞれ初
期ベクトルC0 に階層毎に加え合わせ及び差し引くこと
により順次木構造状に(210−1)種類の雑音列のコー
ドベクトル(符号語)C0 〜C1022を表現し、又はこれ
らコードベクトルに−C0 ベクトル(又は零ベクトル)
を加えて210の雑音列のコードベクトル(符号語)C0
〜C1023を表現する。このようにすれば、デルタ符号帳
11に初期ベクトルC0 と(L−1)種類のデルタベク
トルΔC1 〜ΔCL-1 (L=10)を格納しておくだけ
で、次々と2L −1(=210−1=M−1)種類のコー
ドベクトル又は2L (=210=M)種類のコードベクト
ルを生成することができ、デルタ符号帳11の記憶容量
をL・M(=10・N)とすることができ、従来の雑音
符号帳の記憶容量M・N(=1024・N)に比べて著
しく減少させることができる。
【0020】そして、図2に示す誤差最小雑音列決定部
17で誤差電力が最小となる雑音列(コードベクトル)
決定し、音声符号化部18で該コードベクトルを特定す
るインデックス情報(符号)を出力することで音声符号
化すると共に、誤差電力が最小となるコードベクトルを
求める処理を、合成フィルタ12の演算出力ACと入力
信号ベクトルXとの間の相互相関RXC(=XT ACでT
は転置行列)の二乗と合成フィルタ出力の自己相関RCC
(=(AC)T (AC))の比が最大となるコードベク
トルを求めることに帰着させる。
【0021】そして、合成フィルタ演算出力AC2K+1
AC2K+2を1階層前の合成フィルタ演算出力ACK と今
回のデルタ雑音フィルタ出力AΔCi を用いて次式、 AC2K+1=ACK +AΔCi AC2K+2=ACK −AΔCi のように漸化式で表現することにより、相互相関RXC
(2K+1)、RXC (2k+2)を次式 RXC (2K+1)=RXC (K) +XT (AΔCi ) RXC (2K+2)=RXC (K) +XT (AΔCi ) に示すように漸化式で表現することができる。
【0022】一方、誤差最小雑音列決定部17におい
て、木構造デルタ符号帳11の各コードベクトルに対す
る入力音声信号との誤差評価処理は、次式(8)及び
(9)に示すように一つ前のコードベクトルの評価時の
相関値とデルタベクトルの相関要素との和の形を用いて
式(6)により実行される。 Rcx(k)=(ACk)T (AX)=(Ck-1+ ΔCk) T A T AX=Rcx(k-1)+ΔCkT A T AX (8) Rcc(k)=(ACk)T (ACk) =(Ck-1+ ΔCk) T A T A(Ck-1+ ΔCk) =Rcc(k)+ 2ΔCkT A T ACk-1+ΔCkT A T A ΔCk (9)
【0023】つまり、実際の誤差評価は基となるコード
ベクトルの(図1(1)に示すCO 〜CM )の生成を必
要とせず上式のような前階層の相関計算結果を用いた漸
化式による更新作業によって行われる。
【0024】しかし、探索終了後は伝送すべきインデッ
クス情報の他に適応符号帳の更新や復号化に際して実際
のコードベクトルのサンプル列が必要となるためデルタ
ベクトルを基にしてコードベクトルの生成作業を行う必
要があり、このためにはインデックス情報により生成に
必要なデルタベクトルの数や各要素の加減法則の選択が
難しい。
【0025】そこで、本発明による方式では、誤差最小
雑音列決定部17において、各階層での誤差評価時にイ
ンデックス情報と共に階層情報(d0 〜d9 )を併せて
記憶しておき、最終的に決定された最小誤差を与えるイ
ンデックス情報と階層情報を処理することでデルタベク
トルの各要素に対する加・減規則を示す生成情報を算出
し、これを用いて容易に選択コードベクトルの生成を行
うことが可能になる。
【0026】尚、本発明では、上記の決定部17が、2
L −1種類のコードベクトルに零ベクトルを付加するこ
とにより2L 種類の雑音列のコードベクトルを表現した
り、該初期ベクトルに−1を乗算して得られるベクトル
を該2L −1種類のコードベクトルに付加することによ
り2L 種類の雑音列のコードベクトルを表現したり、或
いは、該インデックス情報より階層情報を抽出すること
により該最適コードベクトルを生成することが可能であ
る。
【0027】また、復号化側では、予め基準雑音列を表
現する1種類のN次元の初期ベクトルと(L−1)種類
の階層毎のN次元のデルタ雑音列を表現するデルタベク
トルとをデルタ符号帳として用意しておき、伝送されて
きたインデックス情報より階層情報を抽出することによ
り該最適コードベクトルを生成することができる。
【0028】上記の符号化側及び復号化側において従来
の雑音符号帳と同様にガウス性の雑音系列を発生させて
コードベクトルを生成する場合、図3で示すようなC0
及びデルタコードベクトルを要素とする木構造デルタ符
号帳の各コードベクトルは、極端に少ないデルタベクト
ルの足し引きで各コードベクトルが表現されるため、C
0 の方向に偏った分布を持つコードベクトル群を形成し
て特性の劣化を引き起こしてしまう(図4(a) 〜 (c)参
照)。これは木構造の性質上の問題で、これ自体は回避
不能の特性である。
【0029】しかし、デルタコードベクトル間の相関を
取り除けば複数のデルタベクトルの合成で表されるベク
トル群はN次空間を広く最も効率的に分布することとな
る。
【0030】このようにC0 を含むデルタコードベクト
ルを互いを無相関化するように設計することにより木構
造デルタ符号帳の特性を最大限に引き出すことが可能と
なる。また、この符号帳を設計する場合、符号化処理と
オフライン処理で行われるため、その演算に要する時間
や規模には制限がないので最適なアルゴリズムが実現で
きる。
【0031】この無相関化のためには、例えば各ベクト
ルを互いに予め直交化してもよい。
【0032】
【実施例】全体の構成の説明 図6は本発明に係る音声符号化システムの構成図であ
り、図中、11は1つの基準雑音列を表現する初期ベク
トルC0 と(L−1)種類のデルタ雑音列を表現するデ
ルタベクトルΔC1 〜ΔCL-1 (L=10)を記憶・保
持するデルタ符号帳であり、初期ベクトルC0 及び各デ
ルタベクトルΔC1 〜ΔCL-1 (L=10)はそれぞれ
N次元で表現されている。すなわち、初期ベクトル及び
デルタベクトルは時系列的に発生するN個の雑音の振幅
をそれぞれコード化したN次元のベクトルである。
【0033】12は声道特性を模擬したフィルタ演算処
理を施す聴覚重み付け合成フィルタ(LPCフィルタ)
であり、次数NpのIIR型フィルタで構成され、N×
Nの正方行列AとコードベクトルCのマトリスク演算を
行って、コードベクトルCに合成フィルタ処理を施す。
IIR型フィルタのNp個の係数は入力音声信号に基づ
いて変化し、その都度周知の方法で決定される。すなわ
ち、入力音声信号の隣接サンプルには相関が存在するか
ら、サンプル間の相関係数を求め、該相関係数からパー
コール係数と称せられる偏自己相関係数を求め、該パー
コール係数からIIRフィルタのアルファ係数を決定
し、当該フィルタのインパレス応答列を用いてN×Nの
正方行列Aを作成してコードベクトルCに合成フィルタ
処理を施す。
【0034】13は基準雑音列を表現する初期ベクトル
0 及び(L−1)種類のデルタ雑音列を表現するデル
タベクトルΔC1 〜ΔCL-1 に対してそれぞれフィルタ
演算処理を施して得られるフィルタ出力AC0 ,AΔC
1 〜AΔCL-1 を記憶する記憶部、14は相互相関RXC
(=XT AC)を演算する自己相関演算部、15は自己
相関RCC(=(AC)T (AC))を演算する自己相関
演算部、16は相互相関を二乗したものと自己相関との
比を演算する演算部である。
【0035】誤差電力|E|2 は (3)式で表現されるか
ら、誤差電力を最小にするコードベクトルCは(3) 式の
右辺第2項を最大にするものである。従って、演算部1
6は二乗演算部16aと除算部16bを備え、次式 F(X,C)=RXC 2 /RCC (10) を演算する。
【0036】17は上記のRXC 2 /RCCが最大となる、
換言すれば誤差電力が最小となる雑音列(コードベクト
ル)を決定する誤差最小雑音列決定部、18は誤差電力
が最小となる雑音列(コードベクトル)を特定する符号
で入力信号を符号化する音声符号化部である。
【0037】デルタ符号帳のコードベクトルの構成 図2に示したデルタ符号帳11におけるコードベクトル
(符号語)としては、上述したように1つの初期ベクト
ルC0 と(L−1)種類のデルタベクトルΔC 1 〜ΔC
L-1 (L=10)を格納しておき、各デルタベクトルΔ
1 〜ΔCL-1 をそれぞれ初期ベクトルC0 に階層毎に
加え合わせるか差し引くかにより順次木構造状に(210
−1)種類のコードベクトルC0 〜C1022を表現し、こ
れらコードベクトルに零ベクトル(各要素がゼロ)を加
えて210のコードベクトルC0 〜C1023を表現する。
【0038】 このようにすれば、各コードベクトルの間の関係が次式 C1 =C0 +ΔC1 2 =C0 −ΔC1 3 =C1 +ΔC2 (=C0 +ΔC1 +ΔC2 ) C4 =C1 −ΔC2 (=C0 +ΔC1 −ΔC2 ) C5 =C2 +ΔC2 (=C0 −ΔC1 +ΔC2 ) C6 =C2 −ΔC2 (=C0 −ΔC1 −ΔC2 ) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ C511 =C255 +ΔC9 (=C0 +ΔC1 +ΔC2 +・・・+ΔC9 ) C512 =C255 −ΔC9 (=C0 +ΔC1 +ΔC2 +・・・−ΔC9 ) C1021=C510 +ΔC9 (=C0 −ΔC1 −ΔC2 −・・・+ΔC9 ) C1022=C510 −ΔC9 (=C0 −ΔC1 −ΔC2 −・・・−ΔC9 ) により表現され、一般的に C2K+1=CK +ΔCi (11) C2K+2=CK −ΔCi (12) のように漸化式で表現できる。
【0039】すなわち、デルタ符号帳11に初期ベクト
ルC0 と(L−1)種類のデルタベクトルΔC1 〜ΔC
L-1 (L=10)とを格納しておくだけで、次々と2L
(=210)種類の任意の雑音列のコードベクトルを生成
することができ、符号帳11の記憶容量をL・N(=1
0・N)とすることができ、従来の雑音符号帳の記憶容
量M・N(=1024・N)に比べて著しく減少するこ
とができる。
【0040】コードベクトルに対するフィルタ処理 上記のコードベクトルC2K+1、C2K+2に対する合成フィ
ルタ演算出力AC2K+1、AC2K+2を、1階層前のコード
ベクトルCK に対する合成フィルタ演算出力ACK と今
回のデルタベクトルのフィルタ出力AΔCi を用いてそ
れぞれ次式 AC2K+1=A(CK +ΔCi )=ACK +AΔCi (13) AC2K+2=A(CK −ΔCi )=ACK −AΔCi (14) 但し、i=1,2,・・・L−1; 2i-1 ≦k<2i −1 のように漸化式で表現できる。
【0041】従って、初期ベクトルC0 及び(L−1)
種類のデルタベクトルΔC1 〜ΔC L-1 (L=10)に
対して、LPCフィルタ12で合成フィルタ処理を施し
て初期ベクトルのフィルタ出力AC0 と(L−1)種類
のデルタベクトルのフィルタ出力AΔC1 〜AΔCL-1
(L=10)を求めて記憶部13に記憶しておけば、以
下のごとく全雑音列のコードベクトルに対するフィルタ
処理を再帰的に行うことができる。
【0042】すなわち、(1) 初期ベクトルのフィルタ出
力AC0 に対して第1のデルタベクトルのフィルタ出力
AΔC1 を次元毎に加え合わせ及び差し引くことにより
2種類の雑音列のコードベクトルC1 ,C2 に対するフ
ィルタ出力AC1 ,AC2 を演算でき、更に、(2) 新た
に演算された各フィルタ演算出力AC1 ,AC2 に第2
のデルタベクトルのフィルタ出力AΔC2 を加え合わせ
及び差し引くことにより、それぞれ2種類で合計4種類
のコードベクトルC3 ,C4 ,C5 ,C6 に対するフィ
ルタ出力AC3 〜AC6 を演算でき、以下同様にして、
(3) 第(i−1)番目のデルタベクトルのフィルタ出力
AΔCi-1 を作用させて演算したフィルタ出力ACk
第i番目のデルタベクトルのフィルタ出力AΔCi を作
用させそれぞれ2種類のフィルタ出力AC2k+1、AC
2k+2を演算することにより2L (=210)の全雑音列の
コードベクトルに対するフィルタ出力を発生することが
できる。
【0043】従って、木構造のデルタ符号帳11を用い
ると、(13),(14) 式より各コードベクトルに対
するフィルタ処理を再帰的に行うことが可能となり、初
期ベクトルC0 及び(L−1)種類のデルタベクトルΔ
1 〜ΔCL-1 (L=10)に対して合成フィルタ処理
を施しておくだけで、それらを符号を替えながら加え合
わせて行くことで全ての雑音列のコードベクトルに対す
るフィルタ処理が得られる。
【0044】実際には、後述するように本発明のデルタ
符号帳の場合、相互相関RXC、自己相関RCCの演算に当
たって、全コードベクトルに対するフィルタ演算出力は
不要であり、初期ベクトルC0 及び(L−1)種類のデ
ルタベクトルΔC1 〜ΔCL- 1 (L=10)に対するフ
ィルタ演算処理結果のみが必要となる。
【0045】従って、全雑音列のコードベクトルC0
1023に対する合成フィルタ演算処理を、初期ベクトル
0 及び(L−1)種類のデルタベクトルΔC1 〜ΔC
L-1 (L=10)に対する合成フィルタ演算処理に帰着
させることができる。
【0046】相互相関RXCの算出 合成フィルタ演算出力AC2K+1、AC2K+1を1つ前の合
成フィルタ演算出力ACKと今回のデルタベクトルのフ
ィルタ出力AΔCiを用いて(13),(14)式に示
すように漸化式で表現すると相互相関RXC (2K+1),RXC
(2K+2)は次式 RXC (2K+1)=XT (AC2K+1) =XT (ACK ) +XT(AΔCi) =RXC (k) +XT(AΔCi) (15) RXC (2K+2)=XT(AC2K+2) =XT (ACK ) −XT(AΔCi) =RXC (k) +XT(AΔCi) (16) に示すように漸化式で表現できる。
【0047】従って、相互相関演算部14で1階層前の
相互相関RXC (k) を用いて今回の相互相関RXC (2K+1),
XC (2K+2)を演算することができ、このようにすれば、
(15),(16)式の右辺第2項の相互相関演算を行
うだけで全雑音列のコードベクトルに対するフィルタ出
力と入力信号Xとの間の相互相関を演算できるので、全
雑音列のコードベクトルに対する相互相関を演算するの
に M・N(=1024・N) 回の積和算が必要であったものが、 L・N(=10・N) 回の積和算で済ますことが可能となり、演算回数を著し
く減少できる。
【0048】尚、図2において、14aは(15),
(16) 式の右辺第2項XT (AΔC i )を演算する乗
算部、14bは+1,−1を発生する符号付与部、14
cは符号±1を乗算して右辺第2項に符号を付与する乗
算部、14dは1つ前の相互相関RXC (k) (右辺第1
項)を所定時間記憶遅延する遅延部、14eは(1
3),(14)式の右辺第1項と2項の加算を行って今
回の相互相関RXC (2K+1),RXC ( 2K+2)を出力する加算部
である。
【0049】自己相関RCCの算出 合成フィルタ演算出力AC2K+1、AC2K+2を1階層前の
合成フィルタ演算出力ACK と今回のデルタベクトルの
フィルタ出力AΔCi を用いて(13),(14)式に
示すように漸化式で表現すると、各雑音例のコードベク
トル対する自己相関RCCは、次式で表現される。 RCC (0)=(AC0)T(AC0) AC1=AC0+AΔC1 AC2=AC0-AΔC1 RCC (1)=(AC0)T(AC0)+(AΔC1)T(AΔC1)+2(AC0)T(AΔC1) RCC (2)=(AC0)T(AC0)+(AΔC1)T(AΔC1)-2(AC0)T(AΔC1) AC3=AC1+AΔC2=AC0+AΔC1+AΔC2 AC4=AC1-AΔC2=AC0+AΔC1-AΔC2 AC5=AC1+AΔC2=AC0-AΔC1+AΔC2 AC6=AC2-AΔC2=AC0-AΔC1-AΔC2 RCC (3)=(AC0)T(AC0)+(AΔC1)T(AΔC1)+(AΔC2)T(AΔC2) +2(AC0)T(AΔC1)+2(AΔC1)T(AΔC2)+2(AΔC2)T(AC0) RCC (4)=(AC0)T(AC0)+(AΔC1)T(AΔC1)+(AΔC2)T(AΔC2) +2(AC0)T(AΔC1)-2(AΔC1)T(AΔC2)-2(AΔC2)T(AC0) RCC (5)=(AC0)T(AC0)+(AΔC1)T(AΔC1)+(AΔC2)T(AΔC2) -2(AC0)T(AΔC1)-2(AΔC1)T(AΔC2)+2(AΔC2)T(AC0) RCC (6)=(AC0)T(AC0)+(AΔC1)T(AΔC1)+(AΔC2)T(AΔC2) -2(AC0)T(AΔC1)+2(AΔC1)T(AΔC2)-2(AΔC2)T(AC0)
【0050】従って、一般には、 RCC (2K+1)= RCC (K)+(AΔCi)T(AΔCi)+2 AΔCi・ACK (17) RCC (2K+2)= RCC (K)+(AΔCi)T(AΔCi)-2 AΔCi・ACK (18) と表現できる。
【0051】すなわち、一階層前の自己相関R
CC (K) に、今回のAΔCi の自己相関(AΔCi) T (AΔCi)
を加え合わせると共に、AΔCi とAΔC0、AΔC1〜AΔC
i-1 の相互相関を符号を替えながら加え合わせることに
より相互相関RCC (2K+1),RCC (2K+2)を演算できる。この
ようにすれば、自己相関RCCを初期ベクトルのフィルタ
出力AΔC0と(L−1)種類のデルタベクトルのフィル
タ出力AΔC1〜AΔC l-1 の合計L通りの自己相関(AC0)2
, (AΔC1)2〜(AΔCL-1)2 と、各フィルタ出力AΔC0
ΔC L-1 間相互の(L2 −1)/2通りの相互相関を用
いて演算できる。
【0052】すなわち、従来自己相関を演算するのに M・N(=1024・N) 回の積和算が必要であったものが、 L(L+1)・N/2(=55・N) 回の積和算で済ますことが可能となり、演算回数を著し
く減少できる。
【0053】尚、図6において、15aは(17),
(18)式の右辺第2項の自己相関(AΔCiT (A
ΔCi)を演算する自己相関演算部、15bは(1
7),(18) 式における各相互相関を演算する相互相
関演算部、15cは各相互相関を所定の符号を付して加
算する相互相関合成部、15dは一階層前の自己相関R
CC (K) と自己相関(AΔCiT (AΔCi)及び相互相
関を加算して(17),(18) 式の演算を行う加算
部、15eは一階層前の自己相関RCC (K)を所定時間記憶
して遅延する遅延部である。
【0054】全体の動作 予め1つの基準雑音列である初期ベクトルC0 と(L−
1)種類のデルタ雑音列であるデルタベクトルΔC1
ΔCL-1 (L=10)をデルタ符号帳11に格納してお
き、聴覚重み付けフィルタ12において初期ベクトルC
0 及び(L−1)種類のデルタベクトルΔC1〜ΔC
L-1 (L=10)に対して、聴覚重み付け処理を施して
フィルタ出力AC0 、AΔC1 〜AΔCL-1 (L=1
0)を求めて記憶部13に記憶する。
【0055】かかる状態で、i=0とし、相互相関演算
部14で相互相関RXC (0) (=XT AC0 )を演算し、
自己相関演算部15で自己相関RcC (0) (=(AC0
T (AC0 ))を演算し、これら相互相関と自己相関を
用いて演算部16で(10)式を用いてF(X,C)
(=RXC 2 /RCC)を演算するまた、階層情報の更新も
行われる。
【0056】誤差最小雑音列決定部17は演算されたF
(X,C)とそれ迄のF(X,C)の最大値Fmax (初
期値は0)を比較し、F(X,C)>Fmax であれば、
F(X,C)→Fmax としてFmax を更新すると共に、
Fmax を与える雑音列(コードベクトル)を特定する符
号でそれ迄の符号を更新する。また、階層情報の更新も
行われる。
【0057】2i (=20 )個のコードベクトル(コー
ドベクトル)に対して上記処理を行えばi=1とし、
(15)式に従って(但し、k=0,i=1)相互相関
を演算し、(17)式に従って自己相関を演算し、これ
ら相互相関と自己相関を用いて演算部16で(10) 式
を演算する。
【0058】誤差最小雑音列決定部17は演算されたF
(X,C)とそれ迄のF(X,C)の最大値Fmax (初
期値は0)を比較し、F(X,C)>Fmax であれば、
F(X,C)→Fmax としてFmax を更新すると共に、
Fmax を与える雑音列(コードベクトル)を特定する符
号でそれ迄の符号を更新する。また、階層情報の更新も
行われる。
【0059】ついで、(16)式に従って(但し、k=
0,i=1)相互相関を演算し、(8)式に従って自己
相関を演算し、これら相互相関と自己相関を用いて演算
部16で(10)式を演算する。
【0060】誤差最小雑音列決定部17は同様に演算さ
れたF(X,C)とそれ迄のF(X,C)の最大値Fma
x (初期値は0)を比較しF(X,C)>Fmax であれ
ば、F(X,C)→Fmax としてFmax を更新すると共
に、該Fmax を与える雑音列(コードベクトル)を特定
する符号でそれ迄の符号を更新する。また、階層情報の
更新も行われる。
【0061】2i (=21 )個のコードベクトル(コー
ドベクトル)に対して上記処理を行えばi=2とし、以
上と同様の処理を繰り返し、210個の全コードベクトル
に対して上記処理を行えば、音声符号化部18は誤差最
小雑音列決定部17に記憶されている最新の符号を入力
信号の音声符号として出力する。
【0062】処理量及びメモリ容量における従来方式との比較 図7は処理量(演算量)とメモリ容量に関し、従来方式
と本発明方式を比較した図表であり、本発明のトータル
の演算量は従来方式の1/70以下であり、メモリ容量
は1/100であり、大幅に演算量とメモリ容量の軽減
を図ることができる。
【0063】尚、以上では各デルタベクトルΔC1 〜Δ
L-1(L=10)をそれぞれ初期ベクトルC0 に階層
毎に加え合わせるか、差し引くかにより順次木構造上に
10−1)種類のコードベクトルC0 〜C1022を表現
し、これらコードベクトルに零ベクトルを加えて210
類のコードベクトルC0 〜C1023を表現したが、零ベク
トルは必ずしも加える必要はなく、又零ベクトルにかえ
て初期ベクトルC0 に−1を乗算した−C0 ベクトルを
かえて210種類のコードベクトルを表現するようにもで
きる。
【0064】本発明による最適コードベクトルの生成の実施例 以上の説明では最小誤差の評価がどの様にして実行され
るのかを示したが、以下に最適なコードベクトルを本発
明によりどのように生成するのかを説明する。
【0065】図8は本発明において木構造的に配列され
た各コードベクトルのインデックス情報と階層情報の関
係を示している。階層情報はその階層ごとに1ビットず
つ“1”が立って行く情報で“1”の数が階層の深さを
示している。
【0066】この構造の符号帳を用いた誤差最小雑音列
決定部17での探索処理においては上述したように実際
のコードベクトルの生成は行われず、評価に必要な相関
値の更新作業で最大値検出を行っていくので、各コード
ベクトルの評価時にそのインデックスとともにこの階層
情報を補助情報として保持しておき、そして探索終了時
にインデックス情報とともにこの階層情報を用いてデル
タベクトルの加・減規則を示す生成情報を示す生成情報
を算出する。その算出方法、及び当該情報を用いたコー
ドベクトルの生成方法を以下に示す。
【0067】まず図9は一例としてコードベクトルC26
の生成情報の算出方法について示したもので、生成情報
はインデックスビット情報から階層情報を1ビット右に
シフトした値を減ずることにより算出される。
【0068】次に実際のコードベクトル生成処理は、図
10に示すように再び階層情報を1ビット右シフトした
値を用いて有効ビットを検出し、検出されたビットの0
/1判定の加・減規則によりベクトルの合成を行う。
【0069】図示の生成情報の各ビットはMSBより第
iビットがΔCiの極性を示すフラグに対応しており、
それぞれのビットの0/1が加・減の規則に対応してい
る。つまり図示のように、このiビットが“1”の場合
はデルタの要素を減算し、“0”の場合は加算する。そ
の際、生成情報のビット長は階層情報によるマスキング
で制限され、その長さが階層の深さ、言い替えれば何本
のデルタベクトルを採用すればいいかを示すこととな
る。
【0070】また、この木構造デルタ符号帳の場合、構
成される要素(コードベクトル)が階層数Lとしたとき
に生成されるコードベクトルが2L −1個となるため、
付加的なコードベクトルを1つ設けることができる。こ
の付加的なコードベクトルとは、たとえば全てのサンプ
ル要素が“0”の零コードベクトルとか、基本ベクトル
0 の(−)要素とが考えられ、デルタ符号帳11の特
性を向上させることができる。
【0071】この付加的なコードベクトルの探索は通常
の探索処理に付け加えられて処理され、そのコードベク
トルの性質によって評価方法が異なるが、このコードベ
クトルの選択を表すには伝送を考えてインデックス番号
〔1023〕を割り当てる方法が考えられる。
【0072】つまり、コードベクトルの生成過程ではま
ずインデックス番号が
〔0〕から〔1022〕の場合か
〔1023〕の場合かを判定し、前者の場合は+C0
基とした生成情報による合成が行われ、後者の場合は全
く違う付加的なコードベクトルによる規則を採用するこ
ととする。
【0073】また特に符号器側のコードベクトル生成段
階では、階層情報のLSBで表すことも可能であり、コ
ードベクトルC0 からC1022までのコードベクトルが選
択された場合は必ず階層情報のLSBは“1”となるの
で、図11に示すように付加要素の選択時にはこのビッ
トを“0”とすることとする。従って、符号器側ではこ
の階層情報のLSBビットで処理の判定が可能となり、
より簡単な制御で実現できる。
【0074】以上の処理は主に符号器側での処理を対象
としているが、それに対して復号器側ではインデックス
情報のみの伝送となるため多少異なる手順での生成情報
の抽出が必要となる。
【0075】その手法例が図12に示されており、階層
情報は伝送されてきたインデックス情報のビット列に
“1”を加えてMSBを検出し、このビットよりLSB
まで“1”を立てていけば抽出できる。そして、この階
層情報さえ求められれば符号器処理と同様の手法で生成
情報の算出が可能となり、伝送インデックスによるコー
ドブック参照処理が実現できる。もちろん、この手法は
符号器側でも適用可能であるが、前述の探索時の階層情
報保持の場合の方が実現上容易となる。
【0076】本発明によるデルタ符号帳を無相関化するための実施例 次に図13は本発明方式における無相関化(図5参照)
の実施例を示したもので、図示のように予め用意するデ
ルタコードベクトルを直交化(無相関化)する設計手法
について、直交変換技術としてグラム・シュミット法を
適用した場合について述べる。
【0077】このグラム・シュミット法においては、ベ
クトルCをベクトルVに直交化させる場合、まずCのV
上への写影成分を算出し、次にこの成分をCより差し引
くことによりVに直交するベクトルC´を求めることが
できる。 C´=C−〔(CT V)/VT V〕V (19) この直交化手法を用いて初期ベクトルC0 より全てのデ
ルタコードベクトルが互いに直交化するように設計する
には、図14に示すように、C0に対するΔC 1 の直交
化処理により順次各デルタコードベクトルのそれ以前の
コードベクトルとの直交化処理で実現することが可能で
ある。すなわちL=10のとき、 (1) ΔC1 について、 ΔC1 ⊥C0 ∴ΔC1 ´=ΔC1 −〔(ΔC1 T 0 )/C0 T 0 〕C0 (2) ΔC2 について、 ΔC2 ⊥C0 かつΔC2 ⊥ΔC1 ∴ΔC2 ´=ΔC2 −〔(ΔC2 T 0 )/C0 T 0 〕C0 −〔(ΔC2 T ΔC1 )/ΔC1 T ΔC1 〕ΔC1 (3) ΔC3 について、 ΔC3 ⊥C0 かつΔC3 ⊥ΔC1 かつΔC3 ⊥ΔC2 ∴ΔC3 ´=ΔC3 −〔(ΔC3 T 0 )/C0 T 0 〕C0 −〔(ΔC3 T ΔC1 )/ΔC1 T ΔC1 〕ΔC1 −〔(ΔC3 T ΔC2 )/ΔC2 T ΔC2 〕ΔC2 : : (9) ΔC9 について、 ΔC9 ⊥C0 かつΔC9 ⊥ΔC1 かつ…かつΔC9 ⊥ΔC8 ∴ΔC9 ´=ΔC9 −〔(ΔC9 T 0 )/C0 T 0 〕C0 −〔(ΔC9 T ΔC1 )/ΔC1 T ΔC1 〕ΔC1 −…−〔(ΔC9 T ΔC8 )/ΔC8 T ΔC8 〕ΔC8 のように直交化処理を行っていけばよい。この処理によ
り図5で示した直交化デルタ符号帳が設計でき、限られ
た本数のベクトルを基に効率の良い分布のベクトル群が
形成でき、木構造デルタ符号帳の特性を向上させること
ができる。
【0078】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る音声
伝送方式によれば、符号化側及び復号化側においてそれ
ぞれ予め基準雑音列を表現する1種類のN次元の初期ベ
クトルと(L−1)種類の階層毎のN次元のデルタ雑音
列を表現するデルタベクトルとをデルタ符号帳として用
意し、各デルタベクトルをそれぞれ該初期ベクトルに階
層毎に加え合わせるか差し引くかにより順次木構造状に
L−1種類の該雑音列のコードベクトルによる該誤差
演算を行い、この演算過程で各コードベクトルを各イン
デックス情報と該階層の情報との組合せで記憶しておく
ことにより最終的に決定される該最適コードベクトルを
生成するように構成したので、雑音符号帳の記憶容量を
著しく減少させることができると共にインデックス情報
のみによってコードベクトルを生成することの困難性を
各階層情報を組み合わせることによりデルタベクトルの
各要素に対する加減規則を抽出して解消している。
【0079】また本発明によれば、初期ベクトル及び該
デルタベクトルを互いに予め無相関化することにより、
デルタコードベクトル間の相関を取り除けば複数のデル
タベクトルの合成で表されるベクトル群はN次空間を最
も効率的に分布することとなり、木構造のデルタ符号帳
の特性を最大限に引き出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いるデルタ符号帳の原理とコードベ
クトルの概念について示す図である。
【図2】本発明による音声符号化側の原理構成を示した
図である。
【図3】一般的なデルタ符号帳をベクトル表現した図で
ある。
【図4】本発明に用いる木構造のデルタ符号帳をベクト
ル表現した図である。
【図5】本発明に用いる直交化デルタ符号帳をベクトル
表現した図である。
【図6】本発明による音声符号化側の実施例構成を示し
たブロック図である。
【図7】従来例と本発明方式とを処理量・メモリー量に
関して比較した図である。
【図8】本発明で用いる雑音符号帳のコードワードのイ
ンデックス情報と階層情報の実施例を示した図である。
【図9】本発明において最適コードベクトルC26が選択
されたときのデルタベクトルの加減規則の生成情報を生
成する過程を示した図である。
【図10】図9で生成された情報に基づいて各デルタベ
クトルを加減して最適コードベクトルC26を生成する過
程を示した図である。
【図11】本発明における符号化側で階層情報によるコ
ードベクトルの付加的な表現を示した図である。
【図12】本発明における復号化側での処理過程を示し
た図である。
【図13】本発明においてデルタ符号帳の各デルタベク
トルを直交化するグラム・シュミット法の原理を示した
ベクトル図である。
【図14】本発明においてデルタ符号帳の設計化手法を
示したベクトル図である。
【図15】音声の発生メカニズムを説明するためのブロ
ック図である。
【図16】従来方式を示したブロック図である。
【図17】従来方式の雑音符号帳探索処理部の構成を示
したブロック図である。
【符号の説明】
11 デルタ符号帳 12 線形予測合成フィルタ 17 誤差最小雑音列決定部 18 音声符号化部 図中、同一符号は同一又は相当部分を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坂井 良広 神奈川県川崎市中原区上小田中1015番地 富士通株式会社内 (72)発明者 加藤 雅子 神奈川県川崎市中原区上小田中1015番地 富士通株式会社内 (72)発明者 田中 良紀 神奈川県川崎市中原区上小田中1015番地 富士通株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 雑音列を表現するコードベクトルに対し
    て声道特性を模擬した線形予測合成フィルタ(12)を通し
    て得られる再生信号と入力音声信号との誤差が最小とな
    るコードベクトルを誤差最小雑音列決定部(17)で決定
    し、該コードベクトルを特定するインデックス情報によ
    り該入力音声信号を符号化部(18)で符号化する音声符号
    化方式において、 予め基準雑音列を表現する1種類のN次元の初期ベクト
    ルと(L−1)種類の階層毎のN次元のデルタ雑音列を
    表現するデルタベクトルとをデルタ符号帳(11)として用
    意し、 該決定部(17)が、各デルタベクトルをそれぞれ該初期ベ
    クトルに階層毎に加え合わせるか差し引くかにより順次
    木構造状に2L −1種類の該雑音列のコードベクトルに
    よる該誤差演算を行い、この演算過程で各コードベクト
    ルを各インデックス情報と該階層の情報との組合せで記
    憶しておくことにより最終的に決定される該最適コード
    ベクトルを生成することを特徴とした音声符号化方式。
  2. 【請求項2】 該決定部(17)が、該2L −1種類のコー
    ドベクトルに零ベクトルを付加することにより2L 種類
    の雑音列のコードベクトルを表現することを特徴とした
    請求項1に記載の音声符号化方式。
  3. 【請求項3】 該決定部(17)が、該初期ベクトルに−1
    を乗算して得られるベクトルを該2L −1種類のコード
    ベクトルに付加することにより2L 種類の雑音列のコー
    ドベクトルを表現することを特徴とした請求項1に記載
    の音声符号化方式。
  4. 【請求項4】 該決定部(17)が、該インデックス情報よ
    り階層情報を抽出することにより該最適コードベクトル
    を生成することを特徴とした請求項1乃至3のいずれか
    に記載の音声符号化方式。
  5. 【請求項5】 該初期ベクトル及び該デルタベクトルを
    互いに予め無相関化したことを特徴とする請求項1乃至
    5のいずれかに記載の音声符号化方式。
  6. 【請求項6】 該無相関化のために各ベクトルを互いに
    予め直交化したことを特徴とする請求項6に記載の音声
    符号化方式。
  7. 【請求項7】 予め基準雑音列を表現する1種類のN次
    元の初期ベクトルと(L−1)種類の階層毎のN次元の
    デルタ雑音列を表現するデルタベクトルとをデルタ符号
    帳として用意しておき、伝送されてきたインデックス情
    報より階層情報を抽出することにより該最適コードベク
    トルを生成することを特徴とした音声復号化方式。
  8. 【請求項8】 該初期ベクトル及び該デルタベクトルを
    互いに予め無相関化したことを特徴とする請求項7に記
    載の音声符号化方式。
  9. 【請求項9】 該無相関化のために各ベクトルを互いに
    予め直交化したことを特徴とする請求項8に記載の音声
    符号化方式。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO1994007239A1 (en) * 1992-09-16 1994-03-31 Fujitsu Limited Speech encoding method and apparatus
US5864650A (en) * 1992-09-16 1999-01-26 Fujitsu Limited Speech encoding method and apparatus using tree-structure delta code book

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