JPH05158478A - 電子楽器 - Google Patents

電子楽器

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JPH05158478A
JPH05158478A JP3348137A JP34813791A JPH05158478A JP H05158478 A JPH05158478 A JP H05158478A JP 3348137 A JP3348137 A JP 3348137A JP 34813791 A JP34813791 A JP 34813791A JP H05158478 A JPH05158478 A JP H05158478A
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JP
Japan
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circuit
parameter
particle
neural network
musical instrument
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JP3348137A
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English (en)
Inventor
Yoichi Nagashima
洋一 長嶋
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Kawai Musical Instrument Manufacturing Co Ltd
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Kawai Musical Instrument Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 疑似的なグラニュラーシンセシス方式の楽音
をパラメータを変えながら実時間的に発生することので
きる電子楽器を得る。 【構成】 パラメータ設定回路2は、グレイントリガ回
路4および粒子状信号発生回路3に対して、グラニュラ
ーシンセシス方式の楽音の特色を決定づける各種のパラ
メータを供給する。パラメータ編集回路5および演奏操
作情報発生回路6では、グラニュラーシンセシス方式の
パラメータをパラメータ設定回路5およびニューラルネ
ットワーク回路7に供給する。特性学習回路9は、結果
比較回路8および疑似乱数発生回路1からのデータによ
って、ニューラルネットワーク回路7のバックプロパゲ
ーション学習を実行し、学習結果をパラメータ記憶回路
10に格納する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はグラニュラーシンセシス
方式による電子楽器に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電子楽器の音源方式としては、大
きく四種類の形態が実施されてきた。その第1は「加算
方式」であり、複数の倍音成分を加算する「サイン合成
方式」や、複数の部分音成分を加算する「パーシャル合
成方式」や、定常音成分と非定常音成分とを合成する方
式などがこれにあたる。
【0003】また第2は「減算方式」であり、高調波を
多く含んだ源音にVCF・DCF等のフィルタをかける
方式や、音声合成の声道モデルのようなフォルマントフ
ィルタをかける方式がこれにあたる。
【0004】また第3は「変調方式」であり、振幅変調
・リング変調・周波数変調・位相変調・非線形変換など
の方式がこれにあたる。
【0005】第4は「サンプリング方式」であり、PC
M・ADPCMなどの方式のような、実際の楽音信号を
メモリ中にデータ化して読み出す方式がこれにあたる。
【0006】これらの音源方式はすべて基本的に持続し
た楽音信号を発生する方式であり、連続した楽音信号を
発生するための何らかのオシレータがあり、サンプリン
グ方式においても、データメモリの読み出しアドレス発
生回路が一種のオシレータと考えられる。これは人間の
聴覚が周期的な空気振動を楽音として知覚することに対
応している。
【0007】これに対して、まったく原理を異にした第
5の楽音発生方式として、「グラニュラーシンセシス方
式」が提案されてきている。これは基本的には連続した
周期信号を持たないもので、人間の聴覚における一種の
錯覚現象を利用したものであり、新しい音楽の創造への
寄与が期待されている。
【0008】このグラニュラーシンセシス方式において
は、音を「連続した周期的振動」ではなく「音の粒子の
集まり」と捉える。個々の粒子は「連続音」としての性
質を持たない単純な1発のなめらかなパルスであり、こ
れが時間的に非常に多数個、それも周期的成分を知覚し
ないように適当なランダムさを持たせて配置することで
粒子群全体がひとつの聴覚的イメージを知覚させ、一種
の音響現象として作用するものである。
【0009】このグラニュラーシンセシス方式によって
実際の音響を得るには、大型計算機を用いて各種の乱数
を計算するとともに各粒子の時間的位置や形状などの楽
音を変えるためのパラメータについて試行錯誤的に多量
の試行実験を必要とする。そして、あるパラメータの組
合せによってなかば偶然に良好な音響が得られると、こ
の音響素材をテープに録音して、各種の音響とともに電
子音楽テープとして編集する、という非「実時間」的な
処理を行なう必要がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】従来は上記のように、
グラニュラーシンセシス方式によって実際の音響を得る
場合には、多くの試行錯誤によって演奏とは別の場所で
の作業を必要とした。また、リアルタイムにグラニュラ
ーシンセシス方式で楽音信号を発生するシステムも提案
されているが、パラメータは互いに異質な要素であっ
て、サイン合成方式のように人間の聴覚的特性に対応し
た設定指針がなく、パラメータを変更する際に良好でな
い音響を発生する確率が非常に高く、音楽のリアルタイ
ム演奏としては利用できないという問題点があった。
【0011】この発明は、上記の問題点を解決するため
に成されたもので、異質な楽音発生のための各種のパラ
メータを相互に結合するための高度のパラメータ補間手
段として、またリアルタイム演奏時の操作パラメータを
有効に解釈するためのパターン認識手段として、グラニ
ュラーシンセシス方式の楽音合成のパラメータ編集およ
びパラメータ制御にニューラルネットワークを使用し
て、有効なグラニュラーシンセシス方式の楽音発生をリ
アルタイムに実現し、豊富な操作性を持った音楽性豊か
な電子楽器を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明はグラニュラーシ
ンセシス方式の電子楽器において、従来のパラメータ設
定編集手段とともにリアルタイム操作検出またはリアル
タイム通信制御によるパラメータ設定手段を持ち、この
それぞれを入力情報とするニューラルネットワークによ
ってパラメータの学習を実行し、演奏時にはこのニュー
ラルネットワークによって演奏制御情報を解釈させるよ
うにしたものである。また、グラニュラーシンセシス方
式の楽音合成のための乱数発生回路から生成される良質
の疑似乱数データをニューラルネットワークのバックプ
ロパゲーション学習における乱数パラメータとして活用
することで、効率的な学習を実現するとともに全体の構
成を簡潔にしたものである。
【0013】
【作用】従来に比べて非常に簡単な構成の電子楽器で、
グラニュラーシンセシス方式として有効なパラメータを
持つ楽音をリアルタイムに制御発生することができ、よ
り豊富な音楽的表現を実現できる。
【0014】
【実施例】図1は、本発明による電子楽器の実施例を説
明するための構成図であり、1は疑似乱数発生回路、2
はパラメータ設定回路、3は粒子状信号発生回路、4は
グレイントリガ回路、5はパラメータ編集回路、6は演
奏操作情報発生回路、7はニューラルネットワーク回
路、8は結果比較回路、9は特性学習回路、10はパラ
メータ記憶回路、11はサウンドシステムである。
【0015】図1において、粒子状信号発生回路3にお
いては、メモリの連続したゼロ値領域の一部に、グラニ
ュラーシンセシス方式の理論で「グレイン」と呼ばれ
る、粒子状の単一の形状を持つような波形の信号が格納
され、この信号がグレイントリガ回路4により発生され
る。
【0016】この様子を、図2に示すグラニュラーシン
セシス方式の楽音発生の原理を説明するための波形図で
説明する。図2(a)は通常の電子楽器の発生する波形
データの例で、横軸の時間的経過に従って次第に変化す
る周期tの連続波形のように知覚される。
【0017】これに対して本発明によるグラニュラーシ
ンセシス方式の場合には、図2(b)のように、通常は
あまりエッジの急峻でない、単一のグレインと呼ばれる
信号が一度に一つ発生されるだけで、このグレイン1個
を発生するだけでは楽音としては知覚されない。そこ
で、このようなグレインを発生するグレイン発生回路を
多数個持ったうえで、一定時間あたり多数のグレインが
ばらばらに発生するようにすると、聴覚的な一種の錯覚
によって、人間はこのグレイン群を一種の楽音として知
覚することが知られている。なお、グレインの幅wは数
ミリ秒から数十ミリ秒とする場合が多い。
【0018】また、グラニュラーシンセシス方式では多
数のグレインを次々に発生するといっても、図2(c)
のように等間隔でグレインを並べた場合は、グレイン間
の時間Tを周期とするピッチが知覚されてしまい、図2
(d)のようにランダムにグレインを配置したいグラニ
ュラーシンセシス方式の目的とは反する。従来の大型計
算機を使用したグラニュラーシンセシス方式の楽音発生
方法の場合には、図2(d)のようなグレイン群の発生
に相当する、非常に多数の信号発生をシミュレートする
ことでグラニュラーシンセシスを実現してきた。
【0019】図1のパラメータ設定回路2においては、
グレイントリガ回路4および粒子状信号発生回路3(す
なわちグレイン発生回路群)に対して、グラニュラーシ
ンセシス方式の楽音の特色を決定づける各種のパラメー
タを供給する。
【0020】パラメータ設定回路2から粒子状信号発生
回路3に対して与えるパラメータの種類としては、例え
ば図2(b)のwに相当する、発生されたグレインの時
間的振幅の設定データや、個々のグレインの振幅レベル
の変化、さらにサウンドシステム11から発音される系
列の振り分けや空間的な定位状態等がある。
【0021】パラメータ設定回路2から粒子状信号発生
回路3に対して与えるパラメータとしては、さらに図3
に示す、グラニュラーシンセシス方式の楽音発生に関す
る別の波形図にあるような特性もある。すなわち、図3
(a)は通常のグラニュラーシンセシス方式で使われる
グレインの典型的な形状で、三角関数や双曲線関数や対
数関数などで近似されるものである。このような「なめ
らかな」グレインを用いても、時間的密度やグレインの
幅をいろいろに変えることで、多種多様な聴覚的効果が
得られる。
【0022】また図3(b)は、グレインの一部により
細かな変化を持つ波形であり、このような波形は高次倍
音を多く持つ、といった視覚的直感と一致するように、
全体としてグレイン群が構成する実際の音響も「リッ
チ」になることが知られている。このようなグレインの
形状パラメータは、パラメータ設定回路2から粒子状信
号発生回路3に対して与えるパラメータの一種として適
宜設定される。
【0023】また図3(c)は、グレインとして、音声
データの一部のような複雑な信号データの一部を使用し
た波形であり、このような波形は音声信号に対応した特
徴的な高次倍音をより多く持つ、といった視覚的直感と
一致するように、全体としてグレイン群が構成する実際
の音響もさらに「リッチ」になることが知られている。
このようなグレインの形状パラメータは、パラメータ設
定回路2から粒子状信号発生回路3に対して与えるパラ
メータの一種として適宜設定される。
【0024】次に図1の疑似乱数発生回路1では、M系
列のシフトレジスタによってディジタル的に発生する疑
似ランダムノイズや、空間雑音やトランジスタの電流雑
音から得られるホワイトノイズ、あるいはここにフィル
タを作用させたピンクノイズなどの疑似乱数群、あるい
は自己再帰的な状態推移方程式: Xn+1 =r*Xn *(1−Xn ) によって得られる、カオスまたはフラクタルのアルゴリ
ズムによる疑似乱数、そしてセルオートマトンの方法に
よって自己増殖的に発生した疑似乱数などを発生する。
【0025】この疑似乱数発生回路1によって発生され
た疑似乱数データは、グレイントリガ回路4に供給さ
れ、図2(d)のような、発生されるグレインの時間的
な散らばり方のパラメータとして作用する。この疑似乱
数の種類と特性によって、グラニュラーシンセシス方式
の楽音の様子がいろいろに変化することが知られてお
り、この乱数の「質」がグラニュラーシンセシス方式の
個性となっている。
【0026】以上のように、図1のパラメータ設定回路
2において設定される各種のパラメータというのは、グ
ラニュラーシンセシス方式においては決定的に重要な要
素となっているが、「サイン合成方式」の倍音構成デー
タのような、人間の直感的なパラメータと違って、どの
パラメータがどのように発生する楽音と対応づけられて
いくか、という明確な規則がないために、従来は試行錯
誤的にパラメータを変更し、その都度聴覚的に評価・変
更していく必要があった。
【0027】また、従来、リアルタイムに演奏するよう
な環境でグラニュラーシンセシス方式を活用したいよう
な場合には、あるパラメータによる楽音と別のパラメー
タによる楽音との間を自然につなげるような方法につい
て、その「補間」に関する明確な規則がないために、パ
ラメータをわずかに変更しても聴覚的に大幅に変化し
た、不連続で不自然な楽音となってしまう問題もあっ
た。
【0028】そこで本発明においては、グラニュラーシ
ンセシス方式の楽音発生システムにおいて、図1のパラ
メータ編集回路5、演奏操作情報発生回路6およびニュ
ーラルネットワーク回路7を組み合わせて用いている。
すなわち、パラメータ設定回路2で設定されるグラニュ
ラーシンセシス方式の各種パラメータを、通常のパラメ
ータ編集作業に相当するパラメータ編集回路5で実行す
るとともに、ニューラルネットワーク回路7からの出力
としても設定できるようにしたものである。
【0029】図4は、本発明による電子楽器の動作を説
明するための説明図であり、図1のニューラルネットワ
ーク回路7の部分を具体的に示したものである。ここで
は、ニューラルネットワーク回路7は3層のパーセプト
ロン構造をもち、パラメータ編集回路5または演奏操作
情報発生回路6から供給される各種パラメータを入力層
への入力パラメータとしている。入力層の各ノードは中
間層(隠れ層)の各ノードとそれぞれ結合しており、入
力層の各ノードからそれぞれの結合ごとに対応した重み
づけデータを乗算し、これを全体として加算したデータ
が中間層の各ノードの出力となる。出力層の各ノードは
中間層の各ノードとそれぞれ結合しており、中間層の各
ノードからそれぞれの結合ごとに対応した重みづけデー
タを乗算し、これを全体として加算したデータが出力層
の各ノードの出力となる。ここでは入力層と出力層の形
式を、同じグラニュラーシンセシス方式の楽音パラメー
タとして共通にしている。
【0030】図1のパラメータ記憶回路10において
は、ニューラルネットワーク回路7の内部パラメータと
して、入力層の各ノードと中間層の各ノードとがそれぞ
れ結合している重みづけデータと、中間層の各ノードと
出力層の各ノードとがそれぞれ結合している重みづけデ
ータとを、ニューラルネットワーク回路7から適宜取り
出して記憶したり、また以前の状態を適宜ニューラルネ
ットワーク回路7に再現する。
【0031】また、結果比較回路8においては、ニュー
ラルネットワーク回路7からの出力パラメータに対し
て、サウンドシステム11によって得られる実際の楽音
に基づく評価を対応させる。ここでは、楽音信号のFF
T分析結果を評価関数として活用するような自動的処理
と、実際の人間の官能評価との両方を適用することが有
効である。なお、図1のサウンドシステム11から結果
比較回路8にフィードバックされる情報が破線で描かれ
ているのは、この官能評価を結果データとして与える処
理を示したものであり、人間がデータとして何らかの編
集装置ないし入力装置を操作することを示している。
【0032】特性学習回路9においては、結果比較回路
8の評価結果データを基にして、ニューラルネットワー
ク回路7のバックプロパゲーション学習を実行する。こ
こで重要なのは、バックプロパゲーション学習における
試行パラメータとしての乱数として、疑似乱数発生回路
1によって発生された疑似乱数データを使用する点であ
る。すなわち、短い周期を持つような低品質の疑似乱数
を使用した場合は、ニューラルネットワークの学習が発
散したり、あるいは集束に非常に長い時間がかかるた
め、疑似乱数発生回路1のような専用に設けられた高品
質の疑似乱数を発生する回路を活用することは有益であ
る。
【0033】特性学習回路9において行われるニューラ
ルネットワーク回路7のバックプロパゲーション学習の
結果は、ニューラルネットワーク回路7の内部パラメー
タとして、入力層の各ノードと中間層の各ノードとがそ
れぞれ結合している重みづけデータと、中間層の各ノー
ドと出力層の各ノードとがそれぞれ結合している重みづ
けデータとして得られる。この状態は、パラメータ記憶
回路10によって、ニューラルネットワーク回路7から
適宜取り出されて記憶されたり、また以前の学習結果状
態が適宜ニューラルネットワーク回路7に再現される。
【0034】また、図1の演奏操作情報発生回路6にお
いては、MIDIのような演奏情報通信回線を経由した
実時間演奏操作情報、あるいは演奏者の身体的動作を検
出するセンサによる信号検出などの処理によって演奏者
がリアルタイムに発生する各種の情報を、グラニュラー
シンセシス方式のパラメータとして、通常のパラメータ
編集作業に代わるものとしてニューラルネットワーク回
路7に供給する。
【0035】図5、図6、図7、図8および図9は、図
1に示す構成図における本発明による電子楽器の動作を
説明するための動作説明図である。ここでは図1に示す
構成図の電子楽器が、本発明によって動作する様子をそ
れぞれの段階ごとに信号の流れを太線で明示して説明す
る。
【0036】図5は、本発明による電子楽器の動作のう
ち、グラニュラーシンセシス方式の楽音を発生するため
の従来の方法に対応する非リアルタイム演奏時のスタジ
オ作業として、音色パラメータを編集する動作を説明す
るための動作説明図である。ここでは、パラメータ編集
回路5によって編集された各種のパラメータがパラメー
タ設定回路2に供給され、これによって疑似乱数発生回
路1、グレイントリガ回路4、粒子状信号発生回路3お
よびサウンドシステム11によって楽音が発生される。
【0037】これと同時に、パラメータ編集回路5によ
って設定されたパラメータがニューラルネットワーク回
路7の入力情報として供給され、このニューラルネット
ワーク回路7からの出力は結果比較回路8に供給され
て、サウンドシステム11によって得られる実際の楽音
に基づく評価と対応されて、次の「学習」動作の基準デ
ータとされる。このように、図5の動作としてはパラメ
ータ編集回路5によって編集された各種のパラメータに
よってグラニュラーシンセシス方式による楽音を発生す
る部分は従来の方法をカバーする動作と、さらに次の動
作の段階のための基準データを得る動作とを同時に実行
しているものである。
【0038】図6は、本発明による電子楽器の動作のう
ち、グラニュラーシンセシス方式の楽音をリアルアイム
に発生するための動作を説明するための動作説明図であ
る。ここでは、演奏操作情報発生回路6によって、MI
DIのような演奏情報通信回線を経由した実時間演奏操
作情報や、あるいは演奏者の身体的動作を検出するセン
サによる信号検出などの処理によって、演奏者がリアル
タイムに発生する各種の情報を、グラニュラーシンセシ
ス方式のパラメータとして発生する。このパラメータが
ニューラルネットワーク回路7の入力情報として供給さ
れ、ニューラルネットワーク回路7からの出力が各種の
パラメータとしてパラメータ設定回路2に供給され、こ
れによって疑似乱数発生回路1、グレイントリガ回路
4、粒子状信号発生回路3およびサウンドシステム11
によって楽音が発生される。
【0039】これと同時に、ニューラルネットワーク回
路7からの出力は結果比較回路8に供給されて、サウン
ドシステム11によって得られる実際の楽音に基づく評
価と対応されて、次の「学習」動作の基準データとされ
る。このように、図6の動作としては、演奏操作情報発
生回路6によって発生された各種のパラメータによって
グラニュラーシンセシス方式による楽音をリアルタイム
発生するとともに、さらに次の動作の段階のための基準
データを得る動作とを同時に実行しているものである。
【0040】図7は、本発明による電子楽器の動作のう
ち、グラニュラーシンセシス方式の楽音パラメータをニ
ューラルネットワーク回路7が学習する動作を説明する
ための動作説明図である。ここでは、結果比較回路8に
おける基準データとして、図5に示した動作によって得
られた非リアルタイムの編集段階の各種パラメータによ
る楽音発生の評価データと、図6に示した動作によって
得られたリアルタイムの演奏動作の各種パラメータによ
る楽音発生の評価データを基にして、特性学習回路9に
よって、疑似乱数発生回路1から供給される疑似乱数を
用いたバックプロパゲーション学習の手法によって、ニ
ューラルネットワーク回路7の内部ノード同士を結合す
る重みデータを変更していく。この作業はある程度の試
行錯誤によって実行されるが、ニューラルネットワーク
回路7および結果比較回路8をCPUのソフトウェアに
よって実現するだけでなく、具体的な演算回路というハ
ードウェアとして高速化することもできる。
【0041】ニューラルネットワーク回路7が音楽的に
ある程度の完成度のパラメータを生成するためには、図
5に示したような非リアルタイムの編集動作と、図6に
示したようなリアルタイムの演奏動作との組を「教師信
号」として、少なくとも30組程度は与えてやる必要が
あるが、これはパラメータ編集回路5および演奏操作情
報発生回路6によって与えられる各種のパラメータ数の
可能性からするとはるかに少ないサンプル数であり、こ
れだけのサンプルで未知のパラメータ入力に対して有効
な「補間」をしてくれる手段としては、ニューラルネッ
トワークは非常に強力なものである。
【0042】図8は、本発明による電子楽器の動作のう
ち、グラニュラーシンセシス方式の楽音パラメータをニ
ューラルネットワークが学習した状態を記憶・再現する
動作を説明するための動作説明図である。ここでは、パ
ラメータ記憶回路10においては、ニューラルネットワ
ーク回路7の内部パラメータとして、入力層の各ノード
と中間層の各ノードとそれぞれ結合している重みづけデ
ータと、中間層の各ノードと出力層の各ノードとがそれ
ぞれ結合している重みづけデータとをニューラルネット
ワーク回路7から適宜取り出して記憶したり、また以前
の状態を適宜ニューラルネットワーク回路7に再現す
る。
【0043】これによって、バックプロパゲーション学
習のいろいろな段階の学習状態を任意に保存・再生する
ことができるとともに、異なった作曲家がパラメータ編
集回路5によって編集した各種のパラメータごとに対応
したニューラルネットワークを瞬時に再現したり、異っ
た演奏家が演奏操作情報発生回路6によって与えた各種
のパラメータごとに対応したニューラルネットワークを
瞬時に再現したりすることが可能となるが、これは音楽
の創造性の上ではきわめて重要な機能である。
【0044】図9は、本発明による電子楽器の動作のう
ち、グラニュラーシンセシス方式の楽音をリアルタイム
に発生する動作のうち、楽音パラメータのリアルタイム
補間演奏という最大の利点を説明するための動作説明図
である。ここでは、図1の例と同じようなシステムが示
されているが、パラメータ編集回路5、結果比較回路
8、特性学習回路9が不要である点が重要である。
【0045】すなわち、非リアルタイムのスタジオ作業
として、パラメータ編集回路5、結果比較回路8および
特性学習回路9を用いたニューラルネットワークの学習
をあらかじめ完了しておけば、その状態をパラメータ記
憶回路10によって再現できるために、実際の演奏会場
に持ち込む機材(これは一種の「楽器」である)は、パ
ラメータ編集回路5、結果比較回路8および特性学習回
路9の部分を除いたコンパクトなシステムでよいことに
なる。これは、従来の大規模なシステムによるグラニュ
ラーシンセシス方式の欠点を大幅に改善したものであ
る。
【0046】図9においては、演奏操作情報発生回路6
によって、MIDIのような演奏情報通信回線を経由し
た実時間演奏操作情報や、あるいは演奏者の身体的動作
を検出するセンサによる信号検出などの処理によって、
演奏者がリアルタイムに発生する各種の情報がグラニュ
ラーシンセシス方式のパラメータとして発生され、この
パラメータがニューラルネットワーク回路7の入力情報
として供給され、ニューラルネットワーク回路7からの
出力が各種のパラメータとしてパラメータ設定回路2に
供給され、これによって疑似乱数発生回路1およびグレ
イントリガ回路4および粒子状信号発生回路3およびサ
ウンドシステム11によって楽音が発生される。
【0047】ここで重要なのは、あらかじめニューラル
ネットワーク回路7の学習の段階で「教師信号」として
与えられたようなデータとは限らず、演奏者の即興的な
パラメータも発生され、システムにとっては未経験の入
力データを与えられることが多いという点である。従来
のシステムであれば、このような「未定義」パラメータ
に対しては、所定のエラー入力定型処理で対応するか、
あるいは強制的にシステムのパラメータとして解釈する
しかなかったが、これによって音楽的に満足できない、
あるいは不自然な楽音を発生することになって、演奏者
にとって自然な操作を阻害することが多かった。しかし
本発明においては、ニューラルネットワーク回路7が、
事前の学習によって各種の入力パラメータに対する変換
特性を学習しているために、初めて入力されるパラメー
タに対しても、演奏者にとって自然な楽音となるような
パラメータを出力することになる。
【0048】ここで重要なのは、単に入力パラメータ同
士を補間してグラニュラーシンセシス方式の楽音パラメ
ータとして与えるのではなく、本発明によれば、得られ
る楽音同士が補間されるような未知のパラメータを、結
果としてニューラルネットワーク回路7が生成するとこ
ろにある。これによって、演奏者は不自然な楽音発生の
可能性を心配することなく、自由に音楽的即興を駆使し
た演奏操作をすることができ、音楽の創造性にとっては
非常に有効である。
【0049】以上のように、本発明による電子楽器にお
いては、リアルタイムにグラニュラーシンセシス方式の
楽音発生を行なうシステムにおいて、演奏操作の即興性
に対応した柔軟な楽音発生を実現するものであり、グラ
ニュラーシンセシス方式の楽音を音楽において活用する
可能性をもつ新しい楽器を実現するものである。
【0050】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明にかかる電
子楽器によれば、パラメータ編集回路又は実際の演奏操
作情報により設定されたパラメータにより発生した楽音
に対する評価に基いてニューラルネットワークを用いて
学習を行い、学習結果を記憶するようにしたので、グラ
ニュラーシンセシス方式の楽音を音楽において活用し、
また作曲家や演奏家の音楽的創造性や個性に柔軟に対応
する新しい楽器を実現する。これによって音楽性豊かな
電子楽器を提供できるものであり、良質の音楽のための
貢献するところ大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による電子楽器の実施例を示す構成図で
ある。
【図2】グラニュラーシンセシス方式の楽音発生の原理
を説明するための波形図である。
【図3】グラニュラーシンセシス方式の楽音発生に関す
る別の波形図である。
【図4】本発明による電子楽器の動作を説明するための
説明図である。
【図5】本発明による電子楽器の動作のうち非リアルタ
イム演奏時の音色パラメータ編集動作を説明するための
動作説明図である。
【図6】本発明による電子楽器の動作のうちリアルタイ
ム演奏時の動作を説明するための動作説明図である。
【図7】本発明による電子楽器の動作のうちグラニュラ
ーシンセシス方式の楽音パラメータをニューラルネット
ワークが学習する動作を説明するための動作説明図であ
る。
【図8】本発明による電子楽器による動作のうちニュー
ラルネットワークが学習した状態を記憶・再現する動作
を説明するための動作説明図である。
【図9】本発明による電子楽器の動作のうち、グラニュ
ラーシンセシス方式の楽音パラメータのリアルタイム補
間演奏動作を説明するための動作説明図である。
【符号の説明】
1 疑似乱数発生回路 2 パラメータ設定回路 3 粒子状信号発生回路 4 グレイントリガ回路 5 パラメータ編集回路 6 演奏操作情報発生回路 7 ニューラルネットワーク回路 8 結果比較回路 9 特性学習回路 10 パラメータ記憶回路 11 サウンドシステム

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 疑似的な乱数信号を発生する疑似乱数発
    生回路と、 楽音発生に関する各種のパラメータを設定するパラメー
    タ設定回路と、 上記パラメータ設定回路から供給されるパラメータに従
    って粒子状の信号データを発生する粒子状信号発生回路
    と、 上記疑似乱数発生回路から供給される疑似的な乱数信号
    および上記パラメータ設定回路から供給されるパラメー
    タに従って上記粒子状信号発生回路における信号発生を
    トリガするグレイントリガ回路と、 上記パラメータ設定回路における各種パラメータを編集
    または変更するためのパラメータ編集回路と、 演奏時の楽音発生に関する操作パラメータを実時間的に
    発生するためのセンサ検出または通信制御による演奏操
    作情報発生回路と、 上記パラメータ編集回路および上記演奏操作情報発生回
    路から供給される各種パラメータを入力層への入力情報
    とするとともに出力層からの出力情報を上記パラメータ
    設定回路に供給するニューラルネットワーク回路と、 上記ニューラルネットワーク回路からの出力パラメータ
    について、上記パラメータ編集回路の設定に基づく楽音
    発生状態と上記演奏操作情報発生回路の設定に基づく楽
    音発生状態とを比較評価した評価データを出力する結果
    比較回路と、 上記疑似乱数発生回路から供給される疑似的な乱数信号
    および上記結果比較回路から供給される評価データに従
    って学習を行うことにより、上記ニューラルネットワー
    ク回路における隠れ層と出力層の各ノードの重みづけを
    変更する特性学習回路と、 上記特性学習回路によって設定された各ノードの重みづ
    けデータを記憶するパラメータ記憶回路とをそれぞれ具
    備して成る電子楽器。
  2. 【請求項2】 上記パラメータ設定回路で設定されるパ
    ラメータが、上記粒子状信号発生回路から発生される粒
    子状の信号データの形状であることを特徴とする請求項
    1記載の電子楽器。
  3. 【請求項3】 上記パラメータ設定回路で設定されるパ
    ラメータが、上記粒子状信号発生回路から発生される粒
    子状の信号データの平均的な時間的密度であることを特
    徴とする請求項1記載の電子楽器。
  4. 【請求項4】 上記パラメータ設定回路で設定されるパ
    ラメータが、上記粒子状信号発生回路から発生される粒
    子状の信号データの振幅であることを特徴とする請求項
    1記載の電子楽器。
  5. 【請求項5】 上記パラメータ設定回路で設定されるパ
    ラメータが、上記粒子状信号発生回路から発生される粒
    子状の信号データの空間的配置状態であることを特徴と
    する請求項1記載の電子楽器。
  6. 【請求項6】 上記パラメータ設定回路で設定されるパ
    ラメータが、上記粒子状信号発生回路から発生される粒
    子状の信号データの持続時間であることを特徴とする請
    求項1記載の電子楽器。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2020162392A1 (ja) * 2019-02-06 2020-08-13 ヤマハ株式会社 音信号合成方法およびニューラルネットワークの訓練方法
WO2021251364A1 (ja) * 2020-06-09 2021-12-16 ヤマハ株式会社 音響処理方法、音響処理システムおよびプログラム

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