JPH05158089A - 有機非線形光学材料と有機非線形光学素子及びその製造方法 - Google Patents

有機非線形光学材料と有機非線形光学素子及びその製造方法

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JPH05158089A
JPH05158089A JP31934491A JP31934491A JPH05158089A JP H05158089 A JPH05158089 A JP H05158089A JP 31934491 A JP31934491 A JP 31934491A JP 31934491 A JP31934491 A JP 31934491A JP H05158089 A JPH05158089 A JP H05158089A
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organic nonlinear
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Hawaasu Boon
ハワース ボーン
Ichiro Fujiwara
一郎 藤原
Nobutoshi Asai
伸利 浅井
Noriyuki Kishii
典之 岸井
Shinichiro Tamura
真一郎 田村
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 PNAアルキル鎖誘導体有機非線形光学材料
が、ラングミュア・ブロジェット(LB)法により作製
された疎水性基と親水性基とが交互に積層された有機薄
膜を有機非線形光導波路とする有機非線形光学素子を得
る。 【構成】 下記の化学式で表され、20≦n<35とさ
れた化合物を含む単分子層が複数層積層された有機薄膜
2を用いて形成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光通信、光ディスク、
光情報処理などの光エレクトロニクスシステムにおいて
重要なキーデバイスとなる有機非線形光学材料と有機非
線形光学素子及びその製造方法に係わる。
【0002】
【従来の技術】非線形光学材料は、この材料を透過した
光が高調波に変換されることから、波長変換素子、光変
調器等の素子材料としての使用が期待されている。特に
有機非線形光学材料は、大容量の情報を伝達・処理する
ことを目的とした光エレクトロニクスデバイスのキー材
料として注目されている。無機材料による非線形光学現
象が格子振動に起因しているのに対して、有機材料の非
線形光学現象はπ電子の共役に起因するため、この有機
非線形光学材料を用いることにより高い応答性と大なる
光学定数が得られ、高性能な非線形光学素子を得ること
が可能となる。また、有機材料は構造の多様性に富んで
いるため、材料開発の上でも期待がかけられており、こ
れまでにも実際に無機材料を凌ぐ非線形光学特性を示す
有機非線形光学材料が得られている。
【0003】一方、有機非線形光学材料を用いた有機非
線形光学素子を実現するためには、材料の薄膜導波路化
が必須となる。しかしながら、上述した高い非線形光学
定数をもつ有機材料の薄膜化技術は未だ検討段階であ
り、現状では確立されていない。
【0004】この有機材料の薄膜化技術として有力な手
法としてラングミュア・ブロジェット法(LB法)があ
る。LB法とは、両親媒性分子(分子内に親水性基と疎
水性基を合せ持つ)を水面に展開して単分子膜を形成
し、この単分子膜を一定の二次元的圧力で押しながら、
平板をこの単分子膜を通過して垂直に上下させることに
より、平板表面に一定の層数だけ移しとって累積膜を形
成する方法である。
【0005】このLB法により良好な有機薄膜を得るに
は、両親媒性分子が必要である。従来非線形性が大きい
有機低分子材料をこのLB法を用いて薄膜導波路化する
試みは多くなされてきたが、これまで良好な非線形特性
を示す有機薄膜が得られた例はまだ極めて少ない(Japa
nese Journal of Applied Physics(vol 26 No.10 Octob
er,1987,pp1622−1624) )。
【0006】例えば、R.Sanchez-Morillo らによってPr
ogress in Colloid and Polymer Sciences(Vol 82, 199
0, pp111-113)誌においては、公知の有機非線形光学材
料である4−ニトロアニリン(PNA)のアミノ基の部
分に炭素数18のアルキル鎖を付加した材料N−オクタ
デシル−4−ニトロアニリン(C18−PNA)の単分
子膜の検討結果が述べられているが、単独のLB膜とし
ての累積には成功していないため、他の分子(例えばア
ラキン酸)との混合物をLB膜として累積した結果を報
告している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】以上述べてきたよう
に、高い非線形性をもつ有機低分子化合物をLB法を用
いて累積し、非線形光導波路を実現する試みはなされて
きたが、良好な非線形光学特性を有する有機薄膜光導波
路はまだ得られていない。上述したPNAにアルキル鎖
を付加した誘導体においては、以下の問題点が存在す
る。
【0008】第1に、分子材料系特にアルキル鎖の長さ
及びLB膜の累積条件が最適化されていないなどの理由
のため、良好なLB膜を作製することができない。
【0009】第2に、良好な有機非線形光導波路が作製
されていないため、C18−PNAのLB膜の非線形光
学特性評価が行われていない。
【0010】本発明は、かかる実情に鑑みて提案された
ものであり、PNAを基本とした有機非線形光導波路に
最適なPNAアルキル鎖誘導体有機非線形光学材料系を
見出し、この材料系をLB法を用いてY型LB膜即ち疎
水性基と親水性基とが交互に逆向きに積層されたLB膜
を作製して有機材料を薄膜化し、これにより有機非線形
光導波路を作製して、この光導波路を用いた有機非線形
光学素子を得ることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明による有機非線形
光学材料は、下記の化1で示され、20≦n<35とし
て構成する。即ち分子内に非線形感受性の高い部分(4
−ニトロアニリン)と、アミノ基に結合した長鎖アルキ
ル部分(直鎖脂肪族炭化水素、炭素数21以上35未
満)とを有して構成する。
【0012】
【化1】
【0013】また本発明による有機非線形光学素子は、
上述の化1で表され、20≦n<35とされた化合物を
含む単分子層を複数層積層して構成した有機薄膜を用い
て形成されて成る。
【0014】更にまた本発明の他の一による有機非線形
光学素子の製造方法は、上述の有機薄膜をラングミュア
・ブロジェット法(LB法)を用いて作製する。
【0015】
【作用】上述したように、本発明有機非線形光学材料
は、PNAアルキル鎖誘導体の分子構造を最適化するも
ので、即ちアルキル鎖の長さを炭素数21以上と長く
し、且つ35未満とすることによって、分子内の親水性
基と疎水性基とのバランスを改善し、LB膜特にY型の
LB膜を累積し易い分子構造の有機非線形光学材料を得
ることができることが、本発明者等の鋭意考察研究の結
果判明した。これは次の理由に因るものと思われる。
【0016】良好なY型LB膜を累積するためには、水
面上で安定な単分子膜を作製することが必要で、そのた
めには材料面及び累積条件の最適化が必要である。一般
に、アルキル鎖の炭素数を長くすると、分子内の疎水性
が増加し、水面上の単分子膜のコラプスを生じる表面圧
が増大することが知られている。従って、従来の有機非
線形光学材料がLB膜として累積できない原因の1つと
して、コラプス表面圧が低すぎることがあり、PNAア
ルキル鎖誘導体のアルキル鎖を長くすること即ち炭素数
を21以上とすることによって、水面上の単分子膜コラ
プス表面圧を上げ、単分子膜を安定にするものと思われ
る。
【0017】また、このPNAアルキル鎖誘導体のアル
キル鎖が長すぎる即ちその炭素数が36以上のときは、
そのバランスが悪くなるため、LB膜を成膜する際に累
積しにくくなるものと思われる。
【0018】このようにして得られたPNAアルキル鎖
誘導体LB膜は、非線形光導波路として作用し、この非
線形光導波路を用いて良好な特性を示す有機非線形光学
素子特に2次の非線形光学効果を用いたSHG (Second
aryHarmonic Generation)素子、光変調器等の各種光導
波路デバイスを得ることができる。
【0019】
【実施例】以下、本発明実施例を詳細に説明する。この
例においては、炭素数22のアルキル鎖を有するPNA
誘導体(C22−PNA)を用いた場合の実施例を以下
の実験結果に基いて、イ)有機非線形光学材料の合成、
ロ)薄膜光導波路化技術、ハ)非線形光学特性の測定、
ニ)有機非線形光学素子の作成及び評価の順序で説明す
る。
【0020】イ)有機非線形光学材料の合成 本実施例においては、有機薄膜光導波路に適した有機非
線形光学材料として、下記の化2に示すPNA誘導体を
用いた。
【0021】
【化2】
【0022】この有機非線形光学材料C22−PNA
は、4−ニトロアニリン(PNA)及び臭化ドコシルと
を反応させて合成した。PNA1g(0.082モ
ル)、及び臭化ドコシル2.8g(0.072モル)を
10mlのジオキサンに溶解し、加熱環流する。固体の
水酸化ナトリウムを1g添加し、テトラn−ブチルアン
モニウムブロミド0.1gを添加し、2時間反応を行
う。水を加えて反応を停止させた後、溶媒を蒸発させて
除き、更に水洗して、水酸化ナトリウム、テトラn−ブ
チルアンモニウムブロミドを除去する。この後アセトン
から再結晶し、2.7g(4−ニトロアニリンに対して
85%の収率)の目的物(N−ドコシル−4−ニトロア
ニリン、C22−PNA)を得た。この材料の融点は8
8〜89℃であった。
【0023】ロ)薄膜光導波路化技術 (1) ラングミュア・ブロジェット(LB)法 次に、この有機非線形光学材料C22−PNAの薄膜光
導波路化について説明する。この場合、LB法を用いた
例で、LB法は公知技術であるが、その概要を以下に示
す。
【0024】分子内に親水性基と疎水性基とを合せ持つ
分子を水面上(サブフェーズ)に浮かべ、横方向から適
当な圧力を加えると、この分子は疎水性基を水面上に、
親水性基を水面下にして、規則正しく配列した単分子膜
を水面上で形成する。このようにして単分子膜を水面上
に保持し、ガラス基板等の固体基板をこの単分子膜に対
して垂直方向に上下させると、この基板上の単分子膜が
移しとられ、累積される。このような有機薄膜の成膜法
をLB法という。
【0025】(2) 有機非線形光学材料の安定な単分子膜
の作成 本実施例ではこのようなLB法を、ジョイスローブル社
製ジョイスローブルタラフ(商品名)のLB成膜装置に
よって行い、基板の上下移動を始めとしてすべてコンピ
ュータ制御で行った。有機非線形光学材料C−22PN
Aをクロロホルム溶液に溶解させ、濃度0.6mg/m
lの展開溶液を作成する。サブフェーズは純水とし、展
開溶液を200μl水面上に滴下した。
【0026】先ず、この単分子膜の安定性の検討を行う
ため、単分子膜の表面圧−面積曲線(アイソサーム)の
水面依存性を測定した。測定は、単分子膜が壊れる表面
圧(コラプス表面圧)及び面積(コラプス面積)に着目
して行った。この結果コラプス表面圧は、水温が低下す
るにつれて、増大することが分かった。この傾向は単分
子膜の性質として妥当性ある結果である。
【0027】一方、コラプス面積は0.42nm2 とほ
ぼ一定値を示した。コラプス面積は水面上の分子構造の
指標の1つである。アルキル鎖が水面に対して垂直に配
列している脂肪酸の値(0.22nm2 )と比較して、
大きな値になっており、C22−PNAのアルキル鎖は
水面に対して傾いて即ちキンクしていることを示唆して
いる。
【0028】LB膜としての累積性を考えた場合、コラ
プス表面圧が大きいこと、ある一定の累積条件に保持し
た場合の単分子膜面積の経時変化が少ないことが必要で
ある。このような条件を満たす累積条件の一つとして、
水温15℃、表面圧10mN/mを採用した。この累積
条件でのC22−PNA単分子膜の表面圧−面積曲線を
図1に示す。コラプス表面圧は約26mN/mであり、
十分累積可能である。
【0029】次に、水温15℃とし、表面圧を10mN
/mに保持した場合の単分子膜の安定性を検討した。そ
の結果、図2に示すように、表面積は時間が経過すると
共に、徐々に減少する傾向を示しているが、表面積の減
少量は1時間で5%以内であり、十分LB膜としての累
積が可能であることが分かった。
【0030】このように、本発明有機非線形光学材料に
おいては、炭素数を21以上として、即ち上述の化2に
おいてn≧20としてアルキル鎖を長くすることにより
単分子膜のコラプス表面圧を上げると共に、とくに上述
の炭素数22の材料を用いる場合は、単分子膜成膜の際
の水温を15℃程度とし、その表面圧を10mN/mに
保持することによって、単分子膜のコラプス表面圧を増
大し、更にLB膜の累積時に基板移動速度を比較的遅く
することによって、水面上の単分子膜を安定に基板上に
移しとって、成膜化することができる。
【0031】(3) 有機非線形光学材料のLB膜累積実験 次に、LB膜の累積実験を行った。基板としてガラス基
板を用いて、累積前にシランカップリング剤を用いて疎
水化処理を行った後、累積を行った。このように基板表
面を疎水性とすると、累積は基板降下により開始する。
この場合累積時の基板の移動スピードは3〜5mm/m
inとした。図3にこの累積時トレース即ち基板の位置
と累積されて減少した単分子膜の表面積との関係を示
す。図3からわかるように、この累積実験より、累積比
1の良好なY型LB膜が形成されていることを確認し
た。
【0032】ハ)非線形光学特性の測定 次に、本発明有機非線形光学材料の非線形光学特性につ
いて測定した結果を示す。この場合、非線形光学特性の
一例として、累積したC22−PNAのLB膜の2次の
非線形感受率の評価を行った。
【0033】ガラス基板上に両側にLB法によりC22
−PNAを20層累積した試料を作成し、その非線形光
学特性をメイカーフリンジ法にて評価した。
【0034】尚、メイカーフリンジ法は、基体上に積層
された薄膜にレーザ光を照射し、生ずる第2高調波発生
(SHG)、第3高調波発生(THG)の強度を測定す
ると共に、試料を回転させて実効的な厚さ即ち薄膜を透
過する光の光路長を変え、SHG光またはTHG光に起
因するフリンジの干渉パターンを観測するものである。
このメイカーフリンジ法は、位相整合がとれない場合に
も適用できるという利点を有する。
【0035】図4に使用したメイカーフリンジ測定装置
の構成図を示す。この装置は、YAGレーザ14とHe
−Neレーザ15とより成る光源部と、IR(赤外線)
透過フィルタ16、ND(ニュートラルデンシティ)フ
ィルタ17、フレネルロムプリズム18、偏光子19、
レンズ20より成る光学系と、鉛直方向に回転可能なサ
ンプルステージ21、IR吸収フィルタ22、レンズ2
3及び24、検光子25より成る検出部と、リファレン
スのためのディテクタ等より成る光学系26、情報処理
装置27、演算機28より成る解析部とより構成され
る。
【0036】このメイカーフリンジ測定装置によって測
定を行うには、鉛直方向に回転するサンプルステージ2
1上に試料29を載置し、これにYAGレーザ14より
IR透過フィルタ16、NDフィルタ17、フレネルロ
ムプリズム18、偏光子19、レンズ20を通したレー
ザを照射して、IR吸収フィルタ22、レンズ23及び
24、検光子25にて第2高調波、第3高調波を測定す
る。そして、これとリファレンスのためのディテクタ等
より成る光学系26を通したレーザとを情報処理装置2
7、演算機28によって解析し、メイカーフリンジパタ
ーンが測定される。
【0037】例えば非線形光学材料より成る試料が平行
平板状に加工された場合、この試料を回転させてレーザ
光の入射角を変えることにより、この試料を通過するレ
ーザ光の光路即ち試料の実効的な厚さを連続的に変化さ
せて、基本波と高調波の屈折率分散により生じる位相ず
れによって、高調波発生効率が周期的に変化するパター
ンいわゆるフリンジパターンを観測することができる。
【0038】ここで、フリンジパターンについて、SH
G光にのみ着目して説明すると、SHG光の強度S(2
ω) は、媒質即ち試料の実効的な厚さをLとすると、下
記数1のように表される。
【0039】
【数1】
【0040】この厚さLを変化させることによって、フ
リンジパターンを描きながら変化する。従って、試料と
なる薄膜にこのようなフリンジパターンが観測された場
合に非線形特性を有すると判断することができる。
【0041】この例においては、先ずガラス基板の測定
を行って非線形を示さないことを確認した後、この基板
上の本発明有機非線形光学材料即ちC22−PNAのL
B膜の測定を行った。図5にこのLB膜をガラス基板上
に20層累積した試料の典型的なメイカーフリンジパタ
ンを示す。図5においては、レーザ光は基板に対して水
平に偏光させて入射させ、SHG光の測定も入射光と同
一偏波方向で行った。基板の両面に存するLB膜の2次
の非線形光学特性に基づく明瞭なフリンジパタンが観測
され、本発明有機非線形光学材料C22−PNAは、非
線形光学特性を有することが分かった。
【0042】また、この結果から求められるd定数(非
線形光学定数)の異方性より、C22−PNAのダイポ
ールモーメントは基板に対して水平面内にあり、LB膜
の累積方向とほぼ同一方向に向いていることがわかる。
【0043】ニ)有機非線形光学素子の作成及び評価 (1) 有機非線形光学素子の作成 次に、有機非線形光学材料を用いた非線形光学素子の一
例として、波長変換素子、特に基本波波長が1.06μ
mであるYAGレーザ光が、第2高調波発生により波長
0.53μmの第2高調波光に変換されるSHG素子に
ついて述べる。
【0044】図6及び図7にチェレンコフ型SHG素子
の素子構成を示す各例の略線的拡大断面図を示す。この
場合、SHGの位相整合は、チェレンコフ方式を用いて
いる。チェレンコフ方式は周知の技術であるが、簡単に
説明すると以下のようになる。
【0045】基本波モードが実効屈折率で導波層を伝わ
ると、非線形分極波(SHG波)も同一の位相速度をも
って伝わる。基板のSHG波における屈折率が導波層の
基本波の屈折率よりも低ければ、基板側へある角度で位
相整合されたSHG波は放射される。この非線形分極波
(SHG波)は、自動的に位相整合のとれた方向に派生
され、基本波よりも位相速度が速いためチェレンコフ方
式による位相整合法とよぶ。
【0046】チェレンコフ位相整合方式では、基板の選
択が重要であり、本実施例においては、ガラス基板PC
2(屈折率0.51)を用いた。モード結合理論により
有機非線形材料C22−PNAより成る光導波路の膜厚
を設計し、C22−PNAの膜厚を0.65μmとし
た。図6及び図7において、1は基板を示し、2はC2
2−PNAより成る有機薄膜を示す。
【0047】図6においては、2次元スラブ導波路型の
SHGとして有機非線形光学素子を構成した場合を示
し、図7においては、3次元リッジ導波路型SHGとし
て有機非線形光学素子を構成した場合を示す。2次元導
波路構造を作成する場合は、ガラス等より成る基板上
に、屈折率1.51のフォトレジスト3を周知のフォト
リソグラフィ等の適用によりパターニング形成したもの
である。
【0048】この場合においても、各例共に、LB膜を
前述したジョイスローブルタラフ(商品名)により累積
成膜した。累積条件は、上述の測定条件と同様に行っ
た。
【0049】(2) 有機非線形光学素子の特性評価 次に、このようにして得られた有機非線形光学素子即ち
SHG素子の特性評価を行った。この場合、プリズムを
用いてYAGレーザ光を光導波路即ちこの場合図6及び
図7における有機薄膜2に導入し、この導波路から出て
くるSHG光をフォトマルチプライヤーで検知して素子
評価を行った。その結果各素子ともに、波長0.53μ
mのSHG光を観測することができた。
【0050】従って、このことから、C22−PNAを
その光導波路薄膜材料として用いた有機非線形光学素子
は、波長変換素子として十分な機能を有することがわか
る。そして、この有機非線形光学素子を用いて、上述の
SHG素子の他、THG素子、或いは光変調器等の種々
の光導波路素子を構成することができる。
【0051】また、本実施例においては、有機非線形光
学材料として炭素数が22であるC22−PNAについ
てその作成、成膜、導波路化及び特性評価を行ったもの
であるが、本発明はその他上述の化2で表される即ちア
ルキル基が所定の炭素数とされたPNAアルキル鎖誘導
体であれば、いずれの場合においても同様に良好な特性
を発揮する非線形光学材料及び非線形光学素子が得られ
ることは言うまでもない。
【0052】
【発明の効果】上述したように、本発明による有機非線
形光学材料によれば、炭素数を21以上として、即ち上
述の化2においてn≧20としてアルキル鎖を長くする
ことにより単分子膜のコラプス表面圧を上げることがで
きるものであり、これをLB法により成膜することによ
って、単分子膜を安定に基板上に移しとって、成膜化す
ることができるものである。
【0053】特に、LB法により成膜する際の水温を1
5℃程度、表面圧を10mN/mとし、更に基板移動速
度を3〜5mm/minと比較的遅くすることによっ
て、単分子膜のコラプス表面圧を更に増大することがで
き、安定にLB膜を得ることができるものである。
【0054】そして、この有機材料による有機薄膜を光
導波路とする本発明有機非線形光学素子によれば、高効
率な波長変換素子(SHG)、高速光変調器を実現でき
て、このような非線形光学デバイスを用いて、現状より
更に大容量の光ディスクシステム、光通信システムを構
成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明有機非線形光学材料の表面圧−面積曲線
を示す図である。
【図2】本発明有機非線形光学材料の分子占有面積の時
間依存性を示す図である。
【図3】本発明有機非線形光学材料のLB膜の累積トレ
ースを示す図である。
【図4】メイカーフリンジ測定装置の一例の略線的構成
図である。
【図5】本発明有機非線形光学材料のメイカーフリンジ
パタンを示す図である。
【図6】本発明有機非線形光学素子の一例の略線的拡大
断面図である。
【図7】本発明有機非線形光学素子の他の例の略線的拡
大断面図である。
【符号の説明】
1 基板 2 有機薄膜 3 フォトレジスト
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岸井 典之 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 田村 真一郎 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の化学式で示され、20≦n<35
    とされたことを特徴とする有機非線形光学材料。
  2. 【請求項2】 下記の化学式で表され、20≦n<35
    とされた化合物を含む単分子層が複数層積層された有機
    薄膜を用いて形成されて成ることを特徴とする有機非線
    形光学素子。
  3. 【請求項3】 上記請求項2に記載の有機非線形光学素
    子の有機薄膜をラングミュア・ブロジェット法を用いて
    作製したことを特徴とする有機非線形光学素子の製造方
    法。
JP31934491A 1991-12-03 1991-12-03 有機非線形光学材料と有機非線形光学素子及びその製造方法 Pending JPH05158089A (ja)

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JP31934491A Pending JPH05158089A (ja) 1991-12-03 1991-12-03 有機非線形光学材料と有機非線形光学素子及びその製造方法

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JP (1) JPH05158089A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09162810A (ja) * 1995-12-12 1997-06-20 Tokin Corp 光送受信アンテナ装置

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JPH09162810A (ja) * 1995-12-12 1997-06-20 Tokin Corp 光送受信アンテナ装置

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