JPH05142273A - 試料表面のインピーダンス測定方法及び装置 - Google Patents

試料表面のインピーダンス測定方法及び装置

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JPH05142273A
JPH05142273A JP3339277A JP33927791A JPH05142273A JP H05142273 A JPH05142273 A JP H05142273A JP 3339277 A JP3339277 A JP 3339277A JP 33927791 A JP33927791 A JP 33927791A JP H05142273 A JPH05142273 A JP H05142273A
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sample
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reflection
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敏明 松井
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 この発明は、マイクロ波〜サブミリ波領域で
高反射率特性を示す超低損失薄膜素材等の表面インピー
ダンスを高精度に測定する方法、及び測定装置を提供す
ることにある。 【構成】 同じように作られた一対の凹球面反射鏡を対
向させ共振器を形成し、その間隔を変化させるための移
動機構、被測定用平面鏡試料を保持し、該共振器の半
分の共振器の一方の平面反射鏡となるように光軸上の中
央に設置し、当該共振器の鏡面間隔を変化させるための
移動機構と、平面鏡試料を光軸上から除去する移動機構
と、上記共振器を励振するための信号供給手段と、反射
信号波を検出、処理するための信号処理手段と、からな
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、高導電性材料や誘電
体多層膜等を用いたマイクロ波〜サブミリ波帯の反射鏡
面材料や、超高周波薄膜回路素子に適した超低損失素材
の開発に必要な導体材料及び超伝導材料等の高周波特性
を精密測定評価するための球面反射鏡を用いて構成され
る高Q値の反射型開放共鳴器による表面インピーダンス
測定方法及び測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】この発明は、さきに出願した「偏光反射
特性を利用した開放共鳴器」(出願番号昭62−251
469)及び米国特許”Open Resonator
for Electromagnetic Wave
s Havinga Polarized Coupl
ing Region”(米国特許登録番号 第5,0
12,212号、1991.4.30登録)に関連した
発明である。
【0003】微小結合孔による電磁波の微弱な結合は、
マイクロ波共振器の結合法として従来からよく用いられ
ている。球面反射鏡を用いたミリ波開放共鳴器では波長
に比べ小さな結合孔を調整し10以上の高Q値を比較
的容易に達成できる特徴がある。二つの球面反射鏡また
は、そのうちの一方を平面鏡とした一対の反射鏡を互い
に対向させ双方の鏡面間に於ける反射波が再合成される
ように配置した共振器では、共振器内に蓄積されるエネ
ルギーは光軸にそって分布し、中心で高く中心軸から離
れるにしたがって急激に低くなる軸対称なガウシアンビ
ームの形で存在することが知られている。
【0004】これに対し、従来の微小結合孔による方式
では結合孔を通過し開放共鳴器内部へ放射される電磁波
は微小な開口部で強い回折効果を受け開放共鳴器内部の
空間に広い角度で拡散される。そのため、微小結合孔か
ら開放共鳴器内部へ入った電磁波信号のうちの大部分は
開放共鳴器の外に失われ、信号全体のうち有効に変換さ
れ基本共振モードTEMooqのエネルギーとして蓄積
されるのが、その信号電力の極一部分に限られる基本的
な欠陥があった。さらに、従来の微小結合孔による方式
では、結合孔径を小さくし、より高いQ値を得ようとす
れば、それと引き換えに共振モードTEMooqの励振
効率を急激に低下させる結果となる困難な問題があっ
た。
【0005】従来、球面鏡を用いるミリ波サブミリ波の
開放共鳴器では高Q値を達成するために要求される極微
弱な結合強度の調整が、加工精度上の問題から重大な困
難となっていたが、球面反射鏡の中央部に高反射率の部
分透過性の結合領域を設けるさきの発明による開放共鳴
器の構成手法により、高い設計性と制御性によって容易
に実現できるようになり、さらに共振器として重要な共
振器モードの高い励振効率が高Q値と同時に達成できる
ようになった。
【0006】球面反射鏡を用いて構成されるミリ波の反
射型開放共鳴器の例としては、Amity(Rev.S
ci.Inst.Vol.41,pp1492−149
4,1970)による電子スピン共鳴分光用(75GH
zの)共振器と、Mylerら(J.Phys.E V
ol.13,pp289−291,1980)による開
放共鳴器を構成する一方の平面鏡自身を被測定試料とし
た伝導電子のスピン共鳴(CESR)の研究のための3
4GHzの共振器が知られている。これらはいずれも結
合孔方式を用いる反射型測定用であるため結合孔を小さ
くし、弱い結合として高Q値を得ようとしても、それと
引き換えに共振器モードの励振効率を大きく損なうこと
になり、反射型の開放共鳴器として利用できなくなる。
そのため比較的強い結合を用いていると考えられ球面鏡
を用いたミリ波の開放共鳴器としては、特別低い数千以
下のQ値の共振器となっている。
【0007】導波管接合部をもつ球面鏡1と平面反射鏡
2からなる従来方式の反射型開放共鳴器の構成を図1
(a)(b)に示す。図1(a)は、導波管3と球面反
射鏡面1との間の接合部に大きめの結合孔4を用いたA
mityやMylerらの反射型開放共鳴器を示してお
り、この場合には結合孔4から開放共鳴器内部へ放射さ
れる信号電磁波5の回折効果による共振器モード励振効
率の低下はそれほど深刻ではなく、共振点付近での反射
波の変化としては反射型測定に必要な程度のS/N比を
確保できる。しかし、球面反射鏡中央部に大きめの結合
孔4を設けているため、鏡面反射率は低下し開放共鳴器
のQ値は低い値となる。
【0008】これに対し、表面反射の微小な差を高感度
に検出するためには、高Q値の開放共鳴器による測定系
を用いる必要があるが、図1(b)は従来からの結合孔
方式により信号電磁波の波長に比較し小さな結合孔4’
を用い高Q値を得る場合の構成を示す。この場合、球面
反射鏡面1’の表面反射率は高くなり10以上の高Q
値を得ることが可能であるが、結合孔4’を通過し開放
共鳴器内部へ放射される信号電磁波5’は微小な開口部
で強い回折効果を受け開放共鳴器内部の空間に広い角度
で拡散され、微小結合孔4’から開放共鳴器内部へ入っ
た信号電磁波5’のうちの大部分は開放共鳴器の外に失
われ、信号電磁波5’全体のうち基本共振器モード7
(TEMooq、ここでqは縦モード数を表す整数であ
る)に有効に変換され共振器のエネルギーとして蓄積さ
れるのは、その極一部分に限られる。そのため、信号源
側で観測する反射波は開放共鳴器内部の共振状態に依存
した微弱な干渉による僅かな変化が得られるに過ぎず、
共振点付近での反射波の変化から共振器内部の状態の違
いを検出する反射型開放共鳴器としては実用できない。
【0009】一方、最近の高温超伝導材料をはじめとす
る新しい薄膜素材技術の発展にともない、次世代の超高
速エレクトロニクスや通信デバイスの研究に関連して、
超高周波信号のための薄膜回路や機能デバイスに適した
超低損失素材の開発と、それら各種薄膜素材の異方性、
温度、磁場、電流密度等に関する基礎物理特性の評価等
薄膜表面の超高周波電流の輸送特性に関する高感度で高
精度な新しい表面インピーダンス測定方法の開発が重要
となっていた。
【0010】発明者らは、先の発明に於ける高いQ値と
高いモード励振効率が得られる特徴を生かし、平面鏡自
身を被測定用鏡面試料とする反射型開放共鳴器を構成
し、温度、磁場、周波数、電流密度、光等の各種の物理
的作用による微小な表面抵抗の発生やインピーダンスの
変化を高感度に検出しミリ波サブミリ波帯の超高周波領
域における素材特性や物性を測定するための高性能な技
術的手法の研究を進めてきた(The 13th In
ternational Conferenceon
IR & MM Waves,1988,Honolu
lu,Hawaii,Conference Dige
st SPIE Vol.1039,p199,198
8)。発明者らの研究の結果、先の発明による球面反射
鏡の構成技術(又はそれに準ずる技術)を用いた準光学
的結合部を持つ球面反射鏡を用いることにより、開放共
鳴器の内部の損失の変化を敏感に検出できる高感度な高
Q値の反射型開放共鳴器が実現できることが実証され
た。
【0011】図2は、上記の高反射率準光学的結合部を
持つ反射型開放共鳴器の構成を示す図であり、一つの平
面反射鏡2と、さきに出願した「偏光反射特性を利用し
た開放共鳴器」(出願番号昭62−251,469)及
び米国特許”Open Resonator for
Electromagnetic Waves Hav
ing a Polarized Coupling
Region”(登録番号 第5,012,212号、
1991.4.30登録)に開示の球面反射鏡8、ある
いは鏡面中央に高反射率で波長に比べ十分大きな径の円
形結合領域9を設けた同様な球面反射鏡8を対向させ半
対称型開放共鳴器とした構成である。この場合、球面反
射鏡8は高反射率の鏡面とすることが可能であり10
以上の高Q値が容易に実現可能であり、同時に大きな径
の結合領域9における回折効果は小さくなり励振ビーム
10から共振器モード7への変換損失を低く保つことが
できる。共振時には結合領域9からの反射波11と開放
共鳴器内部に蓄積された電磁波成分のうち準光学的結合
部9からしみ出る信号波12との干渉による共振ディッ
プは十分なS/N比をもって観測される。ここで被測定
用鏡面試料2は、ヒートシンク13との間に十分な熱的
接触が保たれておりその温度制御により鏡面試料2の温
度設定がなされる。
【0012】しかし、超伝導材料等の表面抵抗の温度特
性等を測定する場合、被測定用平面鏡の反射特性の変化
とは別に、球面鏡の温度や測定周波数さらに共振の縦モ
ード数の違いにより球面反射鏡の実効的な表面反射率の
変化が生じ、測定Q値に直接影響する問題があった。従
来の測定方法では、これら各種の損失とその変化の影響
を分離するのが困難であり被測定鏡面素材の高周波特性
を正確な表面インピーダンスの値として得るのは不可能
であった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】以上述べたように超高
周波用薄膜素材研究やその応用研究また基礎物性研究の
分野にあっては、マイクロ波〜サブミリ波領域で高感度
で正確な表面インピーダンス測定ができる新しい精密測
定技術の開発が要請されている。
【0014】この発明は、上記の事情に鑑みてなされた
もので、高反射率特性を示す鏡面試料の表面インピーダ
ンスを高精度に測定する方法及び測定装置を提供するこ
とを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】この発明は、反射鏡中央
部の電磁波結合部として波長に比較して小さな周期構造
を形成した円形の部分透過性反射鏡面部分をもつ同じよ
うに作られた一対の凹球面反射鏡の一方を主反射鏡とし
て用い、被測定用平面鏡試料と対向させ、反射型開放共
鳴器を構成し、さらに当該平面鏡を対称面とする主反射
鏡と対称な位置にもう一方の球面反射鏡を鏡面反射損失
較正用として配置し、主反射鏡と被測定用平面鏡試料と
で形成される反射型開放共鳴器のQ値測定と、平面鏡試
料を光軸上から除去し、同じように作られた一対の球面
反射鏡で構成される開放共鳴器のQ値の測定とを行い球
面反射鏡の反射損失を求め、被測定用平面鏡試料の共振
位置の測定から位相項を求めることで被測定用平面鏡試
料の高周波表面インピーダンスの値を得る測定方法であ
る。
【0016】またこの発明は、同じように作られた一対
の凹球面反射鏡を対向させその間隔を変化するための移
動機構をそなえた共振器の構成と、共振器を励振するた
めの信号源と当該共振器からの反射信号波を検出するた
めの検出器と当該信号波を導くためのビームガイド系
と、少なくとも2つの被測定用平面鏡を保持し、それぞ
れについて当該共振器の半分の共振器長の共振器を構成
しその一方の平面反射鏡となるよう光軸上の中央に設置
し、鏡面間隔を変化させるための移動機構と、さらに被
測定用平面鏡を光軸上から除去するための移動機構とを
持つ構成と、当該一対の球面反射鏡がその中央部に基本
共振モードの鏡面上スポット径と同じ程度の円形の部分
透過性結合部をそなえ、またその結合部は測定する電磁
波の波長より小さな周期構造を用いて形成された反射鏡
面であることを具備したことを特徴とする表面インピー
ダンス測定装置である。
【0017】
【作用】上記測定方法に依れば、主反射鏡面と被測定用
平面鏡とで形成される反射型開放共鳴器の測定から、主
反射鏡面での反射損失に対応するQmと、被測定用平面
鏡面での反射損失に対応するQsとの合成Q値が得ら
れ、さらに被測定用平面鏡試料を光軸上から除去し、同
じように作られた一対の球面反射鏡で構成される開放共
鳴器のQ値測定から、そのときの主反射鏡面での反射損
失に対応するQmを求め、被測定用平面鏡での反射損失
に対応するQsが得られることから表面インピーダンス
の絶対値を求め、さらに共振周波数と共振位置の精密な
対応から反射に於ける位相項を求めることで被測定用平
面鏡試料の高周波表面インピーダンスを精密に測定する
ことができる。
【0018】また上記構成の測定装置に依れば、同じよ
うに作られた一対の凹球面反射鏡の一方と被測定用平面
鏡とによる反射型開放共鳴器を構成し、Q値の測定を行
いさらに当該平面鏡を対称面とする主反射鏡と対称な位
置にもう一方の球面反射鏡を配置し、被測定用平面鏡を
光軸上から除去してQ値を測定することで凹球面反射鏡
面上での反射損失を求め被測定用平面鏡試料の反射損失
の絶対値を得て、共振器長に対応する共振位置の精密測
定から反射における位相項を求めることができ、あわせ
て被測定用鏡面試料の高周波表面インピーダンスの値を
得ることができる。
【0019】
【実施例】以下、この発明の実施例について、図面を参
照して詳細に説明する。
【0020】図3は、本発明による表面インピーダンス
測定方法の原理を説明するための図である。図3(a)
は、反射鏡の中央部に波長に比較し、はるかに小さな周
期構造により形成された円形の部分透過性結合領域9を
持つ同じように作られた一対の凹球面反射鏡14と15
の一方を主反射鏡14として用い、被測定用の平面鏡試
料16と対向させて構成した反射型開放共鳴器を示す。
これに対し、図3(b)は被測定用の鏡面試料16を除
去し、当該平面鏡16の鏡面に対し主反射鏡14と対称
な位置に当該反射鏡14と同じように作られた球面反射
鏡15を配置し構成した開放共鳴器を示す。この場合、
当該一対の球面反射鏡14と15および平面鏡試料16
の開口径は鏡面上でのビームスポットサイズに比較し4
倍以上〜6倍程度に選ばれており、鏡面間にガウシアン
ビームTEMooqモード7の形で蓄積される電磁波エ
ネルギーの一部が反射鏡面の縁からこぼれ出る損失、す
なわち回折損失は極微小量であり、その他の損失に比較
し十分無視できるように設定されている。
【0021】共振器のQ値は、モードに蓄えられている
エネルギーをUと、単位時間内の損失−dU/dtとの
比に、電磁波周波数ωを乗じたものとして次式の様に与
えられる。 球面鏡14と平面鏡試料16の距離をDとし、その間を
一往復横断するごとの損失率をLとすれば、単位時間当
りの損失は となる。ここで、cは真空中の光速度、nは開放共鳴
器内媒質の屈折率である。(2)式を用いて(1)式を
書き直せば、 となる。図3(a)の開放共鳴器の全損失率Lは球面共
14での反射に於ける損失率LM1と平面鏡試料16で
の反射に於ける損失率L、及び回折効果による損失率
の和で与えられるが、この場合回折損失が無視でき
=0 とおけるものとすれば、図3(a)の共振器
のQ値をQとすれば、 の様に与えられる。
【0022】次に、平面鏡試料16を除去し代わりに同
じ光軸6上に球面共14と2Dの間隔を隔てた位置に、
それと同じように作られた対をなす球面鏡15を配置し
た構成としたのが図3(b)の開放共鳴器である。この
場合、図3(b)の共振モードは図3(a)の場合半対
称なモード7であるのに対し、対称な2倍のモード(7
+7’)を形成しており、球面反射鏡14の鏡面上での
ビームスポットサイズは図3(a)(b)のいずれの場
合においても不変であり球面反射鏡15の鏡面上のそれ
と同じである。図3(b)の開放共鳴器のQ値をQ
すれば、共振器長が2Dであること、球面反射鏡15で
の反射に於ける損失率LM2を用い で与えられる。球面反射鏡14と15の鏡面制作には、
高い制御性をもつ最新の薄膜技術を用いることができ、
その損失率LM1とLM2が同じになるように作られ
る。球面鏡14と15の微少な特性上の差を含めて一般
的に扱うために、微小な係数αを用いて損失率LM2とおくことができる。ここで、α<<1である。
【0023】(4)(5)(6)式から、平面鏡試料1
6での反射損失率Lとなる。したがって、(7)式の関係を用いて図3
(a)の構成の開放共鳴器のQ値(Q)と、(b)の
構成の開放共鳴器のQ値(Q)の測定値から平面鏡試
料16の鏡面反射における損失率Lの絶対値を求める
ことができる。球面鏡14と15の損失率LM1とL
M2に差がなく、α=0とおける場合には、 となる。
【0024】反射係数Γは振幅|Γ|に位相θを含めて
複素数で表し、 と置くことができる。反射波の振幅は入射波のそれより
大きくないから、|Γ|≦1であり(8)式で表される
反射係数Γは複素平面上の単位円周上の点または、単位
円内部の点を表す。反射係数Γは、自由空間に置かれた
平面の表面インピーダンスZ、自由空間インピーダン
スZ(〜377Ω)と で関係づけられる。表面インピーダンスZと置き、(8)(11)式を(10)式に代入すれば となり、両辺の実数部と虚数部がそれぞれ等しいとおけ
で与えられる。
【0025】電力反射率は|Γ|であるから平面反射
鏡面での反射に於ける損失率Lとは次式の関係にあ
る。 したがって、図3(a)及び(b)の構成の開放共鳴器
の測定に依り得られたQ値と(7)(15)式の関係を
もちいて、反射係数の絶対値|Γ|を求めることができ
る。また、図3(a)の構成の開放共鳴器において平面
鏡試料16の反射係数Γの位相角θが、θ≠(2n−
1)π(nは整数)である場合には定在波の電界最小点
は平面鏡試料16の鏡面からずれを生じる。ここで、平
面鏡試料16の測定における共振器長Dと、同じ縦モー
ド数qでθ=±πとなる高導電性の金属鏡面であるとし
た場合の共振器長Dとの共振点のずれをδとし、δ=
−Dとすれば、平面鏡試料16の反射係数Γの位相
角θは、電磁波の波長λを用いて、 で与えられる。ここで、2π/λ=nω/cである。
【0026】通常の金属の表面インピーダンスZは、
(11)式で表されるZにおいてR=X=√ωμ
2σで与えられる。ここで、μは真空透磁率であり、
σは金属の導電率である。高い導電率σを持つ金属面で
の反射の場合には|Z/Z|<<1が成立し電力反
射率は、良い近似において で与えられる。(15)(17)式の関係から鏡面試料
16の表面抵抗Rは(7)式で得られる平面鏡試料16
での鏡面反射の損失率Lを用いて で与えられる。一方、磁気壁の場合の様に|Z/Z
|>>1が成立する場合には、電力反射率の近似式は となる。平面鏡試料16の表面インピーダンスは鏡面反
射の損失率Lを用いて、 で与えられる。
【0027】以上の説明で述べたように、本発明の表面
インピーダンス測定方法によれば高Q値の開放共鳴器を
用いることで、高導電性の金属薄膜や超伝導体の表面で
生じる極微少な高周波損失及び、その微小変化を、従来
用いられているいずれの方法よりも高感度に検出できる
ほか、被測定鏡面試料の微少な高周波損失の絶対値と位
相成分を高精度に測定することができる。
【0028】図4は、本発明による表面インピーダンス
測定装置の構成と、その基本的な動作機能を説明するた
めに示した図である。この表面インピーダンス測定装置
は、同じように作られた一対の凹球面反射鏡14、15
を対向させ鏡面間隔を変化させる機構17によって励振
信号波10の周波数に応じた対称形開放共鳴器を構成で
きる一方、少なくも2つの平面鏡試料を保持できる試料
ホルダ25を当該対称形開放共鳴器の光軸6と直交する
方向に移動し、その光軸6上の中央に被測定用平面反射
鏡試料16または16’を開放共鳴器の一方の反射鏡面
と成るように設置し、球面反射鏡14との間隔を変化さ
せ当該対称形開放共鳴器の半分の半対称形開放共鳴器を
構成できるほか、被測定平面鏡試料16または16’を
光軸6上から除去できる移動機構26を備えている。さ
らに、共振器を励振し精密測定を行うための高安定掃引
型信号源19と、ビーム集束用反射鏡20,22及び励
振信号10と反射波11とを分離するサーキュレータ2
1とからなるビームガイド系23、と共振器からの反射
波11を受ける信号検出器24からなる。実際には、測
定制御計算機27からの鏡面位置制御信号29により、
球面反射鏡15及び鏡面試料16,16’の位置は駆動
機構17,18により共振器の構成に必要な鏡面間隔と
なるように設定制御される。つぎに制御計算機27から
の周波数制御信号30により、共振周波数の前後につい
て高安定掃引型信号源19の周波数掃引を行い開放共鳴
器からの反射波11を信号検出器24で受け、制御計算
機27からのデータ制御信号31により制御される信号
処理装置28で積分、平均化作業が行われ共振特性の精
密測定を行い、データ信号32を用いて被測定鏡面試料
16,16’の表面インピーダンスが得られる。
【0029】図5は、本発明による表面インピーダンス
測定装置と、その動作を説明するために示した図であ
る。本発明では被測定鏡面試料の表面インピーダンスの
温度依存性を測定するために、図3に示した開放共鳴器
の部分として、平面鏡試料16の冷媒44による冷却機
能と温度センサー34と、加熱ヒータ33と温度制御装
置43により、被測定鏡面試料ホルダー25に取り付け
られた温度センサー34からの温度信号42に対しヒー
タ電流41を制御することで当該平面鏡試料16の温度
を4.2〜300Kの範囲で設定制御する機能と、対向
させた一対の球面鏡の間に温度差が生じないように保つ
ために球面鏡ホルダー35,36とヒートシンク45と
の間の十分な熱接触を持つ構成と、を具備したことを特
徴とする。
【0030】この場合、一対の球面反射鏡14,15お
よび被測定用平面鏡試料16はすべて断熱真空容器中に
配置されている。冷媒だめ40の中の冷媒44として
は、液体窒素および液体ヘリウムを必要に応じて使い分
けることができる。ここでは、冷媒を用いる場合を示し
たが、その代わりに冷凍機システムによる温度制御に置
き換可能であることはもちろんである。
【0031】共振器を用いる物性測定では一般にQ値が
高いほど高分解能な特性が得られる。現在、球面反射鏡
の鏡面として金属薄膜を用いた場合として、室温におけ
る共振器のQ値として100,000〜300,000
が得られており、反射型開放共鳴器として利用できる。
球面鏡の鏡面材料として金や銅の薄膜のかわりに超伝導
膜を用いた場合、さらに1〜3桁高いQ値が期待でき球
面鏡を超伝導転移温度に比べ十分低い温度に保つ機能と
によって、極微弱現象をさらに高感度に検出できるシス
テムが実現できる。
【0032】被測定鏡面試料16に磁場を加えるための
電磁石と、磁場強度を設定制御する機能とを付加するこ
とによりミリ波〜サブミリ波領域の電子スピン共鳴効果
の測定が可能となる。
【0033】一対の球面鏡14,15による図3(b)
の開放鏡鳴器の構成で、高い対称性を確保することは高
精度な測定に重要である。測定周波数や、共振縦モード
数の変化は、球面鏡14,15上のビームスポットサイ
ズに僅かな変化を与えるほか、球面鏡の電磁波結合部9
からもれ出る結合効率はこれらの変化に依存するため、
鏡面反射率を微妙に変化させる。また、温度変化を伴う
測定では球面鏡自体の反射率が本来温度依存性を持つも
のであり、当該球面鏡の損失を温度、縦モード数、波長
を変えず、その状態のまま測定分離することが決定的に
重要である。特に、広い温度範囲で共振器を用いた測定
が本質的に必要な、超伝導体等の表面インピーダンスの
測定では、極微少な反射損失の絶対値の精密な較正が必
要である。
【0034】以上に述べたように、本発明の方法及び装
置によって従来不可能であったミリ波サブミリ波域の高
精度な表面インピーダンス測定が初めて可能となった。
【0035】次世代の超高速エレクトロニクス用素材と
して超伝導薄膜素材の表面インピーダンス特性は重要な
意味を持っているが、超高精度な測定を実現するために
さきに出願した「偏光反射特性を利用した開放共鳴器」
(出願番号昭62−251,469)及び米国特許”O
pen Resonator for Electro
magnetic Waves Having a P
olarized Coupling Region”
(登録番号 第5,012,212号、1991.4.
30登録)に開示の開放共鳴器技術が高Q値と共振器モ
ードの高い励振効率とを併せもつ特性を生かし、短ミリ
波〜サブミリ波反射型開放共鳴器を開発した。本システ
ムは100GHzと300GHzの周波数帯で超伝導薄
膜や高導電性の金属薄膜等の高反射率鏡面試料をファブ
リペロー型共振器の一方の平面反射鏡として用い、液体
ヘリウム温度から室温までの広い温度範囲で、それらの
微弱な表面損失を精密測定できる。1/1000〜2/
1000の鏡面反射損失を数パーセントの精度で絶対較
正できる。銅薄膜の鏡面を用いた場合の反射損失の測定
限界は室温100GHzで2mΩ弱の程度であり、液体
窒素温度では0.6〜0.7mΩが期待でき高温超伝導
体の表面損失測定では現在報告されているものより最低
一桁高感度である。高周波表面損失の精密測定系として
は最も高い周波数と、最も高いQ値を持つ測定系であ
り、さらに、本システムでは被測定鏡面試料以外の損失
を直接測定し被測定試料面での損失を求める点が他の測
定法に優っている。開放共鳴器による材料測定技術は高
温超伝導薄膜材料等の研究開発を進める上で重要かつ極
めて有効な新しい測定法として利用できることが確認で
きた。球面反射鏡面に高温超伝導薄膜を用いる技術が開
発されれば未踏の超高Q値の計測システムが容易に達成
でき技術的に極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】公知の結合孔方式による開放共鳴器を示す図。
(a)公知のミリ波反射型開放共鳴器を示す図。(b)
開放共鳴器に微小結合孔を組合せた場合を説明するため
に示した図。
【図2】高反射率の準光学的円形結合部を設けた球面反
射鏡を用いた反射型開放共鳴器を示す図。
【図3】本発明による表面インピーダンス測定方法を説
明するために示した図。(a)球面反射鏡と被測定用平
面鏡で構成される半対称形開放共鳴器を示す図。(b)
一対の同じ球面反射鏡で構成される対称形開放共鳴器を
示す図。
【図4】本発明による表面インピーダンス測定装置の構
成と、その基本的な動作機能を説明するために示した
図。
【図5】本発明による表面インピーダンス測定装置の構
成と、その動作を説明するために示した図。
【符号の説明】
1,1’…結合孔を持つ球面反射鏡、2…平面反射鏡、
3,3’…導波管、4,4’…結合孔、5,5’…開放
共鳴器内部へ放射された信号電磁波、6…開放共鳴器の
光軸、7…基本ガウシアンモードTEMooq、8…さ
きの発明に開示の球面反射鏡、9…高反射率の円形結合
領域、10…励振ビーム、11…反射波、12,12’
…共振器内からしみ出る信号波、13…ヒートシンク、
14,15…球面反射鏡、16…被測定用平面鏡試料、
17,18…駆動機構、19…高安定掃引型信号源、2
0,22…ビーム集束用反射鏡、21…サーキュレー
タ、23…ビームガイド系、24…信号検出器、25…
被測定用鏡面試料ホルダ、26…試料交換用移動機構、
27…測定制御用計算機、28…信号処理装置、29…
一制御信号、30…周波数制御信号、31…データ制御
信号、32…データ信号、33…加熱ヒータ、34…温
度センサー、35、36…球面鏡ホルダー、37…真空
窓、38…熱遮蔽板、39…真空壁、40…冷媒だめ、
41…ヒータ電流、42…温度信号、43…温度制御装
置、44…冷媒、45…ヒートシンク
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年1月21日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 試料表面インピーダンス測定
方法及び装置
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、マイクロ波〜サブミ
リ波帯の入射電磁波に対し、100%に近い高反射率を
示す高導電性材料、超伝導体、強磁性材料、各種の薄膜
素材、強誘電体多層膜、等の素材表面で生じる非常に微
少な反射損失を高感度に検出し、高周波電磁界に対する
表面状態を精密測定評価するための高周波電磁界に対す
る試料表面インピーダンス測定方法及びその測定装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】金属材料や超伝導体をはじめ各種の物質
材料のマイクロ波〜ミリ波帯における表面反射の特性を
高精度に測定することは、基礎物性研究や超高周波技術
応用のための素材機能評価、等のために重要な技術であ
る。遠赤外〜ミリ波の領域では、回折格子を使って分光
された単色光を光源とする分光学的方法により鏡面試料
の反射スペクトル特性の測定が行われる。通常、標準反
射鏡面試料として金薄膜やアルミニウム薄膜が用いられ
ており、それらの標準反射鏡面試料からの反射強度と被
測定試料からの反射強度との相対比較により被測定試料
の表面反射率の較正が行われる。
【0003】この同じ波長域での、もう一つの重要な分
光法として、フーリエ変換分光法(Fourier T
ransform Spectroscopy)があ
る。高圧水銀燈から出る広帯域な黒体輻射から一部の波
長帯を切り出した後、直接分光しないで光源として用い
る。被測定鏡面試料からの反射光と他の鏡面からの反射
光との干渉をとり、それを、コンピュータで計算処理し
て分光反射特性を得る。これらは、超伝導エネルギーギ
ャップ付近で大きく変化する表面反射率の波長依存性の
測定に適している。一方これらの弱点は、光源が微弱で
あり波長2〜3mmでは、通常SNの確保が非常に困難
となるほか、高反射率の物質表面で生じる微弱な表面反
射の変化を検出することは不可能である。
【0004】高い反射率を示す同種の被測定試料間の極
微少な反射率の差や、極微弱な表面反射率の変化を高感
度に検出するためには、高周波電磁界と物質表面との相
互作用を多数回繰り返させる共振器による測定法が必要
となる。以下に、現在用いられている、共振器を用いた
表面特性の測定技術の主なものについて述べる。
【0005】超伝導体の高周波表面インピーダンスの高
精度な測定技術は、超伝導エネルギーギャップや、磁場
侵入長等の物性研究上の興昧のほか、超高周波領域での
超低損失特性を生かした高性能デバイス技術応用等のた
めの素材開発にとって非常に重要である。酸化物高温超
伝導体の発見以来、それらの新しい超伝導素材開発とと
もに表面インピーダンスの測定が行われた。図6に、高
温超伝導体表面インピーダンス測定に通常用いられてい
る円筒型空胴共振器の概略を示す。図6(a)は円筒型
空胴共振器の端板の一方を、基準とする金属鏡面(例え
ば銅)と、高温超伝導体等の被測定用鏡面試料とを置き
換えて共振特性を測定するための構成である。図6
(b)は被測定試料として大きな面積のものが得られな
い場合に摂動法による解析を用いる方法である。円筒型
空胴を用いる測定では、主としてTE011モードが使
われるが、これは、このモードが他のモードより高Q値
であることと、電界が円筒軸に対称でかつ円周方向にの
み向いているので円筒部と端板との接触部を通して電流
は流れないため、その端面接触部の電気的特性の差が共
振器Q値に影響を与えないため試料の比較測定上便利で
あることによる。
【0006】円筒型空胴共振器の端板に基準となる金属
鏡面を用いたときの測定Q値をQr、共振周波数をfr
とし、つぎに端板を被測定試料で置き換えたときの測定
Q値をQs、共振周波数をfsとすれば、測定における
変化量から試料の表面インピーダンスZs(=Rs+j
Xs)が相対値として求められる。すなわち、測定Q値
の逆数の差Δ[1/Q](=1/Qs−1/Qr)と、
共振周波数の差Δf(=fs−fr)は試料と基準とな
る金属鏡面とのインピーダンスの差ΔZs(=ΔRs+
jΔXs)に比例する。これは、共振器と試料に関する
定数γを用いてΔ[1/Q]−2j[Δf/f]=γΔ
Zsとかける。この方法による測定は、100GHz帯
でも行われており、その場合の共振器の直径は約4mm
であり、小さな試料の測定が可能で、さらに周波数が高
い分だけ測定感度が良い。
【0007】エネルギーギャップ以下の周波数における
超伝導体の表面抵抗の発生はBCS理論の範囲では、周
波数の自乗に比例して増加することが知られており、超
伝導薄膜材料の微小な表面抵抗の計測には高い周波数で
あるほど高い検出感度が得られる。また、金属の低温に
おける異常表皮効果は物性的に興昧深い問題を含んでい
るが、一般に高い周波数を用いるほど計測に有利であ
る。しかし、従来型の空胴共振器は、基本モードか、あ
るいは極低次のモードの共振器として用いられるのが普
通であり、短ミリ波帯で用いる場合、共振器のサイズは
小さくなりすぎ微弱な共振器結合部の形成が困難とな
り、高Q値の共振器の実現も困難となる。
【0008】さらに、ミリ波帯の空胴共振器で微小孔を
用い極端な疎結合にした場合、微少な結合孔部分での透
過吸収損失は無視し難い量となり、しかもその温度依存
性は複雑になると考えられる。通常、マイクロ波空胴共
振器理論で許される負荷Q値と透過率Tからの無負荷Q
値の換算見積りは不確実な誤差要因を含むものとなる。
【0009】短ミリ波帯で高Q値を達成できる共振器と
して、球面鏡を用いた開放型共振器がある。図1に導波
管接合部をもつ球面鏡1と平面反射鏡2からなる従来方
式の反射型開放共鳴器の構成を示す。図1(a)は、導
波管3と球面反射鏡面1との間の接合部に大きめの結合
孔4を用いた反射型開放共鳴器を示しており、この場合
には結合孔4から開放共鳴器内部へ放射される信号電磁
波5の回折効果による共振器モード励振効率の低下はそ
れほど深刻ではなく、共振点付近での反射波の変化とし
ては反射型測定に必要な程度のS/N比を確保できる。
しかし、球面反射鏡中央部に大きめの結合孔4を設けて
いるため、鏡面反射率は低下し開放共鳴器のQ値は低い
値となる。
【0010】これに対し、表面反射の微小な差を高感度
に検出するためには、高Q値の開放共鳴器による測定系
を用いる必要がある。図1(b)は、信号電磁波の波長
に比較し小さな結合孔4’を用い高Q値を得る場合の構
成を示す。この場合、球面反射鏡面1’の表面反射率は
高くなり105以上の高Q値を得ることが可能である
が、結合孔4’を通過し開放共鳴器内部へ放射される信
号電磁波5’は微小な開口部で強い回折効果を受け開放
共鳴器内部の空間に広い角度で拡散され、微小結合孔
4’から開放共鳴器内部へ入った信号電磁波5’のうち
の大部分は開放共鳴器の外に失われ、信号電磁波5’全
体のうち基本共振器をモード7(TEMooq、ここで
qは縦モード数を表す整数である)に有効に変換され共
振器のエネルギーとして蓄積されるのは、その極一部分
に限られる。そのため、信号源側で観測する反射波は開
放共鳴器内部の共振状態に敏感ではなく、反射型開放共
鳴器としては実用できない。
【0011】発明者らの研究の結果、開放共鳴器の内部
の損失の変化を敏感に検出できる高感度な高Q値の反射
型開放共鳴器が可能であることが実証された(The
13th International Confer
ence onIR & MM Waves,198
8,Honolulu,Hawaii,Confere
nce Digest SPIE Vol.1039,
p199,1988)。高反射率の準光学的結合部を持
つ反射型開放共鳴器の構成を図2に示す。一つの平面反
射鏡2と、米国特許”Open Resonator
for Electromagnetic Waves
Having a PolarizedCoupli
ng Region”(登録番号 第5,012,21
2号、1991.4.30登録)に開示の球面反射鏡
8、あるいは鏡面中央に高反射率で波長に比べ十分大き
な径の円形結合領域9を設けた同様な球面反射鏡8を対
向させ半対称型開放共鳴器とした構成である。この場
合、球面反射鏡8は高反射率の鏡面とすることが可能で
あり10以上の高Q値が容易に実現可能であり、同時
に大きな径の結合領域9における回折効果は小さくなり
励振ビーム10から共振器モード7への変換損失を低く
保つことができる。共振時には結合領域9からの反射波
11と開放共鳴器内部に蓄積された電磁波成分のうち準
光学的結合部9からしみ出る信号波12との干渉による
共振ディップは十分なS/N比をもって観測される。こ
こで被測定用鏡面試料2は、ヒートシンク13との間に
十分な熱的接触が保たれておりその温度制御により鏡面
試料2の温度設定がなされる。しかし、金属や超伝導材
料の表面反射特性の温度依存性を測定する場合、被測定
用平面鏡の反射特性の変化とは別に、球面鏡の温度や測
定周波数さらに共振の縦モード数の違いにより球面反射
鏡の実効的な表面反射率の変化が生じ、測定Q値に直接
影響する問題があった。
【0012】以上に述べたように、従来用いられている
測定方法では基準反射鏡面試料との相対的な反射特性の
違いを求めるか、数値解析による近似や、誤差要因の多
い無負荷Qの見積により被測定試料の表面損失を見積っ
ており、実験的に得られる共振のQ値に含まれる被測定
試料以外の原因による損失の効果を直接分離測定し、目
的とする被測定試料表面での反射損失を正確に換算する
ことが出来なかった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】以上に述べた従来技術
によっては、平均自由行程が古典的なスキンディプスよ
り大きく異常表皮効果の領域の問題となる高反射率金属
薄膜表面の研究や、品質が向上している最近の超伝導薄
膜材料の表面インピーダンス特性の評価では測定技術上
分解能の限界に直面しており、ミリ波〜サブミリ波領域
で高感度で正確な表面インピーダンス測定ができる新し
い精密測定技術の開発が要請されている。
【0014】本発明は、上記の事情に鑑みてなされたも
ので、マイクロ波〜サブミリ波帯の高周波電磁界に対し
高反射率の鏡面素材の微弱な反射損失や、極微小な反射
率の変化を高感度に検出し、金属の場合には実効的なス
キンディプスδを、一般には反射率と位相を含めた試料
表面のインピーダンスを高精度に測定する方法及び測定
装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明による試料表面のインピーダンス測定方法
は、円形の同じ鏡面開口径と同じ曲率半径とを持ち、当
該鏡面中央に形成され測定に用いる高周波電磁界の波長
に比較し小さな周期構造の部分透過性の反射鏡面をなす
円形結合領域のパターンと面積が同じで、かつ鏡面及び
鏡面基板とも全く同じ材料で作られた一対の凹球面反射
鏡の一方を被測定用平面鏡試料と対向させて反射型開放
共鳴器を構成し、該平面鏡面試料を対称面とする反射鏡
と対称な位置に他方の凹球面反射鏡を鏡面反射損失較正
用として配置し、反射鏡と平面鏡試料とで形成される開
放共鳴器のQ値の測定を行い、平面鏡試料を光軸上から
除去し、上記一対の凹球面反射鏡で構成される開放共鳴
器のQ値の測定を行い、両者の測定Q値の差から平面鏡
試料の反射率の絶対値を求め、共振位置の測定から平面
鏡試料面での反射波の位相を求めることから成る。
【0016】又、本発明に依る試料表面のインピーダン
ス測定装置は、円形の同じ鏡面開口径と同じ曲率半径と
を持ち、当該鏡面中央に形成され測定に用いる高周波電
磁界の波長に比較し小さな周期構造の部分透過性の反射
鏡面をなす円形結合領域のパターンと面積が同じで、且
つ鏡面及び鏡面基板とも全く同じ材料で作られ、所定間
隔を保って対向して配置されて共振器を構成する一対の
凹球面反射鏡と、該一対の凹球面反射鏡の間隔を調整す
る反射鏡移動手段と、該一対の反射鏡間の光軸上に一対
の反射鏡の一方と上記共振器とは半分の間隔で共振器を
構成するよう被測定用平面鏡を配置する手段と、該被測
定用平面鏡試料を光軸上から除く手段と、上記二つの共
振器を励振するための信号供給手段と、上記二つの共振
器よりの反射信号波を検出、処理するための信号処理手
段と、から成る。
【0017】
【作用】上記測定方法に依れば、主反射鏡面と被測定用
平面鏡とで形成される反射型開放共鳴器の測定から、主
反射鏡面での反射損失に対応するQmと、被測定用平面
鏡面での反射損失に対応するQsとの合成Q値が得ら
れ、さらに被測定用平面鏡試料を光軸上から除去し、同
じように作られた一対の球面反射鏡で構成される開放共
鳴器のQ値測定から、そのときの主反射鏡面での反射損
失に対応するQmを求め、被測定用平面鏡での反射損失
に対応するQsが得られることから表面インピーダンス
の絶対値を求め、さらに共振周波数と共振位置の精密な
対応から反射に於ける位相項を求めることで被測定用平
面鏡試料め高周波表面インピーダンスを精密に測定する
ことができる。
【0018】また上記構成の測定装置に依れば、同じよ
うに作られた一対の凹球面反射鏡の一方と被測定用平面
鏡とによる反射型開放共鳴器を構成し、Q値の測定を行
いさらに当該平面鏡を対称面とする主反射鏡と対称な位
置にもう一方の球面反射鏡を配置し、被測定用平面鏡を
光軸上から除去してQ値を測定することで凹球面反射鏡
面上での反射損失を求め被測定用平面鏡試料の反射損失
の絶対値を得て、共振器長に対応する共振位置の精密測
定から反射における位相項を求めることができ、あわせ
て被測定用鏡面試料の高周波表面インピーダンスの値を
得ることができる。
【0019】
【実施例】以下、この発明の実施例について、図面を参
照して詳細に説明する。
【0020】図は、本発明による試料表面のインピー
ダンス測定方法の原理を説明するための図である。広い
温度範囲で出来る限り誤差の少ない表面反射損失の較正
を可能とするために、同じ曲率半径と同じ鏡面開口径と
を持ち、当該鏡面中央に形成された部分透過性の反射鏡
面をなす円形結合領域の形状、位置、面積が同じで、か
つ鏡面及び鏡面基板とも全く同じ材料で作られた一対の
凹球面反射鏡14と15を用いる。一対の凹球面反射鏡
面14と15の中央部の円形結合領域9には波長に比較
し、はるかに小さな形状の周期構造による高反射率の部
分透過性鏡面とする。この一対の凹球面反射鏡14、1
5の中央に形成する円形の結合領域9について詳細に説
明する。球面反射鏡の鏡面上の電磁界分布は電磁波の周
波数、球面反射鏡の曲率半径と二つの球面反射鏡の間隔
により決まるため、球面反射鏡の開口径を適当な大きさ
に選ぶことで球面反射鏡間を繰り返し反射する際に反射
鏡面の縁からもれ出るエネルギーを事実上無視できるよ
うに出来る。このような場合、球面反射鏡で構成される
開放共鳴器では、鏡面での反射損失によって共振器のQ
値が決まる。従って、集光作用のある凹球面反射鏡の中
央部に(i)高反射率の部分透過性結合領域を設けるこ
とで、高Q値が確保でき、更に(ii)その結合領域を
球面反射鏡面上のビームスポットの程度に設けることで
波長に比べて大きな結合領域となり、共振器内のモード
に近い信号ビームで励振することで高いモード励振効率
を得ることができる。実際には、高い鏡面精度と高品質
な反射鏡面を得るために、光学研磨したサファイヤや石
英などのミリ波、サブミリ波に対して透明な球面鏡基板
を用い、その表面に金属薄膜又は超伝導体薄膜により反
射鏡面を形成する。球面反射鏡中央部の円形結合領域9
には、金属薄膜又は超伝導体薄膜に覆われた部分と基板
が露出した部分が周期的に繰り返す微細なパターンを設
け、導体薄膜に覆われている部分の間隙から電磁波エネ
ルギーの一部がしみ出る効果を利用し高反射率の部分透
過性結合領域とする。波長に対する微細なパターンの大
きさを、電磁波の波長の1/40〜1/1000の寸法
領域で調整することにより結合領域の高い反射率が選択
でき、パターン化した薄膜を用いることで高反射率の鏡
面からの透過成分の透過吸収損失を大幅に低減できる。
結合領域のパターンとしては、平行ストライプや直交格
子、その他各種のパターンが用いられる。これらの鏡面
上薄膜パターンの加工成形には高度に発達した薄膜プロ
セス技術と微細加工技術が応用できるため100〜60
0GHzのミリ波〜サブミリ波に対しては高い加工精度
による結合部領域の成形ができる。球面反射鏡14、1
5及びその結合領域9を形成する鏡面素材としては表面
反射損失の小さい薄膜材料を用いるのが高Q値を実現す
る上で有利である。特に高純度な銅、金、銀などの金属
材料では室温とヘリウム温度で電気伝導度において数桁
の差が生じることが知られており、幅広く温度領域での
微少な表面損失特性の測定に用いるために鏡面素材の選
択は重要である。高純度金属鏡面からなる球面反射鏡を
低い温度に保つことで、室温のときに比べ二桁高いQ値
の高感度特性計測装置は現実に可能である。さらに、高
品質な超伝導薄膜を用いた球面反射鏡が適している。上
述の如き、一対の凹球面反射鏡のうち、一方の反射鏡
4を主反射鏡として用い、被測定用の平面鏡試料16と
対向させる反射型開放共鳴器の構成を図4(a)に示
す。これに対し、図4(b)は被測定用の鏡面試料16
を除去し、当該平面鏡16の鏡面に対し主反射鏡14と
対称な位置に当該反射鏡14と同じように作られた球面
反射鏡15を配置し構成した開放共鳴器を示す。この場
合、当該一対の球面反射鏡14と15および平面鏡試料
16の開口径は鏡面上でのビームスポットサイズに比較
し4倍以上〜6倍程度に選ばれており、鏡面間にガウシ
アンビームTEMooqモード7の形で蓄積される電磁
波エネルギーの一部が反射鏡面の縁からこぼれ出る損
失、すなわち回折損失は極微小量であり、その他の損失
に比較し十分無視できるように設定されている。
【0021】共振器のQ値は、モードに蓄えられている
エネルギーをUと、単位時間内の損失−dU/dtとの
比に、電磁波周波数ωを乗じたものとして次式の様に与
えられる。 球面鏡14と平面鏡試料16の距離をDとし、その間を
一往復横断するごとの損失率をLとすれば、単位時間当
りの損失は となる。ここで、coは真空中の光速度、nは開放共鳴
器内媒質の屈折率である。(2)式を用いて(1)式を
書き直せば、 となる。図3(a)の開放共鳴器の全損失率Lは球面共
14での反射に於ける損失率LM1と平面鏡試料16で
の反射に於ける損失率L、及び回折効果による損失率
の和で与えられるが、この場合回折損失が無視でき
=0とおけるものとすれば、図3(a)の共振器の
Q値をQmとすれば、 の様に与えられる。
【0022】次に、平面鏡試料16を除去し代わりに同
じ光軸6上に球面共14と2Dの間隔を隔てた位置に、
それと同じように作られた対をなす球面鏡15を配置し
た構成としたのが図3(b)の開放共鳴器である。この
場合、図3(b)の共振モードは図3(a)の場合半対
称なモード7であるのに対し、対称な2倍のモード(7
+7’)を形成しており、球面反射鏡14の鏡面上での
ビームスポットサイズは図3(a)(b)のいずれの場
合においても不変であり球面反射鏡15の鏡面上のそれ
と同じである。図3(b)の開放共鳴器のQ値をQ
すれば、共振器長が2Dであること、球面反射鏡15で
の反射に於ける損失率LM2を用い で与えられる。球面反射鏡14と15の鏡面制作には、
高い制御性をもつ最新の薄膜技術を用いることができ、
その損失率LM1とLM2が同じになるように作られ
る。球面鏡14と15の微少な特性上の差を含めて一般
的に扱うために、微小な係数αを用いて損失率LM2は LM2=(1+α)LM1 (6) とおくことができる。ここで、α<<1である。
【0023】(4)(5)(6)式から、平面鏡試料1
6での反射損失率Lとなる。したがって、(7)式の関係を用いて図3
(a)の構成の開放共鳴器のQ値(Qm)と、(b)の
構成の開放共鳴器のQ値(Q)の測定値から平面鏡試
料16の鏡面反射における損失率Lの絶対値を求める
ことができる。球面鏡14と15の損失率LM1とL
M2に差がなく、α=0とおける場合には、 となる。
【0024】反射係数Γは振幅|Γ|に位相eを含めて
複素数で表し、 Γ=|Γ|exp jθ=u+jv (8) と置くことができる。反射波の振幅は入射波のそれより
大きくないから、|Γ|≦1であり(8)式で表される
反射係数Γは複素平面上の単位円周上の点または、単位
円内部の点を表す。反射係数Γは、自由空間に置かれた
平面の表面インピーダンスZ、自由空間インピーダン
スZ(〜377Ω)と あるいは で関係づけられる。表面インピーダンスZを Z=R+jx (11) と置き、(8)(11)式を(10)式に代入すれば となり、両辺の実数部と虚数部がそれぞれ等しいとおけ
で与えられる。
【0025】電力反射率は|Γ|であるから平面反射
鏡面での反射に於ける損失率Lとは次式の関係にあ
る。 L=1−|Γ| (15) したがって、図3(a)及び(b)の構成の開放共鳴器
の測定に依り得られたQ値と(7)(15)式の関係を
もちいて、反射係数の絶対値|Γ|を求めることができ
る。また、図3(a)の構成の開放共鳴器において平面
鏡試料16の反射係数Γの位相角θが、θ≠(2n−
1)π(nは整数)である場合には定在波の電界最小点
は平面鏡試料16の鏡面からずれを生じる。ここで、平
面鏡試料16の測定における共振器長Dと、同じ縦モー
ド数qでθ=±πとなる高導電性の金属鏡面であるとし
た場合の共振器長Dとの共振点のずれをδとし、δ=
−Dとすれば、平面鏡試料16の反射係数Γの位相
角θは、電磁波の波長λを用いて、 で与えられる。ここで、2π/λ=nω/Cである。
【0026】通常の金属の表面インピーダンスZは、
(11)式で表されるZにおいてR=X=√ωμ
2σで与えられる。ここで、μは真空透磁率であり、
σは金属の導電率である。高い導電率σを持つ金属面で
の反射の場合には|Z/Z|<<1が成立し電力反
射率は、良い近似において で与えられる。(15)(17)式の関係から鏡面試料
16の表面抵抗Rは(7)式で得られる平面鏡試料16
での鏡面反射の損失率Lを用いて、 で与えられる。一方、磁気壁の場合の様に|Z/Z
|>>1が成立する場合には、電力反射率の近似式は となる。平面鏡試料16の表面インピーダンスは鏡面反
射の損失率Lを用いて、 で与えられる。
【0027】以上の説明で述べたように、本発明の高周
波電磁界に対する試料表面インピーダンス測定方法に
よれば高Q値の開放共鳴器を用いることで、高導電性の
金属薄膜や超伝導体の表面で生じる極微少な高周波損失
及び、その微小変化を、従来用いられているいずれの方
法よりも高感度に検出できるほか、被測定鏡面試料の微
少な高周波損失の絶対値と位相成分を高精度に測定する
ことができる。
【0028】図は、本発明による高周波電磁界に対す
る試料表面インピーダンス測定装置の構成を示す。こ
の表面インピーダンス測定装置は、同じ素材を用い全く
同じように作られた一対の凹球面反射鏡14、15を対
向させ共振器を構成する。一方の反射鏡15はホルダー
36に設置され、駆動機構17により矢印に示すように
前後方向に移動して、球面反射鏡14との間隔を調整す
る。上記一対の反射鏡14、15から成る共振器の中間
には試料ホルダー25を載置した移動台26が、試料ホ
ルダー25上の被測定用平面鏡試料16が上記共振器の
光軸上に位置するように設けられる。この移動台26は
測定制御計算機27からの鏡面位置制御信号29により
駆動する駆動機構18により矢印に示すように前後方向
に移動して、球面反射鏡14と平面鏡試料16とが予定
する共振周波数となるよう鏡面間隔を設定する。このよ
うにして反射鏡14と平面鏡16とにより形成した共振
器を励振し、精密測定を行うための高安定掃引型信号源
19は高安定水晶周波数基準発振器にフェイズロックさ
れたガン発振器(100〜120GHzの間で周波数帯
の選択設定が可能)が用いられ、マイクロ波帯シンセサ
イザの周波数を測定制御計算機27からの周波数制御信
号30により制御することで、10Hz以上のステップ
間隔で約100MHz掃引できる。信号源19から出た
励振信号10は、ビーム集束用反射鏡20、22、及び
サーキュレータ21とからなるビームガイド系23を介
して凹球面反射鏡14の結合領域9から共振器に入り、
反射波11はサーキュレータ21で分離されビーム集束
用反射鏡22により信号検出器24に導かれる。信号検
出器24で信号受信を行った後、データ制御信号31に
より制御される信号処理装置28へ送られる。実際の測
定の場合は、先ず測定制御計算機27からの周波数制御
信号30により100〜200KHzの周波数ステップ
で周波数掃引を行い、共振点を検出する。次に高分解能
な測定を行うために10〜40KHzの周波数ステップ
で掃引を行い、共振ディップの信号を信号処理装置28
に記録する。この測定により(4)式で表される球面反
射鏡14と被測定用平面鏡試料16に対応するQ値Qm
が測定される。次に、適当な手段によって試料ホルダー
25にセットされた被測定用平面鏡試料16を光軸6上
から除去し測定制御計算機27からの鏡面位置制御信号
29により駆動機構17を駆動し、ホルダー36を移動
して同じ光軸6上に球面反射鏡14と上記平面鏡試料1
6との倍の間隔を隔てた位置に球面反射鏡15を配置す
る。上記操作によって、半対称なモード7に対して対称
な2倍のモード(7+7’)が形成される。この状態
で、先ほどと全く同じように周波数掃引による共振特性
を測定することで(5)式で与えられる球面反射鏡1
4、15による共振のQ値Qが得られる。式(1
9)、(22)または、(24)にデータ信号32を用
いれば被測定平面鏡試料16の高周波電界に対する表面
特性として、スキンディプスや表面インピーダンスが得
られる。更に、ホルダー25に別の平面鏡試料16’を
保持させて、移動機構26により試料16’を試料16
の位置と変換して、同じ条件で駆動機構により試料1
6’を前後に移動させ、試料16の場合と同じ周波数で
の共振位置を求め、その移動距離と波長の関係から位相
角θが正確に得られる。
【0029】図は、本発明による試料表面インピー
ダンス測定装置の他の実施例を示し、本実施例では鏡面
試料に関して表面反射特性の温度依存性を測定するため
に、図に示した開放共鳴器を構成する一対の球面反射
鏡14、15及びその間に介在する平面鏡試料16はそ
れぞれホルダー35、36、25により熱遮蔽板38に
より内部を囲まれ、真空窓37を備えた真空容器39内
に設置されている。上記真空容器39内上部には内部に
冷媒44を有する冷媒溜40が設けられている。平面鏡
試料16のホルダー25は冷媒溜40の低面に設けたヒ
ートシンク45に伝熱可能に、且つ鏡面間隔を調整でき
るよう駆動機構18によりレール46上を移動できるよ
うに垂設されており、更に、ヒーター33及び温度セン
サー34を備えていて、温度センサー34からの温度信
号42に対応して温度制御装置43によりヒーター電流
41を制御することで上記平面鏡試料16の温度を4.
2〜300Kの範囲で設定制御する機能を備えている。
更に、対向させた一対の球面反射14、15の間に温
度差が生じないようにするために球面鏡ホルダー35、
36とヒートシンク45との間の十分な熱接触を持つ構
としている。球面反射鏡14のホルダ35は本実施例
では固定型であり、ヒートシンク45に直接熱接触して
いる。球面反射鏡15のホルダ36は鏡面間隔を設定す
るための駆動機構17を有して居り、レール46上を摺
動できるよう構成されている。これらの上記可動部分の
熱伝導を確保する一つの方法として、上記ホルダ36、
25はフレキシブルな金メッキの多層の薄い銅板により
ヒートシンクと熱接触が取られている。
【0030】冷媒だめ40の中の冷媒44としては、液
体窒素および液体ヘリウムを必要に応じて使い分けるこ
とができる。本実施例では、冷媒を用いる場合を示した
が、冷凍機システムによる温度制御に置換することも
能である。
【0031】共振器を用いる物性測定では一般にQ値が
高いほど高分解能な特性が得られる。現在、球面反射鏡
の鏡面として金属薄膜を用いた場合として、室温におけ
る共振器のQ値として100,00。〜300,00。
が得られており、反射型開放共鳴器として利用できる。
球面鏡の鏡面材料として金や銅の薄膜のかわりに超伝導
膜を用いた場合、さらに1〜3桁高いQ値が期待でき球
面鏡を超伝導転移温度に比べ十分低い温度に保つ機能と
によって、極微弱現象をさらに高感度に検出できるシス
テムが実現できる。
【0032】極低温領域での導体薄膜や超伝導薄膜素材
の高周波電流による表面抵抗損失の差は、薄膜素材中の
結晶粒の大きさや、粒界面の状態、また各種の不純物の
効果に大きく依存すると考えられ、本発明の表面インピ
ーダンス測定方法を用いた極微小な表面反射損失の精密
測定により、素材の基礎物性の他、低温技術応用上の重
要な特性が評価できる。
【0033】一対の球面鏡14,15による図3(b)
の開放鏡鳴器の構成で、高い対称性を確保することは高
精度な測定に重要である。測定周波数や、共振縦モード
数の変化は、球面鏡14,15上のビームスポットサイ
ズに僅かな変化を与えるほか、球面鏡の電磁波結合部9
からもれ出る結合効率はこれらの変化に依存するため、
鏡面反射率を微妙に変化させる。また、温度変化を伴う
測定では球面鏡自体の反射率が本来温度依存性を持つも
のであり、球面反射鏡の損失を温度、縦モード数、波長
を変えず、その状態のまま測定分離することが重要であ
る。前述のように、本発明に依れば、各測定温度で、同
じ測定周波数及び縦モード数の状態における球面反射鏡
での反射損失を分離測定できる。特に、広い温度範囲で
共振器を用いた測定が本質的に必要な、超伝導体等の表
面インピーダンスの測定や、金属の低温域における異常
表皮効果の測定では、極微少な反射損失の絶対値の精密
な較正が可能となった
【0034】以上に述べたように、本発明の方法及び装
置によって従来不可能であったミリ波サブミリ波域の高
精度な表面インピーダンス測定が初めて可能となった。
【0035】次世代の超高速エレクトロニクス用素材と
して超伝導薄膜素材の表面インピーダンス特性は重要な
意昧を持っているが、本発明に依れば超伝導薄膜や高導
電性の金属薄膜等の高反射率鏡面試料をファプリペロー
型共振器の一方の平面反射鏡として用い、液体ヘリウム
温度から室温までの広い温度範囲で、それらの微弱な表
面損失を精密測定でき1/1000〜2/1000の
鏡面反射損失を数パーセントの精度で絶対較正できる
うになった。銅薄膜の鏡面を用いた場合の反射損失の測
定限界は室温100GHzで2mΩ弱の程度であり、液
体窒素温度では0.6〜0.7mΩが期待でき高温超伝
導体の表面損失測定では現在報告されているものより最
低一桁高感度である。高周波表面損失の精密測定系とし
ては最も高い周波数と、最も高いQ値を持つ測定系であ
り、さらに、本発明では被測定鏡面試料以外の損失を直
接測定し被測定試料面での損失を求める点が他の測定法
に優っている。本発明による高Q値の反射型開放共鳴器
を用いた試料表面インピーダンス測定は、低温における
金属の異常表皮効果の研究や高周波用の高温超伝導薄膜
材料等の研究開発を進める上で重要かつ極めて有効な新
しい測定法として利用できることが確認できた。球面反
射鏡面に高温超伝導薄膜を用いる技術が開発されれば未
踏の超高Q値の計測システムが容易に達成でき技術的に
極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は公知の高温超伝導体表面インピーダン
ス測定用の透過型の円筒型空洞共振器の一実施例を示す
概略説明図。(b)は上記円筒型空洞共振器と他の実施
例を示す概略説明図。
【図2】(a)は公知の接合部に大きめの結合孔を有す
る反射型開放共鳴器の概略説明図。(b)は公知の接合
部に電磁波の波長に比較して小さな結合孔を有する反射
型開放共鳴器の概略説明図。
【図3】は公知の高反射率の準光学的円形結合領域を設
けた球面反射鏡を用いた反射型開放共鳴器の概略説明
図。
【図4】(a)は本発明による試料表面のインピーダン
ス測定方法に於て、球面反射鏡と被測定用平面鏡で構成
される半対称形開放共鳴器を示す説明図。(b)は本発
明による試料表面のインピーダンス測定方法に於て、一
対の同じ球面反射鏡で構成される対称形開放共鳴器を示
す説明図。
【図5】は本発明による試料表面のインピーダンス測定
装置の一実施例を示す構成図。
【図6】は本発明による試料表面のインピーダンス測定
装置の他の実施例を示す構成図。
【符号の説明】 1 結合孔を持つ球面反射鏡 1’ 結合孔を持つ球面反射鏡 2 平面反射鏡 3 導波管 3’ 導波管 4 結合孔 4’ 結合孔 5 開放共鳴器内部へ放射された信号電磁波 5’ 開放共鳴器内部へ放射された信号電磁波 6 開放共鳴器の光軸 7 基本ガウシアンモードTEMooq 8 さきの発明に開示の球面反射鏡 9 高反射率の円形結合領域 10 励振ビーム 11 反射波 12 共振器内からしみ出る信号波 12’ 共振器内からしみ出る信号波 13 ヒートシンク 14 球面反射鏡 15 球面反射鏡 16 被測定用平面鏡試料 17 駆動機構 18 駆動機構 19 高安定掃引型信号源 20 ビーム集束用反射鏡 22 ビーム集束用反射鏡 21 サーキュレータ 23 ビームガイド系 24 信号検出器 25 被測定用鏡面試料ホルダ 26 試料交換用移動機構 27 測定制御用計算機 28 信号処理装置 29 一制御信号 30 周波数制御信号 31 データ制御信号 32 データ信号 33 加熱ヒータ 34 温度センサー 35 球面鏡ホルダー 36 球面鏡ホルダー 37 真空窓 38 熱遮蔽板 39 真空壁 40 冷媒だめ 41 ヒータ電流 42 温度信号 43 温度制御装置 44 冷媒 45 ヒートシンク46 レール 51 円筒型空胴 52 基準とする反射鏡面 53 被測定用鏡面試料 54 被測定試料 55 空胴共振器結合部 56 伝送路 57 端板
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図6】
【図5】

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】反射鏡の中央部に波長に比較し小さな周期
    構造により形成された円形の部分透過性の反射鏡面を持
    つ同じように作られた一対の凹球面反射鏡の一方を主反
    射鏡として用い、被測定用平面鏡試料と対向させ、反射
    型開放共鳴器を構成し、また、当該平面鏡面を対称面と
    する主反射鏡と対称な位置にもう一方の球面反射鏡を鏡
    面反射損失較正用として配置し、主反射鏡と被測定用平
    面鏡試料とで形成される反射型開放共鳴器のQ値の測定
    と、平面鏡試料を光軸上から除去し、一対の球面反射鏡
    で構成される開放共鳴器のQ値の測定とを行い、球面反
    射鏡の反射損失を求め両者の測定Q値の差から被測定用
    平面鏡試料の反射率の絶対値を求め、共振位置の測定か
    ら位相項を求めることで被測定用平面鏡試料の表面イン
    ピーダンスを得ることを特徴とするマイクロ波〜サブミ
    リ波帯の表面インピーダンス測定方法。
  2. 【請求項2】同じように作られた一対の凹球面反射鏡を
    対向させその間隔を変化させるための移動機構をそなえ
    た共振器の構成と、共振器を励振するための信号源と当
    該共振器からの反射信号波を検出するための検出器と当
    該信号波を導くためのビームガイド系と、少なくとも2
    つの被測定用平面鏡を保持し、それぞれについて当該共
    振器の半分の共振器を構成しその一方の平面反射鏡とな
    るよう光軸上の中央に設置し、当該共振器の鏡面間隔を
    変化させるための移動機構と、さらに被測定用平面鏡を
    光軸上から除去するための移動機構とを持つ構成と、当
    該一対の球面反射鏡がその中央部に基本共振モードの鏡
    面上スポット径と同じ程度の円形の部分透過性結合部を
    そなえ、またその結合部は測定する電磁波の波長より小
    さな周期的反射鏡面構造を用いて形成された反射鏡面か
    らなる構成であることを具備したことを特徴とする表面
    インピーダンス測定装置。
  3. 【請求項3】被測定用平面鏡試料の冷却機能と温度検出
    機能と、外部からの制御による加熱機能とにより、当該
    平面鏡試料の温度を4.2〜300Kの範囲で設定制御
    する機能と、対向させた一対の球面鏡の間に温度差が生
    じないように熱接触を保つ構成とを具備したことを特徴
    とする請求項2の表面インピーダンス測定装置。
  4. 【請求項4】当該一対の凹球面反射鏡の鏡面導体膜の代
    わりに超伝導体膜を用いた構成と、凹球面反射鏡を冷却
    し超伝導転移温度以下の低い温度に設定制御する機能を
    持つ構成とを具備したことを特徴とする請求項3の表面
    インピーダンス測定装置。
  5. 【請求項5】被測定用鏡面試料に均一磁場を加えるため
    の電磁石と、その磁場強度の設定制御する機能とを具備
    したことを特徴とする請求項2の表面インピーダンス測
    定装置。
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