JPH05130908A - 腕バンド用セグメント - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 従来の伸縮式バンドの構造を締め金等の手段
によって互いに連結するセグメントに分割し、かつ、各
セグメントを非伸縮性にすることによって、伸縮式バン
ド構造の機能を従来の非伸縮式バンドにまで拡張する。 【構成】 上下に重なる２つのリンク列２６，２８と、
該上側のリンク列２６を下側のリンク列２８に連結する
Ｕ字型ステープル３０と、該リンク内に収容され、該ス
テープルと共同して、バンドセグメント１６の長手方向
における弾性的伸縮を可能にするスプリング部材３４
と、該バンドセグメントの一端部から他端部にわたって
延出する横長の非伸縮性素子４０と、該素子の両端部に
設けられた保持手段４２，５０とから成り、該保持手段
が該バンドセグメントの両端部においてリンクと共同的
に係合してその長手方向の伸縮を抑制する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は時計バンド、認識証用腕
輪等に用いられる金属製腕バンドのための改良された構
造に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、金属製腕バンドは伸縮式および
非伸縮式の二つのタイプに分類される。

【０００３】これらのうち、非伸縮式バンドは、通常、
編組式ワイヤメッシュあるいは相互に回動自在に連結し
たリンクの単一列から成る基本構成を有している。この
ような基本構成においては、当該バンドにおける構成要
素の構造上および美観上の機能が絡み合うために、外観
を変更するたびに、バンドの構造全体のデザインをやり
直す必要があった。

【０００４】これに対して、伸縮式バンドは、通常、
（ａ）上下に重ねられた複数のリンク列から成り、か
つ、該バンドが長手方向において弾性的に伸縮可能とな
るように各リンク列におけるそれぞれのリンクを互いに
連結するための手段を備える基本骨格と、（ｂ）上側の
リンク列に施された装飾用カバーとを含む複合的構成を
有する。この場合、構造上および美観上の機能はそれぞ
れ分離されており、上記の基本骨格が構造的機能を満足
すべく作用し、また、上記カバーが美観上の機能を満足
するように作用する。したがって、同一の基本骨格を使
用したまま、装飾用カバーのデザインを換えるだけで外
観を変更することが可能である。

【０００５】ここ数年にわたって、これら非伸縮式およ
び伸縮式バンドに対する消費者の好みが徐々に分かれつ
つある。その理由はいろいろであり、多くの場合、各消
費者の主観による。例えば、非伸縮式バンドを好む者は
いわゆる「見た目」をしばしばその理由として挙げる。
すなわち、非伸縮式バンド用のセグメントとそれらの締
め金とを連結したときに得られるくつろいだ感じ等の理
由である。これに対して、伸縮式バンドを好む者は、装
着および取り外しが比較的容易であること、あるいは、
バンドが長手方向に弾性的に伸縮できるために確実にぴ
ったりと装着できること等をその理由として挙げること
が多い。

【０００６】なお、これまで、非伸縮式バンドの製造方
法およびその装置は伸縮式バンドのものとは大きく異な
っていた。例えば、前者においては、上記のように構造
上および美観上の機能が共同する構成となっているため
に、該バンドの構成要素は、通常、特定の装飾デザイン
毎に少量ずつ製造されていた。したがって、このような
少量多品種の生産形態には大量の生産技術若しくは組立
技術が適用できず、該非伸縮式バンドの製造は手間がか
かり、コスト高なものになっていた。

【０００７】これに比べて、伸縮式バンドの場合は、上
記のように構造上と美観上の機能を分離できる複合的な
構成であるので、その製造技術および組立工程を高度に
自動化することができ、その結果、大量生産によるコス
トの低減が可能である。したがって、これらのバンドの
製造者たちも、これまで、非伸縮式バンド市場に供給す
るものと伸縮式バンド市場に供給するものとのいずれか
に分化されている。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】本発明の主たる目的は
従来の伸縮式バンドの構造を改良して、締め金等の手段
によって互いに連結するセグメントに分割し、かつ、各
セグメントを非伸縮性にすることによって、当該伸縮式
バンド構造の用途をより伝統的なデザインを有する従来
の非伸縮式バンドの市場に拡張することである。

【０００９】本発明の他の目的は非伸縮式バンドの製造
コストを低減することである。

【００１０】

【課題を解決するための手段】以下に詳しく説明する本
発明の好ましい実施例において開示されるように、本発
明の上記目的およびその利点は、従来の伸縮式バンドを
２つのセグメントに分割し、かつ、各セグメントに非伸
縮性素子を導入することによって達成される。また、該
非伸縮性素子は各バンドセグメントの一端部から他端部
にわたって延出し、該セグメントの両端部と共同的に係
合してその長手方向の伸縮を抑制する。

【００１１】好ましくは、該非伸縮性素子は上記基本骨
格における上下のリンク列の間に挿入された比較的薄い
非金属片から構成されている。

【００１２】なお、上記バンドセグメントの両端部と共
同的に係合させるために、該非金属片の両端部には種々
の手段を備えることが可能である。例えば、該非金属片
の両端部を他の非金属部材とヒートシールするか、該端
部自体を折り重ねてヒートシールすることによってピン
等を収容できるポケットを設けてもよい。さもなけれ
ば、金属クリップを当該非金属片の両端部に施してもよ
い。

【００１３】本発明の上記および他の目的、利点および
特徴は以下の添付図面に基づく説明によりいっそう明ら
かとなる。

【００１４】

【実施例】図１において、腕時計本体およびバンドの組
立体を全体として参照番号１０で示す。該腕時計は時計
の作動部を収容する従来のケース１２を含み、該ケース
には、対向して配置され、かつ、互いに離間して２つの
バンドセグメント１６のそれぞれの端部を受ける一対の
突出部１４が設けられている。各バンドセグメントは一
端部に連結部材１８と他端部に締め金部材２０とを備え
ている。なお、連結部材１８は上記突出部１４の間に通
常のスプリングピン２２によってそれぞれ軸支されてい
る。また、締め金部材２０は、同様にスプリングピン２
２によって、バンドセグメントの他端部においてアダプ
タ２４にそれぞれ連結している。

【００１５】さらに、図２乃至図５に示すように、該バ
ンドセグメント１６は従来の伸縮式バンドに通常見られ
る構成部材の多くを含んでいることがわかる。特に、各
セグメントは上側リンク列２６および下側リンク列２８
を重ねて成る基本骨格構造を含む。該リンクはそれぞれ
箱状の構造であり、下側リンク２８の各々は対向するＵ
字型ステープル３０の対を介してそれぞれ２個の近接す
る上側リンク２６と連結されている。該ステープルはリ
ンクの両端部に突出する足部３２（図３参照）を有す
る。また、該リンクはリーフスプリング３４を収容して
おり、該スプリング３４は、従来知られるように、ステ
ープルの足部３２に作用して該足部３２をバンドセグメ
ントに対して確実に接触させる。

【００１６】さらに、装飾用のカバー３６が上側リンク
２６に取り付けられている。該カバーの内、上記時計ケ
ース１２に近接する最も端に位置するカバー３６’は上
記連結部材１８と一体に設けられている。

【００１７】一方、バンドセグメントの他端部のアダプ
タ２４は、最端の上下リンク２６、２８の間で最端のス
テープル３０の対と連係する平面状シャンク３８を有す
る。このようなシャンク−ステープルの係合は米国特許
第４９４９４３３号公報に開示されており、本明細書で
は当該開示全体を参考として含むものである。

【００１８】以上のことからわかるように、バンドセグ
メントの各々は上記スプリング３４とステープル３０と
の弾性的共同作用によって長手方向に伸縮自在となって
いる。このような構成において、本発明の主眼とする点
は、該バンドセグメントの非伸縮性を実現するために、
上記基本骨格部を長手方向に不動にすることである。そ
して、このことは当該骨格部に非伸縮性素子４０を導入
することで達成される。なお、本明細書において開示さ
れる好ましい実施例においては、該素子４０は軟質の非
金属片、特に、テフロン被覆のファイバグラス等から成
る。また、同じ材料から成るブロック片４２が非伸縮性
素子の一端部に、その短手方向に沿って延設され、ヒー
トシール、にかわ付け、あるいはその他の方法で固着さ
れている。さらに、非伸縮性素子４０の他端部は折り畳
まれて、ヒートシール、にかわ付け、あるいは他の方法
で４４で示す形状に固着され、短手方向のポケット４６
を形成する。

【００１９】該非伸縮性素子４０は上記骨格構造の一端
部（図２における左側端部）から挿入され、上下のリン
ク列２６および２８の間に長手方向に貫装される。な
お、ポケット４６はバンドセグメントの間を通り抜ける
際に適当に平らにつぶれる。そして、素子４０が完全に
挿入されると、上記ブロック片４２がバンドセグメント
の一端部に位置する下側リンク２８の近接端部に当接
し、ポケット４６が該バンドセグメントの他端部に位置
する下側リンクの近接端部から少しはみ出した状態で突
き出る。その後、ピン４８を該ポケットに挿入して、最
近接の下側リンク２８に当接する拡大部５０が形成され
る。

【００２０】したがって、該ブロック片４２と拡大部５
０とがバンドセグメントの両端部においてリンクと共同
的に係合して、該バンドセグメントの長さを非伸縮性素
子４０の長さに固定する保持手段として作用するので、
当該バンドセグメントはその長手方向において伸縮でき
なくなる。この結果、上側リンクに施される装飾用カバ
ー３６の下部支持体として機能する基本骨格構造を備え
た非伸縮式バンドセグメントが実現できる。このような
構成によれば、該基本骨格構造を変更することなく、必
要に応じて、種々の装飾モードの変化に対応して上記カ
バー３６を変更することが可能になる。

【００２１】また、図７に示すように、バンドセグメン
トが完全に非伸縮性となり得るから、いくつかの上側リ
ンク２６にわたって３６’で示すようにカバーのサイズ
を変えることも可能である。このようにすることによっ
て、本発明によるバンドセグメントが実現し得るデザイ
ンがさらに多様化される。

【００２２】さらに、上記非伸縮性素子４０の両端部に
設ける保持手段を種々変更することも可能である。例え
ば、図８に示すように、表面に係合用突起部を備えた金
属製クリップ５２を該素子の両端部に施してもよい。

【００２３】なお、上記および上記に関わる図面におい
て、非伸縮性素子４０が非金属材料から成る旨の説明を
してきたが、上記基本骨格構造における長手方向の伸縮
を抑制する手段として、例えば、金属製ワイヤメッシ
ュ、金属片等の他の材料を使用することも可能であるこ
とが理解される。

【００２４】さらに、本発明は上記および上記に関わる
図面の記載に限られることなく、請求の範囲に規定され
る本発明の趣旨に逸脱しない範囲において変更すること
が可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による非伸縮式バンドセグメントを備え
る腕時計本体およびバンドの組立体の平面図であり、該
バンドセグメントの一方が時計ケースおよびこれに付随
する締め金部材と分離して示されている。

【図２】図１の２−２線に沿う拡大部分断面図である。

【図３】図２の３−３線に沿う拡大断面図である。

【図４】図２の４−４線に沿う拡大断面図である。

【図５】図２の５−５線に沿う拡大断面図である。

【図６】非伸縮性素子およびそれに付随するピンの斜視
図である。

【図７】図３の７−７線に沿う断面図であり、異なる装
飾用カバーの配列の一例を示す。

【図８】金属製クリップを施した非伸縮性素子の一端部
の断面図である。

【符号の説明】

１６ バンドセグメント ２６ 上側リンク列 ２８ 下側リンク列 ３０ Ｕ字型ステープル ３４ スプリング部材 ４０ 非伸縮性素子 ４２、５０ 保持手段

Claims (8)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 上下に重なる２つのリンク列と、該上側
   のリンク列を下側のリンク列に連結するＵ字型ステープ
   ルと、該リンク内に収容され、該ステープルと共同し
   て、バンドセグメントの長手方向における弾性的伸縮を
   可能にするスプリング部材と、該バンドセグメントの一
   端部から他端部にわたって延出する横長の非伸縮性素子
   と、該素子の両端部に設けられた保持手段とから成り、
   該保持手段が該バンドセグメントの両端部においてリン
   クと共同的に係合してその長手方向の伸縮を抑制するこ
   とを特徴とする腕バンド用セグメント。
2. 【請求項２】 前記非伸縮性素子が前記上側および下側
   のリンク列の間に配置されていることを特徴とする請求
   項１に記載の腕バンド用セグメント。
3. 【請求項３】 前記リンクが金属製材料から成り、前記
   非伸縮性素子が非金属製材料から成ることを特徴とする
   請求項１に記載の腕バンド用セグメント。
4. 【請求項４】 前記保持手段が前記非伸縮性素子の両端
   部に施されたクリップ部材から成ることを特徴とする請
   求項２又は請求項３に記載の腕バンド用セグメント。
5. 【請求項５】 前記非伸縮性素子が前記上側および下側
   リンク列の間に配置された平坦な条片部材から成ること
   を特徴とする請求項１に記載の腕バンド用セグメント。
6. 【請求項６】 さらに、前記上側リンク列の上に固定さ
   れたカバー部材から成ることを特徴とする請求項１に記
   載の腕バンド用セグメント。
7. 【請求項７】 少なくとも、前記カバー部材のいくつか
   が前記上側リンク列における２個以上のリンク上にわた
   ってそれぞれ固定されていることを特徴とする請求項６
   に記載の腕バンド用セグメント。
8. 【請求項８】 上下に重なる２つのリンク列と、バンド
   セグメントの長手方向における弾性的伸縮を可能にする
   ように該上側のリンク列を下側のリンク列に連結する手
   段と、該バンドセグメントの長手方向の伸縮を抑制する
   ために該上側および下側のリンク列の間に挿入される挿
   入手段とから成ることを特徴とする腕バンド用セグメン
   ト。