JPH0512568Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は高温炉用ラジアントチユーブに係り、
特に長い管内で燃焼させて管を赤熱し、その輻射
エネルギで被加熱体を加熱するラジアントチユー
ブの寿命を延長させるのに好適な高温炉用ラジア
ントチユーブに関する。

〔従来の技術〕

鉄鋼業、その他の分野で広汎に利用されている
ラジアントチユーブ（RT）形式の加熱炉は、細
長い管内で燃焼させて管を赤熱し、その輻射エネ
ルギで管外の被加熱体を加熱するために被加熱体
を燃焼ガスに曝させない利点を有する。この種の
ラジアントチユーブには直管、Ｕ字管、Ｗ字管等
の種類がある。第４図は従来のＵ字管タイプのラ
ジアントチユーブを示す。

第４図に示すラジアントチユーブは、一般の製
鉄所において、薄板の製造過程に設備される加熱
炉で処理材を非酸化の状態で加熱するために設置
されている。ラジアントチユーブ１は炉壁７間に
架設され、その内部に熱交換器６とラジアントバ
ーナ２１が内蔵されている。このラジアントチユ
ーブ１では、燃料ガスは入口ノズル３からラジア
ントチユーブ１内に供給され、パイロツトバーナ
９により点火された火炎を呈する。次にラジアン
トバーナ２１により燃焼した燃焼ガスは、Ｕ字状
のチユーブ内を流動し、チユーブ出口に配設され
た熱交換器６にて空気入口４から供給される冷空
気と熱交換し、ラジアントチユーブ１からの排ガ
スは排ガス出口８へ導かれ、また、加熱された空
気は空気入口５からラジアントチユーブ１内に導
かれる。

〔考案が解決しようとする問題点〕

このようなラジアントチユーブにおいて、ラジ
アントバーナ２１による通常の気相燃焼では、燃
焼温度が1500〜2000℃を超え、かつ燃焼温度の制
御が困難であるので、バーナ出口部でのラジアン
トチユーブ１には局所的な高温部（Hot Spot）
が生じ、ラジアントチユーブ１の耐熱性及びチユ
ーブの伸び等によるクラツク発生の問題が生じ、
これを抑制することは困難な状況にある。したが
つて、ラジアントチユーブの寿命としては、１年
前後となり、消耗品としての取り扱いをせざるを
得ず、メンテナンスにかなりの時間と費用を費や
している。

本考案の目的は、上記した従来技術の問題点を
解消し、Hot Spotの発生を抑え、ラジアトチユ
ーブの長寿命化を図ることができる高温炉用ラジ
アントチユーブを提供することにある。

〔問題点を解決するための手段〕

上記目的を達成するために、本考案は、ラジア
ントチユーブの一端部側に着火用触媒バーナを設
け、この着火用触媒バーナの下流側に主燃料の気
相燃焼に必要な着火温度に保持するための空気加
熱用触媒バーナを設け、この空気加熱用触媒バー
ナからチユーブ内部側に対してチユーブの軸方向
に主燃料ガスを多段に分散して供給するための複
数個の主燃料ガスノズルを設け、チユーブの軸方
向に対して主燃料ガスの燃焼領域を分散させたも
のである。

〔作用〕

燃焼触媒による燃焼により低温着火し、かつラ
ジアントチユーブの軸方向に複数個配置された主
燃料ガスノズルにおける燃焼により、主燃料ガス
の燃焼領域が分散する結果、ラジアントチユーブ
全体の燃焼量、発熱量を下げることなく、Hot
Spotを抑えることができる。すなわち、着火用
バーナにより低温着火し、気相燃焼着火温度に達
した燃焼ガスは、絶えず、気相着火温度近傍の温
度を維持した状態で次段の主燃料ガスノズルに達
し、この主燃料ガスノズルからの主燃料ガスを燃
焼させる。したがつて、燃焼ガス温度を所定の温
度に保つことができる。

〔考案の実施例〕

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。第１図は本考案の一実施例を示す概略的構成
図、第２図は第１図の要部拡大断面図である。

このラジアントチユーブ１は、Ｕ字状のチユー
ブの端部側は炉壁７ａに貫通され、Ｕ字状のチユ
ーブの曲部側は炉壁７ｂに支持部材を介して据付
られている。ラジアントチユーブ１の一端部側は
主燃料ガス入口３が形成され、この主燃料ガス入
口３からＵ字状のチユーブの直線部には多段燃焼
式バーナ２が配設されている。

ラジアントチユーブ１の一端部側にはブースタ
フアン１０からの空気を導入する空気入口１１が
設けられている。また、ラジアントチユーブ１の
他端部側にはブースタフアン１０からの空気を熱
交換器６に導入するための空気入口が設けられ、
熱交換器６からの加熱された空気がラジアントチ
ユーブ１の着火用バーナ側に導入する空気入口１
４が設けられている。

ラジアントチユーブ１の一端部側は、第２図に
詳細に示すように主燃料ガス入口３からラジアン
トチユーブ１の軸心上に主燃料ガス管３Ａが配設
されている。この主燃料ガス管３Ａにはその軸方
向に所定の間隔をおいて、多孔性の温度保持板１
８Ａ，１８Ｂ，１８Ｃが配設され、各温度保持板
１８Ａ，１８Ｂ，１８Ｃの下流側の主燃料ガス管
３Ａには各々１段目気相バーナノズル１６Ａ，１
６Ｂ，１６Ｃが設置されている。

主燃料ガス入口３付近には主燃料ガス管３Ａと
同心円上に着火用触媒バーナノズル１３が配設さ
れ、この着火用触媒バーナノズル１３に空気入口
１１が配設されると共に着火用触媒バーナノズル
１３の内部には外部の電源（図示せず）に接続さ
れたセラミツクスヒータ１２が設置され、その先
端部に着火用触媒バーナ１３Ａが設置されてい
る。着火用触媒バーナノズル１３の外周部には一
端部に着火用燃料入口２０Ａを有する着火用燃料
管２０が配設され、その他端部は前記着火用触媒
バーナ１３Ａ付近に開口されている。

また着火用触媒バーナノズル１３の外周側には
それと同心円上に空気入口１４を有するスリーブ
２１が配設され、このスリーブ２１内部の前記着
火用触媒バーナ１３Ａの下流側に空気加熱用触媒
バーナ１５が設置されている。この空気加熱用触
媒バーナ１５の下流側に前記した温度保持板１８
Ａが配置されるようになつている。そして、この
スリーブ２１はラジアントチユーブ１とフランジ
を介して着脱可能に装着されている。

主燃料ガス管３Ａの最下流側に位置する主燃料
管ガスノズル１６Ｃの下流側には燃焼触媒１９を
充填した充填層が配置されている。

次に上記のように構成される高温炉用ラジアン
トチユーブに作用について説明する。

起動時には、まずブースタフアン１０より空気
入口１１から着火用触媒バーナノズル１３に空気
を送り、内蔵されたセラミツクスヒータ１２によ
つて空気は触媒燃焼に必要な着火温度（約350℃）
まで加熱燃焼する。また、着火用燃料入口２０Ａ
から着火用燃料管２０を経て着火用触媒バーナ１
３Ａに着火用の燃料が噴出される。この燃料は燃
焼触媒により燃焼され、空気入口１４から導入さ
れる空気と混合され、空気加熱用触媒バーナ１５
をその着火温度（約350℃）にまで加熱する。

次にこの燃焼ガスは、空気加熱用触媒バーナ１
５にて加熱燃焼され、ここで発生した燃焼ガス
は、安定な気相燃焼に必要な着火温度（約800℃）
に充分達しており、温度保持板１８Ａを経てラジ
アントチユーブ１内を流動する。温度保持板１８
Ａを経た燃焼ガスは、気相燃焼に必要な温度に維
持されており、１段目気相バーナノズル１６Ａか
ら供給される主燃料ガスを燃焼する。以下、同様
にして各温度保持板１８Ｂ，１８Ｃを経た燃焼ガ
スは、２段目気相バーナノズル１６Ｂ、３段目気
相バーナノズル１６Ｃからそれぞれ供給される主
燃料ガスを連続的に燃焼する。

このように主燃料ガスはラジアントチユーブ１
の軸方向に分散して配置された気相バーナノズル
で燃焼するので燃焼の最高温度が仕様温度以下に
留まり、かつ軸方向の温度保持が容易となる。ま
た、ラジアントチユーブ１の軸方向に蓄熱体とし
ての多孔性の温度保持板１８Ａ，１８Ｂ，１８Ｃ
が所定の間隔をおいて配置されているので、各気
相バーナノズルにおける着火が確実となる。そし
て、主燃料ガス管３Ａの最先端部に設けられた燃
焼触媒１９により燃焼ガス中の未燃ガスが完全に
燃焼され、未燃分をほとんど含まない燃焼ガスが
Ｕ字状通路を経てラジアントチユーブ１の他端部
側に設置された熱交換器６に達する。

この熱交換器６には第１図に示すようにブース
タフアン１０より冷空気が導入され、この冷空気
は、ラジアントチユーブ１内の高温の燃焼ガスと
熱交換されて加熱された後、第２図に示す空気入
口１４から空気加熱用触媒バーナ１５に至る。

ラジアントチユーブ１の運転が定常状態になつ
たとき、着火用触媒バーナ１３内のセラミツクス
ヒータ１２をOFFとし、着火用触媒バーナ１３
Ａを使用することなく、空気加熱用触媒バーナ１
５の着火温度（約350℃）を維持できるので連続
して運転できる。

第３図は上記した実施例におけるラジアントチ
ユーブ１の軸方向温度分布を第４図に示す従来の
ラジアントチユーブ１と比較して示している。

従来のラジアントチユーブでは、一段燃焼式の
バーナであるため、図中、点線で示すようにバー
ナ付近でチユーブ温度が仕様温度、すなわちチユ
ーブ使用可能な最高温度（約1200℃）を越えてい
る。このため、従来のラジアントチユーブでは、
Hot Spotが発生する。

一方、本実施例によるラジアントチユーブで
は、主燃料ガスを分散して供給し、３段の多段燃
焼を行つているために図中、実線で示すように気
相燃焼着火温度（約800℃）を維持しながら、チ
ユーブ温度を仕様温度以下とすることができる。

上記した実施例において、ラジアントチユーブ
１の軸方向に主燃料ガスを３段に分散して供給し
ているが、主燃料ガスは、ラジアントチユーブ１
の規模等によりラジアントチユーブ１の軸方向に
２段、又は４段以上に分散して供給してもよい。
また、温度保持板は、主燃料ガスを供給するノズ
ル間の間隔が長い場合、２個以上配置することが
でき、また、主燃料ガスを供給するノズル間の間
隔が短い場合、温度保持板を省略することもでき
る。

〔考案の効果〕

以上のように本考案によれば、燃焼触媒による
着火バーナにより低温着火し、多段燃焼バーナに
よりラジアントチユーブの軸方向に分散して燃焼
領域を形成するので、ラジアントチユーブ内での
Hot Spotの発生を回避できる。したがつて、高
温によるチユーブの劣化や熱応力等によるチユー
ブの亀裂等の損傷も抑制可能であり、チユーブの
寿命の長期化が図られ、メンテナンスに費やす時
間および費用が大幅に軽減される。また、チユー
ブの温度が必要以上に高温になることを防止でき
るのでチユーブ材質の選択幅が広がり、チユーブ
軸方向の温度分布が平均化でき、ラジアントチユ
ーブの加熱を従来よりも均一化できることから温
度分布の小さい高性能の炉を実現することができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す全体構成図、
第２図は第１図の要部拡大断面図、第３図は本考
案における実施例と従来のラジアントチユーブと
のチユーブ軸方向の温度分布を示す特性図、第４
図は従来のラジアントチユーブを示す全体構成図
である。 １……ラジアントチユーブ、２……多段燃焼式
バーナ、３……主燃料ガス入口、６……熱交換
器、７，７ａ，７ｂ……炉壁、１０……ブースタ
フアン、１１……空気入口、１２……セラミツク
スヒータ、１３……着火用触媒バーナノズル、１
４……空気入口、１５……空気加熱用触媒バー
ナ、１６Ａ……１段目気相バーナノズル、１６Ｂ
……２段目気相バーナノズル、１６Ｃ……３段目
気相バーナノズル、１８Ａ，１８Ｂ，１８Ｃ……
温度保持板、１９……燃焼触媒、２０……着火用
燃料管、２１……スリーブ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 炉内に配置されると共にその一端部側から燃
   料ガスを導入し、その燃料ガスを燃焼させてチ
   ユーブ内を所定の温度に維持し、その輻射熱に
   より被加熱体を加熱するラジアントチユーブに
   おいて、前記チユーブの燃料ガス入口側に着火
   用触媒バーナと主燃料の気相燃焼に必要な着火
   温度に保持するための空気加熱用触媒バーナを
   設け、該空気加熱用触媒バーナの下流側のチユ
   ーブの軸方向に主燃料ガスを多段に分散して供
   給するための複数個の主燃料ガスノズルをチユ
   ーブの軸方向に間隔をおいて設けたことを特徴
   とする高温炉用ラジアントチユーブ。 (2) 前記複数個の各主燃料ガスノズル間に多孔性
   の温度保持板を配置したことを特徴とする実用
   新案登録請求の範囲第１項記載の高温炉用ラジ
   アントチユーブ。 (3) 前記主燃料ガスノズルのうち、その最下流段
   の主燃料ガスノズルの下流側に燃焼触媒充填槽
   を配置したことを特徴とする実用新案登録請求
   の範囲第１項記載の高温炉用ラジアントチユー
   ブ。