JPH0511875B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 この発明は、原子炉に装荷される燃料集合体の
支持格子に関するものである。

「従来の技術」 原子炉に装荷されている燃料集合体は、第４図
に示すように構成されている。すなわち、この燃
料集合体は、第４図において図中上下に離曲して
平行に配設された上部ノズル１および下部ノズル
２と、これらの間に所定の間隔をおいて配設され
た複数の支持格子３，３…と、第５図に示される
ようにこれら支持格子３，３…に形成された多数
の格子空間４，４…における所定の格子空間５，
５…に挿通して上記上部ノズル１及び下部ノズル
２にそれぞれその上下端部が連結されて燃料集合
体の骨組みを構成する制御棒案内管６，６…と、
上記支持格子３の所定の格子空間７，７…内に挿
通して第６図に示されるようにスプリング８，８
…およびデインプル９，９…によつて支持されて
いると共にその内部に多数の燃料ペレツト１０，
１０…及び押さえバネ１１，１１…が密封されて
いる複数の燃料棒１２とから構成されている。

このような燃料集合体の支持格子３は、第７図
に示されるストラツプ１３を、多数縦横に組み込
むことにより形成されている。ストラツプ１３
は、薄い耐熱合金板を帯状に成形したものであつ
て、その側部にはストラツプ１３の幅方向に沿つ
て突出するペン先形の凸部１４，１４…が、スト
ラツプ１３の長手方向に一定間隔を隔てて形成さ
れている。この凸部１４，１４…の中央部には、
その先端部からストラツプ１３の中央部に至るス
リツト１５，１５…が形成されている。凸部１４
は、第８図に示すように、その中央部に形成され
たスリツト１５により二分された各々の分割片
を、ストラツプ１３の両方の側に向けて折り曲げ
て、この図中に示される支持格子３の上下方向に
向けて流れる水等の冷却材の流れに乱流を発生さ
せるミキシングベーン１６，１６…として使われ
るようになつている。上記スリツト１５，１５…
の間には、ストラツプ１３の一方の側に、このス
トラツプ１３の一部を突出させてスプリング８，
８…が形成されている。このスプリング８，８…
の両側部には、長円形のスロツト１７，１７…が
形成されている。このスプリング８，８…の第８
図における上下に位置する部位には、ストラツプ
１３の一部を、このストラツプ１３の一方の側に
突出させたデインプル９，９…が形成されてい
る。

第８図は、上記のストラツプ１３を多数用い
て、これらストラツプ１３，１３…のスリツト１
５，１５…を互いに嵌め合わせて縦横に組み込ん
で形成した支持格子３の一部破断斜視図である。

「発明が解決しようとする問題点」 上記のような支持格子３は、燃料集合体の内部
を第４図において下部から上部に向けて流れる水
等の冷却材の流れを、支持格子に当てて乱流を発
生させ、冷却材の撹拌効果を得るように構成され
ているが、このミキシングベーン１６，１６…
は、冷却材に所定の撹拌効果を与えることができ
るような位置に向けて、単に折り曲げられた状態
で成形されているために、ミキシングベーン１
６，１６…の曲げに対する位置安定性が良好でな
かつた。したがつて、ミキシングベーン１６，１
６…の位置がずれて所定の撹拌効果が得られなく
なる可能性があり、その位置のずれを防ぐために
支持格子３の搬送の際、あるいは、燃料集合体へ
の取り付けの際等での取り扱いをきわめて慎重に
行わなければならず、支持格子の取り扱い操作性
が悪いという問題点があつた。

この発明は、上記の問題点を解消し、取り扱い
操作性の良好な支持格子を提供することを目的と
している。

「問題点を解決するための手段」 この発明は、上記のような支持格子において、
ストラツプの嵌合部の近傍に、これらストラツプ
の一方の面をへこませ、他方の面を膨出させた撹
拌部を形成して構成されたことを特徴としたもの
である。

「実施例」 第１図ないし第３図はこの発明の一実施例を示
す図である。これらの図において、第４図ないし
第８図に示す構成要素と同一の要素には同一符号
を付し、その説明を省略する。

ここで説明する支持格子３ａが第４図ないし第
８図に示す支持格子３と異なる点は、ストラツプ
１３ａの嵌合部の近傍に、ストラツプ１３ａの一
方の面をへこませ、他方の面を膨出させた撹拌部
１８，１８…を形成して構成されている点であ
る。

撹拌部１８，１８…は、第３図に示される支持
格子３ａの下部から上部に向けて流れる水等の冷
却材の流れに対し、局部的な抵抗がないように、
支持格子３ａの下部から上部に向つて拡開する正
弦曲線に沿う形状に膨出形成されている。また、
撹拌部１８，１８…は、隣り合う２個がストラツ
プ１３ａの別の側に向いて膨出するように交互に
膨出成形されている。支持格子３ａは、スリツト
１５，１５…の両側部近傍に撹拌部１８，１８…
を形成したストラツプ１３ａと、スリツト１５，
１５…が形成された側と対向する側に撹拌部１
８，１８…を形成したストラツプ１３ａとを用い
て、これらを縦横に組み込むことにより、第３図
に示される支持格子３ａにおける上部側にすべて
の撹拌部１８，１８…を配設した構成になつてい
る。この支持格子３ａは、第３図において、下部
から上部に向けて流れる水等の冷却材の流れに対
して、支持格子３ａの撹拌部１８，１８…がノズ
ルのように作用して、冷却材の流速を速めて支持
格子３ａの上部から格子外に流出させることによ
り、冷却材の撹拌を行なうように構成されてい
る。

上記の支持格子の製造方法は、次の通りであ
る。まず、帯状の耐熱合金製の薄板に複数のスリ
ツト１５，１５…と、デインプル９，９…を形成
するための切り込みを入れると共に、長円状のス
ロツト１７，１７…を打ち抜き形成する。次にス
ロツト１７とスロツト１７との間の部分をストラ
ツプ１３ａの一方の側に突出させてスプリング
８，８…を形成すると共に、他方の側にデインプ
ル９，９…を形成する。また、それと同時に撹拌
部１８，１８…を、隣り合う２個の撹拌部１８，
１８がストラツプ１３ａの別の側に向くように交
互に膨出させる。次に、ストラツプ１３ａを多数
用いて、これらストラツプ１３ａ，１３ａ…のス
リツト１５，１５…を互いに嵌め合わせて縦横に
組み、目的とする格子状に形成する。

上記の支持格子３ａは、ストラツプ１３ａの嵌
合部近傍に、ストラツプ１３ａの一方の側をへこ
ませ、他方の側を膨出させた撹拌部１８，１８…
を形成し、この撹拌部によつて支持格子３ａ内を
下部から上部に向けて流れる水等の冷却材を撹拌
するように構成されているので、支持格子内を流
れる水等の冷却材の撹拌手段としてミキシングベ
ーン１６，１６…を形成した従来の支持格子３に
比べ、撹拌部１８，１８…の位置安定性が良好な
ので、撹拌部１８，１８…がずれることによつて
所定の撹拌効果が得られなくなるようなことがな
く、支持格子３ａの搬送の際、あるいは、燃料集
合体への取り付けの際等での取り扱い操作性を向
上させることができる。

「発明の効果」 この発明による支持格子は、ストラツプの嵌合
部の近傍に、これらストラツプの一方の面をへこ
ませ、他方の面を膨出させた撹拌部を形成し、こ
れら撹拌部によつて水等の冷却材を撹拌する構成
としたので、冷却材の撹拌手段としてミキシング
ベーンを形成した従来の支持格子に比べ、撹拌部
の位置安定性が良好なので、撹拌部がずれること
によつて所定の撹拌効果が得られなくなるような
ことがなく、支持格子の搬送の際、あるいは、燃
料集合体への搬送の際等での取り扱い操作性を向
上させることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第３図は、この発明の一実施例を
示す図であつて、第１図は支持格子の要部の平面
図、第２図はストラツプの正面図、第３図は支持
格子の要部の一部破断斜視図、第４図ないし第８
図は、従来の支持格子を示す図であつて、第４図
は燃料集合体の一部断面図、第５図は第４図の
−線断面図、第６図は支持格子の要部の平面
図、第７図はストラツプの正面図、第８図は支持
格子の要部の一部破断斜視図である。 ３，３ａ……支持格子、１３，１３ａ……スト
ラツプ、１５……スリツト、１８……撹拌部。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 帯状の薄板に、その長手方向と直角な方向に
   一定間隔毎に多数の切り込みを入れてスリツトを
   形成してなるストラツプを多数用いて、これらス
   トラツプの上記スリツトを互いに嵌め合わせて縦
   横に組んで格子状に形成した燃料集合体の支持格
   子において、上記ストラツプの嵌合部の近傍に、
   これらストラツプの一方の面をへこませ、他方の
   面を膨出させた撹拌部を形成してなることを特徴
   とする支持格子。