JPH05104216A - タンデイツシユの上ノズル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ポーラス質耐火物１と鉄皮２との間からのガ
スリークを防止し、導入されたガスをより効果的に溶鋼
流中に吐出させることのできるタンディッシュの上ノズ
ルを提供しようとするものである。 【構成】 ノズル本体は、仕切り鉄皮2bで上下に区分さ
れている。その区分けされた本体の下部側のうち、ポー
ラス質耐火物1bとその外周を包囲する鉄皮2aとの間に耐
火生キャスタブル４を介装させている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、タンディッシュ底部
に装着されるタンディッシュスライディングノズルの上
ノズルに関する。

【０００２】

【従来の技術】連続鋳造において、溶湯をタンディッシ
ュからモールドに注入する際に、従来から図９に示すよ
うなスライディングノズル装置が用いられている。図示
のように、この装置は、タンディッシュの底部に、上ノ
ズルが装着された固定盤12を設け、この固定盤12の下面
を、コレクターノズル13および浸漬ノズル14が接続され
た摺動盤15をスライドさせてモールドへの溶鋼量をコン
トロールするようになっている。

【０００３】ところで、このような装置では、Al₂O₃な
どの介在物の析出によるノズル閉塞防止対策として、従
来から上ノズルによるガスバブリングが広く実施されて
いる。そして、このノズル閉塞の防止を有効に行うため
には、導入するガスを有効に溶鋼流中に吹き分ける必要
があり、そこで近年、上ノズルは図９に示されるよう
な、ポーラス質耐火物１よりなる本体が鉄皮2bで上下に
区分けされ、その区分けされた上部側と下部側との双方
のポーラス質耐火物1a、1bにそれぞれ別個にガス導入管
３が連結される、いわゆる２段式上ノズルが汎用されて
きている。これによれば、スライディングプレートの絞
り部により近い部位からガス吹き込みができるととも
に、モールド内溶鋼流の状況に応じて、ガス吹き込み量
を上下で独立に調整でき、ガスバブリングが極めて有効
に行えるものとなる。

【０００４】一方、以上のような構造の上ノズルでもガ
スリークを完全に防止しなければ、ガスの有効な吹き分
けは行い得ず、ノズル閉塞の防止にも限界が生じる。こ
のため、従来の上ノズルでは、図９にも示すように、本
体全周を鉄皮2aで包囲するとともに、該鉄皮2aと本体外
周面とのわずかな隙間にモルタルを充填してガスリーク
の防止を行っている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかし、鉄皮2aで外周
を包囲し、かつ該鉄皮2aの隙間にモルタルを充填する上
記構造においても、１度加熱されると鉄とモルタルとの
膨張率の差によりモルタルが収縮変形してしまい、はや
りガスリークが発生してしまっていた。このため、従来
より、例えばノズル本体の外周面に環状溝を刻設すると
ともに、鉄皮の、これに相当する内周面に突状環をつく
りだして環状嵌着帯を形成し、環状嵌着帯により、この
部分をジグザク構造とし、ラビリンス効果を保たせてガ
ス洩れを防止するもの（特開昭６０―６８１４３号）、
ノズル本体の側壁をその差渡し径の大小が交番する外周
面に形成し、鉄皮もそれに相応する形状として、ポーラ
ス耐火物本体に鉄皮を被嵌するとともに両者間にモルタ
ルを充填し、そのような接合部をジクザク状にし、シー
ル部域の長さに対して実効表面積を著しく大とすること
によりガス洩れを防止するもの（実開昭６０―７４８４
０号）、ノズル本体のガスプール室上部または側壁下部
を異径として段差部を形成し、小径部に被嵌した鉄皮の
上端縁が常に段差環状幅面に当接することにより耐火時
と鉄皮との膨張率の差を補償するもの（実開昭６１―４
８６１号）など種々の技術が提案されてきたが、これら
の技術はいずれもノズル本体または鉄皮を特殊な形状に
するとか、または両者の整合当接に細かい精度を要する
とかの製作上の工数が増大することに加えて、熱による
充填モルタルに疎密が発生することを有効に妨げず、や
はり従前のノズルと同様、熱間でのガスシールを完全に
防ぐことはできなかった。

【０００６】本発明は、以上のような従来技術の問題点
に鑑み創案されたもので、ポーラス質耐火物と鉄皮間か
らのガスリークを防止し、導入されたガスをより効果的
に溶鋼流中に吐出させることができるタンディッシュの
上ノズルを提供しようとするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】従来のタンディッシュの
上ノズルは、上述のように、実使用時の熱履歴などによ
り、ポーラス質耐火物と鉄皮との間に充填するモルタル
が収縮して疎密状態になり、ポーラス質耐火物と鉄皮と
の間に隙間が生じてしまい、これがガスリークの要因と
なっていた。そして、このようなガスリークは、図９に
示すようないわゆる２段式上ノズルにおいては、主に本
体下部側で発生する。

【０００８】このため、本発明者らはガスリークを防止
すべく、２段式上ノズルの本体下部側の構造について種
々検討した結果、後述するようにガス供給系が連結され
るポーラス質耐火物の周囲に耐火性キャスタブルを配置
せしめた際に、上ノズル背圧の低下およびノズルの閉塞
を抑制し得ることを見い出した。

【０００９】本発明は、本発明者らの以上の知見に基づ
き創案されたもので、本体外周部が鉄皮で包囲され、か
つその内部が仕切り鉄皮で上下に区分けされるととも
に、区分けされた本体の上部側と下部側との双方のポー
ラス質耐火物に、それぞれ別個にガス供給系が連結され
る、タンディッシュの上ノズルにおいて、区分けされた
本体の下部側のうち、少なくとも前記ポーラス質耐火物
と、その外周囲部を包囲する鉄皮との間に、耐火性キャ
スタブルを介装させたことを特徴とするタンディッシュ
の上ノズルである。

【００１０】

【作用】従来のようなポーラス質耐火物と鉄皮との間に
モルタルを充填する構造のガスリークは、上述のように
モルタルが疎密状態になってしまうところにその原因が
あるが、さらにこれはモルタル自体が多水分（通常10〜
20％）である場合が多く、それゆえ乾燥、熱間（使用
時）での収縮が大きく、またモルタル自身の強度も低い
という点に起因している。

【００１１】これに対し、本発明では、本体下部側のう
ちポーラス質耐火物とその外周部を包囲する鉄皮との間
に耐火性キャスタブルを介装させており、この耐火性キ
ャスタブルは低水分にて施工するため収縮も小さく、強
度も高い。

【００１２】従って、ガスリークが発生しやすかった本
体下部側において、本発明では介装される耐火性キャス
タブルによってポーラス質耐火物と鉄皮の間の空隙の発
生を抑えることができることになり、ガスリークを有効
に防止できる。

【００１３】

【実施例】以下、本発明の具体的実施例につき説明す
る。

【００１４】図１ないし図５はいずれも本発明に係るタ
ンディッシュ上ノズルの実施例を示し、1a、1bはポーラ
ス質耐火物、2aは外周鉄皮、2bは仕切り鉄皮、３はガス
導入管、４は耐火性キャスタブルを示している。

【００１５】図示のように、いずれの実施例も、ポーラ
ス質耐火物1a、1bよりなるノズル本体の外周部が鉄皮2a
で包囲されている。また、本体内部は仕切り鉄皮2bで上
下に区分けされ、図１中Ａ部を拡大した図６に示すよう
に、区分けされた上部側と下部側との双方のポーラス質
耐火物1a、1bに、それぞれ別個にガス導入管３がガスプ
ール５を介して連結されるいわゆる２段式上ノズルとな
っており、モールド内溶鋼流の状況に応じてガス吹込量
を上下で独立して調整し得るものとなっている。

【００１６】特に、本実施例では本体下部側のうち、ポ
ーラス質耐火物1bと外周鉄皮2aとの間に耐火性キャスタ
ブル４が介装されている。この耐火性キャスタブル４の
介装方法は、例えば次のような鋳込成形方法が考えられ
る。まず、図７に示すように、振動台５上に鉄皮2aで包
囲された上ノズル本体を逆さに固定する。その際、ノズ
ル孔内へ耐火性キャスタブル４が流入するのを防止する
ため、ノズル孔低部にキャップ６を嵌め込む。ミキサに
て予め混練された耐火性キャスタブルをノズル本体低部
の鉄皮２とポーラス質耐火物1bとの間の隙間から投入
し、所定位置まで充填した後、自然養生、脱キャップ、
乾燥の各工程を経て完了する。なお、ガスリークを完全
に防ぐべく、図１に示すように、ポーラス質耐火物1bの
周囲に鉄皮2cを予め被覆してもよい。また、この耐火性
キャスタブルの介装は上記鋳込成形方法に何ら限定され
るものでない。

【００１７】このように、本実施例ではノズル本体下部
側のポーラス質耐火物1bと、外周鉄皮2aとの間に、鋳込
成形方法でもって耐火性キャスタブル４が介装されてお
り、この鋳込成形された耐火性キャスタブル４は熱収縮
が小さく、かつ強度も高いことから、本体下部側のガス
リークを有効に防止し得るものとなっている。

【００１８】また、本実施例では、前記仕切り鉄皮2bの
端部を、上下いずれかもしくは上下いずれものポーラス
質耐火物１に形成された凹溝11に埋設させている。すな
わち、図１および図３に示す実施例は上部側、図２およ
び図４に示す実施例は下部側、図５に示す実施例は上下
いずれの側のそれぞれのポーラス質耐火物１に形成され
た凹溝11に、仕切り鉄皮2bの端部を埋設させており、ポ
ーラス質耐火物１や前記仕切り鉄皮2bが熱変形した際の
ガスリークを未然に防止し得るものとなっている。

【００１９】次に、以上の構成よりなる本実施例の試験
例を説明する。

【００２０】図１に示す構成の上ノズルを用い、ノズル
内を低炭Alキルド鋼の溶鋼流を通しつつガスバブリング
を行った場合の上ノズル背圧の変化とノズル閉塞の頻度
を調査した。また比較のために、図９に示すようなポー
ラス質耐火物と鉄皮との間にモルタルを充填した従来例
をも用いて、本実施例の全く同一条件の下、調査を行っ
た。表１は上ノズル背圧の経時変化を示し、図８はノズ
ル閉塞の頻度を示す。これらよりも明かなように、本実
施例によれば、上ノズル背圧の低下もなく、またノズル
閉塞も従来例と比較して大幅に減少しており、ガスリー
クが有効に防止し得ることがわかる。

【００２１】

【表１】

【００２２】なお、本発明に係る上ノズルは外挿式また
は内挿式のいずれにも適用できることは言うまでもな
い。

【００２３】

【発明の効果】以上説明したように、本発明に係るタン
ディッシュの上ノズルによれば、実使用時のガスリーク
を有効に防止でき、このため導入されたガスにより効果
的にノズル孔内に吐出されることになり、その結果、使
用中の上ノズルの背圧低下もなくなり、かつノズル閉塞
も大幅に減少するものとなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る上ノズルの一実施例を示す断面図
である。

【図２】本発明に係る上ノズルの一実施例を示す断面図
である。

【図３】本発明に係る上ノズルの一実施例を示す断面図
である。

【図４】本発明に係る上ノズルの一実施例を示す断面図
である。

【図５】本発明に係る上ノズルの一実施例を示す断面図
である。

【図６】図１中、Ａ部を拡大した図である。

【図７】本体下部側のポーラス質耐火物と外周鉄皮との
間に耐火性キャスタブルを介装させる工程の一例を示す
説明図である。

【図８】本発明の試験結果を示す図であり、ノズル閉塞
の頻度を示すグラフである。

【図９】従来のタンディッシュ上ノズルの構造を示す断
面図である。

【符号の説明】

１、1a、1b ポーラス質耐火物 ２、2a、2b 鉄皮 ３ ガス導入管 ４ 耐火性キャスタブル ５ 振動台

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 水岡 誠史 東京都千代田区丸の内一丁目１番２号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 高岡 隆司 東京都千代田区丸の内一丁目１番２号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 吉田 毅 東京都千代田区丸の内一丁目８番２号 東 京窯業株式会社内 (72)発明者 八反田 浩勝 東京都千代田区丸の内一丁目８番２号 東 京窯業株式会社内 (72)発明者 小池 康太 東京都千代田区丸の内一丁目８番２号 東 京窯業株式会社内 (72)発明者 小松代 良紀 東京都千代田区丸の内一丁目８番２号 東 京窯業株式会社内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 本体外周部が鉄皮で包囲され、かつその
   内部が仕切り鉄皮で上下に区分けされるとともに、区分
   けされた本体の上部側と下部側との双方のポーラス質耐
   火物に、それぞれ別個にガス供給系が連結される、タン
   ディッシュの上ノズルにおいて、区分けされた本体の下
   部側のうち、少なくとも前記ポーラス質耐火物と、その
   外周部を包囲する鉄皮との間に、耐火性キャスタブルを
   介装させたことを特徴とするタンディッシュの上ノズ
   ル。