JPH04956B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は硝安油剤爆薬（以下、ANFO爆薬と
称する）に関し、特に高温の硝化鉱を産出する鉱
山での使用に適したANFO爆薬に関する。 従来からANFO爆薬は安価で安全な爆薬とし
て多く使われている。しかし高温の硫化鉱を産出
する鉱山においては、発破孔に装填した裸薬状の
ANFO爆薬が、発破準備中に発煙し、暴発の危
険性を生じるという問題があつた。 その原因は、岩盤温度が約110℃〜140℃といわ
れる高温の硫化鉱鉱山において、ANFO爆薬が
高温の硫化鉱に接触すると、ANFO爆薬中の硝
酸アンモニウムが硫化鉄と化学反応を起し、特に
酸性の水の存在で、その反応が加速されることに
よるものである。 そこで、このような反応を抑制するために尿
素、炭酸カルシウム、ホウ酸アンモニウム等の物
質をANFO爆薬にそれぞれ単独に配合すること
が知られている。しかし、このような反応抑制剤
は鉱石の種類によつてその効果が異なり、しか
も、その添加量は多量に必要である。そのために
ANFO爆薬の威力や感度が低下するという問題、
すなわち具体的には爆速の低下、雷管起合爆性の
低下という問題があつた。更に加えて、尿素の多
量添加は、ANFO爆薬の水溶性を増し、切羽で
の散水時における耐久性低下という問題、および
ANFO爆薬が尿素の添加量に比例して長期貯蔵
中において固化し易すくなるという問題があつ
た。また、炭酸カルシウムの多量添加はアンモニ
ア臭発生による環境悪化のほか、直接、ANFO
爆薬の威力や感度の低下に著しい影響を与える。
このような問題から、これらの反応抑制剤の添加
量は２重量％程度に制限され、その結果、
ANFO爆薬の発煙抑制時間（発煙待ち時間）は、
高々数時間ないし十数時間であり、実用上望まし
い24時間以上（発破で不発残留薬を生じた場合
は、それが安全に処理されるまで24時間以上不発
ANFO爆薬と硫化鉱とが接触していることがあ
る）の発煙抑制時間が得られなかつた。 本発明は、前記のように、単独で配合した場合
は、色々の問題を生じ実用できなかつた従来公知
の反応抑制剤のうち、特定の反応抑制剤を併用す
ることによつて、前述のような実用上の問題を生
じないことを見出して完成したものであつて、本
発明は、実用上の特定を低下させることなく、高
温の硫化鉱に耐えるANFO爆薬を提供するもの
である。 すなわち、本発明は硝酸アンモニウム（以下、
硝安と称する）と軽油や灯油等の燃料油とを主成
分とするANFO爆薬において、尿素0.5〜３重量
％および炭酸カルシウム0.5〜３重量％を含有し、
かつその尿素と炭酸カルシウムとの合計配合率が
2.5〜４重量％であることを特徴とするものであ
る。 本発明において、ANFO爆薬は硝安と燃料油
とを主成分とするが、これに非火薬の鋭感剤を配
合したものも含まれる。 本発明で使用する尿素および炭酸カルシウム
は、工業用品でよく、粒度は特に限定するもので
はないが、24メツシユ通過品が望ましい。また、
その配合率は、ANFO爆薬に対し尿素が0.5〜３
重量％３炭酸カルシウムが0.5〜３重量％で、か
つその合計配合率が2.5〜４重量％であり、この
範囲より少ないと充分な発煙抑制効果が得られ
ず、またこの範囲より多いと、前述のような従来
の実用上の問題を生じるので好ましくない。 本発明において、ANFO爆薬への尿素および
炭酸カルシウムの配合方法は、それが均一に配合
されるならば、どのような混合方法、混合順序で
行なつていてもよい。 このようにして得られる本発明のANFO爆薬
は、発煙抑制時間が24時間以上と優れており、か
つ、実用上の問題点である耐久性、アンモニア臭
発生において従来品より優れ、爆速、起爆性の低
下もほとんどないので、高温の硫化鉱鉱山におけ
る厳しい環境下で安全に使用することができる。 次に本発明の効果を実施例および比較例によつ
て具体的に説明する。 実施例 １〜７ 硝安94重量部および軽油６重量部からなる
ANFO爆薬組成物に表１に示すように反応抑制
剤を添加して本発明のANFO爆薬を得て、次の
ような諸性能試験を行なつた。その結果は表１に
示すとおりであつた。 〔発煙抑制時間（発煙待時間）試験〕 ANFO爆薬30重量部、鉱石（硫化鉱または粘
土状硫化鉱鉱染帯）70重量部、および鉱水（PH
2.6）５重量を均一に混合して得られた試料100ｇ
を直径35mm、長さ400mmの鉄管に充填し、140℃の
恒温槽で加熱し、発煙するまでの時間を測定し
た。 〔溶出量試験〕 ANFO爆薬200ｇを直径35mm、長さ400mmの鉄
管に充填し、その鉄管を水平面から10度の傾斜さ
せて、90℃、相対湿度100％の恒温槽内に置き、
２時間後にANFO爆薬の溶出量を測定した。同
時にアンモニア臭の発生の有無・多少を調べた。 〔爆速試験〕 ANFO爆薬900ｇを直径35mm、長さ１ｍの鉄管
に充填し、チタマイト（日本油脂製の油中水型エ
マルシヨン爆薬の商品名）100ｇをブースターと
して起爆し、ドートリツシユ法によつて爆速を測
定した。 〔雷管起爆性試験〕 ANFO爆薬120ｇを直径25mm、長さ300mmの鉄
管に充填して、６号雷管で起爆し、完爆（○印）
か、不爆（×印）かを調べた。

【表】

【表】 比較例 １〜８ 実施例で用いたものと同じANFO爆薬組成物
を用いて、表１に示すように反応抑制剤無添加
例、尿素および炭酸カルシウムを本発明の範囲外
で添加した例および本発明の反応抑制剤以外の反
応抑制剤を使用した例を、実施例の場合と同様の
試験方法で試験し、その結果を表１に示した。 以上の実施例および比較例の結果から明らかな
ように、公知の反応抑制剤の単独添加では発煙抑
制時間を24時間以上とするために６重量％を必要
とし、そのため性能低下が著しく実用に耐えず
（比較例２、３）、これを２重量％に減じると、諸
性能の低下は免がれるが、目的の発煙抑制時間が
が短かく不十分であり（比較例６、７）、尿素と
炭酸カルシウムとを本発明の範囲外の併用添加量
にした場合は、発煙抑制時間は20時間以下であ
り、かつ諸性能も低下し、実用上安定に使用でき
ないものであつた（比較例４、５）。これに対し、
本願発明のように尿素と炭酸カルシウムとを特定
範囲の添加量で使用することにより、発煙抑制時
間は完全に24時間以上となり、かつ起爆性能他諸
性能も十分に実用的範囲に確保することができ
た。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 硝酸アンモニウムと燃料油とを主成分とする
   硝安油剤爆薬において、尿素0.5〜３重量％およ
   び炭酸カルシウム0.5〜３重量％を含有し、かつ
   その尿素と炭酸カルシウムとの合計配合率が2.5
   〜４重量％であることを特徴とする硝安油剤爆
   薬。