JPH0468499B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、移動部材に駆動力を伝達するための
可撓性を有するラツク付ドライブコードに関する
ものである。

（従来の技術） 前後の進退動作または上下の伸縮動作等可能な
移動部材に駆動体から駆動力を伝達する機構、例
えば多段伸縮ポールをモータで伸縮動作させる機
構において、移動部材と駆動体の相互の動作軸線
が不一致であれば、駆動力の伝達に可撓性を有す
るドライブコードが汎用されている。そして、ド
ライブコードの一側面にラツクを形成し、このラ
ツクに駆動体で回転駆動される駆動ギアを噛合さ
せ、ドライブコードでより大きな駆動力を伝達さ
せ得るように構成したものがある。そこで、ドラ
イブコードを突出するようにして駆動力を伝達す
るさいは、適宜な剛性が必要であり、ドライブコ
ードを引つ張るようにして駆動力を伝達するさい
は、適宜な引張強さが必要である。さらに、移動
部材と駆動体の相互の動作軸線が不一致であると
ともに、回転ドラム等に巻き取り可能であるため
には、適宜な可撓性が必要である。

したがつて、ドライブコードとして、剛性と引
張強さおよび可撓性が適度にバランスしているこ
とが望まれる。そこで、従来のドライブコード
は、例えば合成樹脂であるジユラコン等の材質に
より形成されている。

（発明が解決しようとする問題点） 上記ジユラコンにより形成されたドライブコー
ドであつても、充分に満足できるものでなかつ
た。すなわち、ドライブコードは、合成樹脂のジ
ユラコンを押出し成形し、さらに歯車が押圧され
ラツクが形成されて製造されるが、微妙な材質の
バラツキや冷却温度の違いにより形成後にひけを
生じる等製品にバラツキを生じ易く、所望の一定
な剛性と引張強さおよび可撓性が得にくい。ま
た、使用環境の外気温度の変化により、ドライブ
コードの剛性と引張強さおよび可撓性が変化し、
特に、低温で可撓性が不足し易い。そこで、ドラ
イブコードを突出するようにして駆動力を伝達し
たさいに、前進限度または伸張限度で、ドライブ
コードに座屈が生じ、この座屈による繰り返し曲
げで折損され易い。

ところで、多段伸縮ポール等の移動部材は、伸
張状態では細い棒状であり、いたずら等によつて
破損され易い。このために、かかる機構装置にあ
つては、移動部材である多段伸縮ポールおよびこ
れに駆動力を伝達するドライブコードが、一体的
に容易に交換できるように構成される。しかし、
ドライブコードが折損により中途で切り離される
と、移動部材を交換してもドライブコードの一部
が駆動体等の配設されるハウジング内に取り残さ
れ、ハウジングをも分解しなければならず、交換
が煩雑であるという問題点があつた。

本発明の目的は、上記した従来のドライブコー
ドの問題点を解決するためになされたもので、適
度な剛性と引張強さおよび可撓性を有するととも
に折損され難く、しかも折損して駆動力の伝達が
不可能となつても切り離されないようにしたラツ
ク付ドライブコードを提供することにある。

（問題点を解決するための手段） かかる目的を達成するために、本発明のラツク
付ドライブコードは、引張強さが大きくしかも可
撓性を有する細径素材を編みまたは縒り合わせた
芯材の外周を、可撓性を有する樹脂からなる包皮
材で一体的に包皮し、この包皮材の一側面にラツ
クを形成するとともに、前記芯材の一部が前記ラ
ツクの歯底面から露出するように構成されてい
る。

（作用） したがつて、一体的な芯材と包皮材により適度
な剛性と引張強さおよび可撓性を有する。また、
芯材は、細径素材を編みまたは縒り合わせて構成
されているので、折損し難く、包皮材が折損して
も芯材は折損せずにドライブコードが切り離され
ることがない。しかも、芯材は、一部がラツクの
歯底面から露出するように配設されているので、
芯材の外周全ては拘束されておらず、弾性変形に
より応力分散が可能であり、またラツクを内側に
してドライブコードは屈曲され易いので、芯材の
伸縮量が少なく、芯材の耐久力が向上する。

（実施例） 以下、本発明の実施例を第１図ないし第３図を
参照して説明する。第１図は、本発明のラツク付
ドライブコードの側面図であり、第２図は、第１
図の平面図であり、第３図は、第１図のＡ−Ａ矢
視断面図である。

第１図ないし第３図において、本発明のラツク
付ドライブコード１は、芯材２とこの芯材２の外
周を包皮する包皮材３とから構成される。芯材２
は、引張強さが大きくしかも可撓性を有する細径
素材が編み合わされまたは縒り合わされて構成さ
れる。この細径素材は、例えば化学合成繊維素材
や金属性の素材であり、望ましくはポリアミド系
の高張力繊維であるゲブラー繊維が好適である。
このゲブラー繊維は、比重が小さくラツク付ドラ
イブコード１を軽量化でき、また縒り合わせると
370Kg／mm²の大きな引張強さが得られしかも弾性
率が高い。

そして、この芯材２の外周を、押出し成形によ
り可撓性を有する合成樹脂の包皮材３で一体的に
包皮する。この押出し成形により、芯材２と包皮
材３は一体的に結合される。さらに、包皮材３が
冷却されて固まる前に、一側面に歯車を押圧して
ラツク４が形成される。このラツク４の形成のさ
いに、ラツク付ドライブコード１の外径寸法をｌ
とすれば、ラツク４の歯の先端から歯底面４_a，
４_a…までの深さが例えば0.4〜0.5lに形成され、
さらに、ラツク４の歯底面４_a，４_a…から芯材２
の一部が露出され、また大きな駆動力が伝達でき
るように歯の先端の幅が包皮材３の略外径寸法に
まで拡大される。なお、包皮材３は、例えばジユ
ラコンであり、芯材２は、包皮材３に対して同程
度の可撓性を有するとともに引張強さの大きいも
のであれば良い。

かかる構成において、本発明のラツク付ドライ
ブコード１は、引張強さの大きい芯材２とこれと
一体的に結合された包皮材３とにより、適宜な剛
性と引張強さが得られ、例えば多段伸縮ポール等
の移動部材を確実に伸縮動作させることができ
る。そして、適宜な可撓性により回転ドラム内に
巻き取り収納され得る。

また、ラツク付ドライブコード１の繰り返し屈
曲に対して、芯材２は一部がラツク４の歯底面４
_ａ，４_a…から露出されて外周全ては包皮材３で拘
束されていないので、露出した部分の弾性変形に
より応力分散が可能であり、屈曲に対する耐久性
が高い。さらに、ラツク付ドライブコード１は、
ラツク４を内側にして駆動ギアや回転ドラム内に
屈曲巻回される場合が多く、かかる屈曲に対して
芯材２は歯底面４_a，４_a…から露出する位置にあ
るので伸縮量が少なく、芯材２に作用する応力は
小さい。このため、芯材２は破損され難い。そし
て、仮に包皮材３が折損して駆動力の伝達が不可
能であつても、本発明のラツク付ドライブコード
１は破損箇所で切り離されることがない。このた
めに、多段伸縮ポール等の移動部材を交換するさ
いに、ハウジング内にラツク付ドライブコード１
の一部が取り残されるようなことがなく、修理交
換が容易である。

なお、本発明のラツク付ドライブコード１は、
例えば自動車用モータアンテナや自動車用コーナ
ポールおよび旗竿用伸縮ポール等に用いられる
が、これらに限られず、回転駆動を簡単な構成で
しかもスペースをとることなく直進運動に変換す
る装置や、駆動体と移動部材との動作軸線が不一
致な装置等のいかなる装置に使用しても良い。

（発明の効果） 以上説明したように、本発明のラツク付ドライ
ブコードによれば、適宜な剛性と引張強さおよび
可撓性が得られ、しかも包皮材が破損しても芯材
が破損しにくいので、駆動力の伝達が不可能とな
つても破損箇所で切り離されることがないという
優れた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明のラツク付ドライブコードの
側面図であり、第２図は、第１図の平面図であ
り、第３図は、第１図のＡ−Ａ矢視断面図であ
る。 １：ラツク付ドライブコード、２：芯材、３：
包皮材、４：ラツク、４_a：歯底面。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 引張強さが大きくしかも可撓性を有する細径
   素材を編みまたは縒り合わせた芯材の外周を、可
   撓性を有する樹脂からなる包皮材で一体的に包皮
   し、この包皮材の一側面にラツクを形成するとと
   もに、前記芯材の一部が前記ラツクの歯底面から
   露出するように構成したことを特徴とするラツク
   付ドライブコード。 ２ 前記細径素材が、ゲブラー繊維であることを
   特徴とする特許請求の範囲第１項記載のラツク付
   ドライブコード。