JPH0467063B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はタンク型高速増殖炉のポンプ又はルー
プ型高速増殖炉の原子炉容器入口配管等における
炉内機器のシール部に用いるキヤリアリングに関
するものである。

〔従来の技術〕

第５図に高速増殖炉（タンク型炉）の１次冷却
系の構成を示す。１が原子炉容器でナトリウム１
３を冷却材として保持している。炉心２で発熱し
たナトリウム１３は500℃前後で中間熱交換器３
を通り、そこで、２次冷却系と熱交換を行い、
350℃前後で炉内構造支持構造物８で仕切られた
原子炉容器１の下部に放出される。その後ナトリ
ウム１３は、ポンプ本体４に、ａ部より吸い込ま
れ、ｂ部のポンプインペラで昇圧され、ｃ部から
吐出され、炉内配管７を通り、炉心２に戻され
る。ｃ部は高圧となり上部の低圧側とはシール部
６で仕切られている。５はポンプケーシングであ
る。又１４は遮蔽プラグでカバーガスバウンダリ
を形成しており、その上面は、計装品等の為の温
度制限より60℃前後となつている。

従来のポンプのシール部６の構造を第６図、第
７図に示す。ピストンリング９により、ピストン
リング９とポンプケーシング５が密着して上下に
動く事により、ピストンリング９の下部の高圧側
と上部の低圧側とのシールを行つていた。

〔発明が解決しようとする問題点〕

しかし、高速増殖炉のタンク型炉の例では、ポ
ンプケーシング５の外側は500℃前後、内側は350
℃となり、又ポンプ本体４の上部では60℃前後、
下部では350℃前後となり、ポンプ本体４とポン
プケーシング５の軸方向の熱膨張差以外に熱変形
等による水平方向の変位がポンプ本体４とポンプ
ケーシング５の間に生じ、ピストンリング９のよ
うな構造ではポンプ本体４が偏心するような変位
が加わるとピストンリング９との間に洩れを生
じ、シール性に問題が生じる。

本発明は上述した事情に鑑みてなされたもの
で、タンク型高速増殖炉のポンプのシール部又は
ループ型高速増殖炉の原子炉容器入口配管等のよ
うに、軸方向及び水平方向の変位が同時に加わる
場合でも、その動きに追従し、高圧部と低圧部の
シール性能を維持する構造のキヤリアリングを提
供せんとするものである。

〔問題点を解決するための手段〕

そのため本発明のキヤリアリングは、内筒の外
周に設けたＵ溝に偏平円筒形のリングを嵌挿し、
該リングの外周に配設したピストンリングを外筒
内面に接触せしめ、上記リングの少なくとも上面
に上記Ｕ溝とＯリングを介して弾発的に接触する
シール板を設け、該シール板は上記リングとの間
に内側を開放した断面Ｕ字形の隙間を配して外周
端を上記リングに固着すると共に、内周端に上記
Ｏリングを装着した構造とする。

〔作用〕

温度差、機械荷重等によりシール部に軸方向、
水平方向の変位が同時に加わる場合、内筒（ポン
プ本体）水平方向の変位に対しピストンリングと
外筒（ポンプケーシング）が密着し、軸方向にシ
ールした状態で内筒とリングは密着・摺動し、リ
ングに一体又は別体に取付けたシール板が圧力に
より変形したシール板に装着したＯリングを介し
てシール性を保ち、シール部の内筒とリングは相
対的に上下・水平方向に移動する。

〔実施例〕

以下、添付図に基づいて本発明の実施例を詳細
に説明する。第１図は本発明のキヤリアリングの
一実施例を示す縦断面図、第２図は同キヤリアリ
ングの他の実施例を示す縦断面図、第３図はルー
プ型高速増殖炉の縦断面図、第４図は本発明のキ
ヤリアリングの更に他の実施例を示す縦断面図で
ある。

第１図、第２図は第５図に示すタンク型高速増
殖炉のポンプに本発明のキヤリアリングを適用し
た場合で、図に於いて、ポンプ本体４（内筒）と
ポンプケーシング５（外筒）の円周隙間は、ポン
プケーシング５が自由に動ける様適正に設ける
が、ポンプ吐出圧に対するシールとしてリング１
０と従来から採用されているピストンリング９を
設置する。

リング１０は、偏平な円筒形状で、上部を内側
からＵ字形にえぐつて、上部は薄肉で下部は厚肉
の構造（第１図）又は、上部に偏平な円錐台形状
の薄板を円筒部の外側から溶接する構造（第２
図）である。ポンプ本体４との接触部には溝を設
け、金属のＯリング１１を設置している。

ｄ部がポンプ吐出圧がかかる高圧部分でｆが低
圧部分である。ピストンリング９とポンプケーシ
ング５が密着しシールした状態で、ｅ部も高圧と
なり、リング１０の上部の薄肉部が圧力により上
方に変形することにより、Ｏリング１１を介して
ポンプ本体４とリング１０が密着する。ポンプ本
体４とポンプケーシング５が上下、水平方向に移
動してもリング１０はピストンリング９、Ｏリン
グ１１を介してポンプケーシング５、ポンプ本体
４と密着摺動するのでシール効果を有している。

この摺動動作を確実なものとするため、摺動面
１２には適切なハードフエイシングが施工され
る。

第３図に示すループ型高速増殖炉において、１
５が原子炉容器、１６が１次冷却系の原子炉容器
入口配管で、その炉内部分のシール部１７に本発
明を適用できる。１８は配管の外筒である。シー
ル部１７の拡大図を第４図に示す。

図において、１６は入口配管（内筒）で、配管
内であるｇ部は高圧部である。１８は外筒で、外
筒１８と入口配管１６の間にピストンリング９、
リング１０、Ｏリング１１のシール部を設置す
る。入口配管１６にはｈ部を高圧にするため貫通
孔１９を設けてある。ｉ，ｊは低圧部である。

〔発明の効果〕

以上詳細に説明した本発明のキヤリアリングに
よれば、温度差、機械荷重等によりシール部に軸
方向、水平方向の変位が同時に加わつても、シー
ル性を保つことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明のキヤリアリングの一実施例を
示す縦断面図、第２図は同キヤリアリングの他の
実施例を示す縦断面図、第３図はループ型高速増
殖炉の縦断面図、第４図は本発明のキヤリアリン
グの更に他の実施例を示す縦断面図、第５図はタ
ンク型高速増殖炉の縦断面図、第６図、第７図は
タンク型高速増殖炉のポンプにおける従来のシー
ル部の縦断面図である。 １，１５…原子炉容器、２…炉心、３…中間熱
交換器、４…ポンプ本体（内筒）、５…ポンプケ
ーシング（外筒）、６，１７…シール部、９…ピ
ストンリング、１０…リング、１０ａ…シール
板、１１…Ｏリング、１６…入口配管、１８…外
筒。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 内筒の外周に設けたＵ溝に偏平円筒形のリン
   グを嵌挿し、該リングの外周に配設したピストン
   リングを外筒内面に接触せしめ、上記リングの少
   なくとも上面に上記Ｕ溝とＯリングを介して弾発
   的に接触するシール板を設け、該シール板は上記
   リングとの間に内側を開放した断面Ｕ字形の隙間
   を配して外周端を上記リングに固着すると共に、
   内周端に上記Ｏリングを装着したことを特徴とす
   るキヤリアリング。