JPH0450782Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 【産業上の利用分野】

本考案は、正規の合鍵を用いないで不心得者等
によるこじ開け操作、いわゆる、こじ開け具を用
いた不正操作による開錠を防止できるように改良
したシリンダー錠に関する。

【従来の技術】

添付図面の第１図を参照して従来のシリンダー
錠を説明すると、鍵穴１を有する内筒２は外筒３
に回転自在に嵌装されていると共に、内筒２と外
筒３には複数個の孔４ａ，４ｂがそれぞれ対応し
て並設されている。一方の孔４ａには図上で下側
のタンブラー５ａが、また他方の孔４ｂには図上
で上側のタンブラー５ｂとバネ（コイルバネ）６
がぞれぞれ嵌装されており、バネ６の弾発力でタ
ンブラー５ａ，５ｂのうちの上側の各タンブラー
５ｂを常時は内筒２と外筒３の双方の孔４ａと４
ｂに係入させて、内筒２と外筒３の相対的回転を
不能にしている（施錠状態）。そして、合鍵７を
鍵穴１に挿入すると、下側のタンブラー５ａに押
されて上側のタンブラー５ｂは外筒３の孔４ｂ内
に没入し、該タンブラー５ｂの下端が内外両筒
２，３の接合面と面一の状態になるように保持さ
れ（開錠状態を示す添付図面の第３図参照）、内
筒２は合鍵７と一緒に回転できる仕組になつてい
る。 なお、上記説明のシリンダー錠はピンタンブラ
ー型のものであるが、ピンタンブラーの代りにデ
イスクタンブラーを用いたシリンダー錠も公知で
ある。

【考案が解決しようとする課題】

上記従来のシリンダー錠は、不心得者等が鍵穴
１にこじ開け具を挿入し、総てのタンブラー５
ａ，５ｂを摺動させて添付図面の第３図に示すよ
うな状態にすると、合鍵７を用いなくても不正に
開錠することは困難ではないため、盗難予防の面
で問題となることが往々にしてある。 そこで、本考案の目的は鍵穴に合鍵を挿入する
と、本来のタンブラーとは反対方向へ移動して内
筒と外筒との係止を解除できるようにした補助タ
ンブラーを更に設け、この補助タンブラーの存在
によつて、こじ開け具を用いた不正操作によつて
も絶対に開錠できないように改良したシリンダー
錠を提供することにある。

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために、本考案の特徴とす
るシリンダー錠は鍵穴を有する内筒を外筒に回転
自在に嵌装し、内筒と外筒に対応させて並設した
複数個の孔にバネの付勢下に置かれているタンブ
ラーをそれぞれ摺動自在に装着して、これらのタ
ンブラーを常時は内筒と外筒の双方の孔に係入さ
せ、内筒と外筒の相対的回転を不能にしたシリン
ダー錠において、内筒と外筒の相対的回転が不能
である状態では内筒と外筒に対応させて設けた双
方の孔に係入すると共に、鍵穴に合鍵を挿入した
開錠時には上記本来の各タンブラーとは反対方向
に移動して内筒と外筒の係止を解除する補助タン
ブラーを設け、この補助タンブラーを鍵穴に先端
部を臨ませた摺動体によつて摺動自在に支持する
と共に、補助タンブラーと摺動体をそれぞれバネ
の付勢下に置いて成るものである。

【作用】

合鍵を鍵穴に挿入すると、本来のタンブラーは
外筒側の方向へ向かつて移動する一方、補助タン
ブラーは合鍵に押されて鍵孔から後退する方向へ
移動する摺動体の摺動動作に同調し鍵穴の方向へ
向かつて移動する。この合鍵操作で、内筒と外筒
の接合面に補助タンブラーを含めた各タンブラー
の接合端面が面一の状態で置かれるため、内筒を
合鍵と一緒に回転させることができる。

【実施例】

以下に、本考案の実施例を添付図面を参照しな
がら説明する。 図面は、タンブラーとしてピンタンブラーを用
いた従来のシリンダー錠に本考案を適用した実施
例を示すものであつて、この項においては、従来
のシリンダー錠の構成と共通する構成は前述した
「従来の技術」の項における説明を援用し、その
重複した説明を省略する。 従来のシリンダー錠における本来のタンブラー
５ａ，５ｂとは別に設けた主補助タンブラー１１
ａを内筒２に穿設した孔１２ａに、また、上記主
補助タンブラー１１ａとは相対向した端面同士が
互いに当接自在である従補助タンブラー１１ｂを
外筒３に穿設した孔１２ｂにそれぞれ嵌装し、こ
の主従両補助タンブラー１１ａ，１１ｂにより構
成され、常時は内筒２と外筒３の相対的回転を不
能にすることができる補助タンブラー１１を設け
てある。そして、補助タンブラー１１は外筒３の
孔１２ｂに嵌装したバネ（コイルバネ）１３の付
勢下に置かれていると共に、該補助タンブラー１
１の主補助タンブラー１１ａは鍵穴１に先端部１
４ａを臨ませた摺動体１４によつて摺動自在に支
持されており、この摺動体１４は上記バネ１３よ
りバネ圧が強いバネ（コイルバネ）１５の付勢下
に置かれ、常時は主補助タンブラー１１ａを内筒
２と外筒３の双方の孔１２ａ，１２ｂに係入させ
て、内筒２と外筒３の相対的回転を不能にしてい
る。１６は内筒２に穿設した摺動体１４とバネ１
５の収容孔、１７は塞栓である。 なお、図示の実施例では、摺動体１４の先端部
１４ａは合鍵７による押圧操作に無理が生じない
ように弾頭状に形成されており、この先端部１４
ａの形状にしたがつて補助タンブラー１１は摺動
する。そして、摺動体１４にはボール状のものを
用いることも可能であり、この摺動体１４は鍵穴
１に直交して摺動できるように設けてあるが、こ
れは鍵穴１の最奥部に設けて、鍵穴１の軸線に沿
つて摺動できるように実施することも可能であ
る。また、本考案はデイスクタンブラー型のシリ
ンダー錠に適用して、本実施例に係るピンタンブ
ラー型のシリンダー錠と同様に実施することもで
きる。

【考案の効果】

本考案は上記の如くであつて、内筒と外筒との
相対的回転を不能にする本来のタンブラーと同様
な機能部材である補助タンブラーを別に設け、こ
の補助タンブラーを本来のタンブラーとは反対方
向に移動させることにより、該本来のタンブラー
と同調させて施錠及び開錠ができるように構成し
たので、こじ開け具を用いた不正操作で開錠する
ことは構造的にも技術的にも困難であつて、盗難
予防に極めて有効である。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示すもので、第１図は
施錠状態の断面図、第２図は第１図のＡ−Ａ線断
面図、第３図は開錠状態の断面図、第４図は第３
図のＢ−Ｂ線断面図、第５図は要部の斜視図であ
る。 図中、１は鍵穴、２は内筒、３は外筒、４ａ，
４ｂは孔、５ａ，５ｂはタンブラー、６はバネ、
７は合鍵、１１は補助タンブラー、１１ａは主補
助タンブラー、１１ｂは従補助タンブラー、１２
ａ，１２ｂは孔、１３はバネ、１４は摺動体、１
４ａは先端部、１５はバネである。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 鍵穴を有する内筒を外筒に回転自在に嵌装し、
   内筒と外筒に対応させて並設した複数個の孔にバ
   ネの付勢下に置かれているタンブラーをそれぞれ
   摺動自在に装着して、これらのタンブラーを常時
   は内筒と外筒の双方の孔に係入させ、内筒と外筒
   の相対的回転を不能にしたシリンダー錠におい
   て、内筒と外筒の相対的回転が不能である状態で
   は内筒と外筒に対応させて設けた双方の孔に係入
   すると共に、鍵穴に合鍵を挿入した開錠時には上
   記本来の各タンブラーとは反対方向に移動して内
   筒と外筒の係止を解除する補助タンブラーを設
   け、この補助タンブラーを鍵穴に先端部を臨ませ
   た摺動体によつて摺動自在に支持すると共に、補
   助タンブラーと摺動体をそれぞれバネの付勢下に
   置いて成ることを特徴とするシリンダー錠。