JPH0448165Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 イ 考案の目的 （産業上の利用分野） この考案は、病院等において被検者の１分間の
脈拍数を計測するのに利用できる携帯容易な脈拍
数計測器に関する。

（従来の技術） 被検者の１分間の脈拍数を計測するのに、古く
から行なわれた触診による方法は、被検者の手首
の動脈を指で抑え、時計を見ながらその脈拍数を
数えて、ある時間内の脈拍数を知り、これから１
分間の脈拍数を換算するものである。この方法は
現在も使われている。

また、動脈を流れる血液の脈動に伴なつて発生
する微弱な生物電気を利用して心電図を描かせる
ときに、脈拍数を知ることも行なわれている。

更に近時は、心電図を描かせる場合と同様に、
手首付近に脈拍により発生する生物電気を小型演
算器に入力して迅速に１分間の脈拍数を算出しデ
ジタル表示させる計測器を腕時計に組込んだ装置
も実用されている。

（考案が解決しようとする問題点） 触診による脈拍数計測は、十数秒程度の短時間
に触診した脈拍数を、１分間の脈拍数に換算しな
ければならないという面倒があり、誤差も大き
い。

心電図モニターによる脈拍数測定は、心電図装
置を必要とし、これを使用する操作にも時間や入
手がかかり、多人数の脈拍数計測には不便であ
る。

微弱な生物電気を検出する腕時計状の装置によ
る計測方法も、皮膚が乾燥して導電性が悪いよう
な状態で計測すると誤差が介入し易いので、この
ような場合は皮膚を湿らせてから測定しなければ
ならず、古くからの触診による方法よりもかえつ
て面倒である。

ロ 考案の構成 （問題点を解決するための手段） この考案は、片手の指で被検者の脈拍を触診し
ながら、脈拍に同期させて他の手でスイツチを断
続的に開閉する操作により、脈拍数を電気的に計
測し、同時に測定に要した時間をカウンタにより
電気的に計測し、この二つの電気量を小型電子計
算器の演算部に入力して１分間の脈拍数を迅速に
計算し、この結果を液晶によるデジタル表示また
は音声告知する脈拍数計測器を得て上記の問題点
を解決したものである。

（作用） 片手で触診しながら、その脈拍に合せて他の手
でスイツチを開閉するから、小型の電子計算器の
演算部には正確に脈拍数及びカウンタの計測した
所要時間が入力され、演算部により換算されて１
分間の脈拍数が液晶によるデジタル表示または音
声告知で知らされる。

この演算及び表示は、脈拍を触診してスイツチ
を開閉し電圧パルスを出力する毎に行なわれるも
ので、スイツチを閉じて電圧パルスを出力させた
後、すぐスイツチを開くと、それまでに演算され
た１分間脈拍数が告知装置（以下表示器として説
明する）に表示されて残る。この動作は、スイツ
チを開閉する毎に行なわれる。計測時間が長くな
り、触診した脈拍数が多くなるに従つて、それま
で蓄積記憶された脈拍数及び所要時間により１分
間脈拍数が演算され、これが表示器に表示され
る。この表示は、新たなスイツチ操作が行なわれ
ないと表示され続ける。

このように動作するから、スイツチ操作時にた
とえ僅かな時間的誤差があつても、不整脈のない
時は、複数回のスイツチ操作をした後は、操作誤
差は平均化されて１分間脈拍数の表示は安定す
る。

不整脈がある場合は、平均的な１分間脈拍数が
表示される。

（実施例） 第１〜３図は、本考案の脈拍数計測器の実施例
を示し、第１図は正面図、第２図はその電気回路
を略示するブロツク図、第３図は脈拍と時間との
関係を示す線図である。

計測器のケース１は懐中時計程度の掌に握れる
大きさのもので、内部に、第２図に示すような第
一スイツチ２、第二スイツチ３、タイマ４、カウ
ンタ５、演算部６、液晶表示器７、電源電池（図
示せず）を収納し、電源スイツチのボタン８を押
す毎に電源が交互に開閉されるようにしている。
第一及び第二スイツチ２，３は、それぞれボタン
２ａ，３ａを押すと閉じ、押すのをやめると開く
と共にボタン２ａ，３ａが復位する。

カウンタ５は、第一スイツチ２の開閉により到
来する電圧パルス９（第３図）の数を記憶し蓄積
すると共に、これを電気量として演算部６に入力
する。

タイマ４は、第一スイツチ２の開閉毎に入力す
る電圧パルス９により作動するもので、第一のパ
ルス９が到来すると時間計測を始め、第二のパル
ス９が到来するとそれまでの所要時間を記憶する
と共に、この所要時間を電気量として演算部６に
入力し、カウンタ５の出力と合せて演算部６で演
算された１分間の脈拍数を表示器７に表示させ
る。

タイマ４は、第二のパルス９を受けた後、引続
いて第三のパルスが到来するまでの所要時間の計
測を始め、第三のパルスが到来すると、この時間
を最初の所要時間に加えて演算部６へ入力する。
即ち、第一のパルスを触診して第一スイツチ２を
閉じ、すぐに開き、第二のパルスを触診して再び
スイツチ２を閉じ、すぐに開くと、触診した脈拍
数２とその間の秒数がタイマ４で計測され、これ
が電気量となつて演算部６に入力され、カウンタ
５で計測したパルス数２と合せて１分間の脈拍数
が演算されて表示器７に表示される。続いて第三
のパルスを触診してスイツチ２を閉じ、すぐに開
くと、第二、第三のパルス間の所要時間が計測さ
れると共に、これがそれまでの計測時間に加えら
れて、脈拍数３とこれが到来するまでの間の所要
時間が電気量として演算部に入力されて１分間脈
拍数が演算され表示部に表示される。このように
してｎ回の脈拍を触診して第一スイツチ２を開閉
した後、スイツチ２を閉じるのをやめて電圧パル
ス９が到来しなくなると、最初の第一スイツチ閉
成から第ｎ回の電圧パルスが到達するまでの全所
要時間及びスイツチ開閉回数ｎを示す電気量が演
算部６に入力されて１分間脈拍数が演算され表示
される。

このようにして電圧パルス９が到来する毎にそ
れまでのパルス数及び全所要時間が演算部６に入
力されて１分間の脈拍数が演算される。ｎ個の脈
拍数を触診し、その間の全所要時間（秒）がｔで
あるとき、１分間の脈拍数Ｎは次式により演算さ
れる。

Ｎ＝60（ｎ−１）／ｔ この計測器を使用して被検者の脈拍数を計測す
るには、ケース１を片手の掌に握り、指で電源ス
イツチのボタン８を押してこれを閉じる。他方の
手は従来のように被検者の手首を握り、指で動脈
を抑えてその脈拍を触診できるようにする。

次に被検者の脈拍に同期させて第一スイツチ２
を複数回押し、すぐ押すのをやめる。

脈拍が触診されてボタン２ａを押す毎に、それ
までに蓄積記憶されたスイツチ２の開閉数及び蓄
積記憶された所要時間が電気量として演算部６に
入力され、１分間脈拍数が演算されて表示器７に
表示される。

このように、計測するから、被検者に不整脈が
ない場合は、ボタン２ａの押し方に少しの遅速が
あつても第一スイツチ２を複数回開閉する間に誤
差は平均化され、表示器７の表示する１分間脈拍
数は安定する。従つて表示器７の示す数値を見な
がら短時間で計測を終ることができる。不整脈が
ある場合は、１分間脈拍数が計測時間中の平均値
として表示されることになる。

脈拍計測を終えるときは、第一スイツチ２を押
すのをやめて開いたままにしておく。これにより
タイマ４、カウンタ５の計測は停止し、演算部６
は新たな演算を行なわず、それまでに蓄積記憶さ
れたタイマ４、カウンタ５の出力による演算結果
が表示器７に表示され続ける。

第二スイツチ３を一時的に閉じれば、タイマ
４、カウンタ５の蓄積記憶及びこの表示は消去さ
れ、続いて別の被検者に対する脈拍計測を行なう
ことができる。

ハ 考案の効果 １ 本案の脈拍数計測器は、被検者の脈拍を指で
触診しながら、この脈拍に合せて第一スイツチ
２のボタン２ａを断続的に押すものであるか
ら、被検者の皮膚の状態によつて生物電気の導
通が悪くなり、誤差が介入するおそれがなく、
正確な計測を行なうことができる。

２ １分間の脈拍数が演算部６により自動的に計
算されるから、時計による従来の脈拍計測法よ
りも換算の手数が省け、より短時間に計測がで
きる。

３ 計算の結果は、表示部７ａに表示され、また
は音声告知されるから、頭の中で換算する必要
がない。

４ 懐中時計程度の小型にできるので携帯に便利
であり、どこででも使用でき、病院等における
日常医療、看護業務の能率を改善する効果が大
きい。

【図面の簡単な説明】

第１図は本案の脈拍数計測器の実施例を示す正
面図、第２図はその電気回路を略示するブロツク
線図、第３図は脈拍と時間との関係を示す線図で
ある。 １……ケース、２……第一スイツチ、２ａ……
ボタン、３……第二スイツチ、３ａ……ボタン、
４……タイマ、５……カウンタ、６……演算部、
７……液晶表示器、７ａ……表示部、８……電源
スイツチのボタン、９……電圧パルス。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 ボタン２ａを押す操作と押すのをやめる操作と
   により電圧パルスを出力する第一スイツチ２と、
   第一スイツチ２を被験者の脈拍に同期させて開閉
   させたときの上記電圧パルスの数ｎを記憶すると
   共に電気量として出力するカウンタ５と、上記ｎ
   個の電圧パルスが出力される間の秒数ｔを記憶す
   ると共に電気量として出力するタイマ４と、カウ
   ンタ５及びタイマ４の出力に基づいて、計算式 Ｎ＝60（ｎ−１）／ｔ により被検者の１分間の脈拍数Ｎを計算する演算
   部６と、前記電圧パルスが到来しない間は、この
   演算結果を告知し続ける装置７とを持ち、これら
   各部を、演算結果を消去する第二スイツチ３、別
   の押ボタン８の操作により上記各部との接続及び
   遮断を制御される電源と共にケース１に収納して
   成る脈拍数計測器。