JPH0447053Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、ポリエチレンテレフタレート樹脂等
の合成樹脂製の２軸延伸ブロー成形された壜体の
構造に関するものである。

〔従来の技術〕

ウイスキー、醤油等の液体を収納する比較的大
型の壜状容器として、合成樹脂製の壜体が広く利
用されにようになつている。

この壜体の成形手段として最も有効と思われる
ものは、結晶性の合成樹脂材料で成形された一次
成形品を２軸延伸ブロー成形により壜体に成形す
る手段であり、特にポリエチレンテレフタレート
樹脂で成形された２軸延伸ブロー成形壜体は、肉
薄で軽量でありながら機械的強度および耐内容物
性に優れ、安価に大量生産が可能である等の多く
の利点を持つものであつた。

この２軸延伸ブロー成形壜体は、一般的には、
全体として丸味を帯びており、また表面が円滑で
あり、さらに比較的大型であるので、滑り易く把
持し難い不都合があり、別に成形された把手を組
付ける等の取扱上の保持手段を壜体本体とは別個
に設けなければならなかつた。

この不都合を解消すべく、壜体の筒形状をした
胴部の両側部分に縦長となつた凹部を形成するこ
とによつて、壜体の胴部の後半部分を把手代わり
に利用できるように構成した壜体が製造されるよ
うになつている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

上記した従来の壜体は、壜体の取扱は確かに便
利となるのであるが、必ずしも機械的強度が充分
であるとは言い難いものとなつている。

すなわち、この壜体内に一定量の液体を充填し
た状態て落下させ、強度テストを行うと、壜体胴
部に形成された凹部が、落下衝撃時における収納
した液体の内圧の作用により、外方に突出変形し
てしまい、この変形が復帰しなくなると云う重大
な問題が生じていた。

また、この凹部の外方への突出変形は、凹部の
座屈強度が充分でないことを意味しており、この
種の壜体により高い機械的強度を与えることが望
まれていた。

本考案は、上記した従来例における問題点およ
び不都合を解消すべく考案されたもので、胴部に
形成された凹部に、この凹部に作用する内圧に対
して凹部を構造的に充分に補強する補強リブを設
け、もつて凹部の機械的強度を充分に高めること
を目的としたものである。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案による２軸延伸ブロー成形壜体１は、筒
形状の胴部２の両側部分の筒壁を内方に湾曲陥没
させて一対の縦長の凹部４を形成し、この両凹部
４内に、突出端を、凹部４を横切りかつ、凹部４
の陥没による湾曲程度よりもゆるやかな湾曲程度
で、内方に円弧状に湾曲させた補強リブ８を突条
設して構成したものである。

〔作用〕

補強リブ８は、凹部４内に、この凹部４を横切
る形態で突条設されているので、凹部４を外方に
突出変形させようと径方向に作用する力、すなわ
ち内圧に対して、凹部４を構造的に補強する補強
リブ壁として機能し、内圧に対する凹部４の機械
的耐久力である自己形状保持能力を大幅に高める
ことになる。

このため、凹部４に内圧が作用したとしても、
この内圧の作用によつて凹部４が外方に反転湾曲
して突出変形することがない。

また、補強リブ８は、その突出端を、凹部４の
陥没による湾曲程度よりもゆるやかな湾曲程度で
内方に円弧状に湾曲させているので、凹部４の全
横範囲にわたつて突条設されている割りには、突
出端を直線状にした場合に比べて、突出端各部の
凹部４表面からの突出高さが低くなつて、凹部４
に対して局部的に突出高さが大きくなることがな
く、これにより成形性が良いものとなる。

〔実施例〕

図示実施例の場合、壜体１はほぼ四角筒形状の
胴部２を有していて、この胴部２の上端に肩部を
介して口筒３を立設して構成されている。

胴部２の両側部分に設けられた凹部４は、その
中央部分である底部５に向かつて傾斜したテーパ
ー壁６によつて陥没形成されている。

また、この一対の凹部４を設けることにより、
胴部２の後半部分が把手部７となるが、この把手
部７の後周面部分には複数の横溝９が並列に付設
されていて、この横溝９によつて把手部７の機械
的強度、すなわち人の手から作用する握力によつ
て把手部７が妄りに変形することがないように、
この握力に対する対向力を発揮できるようになつ
ている。

補強リブ８は、横長な湾曲平板状のリブ頂壁片
８″で突出端を形成し、このリブ頂壁片８″の上下
両端縁から、補強リブ８の側壁片部分を形成する
リブ側壁片８′を、やや拡がるテーパ角を持たせ
て連設した構成となつている。

図示実施例の場合、この補強リブ８は二本並列
に設けられているが、これは凹部４の高さ方向の
長さが大きいためであつて、補強リブ８の凹部４
に対する補強程度に合わせて適当数設ければ良い
ものであり、補強リブ８を二本並列に設けること
により、四つのリブ側壁片８′が凹部４の高さ範
囲にわたつて略均等に分散位置するように、補強
リブ８のリブ頂壁片８″の幅をやや大き目とし、
もつて補強リブ８による凹部４に対する補強作用
を凹部４の全域に略均等に作用するようにしてい
る。

さらに、図示の場合は、二本の補強リブ８の間隔
を、指先が侵入することのできる値に設定し、も
つてこの補強リブ８を滑り止め効果をも発揮する
ことのできるものとしている。

この補強リブ８による変形防止効果の実験例を
以下に示す。

平面四角筒形状の容量が2.7の壜体であつて、
凹部４に補強リブ８を設けないもの（サンプル
Ａ）と、縦方向にリブを１本設けたもの（サンプ
ルＢ）と、本考案実施例のように横方向に内方に
円弧状に湾曲したリブ頂壁片８″を突出端とした
補強リブ８を２本設けたもの（サンプルＣ）とを
用意し、各サンプルの壜体のそれぞれ６本づつに
水道水2700gを充填打栓した後、中仕切り付きの
段ボール箱３個に上記各サンプル６本を入れ蓋を
閉じる。次に、各段ボール箱50cmの高さからコン
クリート面へ垂直落下させ、各サンプルの変形状
態を観察した。

その結果、壜体の凹部４における外方への突出
変形が、サンプルＡでは６本中、４本に生じ、サ
ンプルＢでは６本全部に生じたのに対し、本考案
のサンプルＣでは１本も変形が生じなかつた。さ
らに、このサンプルＣの段ボール箱を、引き続い
て50cm、70cmおよび100cmの高さから各一回落下
テストを行つたが、凹部４の変形は１本も生じな
かつた。

〔考案の効果〕

以上の説明から明らかな如く、本考案による２
軸延伸ブロー成形壜体は、内容液を充填した状態
で落下された等の取扱によつて壜体内に衝撃的な
内圧の上昇があつて、凹部に強大な内圧が作用し
たとしても、凹部は補強リブによつて構造的に強
力に補強されるので、凹部は内圧の作用によつて
外方に湾曲突出変形することがなく、このため壜
体全体の機械的強度を大幅に高めることができ、
また把手部が壜体と一体に成形されたままである
ので、比較的大型な壜体の取扱が容易であり、さ
らに補強リブはその構成が単純であると共に、突
出端が内方に円弧状に湾曲して、その凹部表面か
らの突出高さが低いので、成形性が良く、壜体の
成形が面倒になるようなことがなく、従来通りに
達成できる等多くの優れた効果を発揮するもので
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案による２軸延伸ブロー成形壜
体の一実施例を示す全体側面図である。第２図
は、第１図に示した実施例の胴部中央部で横断し
た、第１図中−線に沿つて切断矢視した平断
面図である。 符号の説明、１……壜体、２……胴部、３……
口筒、４……凹部、５……底部、６……テーパー
壁、７……把手部、８……補強リブ、８′……リ
ブ側壁片、８″……リブ頂壁片、９……横溝。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 筒形状の胴部の両側部分を内方に湾曲陥没させ
   て縦長の凹部を形成し、該凹部内に、突出端を、
   前記凹部を横切りかつ、前記凹部の陥没による湾
   曲程度よりもゆるやかな湾曲程度で、内方に円弧
   状に湾曲させた補強リブを突条設して成る２軸延
   伸ブロー成形壜体。