JPH043900B2 - - Google Patents

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JPH043900B2
JPH043900B2 JP11419886A JP11419886A JPH043900B2 JP H043900 B2 JPH043900 B2 JP H043900B2 JP 11419886 A JP11419886 A JP 11419886A JP 11419886 A JP11419886 A JP 11419886A JP H043900 B2 JPH043900 B2 JP H043900B2
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acid
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Description

【発明の詳細な説明】
(産業上の利用分野) 本発明は、耐食性、加工性にも優れた塗装鋼
板、特に自動車用として溶接可能な塗装鋼板に関
する。 (従来の技術) 電気抵抗溶接可能な塗装鋼板は、たとえば積雪
地帯の道路に融雪剤として散布される塩による自
動車の錆を防ぐ目的で、我国においても次第に使
われるようになつてきている。 従来の溶接可能な塗装鋼板としては、ジンクロ
メタル(商品名:米国ダイヤモンド・シヤムロツ
ク社)で代表されるジンクリツチ・プライマーを
塗装した鋼板がある。ジンクロメタルは、鋼板の
上に亜鉛末およびクロム酸を主成分とする下地ク
ロメート層(ダクロメツト)と、大量の亜鉛を含
有するエポキシ樹脂からなるジンクリツチ・プラ
イマー層(ジンクロメツト)とが形成されてお
り、冷延鋼板に比べて著しく優れた耐食性を示
す。また、鋼板にリン酸塩処理を施し、その上に
ジンクリツチ・プライマーを塗布、硬化したもの
は、Zコート鋼板として知られている。ジンクロ
メタル、特にその下地クロメート層に関しては、
特公昭47−6882号、同52−904号および同52−
4286号、ならびに特開昭49−74137号、同49−
74138号および同49−74139号に、下地クロメート
処理液中に亜鉛とクロム酸の他に還元剤、クロム
酸塩、両性金属酸化物もしくは水酸化物、ならび
に親水性コロイドの1種以上を添加することが提
案されている。 一般に自動車用などの防錆塗装処理鋼板には成
形加工性、溶接性および耐食性が要求されるが、
上述したジンクロメタルやZコート鋼板は特に成
形加工性が十分でない。これは、これらの鋼板に
使用されているジンクリツチ・プライマーが溶接
性確保の目的で体積%で50%前後、重量%では約
85〜90%という大量の亜鉛末を含有しているた
め、形成された溶膜が脆く、加工時に剥離を生じ
やすいためである。これにより耐食性が低下する
と共に、脱落した溶膜がプレス型に付着して傷の
原因となるため、金型の手入れ頻度が増して作業
性が悪化する。また、ジンクリツチ・プライマー
は塗膜中への水分の透過性が大きく、これも耐食
性の低下傾向につながる。塗膜剥離および耐食性
低下を軽減するには亜鉛末の量を減少させること
が有効であるが、塗膜の電気抵抗が増すため、抵
抗溶接が不利ないし不可能になる。 また、従来のジンクロメタルではクロメートの
焼付温度に150〜180℃、ジンクリツチプライマー
の焼付温度に250〜280℃と高温での焼付を要する
ため、鋼板の焼付硬化性が損なわれる欠点を有し
ていた。 なお、焼付硬化性とはユーザーにおいてプレス
等の加工を行い、電着塗装等で焼付を行うと、鋼
板の降伏応力が増加する性質をいう。 (発明が解決しようとする問題点) 本発明者らは、ジンクリツチ・プライマーの上
述した欠点を解消すべく検討した結果、めつき鋼
板を母材とし、その上に下地層としてクロム酸お
よびリン化鉄を含有する水性懸濁液を塗布・乾燥
させてリン化鉄含有クロメート被膜を形成させ、
その上にジンクリツチ・プライマーあるいは他の
塗料を塗布・硬化させると、塗膜のフクレや剥離
のない耐食性に優れた塗装鋼板が得られることを
先に提案した(特願昭58−194072号)。しかし、
上層の塗料としては従来のエポキシ系、ポリアミ
ド系、アクリル系などの樹脂塗料を使用しており
(たとえば実施例では従来と同様のエポキシ系ジ
ンクリツチ・プライマーを使用)、塗膜の可撓性
や密着性がまだ十分でないため、この塗装鋼板で
も耐食性および成形加工性にはなお改善の余地が
あつた。 さらに、場合によつては高温での焼付を必要と
し、焼付硬化性を安定的に得ることが難しく、省
エネルギーの観点からも低温焼付を可能とする必
要があつた。 (問題点を解決するための手段) ここに、本件発明の要旨とするところは、亜鉛
または亜鉛系合金めつき鋼板上に、部分還元した
クロム酸および全クロム酸の0.1〜5倍の重量の
コロイド状シリカを含有する水性懸濁液を塗布
し、加熱乾燥することにより形成した下層被膜
と、単核型および二核型の2価フエノールから選
ばれた1種もしくは2種以上の2価フエノールと
エピハロヒドリンとの重縮合により得たポリヒド
ロキシポリエーテル樹脂を含有する樹脂液を塗布
し、80℃以上、300℃未満の加熱乾燥により形成
した膜厚0.3〜10μmの上層被膜とを有することを
特徴とする、耐食性および加工性に優れた塗装鋼
板である。 (作 用) 次に、本発明において下層皮膜および上層皮膜
を上述のように限定した理由および各成分の作用
について詳述する。 下層クロメート クロメート膜はクロム酸の還元と水の蒸発によ
り形成されるが、低温において効率良く、還元・
造膜するため、次の手段を用いた。 (1) クロム酸水溶液中のクロム酸を部分的に還元
し、併せてコロイド状シリカを添加する。部分
還元を行うことにより、加熱乾燥時に還元する
クロム酸量を減少させ、効果的に造膜させるも
のである。部分還元率としてはCr3+/(Cr3+
Cr6+)=0.1〜0.6、好ましくは0.3〜0.6である。
0.1未満では還元効率が劣り、0.6を越えると
Cr3+が多量のため、液の安定性が損なわれる。 コロイド状シリカの添加量は全クロム酸の
0.1〜5倍の重量である。コロイド状シリカの
作用はクロム酸水溶液の濡れ性を増し、クロメ
ート被膜の造膜作用を助けるが、0.1倍未満で
は造膜作用に乏しく、5倍を越えると被膜が脆
くなる。 (2) シランカツプリング剤の作用 例えばビニルトリエトキシシラン、ビニル―
トリス(β―メトキシエトキシ)シラン、γ―
メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、
γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラ
ン、γ―アミノプロピルトリエトキシシラン、
N―β―(アミノエチル)―γ―アミノプロピ
ルトリメトキシシラン、β―(3,4―エポキ
シシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン
のようなシランカツプリング剤は、自らは加水
分解を生じ、ポリシロキサンを生成することに
より、コロイド状シリカを含むクロメート被膜
を強化し、上層被膜との密着性を向上させる。
加水分解により生成したアルコールはクロム酸
の還元剤として作用する。添加量は未還元クロ
ム酸に対し0.01倍モル未満では効果が小さく、
また多量に添加することは経済的に不利とな
る。 (3) 多価アルコール、多価カルボン酸、オキシカ
ルボン酸の作用 低温でのクロムの還元効率を高めるため、還
元剤として多価アルコール、多価カルボン酸、
オキシカルボン酸を用いてもよい。 多価アルコールとしては例えばエチレングリ
コール、プロピレングリコール、グリセリン等
がある。 多価カルボン酸としてはコハク酸、グルタル
酸、アジピン酸等がある。 オキシカルボン酸としてはクエン酸、乳酸等
がある。 さらに、上記還元剤の一部を糖類に置換する
ことも可能である。 添加量としては未還元クロム酸の0.01〜2.0
倍モルであることが望ましい。0.01倍モル未満
では還元効果は小さく、2.0倍モル超では還元
剤の作用は飽和するばかりでなく、クロメート
膜中に残存して、被膜の耐水性を阻害する。 (4) リン化鉄の作用 クロメート処理液中にリン化鉄を共存させる
と、リン化鉄がクロメート被膜中の遊離6価ク
ロムと反応してその量を減少させるので、塗料
を透過してきた水に容易な成分が減少し、その
ため腐食環境における塗膜の密着性が保持され
る。また、リン化鉄は導電性を有するため、亜
鉛末を存在させなくても、得られる塗装鋼板の
抵抗溶接が容易となり、溶接の作業性も良好で
ある。 リン化鉄は水不溶性で、クロム酸水溶液中で
は懸濁状態にあるため、遊離6価クロムと効率
よく反応させるには、全クロム酸に対して少な
くとも0.1倍の重量で存在させる必要がある。
一方、リン化鉄を多量に添加すると、リン化鉄
がクロメート被膜に強固に接着されず、加工に
よる被膜剥離の原因となつて、加工性および耐
食性が低下する。また、リン化鉄は上記のよう
に導電性を有するので、過剰に添加すると母材
と塗膜表面との間に容易に電流が流れ、腐食障
壁としての役割が損なわれる。これらの現象は
全クロム酸に対しリン化鉄が20倍の重量を超え
たときに顕著になる。以上の理由から、本発明
においてリン化鉄の量は、全クロム酸の0.1〜
20倍の重量、好ましくは1〜10倍の重量とす
る。 リン化鉄は、代表的なFe2PのほかにFeP、
Fe3P、FeP2などの組成のものも知られており、
これらのいずれも使用できる。また、リン化鉄
は、平均粒度5μm未満の微細粒度のものを使
用するのが好ましい。 (5) 金属クロム酸塩の作用 下層被膜の形成に使用するクロム酸とリン化
鉄を含有する水性懸濁液はさらに金属クロム酸
塩を含有しているのが好ましい。クロメート被
膜中に金属クロム酸塩が存在すると、防錆力を
高める防錆顔料として作用する。すなわち、金
属クロム酸塩は、母材めつき鋼板中の亜鉛およ
び鉄を不働態化させるので、腐食環境における
これらの溶解が抑制され、塗装鋼板の耐食性の
一層の向上に寄与する。金属クロム酸塩として
は、クロム酸の亜鉛およびストロンチウム塩が
例示される。 上記金属クロム酸塩に代えて、その前駆物質
として亜鉛またはストロンチウムの酸化物また
は水酸化物を使用してもよい。かかる酸化物ま
たは水酸化物は、クロム酸含有液中でクロム酸
イオンと反応して金属クロム酸塩に転化され
る。 上記金属クロム酸塩の過剰添加は、クロメー
ト被膜の造膜作用を阻害するので、鋼板と被膜
との密着性を低下させることになる。したがつ
て、金属クロム酸塩を添加する場合、その添加
量はクロム酸に対して等モル以下とするのがよ
く、また酸化物もしくは水酸化物として添加す
る場合は、クロム酸と反応してクロム酸を消費
するので、クロム酸に対して0.5倍モル以下と
少量に抑えるのが好ましい。 (6) その他 上記クロム酸を含有する水性懸濁液には、ク
ロメート被膜と亜鉛系めつき鋼板との密着性を
さらに向上させるために、クロム酸に対して等
モル以下の量のリン酸を含有させてもよい。 本発明の塗装鋼板において、上記水性懸濁液
の塗布量は、Cr量として10〜600mg/m2、より
好ましくは30〜300mg/m2であるのが好ましい。
ただし、このCr量はクロム酸に由来するもの
だけを意味し、金属クロム酸塩からのCrは除
外する。Cr量が10mg/m2未満では、耐食性が
不十分となる場合がある。一方、Cr量が600
mg/m2を越える厚いクロメート被膜は、塗装後
の加工により塗膜剥離を生じやすくなる。ただ
し、塗装後に変形を受けない用途(例、構造
物)には600mg/m2を越えて塗布することも可
能である。塗布は、バーコーター、ロールコー
ターなどの慣用手段により実施できる。 上記水性懸濁液を塗布した亜鉛系めつき鋼板
は、次いで加熱乾燥して塗膜を不溶化させる。
この加熱は、好ましくは、温度60〜200℃程度、
より好ましくは100〜150℃で行う。 本発明にあつては、上述のようにして得られた
下層被膜にさらに上層被膜を以下のようにして塗
布する。 上層塗膜 (1) 上述のように形成された下層被膜であるクロ
メート被膜の上に、本発明の塗装鋼板ではポリ
ヒドロキシポリエーテル樹脂の塗膜が形成され
る。本発明で用いるポリヒドロキシポリエーテ
ル樹脂は、単核型もしくは二核型の2価フエノ
ールもしくは単核型と二核型との混合2価フエ
ノールをエピハロヒドリンとほぼ等モル量でア
ルカリ触媒の存在下に重縮合させて得られる重
合体であり、ポリフエノキシ樹脂と呼ばれるこ
ともある。単核型2価フエノールの例は、レゾ
ルシン、ハイドロキノンおよびカテコールであ
り、二核型フエノールの例はビスフエノールA
であり、これらは単独で使用しても、あるいは
2種以上併用してもよい。混合2価フエノール
成分を反応させる場合、一方のフエノール成分
を予め過剰のエピハロヒドリンと重縮合させ、
次いで得られた末端エポキシ基含有樹脂に他方
のフエノール成分を反応させて、所望のポリヒ
ドロキシポリエーテル樹脂を得ることもでき
る。エピハロヒドリンの代表例はエピクロロヒ
ドリンである。2価フエノールがレゾルシンと
ビスフエノールAのモル比1/1の混合物であ
る場合のポリヒドロキシポリエーテル樹脂は下
記構造式で示される。 また、2価フエノールがレゾルシンである場
合は下記構造式で示される。 このように、ポリヒドロキシポリエーテル樹
脂はエポキシ樹脂と同様の原料から製造される
が、エポキシ樹脂と異なり末端エポキシ基を持
たず、数平均分子量が約8000〜50000とかなり
大きい熱可塑性樹脂である。ビスフエノールA
とエピクロロヒドリンから製造したポリヒドロ
キシポリエーテル樹脂は米国ユニオン・カーバ
イド社より市販されている(商品名:
PKHH)。 上記構造式から明らかなように、ポリヒドロ
キシポリエーテル樹脂は連鎖中にOH基と―O
―基を多数含んでいる。OH基は基体と水素結
合を形成するので、密着力の増大に寄与する。
一方、―O―基は分子内の回転を容易に生じる
ため、樹脂の可撓性増大に寄与する。これらの
官能基は、2価フエノールがビスフエノールA
のような二核型のものであるよりもレゾルシン
のような単核型のものである方が、2価フエノ
ールの分子量が小さいために、重量当たりの官
能基の個数が増大する。たとえば、レゾルシン
とビスフエノールAのモル比が0/1、1/
1、1/0である場合の分子量100当たりの官
能基の個数を次の第1表に示す。
【表】 したがつて、レゾルシンのような単核型2価
フエノールの含有率が多いほど、上記官能基の
連鎖中の含有率が増大し、得られる塗膜の密着
性や可撓性が増大する傾向がある。そのため、
本発明にあつては、2価フエノールはレゾルシ
ンのような単核型のものを50%以上含むのが好
ましく、100%レゾルシンであつてもよい。ま
た、本樹脂をアクリル酸、メタクリル酸等で変
性あるいは少量の他の樹脂を添加することもで
きる。 上記ポリヒドロキシポリエーテル樹脂は、ア
ルコール、炭化水素などには不溶であるが、セ
ロソルブ類、ケトン類、グリコール―エーテ
ル、これらの混合溶媒などに可溶であるので、
乾燥速度、平滑性などの要求特性を考慮して選
択した適当な溶媒に溶解させて塗布用の樹脂液
を調製することができる。この樹脂液に、防錆
顔料として作用する前述のクロム酸ストロンチ
ウム、クロム酸亜鉛などのクロム酸塩を樹脂の
1〜50重量%の量で添加してもよく、それによ
り耐食性の一層の向上が図れる。 この樹脂液の塗布も、バーコーター、ロール
コーターなどの慣用手段により実施でき、乾燥
後に膜厚0.3〜10μmの塗膜が得られるように塗
布する。膜厚が0.3μm未満では耐食性および加
工時の被膜剥離性が劣り、10μmを越えると抵
抗溶接が困難ないし不可能となる。 ここに、本発明において上述のように上層塗
膜を乾燥させるのは、単に上層塗膜を乾燥させ
るのみでなく、下層被膜であるクロメート被膜
の還元を促進させて被膜を強靭にするためでも
ある。本発明では、クロメート被膜を形成する
のに部分還元したクロム酸を用いるために、上
層被膜として低温で乾燥するポリヒドロキシエ
ーテル樹脂を利用することが可能となるのであ
る。 乾燥温度については、溶剤の沸点以上に加熱
することが、製品のブロツキング防止からも望
ましいが、乾燥塗膜5μm以下では乾燥温度が
溶剤の沸点以下であつても、ブロツキングは生
じない。したがつて、乾燥後の塗膜厚5〜10μ
mでは溶剤の沸点以上〜300℃、5μm以下では
80〜300℃に加熱する。当然、焼付温度が高い
と均一な被膜を形成し、耐食性、加工性は向上
するが、200℃以上での加熱では鋼板の焼付硬
化性は消滅する。 (2) 塗膜の可撓性を高めるには、可塑剤を添加す
る方法がある。良く知られているように、ポリ
塩化ビニルは剛直な樹脂であるが、可塑剤を添
加することにより、軟質化している。しかしな
がら、可塑剤は温度、時間によつてブリードア
ウトする現象がある。本発明に用いる樹脂液に
は反応性可塑剤として、アクリル酸または/お
よびメタクリル酸エステル1〜20重量%の量で
含有させることができる。このエステル中に含
まれる不飽和結合は、時間と共に開裂し、架橋
することにより、固定される。また加工後、さ
らに塗装・焼付等加熱すれば速やかに、可塑剤
の固定が生じる。 かくして得られた塗装鋼板は、鋼板基体上に
亜鉛系めつき層、下層のクロメート被膜層、上
層の樹脂被膜層が順次積層された断面構造を有
する。自動車用には、かかる塗装は通常は鋼板
の片面のみに行われるが、用途によつては本発
明の塗装鋼板は両面に上記塗装を設けたもので
もよい。 次に本発明を実施例により説明する。実施例
中、%および部は特に指定のない限り重量%およ
び重量部である。 実施例 (a) 母材 厚さ0.8mmの冷延鋼板の片面に目付量20g/
m2で12%Ni―Znを電気めつきした合金亜鉛電
気めつき鋼板を母材として使用した。このめつ
き鋼板は、使用前にフアインクリーナ4336(日
本パーカライジング社製)で脱脂して、表面を
清浄化してから用いた。 また、焼付硬化性を有する鋼板に同様のめつ
きを行つた合金電気めつき鋼板を母材としても
用いた。 (b) クロメート液 CrO3120g/を含有するクロム酸水溶液
に、還元剤として、エチレングリコールの水溶
液を添加し、80℃、6hr加熱した。反応終了後、
Cr3+/Cr6+が一定の値になるよう、CrO340
g/の水溶液でもつて希釈した。 さらに水を加え、CrO3換算40g/(=
0.4mol/)の部分還元クロム酸水溶液を調
製した。 このクロム酸水溶液にコロイド状シリカ(日
本アエロジル社製アエロジル200、平均粒径12
mμを所定量添加した。さらに各種添加物とし
ては、 ●シランカツプリング剤 ビニルエトキシシラン(日本ユニカー社製:
A―151) γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラ
ン(日本ユニカー社製:A―187)γ―アミ
ノプロピルトリエトキシシラン(日本ユニカ
ー社製:A―1100) ●多価アルコール グリセリン(1級試薬) ●オキシカルボン酸 クエン酸(1級試薬) ●リン化鉄(フツカーケミカル社製:HRS―
2132、平均粒径3μm) ●金属クロム酸塩 クロム酸ストロンチウム(特級試薬) を所定量添加し、高速デイスパーにより撹拌し
て、水性懸濁液として使用に供した。 (c) 樹脂液 冷却器を備えたフラスコに、レゾルシンのジ
グリシジルエーテル(住友化学社製スミエポキ
シELA―130、レゾルシン1モルとエピクロロ
ヒドリン2モルとの反応生成物)135.8部、レ
ゾルシン55部、メチルエチルケトン190.8部、
5N NaOH水溶液4容量部を仕込み、還流温度
において18時間反応させた。得られた樹脂状物
質を撹拌器内の水中に投入し、撹拌して、水中
で再沈殿させ、水不溶性の樹脂を回収した。こ
の樹脂を減圧乾燥して、粉末状の2価フエノー
ルがレゾルシンである単核フエノールのみのポ
リヒドロキシポリエーテルを得た。 同様の方法により、ビスフエノールAのジグ
リシジルエーテル(油化シエルエポキシ社製、
エピコート828)230部、レゾルシン55部、メチ
ルエチルケトン200部および5N NaOH水溶液
4容量部を使用して重縮合反応を行い、2価フ
エノール成分がレゾルシンとビスフエノールA
(1/1)であるポリヒドロキシポリエーテル
を得た。 得られた粉末樹脂を、酢酸セロソルブ/シク
ロヘキサノンの1/1(容量比)混合溶媒に溶
解させ、樹脂固形分20重量%の樹脂溶液を得
た。 100℃以下の低温加熱用には、溶媒として
MEKを用いた。 二核2価フエノールよりなるポリヒドロキシ
ポリエーテル樹脂として、市販品(ユニオンカ
ーバイド社製:PKHH)を用いた。 反応性可塑剤としては、ペンタエリトリトー
ルリアクリレート(東亜合成化学社製:アロニ
ツクスM―305)を用いた。 (d) 塗装鋼板の調製 上記(a)の清浄な鋼板に、下地処理液(b)をバー
コーターにより各種Cr付着量で塗布し、所定
の板温度となるように30秒間加熱して、リン化
鉄含有クロメート被膜を形成した。次いで、室
温まで放冷後、樹脂液(c)をバーコーターにより
各種厚みで塗布し、所定の板温度となるように
60秒間加熱して焼付を行い、樹脂被膜を形成し
た。得られた塗装鋼板について、下記試験を行
つて、耐食性、加工性および溶接性を評価し
た。 (e) 試験 () 耐食性試験:塗装鋼板の耐食性は、35℃
の5%食塩水への浸漬1時間、次いで50℃の
温風乾燥1時間を1サイクルとする乾湿繰り
返し試験により評価した。試験サイクル数
480(試験時間960時間)での塗膜のフクレ発
生面積とフクレの平均直系で耐食性を評価し
た。 () 加工密着性試験:塗装鋼板の加工性を評
価するために、第1図に示すビード付きU曲
げしごき試験を行つた(左右対称であるの
で、第1図には片側のみを示す)。第1図の
ダイス1の上に試験片2を塗膜3がダイス側
になるように載せ、スペーサ4を介して板押
さえ5により試験片を支持する。次いで、ポ
ンチ6を矢印方向に一定速度で押し込んで試
験片をダイスとポンチの間でしごき、鋼板の
U曲げを行う。評価は、第2図に示すよう
に、ダイスによりしごかれた塗膜の剥離部7
の面積により行い、剥離面積は次式により求
める。 剥離面積〔%〕=Σbi/2×100 なお、第1図および第2図には片側のみ示
したが、剥離面積はU曲げ試験片の両側の結
果に基づいて上記計算式により算出する。ま
た、ダイス肩の表面粗さが常に一定になるよ
うに、各測定ごとにトリクレン洗浄と120番
エメリー紙による研磨を行つた。 () 溶接性試験:交流シングルスポツト溶接
器を使用して、先端径5.0mmの電極により、
溶接電流8000A、通電時間10サイクル、加圧
荷重200Kgの条件において、2枚重ねた塗装
鋼板試験片のスポツト溶接を行つた。2枚の
試験片は、塗装面と未塗装面が接触するよう
に重ねた。溶接性は次の基準で評価した。 ○:溶接後に散りがない場合。 △:溶接が可能である場合。 ×:未溶接があるか、溶接不能である場
合。 () 焼付硬化性 試験片に2%の伸びを与えた後、170℃×
30min保持した。加熱後の鋼板の機械強度を
測定し、(加熱後の降伏応力―加熱前の降伏
応力)で焼付硬化性を評価した。 第1表は、本発明にかかる塗装鋼板の塗膜
組成および製造条件を比較例のそれとともに
まとめて示すものである。 第2表は、各供試材の耐食性、加工密着性
および溶接性の試験結果をまとめて示すもの
であり、第3表は、一部の供試材について行
つた焼付硬化性の試験結果を母材成分ととも
に同様にまとめて示すものである。
【表】
【表】
【表】 *:本発明の範囲外
【表】
【表】
【表】
【表】
【表】 【図面の簡単な説明】
第1図は、ビード付きU曲げしごき試験の実施
例を示す略式説明図、および第2図は、しごき剥
離面積の評価方法を示す略式説明図である。 1:ダイス、2:試験片、3:塗膜、4:スペ
ーサ、5:板押さえ、6:ポンチ、7:剥離部。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 亜鉛または亜鉛系合金めつき鋼板上に、部分
    還元したクロム酸および全クロム酸の0.1〜5倍
    の重量のコロイド状シリカを含有する水性懸濁液
    を塗布し、加熱乾燥することにより形成した下層
    被膜と、単核型および二核型の2価フエノールか
    ら選ばれた1種もしくは2種以上の2価フエノー
    ルとエピハロヒドリンとの重縮合により得たポリ
    ヒドロキシポリエーテル樹脂を含有する樹脂液を
    塗布し、80℃以上、300℃未満で加熱乾燥するこ
    とにより形成した膜厚0.3〜10μmの上層被膜とを
    有することを特徴とする、耐食性および加工性に
    優れた塗装鋼板。 2 前記水性懸濁液がさらにシランカツプリング
    剤を未還元クロム酸の0.01倍モル以上含有するも
    のである、特許請求の範囲第1項記載の塗装鋼
    板。 3 前記水性懸濁液が未還元クロム酸の0.01〜
    2.0倍モルの多価アルコールおよび/または多価
    カルボン酸および/またはオキシカルボン酸をさ
    らに含有するものである、特許請求の範囲第1項
    または第2項記載の塗装鋼板。 4 前記水性懸濁液が、全クロム酸の0.1〜20倍
    の重量のリン化鉄をさらに含有するものである、
    特許請求の範囲第1項ないし第3項のいずれかに
    記載の塗装鋼板。 5 前記樹脂液が、その中の樹脂に対し、1〜20
    重量%のアクリル酸/メタクリル酸エステルをさ
    らに含有するものである、特許請求の範囲第1項
    ないし第4項のいずれかに記載の塗装鋼板。 6 前記めつき鋼板が焼付硬化性を有する鋼板か
    らなり、上層および下層被膜の加熱乾燥温度をい
    ずれも200℃以下とした、特許請求の範囲第1項
    ないし第5項のいずれかに記載の塗装鋼板。 7 前記水性懸濁液および/または樹脂液が金属
    クロム酸塩をさらに含有するものである、特許請
    求の範囲第1項ないし第6項のいずれかに記載の
    塗装鋼板。
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